| 欧州共同体商標(Community Trade Mark) |
- 制度概要
- CTMの長所・短所
- 出願
- 審査
- 異議申立
- 不服申立
- 登録
- 費用
- 保護
- 取消
☆制度概要☆
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欧州共同体商標[Community Trade Mark/CTM]とは、OHIM(欧州共同体商標意匠庁*)における1件の登録で欧州連合(European Union)加盟国全体をカバーする商標権を指します。
CTMは国内の商標権に影響を及ぼしませんので、国内の商標出願登録をすることも、CTMの出願をすることも、両方に出願することもできます。
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※現在のEU加盟国はオーストリア、ベルギー、キプロス、チェコ共和国、デンマーク、エストニア、フィンランド、フランス、ドイツ、ギリシャ、ハンガリー、
アイルランド、イタリア、ラトビア、リトアニア、ルクセンブルグ、マルタ、ポーランド、ポルトガル、スロバキア、スロベニア、スペイン、スウェーデン、オランダ、イギリスです(25カ国[2004年8月現在)。なお、スイス、ロシアとノルウェーは欧州共同体に加盟していません。
*正式には“域内市場における調和のための官庁(商標及び意匠)”[Office for Harmonization in the Internal Market (Trade Marks and Designs)]と呼ばれています。
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CTM出願の際は、出願方法としてOHIMに直接出願をするか、欧州各国の商標庁に出願するかのどちらかを選ぶことができます。出願後に、OHIMによる方式審査と特別顕著性に関する調査が行われ、各国の商標庁による調査が行われます。出願人にはこの調査結果(調査報告書)が送られます。
出願人が調査報告書を受け取ってから少なくても1ヶ月経過後に出願公告がされ、出願公告の日から3ヶ月が異議申立期間となります。異議申立がなかった場合、異議申立が認められなかった場合、或いは異議申立の認容に対する不服申立が認められた場合には、欧州共同体商標が登録されます。手続の流れをフローチャートで示すと以下のようになります。 |
CTMの長所
・単独の出願でEU加盟国全てをカバーする商標権の取得が可能です。また、更新などの手続も一度で済むため、容易な商標管理が実現されます。
・EU加盟国のいずれか一カ国で商標を使用していれば不使用取り消しを免れることができます。
・EU加盟国の多くの国で出願する場合、費用が通常の各国出願より安く済みます。
CTMの短所
・一端拒絶になるとその効力がEU加盟国全部に及んでしまいます。この場合に、拒絶がなかった国については通常の各国出願に切り換えることもできます。
・取り消し、無効についても権利は一体として扱われるので、EUの一カ国においてのみ取り消し、無効が確定した場合。他のEU諸国においても権利が消滅してしまいます。また、国ごとには商標権は譲渡できません。
・相対的拒絶理由の審査がされずに、方式と絶対的拒絶理由の審査だけが行われて登録になります。従って、同一、類似の商標が数多く併存し、異議申し立てをうける危険があります。
Q.保護対象となるのはどのようなものでしょうか?
A.言語(商標出願に係る指定商品、指定役務についての普通名称になっているものを除きます)、人名、署名、文字、数字、頭文字、文字や数字や記号の結合、ロゴ、
スローガン、デザイン、図、絵文字、人の肖像、言葉や図形の結合、サウンドマークが保護対象です。
また、登録を受けるためには@図形で表現されていることA他の企業の商品やサービスと見分けられることの2つの条件を満たすことが必要とされます。
Q.どのような人がCTMを取得できますか?
A.全ての人(自然人&法人)です。
ただし、住所、営業所または現実の生産活動拠点がEU加盟国、パリ条約加盟国、TRIPs協定締約国のいずれかにあることが必要です。
(日本はパリ条約に加盟しているので、日本人、日本企業はこの条件を満たしています。)
Q.出願するとき、代理人は必要でしょうか?
A.EUに住所、営業所または現実の生産活動拠点を持たない人は代理人を通じて手続をしなければなりません。EUに住所、営業所または現実の生産活動拠点を持っている人は自ら手続を行うこともできるし、代理人を通じて手続を行うこともできます。
代理人は共同体商標庁代理人簿に記載されている人でなければなりません。
Q.出願の際に使用できる言語は何語でしょうか?
