商標登録+α: 拒絶理由通知に対する意見書記載例#62

特許庁審査官等から受けた拒絶理由通知等に対し、反論した「意見書、審判請求書」の具体例を小川特許商標事務所のサイトから転載しております。

本願商標:「カムイコタン」

1.出願番号  商願平11-87575(不服2000-20486)
2.商  標  「カムイコタン」
3.商品区分  第9、42類 
4.適用条文 商標法第3条第1項第3号
5.拒絶理由  商品の産地、販売地及び役務提供の場所を表示するに過ぎない。

拒絶理由通知 出願商標・商標登録第4820557号
出願商標・商標登録第4820557号

不服審判における反論(請求の理由)拒絶理由通知

  【手続の経緯】
 出     願   平成11年 9月28日
 拒絶理由の通知   平成12年 9月20日
  同 発送日   平成12年 9月29日
意  見  書   平成12年10月24日
手 続 補 正 書 平成12年10月24日
拒 絶 査 定   平成12年12月 5日
 同 謄本送達   平成12年12月15日

【拒絶査定の要点】
原査定は、「平成12年9月20日付けで通知した理由(1)によって、商標法第15条の規定に基づき拒絶する。なお、出願人は、意見書において種々述べていますが、さきの認定をくつがえすことはできません。」というものであり、その具体的理由は、拒絶理由通知書の拒絶理由(1)に示されたとおり、『 本願商標は、北海道旭川市西部にある石狩川上流の峡谷のあたり一帯を表す(奇岩、怪石、深淵が多い景勝地であり、アイヌ民族の縦穴住居跡があることでも知られる。)「カムイコタン」の文字を書してなるにすぎないものであるから、これを本願の指定商品(役務)に使用するときは、単にその商品の産地、販売地及び役務の提供の場所を表すにすぎないものと認めます。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当します。』と、いうものである。
【本願商標が登録されるべき理由】
 しかしながら、本出願人は、本願商標の「カムイコタン」は、格別に有名な地域名でもなく、また指定商品や役務と何の関係もない地域名であることから、本願の指定商品に付し、或いは本願の指定役務の表示に使用しても、その「商品の産地、販売地」や「役務の提供場所」を表示すものということはできず、本願第9類や第42類の指定商品や役務との関係にあって、充分に商標としての自他商品識別力を発揮し得る商標であると思料する。よって、前記審査官の認定には承服できず、ここに審判を請求し、再度の御審理をお願いする次第である。
(a)本願商標の構成
 本願商標は、願書に表示した商標見本から明らかなように、片仮名文字で一連に「カムイコタン」と書した態様からなるものであり、指定商品を第9類の「写真機械器具,映画機械器具,光学機械器具,電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品,録画済みビデオディスク及びビデオテープ,自動販売機」とし、指定役務を第42類の「コンピュータネットワーク上で利用可能な情報・サイトの提供,コンピュータネットワーク上で利用可能な情報・サイトの検索エンジンの提供」とするものである(平成12年10月24日補正済み)。
(b)本願商標が登録されるべき理由
(b-1) 
 然るに本願商標の「カムイコタン」は、審査官殿からもご指摘があったように、「北海道旭川市西部にある石狩川上流の峡谷のあたり一帯を表す(奇岩、怪石、深淵が多い景勝地であり、アイヌ民族の縦穴住居跡があることでも知られる。)地域名」であることを否定するものではないが、この「カムイコタン」の文字を、商標的使用態様で、本願指定商品や役務に使用した場合、果たして、北海道カムイコタン製の電子部品やコンピュータその他の電子工業製品であるとか、北海道中央部、旭川市西部の景勝地カムイコタンの地で運用し・発信しているインターネット上の情報サイトであるなどと、第三者が認識するであろうか。
