地理的表示 日EU・EPAに基づく指定前の公示(酒類)

国税庁では、酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律(昭和28年法律第7号)第86条の6第1項の規定に基づき定めた「酒類の地理的表示に関する表示基準」(平成27年10月国税庁告示第19号。以下「表示基準」という。)に基づき、欧州連合(EU)との経済連携協定交渉を通じて、日本国内で保護をする地理的表示の確認を行っています。2017年10月12日まで意見を申し立てることができます。

# 国名 地理的表示(参考翻訳) 酒類区分
1 Austriaオーストリア Inländerrum
(インレンダールム)
蒸留酒
2 Austriaオーストリア Jägertee/Jagertee/Jagatee
(イェーガーテー/ヤーガーテー/ヤーガテー)
その他の酒類
3 bulgariaブルガリア Тракийска низина
(トラキイスカ・ニズィナ)
ぶどう酒
4 bulgariaブルガリア Дунавска равнина
(ドゥナフスカ・ラヴニナ)
ぶどう酒
5 cyprusキプロス Ζιβανία/Τζιβανία/Ζιβάνα/Zivania
(ジヴァニア/ジヴァニア/ジヴァナ/ジヴァニア)
蒸留酒
6 cyprusキプロス Κουμανδαρία
(クマンダリア)
ぶどう酒
7 czechチェコ Budějovické pivo
(ブジェヨヴィツケー・ピヴォ)
その他の酒類
8 czechチェコ Budějovický měšťanský var
(ブジェヨヴィツキー・ムニェシュチャンスキー・ヴァル)
その他の酒類
9 czechチェコ České pivo
(チェスキー・ピヴォ)
その他の酒類
10 czechチェコ Českobudějovické pivo
(チェスコブジェヨヴィツケー・ピヴォ)
その他の酒類
11 germanyドイツ Bayerisches Bier
(バイエリッシェス・ビア)
その他の酒類
12 germanyドイツ Münchener Bier
(ミュンヘナー・ビア)
その他の酒類
13 germanyドイツ、
Austriaオーストリア、
belgiumベルギー
Korn/Kornbrand
(コルン/コルンブラント)
蒸留酒
14 germanyドイツ Franken
(フランケン)
ぶどう酒
15 germanyドイツ Mittelrhein
(ミッテルライン)
ぶどう酒
16 germanyドイツ Mosel
(モーゼル)
ぶどう酒
17 germanyドイツ Rheingau
(ラインガウ)
ぶどう酒
18 germanyドイツ Rheinhessen
(ラインヘッセン)
ぶどう酒
19 spainスペイン Brandy de Jerez
(ブランディ・デ・ヘレス)
蒸留酒
20 spainスペイン Pacharán navarro
(パチャラン・ナバーロ)
その他の酒類
21 spainスペイン Alicante
(アリカンテ)
ぶどう酒
22 spainスペイン Bierzo
(ビエルソ)
ぶどう酒
23 spainスペイン Cataluña
(カタルーニャ)
ぶどう酒
24 spainスペイン Cava
(カバ)
ぶどう酒
25 spainスペイン Empordà
(エンポルダー)
ぶどう酒
26 spainスペイン Jerez/Xérès/Sherry
(ヘレス/シェレス/シェリー)
ぶどう酒
27 spainスペイン Jumilla
(フミージャ)
ぶどう酒
28 spainスペイン La Mancha
(ラ・マンチャ)
ぶどう酒
29 spainスペイン Málaga
(マラガ)
ぶどう酒
30 spainスペイン Manzanilla-Sanlúcar de Barrameda
(マンサニージャ・サンルーカル・デ・バラメーダ)
ぶどう酒
31 spainスペイン Navarra
(ナバーラ)
ぶどう酒
32 spainスペイン Penedès
(ペネデス)
ぶどう酒
33 spainスペイン Priorat
(プリウラット)
ぶどう酒
34 spainスペイン Rías Baixas
(リアス・バイシャス)
ぶどう酒
35 spainスペイン Ribera del Duero
(リベラ・デル・ドゥエロ)
ぶどう酒
36 spainスペイン Rioja
(リオハ)
ぶどう酒
37 spainスペイン Rueda
(ルエダ)
ぶどう酒
38 spainスペイン Somontano
(ソモンターノ)
ぶどう酒
39 spainスペイン Toro
(トロ)
ぶどう酒
40 spainスペイン Utiel-Requena
(ウティエル・レケーナ)
ぶどう酒
41 spainスペイン Valdepeñas
(バルデペーニャス)
ぶどう酒
42 spainスペイン Valencia
(バレンシア)
ぶどう酒
43 finlandフィンランド Suomalainen Marjalikööri/Suomalainen Hedelmälikööri/Finsk Bärlikör/Finsk Fruktlikör/Finnish berry liqueur/Finnish fruit liqueur
(スオマライネン・マルヤリコーリ/スオマライネン・ヘデルマリコーリ/フィンスク・バールリコール/フィンスク・フルクトリコール/フィニッシュ・ベリー・リキュール/フィニッシュ・フルーツ・リキュール)
その他の酒類
44 finlandフィンランド Suomalainen Vodka/Finsk Vodka/Vodka of Finland
(スオマライネン・ヴォトゥカ/フィンスク・ヴォトゥカ/ウォッカ・オブ・フィンランド)
蒸留酒・その他の酒類
45 franceフランス Armagnac
(アルマニャック)
蒸留酒
46 franceフランス Calvados
(カルバドス)
蒸留酒
47 franceフランス Cognac/Eau-de-vie de Cognac/Eau-de-vie des Charentes
(コニャック/オドゥビィ・ドゥ・コニャック/オドゥビィ・デ・シャラントゥ)
蒸留酒
48 franceフランス Rhum de la Martinique
(ラム・ドゥ・ラ・マルティニック)
蒸留酒
49 franceフランス Alsace/Vin d’Alsace
(アルザス/ヴァン・ダルザス)
ぶどう酒
50 franceフランス Beaujolais
(ボジョレー)
ぶどう酒
51 franceフランス Bergerac
(ベルジュラック)
ぶどう酒
52 franceフランス Bordeaux
(ボルドー)
ぶどう酒
53 franceフランス Bourgogne
(ブルゴーニュ)
ぶどう酒
54 franceフランス Chablis
(シャブリ)
ぶどう酒
55 franceフランス Champagne
(シャンパーニュ)
ぶどう酒
56 franceフランス Châteauneuf-du-Pape
(シャトーヌフ・デュ・パップ)
ぶどう酒
57 franceフランス Corbières
(コールビエール)
ぶどう酒
58 franceフランス Coteaux du Languedoc / Languedoc
(コトー・デュ・ラングドック/ラングドック)
ぶどう酒
59 franceフランス Côtes de Provence
(コート・ドゥ・プロヴァンス)
ぶどう酒
60 franceフランス Côtes du Rhône
(コート・デュ・ローヌ)
ぶどう酒
61 franceフランス Côtes du Roussillon
(コート・デュ・ルシヨン)
ぶどう酒
62 franceフランス Graves
(グラーブ)
ぶどう酒
63 franceフランス Haut-Médoc
(オーメドック)
ぶどう酒
64 franceフランス Margaux
(マルゴー)
ぶどう酒
65 franceフランス Médoc
(メドック)
ぶどう酒
66 franceフランス Minervois
(ミネルヴォア)
ぶどう酒
67 franceフランス Pauillac
(ポイヤック)
ぶどう酒
68 franceフランス Pays d’Oc
(ペイドック)
ぶどう酒
69 franceフランス Pessac-Léognan
(ペサック・レオニャン)
ぶどう酒
70 franceフランス Pomerol
(ポムロール)
ぶどう酒
71 franceフランス Saint-Emilion
(サンテミリオン)
ぶどう酒
72 franceフランス Saint-Julien
(サンジュリアン)
ぶどう酒
73 franceフランス Sancerre
(サンセール)
ぶどう酒
74 franceフランス Saumur (ソミュール) ぶどう酒
75 franceフランス Sauternes
(ソーテルヌ)
ぶどう酒
76 franceフランス Val de Loire
(ヴァル・ドゥ・ロワール)
ぶどう酒
77 greeceギリシャ Ρετσίνα Αττικής
(レツィーナ・アティキス)
ぶどう酒
78 greeceギリシャ Σάμος
(サモス)
ぶどう酒
79 hungaryハンガリー Békési Szilvapálinka
(ベーケーシ・シルヴァパーリンカ)
蒸留酒
80 hungaryハンガリー Gönci Barackpálinka
(グンツィ・バラツクパーリンカ)
蒸留酒
81 hungaryハンガリー Kecskeméti Barackpálinka
(ケチケメーティ・バラツクパーリンカ)
蒸留酒
82 hungaryハンガリー Szabolcsi Almapálinka
(サボルチ・アルマパーリンカ)
蒸留酒
83 hungaryハンガリー Szatmári Szilvapálinka
(サトマーリ・シルヴァパーリンカ)
蒸留酒
84 hungaryハンガリー Törkölypálinka
(トゥルクゥイパーリンカ)
蒸留酒
85 hungaryハンガリー Újfehértói meggypálinka
(ウーイフェヘールトーイ・メッジパーリンカ)
蒸留酒
86 hungaryハンガリー Tokaj/Tokaji
(トカイ/トカイ)
ぶどう酒
87 irelandアイルランド Irish Cream
(アイリッシュ・クリーム)
その他の酒類
88 irelandアイルランド Irish Whiskey/Uisce Beatha Eireannach/Irish Whisky
(アイリッシュ・ウィスキー/イシュケ・バハー・エールナック/アイリッシュ・ウィスキー)
蒸留酒
89 italyイタリア Grappa
(グラッパ)
蒸留酒・その他の酒類
90 italyイタリア Asti
(アスティ)
ぶどう酒
91 italyイタリア Barbaresco
(バルバレスコ)
ぶどう酒
92 italyイタリア Bardolino
(バルドリーノ)
ぶどう酒
93 italyイタリア Bardolino Superiore
(バルドリーノ・スペリオーレ)
ぶどう酒
94 italyイタリア Barolo
(バローロ)
ぶどう酒
95 italyイタリア Bolgheri/Bolgheri Sassicaia
(ボルゲリ/ボルゲリ・サッシカイア)
ぶどう酒
96 italyイタリア Brachetto d’Acqui / Acqui
(ブラケット・ダクイ/アクイ)
ぶどう酒
97 italyイタリア Brunello di Montalcino
(ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ)
ぶどう酒
98 italyイタリア Campania
(カンパーニア)
ぶどう酒
99 italyイタリア Chianti
(キアンティ)
ぶどう酒
100 italyイタリア Chianti Classico
(キアンティ・クラシコ)
ぶどう酒
101 italyイタリア Conegliano – Prosecco/Conegliano Valdobbiadene – Prosecco/Valdobbiadene – Prosecco
(コネリアーノ・プロセッコ/コネリアーノ・ヴァルドビアデーネ・プロセッコ/ヴァルドビアデーネ・プロセッコ)
ぶどう酒
102 italyイタリア Dolcetto d’Alba
(ドルチェット・ダルバ)
ぶどう酒
103 italyイタリア Franciacorta
(フランチャコルタ)
ぶどう酒
104 italyイタリア Lambrusco di Sorbara
(ランブルスコ・ディ・ソルバーラ)
ぶどう酒
105 italyイタリア Lambrusco Grasparossa di Castelvetro
(ランブルスコ・グラスパロッサ・ディ・カステルヴェトロ)
ぶどう酒
106 italyイタリア Marsala
(マルサーラ)
ぶどう酒
107 italyイタリア Montepulciano d’Abruzzo
(モンテプルチャーノ・ダブルッツォ)
ぶどう酒
108 italyイタリア Prosecco
(プロセッコ)
ぶどう酒
109 italyイタリア Sicilia
(シチリア)
ぶどう酒
110 italyイタリア Soave
(ソアーヴェ)
ぶどう酒
111 italyイタリア Toscana/Toscano
(トスカーナ/トスカーノ)
ぶどう酒
112 italyイタリア Valpolicella
(ヴァルポリチェッラ)
ぶどう酒
113 italyイタリア Vernaccia di San Gimignano
(ヴェルナッチャ・ディ・サン・ジミニャーノ)
ぶどう酒
114 italyイタリア Vino Nobile di Montepulciano
(ヴィーノ・ノビレ・ディ・モンテプルチャーノ)
ぶどう酒
115 リトアニア Originali lietuviška degtinė/Original Lithuanian vodka
(オリギナリ・リエトゥヴィシュカ・デクティネ/オリジナル・リトゥアニアン・ヴォトカ)
蒸留酒・その他の酒類
116 netherlandsオランダ,
belgiumベルギー,
germanyドイツ,
franceフランス
Genièvre/Jenever/Genever
(ジェニエーヴル/ユネーフェル/ジュネフェル)
蒸留酒・その他の酒類
117 ポーランド Polska Wódka/Polish vodka
(ポルスカ・ヴトゥカ/ポーリッシュ・ヴォトカ)
蒸留酒・その他の酒類
118 ポーランド Herbal vodka from the North Podlasie Lowland aromatised with an extract of bison grass/Wódka ziołowa z Niziny Północnopodlaskiej aromatyzowana ekstraktem z trawy żubrowej
(ハーバル・ヴォトカ・フロム・ザ・ノース・ポドラシエ・ロウランド・アロマタイズド・ウィズ・アン・エクストラクト・オブ・バイソン・グラス/ヴトゥカ・ジョウォーヴァ・ズ・ニジニ・プウノツノポダラスキエイ・アロマティゾヴァナ・エクストラクテム・ズ・トラヴィ・ジュブロヴェイ)
蒸留酒・その他の酒類
119 portugalポルトガル Alentejo
(アレンテージョ)
ぶどう酒
120 portugalポルトガル Bairrada
(バイラーダ)
ぶどう酒
121 portugalポルトガル Dão
(ダン)
ぶどう酒
122 portugalポルトガル Douro
(ドウロ)
ぶどう酒
123 portugalポルトガル Lisboa
(リスボア)
ぶどう酒
124 portugalポルトガル Madeira
(マデイラ)
ぶどう酒
125 portugalポルトガル Oporto/ Port/ Port Wine/ Porto/ Portvin/Portwein/ Portwijn/ vin du Porto/ vinho do Porto
(オーポルト/ポート/ポート・ワイン/ポルト/ポートヴィン/ポルトヴァイン/ポルトウェイン/ヴァン・デュ・ポルト/ヴィーニョ・ドゥ・ポルト)
ぶどう酒
126 portugalポルトガル Tejo
(テージョ)
ぶどう酒
127 portugalポルトガル Vinho Verde
(ヴィーニョ・ヴェルデ)
ぶどう酒
128 romaniaルーマニア Coteşti
(コテシティ)
ぶどう酒
129 romaniaルーマニア Cotnari
(コトナリ)
ぶどう酒
130 romaniaルーマニア Dealu Mare
(デアル・マーレ)
ぶどう酒
131 romaniaルーマニア Murfatlar
(ムルファトラール)
ぶどう酒
132 romaniaルーマニア Odobeşti
(オドベシュティ)
ぶどう酒
133 romaniaルーマニア Panciu
(パンチウ)
ぶどう酒
134 romaniaルーマニア Recaş
(レカシュ)
ぶどう酒
135 swedenスウェーデン Svensk Vodka/Swedish Vodka
(スヴェンスク・ヴォトカ/スウェディッシュ・ヴォトカ)
蒸留酒・その他の酒類
136 スロベニア Vipavska dolina
(ヴィパウスカ・ドリナ)
ぶどう酒
137 slovakiaスロバキア Vinohradnícka oblasť Tokaj
(ヴィノフラドニーツカ・オブラスティ・トカイ)
ぶどう酒
138 uk英国 Scotch Whisky
(スコッチ・ウィスキー)
蒸留酒
139 greeceギリシャ,
cyprusキプロス
Ouzo/Ούζο
(ウゾ/ウーゾ)
蒸留酒・その他の酒類

