商標登録+α: 拒絶理由通知に対する意見書記載例#76

特許庁審査官等から受けた拒絶理由通知等に対し、反論した「意見書、審判請求書」の具体例を小川特許商標事務所のサイトから転載しております。

本願商標「NNAKANO」×引用商標「nNakano」

1.出願番号  商願2005-81773
2.商  標 「NNAKANO」×「nNakano」
3.商品区分  第20類ショーケース及びその他の陳列棚…ほか
4.適用条文商標法第4条第1項第11号
5.拒絶理由  類似する(「NAKANO」「Nakano」の文字を共通にする)

拒絶理由通知 商標登録第4951412号
出願商標・商標登録第4951412号
 
商標登録第1371846号
引用商標1・商標登録第1371846号及び引例商標2・商標登録第1558535号
商標登録第2032637号
引用商標3・商標登録第2032637号
商標登録第4757967号
引用商標4・商標登録第4757967号
 

拒絶理由通知 意見書における反論

【意見の内容】
(1) 拒絶理由通知書において、審査官殿は、本願商標は
 1.登録第1371846号(商公昭53-003014)の商標(引用商標1)、
 2.登録第1558535号(商公昭57-015291)の商標(引用商標2)、
 3.登録第2032637号(商公昭62-064815)の商標(引用商標3)及び
 4.登録第4757967号(商願2003-041814)の商標(引用商標4)と
同一又は類似であって、その商標に係る指定商品と同一又は類似の商品に使用するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当し、登録することはできないと認定された。
 しかしながら、本出願人は、本願商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれにおいても紛れることのない非類似の商標であると思料しますので、前記認定には承服できず、以下に意見を申し述べます。
(2) 本願商標は、願書の商標見本からも明らかなように、「Nを図案化した中に機械部品と覚しき図柄を組み込んだ図形部分」とその右側に配した「Nakanoの欧文字部分」とからなるものでありますが、引用商標1~4はいずれも「手書き風に大書したnらしき欧文字」とその下に配した「NAKANOの白抜き欧文字」とからなる商標を含んでなるものであります。然るに、審査官殿は、本願商標と引用各商標とは、「Nakano」「NAKANO」の文字及び「ナカノ」の称呼を共通にする商標であるから、互いに類似すると認定し、今般の拒絶理由通知を発したのだと推察いたしますが、この「Nakano/NAKANO」の部分は、日本国内に数多く存在する「ありふれた氏」である「中野」を単に欧文字表記したものであり、それ自体、自他商品識別力を発揮する言葉ではないと考えます。つまり、「NAKANO」「Nakano」の部分からたとえ「ナカノ」の称呼が生じたとしても(称呼自体は識別力のない部分からも生じ得る)、この部分は商標の要部ではなく、自他商品識別機能を発揮しない部分でありますので、この部分の称呼を商取引に際して識別のために用いることはありません。したがって、識別力を生じないこの部分を捉えて、類否判断の基礎とした今般の判断は、妥当性を欠くものと思料いたします。類否判断の対象とならない部分「Nakano/NAKANO」を、類否判断の目安とすることはできません。審査官殿の認定は、誤った商標の要部認定に基づくものであり、到底受け入れることはできません。繰り返しますが、商標の要部でない言葉をとらえ、その部分を抽出して称呼するという手法は、商標の要部認定を誤ったもので到底受け入れることはできません。そして、本願商標と引用商標1~4とは、この要部となり得ない「Nakano/NAKANO」の文字部分を除いては、互いに特異な外観を有しますし、看者の受ける印象も大きく異なるものと思いますので、両者は決して類似するものではありません。
(3) そして、このことは、以下の事実からも明らかであります。即ち、例えば、中野製薬株式会社所有の今般の引用商標2(登録第1558535号)は、昭和52年10月6日に出願、昭和57年12月24日に商標登録されたものでありますが、実は本出願人は、この引用商標2の出願よりも10年近くも前の昭和43年12月26日に、既に現在の本願商標とほぼ同一の商標を出願し(商願昭43-92857)、商標登録第933999号(昭和46年10月26日登録:第1号証)としてに商標登録を受けております。つまり、本願商標とほぼ同じ商標について、本出願人は既に37年も前に商標登録を受けておりますが、その存在があるにも拘わらず、その後願に係り且つ指定商品もほぼ同一の引用商標2が登録を受けているわけであります。これは本出願人の前記37年前の登録商標と今般の引用商標2とは、互いに類似しないと判断されているからこそ併存されたものであり、これがもし今般の審査官殿のような判断をし、互いに類似の関係にあるとされた場合には、引用商標2の存在そのものが怪しいということになります。しかし、現実には本願商標とほぼ同一の商標(第933999号)と引用商標2(登録第1558535号)とは、23年以上も併存しているわけであり、これは両者が類似しないことの何よりの証左であります。
(4) 以上の次第でありますので、本願商標は、引用商標1~4と紛れることのない非類似の商標であり、十分登録適格性を有するものと確信いたします。

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