商標登録とは

商標登録とは

商標・商標登録について

1.商標登録とは

商標登録とは、商標の所有者がその商標権を独占することについて特許庁の登録原簿に記載された状態を指しています。商標登録をするためには、先ず商標登録願を特許庁に提出し、特許庁での審査を経て拒絶理由がないものは登録査定となります。また拒絶理由がある商標登録出願でも意見書や補正書により拒絶理由を克服すれば登録査定となります。登録査定だけでは未だ商標登録ではなく、登録査定から所定期間内(商標登録をすべき旨の査定若しくは審決の謄本の送達があつた日から30日以内)に登録料を支払い、その後早い場合は9,10日後、年末など遅い場合には1月後ぐらいに登録原簿に権利が記載(登録)されることで商標登録となり、その記載日(データエントリーの日)が商標登録の登録日になります。

商標登録料(印紙代)の計算
区分数 なら、登録料(印紙代)は 円です。
分納の場合は5年毎に 円です。

2.商標登録原簿

商標登録原簿には、出願年月日、出願番号、指定商品、区分数、登録年月日が登録事項として記載され、存続期間の更新登録については申請日と登録日も記載されます。続いて、登録料についての記載欄があり、続いて甲区、乙区、丙区、丁区と記載欄が続きます。通常は、甲区の商標権者についての記載事項だけですが、専用使用権者がいる場合は乙区にその記載があり、通常使用権者がいる場合は丙区に、質権者が設定されている場合には丁区に記載されることになっています。

参考 特許庁商標原簿の例(pdf)

商標登録とはこのような事項が原簿に記載されることを意味しており、逆に更新登録をしない場合や、審判等により取消となった場合、権利放棄の場合には原簿は閉鎖されます。期間内に更新登録をしない場合でも、正当理由があれば権利存続しますので、更新期間を過ぎても最低1年は閉鎖されずに残ります。商標登録原簿は所定の手数料を払うことで、誰でも閲覧可能です。国際登録の商標登録についても同様に閲覧できます。

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3.商標登録されるとどうなるのか

商標権者は、指定商品又は指定役務について登録商標を使用する権利を専有します(商標法第25条)。言い換えれば、他人は指定商品又は指定役務について登録商標を使用することができず、無断で使用していれば商標権侵害として差止め請求され、或いはライセンスを受けなければ使用をすることはできないことになります。また、類似する範囲である禁止権についても商標法第37条第1項に、“指定商品若しくは指定役務についての登録商標に類似する商標の使用又は指定商品若しくは指定役務に類似する商品若しくは役務についての登録商標若しくはこれに類似する商標の使用は、当該商標権又は専用使用権を侵害するものとみなす。”と規定されています。すなわち、登録商標については、指定商品又は指定役務について独占的に使用する権利があり、類似の商標の指定商品又は指定役務についての使用と同一又は類似の商標の指定商品又は指定役務に類似する商品又は役務については他人に使用させない権利を有します。では指定商品又は指定役務に非類似の商品や役務については、どうかというと、防護標章の設定でもされていない限り、これは商標権の及ぶ範囲ではないので、他人は制限なく非類似の商品や役務について使用でき、特に同一の商標であっても使用できます。例えば、30年後に著名となるが今は未だ知名度の低いオレンジコンピュータという会社があったとします。オレンジコンピューターは“オレンジ”という商標を指定商品、電子応用機械器具(コンピューターを含む。)で出願し、登録していたとします。全く関係ない第3者が同じ“オレンジ”という商標を運動靴で使っても、それはコンピュータで使用する商標権“オレンジ”の権利範囲外ですので、運動靴での使用をオレンジコンピューターは差し止めることはできません。著名となってからは、初めて非類似の商品にも不正競争防止法によって保護を求めることができますすので運動靴の使用にも抵触する旨を主張できますが、未だ知名度の低い状態では指をくわえて見ている他なしです。

