知的財産権とライフエンドプランニング

著名な俳優、音楽家やスポーツ選手、作家や漫画家などの有名人も自然人ですから、いつか永眠することは避けることはできず、死と同時に残された遺族への財産相続も発生します。不動産や有価証券などの財産については、その専門家に委ねるとしても、その有名人に知的財産権がある場合は、遺族にその知的財産権の恩恵を渡すためには、生前に確認すべきことがいくつかあります。米国の例ですが、故人でも稼ぐ方のランキングが掲載されており、Forbesに挙げられた著名な故人の2018年のランキングは次の通りです。

  1. Michael Jackson, $400 million, Musician
  2. Elvis Presley, $40 million, Musician, Actor
  3. Arnold Palmer, $35 million, Athlete
  4. Charles Schulz, $34 million, Cartoonist
  5. Bob Marley, $23 million, Musician
  6. Dr. Seuss, $16 million, Author
  7. Hugh Hefner, $15 million, Media Mogul
  8. Marilyn Monroe, $14 million, Actor
  9. Prince, $13 million, Musician, Actor
  10. John Lennon, $12 million, Musician

In Memoriam: Arnold Palmer, 4:32

ミュージシャンのマイケルジャクソンが断トツの一位ですが、音楽家だけではなく、ゴルファーや漫画家などもランクインしています。死亡年齢については、ほぼ寿命年齢の方もいますが、未だ働き盛りの年齢で亡くなった方もトップテンで半分ほどいます。不慮の事故は突然ですから、三途の川を渡りそうになったら知的財産権の在り方を考えるでは遅い場合もあり得ます。生前の時点で確かなプランニングをすることが重要です。

現状所有する知的財産権は何かを把握

初めに、現状で何の権利を享有していて、自身の死去で、どうなるかを考えましょう。著名な芸能人、音楽家やスポーツ選手、作家や漫画家など有名人では、それぞれ所有する知的財産権が異なりますが、割合の多くは著作権で保護するものとなりますが、著作権の財産権の部分を享有しているか否かは契約に依存します。そして商標権などの産業財産権、特に配慮が必要なのは肖像権や氏名についてのパブリシティ権について考えてみる必要があります。

著作権

音楽分野 ミュージシャンや演奏家などの実演家が所有する著作権は、著作隣接権となりますが、このような音楽系の著作権では、一般的にJASRACなどの著作権管理団体に信託譲渡を行い、代わりに利用者から徴収した楽曲著作権使用料を受け取る信託受益権を得ています。レコード会社から楽曲を発表する場合は、音楽出版社が著作権管理団体から信託受益権を得ていると思いますし、歌手はCD発売や音楽配信については著作権(実演家の著作隣接権)の譲渡若しくは使用承諾を音楽出版社に行っていると思います。CD販売の場合、JASRACでは、信託制度の利用料として6%の費用徴収があり、原盤印税15%前後、その他、レーベル分35%、流通費45%のような内訳とされています。原盤印税の数パーセントから10%程度はアーティストの印税(ロイヤリティ)ともなります。この音楽出版社への譲渡を1%程度の実演者印税方式とすれば、ヒットすれば高額収入も期待できますが、実際は買取式の譲渡が多いとされています。著作権管理団体との信託契約を締結することで、すべての作品の著作権は原則的に著作権管理団体が管理することとされ、即ち、人格権を除いて音楽関係の著作権は概ね著作権管理団体に集められています。歌手がステージで歌う、番組で歌うというような場合には、著作隣接権があるかどうかはその都度の契約内容によります。

出版分野 法律上、出版の著作物というカテゴリーはありませんが、漫画家や小説家、随筆家の著作物である漫画、小説、随筆などの作品には、通常作品ごとに出版社との間で出版権の設定契約がなされるものと思いますし、出版権は文化庁で登録することもできます。また、出版権の登録は第3者対抗要件に過ぎないために実際は多くが登録されずに契約が実行されています。著作権者は、著作権自体を譲渡している訳ではなく、実名の著作物ですので、保護期間は著作者の死後70年間となります。

スポーツ分野 日本ではスポーツ選手が行う競技自体には著作性がないと考えられており、例えば新体操、シンクロナイズドスイミング、フィギアスケート、スノーボードのハーフパイプなどの競技では選手は演技を行って技の美しさを競うようにも構成されていますが、それでも舞踊の著作物に属するということにはなっていません。体操競技では、得点につながる技などは技の開発者の名前がつけられることがあっても、それは著作権に基づくものではなく、技の開発者への名誉で名前が与えられていることにすぎず、知的財産の1つではないと考えられます。米国では、日本と異なり、スポーツという理由だけで著作権から外れるという考え方しません。スポーツ競技者もダンサーやアーティストと同じパフォーマーであり、その動作が何かしら固定された(たとえば録画用に記録された)ときに、それは著作物として扱われますが、放映側と例えば競技団体の間の契約は著作権に大きく基づいており、選手と所属チームの間の契約も選手個人の肖像権やパブリシティー権、チームとしての著作権を考慮したものとなります。スポーツ選手が競技についての本を書いたり、レッスンビデオを作成すれば、それらは著作物ですので、スポーツ選手であっても勿論著作者ともなります。少なくとのプロ化した競技の管理団体は、選手のパブリシティー権についての方針は決めておく必要があります。

写真分野 写真もカメラという道具を使用して被写体をメモリー等に固定することで著作権が自動的に発生し、その著作権者は写真家になります。人物写真であって、写真家自体の人格権があり。氏名表示権、同一性保持権、及び公表権が備わります。特に被写体が人物の場合は、肖像権やパブリシティー権も絡むため、原則被写体の方の承諾が必要になります。一般に、肖像権の内容としては、撮影を拒む権利(撮影拒否権)、写真の公表を拒否する権利(公表拒否権)と、商業的に利用する権利(パブリシティー権)とがありますので、肖像権の侵害とならないように契約を結ぶなり、個人が特定されないような撮影方法とする必要があります。写真の著作権の保護期間は原則著作者の死後70年になります。雑誌や書籍への出版者と写真の利用について、書籍の出版に沿った印税方式(本体価格の何%×発行部数)や原稿料方式などがありますが、原稿料を受領したから著作権を全て譲渡したという意味ではありません。

美術分野 美術の著作物としての対象は、絵画、版画、彫刻、漫画。描画、リトグラフ、彫像、油絵、水彩画、書、舞台装置等となります。また、定義の規定から、美術工芸品も美術の著作物に含まれるとされており、工場で量産される人形などの置物は著作物とされた判例もあります。しかし工場で大量生産される実用品は、一般的に装飾性があったとしても美術工芸品とはならないと考えられています。銅像や舞台装置などの大掛かりなものは、法人著作であることが多いと思われますので、法人などの団体の著作名義で公表されれば団体名義の著作物であり、公表から70年の保護期間となります。

映画分野 映画については、映画制作会社(映画製作者)が著作者となって著作権を有するものと規定されており、公表から70年の保護期間があります。俳優も著作権上は実演者の1形態であり、実演に際して著作隣接権を有するものとされていますが、映画に出演する場合は、出演した俳優がその映画についての著作権は所有しないことになります。映画は製作費が大きな金額となり、海外の大作であれば数十億から二、三百億というような金額かかかります。そのうちの何割かが金額が俳優に支払う出演料であったりもします。俳優自体は通常出演料の支払いで著作権はないことになりますが、映画は興行収入が上がれば映画会社が儲かり、逆に映画会社が大きく躓くこともあるリスクのある商売です。一般に、ビデオゲームも映画著作物であり、ビデオゲームの製作会社が法人著作で映画の著作権を有することになります。

映画 俳優

商標権などの産業財産権

特許権や実用新案権、意匠権や商標権は、特許庁の登録原簿に記載されることでそれぞれ登録した権利となり、特に商標権は10年ごとの更新を続けることで永続的に権利を持ち続けることができます。また、商標権は原則的には自由に移転することができ、商標権者が個人で死去した場合には相続できることになります。著名人が自分の名前や芸名などについての商標権を取得できるかどうかについては、4条1項8号にルールがあります。4条1項8号は、人格権保護の見地から「他人の肖像又は他人の氏名若しくは名称若しくは著名な雅号、芸名若しくは筆名若しくはこれらの著名な略称を含む商標(その他人の承諾を得ているものを除く。)」と規定されており、他人の氏名等については原則登録できないものの、その他人からの承諾書があれば登録可能となります。自分の氏名等に係る商標なら登録できるかというと、自分の氏名であっても他人の氏名等に係る商標に該当すれば登録できないことになります。本名で著名な方は、同姓同名な人がいるのかいないのかで登録可能性が左右されますので、本名で活躍するスポーツ選手は登録が難しく、芸名で活躍するタレントはユニークであれば登録できることになります。これは芸名が著名な著名人が本人で出願した場合も承諾書が必要とされ、本人以外のマネージメント会社が出願した場合も適用されます。著名人の氏名等以外にも、著名人の座右の銘やCMから広く知られた言葉、著名人の特徴的なシルエット、著名人の別称(例えば”○○の帝王”や”昭和の○○”)などについても商標登録をすることができます。
著名な方が亡くなられた後でその故人の名前等について商標登録出願をした場合は、歴史上の人物として不登録事由に該当するか否かが考慮されます。4条1項8号は、人格権保護であることから、人格権のない故人には適用できないことになっています。そこで7号の公序良俗違反かどうかをあてはめて、著名な故人と出願人との関係が考慮され、著名な故人には無関係な方は排除する運用がなされることになります。