地理的表示 EU・EPAに基づく指定前の公示(農作物)
Flag Icons from www.icondrawer.com

商標登録insideNews: 「道産ワイン」ブランドに 地理的表示申請|WEB TOKACHI-十勝毎日新聞

 池田町ブドウ・ブドウ酒研究所など道内21カ所のワイナリーでつくる「道産ワイン懇談会」(会長・勝井勝丸池田町長)は10日、一定の基準を満たした道産ワインに「北海道」の地理的表示(GI)ができるよう国税庁に申請する。冷涼な地理要件を由来とする酸味の強い道産ワインの特徴を消費者に分かりやすく伝え、国際的なブランド化を狙う。審査が順調に進めば、今春に指定され、新しいGI制度下で初の地名ワインとなる。…

情報源: 「道産ワイン」ブランドに 地理的表示10日に申請|WEB TOKACHI-十勝毎日新聞

地理的表示(GI)保護制度 vol.2 ▶️

酒類(しゅるい)の地理的表示についての背景

マティーニグラス

日本では、酒類に関する地理的表示が国税庁の管轄とされ、特定農林水産物等に関する地理的表示は農林水産省の管轄とされています。酒類の地理的表示については、WTO(世界貿易機関)協定の附属書であるTRIPS協定(知的所有権の貿易関連の側面に関する協定)が、ぶどう酒又は蒸留酒の地理的表示についての国内法の整備を促すことになり、それを受ける形で酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律の規定に基づいた「地理的表示に関する表示基準」(国税庁告示第4号)が平成6年12月(平成27年10月29日をもって廃止)に定められた背景があります。また、清酒については、伝統的な製法を受け継いだ特色ある地酒を制度的に保護するとの観点や、外国産の清酒もあり得るとの点で、法整備が進められ、平成17年9月に表示基準の一部が改正され、最近では酒類業を所管する国税庁は平成27年12月に国レベルの地理的表示として「日本酒」(清酒)を指定しています。保護を求めるための申請は、国税庁に対して行うものとなっており、商標権の特許庁とは異なります。

地理的表示と地域団体商標の管轄官庁
地理的表示と地域団体商標の管轄官庁

保護対象となり得る酒類

酒税法において酒類とは、アルコール分1度以上の飲料であり、発泡性酒類・醸造酒類・蒸留酒類および混成酒類の4種類17品目に分類され、それぞれの税率が定められています。地理的表示は、酒類の特性がその地理的な産地に主に依存している場合に、その酒類の特定の地域等が産地となることを示す表示であり、国税庁長官の指定を受けたもの等をいいます。

地理的表示の指定

酒類の産地に主として帰せられる酒類の特性が明確であり、かつ、その酒類の特性を維持するための管理が行われていると認められる場合が地理的表示の指定の前提となります。管理の部分については、生産基準という形で登録事項の1つを構成します。生産基準は次の事項です。(1)酒類の産地に主として帰せられる酒類の特性に関する事項(2)酒類の原料及び製法に関する事項(3)酒類の特性を維持するための管理に関する事項(4)酒類の品目に関する事項。また、地理的表示の指定に関して不登録事由もあります。商標法との関係で重要な事項は、酒類に係る登録商標と同一又は類似の表示であって、その地理的表示としての使用が当該登録商標に係る商標権を侵害するおそれがある表示は、地理的表示として指定できないとされています。先使用されていた未登録商標は、国税庁長官が指定の際に公示することを条件に必要最小限の範囲で認められるとされています。また、日本国において、酒類の一般的な名称として使用されている表示なども地理的表示として指定できないとされています。このような生産基準も含めた登録というところが、単なる地域団体商標の登録とは異なり、品質の保証機能へとつながります。

現在指定されている酒類の地理的表示

国税庁長官の地理的表示についての指定には、次の3つの類型があります。イ)国税庁長官が指定するもの。ロ)日本国以外の世界貿易機関の加盟国において保護されるもの。平成27年10月30日の時点ですでに国税庁長官の指定を受けていた地理的表示は、新しい表示基準(平成27年国税庁告示第19号)の下で国税庁長官の指定を受けたものとみなすもの。

名称 産地の範囲 酒類区分
山梨 山梨県 ぶどう酒
壱岐 長崎県壱岐市 蒸留酒
球磨 熊本県球磨郡及び人吉市 蒸留酒
琉球 沖縄県 蒸留酒
薩摩 鹿児島県(奄美市及び大島郡を除く。) 蒸留酒
白山 石川県白山市 清酒
日本酒 日本国 清酒
山形 山形県 清酒

