商標登録を検索 (商標調査)🔍 –商標調査の全体像を分かり易く解説

商標登録を考えている場合に、その商標が果たして登録になるのかどうかをある程度予測するための方法として登録可能性調査があります。また、商標を使用した場合に、他人の商標権侵害をしていないか等を調査する侵害調査を行うことも重要です。商標調査については、以下のように目的別、対象別、地域別で大別することができ、日本の場合簡単な他人の商標登録は、特許庁のサイトのJPLATPAT(特許情報プラットフォーム)で検索可能です。なお、簡単に商標登録の登録日を確認したい方はこちら(商標登録の登録日の確認方法)へ。

1.商標検索ってどこまで調べれば良いの?

商標検索は他の知的財産権よりは検索範囲が少しだけ分かり易いです。商標検索ってどこまでの答えは、番号や出願人/権利者で検索する場合を除き、原則検索対象の商標から考え、その類似の範囲です。同じ商標があるのかないのかだけでは商標データベースで使用して調査しても余り意味はありません。類似の範囲が分かり難いかもしれませんが、実務上は2つの概念を組み合わせて類似の範囲を決めています。1つは標章(マーク自体)の類似で、もう1つは商品・役務の類似です。この類似の範囲が何故重要なのかというと、これから出願しようとする商標が拒絶されないためにはその類似範囲に他人の登録商標がないことが必要だからです(商標法4条1項11号)。また、商標を使用しても大丈夫でしょうか?という疑問に答える範囲も、この類似範囲で考えます。即ち自分の使用する商標の類似範囲に他人の登録商標が存在していないことが他人の権利を侵害していないという安心につながります。もし他人の先登録商標が自分の商標の類似範囲にに存在していれば、侵害にもなりますし、商標権を得ることもできません。

類似の範囲をもう少し詳しく

標章の類似

標章の類似の原則は、仮に同一又は類似の商品役務にそれぞれの標章を使用した場合に彼此混同するかどうか?です。分析手法としては、外観、称呼、観念の類否を判断します。ちなみに米国では、”appearance, sound, meaning,(and commercial impression)”を類似判断の基準(TMEP 1207.01(b)(i) Word Marks)としています。結合商標については要部か否かや、比較的長い文字列の場合は一連称呼されるのか否かなどを考慮します。類否判断の重みとしては、称呼が他の2つよりも重視される傾向もありますが、それも絶対的なものでもなく、差異が微妙な場合には見比べて判断するところと思います。類否判断について詳しくは商標の類否を参考に。

商品・役務の類似

商品・役務の類似は、審査が対象か、裁判での話かで少し考え方が違います。審査段階、特に審判に行く前の話では、原則類似群コード(商品・役務の類否と類似群コード)が同じかどうかで類似範囲にあるかを判断します。拒絶査定を受けても、審判では、同じ類似群コード内でも非類似の商品であるとの反論も可能で、審査段階よりも取引の実態を加味した判断がなされる傾向にあります。次に、裁判所では、類否判断について類似群コードが主役となる訳ではなく、原則は同一又は類似の標章を使用した場合に、その営業主体を彼此混同するかどうか?です。しかし類似群コードが主役でないとしても悪役に回る訳でもないので、同一の類似群コードであることは状況証拠にはなりますのでデータベースでの検索には効率的と思います。

調査範囲の欠落期間

商標調査は基本的には商標登録を数多く収録したデータベースを使用して検索します。所定のデータベースにアクセスして検索を行うものでは、データベースの最終更新時と調査時点では多少の時間差(タイムラグ)があり、その期間についてアッデートが間に合っていないためにデータが欠落している期間があり、これをブラックアウト(Blackout)期間と呼んだりしています。このような欠落期間がつきものなので、調査に絶対はなかったりもしますが、商標の場合は他の産業財産権四法の出願と比べてもの出願から公開までのタイムラグが短いため、調査精度は高くなります。

検索で類似と判断される場合であっても全く登録できない訳ではない

商標がとれるかどうかの商標検索は、主には審査段階の話ですので類似群コードを念頭に考えれば良いと思います。しかしながら、中には審査では難しいけど審判でとれるかもしれないレベルも勿論存在しますので、弁理士などの専門家(特に商標を専門とする弁理士)の意見を聞くべきところはこの辺りにありそうです。競合している他社商標の使用の状態を分析することも必要になったりします。補正などでは回避できない場合でも、一般に費用はかかりますが、不使用取消審判で邪魔な商標権を取消たり、一度出願を譲渡して返してもらうアサインバックなどの方法で許可をもらって権利取得する方法があります。
library-search

