業種別商標出願の得策 #5 ファッション・アパレル

ファッション・アパレル業界で重視されるのは、最新情報を分析したり、流行を作り出す感性であったりと、様々なファクターであろうと思いますが、何処のファッション・アパレル関係の企業も究極の目標の1つは、強いブランドの構築ではないかと推測致します。

ブランド構築

価値があるものと認識させるブランドは、商標が中心にあるとは思いますが、ブランド力が発揮される状態になるには、商標に乗ずる業務上の信用の蓄積が不可欠です。商品の品質を維持することや、店舗での接客、宣伝広告、メディア露出の量や期間も
業務上の信用の構築に大きく寄与します。類似のブランドが発生しつつある場合は、野放しではなく早めにその芽を摘み取るようにすることも重要です。偽ブランド品には輸入差し止めなどを手段を迅速に取る必要もあります。

アパレルとブランド
アパレルとブランド

商標の取得法

ブランドを構築するには、商標権を取得することが必要です。商標登録出願の準備は短時間で可能ですが、出願してから登録になるまでは、日本では半年前後の期間がかかり、外国での権利取得にはそれ以上の時間がかかります。商標取得のための戦略には、費用と同時に時間も考慮する必要があります。

A.商標の選択

商標を選択する場合には、商標調査を行います。アパレル関係の場合、特に念入りな調査が望まれます。調査には、スクリーニングと侵害の有無で範囲を考えます。手っ取り早くは、googleやyahooの検索をします。また、特許庁のJplatpatで国内の既存の商標登録を確認し、WIPOのGLOBAL BRAND DATABASEや、欧州連合知的財産庁のTMviewで世界中の数多くの国での登録を確認することができます。ファッション・アパレル関連の商品は、世界中のどこでも流通し得る可能性があり、将来を見据えた範囲での調査が時間を節約するために必要です。

B.商品・役務

ファッション・アパレル関連の商品は、被服(第25類)が主たる指定商品という場合も多いと思いますが、関連商品は多岐にわたります。例示すると、

第9類 サングラス
第14類 指輪 時計 装飾品
第16類 手帳
第18類 かばん 財布 傘 名刺入れ
第25類 被服 靴 運動用特殊靴 帽子
第26類 被服用アクセサリー

また、店舗や通販で小売りの展開を行う場合では、第35類での権利も取得することが有効です。

C.外国での商標登録

ファッションアイテムなどの商品は、特に日本で流行し始めた時点で、中国、韓国、台湾、香港などの近隣の国で第3者が権利取得に動いていることがしばしば発覚します。これらの国や地域では、先願主義を採用しているため、権利を取り返すことは容易ならないことになります。商標のブローカーが相手の場合もあり、不使用取消には最低3年の期間待って費用をかけることになってしまうことになりやすく、その間は輸出ができないことになります。ファッション・アパレルのブランドでは、日本に店舗を構える程度の規模になる前に、これらの国での商標の保護を図るべきと思われます。さらに日本からの輸出という側面ではなく、これらの近隣の国で商品の製造をしている場合にも、これらの国からの輸出直前に相手からの権利行使も可能性があり、物流を安定させる意味での権利を取得する必要性があります。また、近年の市場規模や商圏に合わせて、近隣諸国だけではなく、東南アジアや中央アジア、欧州、北米などへの権利取得を段階的に進めることも考えるべきと思われます。

輸入差し止め

ブランドを保護するための手段としては、知的財産権の商標法、意匠法、不正競争防止法、著作権法などを用いることができますが、例えば、税関での輸入差し止めを図る場合には、権利の所有を簡単に証明できる商標権が使いやすく、迅速な対応が可能です。有名ブランドメーカーでは、権利の確保がされています。詳しくは関税・差し止め のページへ

Birkin エルメス・アンテルナショナル、商標登録第5438059号 立体商標
Birkin エルメス・アンテルナショナル、商標登録第5438059号、立体商標
Kelly, エルメス・アンテルナショナル、商標登録第5438058号、立体商標
Kelly エルメス・アンテルナショナル、商標登録第5438058号、立体商標

ブランドを構築するのは、短期にはできません。しかし確立されたブランドの破綻は構築よりも短い時間で可能です。ブランドの保護は時間も費用もかかります。弊所と致しましては知的財産の保護にお役に立てる機会があればと常に考えております。まずは、お気軽にご相談頂ければと存じます。

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