肖像や氏名についてのパブリシティ権

著名人の肖像やイラスト、氏名や略称は、商品やサービスに付加した場合に、消費者の購買意欲を高揚することもできます。また、「有名人デザインの」や「著名人コラボの」というのも著名人の名前を付けて商品価値を高めていますので、その商品はパブリシティ権を利用した商品ということができます。パブリシティ権の法的根拠については、現行法では明文の規定がないところですが、判例ではパブリシティー権は「著名人がその氏名、肖像その他の顧客吸引力のある個人の識別情報の有する経済的利益ないし価値を排他的に支配する権利」と定義されています。また、著名人については、「著名人も一般人も,上記のとおり,正当な理由なく,その氏名・肖像を第三者に使用されない権利を有する点において差異はないものの,著名人の場合は,社会的に著名な存在であるがゆえに,第三者がその氏名・肖像等を使用することができる正当な理由の内容及び範囲が一般人と異なってくるのは,当然である。」と判示されています(平成13年(ネ)第4931号 競走馬パブリシティ事件)。パブリシティ権の侵害に対しては、不法行為として損害賠償請求、差し止め請求を裁判所が認定していますが、損害賠償請求については使用料相当額程度という判断が多くなされている状況です。判例では、パブリシティ権は人格権に由来するものであって著作権法114条2項及び同条3項を類推適用すべきではない。無断で本件雑誌を出版,販売したことにより原告が被った損害額は,原告が本件雑誌の出版に当たり,原告の氏名及び原告写真の使用を許諾した場合に,原告が通常受領すべき金員に相当する額と解するのが相当である(平成21年(ワ)第4331号 ペ・ヨンジュン写真集事件)と判断されています。なお、氏名の表示に関しては、不正競争防止法の第2条1項1項(周知表示混同誘起)と第2条1項12号(ドメイン名に関する不正競争行為)に不正競争行為とする条文があります。

権利所有者の死亡により発生する事項

著作権

著作権者の死亡により、著作権の人格権はなくなりますが、著作権の財産権は故人が所有していれば相続財産となります。著作者人格権が消滅するので、同一性保持権もなくなるので改変が自由にできるのかということにもなりますが、著作権法の第60条には、著作権者が死亡した場合でも人格権の侵害となるべき行為をしてはならないと規定していて、人格権を侵害するような公表等はできないルールになっています。財産権としての著作権については、まず著作権の保護期間が著作者の死後70年となっている場合は、翌年の1月1日から70年のクロックがスタートします。また、著作権の財産権は相続されるため、一般の遺産分割に従って移転されることになり、遺言で遺族以外の方に引き継いでもらうことも可能です。jASRACなどの管理団体の管理下にある著作権は、信託財産とされるために、著作者の死亡に際して著作権が相続されることはなく、受益者が著作者自身であった場合にはその信託受益権が相続されることになります。著作者が死亡している場合で、相続人も不明な場合、文化庁長官に著作物の利用についての裁定の申請をすることができます(著作権法第67条)。この場合、著作権者と連絡することができないことを疎明する資料その他政令で定める資料を提出し、補償金若しくは担保金を供託することなどが必要とされます。

相続の効力等に関する見直し

民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律により著作権法も改正され、著作権の移転ルールが変更されます。この相続の効力等に関する見直しによる著作権法の改正は施行日が2019年7月1日です。本改正により、遺産分割や相続分の指定などの相続による法定相続分を超える部分についての著作権等の移転や会社分割などの一般承継による著作権等の移転については,登録しなければ第三者に対抗することができないこととなります。より具体的には、著作権法第77条の著作権の移転と第88条の出版権の移転について、登録が例外なく第3者対抗要件となります。

商標権などの産業財産権

特許庁の登録により発生する商標権や特許権などの工業所有権については、所有者が個人で死亡した場合には相続による移転がなされ、相続人はその移転について速やかに届け出ることが義務t付けられています。届け出がなくても相続による移転が無効になる訳ではありませんが、故人と遺族が異なる住所で取消審判の連絡を受け取れないなどの不利益も考えられます。相続による移転手続は、相続による移転登録申請書を特許庁に提出することで行われますが、その際に被相続人の死亡の事実を証明する書面と相続人であることを証明する書面を添付します。従前の手続では、死亡による除籍の記載がある戸籍謄本と遺産分割協議書が必要とされていましたが、最近では法務局が発行した法定相続情報一覧図(平成29年5月29日から運用開始)を添付することでこれらに代えることもできます。著名人の氏名等を商標権とする場合では、生前と死亡後では先に説明したように取り扱いが異なります。特に本人の死後にも氏名や肖像を利用した商品や役務を販売したり、他人にライセンスする場合に、商標権は有効です。次に説明するパブリシティー権でも氏名や肖像についての権利はあると思われますが、本人の死後では、原告適格(例えば孫まで子孫が広がってしまったときなど)やそもそもの権利について反論されること(例えば、生前、死んだら自由に使って良いと故人に言われたと主張する場合)も予想されます。商標権はパブリシティー権よりも相対的に安定した権利であり、所有していることの証明は不要です。

肖像権や氏名についてのパブリシティ権

パブリシティ権は人格的な権利ではありますが、著名人の方が死亡したからといって直ぐに経済的な価値が消滅するという性格のものではなく、税法上の解釈は異なりますが、財産権としての性質があることは間違いのないところと思われます。しかし現行法に明文の規定がなく、そのような判例もなく、登録制度などは存在していません。故人のパブリシティ権については、現状確立した相続財産権とは言いえず、遺族がそれぞれ持分を有する場合、一部の者の承諾でも利用できるのかどうかということにも諸説あるものと思われます。米国では州ごとに故人のパブリシティー権について異なる取り扱いとなっており、例えばニューヨーク州では故人のパブリシティー権が認められていないが、カリフォルニア州では故人のパブリシティー権が認められているなどの州法や判例による違いがあります。著名人が遺族への円滑な経済的な支援を意図する場合には、遺言で明示するか、資産管理団体への譲渡若しくは信託による管理が望ましいと思われます。

資産(遺産)管理団体の設立

不動産と同様に、著名人の遺産にも管理が必要な場合があります。特に商標権の管理は、ライセンスの動向や売れ筋に商品を見ながらライセンスを考える必要もあります。故人の名声は死後では一定の割合で小さくなるものとは限らず、或るきっかけで再び輝くこともあり、コラボした企画なども故人を知る人に有効であったりします。また生前から管理団体を設立し、信託の設定や知的財産を生前に移転しておくことで、個人死亡時の相続財産への組み込みを避けることもでき、相続税からも適法に回避できることになります。著作権や著作隣接権の移転の登録(1件につき18,000円、隣接権は1件につき9,000円)は第3者対抗要件とされ、著作権の信託の登録(1件につき3,000円)も第3者対抗要件とされています。また商標権についても信託の設定(詳しくは商標権の信託)が可能です。管理団体の重要な機能は、銀行口座の管理だけではなく、著作権やパブリシティー権、商標権を侵害する者に対して警告し、必要な場合には法的措置をとることも行います。著名人に世界的な名声があり、知的財産が日本だけではない場合、国際的なネットワークによる保護も必要だったりします。スポーツ選手の場合は、記念館や展示施設を設立することで、入場者からの入場料収入や関連商品販売による収入が見込める利点があり、人々の記憶に留める効果もあります。破格の資産を持った方は財団の設立も節税対策として有効ですし、財団が社会的な弱者への救済を行うような場合には、社会的な貢献も同時に果たすことができるという利点があります。

知的財産権と相続税

著作権や商標権などの財産権は、相続により所有者が遺族に代わることがあります。著作権のうちの人格権については、死亡により消滅すると考えられていて、著作人格権については相続税はありません。

著作権の相続税評価額

著作権の相続税価額は、著作者のそれぞれについて次の算式によって計算した金額によって評価するとされています(財産評価基本通達148、著作権の評価)。
年平均印税収入の額×0.5×評価倍率
年平均印税収入の額とは、課税時期の属する年の前年以前3年間の印税収入の額の年平均額となります。評価倍率とは課税時期後における各年の印税収入の額が「年平均印税収入の額」であるものとして著作物に関し精通している者の意見等を基として推算したその印税収入期間に応ずる基準年利率による複利年金現価率となります。