2.商標調査-目的別

a.登録可能性調査

登録可能性調査は、商標登録をしようとする範囲でもし出願をした場合に登録できそうか否かを調べる調査になります。称呼(商標の呼ばれ方)の類似を中心に調査し、拒絶や他人の先行商標の存在などのリスクを避ける意味で違う形での出願も併せて考えている段階での調査に最適です。この登録可能性調査はscreening search, knock-out searchとかavailability searchとも呼ばれます。基本的には権利化可能な自他商品識別力のある商標を選んだ場合あっても、同一若しくは類似の商品役務の範囲で他人の登録商標と標章が同一や類似の場合には、その商標登録が難しくなります。詳しくは商標法の第4条各号の登録できない商標に該当する場合です。このうち最も問題となり易いのは、先に登録された商標に類似する場合(4条1項11号)です。出願後に商品役務や商標が類似していないことを意見書で述べることでも権利化できる場合もあります。しかし、まだネーミング(名づけ)の段階の場合には、類似する先行する出願がないことを商標調査で調べることが賢明です。もし、似たような登録商標があるときには、選択された他の商標に鞍替えすれば問題の解決になります。登録可能性調査の結果を以て、特に、複数の商標についての候補がある場合に、権利の広さや競合する商標の強さや重なり具合を総合的に判断することが可能となります。より詳細な調査が必要な段階、たとえば製品を商標登録出願と並行して販売や出荷する場合や、費用をかけて大きく宣伝、広告を打ってでる場合には、出願と並行して詳細な商標調査を行うことをお勧めします。最も簡易な商標調査は、インターネットのサーチエンジンを使用する方法があります。特に海外での商品やサービス展開を考えている場合には代表的なサーチエンジンを利用することが有効です。これらのサーチは無料で、すぐに結果がわかります。ただし、これらは同一の商標を探す場合に有効であって、商品や役務を調べたり、類似の範囲までとなると商標調査用のデータベースを参照する必要があります。また国内の商標については無料の特許庁のサイトのJplatpatを利用したりします。

b.侵害調査

侵害調査は自分の製品やサービスが他人の商標権と抵触するかどうか或いは他人の製品やサービスが自分の商標権と抵触するかどうかを調べる調査です。商標を既に使用している場合や、これからすぐ商標を使用する場合に、特許庁での登録出願の審査結果を待っていては遅い場合があります。例え特許庁に対して自分の商標登録について出願中であっても、その事を以って免責されることもないため、未登録で出願中の商標に係る商品を大量出荷をしている場合には、実は他人の商標権を侵害してしまう可能性があり、侵害している場合にはその他人に対して多額の損害賠償責任を負うことになります。そこで安心して販売できるかどうかを調べるために、侵害調査を行います。逆に、自分が商標権者であり、自分の商標権を他人の業務に対して行使できるかどうかは、第三者の行為が侵害行為に該当するのか否かの問題であって、こちらもその調査は侵害調査になります。一般的に自分の権利の権利内容は把握できますので、調べるのは相手の業務内容や宣伝広告行為であったりします。当所では、特許庁の審査における「登録可能性」についての商標調査の他に、他人の商標権侵害をしていないか等を調査する「侵害調査」についても力を入れております。実際にお客様の業務での使用形態や、相手方の業務や形態を考慮しながら、侵害可能性についての助言をいたします。

c.商標使用調査

不使用取消審判を請求する場合に、被請求人側での使用の有無を調べる調査です。実際の市場調査も行うこともありますが、簡単にはGoogleやYahooなどの検索エンジンを活用して、被請求人側での指定商品での商標の使用をcheckします。使用権者により使用されている場合には、使用の有無を知ることは困難ですが、商標権者が使用している場合には、かなりの確率で使用している否かを見極めることができます。不使用取消審判を請求された場合には、審判請求の登録日から遡って3年内の期間(要証期間といいます。)での商標権者らの国内での商標の使用を立証できれば、取消を免れることができます。過去の商標使用状態が問われていますので、ウェブサイトでの使用の有無には過去のウエブサイトの表示を保存できるInternet Archiveが使用されたります。

Trademark Search
Search

3.商標調査-対象別

a.特定の商標検索

登録番号が分かっている場合や、商標権利者、出願人などが分かっている場合に、特定の商標を検索します。商標の画像自体が分かっている場合や文字商標の文字列が分かっている場合も、図形やそれらの文字で検索が可能です。調査時間は通常、短時間で済みます。商標の検索と並行して、指定する商品や役務などが分かっている場合には、その区分若しくは類似群コードを利用して絞り込みを行うこともできます。一般に、審査段階での商品や役務の類似の範囲は、類似群コードで決められていますので、類似群コードで絞ることは有効です。日本の商標については番号、商標権利者、出願人が既知の場合や称呼の一部一致の場合に次のJplatpatの検索窓からも検索可能です。なお、この検索窓は簡易検索であり、類似範囲までの検索するためには、称呼検索まで可能なJ-Platpatのページでの検索が必要です。Jplatpatの簡易検索についてJ-platpatの簡易検索で簡単に検索のページに詳しく説明しています。

b.称呼調査・類似調査

登録可能性調査(availability search)では、登録しようと思っている商標だけを調査しても十分ではなく、類似の範囲、より正確には、類似の範囲を一歩出た非類似の範囲までの商標を検索して、今から出願しても登録できそうか否かを判断します。これらの近似する範囲まで検索させるように、データベースの入力を行う必要があり、日本では特許庁のJ-platpat の商標検索の2番目の称呼検索で検索でき、外国では欧州連合知的財産庁のTMViewのアドバンスサーチからFuzzy Searchのチェックボックスにcheckを入れて検索します。また、中国、国家知识产权局商标局の中国商標網では、商标近似查询のページから検索可能です。米国の特許商標庁での審査ではX-Searchと呼ばれる手法が採用されており、Boolenサーチの検索記号を使いこなした検索が行われます。詳しくは米国商標データベース(TESS)の検索テクニックのページへ。

