中国商標制度について

  1. 制度概要
  2. どんな商標が出願出来るの?
  3. 審査の流れフローチャート
  4. 台湾・香港・マカオにも権利は及ぶの?
  5. 異議申立の成功可能性について
  6. マドプロと直接出願のメリット・デメリット




・先願主義
・登録主義
・登録日から10年間権利が存続。更に10年毎に権利更新制度あり。
・ライセンス(通常使用権・専用使用権)は中国商標局への届出が必要。
 また、ライセンスの届出も更新申請を行う必要あり。
・不使用取消審判制度有り。早期審査の制度なし。コンセント(同意)制度なし。


制度概要

 中国は日本と同じく先願主義・登録主義を採用しており、商標の申請は中国商標局に行います。中国は2010年12月時点で一出願一区分制を取っており、日本のように多区分をまとめて一つの申請で行うことは出来ず、一区分毎に個別に出願が必要です。また、商標権の権利期間も日本と同じく登録から10年間権利が有効で、存続期間の更新申請を行なうことにより、更に10年毎に権利期間を更新することが可能です。

 中国市場は世界で注目されている重要なマーケットの一つであり、商取引が非常に多く行われることから、中国国内における商標権取得の必要性は高く、商標出願件数は年々増加傾向にあります。中国商標局への出願件数は、2000年の時点では223,177件程だったのが、2009年の時点では830,477件にまで増加しており、非常に多くの商標が申請されていることが特徴です。



(出典:特許庁「中国国家知識産権局(SIPO)の統計情報」より。)
(URL:http://www.jpo.go.jp/shiryou/toukei/pdf/syuyou_toukei/SIPO.pdf

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どんな商標が出願出来るの?

 中国では中国国内で使用されている中国語(簡体字)だけではなく、日本語の漢字・ひらがな・カタカナ、更には世界で広く使用されている欧文字が商標として使用されていることから、中国商標局に申請されている言語も、多種多様な言語で商標申請がなされております。

 日本で一般的に使用している商標が例えば欧文字だった場合であっても、実際に中国で使用される商標の態様が簡体字であることも多く(又は欧文字とは別に簡体字を併記)、この場合には、簡体字についても商標を申請して取得した方が安全だと言われております。

 尚、ひらがな・カタカナは原則として中国では図形として認識されますので、日本で一般的に使用している商標がひらがな・カタカナの場合には、中国で流通する際の商標についてご確認の上、特に簡体字での商標権取得も検討された方が良いと思われます。

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審査の流れフローチャート

 中国では商標出願を行うと、その後一定期間経過後に出願番号通知が届き、そこで初めて出願番号を知ることが出来ます。審査上の特徴的な制度としては、一出願一区分制の他に、主に以下のものが挙げられます。

1)拒絶理由通知はありません

 実体審査の結果、拒絶の理由が発見された場合、日本で言うところの「拒絶理由通知」というものが無く、拒絶の理由はいきなり「拒絶査定」として通知されることになります。「拒絶査定」に反論する場合には、「審判請求(復審請求)」を請求することが出来ます。

2)一部拒絶、一部登録制度あり

 日本では指定商品/役務の「一部」でも拒絶理由が残っている場合には、指定商品/役務の全体が拒絶されてしまいますが、中国では拒絶理由の無い指定商品/役務は登録され、拒絶理由のある指定商品/役務のみが拒絶査定として通知されます。これは「一部拒絶」「一部登録」と呼ばれており、日本には無い制度となります。

3)拒絶査定は熟読が必要

 「一部拒絶査定」と「(全部)拒絶査定」は同様の書面で通知されるため、拒絶査定が出たからといって、日本のようにすべての指定商品/役務が拒絶されたとは限りません。よって、中国では拒絶査定に応答しなくても、一部の指定商品/役務について商標権が発生していることがありますので、「拒絶査定」の内容は熟読することが必要です。



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台湾・香港・マカオにも権利は及ぶの?

