商標登録+α: 拒絶理由通知に対する意見書記載例#89

特許庁審査官等から受けた拒絶理由通知等に対し、反論した「意見書、審判請求書」の具体例を小川特許商標事務所のサイトから転載しております。

本願商標「ラカントールゼロ」× 引用商標「ラカントール」

1.出願番号  商願2008-62705
2.商  標   「ラカントールゼロ」
3.商品区分  第30類
4.適用条文 商標法第4条第1項第11号
5.拒絶理由  商願2006-23988と類似する。

拒絶理由通知 出願商標・商標登録願2008-062705
出願商標・商標登録願2008-062705
引用商標・商標登録願2006-23988
引用商標・商標登録願2006-23988

拒絶理由通知 意見書における反論

【意見の内容】
(1) 拒絶理由通知書において、本願商標「ラカントールゼロ」は、商願2006-23988「ラカントール」(第30類 調味料、沖縄県糸満市字塩平804番地 株式会社ビレモ沖縄)の商標(以下「引用商標」という)と同一又は類似であって、その商標に係る指定商品(指定役務)と同一又は類似の商品(役務)について使用するものであるから、これが登録されたときには、商標法第4条第1項第11号に該当することになるとのご指摘を受けましたが、本出願人は、これに対し、意見を申し述べます。

(2) 引用商標を見ると、商標が「ラカントール」で、指定商品が第30類の調味料ですので、本願商標との関係においては、成る程、商標・商品ともに類似の範囲に属し、引用商標が登録された場合には、本願商標の登録は難しいであろうことは、容易に理解できます。
しかしながら、引用商標は、先願の地位を有する状態にあるとはいえ、この出願は既に1年以上も前の平成18年11月1日に登録査定がなされながら(同年11月11日に発送)、未だに商標登録料の納付がなされていない出願であり、本来であればとっくに出願却下処分が下されていてよい出願です。
 この引用商標については、もちろん小田審査官に責任があるわけではありませんが、この引用商標が先願の地位を有する状態となっているのは、御庁がいつまでもこの出願について却下処分を出さずに放置しているからであり、不作為の怠慢に起因するものであります。それ故、早々に引用商標の処分を確定していただいて、本願商標を速やかに登録査定いただくよう、強く要望いたします。

(3) 法律上は「登録査定の謄本の送達から30日以内に商標登録料を納付しなければならない」となっておりますが(商標法第41条1項)、一方で、出願人の請求により30日間は延長できることになっております(商標法第41条2項)。また、実務上は、登録査定の謄本の送達から30日を経過しても、職権により、さらに2ヵ月ほど納付の猶予を認めております。そして、このような猶予の期間が経過した後は、納付の催促をし、それでも納付しなければ、納付の意思無しとみて、その案件を直ちに「出願却下処分」にしてしまうのが通例であります。そして、このような取扱いの下においては、登録料の納付がない場合、登録査定から5ヵ月ほどで、出願却下処分がなされております。
 然るに、登録査定から1年以上も経つのに、この引用商標には未だに出願却下処分がなされておらず、これは、法律を誠実に執行すべき行政(特許庁)の怠慢ではないかと思います。法律上は、あくまでも、「登録査定の謄本の送達から30日以内に商標登録料を納付しなければならない」(商標法第41条1項)と規定されておりますので、登録査定から1年以上も経つ引用商標について、登録料未納にも拘わらず、いまだに出願却下処分がなされていないというのは、怠慢以外の何者でもないように思います。登録料未納の引用商標については早々に出願却下されるべきであり、そうでなければ、後願に係る出願人の権利を不当に制限することになり、また、国民の商標選択の余地を不当に狭めることになり、公平性の観点からも許されるべきものではありません。職権で延長するにしても、1年以上も延長というのは行き過ぎであり、そのような出願に基づいて本願商標を拒絶しようとするのは、著しく不条理であり、納得できません。
 何よりも、登録査定謄本発送後1年以上に亘る放置は、「登録査定の謄本送達後30日以内に登録料を納付しなければならない」とした法律の趣旨をないがしろにするものであり、許されるものではないと考えます。

(4) 以上の次第でありますので、本願商標は、引用商標を出願却下処分にした後、速やかに登録査定されるべきものであります。

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