 単純に「カムイコタン」の商標名やホームページ名やその提供者名を認識するのではなかろうか。なぜなら、“カムイコタン”と言う景勝地と、指定商品「写真機械器具,映画機械器具,光学機械器具,電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品,録画済みビデオディスク及びビデオテープ,自動販売機」の製造・販売や、指定役務「コンピュータネットワーク上で利用可能な情報・サイトの提供,コンピュータネットワーク上で利用可能な情報・サイトの検索エンジンの提供」というソフトウエア開発事業とは、全く結び付きようがないからである(旭川市のカムイコタンと称される一帯では、現実にコンピュータ関連事業など行われていないし、まさか行うはずもないような山と渓谷で覆われた地帯である)。景勝地「カムイコタン」は、あくまでも景勝地としての認識しかないはずである。
(b-2) 
 このように、地域名としてのカムイコタンは、あくまでも、「奇岩、怪石、深淵が多い景勝地(十勝八景の一つ)であり、アイヌ民族の縦穴住居跡がある」ということで知られた地であり、ソフトウェア開発事業やコンピュータメーカー等が集中する地として知られているものではない。この地域には、日高山脈に源をもち、環境庁より日本一の認定(昭和62年以降5回)を受け、また国土庁より水の郷百選にも選ばれた清流「歴舟川」が流れており、カムイコタンは、この清流「暦舟川」の中流にあって、山が迫る渓谷に、広い河畔があるような場所である。この辺は、ニジマス・ヤマメ・イワナなど川魚の宝庫であり、釣りはもちろん、カヌー遊びやキャンプなどのアウトドアライフを思いっきり楽しむ場所であって、夏には清流まつり、秋にはカムイコタン公園まつりといった「清流歴舟川」に関するイベントも開催され、多くの人で賑わう地である。
 つまり、この地域は、大自然を思いっきり満喫する場所であって、工場を造ってコンピュータを製造したり、ソフトウェア開発事業を行うような場所ではない。また、そのようなことができる場所でもない(例えば、インターネットの検索エンジン「yahoo! JAPAN」などで、「カムイコタン」を検索すると、写真入りの案内や説明があり、景勝地カムイコタンの状況が分かるはずである。とても事業用の建物や工場を建築できるような場所ではないことも、はっきりするはずである)。ここは、あくまでも大自然に囲まれた景勝の地であって、アウトドアライフを楽しむ場所である。
然るに、この商標「カムイコタン」を、商標的使用態様で、本願指定商品や役務に使用しても、あくまでも商標「カムイコタン」に係る「電子応用機械器具」であるとか、商標「カムイコタン」を所有する事業者で運営し・発信しているインターネット上の情報サイト名であるとの認識しか持たれないであろう。
 このことは、北海道カムイコタンの景勝地に一度でも出向き、あるいは出向かないまでも観光案内やインターネットなどでその地域を調べた者にとっては、その地域に、コンピュータ関連事業所やコンピュータ製造工場などが建つはずもない場所であることは、容易に理解できるからであり、また、勝景地「カムイコタン」の地を全く知らない者(地域名として認識のない者も同様)にとっては、これをこの商品の産地だとか、この役務の提供場所だとか、そもそも誤認するはずもないことだからである。
その様なわけで、例えば、「カムイコタン」と表示した電子機械器具を見て、あるいは、「カムイコタン」と表示したソフトウェアを見て、北海道の景勝地カムイコタンの地で製造し、提供されている商品やサービスであるなどと、一般的に理解するはずもなく、あくまでも「カムイコタン」ブランドの製品、あるいは「カムイコタン」ブランドの提供に係る役務と理解するはずである。
(b-3)
 ところで、今回の拒絶理由通知書における適用条項である、商標法第3条第1項第3号は、「その商品の産地、販売地、品質、…………又はその役務の提供の場所、質、…………を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標」は、登録を認めない旨の規定である。