日本国以外の世界貿易機関の加盟国において保護される地理的表示

名称 産地の範囲 酒類区分
チリ産ピスコ チリ共和国 蒸留酒
ピスコ・ペルー ペルー共和国 蒸留酒
テキーラ メキシコ合衆国 蒸留酒
メスカル メキシコ合衆国 蒸留酒
ソトール メキシコ合衆国 蒸留酒
バカノラ メキシコ合衆国 蒸留酒
チャランダ メキシコ合衆国 蒸留酒 

地理的表示としての「日本酒」

特筆すべきなのは、国レベルで”日本酒”が地理的表示とされる点です。米と麹と水を原料とし海外でも醸造した清酒が作られています。酒税法上、原料の米に国内産米のみを使い、かつ、日本国内で製造された清酒のみが、「日本酒」を独占的に名乗ることができます。従いまして、海外で作られた日本酒はありえず、原料にカリフォルニア米が混じれば日本酒ではありません。また、清酒の概念も日本酒と同じではありません。なお、ワインについては、新しい表示ルール「果実酒等の製法品質表示基準」を適用して日本ブランドを保護するようにしています。日本ワインは100%国産ぶどうのみを原料とします。
日本酒

日本産酒類の魅力とは、12:08

「日本酒でスマイル」、3:00

日本酒の品質

地理的表示「日本酒」生産基準の中には、官能的要素と微生物学的要素の記載があります。以下は国税庁のwebsiteからの抜粋です。
(イ) 官能的要素 アルコール分22度未満で、一般的に無色から黄色、長期間熟成させたものでは琥珀色を有している。また、同じ醸造酒であるビールやワインに比べ、旨味成分であるアミノ酸やペプチドを多く含み、おだやかな酸味と甘味を有している。香りは、吟醸香と呼ばれる果実様の香り、こうじの香り、カラメル様の香りの他、木製の桶や樽に入れられたものには木の香りを有しているなどの多様性がある。
(ロ) 微生物学的要素
A.コウジカビ 米の糖化に、Aspergillus属のコウジカビを用いて製造する「米こうじ」を使用する製法は「日本酒」製造に特有のものであり、現在の精米した米に種こうじをまいて米こうじを製造する手法は室町時代から江戸時代にかけて確立したと考えられている。コウジカビの種類によって、糖化力やアミノ酸生産力が異なることから、使用するコウジカビの種類によっても「日本酒」の品質は影響を受ける。
B.酵母 アルコール発酵に必要な酵母については、「日本酒」製造に適したものとして選抜された酵母が明治時代以降一般的に使用されており、「日本酒」製造のために選抜された酵母は、アルコール発酵力が一般的な酵母よりも高いことが証明されている。酵母の種類によって、香気成分や味成分の生産力が異なることから、使用する酵母の種類によって「日本酒」の品質は影響を受ける。
C.コウジカビと酵母の相互効果 清酒のもろみにおいて、米こうじの酵素による米の糖化とアルコール発酵を並行して行う製法、またアルコール発酵能の高い酵母を使用することにより、「日本酒」は醸造酒としては稀な高アルコール度数を有することができる。

地理的表示の保護

国税庁長官が個別に指定した(又は国際交渉を通じて確認した)酒類の地理的表示については、当該地理的表示の産地以外を産地とする酒類及び当該地理的表示に係る生産基準を満たさない酒類について使用することができないとされています。例えば山梨県以外の長野県で生産されたぶどう酒に「山梨」を表示することはできません。また、酒類の真正の産地として使用する場合又は地理的表示の名称が翻訳された上で使用される場合若しくは「種類」、「型」、「様式」、「模造品」等の表現を伴い使用される場合においても、当該地理的表示の産地以外を産地とする酒類及び当該地理的表示に係る生産基準を満たさない酒類について使用することができないとされてます。「翻訳」には、音訳(例えば、漢字の地理的表示の名称の読みをカタカナやローマ字等に置き換えて使用する場合等)も含まれます。例えば、海外産の清酒にJAPANESE SAKEや、日本産シャンペン、テキーラ風マッコリ?は不適切となります。

侵害に対する措置

酒類製造業者等が地理的表示の名称を使用してはならない酒類に地理的表示の名称を使用していることによって営業上の利益を侵害され又は侵害されるおそれがある者は、当該酒類製造業者の製造場又は当該酒類販売業者の販売場の所在地を所轄する税務署長に適切な措置を行うべきことを申立てることができます。この申立ては、税務署長に対して「地理的表示の保護を求める申立書」(様式5)により行うことができ、申立てを受けた税務署長は、当該申立て内容を国税局長を通じて国税庁長官に連絡した上で、酒類業組合法第91条(質問検査権)に基づく調査を実施します。ここでの調査とは職員が行う証拠資料の収集、要件事実の認定、法令の解釈適用などの一連の行為を言います。調査の結果、違反のある場合に、1)表示基準の遵守指示、2)その指示に従わない場合に、指示に従わない旨の公表、3)基準の遵守命令、4)命令違反の場合に、免許取り消しと50万円以下の罰金という流れになります。

商標審査における取り扱い

指定商品又は指定役務の表示中に「日本酒」の文字を含む商標登録出願の審査は、日本酒が地理的表示となったことを受け、そのままでは記載できない扱いとなりました。このためより具体的な表示である「泡盛,合成清酒,焼酎,白酒,清酒,直し,みりん」に書き換えるか、「濁酒」のようにより具体的に限定するか、「日本国内産米を原料とし、日本国内で製造された清酒」のような記載にすることも可能です。「日本酒を使用してなるケーキ」,「日本酒の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」も同様に補正が必要となります。

地理的表示(GI)保護制度 vol.1

酒類の地理的表示に関するガイドライン
第1章 総論

1 意義

世界貿易機関を設立するマラケシュ協定附属書1-C知的所有権の貿易関連の側面に関する協定(平成6年12月28日条約第15号。以下「TRIPS協定」という。)を受け、日本国において酒類の地理的表示が酒類の表示の適正化を通じて保護されること、及び酒類の産地に主として帰せられる酒類の特性が明確であり、かつ、その酒類の特性を維持するための管理が行われている酒類を地理的表示として指定することを定めることにより、日本国内において製造、輸入又は販売される酒類並びに輸出される酒類の地理的表示の適正化を図るものである。

2 用語の定義

この酒類の地理的表示に関するガイドライン(以下単に「ガイドライン」という。)において、次の各号に掲げる用語の定義は、当該各号に掲げるところによるものとする。
なお、酒類の地理的表示に関する表示基準(平成27年10月国税庁告示第19号。以下「表示基準」という。)で定義されている用語については、当該定義されているところによる。
(1) 「酒類製造業者」又は「酒類販売業者」とは、酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律(昭和28年法律第7号。以下「酒類業組合法」という。)第2条((定義))第2項又は第3項に規定する酒類製造業者又は酒類販売業者をいう。
(2) 「製造場」とは、酒税法(昭和28年法律第6号)第7条((酒類の製造免許))第1項の規定により酒類の製造免許を受けた場所及び同法第28条((未納税移出))第6項の規定により製造場とみなされた場所をいう。
(3) 「販売場」とは、酒税法第9条((酒類の販売業免許))第1項の規定により酒類の販売業免許を受けた場所をいう。
(4) 「指定した日」とは、表示基準第8項の規定により地理的表示の指定をしたことを官報に公告した日のことをいう。
 表示基準第4項の取消し、表示基準第5項の変更又は表示基準第6項の確認の日についても、それぞれその旨を官報に公告した日のことをいう。
(5) 「登録商標」とは、商標法(昭和34年法律第127号)第2条((定義等))第5項に規定する登録商標をいう。
3  「容器」又は「包装」の取扱い

酒類の容器又は包装の取扱いは、「平成11年6月25日課酒1-36他4課共同 酒税法及び酒類行政関係法令等解釈通達の制定について(法令解釈通達)」の別冊第8編第1章第86条の6((酒類の表示の基準))の1 (1) ((表示の基準における「容器」又は「包装」の取り扱い等))の規定に関わらず、次のとおり取り扱う。
(1) 「容器」とは、酒類を収容し当該酒類とともに消費者(酒場、料理店等を含む。以下この第3項において同じ。)に引き渡されるびん、缶、たる等の器をいう。
(2) 「包装」とは、酒類を収容した容器とともに消費者に引き渡される化粧箱、包み紙その他これらに類するものをいう。
(注) 清酒のこもかぶり品のように、容器又は包装に直接表示することができない場合にさげ札等を用いて表示を行う場合は、当該さげ札等も酒類の「包装」に含まれるのであるから留意する。
(3) 「容器」又は「包装」には、運送、保管等のためだけに用いられるものも含むものとする。
4 地理的表示の指定

(1) 地理的表示の指定
 表示基準第2項の規定による地理的表示の指定は、指定しようとする産地の酒類に係る生産基準、名称及び産地の範囲を確認し、酒類製造業者及び酒類販売業者(以下「酒類製造業者等」という。)の意見及び表示基準第7項の規定による意見を勘案した上で、その内容が第2章で規定する「地理的表示の指定に係る指針」に準拠していると認められた場合に行う。
(2) 商標権を侵害するおそれがある表示について
 表示基準第3項第1号の規定に該当する表示は、地理的表示を指定した場合に、当該地理的表示の名称と同一又は類似の登録商標に係る商標権者又は専用使用権者(以下「商標権者等」という。)が、同法の規定による権利侵害として当該地理的表示による侵害の停止等を請求することができることとなる表示をいう。
 ただし、当該地理的表示に対して侵害の停止等を請求されるおそれがない場合はこの限りではない。
(注) 例えば、「侵害の停止等を請求されるおそれがない場合」は、次の場合をいう。
1 当該登録商標の商標権者が、その産地の自主的な取組みにより酒類の特性を維持するための管理を行っている者と同一の場合(当該登録商標に係る商標権について専用使用権が設定されているときは、酒類製造業者等が当該登録商標を地理的表示として使用することについて、当該専用使用権の専用使用権者の承諾を得ている場合に限る。)
2 当該登録商標の専用使用権者が、その産地の自主的な取組みにより酒類の特性を維持するための管理を行っている者と同一の場合であって、酒類製造業者等が当該登録商標を地理的表示として使用することについて、当該登録商標の商標権者及び当該専用使用権者以外の当該専用使用権の専用使用権者の承諾を得ている場合
(3) 酒類の一般的な名称について
 表示基準第3項第2号の規定における「酒類の一般的な名称」とは、その名称が日本国において特定の場所、地域又は国を産地とする酒類を指し示す名称ではなく、かつ、一定の原料若しくは製法により製造された酒類又は一定の性質を有する酒類を、日本国において日常の言語の中で用いられている用語として一般的に指し示す名称のことをいう。
 酒類の一般的な名称の判断は、次の事項を総合的に勘案した上で行う。
イ 新聞、書籍及びウェブサイト等の情報
ロ 日本国におけるその名称を用いた酒類の製造、販売状況
(4) 保護することが適当でないと認められる表示について
 次の表示は、表示基準第3項第4号における「保護することが適当でないと認められる表示」として取り扱う。
イ 不正競争防止法(平成5年法律第47号)第2条((定義))第1項第1号又は第2号に掲げる行為を組成する表示
(注) 例えば、次の表示をいう。なお、当該表示が登録商標であるか否かは問わない。
1 他人の商品、営業の表示として需要者の間に広く認識されている表示であって、その使用により、その他人の商品、営業と混同を生じさせる表示
2 他人の商品、営業の表示として著名な表示
ロ 指定しようとする表示の名称が、表示基準第2項の規定による地理的表示の指定又は表示基準第6項の規定による確認をした地理的表示の名称と同一の名称である場合。ただし、相互に区別することができる措置をした場合はこの限りでない。
5 日本国以外の世界貿易機関の加盟国において保護される地理的表示の確認

