| “TM”と“SM”と“®”、“登録商標第〜号”の違いについて |
2)登録されていないのに登録表示をすると?
登録されていないにも拘わらず、或るマーク(専門的には標章と言います。)に商標登録表示をすることは、虚偽表示になるとして禁止されています(商標法
第74条)。ここで虚偽表示になるものとして禁止されているものは、商標登録表示だけではなく、これと紛らわしい表示を付することも禁止されています。こ
のような虚偽表示を行った場合、刑事罰の適用があり、3年以下の懲役又は300万円以下の
罰金に処されることになります。
以上が、日本の商標法でのルールであり、“TM”と“SM”と“®” については実は日本の法律の枠内には特に規定がありません。では、どこに規定があるのでしょうか?
3)マルアールマークについて
先ず、“®”はregistration
symbol と呼ばれ、その1つの根拠が米国商標法のSection 1111にあり、条文上“®”は“the letter R enclosed within a
circle”と言う表現で、“Registered in U.S. Patent and Trademark Office”若しくは“Reg.
U.S.Pat. & Tm. Off.”と同じ意味を持つことが示されています。即ち、“®”は米国特許商標庁で登録されたと言う意味を
持つものとされています。このような表示を行う理由は、それを無断で使用する者を辞めさせる警告として機能することが挙げられていて、これらの“®”などの表示もなく、単に登録されているという事実(Constructive
Notice)だけでは損害賠償などの請求ができないように規定されています。また、米国特許商標庁での登録前にこれらの“®”などの表示を付することが不適切とされています。
4)“TM”と“SM”について
“TM”と“SM”は何を示すものでしょうか?米国特許商標庁が発行した“Basic Facts About
Trademarks”と言う冊子によると、誰でも標章についてこれが商品についてのマークだと思う方は“TM”(trademark)を付し、サービス
(役務)についてのマークだと思う方は“SM”(service
mark)を付して、一般の人にそのような主張を知らせることができるというように記載されています。また、これらの“TM”と“SM”を使用するのに特
に登録は必要ではなく、出願中である必要もありません。さらに、その主張は有効かも知れませんが無効かも知れません。要
するに、特に規定はなく、自分で主観的にマークと思えば“TM”や“SM”を付することができ、それ自体は特に何かに保証されるものでもないと言うことに
なります。この“TM”と“SM”については、米国での解説ですが、日本にも特に規定がないことから自分で主観的にマークと思えば使用できると思われま
す。
5)マルアールマークを登録していない商標に使用したら?
日本で“®”のマークを登録していない商標に使用した
場合はどうなるのとのご質問も良くいただきますが、結論からは、マルアールマークはアメリカでの話なので直接日本の刑事罰の適用まではないものと思いま
す。
もし仮に虚偽表示成立とするならば、輸入業者はアメリカでは正式に登録されていても日本で商標登録のないマルアールマークの付いた商品を輸入することだ
けで懲役や罰金刑に処されることになり、流通を阻害することにもなりかねません
。マルアールマークを見た消費者は、どうやら登録はされているらしいけど、それは日本かも知れないしどこかの外国かもしれないと認識するのが一般的なと
ころと思いますし、日本での登録があると多くの人が過って認識するほどの表示(商標法73、74条の“登録商標”は日本での登録を言っていて外国の登録に
ついては条文の適用外と解される。)ではないため、反対説(逆に多くの人が日本の登録があるものと誤認する場合は有力)もありますが、現状では商標法第
74条の紛らわしい表示には該当しないと解釈されると思います。しかしながら、商品やサービスの国際化が進む今日では、登録を以って®を付与するのが消費者を惑わせない適切な表示と思います。
以上のように、標章部分に付加されるシンボルや商標登録表示には、種々のものがあり、また、使用する国でもそのルールが異なります。商標権は国ご とに取得するものですから、商品の輸出や輸入を伴う場合には注意が必要となります。ちなみに、米国で“trademark”は1ワードですが、 “service mark”は2ワードです。ところが英国の英語では、商標は通常“trade mark”の2ワードとなります。何と日本では“trademark”も“service mark”も併せて“商標”と言う括りでまとめられています。これは“service mark”の方が最近登録可能となり、商標法の条文の全面書き直しを避けて、まとめて“商標”として扱うことにしたためです。
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