商標登録+α: 拒絶理由通知に対する意見書記載例#24

特許庁審査官等から受けた拒絶理由通知等に対し、反論した「意見書、審判請求書」の具体例を小川特許商標事務所のサイトから転載しております。

本願商標「ACTIVECUP/アクティブカップ」×引用商標「ACTIVE」「アクティブ」

1.出願番号 平成11年商標登録願第70437号
2.商  標 「ACTIVECUP/アクティブカップ」
3.商品区分  第29類:乳製品,豆乳&第32類:清涼飲料,果実飲料他
4.適用条文 商標法第4条第1項第11号
5.拒絶理由  ACTIVECUP/アクティブカップ」は「ACTIVE」「アクティブ」に類似する。

商標登録第4407674号 拒絶理由通知 意見書
出願商標
商標登録第1144138号
引例商標1 登録第1144138号
商標登録第2117121号
引用商標2 商標登録第2117121号
登録第2695904号
引例商標3 登録第2695904号
商標登録第4342299号
引用商標4 商標登録第4342299号

拒絶理由通知 意見書における反論

(1)拒絶理由通知書(発送番号081723)において、審査官殿は、以下の商標を引用し、本願商標は、第29類においては引用商標2,4と類似することにより、第32類においては引用商標1,2,3,4と類似することにより、商標法第4条第1項第11号の規定に該当し、登録を受けることができないと認定された。
(引用商標)
1.登録第1144138号の商標「ACTIVE/アクティブ」(引用商標1)、
2.登録第2117121号の商標「アクティブ」(引用商標2)、
3.登録第2695904号の商標「ACTIVE」(引用商標3)、
4.登録第4342299号の商標「アクティブ/ACTIVE」(引用商標4)。
しかしながら、本出願人は、本願商標と引用商標1~4とは、外観,称呼および観念のいずれにおいても類似せず、取引者・需用者に出所の混同を起こさせるおそれのない非類似の商標であると思料するので、斯かる認定に承服できず、以下に意見を申し述べる。
(2) まず、本願商標は、上段の欧文字と下段の片仮名文字で「ACTIVECUP/アクティブカップ」と二段併記して成るものであるのに対し、引用商標は、上述のとおり、何れも、欧文字の「ACTIVE」と片仮名文字の「アクティブ」で上下二段に構成したり、単に欧文字の「ACTIVE」や片仮名文字の「アクティブ」から成るものである。
したがって、本願商標と引用商標1乃至4とは、外観上類似することはない。
(3) 次に、観念の点についてみると、本願商標の「ACTIVECUP/アクティブカップ」は、その上段部分においては、活動的なとか、活発なとかの意味を表す「ACTIVE」の文字と、紅茶・コーヒー用のカップや茶わんとか、シャンパン・ぶどう酒・りんご酒などに香料・甘味を混ぜて氷で冷やした飲料、即ち“カップ”とか、優勝杯とかを表す文字とを一体一連に結合して、全体として「活動的な(人の)飲料、活発な(生き生きとした)カップ飲料」等の意味合いを込めて造った造語である。また、その下段部分は、上段の欧文字部分「ACTIVECUP」の読みを表すべく一連に書した片仮名文字である。
したがって、本願商標は、全体として「活動的な飲料、活発なカップ飲料」などの意味合いを暗示させはするものの、あくまでも分割することのできない一連一体の造語商標であって、格別に特定の観念を生じさせるものではない。
また、引用商標は、活動的なとか、活発なとかの意味を表す「ACTIVE」の文字やその読みを片仮名文字で表した「アクティブ」から成るもので、字義通り、「活動的な」とか、「活発な」とかの観念を生じさせるものである。
したがって、本願商標と引用商標とは、観念上も類似することのない非類似の商標である。
(4) そこで、以下、称呼の点につき検討する。
(4-a) 本願商標は、上述のように、上段の欧文字部分が「ACTIVECUP」というように同書・同大・同間隔で一連に書され、下段の片仮名文字も上段の読みを表すべく、「アクティブカップ」と一連に書されたものであるから、この態様より、一連に「アクティブカップ」とのみ称呼されると見るのが自然である。
この点に関し、審査官殿は、本願商標の後段である「CUP」の文字部分を品質表示的にとらえ、前段である「ACTIVE」の部分にこそ商標の要部があるとみてこれを抽出し、単に「アクティブ」と称呼される場合もあると判断し、引例の「ACTIVE」ないし「アクティブ」を引用してきたものと思料するが、このように、本願商標の「ACTIVECUP」から、その「ACTIVE」の部分のみを抽出して称呼するというのは妥当な見方ではない。