(1) 確認の意義
 表示基準第6項の規定による確認は、表示基準第9項において保護の対象となる表示基準第1項第3号ロに掲げる地理的表示について、その生産基準、名称、産地の範囲及び酒類区分を把握するとともに、第1項第3号ロに掲げる地理的表示が第3項各号に該当しないことを確認した上で、表示基準第9項において使用が禁止される場合を明らかにすることにより、行政が不正な地理的表示の使用に対して酒類業組合法第86条の6第3項に基づく指示等の行政処分を確実に行えるようにする目的で行うものである。
(2) 世界貿易機関における地理的表示の登録情報について
 表示基準第6項の規定における「世界貿易機関における地理的表示の登録情報」とは、TRIPS協定第23条第4項に規定する、ぶどう酒及び蒸留酒についての多数国間通報登録制度により登録された情報をいう。
(注) 多数国間通報登録制度が成立していないことから、表示基準第1項第3号ロに掲げる地理的表示については、現状では、加盟国との交渉を通じることによってのみ確認を行うことができる。
 なお、ぶどう酒及び蒸留酒以外の酒類の地理的表示については、当該制度の対象となっていないため、当該制度の成立後も加盟国との交渉を通じることによってのみ確認を行うことができる。

6 地理的表示の取消し等

(1) 表示基準第3項第1号の規定に該当することとなった場合について
 次に掲げる場合には、表示基準第4項第2号の規定における「指定した日以後に、表示基準第3項第1号の表示に該当することとなった場合」として取り扱う。
イ 地理的表示としての使用が登録商標に係る商標権を侵害するおそれがある表示ではないことを、当該登録商標の商標権者等の承諾を得ることにより担保している場合であって、その承諾が取消された場合
ロ 地理的表示の名称と同一又は類似の商標が登録されたことにより、当該地理的表示の使用が当該登録商標に係る商標権を侵害するおそれがあることとなった場合(指定した日前に地理的表示の名称と同一又は類似の商標に係る登録の出願が行われ、指定した日以後に登録商標となった場合も含まれる。)
(注) 知的財産権においては、一般的に出願の日により権利の抵触に関する先後関係を決めることとなるが、表示基準における地理的表示の指定は国税庁長官の職権により行われるため、「指定した日」を基準として先後関係を判断することとしたものである。
(2) 指定が適当でないと認められる場合について
 次の場合には、表示基準第4項第4号における「指定が適当でないと認められる場合」として取り扱う。
イ 地理的表示の産地の範囲に当該地理的表示の酒類の品目に係る製造場を有する全ての酒類製造業者が、当該地理的表示の指定の取消しを求めている場合
ロ 酒類の特性を維持するための管理が適切に行われていないことが地理的表示の指定後に判明した場合
(3) 取消しを求める申立て
 表示基準第2項の規定により指定した地理的表示について、当該地理的表示が表示基準第4項に該当すると考える者は、その理由を明らかにした上で、取消しを求める旨の申立てを国税庁長官に行うことができる。
(4) 保護しないことを求める申立て
 表示基準第6項の規定により確認した地理的表示について、当該地理的表示が表示基準第10項第8号に該当すると考える者は、その理由を明らかにした上で、保護しないことを求める旨の申立てを国税庁長官に行うことができる。
7 指定した地理的表示の変更

表示基準第5項の規定による指定した地理的表示の変更については、その変更内容が第2章で規定する「地理的表示の指定に係る指針」に準拠していると認められた場合にのみ行う。
なお、生産基準のうち酒類の産地に主として帰せられる酒類の特性に関する事項の変更については、原則として行わない。
また、名称、産地の範囲、酒類区分又は生産基準のうち酒類の品目に関する事項の変更については、原則として法令改正又は他の地理的表示の指定に起因する変更についてのみ行う。

8 地理的表示の指定等に係る意見募集

意見募集については、表示基準第7項で規定する場合のほか、表示基準第4項の取消し又は表示基準第5項の変更をする場合においても、必要に応じて意見募集を行うものとする。

9 地理的表示の保護

(1) 複合名称の使用について
 複数の語句からなる地理的表示の名称について、当該名称の個別の語句を使用する場合は地理的表示の名称の使用に該当しない。
(2) 地理的表示の名称の翻訳について
 表示基準第9項の規定における「翻訳」には、音訳(例えば、漢字の地理的表示の名称の読みをカタカナやローマ字等に置き換えて使用する場合等)も含まれることに留意する。
 また、「地理的表示の名称が翻訳された上で」には、地理的表示を使用する者が翻訳した上で使用する場合のほか、地理的表示の名称を使用する者以外が地理的表示の名称を翻訳したものを使用する場合も含まれることに留意する。
(3) 酒類業組合法第86条の6第3項による基準を遵守すべき旨の指示について
 次に掲げる酒類に係る地理的表示の使用に対しては、表示基準第9項に基づく酒類業組合法第86条の6第3項による基準を遵守すべき旨の指示を行わない。
イ 表示基準第1項第3号ロに掲げる地理的表示のうち、表示基準第6項の規定による確認をしていない地理的表示の名称を使用している酒類
ロ 表示基準第2項による地理的表示の指定の日又は表示基準第6項の規定による確認の日前に、当該地理的表示の名称と同一又は類似の表示を使用して市場に流通していたことが明らかである酒類
(4) 地理的表示の保護の申立て
 酒類製造業者等が地理的表示の名称(表示基準第1項第3号ロに掲げる地理的表示については、表示基準第6項の確認をしたものに限る。)を使用してはならない酒類に地理的表示の名称を使用していることによって営業上の利益を侵害され又は侵害されるおそれがある者は、当該酒類製造業者の製造場又は当該酒類販売業者の販売場の所在地を所轄する税務署長に適切な措置を行うべきことを申立てることができる。
10 適用除外

(1) 登録商標との調整規定について
 地理的表示の名称と同一若しくは類似又は地理的表示の名称を含む商標について、当該地理的表示を指定した日前に登録商標(当該日前に商標登録出願しており、当該日以後に登録商標になったものを含む。)であったものの使用については、表示基準第10項第2号に基づき、表示基準第9項の適用が除外されることに留意する。
(注) 表示基準第10項第2号の規定は、地理的表示の名称と同一若しくは類似の表示又はこれらの表示を含む登録商標の使用権と、表示基準第9項で規定する地理的表示の使用の禁止に関する優劣関係の調整規定である。
 商標権の行使に当たっては、一般的に公益目的のために定められる公法上の規制に服することとなるため、当該表示基準においても、酒類の取引の円滑な運行、消費者の利益という公益目的に沿って商標権者は当該表示基準の規定の範囲内で権利の行使が可能となる。一方で、TRIPS協定第24条第5項では、地理的表示と商標権について優劣関係を定めているため、表示基準第10項第2号において当該優劣関係を整理しているものである。
(2) 先使用されていた商標その他の表示の地理的表示の保護の適用除外について
 表示基準第10項第3号で規定する「国税庁長官が第8項の規定による公告の際に、前項の規定を適用しないものとして公示した商標その他の表示」については、地理的表示を指定等した日前から使用していた登録商標ではない商標その他の表示が、地理的表示の指定に伴って使用できなくなることにより、地理的表示の指定、地理的表示の確認又は保護に関する行政執行に支障をきたすおそれがあると認められる場合に限り、必要最小限の範囲で認めることとする。
(注) 地理的表示の名称と同一若しくは類似の表示又はこれらの表示を含む登録商標に係る商標法第32条((先使用による商標の使用をする権利))及び第32条の2の規定により「先使用による商標の使用をする権利」を有している者の当該権利に係る商標について、表示基準第9項の適用を除外する場合については、当該規定に基づき公告の際に公示することが必要であることに留意する。
(3) 酒類の原料の産地として地理的表示の名称と同一又は類似の表示を使用する場合について
 表示基準第10項第6号の規定における「酒類の原料の産地として地理的表示の名称と同一又は類似の表示を使用する場合」とは、例えば次のような表示の使用が考えられる。なお、この場合にあっても公衆が地理的表示の名称と誤認するような方法で使用する場合は除かれることに留意する。
(例) ぶどう酒の地理的表示「山梨」に関して、名称と同一である「山梨」という表示を、長野県を産地とするぶどう酒の原料ぶどうの産地として使用(例えば、「山梨産ぶどう使用」と容器に表示する場合等)する場合。
11 地理的表示であることを明らかにする表示

表示基準第12項の規定は、表示基準第1項第3号ロに掲げる地理的表示の名称を使用している酒類について、当該地理的表示が表示基準第6項の確認をしたものであるかを問わず適用されることに留意する。
なお、「GI」の文字の使用については、公衆が地理的表示と誤認するような方法で使用している場合に限り、この規定を適用することとして差し支えない。