 これは、“その商品の産地、販売地”や“その役務の提供の場所”は、商品等を流通に置く場合に何人も使う必要があるので、一私人に独占させないという趣旨の規定と理解するが、この規定は、あくまでも、「その商品」や「その役務」との関係で理解すべきものであって、単に地理的名称であれば、有名であろうとなかろうと、また、どの商品・役務に使おうと使うまいと、全てを拒絶するという趣旨ではないと考える。つまり、商標法3条1項3号にいう「商品の産地、販売地」というためには、必ずしも、その土地が当該商品の産地、販売地として広く知られていることや、その唯一の産地、販売地であることまでは要求するものではないと考えるが(昭和53年 6月28日/東京高等裁判所/第13民事部/判決/昭和52年(行ケ)第184号「ワイキキ」も同旨)、少なくとも、一般需用者をして、その場所で生産販売され、あるいは提供される商品や役務であるかのように誤認させるおそれのある商標であることは、拒絶する上で必要な要件と考える。それ故、その商品や役務と全く関係がなく、将来的にもその商品や役務と関係することがないような商品・役務に関する地域名的な商標の場合には、産地・販売地等を誤認させるというようなおそれはないはずであるので、その登録を認めても何ら差し支えないはずである。
 このことは、御庁の商標審査基準を見ても同様に理解できる。即ち、御庁のこの第3条第1項第3号に関する商標審査基準によれば、「国家名、著名な地理的名称(行政区画名、旧国名及び外国の地理的名称を含む。)、繁華な商店街(外国の著名な繁華街を含む。)、地図等は、原則として、商品の産地若しくは販売地又は役務の提供の場所(取引地を含む。)を表示するものとする。」と規定している。これは、原則として、著名な地理的名称や繁華な商店街の名称は、商品の産地若しくは販売地又は役務の提供の場所(取引地を含む。)を表示したものと誤認するから登録しない、と言うことである。これを逆に解釈すれば、著名な地理的名称や繁華な商店街の名称でなければ、つまり著名でない地理的名称や繁華でない商店街の名称であれば、登録を認める余地があると言うことである(全てではないであろうが)。
 では、それはどのような場合かと言えば、
 その商標が、(ア)著名な地理的名称でも、繁華な商店街の名称でもなく、且つ、(イ)指定商品や指定役務との関係において、そのような場所で製造したり、提供したりすることはありえないような地理的名称の場合には、登録を認める余地があると言うことであろう。なぜなら、このような商標はその指定商品や指定役務との関係において、その商品の産地・販売地やその役務の提供場所の表示であるなどというような誤認は起こさないからである。
そこで、本願商標を見た場合、なるほど「カムイコタン」は景勝の地として知られているとしても、また、アイヌ民族の縦穴住居跡があるということで知られているとしても、本願の指定商品・役務であるコンピュータ等の製造販売地やソフトウェアの開発・提供地として一般世人に知られている訳ではない(もっとも、そのような事業はなされていないので、知られると言うこと自体あり得ないが)。このような清流「暦舟川」の中流地域で、山が迫る渓谷に河畔があるような大自然に囲まれた地で、電子応用機械器具の製造やソフトウェア開発というような商品や役務との関連付けなど、全く思いも及ばないことである。
 従って、あえて「著名な」とか「繁華な」とかの絞りをかけた商標審査基準に照らしてみても、指定商品や役務との関連を充分に考慮しないで、本願商標「カムイコタン」をその商品の産地販売地表示やサービスの提供場所表示として拒絶しようとする今般の審査官の認定は不当であり、納得できるものではない。商品「電子応用機械器具」や役務「インターネット上の検索エンジンの提供」などにあって、「カムイコタン」の商標は充分に自他商品識別力を発揮する商標であると考える。
(b-4)
 そして、過去の判決例をみても、商標法第3条第1項第3号に関しては、上記「カムイコタン」の如き、格別に有名な都市名・地理的名称でもなく、また指定商品や役務と特別に関係しているわけでもないような地理的名称の場合には、その登録を認める余地があると解釈できるものがある。
例えば、以下の如き、東京高裁の判決例である。
(A)[事件名]   審決取消請求事件
 [裁判年月日等]平成 9年11月11日/東京高等裁判所/判決/平成9年(行ケ)第71号
 [商標]    やんばる/山原
 [裁判結果]  棄却
 [上訴等]   確定
 [裁判官名]  竹田稔 春日民雄 持本健司
 [出典名]   判例時報1640号155頁
 [判例本文掲載頁]二・24巻7091頁
 [要約・要旨]2.〈「やんばる」、「山原」の商標の産地表示〉
