世界知的所有権機関(WIPO)の商標検索ツール🔍 無料で使えるツール13選 商標登録 検索vol.6

世界知的所有権機関(WIPO)の商標検索ツール

WIPO(世界知的所有権機関)は、特許ではPCTシステム(特許協力条約に基づく特許の国際出願制度)、商標ではMADRIDシステム(マドプロ)(マドリッド協定議定書に基づく商標の国際登録制度)、意匠ではHAGUEシステム(ハーグ協定に基づく意匠の国際登録制度)をスタートさせ、多くの国の知的財産の保護のための国際登録業務の管理・運営を行っています。特に、WIPOには商標分野では国際登録を支援するためのデータベースをいくつか有していて、これらは検索ツールとして国際登録の利用者がいつでも検索可能なように公開されています。

a.Madrid Monitorによる商標検索

【DB名】Madrid Monitor(beta)
【言語】英語、フランス語、スペイン語
【解説】Madrid Monitorは、既存のROMARIN, WIPO Gazette, Madrid E-alert、及びMadrid Realtime status を1つの検索ツールに統合した新しいサービスです。Madrid Monitorは出願後の各国でのステータスをモニターする様にデザインされています。平成29年6月現在、ベータ版の試運転期間は終了し、Madrid Monitorは正式供用となっております。使用方法についての解説として”最新のマドリッドモニターで国際登録商標を検索”のページがあります。マドリット制度を利用した国際商標登録を検索するように設計されています。
【動画チュートリアル Madrid Video Tutorials マドリッド制度の解説動画とマドリッドモニターの解説動画があります。

madrid monitor 世界知的所有権機関 (WIPO)
madrid monitor

b.GLOBAL BRAND DATABASEによる商標調査

【DB名】WIPO GLOBAL BRAND DATABASE
【言語】英語、フランス語、スペイン語
【解説】GLOBAL BRAND DATABASEは、2014年5月12日にリリースされ、Every country, Every Brand, One searchを目指しています。GLOBAL BRAND DATABASEは、出願前の登録可能性の商標調査用に設計されています。マドリッド制度の締約国だけでなく、例えばカナダなどの締約国以外の国の国内商標もデータベースに含まれています。具体的には、アメリカ合衆国、メキシコ、パプアニューギニア、韓国、トンガ、フィリピン、ブルネイ、ニュージーランド、エストニア、スイス、欧州連合、オーストラリア、インドネシア、国際登録(マドプロ)、カナダ、日本、イスラエル、シンガポール、ドイツ、ヨルダン、モルドバ、カンボジア、ラオス、アルジェリア、エジプト、ジョージア、デンマーク、オマーン、モロッコ、アラブ首長国連邦、WIPOの記章、原産地表示(GI)の記録をデータべース化しており、週ごと、早い国は毎日アップデートされます。令和5年5月30日現在で73の情報源からの53,827,345件のデータがあります。イメージをドラッグしての図形検索も可能で、図形コードの知識がなくても検索できます。世界中の商標を調べることができる無料のデータベースは、このグローバルブランドデータベースか、欧州知的財産庁のTMviewのどちらかを使用することになります。2022年11月15日から新しい画面となり、機能も追加されています。

WIPO GLOBAL BRAND DATABASE

c. Madrid Goods and Services Managerによる商品役務調査

【DB名】MGS (Madrid Goods and Services Manager)
【言語】日本語を含む24か国語
【解説】日本語での操作が可能で、国際事務局で認められる商品・役務を確認することができます。また、例えばCN(中国)とEM(欧州連合)はOKだが、KR(韓国)はNGというような指定国各国における受入可否をおおよそ知ることが可能です。日本語で商品、役務を選択したのち、プルダウンメニューで英語に翻訳するを選択するとポップアップの翻訳された表示がなされ、その翻訳は、標準の書体: 既に承認されている用語、太字: 翻訳されていない用語、下線及び太字: データベース上で発見されないオレンジ色の用語に分けられて表示されます。日本と韓国の類似群コードも表示可能とされ、類似群コードからの検索も可能です。但し、日本語での検索には韓国の類似群コードはあまり出てこないので、例えば日本と韓国の類似群コードの比較には、英語を使うか、頻繁に日本語と英語(あるいは韓国語)を切り替える必要があります。
【動画チュートリアル】MGS Mp4ダウンロード(36.4Mb: zip-file)

MGS • マドリッドG&Sマネージャー
MGS • マドリッドG&Sマネージャー

d. Nice Classification (NCL)による商品役務調査

【DB名】Nice Classification (NCL)
【言語】英語 フランス語、スペイン語
【解説】ニース分類(Nice Classification)は、商標の商品役務の国際分類を定めています。本データベースでは、区分を指定しての表示、アルファベット順の表示、区分で絞ることのできるワード検索が可能です。表示される商標、役務には基礎番号(basic number)が付与されていまして、最初の2桁は類を示し、その中でのアルファベット順に連番ではなく番号が付与されています。表示される商標、役務のリンクボタンをクリックすると、TMClass(EUIPO), TM Lookup(CIPO), TM ID Manual(USPTO), GMS(WIPO)へのブリッジウインドウが開き、これらのサイトを見に行くことができます。現在のバージョンは、2016年の1月1日に運用開始された2016年バージョン第10版になります。なお、以前のNicePubは2013年の初めにNCLに移行されています。