第2章 地理的表示の指定に係る指針

第1節 指定の要件

 表示基準第2項においては、地理的表示として指定する要件として、
1 酒類の産地に主として帰せられる酒類の特性が明確であること、かつ、
2 その酒類の特性を維持するための管理が行われていること、
の2つを掲げている。
 これら2要件の具体的内容は、以下のとおりである。

1 酒類の産地に主として帰せられる酒類の特性が明確であること

 「酒類の産地に主として帰せられる酒類の特性が明確である」と認めるためには、以下の要素を全て満たしている必要がある。
1 酒類の特性があり、それが確立していること
2 酒類の特性が酒類の産地に主として帰せられること
3 酒類の原料・製法等が明確であること
(1) 酒類の特性があり、それが確立していること
「酒類の特性があり、それが確立していること」とは、次のとおりである。

イ 酒類の特性があること
酒類の特性については、表示基準第1項第3号における「酒類の特性」の定義(酒類に関し、その確立した品質、社会的評価又はその他の特性)に基づき、(イ)品質、(ロ)社会的評価のいずれかの特性(又はその他の特性)があることが必要である。

(イ) 品質について
品質について特性があるとは、他の地域で製造される同種の酒類と比べて、原料・製法や製品により区別できることをいう。例えば以下の場合が該当する。
 原料の種類、品種、化学的成分等が独特である場合
 独特の製法によって製造される場合
 製品が、独特の官能的特徴や化学的成分等を有している場合
(ロ) 社会的評価について

社会的評価があるとは、広く社会的に評価及び認知されていることを言い、それが新聞、書籍、ウェブサイト等の情報により客観的に確認できることが必要である。
また、表彰歴や市場における取引条件などにおいて、他の地域で製造される同種の酒類と区別でき、それが広く知られていることが必要である。
上記特性は、次の要素により整合的に説明できる必要がある。
 官能的要素(香味色たく、口あたり等)
 物理的要素(外観、重量、密度、性状等)
 化学的要素(化学成分濃度、添加物の有無等)
 微生物学的要素(酵母等の製品への関与等)
 社会学的要素(統計、意識調査等)
なお、上記の全ての要素を網羅的に説明できる必要はなく、その酒類の特性に必要な要素のみ説明できればよいが、官能的要素については必ず説明できることが必要である。
また、説明に当たっては、「おいしい」、「味が良い」、「良質」、「すばらしい」又は「美しい」等の抽象的な表現は使用しない。
各要素については、可能な範囲で計数や指標を使用することによって検証可能な形で説明し、他の地域で製造される同種の酒類との違いについても説明できることが望ましい。

ロ 酒類の特性が確立していること
酒類の特性が確立しているとは、酒類の特性を有した状態で一定期間製造されている実績があることをいう。
(注) 「一定期間」の長さについては個別に判断することとなるが、その産地で酒類の製造が開始されてからこれまでの期間で判断するのではなく、その産地で製造される酒類の品質が安定し、酒類の特性が形成された時点以降の期間で判断する。
 なお、「酒類の特性が形成された時点」とは、単にその産地で酒類製造免許を取得した時点を指すのではなく、酒類の特性を有する酒類の製造が始まった時点を示す必要があり、酒類の製造記録、新聞、書籍やウェブサイト等の情報により確認できる必要がある。また、当該産地の範囲に当該酒類の品目の製造場を有する者が複数いる場合、酒類の特性が形成された時点では、その全ての酒類製造業者において酒類の特性を有した酒類が取り扱われている必要はない。

(2) 酒類の特性が酒類の産地に主として帰せられること
イ 基本的な考え方
「酒類の特性が酒類の産地に主として帰せられる」とは、酒類の特性とその産地の間に繋がり(因果関係)が認められることであって、その産地の自然的要因や人的要因によって酒類の特性が形成されていることをいう。
「自然的要因」とは、産地の風土のことであり、地形(標高、傾斜等)、地質、土壌、気候(気温、降水量、日照等)等が考えられる。
「人的要因」とは、産地で人により育まれ伝承されている製法等のノウハウのことであり、発明、技法、教育伝承方法、歴史等が考えられる。
すなわち、単に独自の原料・製法によって製造されているだけでは不十分であり、酒類の特性が産地と結びついていることが必要である。
(注) 酒類の「社会的評価が酒類の産地に主として帰せられる」と言えるためには、その地域に存在する個別の酒類製造業者の商品について評価及び認知されているだけでは不十分であり、その地域の酒類が全体としてその地域と繋がりがあるものとして社会的に評価及び認知されていることが必要であることに留意する。

ロ 酒類区分ごとの考え方
「酒類の特性が酒類の産地に主として帰せられる」と言えるためには、酒類の区分ごとに、例えば、以下のような点が合理的に説明できることが必要である。
(イ) ぶどう酒
 自然的要因としては、地形(標高、傾斜等)、地質、土壌、気候(気温、降水量、日照等)等がぶどうの品種、糖度、酸度、香味等にどのような影響を与えているかなど、人的要因としては、ぶどうの栽培方法の改良等がどのようにその産地のぶどう酒の特性を形成しているかなどについて、合理的に説明できることが必要である。
 単にその産地内で収穫されるぶどうを原料としているだけでは、産地に主として帰せられる特性とは言えない。
(ロ) 清酒
 自然的要因としては、当該産地の地質等が醸造用水の水質(硬度)にどのような影響を与えているか、気象条件がもろみの発酵温度にどのように影響を与えているかなど、人的要因としては、当該産地で開発された酵母の使用や、杜氏による伝承技術がどのように清酒の特性を形成しているかなどについて、合理的に説明できることが必要である。
 単に他の地域から高品質な品種の米を購入して原料としているだけでは、産地に主として帰せられる特性とは言えない。
(ハ) 蒸留酒
 自然的要因としては、当該産地の気候や地理的条件等に適した原料・製法が特性に与えている影響など、人的要因としては、他と区別される原料・製法(蒸留技術、貯蔵技術等)が伝承し、その原料を発酵させ蒸留した香味やその後の熟成により生み出された香味が、どのように蒸留酒の特性を形成しているかなどについて、合理的に説明できることが必要である。
 単に他の地域とは異なる珍しい原料を使用しているだけでは、産地に主として帰せられる特性とは言えない。
ハ 産地の範囲について
上記の基本的な考え方に鑑みれば、産地の範囲は、酒類の特性に鑑み必要十分な範囲である必要があり、過大や過小であってはならない。
(注) 産地の範囲については、原則として行政区画(都道府県、市町村(地方自治法(昭和22年法律第67号)第281条に定める特別区を含む。以下同じ。))、郡、区、市町村内の町又は字等の区分によることとし、それらによる区分が困難な場合には、経緯度、道路や河川等により明確に線引きできる必要がある。

(3) 酒類の原料・製法等が明確であること
原料・製法等が明確であるとは、酒類区分ごとに示した次の項目について、明確に示すことができることをいう。
なお、次に掲げる項目以外の項目についても、酒類の特性を明確にする観点から産地が自主的に定めることができる。

イ ぶどう酒
(イ) 原料
 産地内で収穫されたぶどうを85%以上使用していること
 酒類の特性上、原料とするぶどうの品種を適切に特定し、品種ごとのぶどうの糖度の範囲を適切に設定すること
 原料として水を使用していないこと
 原則として、ブランデーやアルコール等を加えていないこと
(ロ) 製法
 産地内で醸造が行われていること
 酒類の特性上、製造工程において貯蔵が必要なものについては、産地内で貯蔵が行われていること
 糖類及び香味料を加えること(補糖・甘味化)を認めること又は認めないことを示していること。認める場合については、加えることのできる糖類及び香味料の量を適切に設定すること
 酸類を加えること(補酸)を認めること又は認めないことを示していること。認める場合については、加えることのできる酸の量を適切に設定すること
 除酸することを認めること又は認めないことを示していること。認める場合については、減ずることのできる酸の量を適切に設定すること
 総亜硫酸の重量を、ぶどう酒1キログラム当たり350ミリグラム以下の範囲で設定すること
(注) 補糖・甘味化、補酸、除酸及び総亜硫酸の値の設定に当たっては、地域の気候・風土やぶどう品種を勘案し、過大なものであってはならない。
(ハ) 製品
 「果実酒等の製法品質表示基準」に規定する「日本ワイン」であること
 アルコール分について適切に設定すること
 総酸の値を適切に設定していること
 揮発酸の値を適切に設定していること
ロ 清酒
(イ) 原料
 原料の米及び米こうじとして、日本国で収穫された米を使用していること
 産地内で採水した水を使用していること
 米、米こうじ及び水以外の原料の使用を認める場合には、使用することのできる当該原料の重量の上限値を設定すること
(注) 一般的に、米、米こうじ及び水以外の原料の使用量は少ない方が酒類と産地との繋がりが明確になると考えられる。
(ロ) 製法
 産地内で醸造が行われていること
 酒類の特性上、製造工程において貯蔵が必要なものについては、産地内で貯蔵が行われていること
ハ 蒸留酒
(イ) 原料
 酒類の特性上、必要な原料が明確であること
(ロ) 製法
 産地内で原料の発酵及び蒸留が行われていること
 酒類の特性上、製造工程において貯蔵が必要なものについては、産地内で貯蔵が行われていること
 酒類の特性上、必要な製法が明確であること
(注) 蒸留酒においては、原料・製法がその酒類の特性を決定する特に重要な要素であり、明確に説明されていることが必要である。
ニ その他の酒類
(イ) 原料
 酒類の特性上、必要な原料が明確であること
(ロ) 製法
 産地内で主要な製造工程が行われていること
 酒類の特性上、必要な製法が明確であること
2 その酒類の特性を維持するための管理が行われていること

地理的表示として指定するためには、その産地の自主的な取組みにより、酒類の特性を維持するための確実な管理が行われていることが必要である。
「酒類の特性を維持するための管理」が行われていると認めるためには、一定の基準を満たす管理機関が設置されており、地理的表示を使用する酒類が、
1 生産基準で示す酒類の特性を有していること
2 生産基準で示す原料・製法に準拠して製造されていること
について、管理機関により継続的に確認が行われていることをいう。
(注) 生産基準で示す原料・製法等が酒税法その他の法令の規定により明瞭であり、かつ、国税庁が行う検査等により酒類の特性が継続的に管理されている場合については、管理機関による継続的な確認と同様の管理が行われているものとして認めることができる。