商標権の相続税評価額

商標権及びその使用権の価額は、特許についての財産評価基本通達140(特許権の評価)から145(権利者が自ら特許発明を実施している場合の特許権及び実施権の評価)の定めを準用して評価されます。商標権を他人に使用させて使用料を受け取る場合は、将来受け取る使用料を見積もり、現在の価値に割り引いた額で評価します。商標権者が自分で商標を使用する場合は、自らの営業権に含めて評価します(145)。商標権を他人に使用させている場合、商標権の価額は、下記のAからNまでの合計額になります。Nは商標権の最終年度で、更新は考慮しないと思いますので、登録日と商標権者の死亡日が同日な場合以外は、1年未満は切り捨てですので最大9になりますが、存続期間の範囲内において推算した年数とすることもできます(143)。基準年利率(平成30年基準年利率)から複利現価率(平成30年度)を参照して係数を割り出します。

A=第1年目の補償金(使用料)年額×1年後の基準年利率による複利現価率
B=第2年目の補償金(使用料)年額×2年後の基準年利率による複利現価率

N=第n年目の補償金(使用料)年額×n年後の基準年利率による複利現価率

(上の算式中の「第1年目」及び「1年後」とは、それぞれ、課税時期の翌日から1年を経過する日まで及びその1年を経過した日の翌日をいう。)課税時期後において取得すると見込まれる使用料の額の合計額が50万円に満たないと認められる商標権については、評価しません(144)。

パブリシティー権の相続税評価額

日本の現状の法制度ではパブリシティー権は人格権的な権利とも考えられていますので、相続税評価の対象となっていません。

商標登録insideNews: 日本にも美術「追及権」創設を、著作権団体などが会見 :日本経済新聞

著作権協会国際連合(CISAC)、日本美術著作権協会(JASPAR)、日本美術著作権機構(APG-Japan)、日本音楽著作権協会(JASRAC)は2018年4月13日に会見を開き、芸術作品の創作者に対する知的財産権の一種である「追及権」を日本でも創設するよう求めた。

情報源: 日本にも美術「追及権」創設を、著作権団体などが会見  :日本経済新聞

商標登録insideNews: “中華ウルトラマン”と断固戦う円谷プロ 中国側は身勝手に正当化 – 産経ニュース

映像制作会社の円谷プロダクション(東京)が、無断でウルトラマン映画を作っている中国企業と戦っている。身勝手な言い分で“中華ウルトラマン”を正当化する中国側に対し、円谷プロは自らの合法的な権利を守るため、徹底して争う方針を表明している。

情報源: “中華ウルトラマン”と断固戦う円谷プロ 中国側は身勝手に正当化(1/3ページ) – 産経ニュース

《钢铁飞龙之再见奥特曼》Dragon Force Movie ‖ 定档预告 大张伟变“地球大使”配音奥特曼

キャラクターと商品化権

1.商品化権とは?

商品化権は商品の販売や役務の提供の促進のためにキャラクター(character)やエンドーサー(endorser)を媒体として利用する権利です。商品化権は法令として定められた用語ではなく、英語の”Merchandising Right”の訳とされています。商品化権は、契約によって発生しますが、その内容は著作権、肖像権、商標権、意匠権のライセンスや、不正競争防止法や民法の不法行為からの制約などに依存します。TV番組、アニメやゲームなどのキャラクターについての商品化権を構成する権利として中心的なものは著作権です。著作権は無方式主義ですので、政府機関などに登録しなくとも発生し、そのライセンスも可能です。商標権と意匠権は、日本の場合特許庁への登録作業が前提として必要です。エンドーサーは、スポーツ選手、アーティスト、タレント、俳優などの著名人がなることができ、知名度が低い人や一般の人は顧客吸収力が低いため、原則的にはエンドーサーにはなれません。エンドーサーの名前、嗜好、評判、コマーシャルフィルム、SNSなどを商品の宣伝広告や販売促進等に使用する契約をエンドースメント契約(endorsement contract)ともいいます。キャラクターを用いたビジネスで稼ぐためには、優れた著作物を生み出すセンスと、それをライセンスビジネスとして活用するための法的な知識が必要です。

girl and boy

2.キャラクター

キャラクターといえば、小説、漫画、映画、アニメ、コンピュータゲームなどの作品(コンテンツ)に登場する人物や動物を指しますが、そのイラストや着ぐるみなども含めて考えることができます。キャラクターは大別すれば、コンテンツに基づくコンテンツキャラクター(例えば、ポケモンやどらえもんなどの漫画のキャラクター)と、コンテンツに由来しない広報や販売促進を託された非コンテンツキャラクターとに分けられます。非コンテンツキャラクターは、例えば町おこしなどの地方自治体や地域の組合などが採用する所謂ゆるキャラや、商品の販売促進に専ら使用されるキャラクター(例えば、ガリガリ君やカールおじさんなど)もあります。また、例えばアーティスト、タレント、スポーツアスリートなどの実在する有名人由来の似顔絵等(例えば、志村けんのバカ殿様、加藤茶の加トチャンの各キャラクター)のような著作物もキャラクターの定義に含まれると思われます。最高裁判決(平成4(オ)1443)では、「キャラクターといわれるものは、漫画の具体的表現から昇華した登場人物の人格ともいうべき抽象的概念」であり、「連載漫画においては、登場人物が描かれた各回の漫画それぞれが著作物に当たり、具体的な漫画を離れ、右登場人物のいわゆるキャラクターをもって著作物ということはできない。」と判示し、「複製というためには、第三者の作品が漫画の特定の画面に描かれた登場人物の絵と細部まで一致することを要するものではなく、その特徴から当該登場人物を描いたものであることを知り得るものであれば足りる」と判断しています。言い換えれば、漫画などの基になるコンテンツを離れて抽象的なキャラクターまでは著作物とはならないが、その特徴から登場人物を描いたものであれば細部の一致は必要ではないということだと思います。

3.キャラクターの契約の重要性

キャラクターを利用する、譲渡する、第三者に権利行使するなどの取り決めは、著作者、著作権者、利用者の間の契約に主に依存します。著作活動により生ずる権利は、一身専属の著作人格権と、財産権として譲渡可能な著作権があり、特に契約やそれ以前の応募の時点で、権利の帰属関係や不行使などを明確にしていないと問題が発生することもあります。コンテンツキャラクターは、既にコンテンツビジネスが存在しているとの前提では、出版権の契約や放映権の契約に商品化権契約が内包される場合や、追加される場合もあるかと思います。非コンテンツキャラクターでは、著作者と著作権者の間の著作権譲渡契約と、著作権者と利用者の間の商品化権契約(ライセンス契約)は、別の契約となり、下流側に当たる商品化権契約も重要ですが、特に上流側の著作権譲渡契約も重要です。著作権法には「使用権」や「利用権」という名前の権利は存在しないことから、契約書においては、著作権法に規定されている権利の名称を使うなどして、譲渡対象を明確にする必要もあります。また、キャラクターの使用は無償とされる場合もありますが、有料の場合もあり、詳しくはキャラクターの使用料率のページをご参照下さい。

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3-1. 著作権譲渡契約

著作権人格権について スターボ事件(東京地裁 平成18年(ワ)10704号、H20.4.18判決)や、ひこにゃん事件(大阪高裁平成23年(ラ)第56号、H23.3.31判決)からの教訓としては、著作人格権についての契約が甘い場合には、揉め事も大きくなることがあり、商品化により利益を拡大する場合の障害になり得る点が挙げられます。著作権人格権は一身専属であるために譲渡することができず、著作権人格権のうちの特に同一性保持権が販促や広報のために商品展開する上で大きな妨げとなり、著作物の少し色やバランスや姿勢、向きを変えてといった変更もできなくなる可能性もあります。商品化でビジネスを展開することが予定されている場合、著作者が外部デザイナーや公募などで応募した者である場合には、契約により著作権人格権の不行使特約を著作権者との使用権者に対して確実に締結することが重要になります。特に仲介として間に入るような広告代理店は、著作権人格権の権利処理に失敗すると損害賠償も憂慮することにもなり兼ねないと言えます。”採用作品の一部修正・翻案を主催者に認める”という契約条項も著作権人格権の不行使特約として機能します。

著作権の譲渡について 一般に、制作費用を支払ってデザインしてもらう場合には、著作権の譲渡が前提となる場合が多いと思いますが、譲渡契約に、第27条又は第28条に規定する権利が譲渡の目的として特掲されていない場合には、譲渡人にそれらの権利が留保されると推定される(著作権法第61条第2項)ため、”著作権等一切の権利を譲渡する”というような包括的な記載では、翻訳権、翻案権は著作者が享有したままということにもなります。前出のひこにゃん事件では、契約書の他の部分が参照されて翻訳権、翻案権は譲渡されている(著作権法第61条第2項の推定の覆滅)と判断されましたが、包括的記載が必ず救済される訳ではなく、著作権法第61条第2項の趣旨からして、著作権の譲渡には第27条又は第28条に規定する権利も特に記載するのが問題を起こさないためにも必要です。著作権の譲渡に付随して、商標権、意匠権その他の知的財産権を譲渡させる条項も有効です。応募と並行して商標登録出願を秘密裏に外国で行い、半年後に優先権を主張しながら日本に出願して権利者の出願に対する先願の地位を確保しながら商標権を取得するという背任行為もないとは言い切れないからです。