A.出願の際に使用することができる言語はEUの公用語のいずれかです。
また、第二言語としてOHIMの公用語の公用語(スペイン語、ドイツ語、英語、フランス語、イタリア語)のいずれかを選ぶひつようがあります。
出願の際にOHIMの公用語を使用していたとしても、第二言語を選ばなくてはなりません。この第二言語は出願人が可能な手続言語として受け入れるものです。
異議申立,取消請求手続、無効請求手続は第二言語で行われます。
(出願もOHIMの公用語で行われていた場合、手続をする人は出願の際の言語を使うか第二言語を使うかを選ぶことができます。)
Q.出願方法はどうなりますか?
A.出願方法には@OHIMに直接出願する A各国国内官庁を通じて出願する の2通りがあり、出願人はどちらか好きな方を選ぶことができます。
出願日はOHIMが願書を受理した日または国内官庁が願書を受理した日になります。
なお、OHIMに直接出願する場合、郵送、ファックス、オンラインによる出願方法があります。
Q.出願の際に必要な事項はどのようなものでしょうか?
A.・CTM登録の願書の提出
・出願を特定するための情報の提出
・登録を求める商品、サービスのリストの提出
・OHIM又は国内官庁の願書の受理の日より1ヶ月以内の基礎出願費用(975ユーロ)の支払い
が必要です。
OHIMは方式審査と、絶対的拒絶理由の審査を行います。(相対的拒絶理由の審査は行いません。)
ここでチェックされることは、出願日が認定されているものであるかどうか、願書に必要な事項が記載されているか、必要な料金が支払われているか、です。
Q.出願日の認定要件が欠けていたらどうなるのでしょうか?
A.官庁に受理された日付より遅い日付での出願日が認定されるか、出願が拒絶されるかのどちらかになります。
出願日の認定要件が欠けていた場合、OHIMは2ヶ月以内に欠けている要件を満たすようにという指令を出します。
それにより欠けていた要件が満たされた場合、出願日は要件が満たされた日となります。
出願日が認定された後、既に権利となっている商標、出願中の商標についてOHIMとEU各国官庁が調査をします。
OHIMは先行するCTM登録、CTM出願についてのみ調査を行います。EU各国官庁は先行する国内商標登録、国内商標出願について調査をします。
ただし、ドイツ、フランス、イタリアの商標庁はこの制度を採用していないのでこれらの国で調査はされません。
Q.絶対的無効理由にはどんなものがあるのでしょうか?
A.その商標が
・EUにおいて使用されている言語のいずれかで商品、サービスを標示する一般的な言葉であるとき
・EUにおいて使用されている言語のいずれかで品質、質、量、原産地など商品またはサービスの特徴そのものを指定するものであるとき
・EUかのいずれか一カ国において普通名詞となってしまったものであるとき
は登録を受けることはできません。
また、立体商標の場合でその商標がその商品の形状そのものであるとき、その商標が公序良俗に反するようなものであるときも登録をうけることはできません。
もし、審査にもかかわらずこのような商標が登録されてしまった場合、誰でもOHIMに対して商標の無効審判を請求することができます。
OHIMとEU各国官庁にが調査をしたあと、調査報告書が作成され、出願人に送られます。
この調査報告書はCTM登録の判断をする際の材料となるでしょう。
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出願に絶対的拒絶理由がなく、調査報告書が出願人に送られたあと、出願人が出願を取り下げなければ出願公告がされます。
出願内容がCTM公報に載り、どのような出願がされたのかを知ることができます。
この際、相対的拒絶理由(他人の先行権利との関係における拒絶理由)を主張して異議申し立てを提起することができます。
Q.異議申立の理由はどのようなものとなりますか?
A.先行する登録商標と先行する商標出願です(相対的拒絶理由)。
また、審査の際に見落とされてしまった絶対的拒絶理由も異議申立の理由となります。
Q.異議申立できる人は誰でしょうか?
A.相対的拒絶理由と主張されている商標の所有者のみです。
つまり、異議申立の根拠は自己が所有する商標です。
この際、自己が異議申立の根拠となっている商標の所有者であることを証明する国内官庁が発行した証明書を提出する必要があります。
また、この証明書は異議申立をした際の言語に翻訳されていなければなりません。
Q.異議申立できる期間はいつでしょうか?
A.出願公告の日から3ヶ月以内です。
Q.異議申立する際の言語は?
A.OHIMの公用語になります。実際には、出願の際に選んだ第二言語(OHIMの公用語)になります。
出願にもOHIMの公用語が使われている場合、異議申立人はどちらか好きな方を選べます。
OHIMの公用語以外の言語で異議申立がされた場合、異議申立人はOHIMの公用語のいずれかに翻訳するための期間(1ヶ月)をあたえられます。
Q.異議申立にかかる費用は?