(1) 管理機関の構成等

 管理機関は、次に掲げる基準を満たしている団体である必要がある。
イ 主たる構成員が地域内の酒類製造業者であること
ロ 代表者又は管理人の定めがあること
ハ 構成員は任意に加入し、又は脱退することができること
ニ 管理機関が実施する業務について、構成員でない酒類製造業者も利用できること
ホ 管理機関の組織としての根拠法、法人格の有無は問わないが、特定の酒類製造業者が組織の意思決定に関する議決権の50%超を有していないこと
(2) 管理機関の業務

 管理機関は、次に掲げる業務を実施している必要がある。
 なお、管理機関は、業務実施要領を作成し、構成員に配付するとともに、主たる事務所に備えて置く必要がある。
イ 地理的表示を使用する酒類が、生産基準のうち酒類の特性に関する事項及び原料・製法に関する事項に適合していることの確認(以下「確認業務」という。)
ロ 消費者からの問い合わせ窓口
ハ 地理的表示の使用状況の把握、管理
ニ 国税当局からの求めに応じて、業務に関する資料及び情報を提供すること
ホ その他イからニまでに付随する業務
(3) 確認業務の実施方法等

イ 実施方法
 確認業務は書類等の確認により行うほか、理化学分析及び官能検査により行うものであり、業務実施要領において、酒類の特性に関する事項及び原料・製法に関する事項ごとに、個々の酒類の特性に応じた確認方法、確認時期や頻度等を設定する必要がある。
(イ) 酒類の特性に関する事項の確認
 酒類の特性に関する事項の確認は、理化学分析及び官能検査により行うものとする。
 管理機関が直接実施する理化学分析等の他、酒類の製造業者に実施を義務付ける理化学分析等がある場合には、業務実施要領にその旨を規定する。
 また、ぶどう酒及び清酒については、地理的表示を付した酒類の出荷前に、酒類の特性に関する事項について、管理機関が確認を行うことが必要である。
 なお、理化学分析及び官能検査について管理機関が他の機関に委託して実施することとして差し支えない。
(注) 蒸留酒については、原料・製法がその酒類の特性の特に重要な要素であるため、管理機関が確認業務のうち酒類の特性に関する事項の確認を実施していない場合でも、管理が行われているとして取り扱う。
(ロ) 原料・製法に関する事項の確認
 原料・製法に関する事項の確認は、書類等の確認及び理化学分析により行うものとする。
 管理機関が書類等の確認を行うため、所定の記帳等を酒類の製造業者に義務付ける場合には、業務実施要領にその旨を規定する。
 なお、書類等の確認による原料・製法に関する事項の確認については、最低でも年1回は実施する。
ロ 理化学分析
 理化学分析については、あらかじめ定めた成分の基準に合致しているかを確認するために行い、公定法又は公定法に準ずる方法により製品ロットごとに行う。
ハ 官能検査
 官能検査では、酒類の特性としてあらかじめ定めた官能的要素に合致していないような明らかな欠点が無いことを確認する。確認に当たっては、あらかじめ業務実施要領に審査基準を定めた上で実施する。
第2節 その他の指定に関する留意事項

1 酒類製造業者の同意について

地理的表示の指定に当たっては、原則として産地の範囲に当該酒類の品目の製造場を有する全ての酒類製造業者が、適切な情報や説明を受けた上で、地理的表示として指定することについて反対していないことが確認できた場合に行う。

2 産地の範囲の重複について

同一の酒類区分における産地の範囲の重複については、原則として、次に掲げる場合にのみ認めることとする。
(1) ある地理的表示の産地の範囲内に包含される狭い範囲の地理的表示を指定する場合には、その生産基準が広い範囲の地理的表示の生産基準をすべて満たした上で、その産地に主として帰せられる酒類の特性を明確にしていること。
(2) ある地理的表示の産地の範囲を包含する、より広い範囲の地理的表示を指定する場合には、狭い範囲の地理的表示の生産基準を踏まえた内容であること。
(注) 上記(1)、(2)によりがたい場合には、既存の地理的表示の産地の範囲から狭い産地の範囲を除くなど、地理的表示の範囲が重ならない形で指定することとする。

3 酒類の品目について

地理的表示を使用することとなる酒類の「酒類の品目」については、酒税法第3条((定義))第7号から第23号までに掲げる酒類の区分に従って定める必要があり、当該酒類が複数の酒類の区分に該当する場合には、その全てを定めることができる。
ただし、原則として酒類区分を異にする酒類の品目については定めることができない。
なお、当該定めた「酒類の品目」以外の酒類の品目に係る酒類に地理的表示を使用した場合は、生産基準を満たしていないとして違反表示となることに留意する。

4 地理的表示の名称について

(1) 保護すべき地理的表示の名称が複数存在する場合は、その全てを名称として指定することができる。
(2) 指定しようとする地理的表示が、既に指定されている地理的表示の名称と同一の名称である場合は、相互に区別することができる名称とする必要がある。
(3) 地理的表示の名称は、原則として地名(産地名)である必要がある。
 地名(産地名)には行政区画(都道府県、市町村)、郡、区、市町村内の町又は字等の名称のほか、社会通念上、特定の地域を指す名称(例えば旧地名)として一般的に熟知されている名称が含まれる。
 なお、その名称が日本国において特定の場所、地域又は国を産地とする酒類を指し示す名称であれば、地名(産地名)でなくとも地理的表示の名称とすることができる。
5 管理機関について

(1) 管理機関が第2章第1節第2項の(1)で規定する基準を満たしている団体であることについては、管理機関の定款その他の基本約款により確認できる必要があることに留意する。
(2) 管理機関が第2章第1節第2項の(2)で規定する業務を実施していることについては、業務実施要領により確認できる必要があることに留意する。
第3章 地理的表示に関する手続き

第1節 地理的表示の指定手続き

1 酒類の産地からの申立てについて

(1) 地理的表示の指定は、原則として、酒類の産地からの申立てに基づき行う。
(注) 産地からの申立てによらず地理的表示を指定する場合は、国税庁長官が生産基準、産地の範囲及び名称を第2章で規定する「地理的表示の指定に係る指針」に準じて定め、酒類製造業者等の意見及び表示基準第7項の意見を勘案した上で行う。

(2) 地理的表示の指定を希望する酒類製造業者及び酒類製造業者を主たる構成員とする団体は、その酒類に関する生産基準、名称及び産地の範囲について、当該産地の範囲に当該酒類区分に係る製造場を有する全ての酒類製造業者と協議した上で、当該産地の範囲を所管する国税局長(沖縄国税事務所長を含む。以下同じ。)を通じて国税庁長官に、「地理的表示の指定に係る申立書」(様式1)により地理的表示の指定に係る申立てを行うことができる。
(3) 産地の範囲が日本国以外の世界貿易機関の加盟国にある場合において、表示基準第1項第3号イに掲げる地理的表示として指定を希望する者は、その酒類に関する生産基準、名称及び産地の範囲を取りまとめ、「地理的表示の指定に係る申立書」(様式1)により日本語で国税庁長官に地理的表示の指定に係る申立てを行うことができる。
(4) 申立てに当たっては、第2章で規定する「地理的表示の指定に係る指針」を踏まえて、申立書に必要な情報を記載するものとする。
(注) 表示基準第2項の指定は、申立者に対して行政手続法第2条第1項第2号に規定する処分として行うものではないから、申立ては同法第2条第1項第3号に規定する申請ではないことに留意する。

2 申立て内容の確認について

申立てを受けた国税局長は、地理的表示の指定をすることについて当該産地の範囲(必要に応じて当該産地近隣)の酒類製造業者等からの意見聴取、現地調査等を行った上で、申立て内容が第2章で規定する「地理的表示の指定に係る指針」を踏まえた適切なものであるか否かを確認する。
申立て内容が適切であることが確認できた場合には、酒類区分、表示基準第3項に該当しないこと及び地理的表示の指定により使用できなくなる当該酒類の商標その他の表示のうち、引き続きその使用を認めるべき商標等の存在について確認し、申立て内容と合わせて国税庁長官に報告する。
(注1) 地理的表示の指定により、その産地の酒類のうち一定の要件を満たした酒類だけが独占的に産地名を名乗ることができることとなるため、要件を満たさない酒類を製造している酒類製造業者は、産地名が名乗れなくなることにより事業活動に影響が生じる可能性がある。
 また、酒類販売業者が行う広告における表示や店頭での販売促進のための表示等においても、適切に地理的表示の名称を表示した酒類のみ当該名称を名乗って販売することができることとなるため、事業活動に影響が生じる可能性がある。
 したがって、地理的表示の指定は、原則として産地の範囲に当該酒類の品目の製造場を有する全ての酒類製造業者が、適切な情報や説明を受けた上で、地理的表示の指定に反対していないことを確認できた場合に行うこととしており、また、当該産地の範囲の酒類販売業者からの意見聴取も必要としていることに留意する。
(注2) 地理的表示の指定により使用できなくなる当該酒類の商標その他の表示のうち、引き続きその使用を認めるべき商標等は、必要最小限の範囲で認めることとする。
 なお、登録商標については、表示基準第10項第2号の規定により引き続き使用ができることに留意する。
(注3) 第1節第1項の(2)により申立てを受けた国税庁長官は、当該規定に準じて申立て内容の確認を行う。
3 生産基準等について

国税庁長官は、国税局長からの報告内容及び関係書類を精査した上で、次に掲げる事項を踏まえ、表示基準第2項で規定する生産基準、名称、産地の範囲及び酒類区分を定める。
(1) 生産基準等を定めるに当たっては、申立書の内容を含め、産地の事業者団体等の意見を十分に勘案する。
(2) 生産基準のうち「酒類の特性を維持するための管理に関する事項」においては、原則として、次の事項を定める必要があることに留意する。
イ 指定しようとする地理的表示に係る管理機関の名称及び主たる事務所の所在地
ロ 地理的表示の名称を使用するためには、当該使用する酒類の出荷前に管理機関による酒類の特性の確認を受ける必要があるとする場合にはその旨
(3) 指定しようとする地理的表示について、表示基準第11項で規定する「地理的表示であることを明らかにする表示」を適用しないこととする場合については、名称においてその旨を定める必要があることに留意する。
4 地理的表示の指定等に係る意見募集について