 中国で商標権を取得しても、近隣の「台湾」・「香港」・「マカオ」には中国の商標権は及びません。「台湾」・「香港」・「マカオ」はそれぞれ商標出願を審査する官庁があり、もし、これらの国で商標権を取得したいのであれば、それぞれ個別に商標出願をして商標権を取得する必要があります。

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異議申立の成功可能性について

 近年、日本の地名に係る商標が既に中国において商標権を取得されていた、というような話がよくあります。中国における審査においては、「中国国内での認知度」というものが基準となっておりますので、日本の地名に限らず、日本である程度周知・著名な商標であっても、「中国国内」での認知度が高くない場合、中国では簡単に第三者が同じ商標について権利を取得出来る可能性があります。

 現行法では、登録の前に異議申立期間というものがあり、この期間内であれば日本の商標の使用権者が異議申し立てを行うことは可能です。しかし、「中国国内での認知度」を立証するのは容易くなく、異議申立の成功確率はケースバイケースですが、簡単に審査結果が覆るというものでも無いと言われております。

 これを防ぐためには、まず「日本の商標権は日本国内でのみ有効」であることを認識頂いた上で、誰よりも先に中国に商標出願をすることをお勧め致します。中国では日本と同じく、一定期間商標を不使用の場合には取り消される制度(不使用取消審判制度)がございますが、中国が世界における重要なマーケットの一つであることを考えると、実際の事業展開よりも早い段階で中国への商標出願を検討されることをお勧め致します。

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マドプロと直接出願のメリット・デメリット

 中国で商標権を取得する方法として、国際出願(マドプロ出願)と直接中国へ商標出願する2通りの方法がございます。

 中国は、マドプロ加盟国ですので、マドプロを利用して中国で商標権を取得される方も多いように見受けられます。しかしながら、以下のようにマドプロ出願にはメリット・デメリットが存在しますので、取得したい商標に合わせてマドプロ・直接出願とを分けて検討し、適切な出願方法を検討する必要があります。

マドプロのメリット

1)審査が迅速

 マドプロは条約加盟国に対して、当該国への通報から最長で18カ月以内に原則として審査結果を出すよう義務を課しております。このため、中国においても、国際出願からおよそ1年半〜2年程度で審査結果を受け取ることが可能であり、直接出願(審査結果通知まで、出願からおよそ2年半〜3年半程度)と比べて、早く審査結果を得ることが出来ます。

2)費用が安く済む場合がある

 中国に直接出願をした場合には、各区分毎に指定商品/役務の数が10を超えると、11個目以降の指定商品/役務については、個別に追加料金が発生するため、指定商品の数が膨大になった場合、直接出願は余計に費用が発生する可能性があります。一方、マドプロの場合には、そのような追加料金が発生しないこととなっておりますので、マドプロで中国を指定したほうが安く済む可能性があります。

3)更新管理が楽

 中国では一出願一区分制がとられているため、例えば10区分で出願をすると、10個出願番号が付与され、また10個登録商標が生まれることになります。最初の10年間の権利期間の満了日は登録日から起算されるため、10個の登録商標が同じ登録日で登録されれば問題無いのですが、実際の実務においては各出願に対してバラバラに登録日が付与されることが多く、更新の期限管理が日本と比べて10倍大変になる可能性があります。これに対して、マドプロで中国を指定した場合には、多区分制が認められているため、登録日は国際登録日1つに定まり、更新の期限管理も区分の数に関係なく1つで済むため、マドプロのほうが更新管理が楽になります。

マドプロのデメリット

1)指定商品/役務の選定が難しい

 マドプロを利用する場合には、日本での基礎出願(若しくは基礎登録)が必ず必要となるため、日本の商標に係る指定商品/役務を基本として、中国での指定商品/役務の選定をすることが多くなります。
 その結果、例えば、第25類の「被服」には日本では「帽子」が含まれるところ、中国では「帽子」は「被服」の概念に含まれないため、マドプロを利用した結果、中国では「帽子」の権利が取れていなかった、というような事態が生じ得ます。

2)中国商標法について常に情報を仕入れる必要がある

 マドプロを利用した場合、場合によっては一度の拒絶通報もなされず、国際出願からストレートで中国での商標権が発生することがあります。これは大変好ましいことなのですが、言いかえればその権利に関して中国現地代理人が何ら関与していないため、ストレートで登録になった商標権は、日本の出願人が管理をすることになります。
 その結果、例えば10年間の権利存続期間の間に中国商標法の改正があった場合、中国の現地代理人を経由していないため、中国現地代理人から法改正の連絡は無く(通常、マドプロを管理している国際事務局からも法改正の通知は来ません。)、法改正で新たに導入された新制度の存在により、存続期間満了前にいつの間にか商標権が失効している、というような事態が生じ得ます。
(例:米国では存続期間を満了する前であっても、実際に使用している商標についての使用宣誓書の提出を行わない場合、存続期間の満了を待たずに商標権が失効する制度がございます。)

 日本の特許事務所に国際出願を依頼している場合、その事務所が各国の法改正を追いかけている場合にはまだ安心ですが、そうでない場合には出願人が各国の法改正について積極的に情報を仕入れておく必要があります。

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