権原保証 権原保証は、著作権者が確実に著作権を有していることを保証するもので、言い換えれば、他人の著作権やその他の知的財産権を侵害していないことを保証することでもあります。著作権を有していないのに契約している場合には損害賠償の求めに応じることを誓うことを意味します。例えばデザイナーが制作した場合でも、裁判で似ているキャラクターが先に存在しているとの訴追を受けることもありますので、デザインの公募では、そのデザインの過程で発生するデッサン、下絵、スケッチなど制作過程で生ずる関連資料を保存することを義務づけ、確認することがあるとの事項を応募要項に盛り込むことがあります。また、同じ著作者が過去に発表若しくは応募した作品及びそれに類似する作品を排除することもトラブルを回避するためには必要です。

著作権登録 著作権登録については、ほとんど登録が利用されていないという実態もあり、全く記載していない契約書も存在しますが、著作権の譲渡については、文化庁での登録が第三者対抗要件となっていて(著作権法第77条)、譲渡人である著作者が2重譲渡して後に譲渡を受けた者(譲受人)が先に登録した場合には、先に登録した者が真の譲受人となり、先に譲渡を受けながらも登録していない者若しくは登録が後になってしまった者は先に譲渡契約を結んでいても権利を有しないことになります。著作権の譲渡の登録は、両当事者(譲受人および譲渡人)が行うものですが、譲渡人の承諾があれば譲受人単独で登録することもでき、譲受人が必要に応じて登録できるよう、契約書に登録を承諾する条項を設けておくことが望ましいと思われます。

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3-2. 商品化権契約

商品化権契約は、著作権者若しくは著作権管理者と商品販売者等との間に締結される、商品に著作権の利用を許諾することを内容とする契約です。漫画やゲーム主人公のようなコンテンツキャラクターの場合には、著作物の利用の形態は、複製権の利用若しくは二次的著作物(翻案権)の利用となり、例えばマンガ のキャラクターを立体化し、そのフィギュア人形を販売したり、Tシャツや文房具にキャラクターを印刷したりして販売することができます。また、キャラクターの利用許諾契約は、著作権だけではなく、商標権や意匠権、不正競争防止法も、特に第3者に模倣・盗用された場合に力を発揮するように構成されます。

商品化許諾の範囲 商品化について許諾される範囲としては、許諾商品、許諾地域、そして許諾期間があります。また、使用料率やミニマム(最低保証数量)なども、ライセンス交渉での条件となります。一般的に、日本の方式の例として、交渉相手毎に変動するような許諾条件を別紙とし、そこに項目ごとの数値を書き込むことが良く行われます。これらの条件を交渉で複数の相手ごとに変えた場合に、別紙部分だけ書き換えれば済むからです。契約書の印刷も今日では簡単ですので、別紙にしなくとも契約内容は同じです。許諾地域としては、日本国内に限定される場合が多いと思いますが、日本に限定しない契約も当事者間の合意があれば可能です。許諾期間について、単年や複数年とすることが多く、合意により更新可能とするものが多く、許諾商品の販売予定日が属する日の月初を許諾期間の開始日と設定する例が多いものと思われます。

使用形態の制限・品質管理 使用できるキャラクターについては、全く同じものを複製する場合は問題を生じない場合でも、少し改変させる場合などでは2次著作物の問題があり、その場合には、著作権者若しくは著作権管理者の許可を必要とするように条件を盛り込む例が多いものと思います。例えば、キャラクターが画像でイラストの仕様書には正面顔だけの場合、横顔を制作して商品に使用する場合には、許可を要することになります。実際に販売する製品と同じサンプルを提出し、許可を得てからという事例も多いと思います。この少し改変の部分が、著作人格権の不行使にあたりますので、著作権者若しくは著作権管理者は著作者からの譲渡契約の権利処理に失敗しますと、賠償責任の問題となり得ます。色を変える、姿勢を変える、背景を変える、表情を変える、セリフを加えるという改変の全てが許される訳ではありませんので、許可を要する設定が望ましいと思います。また、許諾されるキャラクターの使用であっても、販売や広告に、社会的・教育的に悪影響を与えるような方法での行為を禁止するという条項を設け、例えば正義のヒーローの如きキャラクターが反社会的行為の手前で気づくというようなストーリーにはNGを出せるようにという配慮が必要です。

サブライセンス 著作権の利用者として、さらに他人に利用させる場合をサブライセンスあるいは再許諾といいます。契約自由の原則からサブライセンスが全くできない訳ではありませんが、商品化権契約については、その地域のプロモーターや仲介役として商品化権契約を結ぶ場合を除いて、他人への再許諾を禁止する例が多いものと思います。著作権者若しくは著作権管理者としては、販売数量がロイヤリティーの額に影響するため、販売数量の把握が重要であり、もし売り上げが立たない事業者には他の事業者への交代なども業務上必要だったりします。再許諾では、全数把握ができなかったり品質管理などもありますので、再許諾禁止が多いものと思います。また、権利義務について第3者への譲渡は、相手側の同意を要する例も多いと思います。

著作権表示 商品化権契約について著作権表示を必ずしなければならないということはなく、購買者の誤認混同を防止するための条項となります。ただし、契約としては、著作権表示を義務付ける条件の商品化権契約が多いものと思います。著作権表示の例としては、©マークと、発行年,著作権者名のような例が使用されていますが、©マーク自体は単に慣例で使用されているだけで法的な根拠はなく、他の表示方法も利用できます。著作権表示は、商品の一部に表示することが義務付けられたりしますが、商品によってはタグや包装材の一部に表示することも可能です。

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検数証紙 著作物の利用者が商品に使用した件数を正確に報告することを義務づけることで、使用料を確保する狙いがあり、例えば、半年や3か月ごとの数量を報告することを義務付けます。これと平行して、あるいは証紙を商品に貼って販売することを義務付ける場合では、渡す証紙の数や証紙の残数を管理することで、商品化された著作物の数量を把握することができます。証紙の貼り方として、商品1点ごとに一つ貼る方法と、代表証紙としてインナーカートン(例えばたばこの1カートン)に一つ貼る方法もあります。証紙としては、簡単に偽造できないホログラム採用のものもあり、より管理を徹底するためID番号を印字するなどの手法も存在します。証紙のあるなしが問われる場合は一目瞭然ですが、証紙の真贋を問うような場合には、簡単に偽造できない工夫も要します。

他の知的財産 著作物を商品に展開した場合に、他人の意匠権や商標権と抵触するような態様も考えられ、例えば、著作権管理者がキャラクターの図柄だけ管理し名前については管理しないというような場合には、利用者サイドでのトラブルが発生することにもなります。例えば、非コンテンツキャラクターの名前が〇〇ちゃんとされ、その”〇〇ちゃん”の名前についてライセンシーに使用してもらう商品についての商標登録を確保しない場合には、他人が”〇〇ちゃん”の商標を後からでも登録してしまうことがあり、その結果、商品化権ライセンスのライセンシーが使用できなくなるというような問題が発生します。このような問題を未然に防止するため、できれば著作権者あるいは著作権管理者で他の知的財産権を取得することが望まれ、特に商標権は必要性が高いものと思います。また、商品販売者等がもし商標権や意匠権などの他の知的財産権を取得するようなことがあれば、他のライセンシーに対する影響もあることから、著作権者あるいは著作権管理者に有償若しくは無償で譲渡することを義務付けたり、同意がなければ出願もできないとする条項が有効です。また、ライセンシーに他の知的財産権をとらせないのは、日本だけでなく世界中とすべきで、例えば中国での商標権は勝手にどうぞという考え方では、中国にもライセンスする際に商標などの問題を生ずることになります。

第3者対応 商品化権契約で考慮すべき第3者対応は2つに大別でき、1つは他人の侵害行為に対するもので、もう1つは他人から商品化権の利用が侵害だと言われる場合です。この第3者対応のうちの他人の侵害行為については、ライセンサーである著作権者若しくは著作権管理者に侵害排除を義務づける条項があれば、ライセンシー側からみて十分とも思えますが、他人の侵害排除はいくらかかるかは計算できないところがあり、義務までではなく排除すべく最善の努力とする例や、合理的措置を講じる(ライセンス料に比べて訴訟費用がかかりすぎると判断すれば辞められる)とする例が多いものと思います。一方、ライセンシー側の義務としては、侵害行為を発見したときは通知する義務があるとする契約が多いものと思います。次に、ライセンシー側の商品化の行為が他人の権利と抵触する場合には、著作権などの知的財産権を侵害する行為なのか、それ以外の製造物賠償責任等なのかを区別するような条項としている契約例が多く、製造物賠償責任等の場合は次項のように著作権者若しくは著作権管理者の免責条項が求められます。また、ライセンシーが著作権を侵害しているとして第3者から訴えられたり、文句を言われる場合には、当該商品化権契約の根底となる事項に問題ありとなる可能性があり、商品化権契約自体の契約が無効となったり、損害賠償責任が生ずる可能性もあり、それに対するライセンス料の不返還特約を予め入れるかどうかというような話になりかねませんが、著作権自体は著作者が盗作・冒認などをしない限りは、著作権が簡単につぶれるようなことはなく、著作権の譲渡契約に錯誤がなければ、問題とならない事案が多い筈です。第3者からの著作権侵害の訴えや警告については場合、著作権者若しくは著作権管理者の費用負担で処理すべき事項にはなります。著作権侵害の要件として簡単には1)類似性と2)依拠性(いきょせい)が挙げられます。キャラクターの著作物についての類似性に関しては、前述のように第三者の図画が登場人物の絵と細部まで一致することを要するものではなく、その特徴から当該登場人物を描いたものであることを知り得るものであれば足りるとされています。