また商標登録証も発行され、公報に登録商標が公示されます。公報発行日は通常登録日の1か月後になります。なお、商標登録証を紛失した場合には、有料で再発行を申請することもできます。

商標登録証:商標登録されると発行されます。

4.商標登録の安定性

商標登録は、技術が開示された資料が見つかれば無効となりうる特許と比べるとかなり安定した権利ですが、それでも権利が初めからなかったとみなされることもあり、取消になることもあります。商標登録が失効するには、i)異議申立、無効審判、ii)不使用取消、iii)不正使用等による取消があります。

i)異議申立、無効審判

商標登録された際には、商標公報が発行され、2か月間の異議申立期間が開始されます。この異議申立期間内に第3者から異議申立があれば、その手続に入ります。また無効理由に挙げる理由があれば、無効審判請求によって、後発的無効理由に該当する場合を除いて権利を初めからなかったことにできます。これらは指定商品や指定役務の一部に対しても申立や請求することができるため、取消決定後や無効の確定後でも一部の指定商品や指定役務が残ることもあります。
詳しくは商標法上の異議申立て商標法上の審判に説明があります。

ii)不使用取消

日本は登録によって商標権を発生させていますが、使用されていない商標は空権(中身の無い権利)ですので、取消を行って他人の使用や他人の権利取得を促進させることもできます。そこで商標登録から一定期間の3年は使用していないことに猶予がありますが、それ以降で不使用の場合には、取消審判の対象となることがあり、取消が確定すれば審判請求の登録日まで遡って権利が無かったものとみなされます。
詳しくは不使用取消審判

iii)不正使用等による取消

不正使用等による取消は、商標権者の不正使用による取消審判(商標法第51条)、使用権者の不正使用による取消審判(商標法第53条)、商標権移転の結果の混同使用による取消審判(商標法第52条の2)、代理人等の不当登録による取消審判(商標法第53条の2)が規定されています。不正使用による取消審判(商標法第51条、第53条)は商標権者、又は専用使用権者若しくは通常使用権者が紛らわしい商標の使用をしていることを理由に登録の取り消しを求める審判です。例えば、登録商標に似た商標を使用することにより、他人の商品と誤認させたり、その他人と関係があるものと混同させたりした場合が該当します。また、商標権移転の結果の混同使用による取消審判(商標法第52条の2)では、商標権が移転された結果、商品の類似範囲内で同じ登録商標が別々の権利者の所有となる場合があり、それぞれが登録商標を使用することによって需要者等が誤認混同した場合には、誰でも登録の取り消しを請求できます。代理人等の不当登録による取消審判(商標法第53条の2)では、代理人等が商標に関する権利を有する者の承諾を得ないでその商標を登録した場合に、商標に関する権利を有する者がその商標の取り消しを求める審判です。例えば、外国の商標権をもっている会社の日本代理店がその会社の承諾を得ないで、その会社の商標を登録した場合が該当します。これらの審判の請求によって取消審決が確定すると、商標権はその後消滅します。
詳しくは商標法上の審判の解説

