米国商標実務 使用証拠(使用見本)としてのウエブページ(web pages) 5つのpage例

使用見本となるウエブページ

インターネットで製品についての情報を提供することが一般化した今日では、米国での登録時、5年目―6年目、9年目―10年目に提出する商標の使用を証する使用見本(Specimen of use)としてWebsiteを印刷したものやスクリーンショットとして取り込んだ画像が多く利用されています。これらのウエブサイトは、指定商品に対しても使用見本とすることができ、同様に指定役務に対しても使用見本とすることができます。2019年12月21日施行のルール改正では、そのページのURLアクセス若しくは印刷をした日を記載することが必要となっています。この記載方法としては、ウエブサイトの画像の中(但しスクリーンショットの余白部分)にページのURLとアクセス若しくは印刷をした日を記載する方法と、ウエブサイト画像とは別に説明欄にページのURLとアクセス若しくは印刷をした日を記載する方法があります。また、ウエブページは本人のものでなくとも良く、第三者の商品販売のページ(例えば、Amazon, 楽天グローバルなど)でも利用できます。ウエブサイトもPC用のものに限らず、モバイル専用のページであっても使用できます。

使用見本となるウエブページ
URL and Date of Access or Print are needed (from USPTO website)

州際通商が必要

米国商標制度での商標の使用は州際通商(interstate commerce)についての使用になりますから、州と州の間の取引或いは州と外国との間の取引についての使用が必要です。例えば、ある商品が日本だけで流通している場合は、州際通商とはならないので、その商品が全米のどこかの州に販売若しくは搬入されるまで待つ必要があります。また、使用証拠の対象となる使用は、恒常的な商標の使用であり、権利の維持のために使用されたものは適さない証拠となります。商品については、商標が商品に付されていて且つその商品が販売若しくは搬送されることが必要で、役務については、その役務の販売または広告で商標が表示され且つ役務が州際通商で行われることが必要です。

商品の使用の証拠

ウエブページは、商標の使用を証する使用証拠として、商品と関連したディスプレイ(商品表示)”display associated with the goods”を次の場合に構成します。その条件とは、i) 指定商品の画像若しくは文章を含み、ii)その商品と関連して商標が示されており、iii)その指定商品を注文する手段が提供されていることの3点です。商標は商品との関連で顕著に配置されることが必要で、特に重要なのは、オーダーリングインフォメーション(注文情報/Ordering Information)につながるボタン(order, shopping cart/bagのボタンやリンク、製品からオーダーページへのリンクと”Buy Online Now”の文字)や、これに類する情報(オーダー用の電話番号、例えば”Call 1-800-xxx-xxxx to Order Now”の表示)等がそのページに配置されていることです。このオーダーリングインフォメーション(注文情報)がないウエブページは、単なるプロモーション用のページであり、売買ができないページでは商標の使用を証する使用証拠としては十分ではありません。また、証明すべき商標が、単にURLの文字列に過ぎない場合や、パンくずナビゲーションの文字に過ぎない場合などでは、その商品と関連して商標が示されるという要件が満たさないと考えられています。”Where to Buy”ボタンは単に売り先の情報を提供するに過ぎないものとして、それだけでは十分ではないとされています。また、電話番号や電子メールアドレスが、もし商標権者若しくは商標出願人へのお問合せ情報に過ぎない場合には、指定商品を注文する手段が提供されていないと判断されます。また、サンプルやウエブページに示されている商標が登録すべきもしくは登録された商標見本(drawing)と同じであることが必要で、例えば登録が日本の実務に見られる英語と片仮名の2段書きの見本の場合はその2段書きのままの証拠を出すことが必要となります。

Example 6, Mark: BROOKS BROTHERS, From TMEP
Example 11, Mark: RING IN THE NEW YEAR WITH OUR RINGS, From TMEP

役務の使用の証拠

ウエブページを、役務に対する商標の使用を証する使用証拠として使用することもできます。役務商標の場合には、商品のようなカートが必要というような要件はありませんが、商標を示す部分サービスを示す部分の2つが含まれる必要があります。商標と商号が同じ場合に、ページの著作権表示だけの使用は、商標の使用としては十分でない可能性が高くなります。商標は、一般的に、ページの左上部分にあり、そのような位置に商標が示されてれていれば、他の条件を満たすことを条件に受け付けられることになります。役務の広告にfacebookなどのSNSを利用して実はそれ以外の役務を宣伝している場合に、その指定役務を「ソーシャルネットワーキング」と誤解している場合があり、そのような場合に「ソーシャルネットワーキング」を証すべき役務とする使用見本を提出しても拒絶される例もあります。例えば、実際にペットショップを運営していて、Facebook®Webサイトのみを使用してペットショップを宣伝している場合に、Facebook®Webページをサンプルとして提供しても、そのような標本は、申請者がこれらのサービスを提供していることを証明していないため、指定役務のソーシャルネットワーキングサービスには受け入れられません。

Infrastructure as a Service (IAAS) services, … namely, providing virtual computer systems and virtual computer environments through cloud computing, in Class 42.
Entertainment services, namely, providing online video games, in Class 41.

失敗例と成功例から学ぶ使用供述書・使用宣誓書の適切な使用見本(Specimen)の解説
マドプロ・米国の使用宣誓書の提出†
Specimens

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