製造物賠償責任と免責 商品化権契約による商品の製造や販売に起因して万一の事故などが生じた場合には、ライセンサーである著作権者若しくは著作権管理者を免責とする条項を記載する例が多いものと思います。例えば、キャラクターの形状にオリジナルの製品形状から改変することで、強度の低下が生じ、何等かの事故が発生したような事件では、著作権者若しくは著作権管理者はいかなる責任も負わないと規定したり、ライセンシー側に商品についての製造物賠償責任保険の加入を義務付けるなどの規定を設けることができます。

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4. 商標と商品化権

コンテンツキャラクターと非コンテンツキャラクターの両方とも著作権を中心とするため、商標権などを取らなくてもライセンス自体影響がないように考える方もいるかと思いますが、著作物を商品に適用する行為は、商標の使用行為とかさなるため、コンテンツキャラクターは物販による収益を考えた場合に、また非コンテンツキャラクターはほぼ間違いなく、商標による保護を無視できないと思います。たとえば、キャラクターに同一の図柄や似た図柄は存在していない場合であっても、その名前について先に他人が商標登録している場合には、キャラクターをその抵触する名前で使用ができない状態になります。このような先登録商標の存在は、キャラクターの命名前に商標調査を行うことで見出すことが重要で、その後に仮に商標登録出願をしない場合であっても商標調査は必要です。従いまして、商標調査のタイミングは、一般大衆に公表する前でまだ名前の変更が可能なうちに行うことが重要で、一般大衆に知られた後でのキャラクターの変名は宣伝活動がふりだしに戻ることになります。また、名前だけではなくキャラクターの絵自体についても商標登録を行うことが一般に行われています。これは似ているキャラクターの絵を使用する者に対して著作権侵害を訴えることを想定した場合、著作権だけでは著作物を創作した日付けの証明が容易ではなく、その権利者も相対的であるため、商標権も用いることで日付や権利者の曖昧さを少しでも回避する狙いもあります。アニメーションなどの場合では、キャラクターの姿勢などは動いて変化しますが、商標権として保護する場合には、代表的な画像が選択されて登録される例が多いものと思います。

5.当事者別の契約事項の要点

5-1. デザイナー・イラストレーター

デザイナー/イラストレーターの方は、キャラクターを創作するという行為を行って著作者となりますが、職務著作の場合には、デザインした人はその組織の一員にすぎず、著作者は組織である法人等になります。その場合、著作権人格権は職務著作をした法人が享有することになります。職務著作とされるには著作権法第15条に規定があり、次の要件があります。1)著作物の作成が法人等の発意に基づく、2)法人等の業務に従事する者が職務上作成する著作物である、3)その法人等が自己の著作の名義の下に公表するもの、4)その作成の時における契約、勤務規則その他に別段の定めがないの各要件を満たせば職務著作が成立します。外部の独立したデザイナーの場合には、法人等の業務に従事する者ではないので、職務著作には該当しません。従って、デザイナー個人が著作権を当初を有し、一般的には依頼者に譲渡する形か依頼者に利用を許諾する形となります。これらはいずれも契約により生じる権利関係ですので、書面で契約することがトラブルを未然に回避する上でも望ましいところですが契約書を作成せずに口頭で契約を結んでも有効です。目安として例えば10万円以上の対価が発生するような仕事には、書面で契約するというようなポリシーもありかなと思います。

5-2.イベント主催者

町興しのようなイベントでは、キャラクターを利用した宣伝活動やメディア露出などの手法がとられることがあり、県や町などの地方自治体や、協同組合や観光協会のような組織が主催者になることがあります。この場合、広告代理店に依頼することも多いと思いますが、独自に契約を結んでキャラクターを制作し、それを利用する場合には、それぞれの契約が必要となります。外部のデザイナーが選ばれてキャラクターを制作する場合には、デザイナーとの間で利用契約する以外は、確実な譲渡契約や人格権の権利処理が必要であり、できない場合にはひこにゃん事件のような紛争が生ずるおそれがあります。また、自治体が著作権・商品化権を管理するにしろ、代理店が商品化権を管理するにしろ、著作権の利用者の管理だけでなく許諾を得ていない第3者の使用を排除する必要もあり、また、商標権についても商品化権を設定する商品チャンネルには、キャラクターの名前での問題が生じないように商標権の取得などの手当てが求められます。また、デザインを公募する場合には、その応募の段階から、譲渡契約や人格権の不行使処理について知らせる必要があります。また、地方自治体は、平等の原則があり、利益を追求して誰かと契約するような場合や侵害が疑われる第3者を訴えるという点で遅れる傾向もあり、特にライセンス料を取っている場合には素早い侵害対応は必要となります。

5-3. 広告代理店

スターボ事件では、裁判所は広告代理店の義務についても言及しており、1)被告の広告代理店は、イラストなどが広告、リーフレット及びパッケージに使用することができるように、著作者から翻案の許諾を得、かつ著作者人格権が行使されないように権利処理を行う義務があり、2)このような権利処理が行われていなかったことを認識し又は認識し得たときは、契約による信義則上、原告の依頼者にその使用をしないよう連絡するなどの方法により、依頼者に発生する被害の拡大を防止する義務があり、3)さらに広告代理店は、自己の履行補助者の立場にある孫請け制作会社に製作過程等を確認するなどして、著作権法上問題が生じないように権利処理を行う義務もあると判示しています。すなわち、著作権の仲介を行う広告代理店は、i)制作過程の確認による制作者側での著作を確認、ii)著作者人格権の不行使と2次著作物の利用の確保、iii)万一、権利処理ができない場合、依頼者に連絡するという善管注意義務があると述べています。また、キャラクターに名前がある場合には、特に他人の商標権に抵触しないかどうかを注意する必要があり、抵触する場合には、名前を変更するなどの対策が重要です。商品化権を設定する場合には、Tshirtなどの被服(第25類)や、文房具(第16類)などが販売促進用商品として設定される場合が多く、他にも菓子・パン(第30類)や、アプリ(第9類)などの多く出願されています。この当りの商品についてのライセンスを図る場合には事前の商標クリアランス調査が必要となります。

5-4.商品製造販売業者

商品化権契約を結んでキャラクターを利用する業者の方は、通常、商品化権の管理者から書面の商品化権設定契約書などの何等かの契約書が準備されていて、許諾期間、ライセンス料、許諾商品、許諾地域などの諸条件について話し合いを行って、書面に数字が入れられ署名捺印して契約書が完成する形式が多いものと思います。ライセンシー側からすれば、ライセンス料と利用する期間や商品や役務以外にはあまり交渉の余地はないようですが、いくつかのチェック事項は挙げられます。1)許諾がその商品及びそれに類似する商品に関して独占なのか非独占なのかを確認すること。非独占であれば、競合する商品も現れますので、要注意です。2)数量の特定方法は、自己申告なのか、検数証紙方式なのか、通し番号なのか、IDをサーバー等で管理する方式なのかを判断し、あまりに負担とならない方法かを確認します。3)サブライセンス又は再許諾は可能なのかを確認します。一般にサブライセンスはNGか、事前の合意という条件になると思います。4)翻案の範囲を業務上支障のない範囲としているのかを確認します。これは27条さらには28条についても、管理者が権利を有しているのかということでもあり、余りにその範囲が狭い場合には、少しの翻案(改変)もできないため、商品化が難しくなります。また商品サンプルの提出を義務付ける契約も存在します。5)商標権、意匠権の取得についての規定があるかどうかを確認します。キャラクターの名前や絵の商標権を管理者が取得していない場合、他人にとられることで、ライセンシーの利用が大幅に制限される可能性があります。そのあたりの手当てがどのようになっているかが重要です。6)第3者の権利侵害の対処 第3者の権利侵害が横行するようでは、ライセンスした意義も失われることになりますので、原則、ライセンス料の支払いを受けている著作権者若しくは著作権管理者が侵害行為に対処すべきです。この場合、商標権侵害や不正競争防止法(形態模倣など)による救済も可能な場合もあります。一般的は、ライセンシーが他人の侵害行為を知ったときには、著作権者若しくは著作権管理者に通知する義務があるとする契約が多いものと思います。