本願商標「ACTIVECUP」は、あくまでも「ACTIVE」と「CUP」とを一体に結合して同書・同大・同間隔に書し、全体として「活動的な(人の)飲料、活発な(生き生きとした)カップ飲料」等の意味合いを込めて造った商標であるが、全体として特定の観念を生じさせない一連一体の造語商標であるから、前段部分「ACTIVE」と後段部分「CUP」とに軽重の差を設けて、前段部分「ACTIVE」のみを抽出して称呼するようなことはすべきではない。本願商標は、その様なことのないように一連一体に結合して表記しているのであり、読みも片仮名で一連に「アクティブカップ」と書しているのである。しかも、本願商標は6音構成からなるものであるが、全体として一連に称呼して語呂がよく、決して称呼しにくい訳でもない。それ故、あえて「ACTIVE」と「CUP」とを分断して、一方の「ACTIVE」のみを抽出して、「アクティブ」と単独で称呼すべき場合があるなどと考えるべきではない。本願商標の称呼は、あくまでも一連の「アクティブカップ」のみである。
これに対し、引用商標1乃至4はいずれも、その態様より「アクティブ」とのみ称呼されるものであるから、両者は「カップ」の称呼の有無により、明らかに聴別でき、称呼上も決して類似することはないものと思料する。
(4-b) ところで、過去の商標登録例を見ると、同一又は類似の指定商品群において、「CUP」や「カップ」の文字を有する商標と有しない商標とは、以下の通り、別法人によって多数並存登録されているのが分かる。
例えば、
(1) 第 919621号「ライト/LITE」(サッポロビール㈱)と、
(2) 第2034803号「ライトカップ/LIGHTCUP」(㈱ロッテ)。
(3) 第2700970号「GOLDEN CUP/ゴールデンカップ」(日米珈琲㈱)と、
(4) 第2708466号「ゴルデン/GOLDEN」(エーザイ㈱)。
(5) 第2076630号「FANCY」(明治乳業㈱)と、
(6) 第2467493号「FANCYCUP/ファンシーカップ」(鐘紡㈱)。
(7) 第1519487号「パワー」(森永乳業㈱)と、
(8) 第2476782号「パワーカップ/POWER CUP」(明星食品㈱)。
(9) 第2423840号「パワーカップ/POWER CUP」(明星食品㈱)と、
(10)第2700033号「POWER」(パワーブルーイングカンパニーリミテッッド)。
(11)第3181369号「STAR」(サッポロビール㈱)と、
(12)第4180396号「STARCUP」(ユニリバー エヌ ヴィ)。
(*これらを第1号証乃至第12号証として提出する。)
この場合、仮に「CUP」や「カップ」が商標の要部ではないと判断されていたならば、後願に係る商標は拒絶されていたはずであるのに、現実には登録されているのである。これは「CUP」ないし「カップ」も品質表示などではなく商標の要部であると判断されたからに他ならない。
つまり、これらの商標が存在しているのは、「CUP」「カップ」の文字にも商標としての識別性を十分に認め、あくまでもこの「CUP」「カップ」の文字を含めた商標全体として1つの不可分一体の商標を構成すると判断し、審査したからに他ならない。(*「CUP」「カップ」の文字が、もし仮に品質表示であるとするならば、この文字を用いた登録商標の指定商品は、「カップ入りの…」というように表示されていなければならないはずであるのに、現実にはそうなっていない。このことも、「CUP」「カップ」が品質表示とされていないことの証左である。)
本願商標と引用商標の関係も、これら(1)と(2)、(3)と(4)、(5)と(6)、(7)と(8)、(9)と(10)、(11)と(12)の各商標の関係と軌を一にするものであって、本願商標の「ACTIVE」「アクティブ」の部分のみをとらえて、称呼され、観念されるようなことはない。本願商標は、あくまでも、片仮名で読みを振ったように「アクティブカップ」とのみ一連に称呼されるべきものであり、それ故に引用商標の称呼である単なる「アクティブ」とは、類似することはない。
(5) 以上のように、本願商標と引用商標とは、外観および観念上類似しないことは勿論、称呼上も「カップ」の称呼の有無によって語感語調を全く異にし、聴者をして決して紛れることはないものと思料する。
よって、本願商標と引用商標とは非類似の商標であり、本願商標は商標法第4条第1項第11号の規定に該当するものではないと思料する。

商標登録+α: 拒絶理由通知に対する意見書記載例目次
(拒絶理由通知 意見書)

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