三宅坂 最高裁判所
三宅坂 最高裁判所

5.財産権としての性質

商標権は無体財産権と呼ばれる財産権ですので、商標権者は、その持分を移転することもでき、商標権者が自然人の場合には死去に際して相続の対象となります。相続その他の一般承継の場合は、特許庁の手続を要せずに権利が移転しますが、譲渡契約の場合には、その譲渡書を届けて移転手続を特許庁に対して行います。国若しくは地方公共団体、これらの機関等は譲渡することができない場合があり(商標法第24条第2項)、公益事業者も事業と共にでなければ移転できない場合があります(商標法第24条第3項)。会社が商標権者でその会社役員に譲渡するときは、商標権の譲渡が利益相反取引とならないように取締役会の承認事項であることを証拠づけ(取締役会の承認書及び登記事項証明書の提出)することもあります。また、商標権は質権の対象となりますが、登録しなければ効力は発生しません。質権設定時には、債権者、債権額等を記載します。また、商標権を指定商品や指定区分ごとに分割することも可能です。商標権が共有の場合には共有者間での制限が加わることもあります。詳しくは商標権の共有
また、商標権は放棄することも可能で、全体として放棄することもでき、指定商品や指定役務の一部を放棄することもできます。但し、指定商品や指定役務について、商標権者の業態が変わったからといってそれに合わせて指定商品や指定役務を変えることはできません。その場合には、新たな出願と審査を経た商標登録が必要です。また、登録商標の標章(マーク)自体を入れ替えることは認められていません。例えば社名を商標として登録した場合に、その社名が変わって異なるロゴタイプを使用する場合でも、商標権者の名称自体は変えることができますが、社名の商標自体を変えることができません。この場合にも新たな出願と審査を経た商標登録が必要です。

6.商標登録の存続期間

商標登録は登録日から10年が存続期間となります。設定の登録に際して、5年の分割納付を選択した場合には、登録日から5年が期間満了となります。10年目の存続期間満了の6か月前から更新登録出願の申請をすることができ、所定の更新料とと共に申請することで商標登録の更新が可能です。この場合には、使用証明等の書類は不要です。更新した商標登録の存続期間も10年ですので、商標権は最初の登録日から10年毎に更新が可能となります。

更新登録料(印紙代)の計算
区分数 なら、更新登録料(印紙代)は 円です。
分納の場合は5年毎に 円です。

7.商標登録についてのライセンス

商標登録については、先の原簿のところでも記載したように、専用使用権者(乙区)や通常使用権者(丙区)への記載欄があり、商標登録原簿にこれらのライセンシーを記載させることができます。専用使用権の場合は、登録が効力発生要件ですので、記載がなければ専用使用権は設定されていません。一方、通常使用権の場合は、第3者対抗要件ですので、当事者間の契約により発生しています。独占的通常使用権についての設定で、異なる2人が矛盾した登録するという事態を考慮すると、争った場合、登録が先の方が勝利することになります。使用権は、基本的には契約で発生するものですから、期間、地域、金額、支払方法、指定商品及び指定役務、サブライセンスなどについて設定することができます。専用使用権者や通常使用権者には、商品の品質若しくは役務の質の誤認や他人の業務との混同等を生じさせない正当使用について義務づけられます(商標法第53条)。知的財産としての商標は、ライセンスすることで金銭的な利益を得ることができます。フランチャイズ展開にも登録した商標のライセンスは、主たる契約事項の1つです。ライセンスが有効な分野はファッション、食品など多岐にわたります。

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8.商標権侵害、差止めと損害賠償

商標権は他の知的財産権と比較して権利行使し易く、且つ攻撃された場合でも特許のように資料1つで潰れるということもない安定した権利です。提訴に先んじて警告状を送ることも一般的行われていまして、侵害されていると考えている商標権者は、相手の出方(応訴、ライセンス交渉を希望、販売中止を予定、使用態様でない、非類似、先使用の抗弁、無視など)で訴訟戦略を考えることにもなります。侵害訴訟の場合は、特許庁ではなく管轄の裁判所に提訴することになり、その管轄は、被告の所在地を管轄とする普通裁判籍と、商標権侵害についての東京・大阪地裁に管轄を認める特別裁判籍があります。訴状には、商標権者の権利内容についての事項、被告の侵害行為の特定、商標の類否について記載します。侵害訴訟では、社会通念上の同一商標か否かは争点とななりませんが、商標的な使用か否かは争点となることがあります。商標の類否と商品役務の類否については、特許庁の類似群コードの考え方がそのまま当てはまる訳ではなく、取引の実情、消費者の注意力などが勘案され、実際に混同するか否かの調査も資料となり得ます。損害賠償も請求する場合には、損害額も計算します。計算方法はいくつかありますが、1つは逸失利益です。損害額の計算のためには文書提出命令を出すことができます。平成 20年 (ワ) 22305号 損害賠償等請求事件、2010/11/10 判決では、逸失利益は粗利益(数量x単位当たり利益)-(税金+委託業者手数料)で、弁護士費用の約58%が加算されています。また、商標権者が使用していない場合ではライセンス相当額の賠償による決着もあります。また、商標権者は輸入差止の申立も可能で、これは税関に対して行います。詳しくは輸入差止のページ