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5-5.ゲーム会社

例えばインターラクティヴゲームなどの登場人物をゲーム制作会社内で社員が内製した場合には、原則職務著作の規定が当てはまると思いますが、キャラクターのデザインを外注により制作した場合、特に外注先が個人のデザイナーの場合には、著作権人格権の問題が生じる可能性があり、契約等で著作権人格権の不行使特約がなければ2次著作物(Tシャツや文具など)に展開する場合の障害となり得ます。直接外注でなくとも、下請けのさらに孫請けが個人の場合もありますので、下請けがデザイン会社でも制作過程のチェックは必要です。ビデオゲームはプログラムの著作権でもありますが、同時に映画の効果に類似する視覚的または視聴覚的効果を生じさせる方法で表現される動画等は、映画の著作物にもなることから、ビデオゲームは映画の著作物にもなります(中古ゲームソフト事件 最高裁 平成14年4月25日、但し頒布権は消尽)。映画の著作物の著作権は、著作者が映画製作者に対し当該映画の直作物の製作に参加することを約束しているときは、当該映画製作者に帰属するとの規定があります(著作権法第29条)。すなわち、映画の著作物については、著作者の権利のうち「財産権」の部分が、参加契約があれば自動的に監督等の著作者から映画会社(映画製作者)に移ることになっています(法定譲渡)。この場合、著作権人格権は、映画会社の社員で制作された場合には職務著作となり、映画会社が人格権も有しますが、独立した監督など(所謂モダンオーサー)により製作された場合には著作権人格権は監督などが享有したままとなります。なお、映画の原作部分の著作者はクラシカルオーサーと呼ばれ、映画の著作物の著作者からは除外されます。

5-6.出版社

小説家や漫画家、随筆家などは出版社との間に出版権を設定する出版契約が結ばれることが多いと思われます。出版権者は、その目的である著作物を原作のまま印刷その他の機械的又は化学的方法により文書又は図画として複製する権利を専有します(著作権法第80条第1項)。出版権は、著作権のうちの複製権を有する者が出版社との契約を締結して発生します。通常は、出版権の契約書は、対価と交換した複製権の専有が基本事項ですので、商品化権については別途の契約となるものが多いと思われます。著作者に支払われる印税は刷り部数に本の本体価格を乗じた金額の10%が多いとされ、刷部数に対して印税を払う生産印税方式と、欧米では売れた部数に対して払う販売印税方式があります。なお、出版権の設定を受けた出版者は、原稿の引渡し等を受けた日から6ヶ月以内に著作物について出版、電子出版を行う義務や継続して出版、電子出版を行う義務を負います。また、出版権の設定については、登録しなければ第三者に対抗することができないというルール(第79条~第88条)になっています。

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著作者 著作権法第14条乃至第16条
第二節 著作者
(著作者の推定)
第十四条 著作物の原作品に、又は著作物の公衆への提供若しくは提示の際に、その氏名若しくは名称(以下「実名」という。)又はその雅号、筆名、略称その他実名に代えて用いられるもの(以下「変名」という。)として周知のものが著作者名として通常の方法により表示されている者は、その著作物の著作者と推定する。
(職務上作成する著作物の著作者)
第十五条 法人その他使用者(以下この条において「法人等」という。)の発意に基づきその法人等の業務に従事する者が職務上作成する著作物(プログラムの著作物を除く。)で、その法人等が自己の著作の名義の下に公表するものの著作者は、その作成の時における契約、勤務規則その他に別段の定めがない限り、その法人等とする。
2 法人等の発意に基づきその法人等の業務に従事する者が職務上作成するプログラムの著作物の著作者は、その作成の時における契約、勤務規則その他に別段の定めがない限り、その法人等とする。
(映画の著作物の著作者)
第十六条 映画の著作物の著作者は、その映画の著作物において翻案され、又は複製された小説、脚本、音楽その他の著作物の著作者を除き、制作、監督、演出、撮影、美術等を担当してその映画の著作物の全体的形成に創作的に寄与した者とする。ただし、前条の規定の適用がある場合は、この限りでない。
翻訳権、翻案権等 著作権法第27条、第28条
(翻訳権、翻案権等)
第二十七条 著作者は、その著作物を翻訳し、編曲し、若しくは変形し、又は脚色し、映画化し、その他翻案する権利を専有する。
(二次的著作物の利用に関する原著作者の権利)
第二十八条 二次的著作物の原著作物の著作者は、当該二次的著作物の利用に関し、この款に規定する権利で当該二次的著作物の著作者が有するものと同一の種類の権利を専有する。
映画の著作物の著作権の帰属 著作権法第29条
第四款 映画の著作物の著作権の帰属
第二十九条 映画の著作物(第十五条第一項、次項又は第三項の規定の適用を受けるものを除く。)の著作権は、その著作者が映画製作者に対し当該映画の著作物の製作に参加することを約束しているときは、当該映画製作者に帰属する。
2 専ら放送事業者が放送のための技術的手段として製作する映画の著作物(第十五条第一項の規定の適用を受けるものを除く。)の著作権のうち次に掲げる権利は、映画製作者としての当該放送事業者に帰属する。
一 その著作物を放送する権利及び放送されるその著作物について、有線放送し、自動公衆送信(送信可能化のうち、公衆の用に供されている電気通信回線に接続している自動公衆送信装置に情報を入力することによるものを含む。)を行い、又は受信装置を用いて公に伝達する権利
二 その著作物を複製し、又はその複製物により放送事業者に頒布する権利
3 専ら有線放送事業者が有線放送のための技術的手段として製作する映画の著作物(第十五条第一項の規定の適用を受けるものを除く。)の著作権のうち次に掲げる権利は、映画製作者としての当該有線放送事業者に帰属する。
一 その著作物を有線放送する権利及び有線放送されるその著作物を受信装置を用いて公に伝達する権利
二 その著作物を複製し、又はその複製物により有線放送事業者に頒布する権利
著作者人格権 著作権法第59条
第五節 著作者人格権の一身専属性等
(著作者人格権の一身専属性)
第五十九条 著作者人格権は、著作者の一身に専属し、譲渡することができない。
(著作者が存しなくなつた後における人格的利益の保護)
第六十条 著作物を公衆に提供し、又は提示する者は、その著作物の著作者が存しなくなつた後においても、著作者が存しているとしたならばその著作者人格権の侵害となるべき行為をしてはならない。ただし、その行為の性質及び程度、社会的事情の変動その他によりその行為が当該著作者の意を害しないと認められる場合は、この限りでない。
第六節 著作権の譲渡及び消滅
(著作権の譲渡)
第六十一条 著作権は、その全部又は一部を譲渡することができる。
2 著作権を譲渡する契約において、第二十七条又は第二十八条に規定する権利が譲渡の目的として特掲されていないときは、これらの権利は、譲渡した者に留保されたものと推定する。
東京オリンピックマスコット・応募作品の知的財産権等について(応募要項より)
    1. 応募者はその応募作品が最終審査候備作品に決定した場合、当該作品に関する著作権(著作権法第27条および第21条に規定する権利を含みます。}、商標権意匠権その他の知的財産権(これらを出版する権利や当該作品を譲渡し、再現し、復製し、出版し、変更し、改変し、修正し、または頒布する権利を含みますがこれらに限られません。) 所有権等一切の全世界における権利を組織委員会に無償で譲渡していただきます.また当該作品こ関する著作者人格権その他一切の人格権を組織委員会およびその指定する者に対して行使しない旨をご了解いただきます。
    2. 応募者には、その応募作品が最終審査候補作品に決定した場合、応募作品について組織委員会またはその指定する者等により商標・意匠の出願・登録が行われることにつきご了解いただきます。なお、大会終了後当該作品の一切の権利は、オリンピックに関するものはIOCに、パラリンピックに関するものはIPCにそれぞれ帰属することになります。
    3. 応募者には、上記1.その他に基づく応募作品に関する権利の譲渡や保護等に関して必要となる書類の提出、その他の各種事務・手続等についてご協力いただきます。
    4. すべての応募作品について組織委員会並びにIOCおよびIPCが、全世界において、期間の制限なく、広報・記録等の目的で、印刷物、Webへの掲載、展示会での展示その他あらゆる方法で、無償で非独占的に、これらを利用できるものとすることをご了解いただきます(撤回、取消等はできませんので、ご注意ください。)当該利用について、応募者は応募作品に 関する著作者人格権その他一切の人格権を組織委員会およびその指定する者に対して行使しないことをご了解いただきます。なお、大会終了後、当該作品の一切の権利は、オリンピックに関するものはIOCに、パラりンピックに閲するものはIPCにそれぞれ帰属することになります。
    5. 応募者には、その応募作品が当該応募者自らが創作したオリジナルの作品であって、既に発表されているもの(Web等で掲載されたものも含みます。)と同一または類似ではないこと、最終結果発表前に第三者に公開していないこと、および第三者の著作権、商標権、意匠権その他の知的財産権等の一切の権利を侵害するものではないこと、その他応募要項の違反がないことを表明し、保証していただきます。なお、これらに遣反した場合は、「制作にあたっての注憲事項」に記載したとおり、審査の対象外とし、また応募を無効とさせていたどくことがあります。
    6. 応募者には、応募要項の違反があった場合、その一切の責任(当該違反に起因する一切の損害について賠償する責任が含まれます。)を負うとともに組織委員会ないしIOC、IPCに一切の迷惑をかけないことを確約していただきます。
    7. 採用作品および最終審査候補作品の決定にあたり、制作過程に関する情報や制作段階におけるスケッチ、デッサン等の関連資料を確認さゼていただく場合があります。
    8. 応募者には、IOCおよびIPCの要請に応じて上記の権利譲渡および許諾を証明または確認するために必要となるあらゆる書類や資料の作戚を行うことをご了解いただきます。

