マドプロ・米国の使用宣誓書の提出†

マドプロ・米国の使用宣誓書の提出

マドリッド制度(マドプロ)の商標管理と、同時進行で米国特許商標庁に対する手続が必要

マドプロ・米国の使用宣誓書の提出
米国特許商標庁, United States Patent and Trademark Office, Alexandria, Virginia

マドプロ・米国の使用宣誓書の提出 国際登録(マドプロ)を使用することで、米国に関しては、願書で指定するだけで出願した効果が得られ、登録の際に通常必要とされる使用証明はマドプロの場合には原則不要となります。しかし、米国を指定した国際登録では、その所有者は、米国特許商標庁(United States Patent and Trademark Office (USPTO)による保護の付与日から5年目と6年目の間(若しくは6か月以内の延長期間)に、商業目的での継続的使用を主張する最初の宣誓供述書(Section 71のdeclaration)を米国特許商標庁に国際事務局経由ではなく直接提出する必要があります。さらに国際登録の更新自体は、国際事務局に対して書類(MM11)を提出したり、E-renewalをすることで進めることが可能ですが、米国を指定している場合には、その際の宣誓供述書は、USPTOによる保護の付与から10年毎の応答日前(若しくは6か月以内の延長期間)に米国特許商標庁に提出する必要があります。

提出される維持書類

  • Section 71の継続的使用を主張する宣誓供述書(affidavid or Declaration of Use)
  • 使用の証拠(Specimen of Use) --- 通常の米国出願の登録時に提出するものと同じです。
  • 維持費用(Maintenance fee)--WIPOへの更新の費用とは異なる費用です。

維持書類提出(Maintenace filing)の期限

米国での保護の付与日(保護拡張の証明書発行日)から6年目(最初)、10年目(2回目)、20年目(3回目)、30年目…が期限となります。保護の付与日は登録証やUSPTOのデータベースで確認できます。維持書類の提出が可能なのは期限の1年前からです。なお、提出期限を徒過した場合でも、6か月の猶予期間があり、割増手数料を払い必要書類を提出すれば失効を回避できます。実務では最初の期限を5yr-6yr(5年目―6年目)と呼んだり、その次を9yr-10yr(9年目―10年目)と呼んだりもしています。

使用宣誓書の提出期間
使用宣誓書の提出期間
米国での保護の付与日を、例えば、2015年4月15日とすると
最初の維持書類の提出(5年目~6年目) 2020年4月15日から2021年4月15日
2回目の維持書類の提出(9年目~10年目) 2024年4月15日から2025年4月15日
3回目の維持書類の提出(19年目~20年目) 2034年4月15日から2035年4月15日
4回目の維持書類の提出(29年目~30年目) 2044年4月15日から2045年4月15日