「やんばる」あるいは「山原」が、少なくとも本件審決時においては、名護市及びその周辺の著名な観光地を含む沖縄本島地所の通称である旨の主張は正当であり、この地域において焼酎を含む酒類の製造・販売が広く行われている以上、「やんばる」の平仮名及び「山原」の漢字を二段に横書きしてなり、酒類を指定商品とする本願商標は、これをその指定商品に使用するときは、該商品の産地・販売地を表したにすぎず、商標法3条1項3号に該当するとした審決の判断は正当である。
*思うに、この判決例は、その地域でその商品等の販売が行われていないことが明らかな場合には、その地理的名称であっても商標法3条1項3号に該当しないこともあり得ると言うことを示唆しているのであろう。
また、以下の如き、判決例もある。
(B)[事件名]   審決取消訴訟事件
 [裁判年月日等]昭和52年12月22日/東京高等裁判所/第6民事部/判決/昭和52年(行ケ)第80号
 [商標]    西陣
         西陣風味
 [裁判結果]  棄却
 [裁判官名]  杉本良吉 舟本信光 小笠原昭夫
 [出典名]   判例タイムズ365号422頁
 [判例本文掲載頁]現・20巻2695の29の100頁
 [要約・要旨]1.〈商標法3条1項3号に規定する地名の意義〉
商標法3条1項3号は必ずしも地名を含む標章をすべて排斥しているわけではないから、登録商標「西陣」を審決が引用し本願商標「西陣風味」と類似対比に用いた点に違法はない。
*この判決例は、「地名」でも商品や役務等の兼ね合いなどによっては、自他商品識別力を発揮し、登録できる場合があるということを述べていると思われる。
以上(A)(B)のような判決例の考え方に照らしてみても、本件「カムイコタン」の如き、格別に有名な都市名でも地域名でもなく、また、格別に指定商品や指定役務と馴染みのある地域として一般に知られている訳でもないような地理的名称の場合には、本願の指定商品や役務との関係で充分に識別力を発揮するはずであり、その登録を認めてしかるべきである。
(b-5)
さらに付言すると、この判決例にも出てくる「西陣」は、京都市上京区の堀川以西、一条通以北の地一帯の称であり(広辞苑)、したがって、北海道旭川市西部にある石狩川上流の峡谷のあたり一帯を表す「カムイコタン」と同様な地域名である。
 そうであれば、今般の審査官のような考え方に従えば、この「西陣」という京都市上京区の一地域を表す地理的名称は、登録されるはずのない商標と言うことになる。
 しかしながら、現実には、「西陣」の文字を含む商標は、以下の通り11件ほど登録されており、このうち「西陣」の文字単独で登録されている商標は、8件も存在している。
 1. 登録0672481 西陣 旧24類 パチンコ機械等(株)ソフィア 桐生市
 2. 登録0715260 西陣 旧30類 菓子、パン(株)柳苑 京都市上京区
 3. 登録0881483 西陣  16類 印刷物、写真等(株)西陣織工業組合 京都市
 4. 登録0925218 西陣 旧17類 帯、帯じめ等(株)西陣織工業組合
 5. 登録1107193 西陣 旧16類 絹織物等 (株)西陣織工業組合
 6. 登録1365853 西陣(図入り)旧24類パチンコ器具等(株)ソフィア
 7. 登録1405074 西陣(図入り)旧16類 織物等(株)西陣織工業組合 *期間満了
 8. 登録4238561 京の酒\西陣 33類日本酒等 佐々木酒造(株)京都市
 9. 登録4272026 西陣 7類 パチンコ関係  (株)ソフィア 
10. 登録4286718 西陣 9類 電子応用機械器具&パチンコ関係ソフィア
11. 登録4354934 西陣  20類 パチンコ機械設置棚(株)ソフィア
この中には、京都と全く関係のない桐生市の一企業が取得している商標もある。これは、京都市「西陣」とパチンコ機械類とは全く馴染みがないということで、桐生市の一企業にも「西陣」の登録を認めたものと思われる。また、京都市内ではあるが、一企業に過ぎない(株)柳苑 とか、佐々木酒造(株)にも、「西陣」の登録を認めている。これも、京都市上京区の西陣とは一般的に馴染みのない「菓子、パン」や「日本酒等の酒類」を指定商品としているからであろう(「西陣」といえばやはり織物であろうし、日本酒では京都南部の「伏見」が有名であろう)。
このように、「西陣」のような地理的名称であっても、指定商品との関係にあって全く馴染みのない地理的名称の場合には、識別標識としての機能を充分に果たし得るということで登録されているのである。