A.350ユーロです。このお金は異議申立をできるのと同じ期間内に払わなければなりません。
Q. クーリングオフ期間とは何でしょうか?
A.異議申立があった場合、その旨が出願人に通知されます。
この通知があった後の2ヶ月間がクーリングオフ期間となります。
この間、両当事者の間には対立関係はまだ発生していません。
この期間に話し合いをし、和解することもできます。
和解により異議申立に決着をつけた場合、両当事者どちらも費用を払う必要がないという利点があります。
(異議申立人が払ったお金は払い戻されます。)
Q.異議申立を受けたとき、出願人が取りうる手段はどうなりますか?
A.補正、和解、各国出願への変更、異議申立人に対する真正なる使用の立証の請求といった手段があります。
※CTMRにより、商標の登録後5年間は商標を市場において現実に正しく使用する義務を商標権者は負います。
なので、出願人は異議申立の根拠となっている商標の使用の証明の提出を求めることができます。
Q.使用の証明として提出できるものは何でしょうか?
A.証拠は場所、時、範囲、どれが登録されていてどれに異議申立が基づいているのかという観点から、異議申立商標の商品、役務への使用形態を含むものでなければなりません。たとえば、パッケージ、ラベル、価格表、カタログ、請求書、写真、新聞広告を提出することができます。
異議申立の認容決定、拒絶決定に対して、不服を申し立てることができます。
Q.不服申立をできる期間は?
A.決定の通知がされた日から2ヶ月以内です。この期間内にOHIMに書面を提出し、不服申立をします。
不服申立費が支払われるまでは不服申立がされたとみなされません。
この期間は延長されないので注意が必要です。
Q.不服申立にいくらかかるのでしょうか?
A.不服申立費として800ユーロかかります。
Q.不服申立の際使う言語は何ですか?
A.不服申立の対象となっている決定に使用されている言語になります。
Q.不服申立書に記載する事項は?
A.不服申立人の氏名および住所、どこで代理人を任命したかと代理人の氏名及び住所、
争われている決定を特定する説明書、決定の修正や取消を求める範囲、
不服申立のための費用の支払いの詳細、不服申立人と代理人の署名、になります。
不服申立にその理由が含まれていなかった場合、理由に関する記載は、争われている決定の通知の日から
4ヶ月以内に理由を記した書面を提出しなければなりません。
不服申立書の記載は簡潔かつ申立人の主張を的確に示したものでなければなりません。
これは、争点整理は主に書面によって行われるからです。
出願公告の後に異議申立がされなかった場合、または成立しなかった場合、
不服申立が認容された場合、出願していたCTMを登録することができます。
登録査定送達後2ヶ月以内に登録料を支払うことによって権利の設定登録がされます。
Q.登録料はいくらになりますか?
A.3区分までは1100ユーロです。3区分を越えるものについては1区分当たりさらに200ユーロを
プラスした額を払います。
Q.登録料の納付期限はいつまででしょうか?
A.OHIMが最初の登録料の支払いの指令を出した日から2ヶ月です。
この期間内に支払われなかった場合、登録料に25%上乗せした額を支払うようにという2回目の指令が出され、
あらたに2ヶ月の支払期間があたえられます。
この期間内に支払いがなされないと出願は取り下げられたものとみなされ、出願人にその旨が通知されます。
Q.登録された商標をどうやって知る?
A.OHIMによって登録された商標はCTM登録原簿に載ります。
この登録原簿は商標権の移転、名義又は住所の変更、ライセンス供与などといった変更に対応するために常にアップデートされています。
調査のために登録原簿を使うこともできます。
その際には、その旨を書面で提出し、お金を払うことが必要です。
費用の支払いは全てユーロを使うことになります。
出願の際にかかる費用・・・975ユーロ
(3区分をこえるものについては、1区分あたりさらに200ユーロかかります)
異議申立の際にかかる費用・・・350ユーロ
不服申立の際にかかる費用・・・800ユーロ
登録の際にかかる費用・・・1100ユーロ
(3区分をこえるものについては、1区分当たりさらに200ユーロかかります)
取消請求にかかる費用・・・700ユーロ
Q.支払い方法にはどのようなものがある?