文部科学省(MEXT) 動画(embedded)

1.著作権者不明の場合の裁定制度~みつからないときの詩~

著作権の管轄は文化庁だと思いますが、著作権関連のYoutube動画は本省の文部科学省と合わせても、文化庁長官が0:46あたりでラップ調に踊り現れるこの動画ぐらいです。他国政府の著作権に対する啓蒙活動に比べて質、量ともにお寒い感じは否めないところでJASRACの力が強すぎるのではと考える次第です。日本に米国のJustice Department Anti-trust div.があれば、JASRACはとっくにいくつかに分割されているものと思います。天下り先なんでしょうか?

ラトビア共和国特許庁(LRPV) vol.4 商標_動画(embedded)

ラトビア共和国特許庁(LRPV) Patentu valde

著作権の保護期間

著作権の保護期間

著作者人格権の保護期間

著作者人格権は、”著作者の一身に専属し”と規定されていますので、著作者が死亡 すれば権利も消滅しますし、法人の場合は解散により権利が消滅します。但し、著作者人格権が消滅した後も、著作者が存しているとしたならばその著作者人格権を毀損する行為はできないものとされています。

著作権(財産権)の保護期間

a.保護期間・原則

著作権の保護期間は、著作者が著作物を創作した時点から著作者の死後70年までを原則とします。平成30(2018)年12月30日に発効しましたTTPによる法律改正から50年から70年に延長されています。著作者の死亡(以下、公表、創作の起算日についても同様)については、その計算上、翌年の1月1日から起算されます。複数の著作者の著作物の場合、複数の著作者の中で最後に死亡した人の死亡時を基準に計算します。
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b.映画の著作物

映画の著作物の著作権は、原則、その著作物の公表後70年を経過するまでが保護期間となります。

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Grace Patricia Kelly

c.無名・変名の著作物

無名・変名の著作物は、著作物の公表後70年を経過するまでが保護期間となります。ただし、無名・変名の著作物について、著作者の死後70年経過しているときは、原則通り著作者の死後70年までとなります。

d.団体名義の著作物

団体名義の著作物は、著作物の公表後70年を経過するまでが保護期間となります。団体名義の著作物には、著作者は自然人であるが、団体の名において公表される著作物を含みます。もし団体名義の著作物の著作者である個人が同項の期間内にその実名(又は周知の変名)を著作者名として表示してその著作物を公表したときは、公表後70年ではなく、著作者の死後70年となります。

e.非公表の著作物の例外

映画の著作物がその創作後70年以内に公表されなかつたときは、その創作後70年となります。また、団体名義の著作物について、その著作物がその創作後70年以内に公表されなかつたときは、その創作後70年となります。

著作権法の規定 第51条~第60条
第四節 保護期間
(保護期間の原則)
第五十一条 著作権の存続期間は、著作物の創作の時に始まる。
2 著作権は、この節に別段の定めがある場合を除き、著作者の死後(共同著作物にあつては、最終に死亡した著作者の死後。次条第一項において同じ。)七十年を経過するまでの間、存続する。
(平二八法百八・2項一部改正)
(無名又は変名の著作物の保護期間)
第五十二条 無名又は変名の著作物の著作権は、その著作物の公表後七十年を経過するまでの間、存続する。ただし、その存続期間の満了前にその著作者の死後七十年を経過していると認められる無名又は変名の著作物の著作権は、その著作者の死後七十年を経過したと認められる時において、消滅したものとする。
2 前項の規定は、次の各号のいずれかに該当するときは、適用しない。
一 変名の著作物における著作者の変名がその者のものとして周知のものであるとき。
二 前項の期間内に第七十五条第一項の実名の登録があつたとき。
三 著作者が前項の期間内にその実名又は周知の変名を著作者名として表示してその著作物を公表したとき。
(平二八法百八・1項一部改正)
(団体名義の著作物の保護期間)
第五十三条 法人その他の団体が著作の名義を有する著作物の著作権は、その著作物の公表後七十年(その著作物がその創作後七十年以内に公表されなかつたときは、その創作後七十年)を経過するまでの間、存続する。
2 前項の規定は、法人その他の団体が著作の名義を有する著作物の著作者である個人が同項の期間内にその実名又は周知の変名を著作者名として表示してその著作物を公表したときは、適用しない。
3 第十五条第二項の規定により法人その他の団体が著作者である著作物の著作権の存続期間に関しては、第一項の著作物に該当する著作物以外の著作物についても、当該団体が著作の名義を有するものとみなして同項の規定を適用する。
(昭六〇法六二・3項追加、平二八法百八・1項一部改正)
(映画の著作物の保護期間)
第五十四条 映画の著作物の著作権は、その著作物の公表後七十年(その著作物がその創作後七十年以内に公表されなかつたときは、その創作後七十年)を経過するまでの間、存続する。
2 映画の著作物の著作権がその存続期間の満了により消滅したときは、当該映画の著作物の利用に関するその原著作物の著作権は、当該映画の著作物の著作権とともに消滅したものとする。
3 前二条の規定は、映画の著作物の著作権については、適用しない。
(平十五法八五・1項一部改正)
第五十五条 削除
(平八法一一七・全改)
(継続的刊行物等の公表の時)
第五十六条 第五十二条第一項、第五十三条第一項及び第五十四条第一項の公表の時は、冊、号又は回を追つて公表する著作物については、毎冊、毎号又は毎回の公表の時によるものとし、一部分ずつを逐次公表して完成する著作物については、最終部分の公表の時によるものとする。
2 一部分ずつを逐次公表して完成する著作物については、継続すべき部分が直近の公表の時から三年を経過しても公表されないときは、すでに公表されたもののうちの最終の部分をもつて前項の最終部分とみなす。
(平八法一一七・1項一部改正)
(保護期間の計算方法)
第五十七条 第五十一条第二項、第五十二条第一項、第五十三条第一項又は第五十四条第一項の場合において、著作者の死後七十年、著作物の公表後七十年若しくは創作後七十年又は著作物の公表後七十年若しくは創作後七十年の期間の終期を計算するときは、著作者が死亡した日又は著作物が公表され若しくは創作された日のそれぞれ属する年の翌年から起算する。
(平八法一一七・一部改正、平十五法八五・一部改正、平二八法百八・一部改正)
(保護期間の特例)
第五十八条 文学的及び美術的著作物の保護に関するベルヌ条約により創設された国際同盟の加盟国、著作権に関する世界知的所有権機関条約の締約国又は世界貿易機関の加盟国である外国をそれぞれ文学的及び美術的著作物の保護に関するベルヌ条約、著作権に関する世界知的所有権機関条約又は世界貿易機関を設立するマラケシュ協定の規定に基づいて本国とする著作物(第六条第一号に該当するものを除く。)で、その本国において定められる著作権の存続期間が第五十一条から第五十四条までに定める著作権の存続期間より短いものについては、その本国において定められる著作権の存続期間による。
(平六法一一二・一部改正、平八法一一七・一部改正、平十二法五六・一部改正)

第五節 著作者人格権の一身専属性等
(著作者人格権の一身専属性)
第五十九条 著作者人格権は、著作者の一身に専属し、譲渡することができない。
(著作者が存しなくなつた後における人格的利益の保護)
第六十条 著作物を公衆に提供し、又は提示する者は、その著作物の著作者が存しなくなつた後においても、著作者が存しているとしたならばその著作者人格権の侵害となるべき行為をしてはならない。ただし、その行為の性質及び程度、社会的事情の変動その他によりその行為が当該著作者の意を害しないと認められる場合は、この限りでない。

著作権登録制度

著作権登録制度とは

登録がなくても発生するのが著作権であり、登録自体は権利を発生させるものではありませんが、推定を与えるものであったり、第三者対抗要件となっていて、例えば契約で著作権の譲渡があるときに第三者への二重譲渡を防ぐようにも機能します。

著作権の登録例

1)実名の登録
登録を受けた者が当該著作物の著作者と推定されます。
2)第一発行年月日等の登録
反証がない限り、登録されている日に当該著作物が最初の発行又は公表がされたものと推定されます。
3)創作年月日の登録
反証がない限り、登録されている日に当該プログラムの著作物が創作されたものと推定されます。但し、創作年月日の登録の場合、プログラムが完成してから6ヶ月以内に申請する必要があります。
4)著作権・著作隣接権の移転等の登録
権利の変動に関して、登録により、第三者に対抗する事が出来ます。
5)出版権の設定等の登録
権利の変動に関して、登録により、第三者に対抗する事が出来ます。