 然るに、本願商標の「カムイコタン」も「西陣」と同様のケースであり、登録を認めてしかるべきである。
(b-6)
 そして、本願商標の登録を認めたとしても、本件はあくまでも第9類や第42類の指定商品や役務との関係で識別標識としての機能を認められ登録された訳であり、したがって、第三者が景勝地“カムイコタン”を表すために「カムイコタン」の文字を使用しても、そもそもそこには商標権の効力は及ばず、何ら公益を害することにはならないから、問題は生じないはずである。
 また、北海道旭川市が地元「カムイコタン」のために、インターネットホームページ上にその宣伝をしたり、様々なイベントを紹介したりしても、それは、あくまでも景勝地「カムイコタン」の宣伝のために、インターネットを媒体にしているだけであって、何不自由なく行うことができるのであるから、この点でも、本願商標を登録することによる不都合などないはずである。
  【むすび】
 以上の次第でありますので、本願商標は、商品の産地、販売地及び役務の提供場所を表示するものではなく、商標法第3条第1項第3号(拒絶理由1)に該当せず、自他商品識別力を有し、充分に登録適格性を備えたものと思料します。
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(参考)ケース62の「審決」
不服2000-20486
   平成11年商標登録願第87575号拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
 結 論
   原査定を取り消す。
   本願商標は、登録すべきものとする。
 理 由
  1 本願商標
   本願商標は、「カムイコタン」の文字よりなり、第9類及び第42類願書に記載の商品及び役務を指定商品及び指定役務として、平成11年9月28日に登録出願されたものである。その後、平成12年10月24日付の手続補正書で、指定役務については、第42類「コンピュータネットワーク上で利用可能な情報・サイトの提供、コンピュータネットワーク上で利用可能な情報・サイトの検索エンジンの提供」と補正されたものである。
  2 原査定の理由(要旨)
   原査定は、「本願商標は、北海道旭川市西部にある石狩川上流の峡谷のあたり一帯を表す「カムイコタン」の文字を書してなるものであるから、これを本願の指定商品(役務)に使用するときは、単にその商品の産地、販売地及び役務の提供の場所を表示するにすぎないものとみとめる。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
  3 当審の判断
   本願商標は、「カムイコタン」の文字よりなるものである。そして、当該文字が原査定説示の地域を指す語であるとしても、当該地域は、北海道の景勝地の一として知られるといい得るに止まるものであることから、本願の指定商品及び指定役務との関係においては、その需要者がこれを商品の産地、販売地又は役務の提供の場所を表示するものとして理解し、認識するとは認め難いものである。
   また、「カムイコタン」の文字が、本願の指定商品及び指定役務について、その産地・販売地あるいは役務の提供の場所等を表示するものとして、取引上普通に使用されている事実は見当たらない。
   そうすると、本願商標は、その指定商品及び指定役務について、その産地・販売地及び役務の提供の場所を表示するものということはできず、これをその指定商品及び指定役務に使用した場合、自他商品・役務の識別標識としての機能を果たし得るものと判断するのが相当である。
   したがって、本願商標を商標法第3条第1項第3号に該当するものとした原査定は、取消しを免れない。
   その他、本願について拒絶の理由を発見しない。
   よって、結論のとおり審決する。
     平成16年10月26日
              審判長  特許庁審判官 涌井 幸一
                   特許庁審判官 富田 領一郎
                   特許庁審判官 堀内 真一

商標登録+α: 拒絶理由通知に対する意見書記載例目次

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