表示基準第7項による一般の意見募集を実施する。
一般の意見募集は、行政手続法第39条に基づく意見公募手続として実施し、少なくとも30日間行う。
なお、意見募集に当たっては、地理的表示の名称について、表示基準第9項に基づきその翻訳も保護の対象となる旨を併せて示す必要があることに留意する。

5 地理的表示の指定について

(1) 公告
 国税庁長官は、一般の意見募集の結果を踏まえ、地理的表示として指定することが適当であると認める場合には、地理的表示の指定を行う。
 地理的表示の指定に当たっては、表示基準第8項の規定に基づき、指定する地理的表示の名称、産地の範囲及び酒類区分について官報に公告する。この際、指定する地理的表示の生産基準については、国税庁ホームページに掲載する旨を併せて官報に公告する。
 また、指定した地理的表示の生産基準及び表示基準第10項3号の規定により表示基準第9項の規定を適用しないものとする商標その他の表示を国税庁ホームページに掲載し、公衆の縦覧に供する。
(2) 地理的表示として指定することが適当でない場合について
 国税庁長官は、一般の意見募集の結果を踏まえ、地理的表示として指定することが適当でないと認める場合については、地理的表示の指定を行わない。
 なお、当該指定手続きが酒類の産地からの申立てに基づき開始されたものである場合については、当該申立てを行った者に対して、第1節第2項により報告を行った国税局長を通じて地理的表示として指定することが適当でない理由を伝達する。
(注) 当該伝達は、その時点において地理的表示の指定が困難であったことを示すものに過ぎないから、地理的表示として指定することが適当でない理由が解消された場合には、改めて地理的表示の指定の検討を行うことができることに留意する。

第2節 その他の手続き

1 地理的表示の変更手続き

(1) 地理的表示の変更は、法令改正又は他の地理的表示の指定に起因する変更の場合を除き、当該地理的表示の管理機関からの申立てに基づき行う。
(2) 地理的表示の変更を希望する当該地理的表示の管理機関は、当該産地の範囲を所管する国税局長を通じて国税庁長官(産地の範囲が日本国以外の世界貿易機関の加盟国にある場合においては、国税庁長官。)に、「地理的表示の指定の変更に係る申立書」(様式2)により地理的表示の変更に係る申立てを行うことができる。
(3) 地理的表示の変更に係る申立てを受けた国税局長は、第1節第2項の規定に準じて申立て内容の確認等を行い、その結果を国税庁長官に報告する。
(4) 国税庁長官は、国税局長からの報告内容を精査した上で、変更が適当であると認める場合には、表示基準第2項で規定する生産基準、名称、産地の範囲及び酒類区分の変更を行う。
(5) 地理的表示の変更に当たっては、表示基準第8項の規定に基づき、変更する地理的表示の名称、産地の範囲及び酒類区分について官報に公告する。この際、指定する地理的表示の生産基準については、国税庁ホームページに掲載する旨を併せて官報に公告する。
 また、変更した地理的表示の生産基準を国税庁ホームページに掲載し、公衆の縦覧に供する。
(6) 地理的表示の変更が適当でないと認める場合であって、当該変更手続きが管理機関からの申立てに基づき開始されたものである場合については、(3)により報告を行った国税局長を通じて、地理的表示の変更が適当でない理由を伝達する。
2 地理的表示の指定の取消しを求める申立て手続き

(1) 第1章第6項の(3)の規定による申立ては、取消しを求める地理的表示の産地の範囲を所管する国税局長を通じて、国税庁長官に対して「地理的表示の指定の取消しに係る申立書」(様式3)により行うことができる。
(2) 申立てを受けた国税局長は、取消しを求める理由について、当該地理的表示の管理機関、当該産地の範囲(必要に応じて当該産地近隣)の酒類製造業者等からの意見を踏まえた上で事実関係の確認を行い、その結果を国税庁長官に報告する。
(3) 国税庁長官は、国税局長からの報告内容を精査した上で、当該理由が表示基準第4項で規定する事由に該当すると認めた場合には、地理的表示の指定を取り消す。
 地理的表示の指定の取消しに当たっては、表示基準第8項の規定に基づき、取消した旨を官報に公告する。
(注) 地理的表示の指定の取消しを求める申立てによらず地理的表示の指定を取り消す場合は、国税庁長官が当該地理的表示の管理機関、当該産地の範囲(必要に応じて当該産地近隣)の酒類製造業者等からの意見を踏まえた上で、表示基準第4項で規定する事由に該当している場合に行うものとする。

3 地理的表示を保護しないことを求める申立て手続き

第1章第6項の(4)の規定による申立ては、国税庁長官に対して「地理的表示の保護をしないことを求める申立書」(様式4)により行うことができる。
申立てを受けた国税庁長官は、地理的表示を保護しないことを求める理由について、当該地理的表示の産地の範囲がある国等の関係者の意見を踏まえた上で精査を行い、当該理由が表示基準第10項第8号で規定する事由に該当すると認めた場合には、当該地理的表示を保護しないこととし、その旨を官報に公告する。
また、当該地理的表示を保護しないことを国税庁ホームページに掲載し、公衆の縦覧に供する。

4 地理的表示の保護の申立て手続き

第1章第9項の(4)の規定による申立ては、税務署長に対して「地理的表示の保護を求める申立書」(様式5)により行うことができる。
申立てを受けた税務署長は、当該申立て内容を国税局長を通じて国税庁長官に連絡した上で、酒類業組合法第91条(質問検査権)に基づく調査を実施する。
調査が終了した場合には、調査結果等を国税局長を通じて国税庁長官に連絡する。
(注) 調査結果等については、申立てを行った者に対して回答しないことに留意する。

税法と商標権 vol.2 印紙税と登録免許税

契約と印紙税

商標権譲渡契約書の印紙税

商標権を譲渡する場合には契約書に印紙を貼付(印紙税)しなければなりません。税法上、契約書とは契約証書、協定書、約定書、覚書その他名称のいかんを問わず、契約の当事者の間において、契約(その予約を含みます。)の成立、更改、内容の変更や補充の事実(以下、これらを「契約の成立等」といいます。)を証明する目的で作成される文書をいいます。ライセンス料のうち消費税額分は印紙税の対象金額に含めないこととされていますので、商標権の「譲渡対価」と消費税金額を区分して契約書に記載することが望まれます。契約書に貼付する印紙の額は次のとおりです。

印紙税額(平成 28 年5月現在)
不動産、鉱業権、無体財産権、船舶若しくは航空機又は営業の譲渡に関する契約書
(注) 無体財産権とは、特許権、実用新案権、商標権、意匠権、回路配置利用権、育成者権、商号及び著作権をいいます。

記載された契約金額が
1万円以上 10万円以下のもの 200円
10万円を超え 50万円以下 〃 400円
50万円を超え 100万円以下 〃 1千円
100万円を超え 500万円以下 〃 2千円
500万円を超え1千万円以下 〃 1万円
1千万円を超え5千万円以下 〃 2万円
5千万円を超え 1億円以下 〃 6万円
1億円を超え 5億円以下 〃 10万円
5億円を超え 10億円以下 〃 20万円
10億円を超え 50億円以下 〃 40万円
50億円を超えるもの 60万円
契約金額の記載のないもの 200円

Accounting & Tax
Accounting & Tax

商標登録を受ける権利の譲渡契約書の印紙税

商標登録を受ける権利(出願権)の譲渡を約することを内容とする文書は、商標権そのものの譲渡を約することを内容とするものではないから、課税文書に該当しないと解釈され、印紙税はありません。

商標権の使用権の設定契約書の印紙税

商標権の専用使用権の設定や通常使用権の許諾を内容とする文書は、商標権そのものの譲渡を約することを内容とするものでありませんので、課税文書に該当しないと解釈され、印紙税はありません。

外国人との譲渡契約

商標権の譲渡契約の一方が外国法人や外国人で他方が日本法人や日本人である場合に、印紙税が必要か否かについては、課税文書である譲渡証書若しくは契約書の作成が国外で行われるか、国内で行われるかによって、印紙税が必要か否かが分かれます(印紙税法基本通達第49条)。すなわち契約書等の作成が国外の場合、印紙税は不要で、他方、契約書等の作成が国内の場合、印紙税が必要です。ここで契約書等の作成とは、譲渡証書若しくは契約書の文章の作成を意味するのではなく、契約当事者の合意がなされること(印鑑の押印若しくは署名の記載)を契約書等の作成としています。従いまして、商標権の譲渡契約の契約書(両当事者の記名)では、当事者双方の印鑑若しくは署名が揃った場所が国内ならば課税となり、譲渡証書のように登録義務者(譲渡人)の印鑑若しくは署名で済む場合は、その登録義務者(譲渡人)の住所、居所が国内であれば課税となります。一方、外国に住所のある外国法人から日本法人に商標を譲渡する譲渡証書では、登録義務者(譲渡人)である外国法人の署名で譲渡証書が足りますので、そのような譲渡証書には印紙は不要となります。

契約書や領収書と印紙税、14:26、国税庁動画チャンネル

登録免許税

商標権の登録手続の登録免許税

商標権の登録手続きには所定の登録免許税がかかります。登録免許税は特許印紙ではなく収入印紙を申請書に貼付して支払います。これらは基本的に特許庁の登録原簿に対する手続になります。
a)商標権の一般承継・・・3000円/件
b)商標権の譲渡・・・30,000円/件
c)専用使用権の設定・・・30,000円/件
d)質権の設定・・・債権額の1000分の4
一般承継は相続又は”法人の合併”による移転を指します。詳しくは、商標権の移転手続の解説のページを参照して下さい。

税法と商標権 vol.1 会計処理のページ

【広告】 有明国際特許事務所では、弁理士と米国弁護士資格の資格により特許庁(JPO)と米国特許商標庁(USPTO)にそれぞれ直接手続を致します。

日本ワインという選択 国税庁 商標_動画 (リンク)

2018年秋(平成30 年10 月30 日)から国産ワインの表示について新しいルール(果実酒等の製法品質表示基準)が導入され、国産のぶどうを使ったワインだけが日本ワインと表示できます。国内製造ワインは日本ワインを含み、濃縮果汁などの海外原料を使用したワインも日本で製造さえていれば含まれますが、表ラベルに、濃縮果汁使用や輸入ワイン使用などの表示が義務付けられ、地名や品種等の表示ができないことになります。(酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律第86 条の6第1項の規定