Nice Classification
Nice Classification

e. Vienna Classification (VCL)による図形要素調査

【DB名】Vienna Classification (VCL)
【言語】英語、フランス語
【解説】世界知的所有権庁(WIPO)のウィーン分類(Vienna Classification)のサイトで、図形コードによる図形要素での調査、検索が可能です。英語とフランス語でのVienna Classificationが表示されます。なお、図形ベースでの処理(画像ファイルのドラッグアンドドロップ)は未だ行わていないところです。

WIPO Vienna Classification
WIPO
Vienna Classification

f.Madrid Member Profilesによる各国の制度内容検索

【DB名】Madrid Member Profiles
【言語】英語、フランス語、スペイン語
【解説】各締約国での実務や手順に関する広い範囲の情報を提供します。興味のあるメンバー(複数可)を選択して、知りたい情報の種類を選択すれば、画面に選択した情報を表示することができます。

Madrid Member Profiles
Madrid Member Profiles

g. Fee Calculatorによるマドリッド料金検索

【DB名】International Registration of Marks – Fee Calculation
【言語】英語、フランス語、スペイン語
【解説】本国官庁(Office of Origin)、区分数(Number of Classes)、Type(new application, subsequent designation, new tax-2nd part fee, renewal), Colour, Collective mark, certification mark, or guarantee markの選択ができます。マドプロの出願時のオフィシャルフィーの計算の他、WIPOに支払う国際登録の更新の費用や事後指定の費用の計算も可能です。

fee calculator
Fee calculator

h. International Application Simulatorによるマドリッド制度の必要書類と料金の検索

【DB名】International Application Simulator
【言語】英語、フランス語、スペイン語
【解説】本国を入力し、指定区分数、団体商標や証明商標かどうか、商標の色の有無、図形商標か否か、及び指定国をチェックボックスから選択すれば、出願の手続の指針や必要な料金が表示されます。日本では、MM2を特許庁に出願する旨の表示がなされます。

wipo ias
International Application Simulator

i. Lisbon Expressによる地理的表示調査

【DB名】Lisbon Express
【言語】英語、フランス語、スペイン語
【解説】このデータベースには、原産地表示および地理的表示の保護システムとその国際登録に従って、WIPO国際事務局が保持する国際登録簿に入力されたすべての原産地表示および地理的表示に関する情報が含まれています。

Lisbon Express

j. WIPO Lexによる国内法、条約、判例の検索

【DB名】WIPO lex
【言語】英語、フランス語、スペイン語、中国語、アラビア語、ロシア語
【解説】WIPO Lexは、知的財産の分野における国内法および国際条約のオンラインデータベースです。無料のWIPO Lexデータベース検索を使用して、世界中の法律、条約、判決の収集ファイルの中から47000の法的文書にアクセスします。Browse WIPO Lex Collectionsのページでは国別の収集データについての表示があります。

wipo-lex
WIPO Lex

k. WIPO IP Diagnostics

IP Diagnostics
【解説】アンケート形式の質問に答えることでビジネスの知的財産の状況の基本的な診断を行うことができます。

IP Diagnostics

l. Article 6ter Express Database

【DB名】Article 6ter Express Database
【解説】工業所有権の保護に関するパリ条約の第6条の3は 、同条約締約国の紋章、国旗、その他の州章、および締約国が採用している管理と保証を示す公式の標識や特徴を、不正な登録や使用から保護しています。さらに1958 年に拡張され、パリ条約の1つ以上の締約国が加盟している国際政府間組織の紋章、旗、その他の紋章、略語および名称も含まれます。本データベースはこれらの紋章等を検索できるシステムです。

Article 6 ter Express Database

m. Global G&S Terms Explorer

【DB名】Global G&S Terms Explorer
【解説】The Goods & Services Assistantとして2023年9月にデビューしたこの商品役務名の検索ツールは、現在はGlobal G&S Terms ExplorerとしてGBDの補助ツールとしても組み込まれています。商品役務名について、検索すると、過去 10 年間に少なくとも 30 回受け入れられてきた統計データを商標庁ごとに、折れ線グラフで頻度を示す統計形式で示すことができます。検索法としては、Exact(同一)、String(部分検索)、Semantic(類似検索)のいずれかでG&S Terms(商品役務名)を探し、過去10年どれだけ使われてきたのかを確認することができます。探索した用語のままGBDに移行できます。

Global G&S Term Explorer

世界知的所有権機関(WIPO)

81 / 100
Loading