維持書類の提出(first and subsequent maintenace filings)の注意点

  • 5年目の起算日は、米国での保護の付与日(保護拡張の証明書発行日)からです。この保護の付与日は、国際登録日や国際登録出願の出願日とは異なります。
  • 9年目の起算日も、米国での保護の付与日または更新された保護の付与日からです。この保護の付与日は、同様に、国際登録日や国際登録出願の出願日とは異なり、保護拡張の証明書発行日から起算されます。
  • 6年目や10年目、及びそれ以降の維持書類の提出期限を徒過した場合でも、6か月の猶予期間があり、追加手数料(区分毎100ドル)を支払うことで、この猶予期間内に宣誓供述書を提出することができます。
  • 継続使用のための宣誓供述書には、使用証明のための証拠書類(Specimen of Use)を添付します。証拠書類は、商標を付与した商品、商品の包装、商標付きタグを有した商標などの写真、米国での店舗の写真、カタログ、米国での取引実績のあるWEBSITEのスクリーンショットなどです。商品についての使用見本では、広告、請求書や出荷票、プレスリリースなどは原則的には認められません。逆に役務についての使用見本では、カタログや広告、メニューなどは認められています。商品区分毎に少なくとも一つの使用証拠を提出する必要があります。使用宣誓の証拠としてのウエブページの解説 失敗例と成功例から学ぶ使用供述書・使用宣誓書の適切な使用見本(Specimen)の解説
  • 代理人が宣誓供述書を提出する場合は、米国特許商標庁に対しては、米国弁護士の資格を有する代理人が必要です。宣伝になりますが、こちらの有明国際特許事務所 では、連邦規則§11.1に定義されている弁護士資格がありますので、米国国内の法律事務所に依頼することなく、速やかに提出が可能です。
  • 特に年数が経ってくると、所有者の住所や名称などが変わってきていることがあり、宣誓供述書を提出する場合は、これらを正しいものに修正しておく必要があります。また、2019年の法改正から、権利者も代理人でにはなく自分の電子メールアドレスをUSPTOに知らせておく必要があります。法人の場合には、担当者が交代することもありますので、個人のアドレスではなく、知財管理用の電子メールアドレスを設定するのが主流です。
  • 米国では使用主義の観点から、商標を使用していない商品や役務は権利を維持することができません。したがって商標を使用していない商品や役務は指定商品・指定役務の欄から削除することが求められます。継続使用のための宣誓供述書を提出しながら商標を使用していない商品・役務について維持していくことは権利行使できないなどの事態を招く恐れがあります。日本のように、権利者が広い権利範囲を求めるというところは米国の場合は異なるものと認識すべきでしょう。詳しくは米国の使用宣誓と虚偽行為についてのページへ。また、米国特許商標庁は、使用していない登録商標の指定商品等を削除することを目的として使用証明の検査制度(Audit Program)を開始しています。
  • この検査制度の中で、失効を免れるために使用していない商品を削除しようとする場合には、指定商品・指定役務の区分あたり250ドルの削除補正の費用が発生します(2021年1月2日施行)。
  • 登録がPrincipal Register(主登録)の場合には、Sec.15の宣誓書も同時に提出することができます。Sec.15の宣誓書を提出することで、侵害訴訟などの係争時に無効の申立をされることがなくなり、権利消滅のリスクを軽減することができます。
  • 2019年8月3日からは、出願人若しくは権利者が米国に永住権を有する者以外の外国人や米国以外の外国法人の場合、代理人なしで出願人本人によって使用証明書等を提出すること(Pro se filing)はできなくなります。これらの手続は米国での資格を有する弁護士(US licensed attorney)が代理して手続を行うことが必要とされ、米国特許商標庁は、米国での資格を有する弁護士とだけ連絡をとることになります。マドプロの暫定拒絶対応についても同様で、外国人は出願や使用証明書等の提出には、米国弁護士の代理が必要です。
  • 継続使用のための宣誓供述書を提出した後は、通常2か月から2か月半ほどの審査期間を経て受理された旨の連絡を受けます。写真が不鮮明などの場合には、再提出の機会が与えられるものと思います。

ご相談

米国を指定した国際登録についてのご相談は初回無料ですので、費用の問い合わせも含めてお気軽にご相談ください。米国を指定した国際登録について未だ米国代理人が選任されていない場合や、拒絶通報に対応した米国代理人が既にいる場合についてもご相談をいただければと思います。有明国際特許事務所では宣誓供述書と使用証明の証拠の提出だけの代理も行っており、日本の弁理士や弁護士の方からの問い合わせやご依頼も数多くございます。またメールなどでのご相談も可能です。

有明国際特許事務所には米国弁護士資格があります。
有明国際特許事務所では、弁理士資格と、連邦規則§11.1に定義されている米国弁護士資格により、特許庁 (JPO)と米国特許商標庁(USPTO)にそれぞれ直接手続でき、現地代理人は不要です。

料金表†

項目 事務手数料*現地代理人の費用はありません。 政府機関等費用(official fee)
Sec.71の使用宣誓書及び使用証拠の提出 38,500円 +11,000円×区分数  (税込:例えば1区分では、49,500円になります。) 225ドル per class
sec.15の宣誓書提出 33,000円 +11,000円×区分数 200ドル per class

*事務手数料は弁護士費用になります。⇒現地代理人が不要ですので、その費用が加算されることはありません。 料金お見積り

お知らせメール

商標権者の便宜のために、2015年1月から米国特許商標庁では、必要とされる継続使用の宣誓供述書の提出期限前にEメールでリマインダー(お知らせ)を受けるための登録を受け付けています。E-メールのリマインダーは、権利維持のための書類の提出期間の初日に送られます。E-メールはUSPTOで登録されている連絡先と現在の所有者情報のところにある全てのE-メールアドレス(国際出願の代理人も含む。)に対して送られます。
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