FUZZYサーチなどの機能がない場合には、次のような観点から検索キーワードを準備します。Trademark Searching, by Glenn A. Gundersen, INTA 2000, 2nd Edより一部抜粋。

i.接頭辞、接尾辞の変形/Variations (Prefixes, Suffixes)

例えば”VISION”に対して”VISIONS, VISUAL, VISIBILITY, VISIBLE, ENVISION, etc.”

ii.不規則な複数形/Irregular Plural Contractions

例えば”FOOT”に対して”FEET” ”FORMULA”に対して”FORMULAE”

iii.改変された綴り/Corrupted Spellings

例えば”easy”について、”EZ, EASI, EZEE” “cheese”について、”CHEEZE”

iv.音の類似と言葉遊び/Phonetic Similarities and Word Play

例えば”I see”について、”iSEA. IC, EYE SEA”, 次の組み合わせ(Y/I, PH/F, C/K, C/S, KN/GN/N), (SIN, SYN, SIM, SYM, CIN, CYN, CIM, CYM)など。

v.名前・名称/Names

TOMとTHOMAS、KARENとCAREN、WILLIAMとBILL

vi.略号/Abbreviations

STREETとSTやSTR、DEFENCEとD-FENSE

viii.句読点/Punctuation

ABCに対して”A B C”

ix.類義語/Synonyms

CYCLONEとTYPHOON

x.代わりの綴りと他言語の同等物/Alternate Spellings and Equivalent in Other language

“jail”と”prison” “fiber”と”fibre”

xi.視覚的な同等物/Visual Equivalents

図形同士が似ているもの

c.図形調査

図形調査は、商標を構成する要素に図形がある場合に、似たような先登録商標を調べる調査です。図形調査には、大きく分けて図形コード(Design Code)を検索する方法と、図形の説明(Design phrase)を検索する方法があります。図形コードを検索する方法では、図形要素に付与されたウイーン分類により分類番号を利用します。分類番号には、大分類から小分類まで図形を分類するように番号が付与されていますので、番号を利用して所望の商標をデータベースから抽出します。日本では特許庁のJ-platpat の商標 4.図形等商標検索で検索できます。図形の説明は、主に米国の商標に付与されている文章で、例えばGoogle Mapのiconの登録(米国商標登録第5152049号)には次の記載があります。図形の説明は基本的には、出願人側の主観的な図形への解説になりますので、しばしば説明が抜けている場合もあり、同じような図形が異なる説明になったりします。
Google Map Icon


Description of Mark: The color(s) green, white, yellow, blue, grey, and red is/are claimed as a feature of the mark. The mark consists of a square with rounded corners containing an upper case white letter “G” in a green background to the left of a red pin with a darker red dot appearing on an offset grid background in the colors yellow, blue, white and grey.

d.公序良俗違反調査

いわゆるnegative checkと呼ばれる調査で、商標の読み方やスペリングなどでは、その国の公序良俗に反してしまうことも発生しますので、そのような問題についての出願前にチェックします。GM(ジェネラルモータース)の自動車NOVA(新星)は、スペイン語で”動かない(not going to work)”の意味があり、南米では売れ行きが悪かったというのは良く聞く話です。

World Map
World Map

4.商標調査-地域別

a.国内商標調査

日本国内で商標登録が可能かどうかや日本で対象商標を使用して他人の権利に抵触しないか否かを調べる調査になります。通常は、特許庁のJplatpatの商標データベースを使用して先登録商標の存在を調べます。Jplatpatのデータは、出願中のものも含まれますが、出願日よりは2~3週間のタイムラグがあり、例えば昨日出願された商標出願は2~3週間は世の中に知られずに存在します。このため最新の商標調査でも発見できない商標出願が存在する可能性は常につきまといます。

b.海外商標調査

海外商標調査は海外でも商品展開やサービス展開を進める場合に有効です。輸出先に大量に商品を出荷してから商標を既に取られていたのを発見というのはビジネスとして失敗です。市場への商品や役務の提供のタイムラインも考慮して、海外の商標、サービスマークの十分な事前調査をお勧めします。negative checkなどのために事前に現地代理人へコンタクトして意見を聞くことも重要ですが、今日では 100 以上の他言語にすぐに翻訳可能なGoogle翻訳によって現地語の意味もある程度チェックできます。ひと昔前と比べて商標データーベースの整備は各国とも進んでいます。現在では、デスク上でキーボードを叩いたり、或いは図形の画像をドラッグ&ドロップして、地球上のかなりの領域の商標を検索することが可能です。

4.商標調査用データベース(外部サイトへのリンク)

5.商標調査用データベースの解説