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9.商標権侵害、先使用の抗弁

商標権者から侵害であると主張された場合の抗弁の1つが先使用権(商標法第32条)ですが、先使用権を主張するには、不正競争の目的がないこと及び周知性があることが要件となります。平成24(ワ)16372、平成25年11月28日判決、東京地方裁判所では、先使用権の有無が争点の1つとなり、被告は商標登録出前からの広告宣伝の結果、不正競争の目的てなく 被告標章は少なくとも京都府内その近辺において本件各登録商標の商標登録出願の際被告の販売する化粧品を表示するものとしてその主な需要者てある女性の消費者に広く認識されるに至っていたものと認められると判示され、先使用権が認められています。また、平成7(ワ)13225、平成9年12月9日判決、大阪地裁では、需要者に認識されている地理的範囲は、せいぜい水戸市及びその隣接地域内にとどまるものというべきであると認定され、当該商標が必ずしも日本国内全体に広く知られているまでの必要はないとしても、せいぜい二、三の市町村の範囲内のような狭い範囲の需要者に認識されている程度では足りないと解すべきであるとしています。但し、地域団体商標に対する抗弁の場合には、周知性は不要です。

法務省と東京地裁・高裁・知財高裁
法務省と東京地裁・高裁・知財高裁

10.商標権侵害、類否

商標権者から侵害であると主張された場合に、類似ではないとして抗弁することも可能です。商標(見本)自体の類否(すなわち類似と非類似)と、指定商品及び指定役務との類否とがあります。審査の段階では、指定商品及び指定役務との類否判断は、類似群コードで決められていると言っても過言ではないのですが、裁判所での判断は、指定商品及び指定役務と実際の相手方の対象商品及び対象役務の対比で考えるということになっていまして、流通や販売のチャンネルや需要者の分布などの取引の実情が加味されます。商標の類似も、外観・証拠・観念の三要素を中心に判断されますが、取引の実情が加味されます。

11.商標登録の他の効果

商標は登録されれば、競合する範囲の後願を排除する効果(商標法第4条第1項第11項)があります。このような拒絶理由を受けた後願の出願人は、i)類似ではないと主張、ii)競合する先登録商標を不使用取消などで攻撃、iii)アサインバック(Assign Back)の取引、iv)競合する範囲の指定商品及び指定役務を削除する補正をするなどの手段で拒絶理由の解消に向けて動くことができます。アサインバックは外国のコンセント(同意)の代わりに実務上行われているものであり、契約で一旦後願の出願人は、商標登録を受ける権利を先登録の権利者に移転します。移転することで、後の出願の出願人は最早他人ではないので、拒絶理由が解消されます。後の出願も登録査定となったところで、元々の出願人に移転して登録料を払います。先の商標登録の権利者は、永続的なライセンスを与えたものと同等な移転手続を強いられますので、通常はその対価を伴うものとされています。

12.商標登録の書換登録

商品区分は時の流れと共に変化することがあり、それに合わせて指定商品及び指定役務の区分も変化します。書換登録は、商標登録の更新の際に、その昔の区分で登録されている商標を現行の区分に書き換える作業を指します。数年前までは、昭和34年法の区分に基づく書き換えが行われており、書き換え申請をしなければ更新はできるがその次の更新ができないように規定されていました。現在は書き換えは無い状態ですが、未来にはまた発生することもあると思われます。

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