日本酒ブランド関連 商標_動画(リンク)

1.日本産酒類の魅力とは 国税庁動画チャンネル、12:08

2.「日本酒」名乗れるのは「国産米に国内の水」に限る(15/06/09)、0:44

3.「辛口」「特撰」も・・・韓国の日本酒商標騒動が収拾(12/06/20)、0:48

4.日本酒の多様な味わい紹介 ソウルで海外最大規模、共同通信社、1:00

税法と商標権 vol.1 会計処理

商標権は無形固定資産

商標権は税法上、識別可能な資産のうち物理的実体を欠く無形固定資産とされ、貸借対照表の資産の部に計上されます。無形固定資産については、通常定額法で減価償却を行います。すなわち、無形固定資産は、資産計上後毎期均等額ずつ償却され、償却額を控除した残額が貸借対照表の無形固定資産の期末値となります。商標権を取得した場合、権利発生後に途中で他人から譲渡された場合を除いて、その償却期間は10年で、残存価額が0円となるように処理します。商標権とのれんは、厳密には区別される権利で、のれんの方は20年以内の一定期間で(定額)償却が求められます。

Accounting & Tax
Accounting & Tax

商標権の取得価額

取得価額の原則

購入した資産の取得価額は、次の金額の合計額です(法人税法施行令54条➀)。
1.購入の代価(引取運賃、荷役費、運送保険料、購入手数料、関税その他当該資産の購入のために要した費用がある場合には、その費用を加算した額)
2.当該資産を事業の用に供するため直接に要した費用の額
例えば、商標権を他人から有償で譲受したときは、その取得費用や付随する費用を定額法で減価償却を行うようにします。法人が他から出願権を有償で譲渡された場合も未償却残額に相当する金額が取得価額とされます。

法人税法基本通達7-3-15(出願権を取得するための費用)
“法人が他から出願権(工業所有権に関し特許又は登録を受ける権利をいう。)を取得した場合のその取得の対価については、無形固定資産に準じて当該出願権の目的たる工業所有権の耐用年数により償却することができるが、その出願により工業所有権の登録があったときは、当該出願権の未償却残額(工業所有権を取得するために要した費用があるときは、その費用の額を加算した金額)に相当する金額を当該工業所有権の取得価額とする。(昭46年直審(法)21「4」により改正)”

取得価額に算入しないことができる費用

法人税基本通達7-3-3の2(固定資産の取得価額に算入しないことができる費用の例示)。次に掲げるような費用の額は、たとえ固定資産の取得に関連して支出するものであっても、これを固定資産の取得価額に算入しないことができます。
(1)次に掲げるような租税公課等の額
イ 不動産取得税又は自動車取得税
ロ 特別土地保有税のうち土地の取得に対して課されるもの
ハ 新増設に係る事業所税
ニ 登録免許税その他登記又は登録のために要する費用

法人税法基本通達7-3-3の2から、登録費用(印紙代及び弁理士への成功報酬並びに登録手数料)は、上記ニに該当すると考えられるため、商標権の取得価額に算入しなくてもよいと考えられます。また、出願費用(印紙代)、弁理士 への出願代理手数料も、実務上、損金の額とすることが容認されています。言い換えれば、通常の商標登録出願及びその登録手続で特許事務所から出される請求書に含まれる費用は勘定科目として取得価額に算入しないことができる費用にすることが可能です。一方、ロゴの作成のために支払ったデザイナーへの外注費用、商標権の取得の可能性を調べるための商標調査費用は、登録のために要する費用とならず、取得価額に含まれるものと考えられます。また、早期審査費用や意見書、補正書は登録のためにかかる弁理士費用ですので、固定資産の取得価額に算入しないことができるものと考えられます。自己創成にかかる商標権の場合、取得価額に算入されるのは、例えばデザイン料や調査料であり比較的に高額なデザイン料でなければ10万円以下に収まると思いますので、少額の減価償却資産として一括損金処理が可能と思います。

少額減価償却資産

取得価額が10万円未満の少額の減価償却資産は、事業の用に供した事業年度においてその取得価額の全額を損金経理している場合に、損金の額に算入することができます。また、取得価額が20万円未満の減価償却資産については、各事業年度ごとに、その全部又は一部の合計額を一括し、これを3年間で償却する一括償却資産の損金算入の規定を選択することができます。さらに、中小企業者等が、取得価額が30万円未満である減価償却資産を平成18年4月1日から平成30年3月31日までの間に取得などして事業の用に供した場合には、一定の要件のもとに、その取得価額に相当する金額を損金の額に算入することができます。詳しくは中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例のページへ。

featherpen00

商標権の譲渡

譲渡所得

特許権や商標権などの無体財産権の譲渡も資産の譲渡に該当しますので、資産を売ったときの譲渡所得は、給与所得や事業所得などの所得と合わせて総合課税の対象となります。総合課税の譲渡所得は、取得したときから売ったときまでの所有期間によって長期と短期の二つに分かれますが、自分が研究して取得した特許権や実用新案権などの工業所有権が所有期間が5年以内の場合でも長期譲渡所得となりますので、商標権も長期譲渡所得に該当すると思われます。長期譲渡所得の金額はその2分の1が総合課税の対象になります。また、法人についても、各事業年度の所得の金額は、当該事業年度の益金の額から当該事業年度の損金の額を控除した金額とされます。

収益の帰属の時期

法人税法基本通達2-1-16(工業所有権等の譲渡等による収益の帰属の時期)
“工業所有権等(特許権、実用新案権、意匠権及び商標権並びにこれらの権利に係る出願権及び実施権をいう。以下この節において同じ。)の譲渡又は実施権の設定により受ける対価(使用料を除く。以下2-1-16において同じ。)の額は、原則としてその譲渡又は設定に関する契約の効力発生の日の属する事業年度の益金の額に算入する。ただし、その譲渡又は設定の効力が登録により生ずることとなっている場合において、法人がその登録の日の属する事業年度の益金の額に算入しているときは、これを認める。(昭55年直法2-8「六」により追加)
(注) その対価の額がその契約の効力発生の日以後一定期間内に支払を受けるべき使用料の額に充当されることとなっている場合であっても、当該事業年度終了の日においていまだ使用料の額に充当されていない部分の金額を前受金等として繰り延べることはできないことに留意する。”

法人の受贈益

法人が、他から資産を贈与された場合は、資産を時価でもらったことになり、その資産の時価が受贈益となります。法人が、他から資産を低額譲渡された場合は、資産の取得価額は時価となり、その資産の時価から売買価格を差し引いた金額が受贈益となります。受贈益には、原則として法人税がかかります。

消費税

国内において事業者が事業として対価を得て行う資産の譲渡は、消費税の課税の対象となります。この資産とは、販売用の商品、事業等に用いている建物、機械、備品などの有形資産のほか、特許権、実用新案権、意匠権、商標権などの権利やノウハウその他の無体財産権など、およそ取引の対象となるすべてのものをいいます。

使用料

商標権についてライセンス契約をした場合、その使用料については、ライセンサー(使用許諾者)が国内居住者と非居住者で扱いが異なることになります。まず、ライセンサーが国内居住者の場合、受け取るライセンス料には消費税がかかります。従って、契約書には税額も明記することが望まれます。ライセンサーが非居住者の場合、受け取るライセンス料には消費税がかかりません。しかし、ライセンサーが非居住者の場合、ランセンシー(使用権者)は源泉徴収(基本20%、非居住者の国が租税条約締約国の場合10%)を行って管轄税務署への支払いが必要となります。

法人税法基本通達 2-1-30(工業所有権等の使用料の帰属の時期)
“工業所有権等又はノウハウを他の者に使用させたことにより支払を受ける使用料の額は、その額が確定した日の属する事業年度の益金の額に算入する。ただし、法人が継続して契約により当該使用料の額の支払を受けることとなっている日の属する事業年度の益金の額に算入している場合には、これを認める。(昭55年直法2-8「六」により追加)”

商標権侵害を理由に受け取った損害賠償金が権利の使用料に相当する場合は、通常の権利使用料と結果的には同じ効果があるため、消費税がかかる課税取引になります。

更新登録の費用

更新登録の費用も商標権取得時の費用に準じて考えることができます。特許庁に納付すべき更新登録料(印紙代)は、取得時と同じく、登録免許税や登記または登録のために要した費用として、取得価額に算入せずに損金とすることができます。また、弁理士への更新登録の出願代理手数料も損金とすることが容認されています。結果として支出額全額を損金計上できることになります。

米国会計基準でのブランド評価法

知的財産権の評価法としては、一般的な他の資産の評価方法と同様、大きく分類してコスト・アプローチ、マーケット・アプローチ及びインカム・アプローチの三方法が用いられており、特に米国会計基準でのブランド評価法としては、インカム・アプローチのうちのロイヤルティ免除法が多く使用されています。ロイヤルティ免除法の基本的な考え方は、商標権の場合、「評価対象の商標権の所有者が、その使用は第三者より使用許諾されているものと仮定した場合に、当該第三者に対して支払うことが想定される使用料を、類似するライセンス契約から推定する」方法とされています。例えば、販売計画をもとに、仮に対象商品を販売するために必要な商標=ブランドをを保有していない場合に支払わなければならないロイヤルティ(使用権料)の見積額を算定し、評価対象期間内で当該金額の現在価値を算出することにより商標権の価値を検討します。

減損会計

減損会計とは、資産の収益性が低下して投資額の回収が見込めなくなった場合、当該資産の帳簿価額にその価値の下落を反映させる手続です。減損会計は、有形固定資産のみならず、無形固定資産においても、商標権や特許権に代表される知的財産権、のれん及び自社利用のソフトウエアなども対象となります。減損処理は、帳簿価額と回収可能価額との差額を当期の損失(減損損失)として処理されるものであり、回収可能価額は、資産または資産グループの正味売却価額と使用価値のいずれか高い方の金額と定義されています。商標の使用を中止して、別ブランドに切り替えることで減損処理することも可能です。

税法と商標権 vol.2 印紙税と登録免許税

【広告】 有明国際特許事務所 では、弁理士と米国弁護士の資格により、特許庁 (JPO)と米国特許商標庁(USPTO)にそれぞれ直接手続できます。