A.銀行小切手、銀行振替、官庁における直接現金払い、OHIMに開設した口座からの引き落とし、があります。
登録されたCTMは保護をうけることができます。
Q.権利の存続期間は?
A.出願の日から10年です。更新することも可能です。
Q.どのような権利を持つことができる?
A1.EU加盟国全てにおける商標権を持つことができます。
商標権の移転、ライセンス契約の締結も可能です。
A2.第三者が権限なく同一又は類似の商標を使用することを禁止することができます。
(類似は標示と商標の関係において公衆に混同を生じさせる可能性があるかいなかによって判断されます)
A3.商標の行き別性や信用が害されるなどの不利益があるときは、商標権の禁止権の範囲をどういつまたは類似のものから
非類似のものにまで拡大することができます。
※商標権者がEU加盟国においてその商標をつけた物品を自ら市場化したり
市場化について合意をした場合はEU内におけるそのあとの第三者の自由な商標の使用を禁止することはできません。
この権利の制限はEU内における権利消尽の原則によるものです。
ただし、CTMにより保護されている商標をつけた製品のEUの非加盟国からの並行輸入は
ヨーロッパ経済地域に関する合意(Agreement on the European Economic Area)の加盟国からの場合を除き、
原則として権利消尽の原則は適用されません。
Q.もし、権利侵害があった場合はどうする?
A.各EU加盟国に設置されているCTM裁判所に訴えを提起することができます。
訴えを提起する際、原告は侵害が行われた場所がある加盟国の裁判所か、被告の住所または営業所がある加盟国の裁判所の
どちらかを選ぶことができます。
侵害が行われた場所がある加盟国の裁判所侵害行為の有無についての裁判権のみをもちます。
これに対して、被告の住所または営業所がある加盟国の裁判所は侵害行為の有無だけでなく、損害賠償の額などの
全ての争いについての裁判権をもちます。CTM裁判所による判決の効力はEU加盟国全てに及びます。
CTMR(Community Trade Mark Registration)によると“取消”には2種類あります。
CTMの所有者自らが登録を取り消す場合と、登録CTMが無効であると宣言される場合です。
Q.どのような場合、CTM所有者の権利は取消となる?
A.登録CTMに絶対的無効理由、相対的無効理由がある場合、登録は取消となります。具体的には以下のようなものがあります。
以下の場合、商標権の所有者は無効とされるかもしれません。
・正当な使用がなされていない場合。
(CTMは登録後継続して5年間正当に使用されなければならない旨が定められています。)
・所有者の行動の結果、登録された商標が普通名称となった場合、所有者の使用により一般概念となった場合。
・所有者による使用の結果、商標が登録された商品又は役務の質、本質、原産地につき混同を生じさせるようなものになった場合
・所有者が権利の享有主体となりうる要件を満たしていないとき
以下の場合、CTMは絶対的拒絶理由に該当するから無効であると宣言されるかもしれません。
・登録手続において権利享有のための要件に関する条件が守られていなかった場合
・登録手続においてCTM保護のための要件に関する条件が守られていなかった場合
・出願時に出願人が不誠実な(悪意がある)行動をしていた場合
以下のような相対的無効理由に該当することによってCTMは無効であると宣言されるかもしれません。
・加盟国のいずれかにおいて先行する権利が存在していた場合
・異議申立の提起の際と同じ理由
Q.取消請求をできる人は?
A.CTMが登録されたあとであれば、誰でも請求できます。ただし、EU加盟国内に住所、居所、営業所または現実の生産活動拠点を持たない者は
代理人によって手続をしなければなりません。
Q.取消請求をできる期間は?
A.特に期間の制限はありません。ただし、先行する権利の所有者がCTM登録後の継続した5年間の使用を黙認した場合は
相対的無効理由を主張して取消請求をすることはできません。
Q.取消請求にはいくらかかる?
A.700ユーロです。この費用が支払われるまで請求はされていないものとみなされます。
この費用を払ったあとに請求を取り下げた場合、お金は払い戻されません。
また、取消請求の費用を負担するのは負けた側です。(敗訴者負担の原則)請求にかかった費用と相手の費用も負担します。
敗訴者が負担する費用の上限は決まっています。
Q.取消請求の際に使用する言語は?
A.OHIMの公用語になります。実際には、出願の際に出願人が選んだ第二言語(OHIMの公用語)になります。
出願の際の言語もOHIMの公用語であった場合、取消請求人はどちらか好きな方を選ぶことができます。
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