関税法 差止手続🛃

商標権侵害の水際取締の手続

商標権侵害とされる貨物の輸入を差し止める際には、その対象となる疑義貨物が商標権の侵害となるか否かの認定手続を行います。認定手続の結果、侵害品である認定された貨物は税関長は輸入禁制品として没収等を行うことになります。

商標権侵害の水際取締の手続

1.輸入差止め申立

輸入差止め申立は輸入差止め申立書を必要部数(全国の場合は、9部)を提出します。代理人の場合には1部を原本として委任状を添付します。権利の登録原簿の謄本と公報、侵害物品と認定できる資料として真正商品および輸入差止め申立にかかる侵害物品に見本、写真、カタログなどを添付します。また、輸入差止めを希望する期間として2年以内の期間を記載します。尚、その輸入差止めの期間の満了前の3か月間に更新申請書を提出することで、延長させることができます。類似商標の輸入差止め申立については、厳格な判断が必要なため、類似商標に対する特許庁の判定書や裁判所の判決書があれば提出しますが、これらの書類がないときは類似に関する鑑定書を提出することになります。

2.疑義貨物の発見

税関は、知的財産侵害物品の疑いがある貨物(疑義貨物)を発見した場合には、輸入者及び権利者に対して認定手続を開始する旨を通知するとともに、これに併せて、輸入者及び権利者双方にそれぞれの名称又は氏名及び住所を通知します。

3.認定手続

認定手続は簡単に言えば商標権侵害の白黒をつける手続です。認定手続を開始する旨を通知を受け取った輸入者及び申立者は、原則として10日以内に侵害の有無についての意見を証拠とともに述べることができます。これらの証拠、意見、そして税関自身で収集した証拠に基づき、各税関の知的財産調査官または知的財産担当官が侵害の有無を判定します。また、輸入者及び申立者は意見を述べることができる期間内に疑義貨物についての点検をすることができます。特許等の場合には、供託をすることを申立人に命令することができ、供託ができない場合には認定手続は取り止めとなります。商標権侵害の疑義貨物についての認定手続では、特許庁長官への意見照会はなされないものとされています。また、商標権侵害の疑義貨物についての認定手続の取り止め請求も特許等とは異なりできないものとされています。

輸入者は認定手続が開始された後でも、その認定手続中に疑義貨物を所定の手続きを経て廃棄し、任意に放棄することができます。このように疑義貨物が輸入されないこになった場合には、申立人にその旨が通知され認定手続は取り止めとなります。また、認定手続中に、申立人の同意があれば疑義貨物の疑いのある部分を切除することで、非侵害の認定を行い、輸入を許可することも可能です。

東京税関 江東区
東京税関 江東区青海

4.通関/差止め

認定手続の結果は、輸入者及び申立者に理由を以て通知されます。認定の結果、疑義貨物が侵害品であるとの認定を受けた輸入者は、i)通知内容に不服の場合、2か月以内に税関長に対して異議申立をすることができ、ii)侵害品であると認定された貨物を所定の手続きを経て、減却し、または任意に放棄することができます。商標の場合には、積戻しのための輸出の承認が行われないこととされています。iii)権利者からの同意があれば、侵害部分の切除などの修正を行うことも可能です。

商標権にかかる並行輸入は、判例により、権利侵害にはあたらないとされ、税関では並行輸入を差し止めることはできない取扱いとなっています。

輸入差止(関税法)のQ and A
模倣品に関するトラブルにご注意!-令和4年10月から水際取締りが強化されました-

When suspending the importation of goods suspected of infringing trademark rights, procedures are taken to determine whether or not the goods in question constitute infringement of trademark rights. As a result of the identification procedure, the customs director will confiscate the goods identified as infringing goods as import prohibited goods.

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