著作権登録申請は年々上昇傾向にありますが、近年では年平均1,000件を超えており、そのうち著作権の移転に関する申請が最も多く申請されております。

著作権登録費用

著作物は文化庁に登録の申請をすることが可能です。(但し、プログラムの著作物については、「一般財団法人ソフトウェア情報センター(通称:SOFTIC)」に申請する必要があります。)

登録にかかる費用は以下の通りです。(代表的な登録申請のみ記載しております。2016年4月現在)

1. 著作権の登録

著作権の移転の登録 18,000円/件
著作者の実名登録   9,000円/件
第一発行(公表)年月日の登録  3,000円/件

2. 出版権の登録

出版権の設定の登録 30,000円/件
出版権の移転の登録 18,000円/件

3. 著作隣接権の登録

著作隣接権の移転の登録 9,000円/件

4. 著作権、出版権、著作隣接権の質権の設定

著作権、出版権、著作隣接権について質権の設定登録 債権の1000分の4

5. 著作権、出版権、著作隣接権の信託の設定

著作権、出版権、著作隣接権について信託の設定登録 3,000円/件

上記は文化庁に収める印紙代(収入印紙)であり、弊所で代行申請を行う場合には、別途弊所事務手数料が発生します。また、プログラムの著作権登録についての登録手数料は、1件につき 47,100円(平成17年6月1日より料金改正)かかります。

著作権とは

著作権とは、自ら(著作者)の思想や感情を言語、音楽、絵画、建築、図形、映画、コンピュータプログラムなどの創作的な表現形式によって具現化した著作物についての独占排他的な財産権を言います。著作権は、特許、実用新案登録、意匠登録及び商標登録と共に、知的財産権の1つとされています。基本的に公的機関への登録手続を必要とせずに発生(これを無方式主義と言います。)し、その内容である著作物を複製する権利を独占することができます。

著作権のカテゴリー

著作権は、大きく分けて著作権と著作隣接権があり、さらに著作権は著作者人格権と財産権としての著作権に分かれ、著作隣接権(伝達者の権利)として種々の権利が存在します。無方式主義を採用することから、著作権については発生、消滅、利用、権利行使、移転などについて種々のルールがあり、曖昧にしておくと後で問題を生ずることもあります。

著作権の種類
著作権の種類

著作権の表示方法

著作権の表示方法は、慣習的にコピーライトを示すマーク「©」と、著作物の最初の発行の年、更に著作権者の氏名を表示します。

「例 © 2018 有明国際特許事務所」

このような記載方法は万国著作権条約(UCC)に基づいておりますが、実質、方式主義とっている国(万国著作権条約に加盟し且つベルヌ条約に非加盟な国)は、2016年4月現在でカンボジアだけですので、現在では法的にはほぼ無意味な慣習となりつつあります。尚、著作権表示として「All rights reserved」と最後に表記したり、最初の発行の年のみならず、その後発生した著作物の最初の発行年も含める形で、「1990-2011」のような表記が慣習上見受けられます。

著作権関連リンク

著作権についてのQ&A
著作物の種類と著作権
著作権保護期間
著作権登録制度
キャラクターの使用料率
キャラクターと商品化権

著作物の種類と著作権

著作物の種類

著作物 具体的な例示
言語の著作物 小説、詩、俳句、川柳、台本、脚本、論文、辞典、講演、解説、座談会発言など。口頭の場合と書面の場合があります。
音楽の著作物 楽曲、楽曲を伴う歌詞、即興演奏など。歌詞自体は言語の著作物と解されています。
舞踊、無言劇の著作物 日本舞踊、バレエ、ダンス、振付。
建築の著作物 芸術的な建造物 建築に関する図面に基づいて建築物を完成させることは複製に該当する。
図形の著作物 地図、図表、年表、時刻表、立体模型、地球儀、設計図。
美術の著作物 絵画、版画、彫刻、オブジェ、漫画、書、舞台装置、美術工芸品、活花など。タイプフェイスは一般的に著作物と考えられておりません。 美術工芸品のうち、一品製作物は著作物として保護される傾向にあり、量産物はケースバイケースとなりつつあります。
写真の著作物 写真。パスポート写真などは非著作物とされることが多く、絵画や書などを忠実に複写したものは著作性が否定されるものと解されています。
映画の著作物 劇場用映画、テレビ用映画、ビデオ、ビデオゲームなど。固定したものに限定されています。
プログラムの著作物 コンピュータプログラム。
二次著作物 翻訳、翻案、編曲、変形。小説の映画化は翻案の例で、写真を絵画に変換する場合は変形に該当します。
編集著作物 新聞、雑誌、百科事典、文学全集、職業別電話帳。
データベースの著作物 データベース。
コンピュータで検索可能なデータ集合物。
著作隣接権の客体 具体的な例示
実演 著作物を実際に再現する行為(俳優、舞踏家、演奏家、歌手など)、著作物を再現する者を指揮、演出する行為(指揮者、監督、演出家など)、公衆の面前で芸を披露する行為(スタントプレーヤー、声帯模写をする者、大道芸人、プロレスラーなど)。
レコード レコードとは蓄音機用音盤、録音テープ、その他の物(CDなど)に音を固定したものであって、音を専ら影像と共に再生することを目的とする物を除いたものである。対象となる音を最初に固定した者がレコード製作者となる。
放送 公衆により直接受信されることを目的とした無線通信の送信(テレビ放送、文字多重放送、衛星放送、ラジオ放送など)。業として反復継続する者が放送事業者とされる。
有線放送 公衆により直接受信されることを目的とした有線通信の送信(CATVなど)。業として反復継続する者が有線放送事業者とされる。

著作権の種類と権利内容

1.著作者人格権/実演家人格権

著作者・実演家の権利(一身専属)

権利名 著作物/著作隣接権の客体
公表権
氏名表示権
同一性保持権

2.著作権(財産権)

著作者の権利(移転可能)

権利名 著作物
複製権
上演権、演奏権 (いわゆる公演権)
上映権
公衆送信権(放送、有線放送、自動若しくは手動公衆送信、送信可能化に係る権利)
口述権
(いわゆる朗読権)
展示権 *写真は未発行のもの。
頒布権
譲渡権
貸与権
翻訳権・翻案権
二次的著作物の利用についての原著作者の権利

3.著作隣接権

著作物を公衆に伝達する者の権利

権利名 権利者(主体) 著作隣接権の客体
録音・録画権 実演家
複製権 レコード製作者、放送事業者、有線放送事業者
放送・有線放送権 実演家、放送事業者、有線放送事業者
送信可能化権 実演家、レコード製作者、放送事業者、有線放送事業者
譲渡権 実演家、レコード製作者
貸与権 実演家、レコード製作者
テレビジョン放送の伝達権 放送事業者、有線放送事業者
二次使用料請求権 実演家、レコード製作者
レンタル報酬請求権 実演家、レコード製作者

著作権についてのFAQ

文化祭での演奏

Q:学校の文化祭で有名なバンドの曲を完全コピーして演奏しました。これって問題無いですよね?
A:文化祭は関係者であればお金を払わずに参加できる、というのが普通だと思います。この場合であれば、聴衆からお金を頂いていないので、発表された楽曲を完全コピーして演奏しても良いとされています。ただし、演奏者が出演料などのお金をもらわない、ということが条件となります。

ブログへのアップロード

Q:私は読書が好きで毎週1冊は小説を買って読んでいます。気に入った小説の1部分を、そのまま自分のブログに載せて定期的に更新しています。これって違法ですか?
A:ブログは通常誰でも閲覧可能な状態で公開されています。個人的に好きな部分をコピーして日記に書きうつすのは問題ありませんが、文章をコピーして誰でも見られる状態におく(サーバーにアップする)、ということは著作権侵害となります。

新聞報道への掲載

Q:私は画家です。先日私が描いた画が、勝手に新聞社によって新聞に掲載されていました。これは私の画の著作権侵害ではないのでしょうか?
A:一定の絵画は著作物として保護されます。しかし、例えばある事実を報道するために必要で、正当な範囲内であれば、報道に利用することが出来るとされています。

漫画原作のTVドラマ

Q:昔から大好きな漫画があって、それを元にTVドラマを作って放送することになりました。TVドラマ自体は私が作ったものなので、放送しても問題ないですよね?
A:TVドラマは著作物として保護されます。しかし、漫画が原作となった場合には、漫画の著作権者の許諾なくTVドラマ化することは、漫画の著作権者の権利侵害になる場合があります。

著作権フリーの注意点

Q:無料で配布されているCDがありました。これは著作権フリーということで、好きに編曲したり、複製しても問題ないですよね?
A:無料で販売されているからといって、著作権の権利期間が切れているとは限らず、商業用に複製したり、それを販売する場合には著作権侵害になる可能性があります。また、著作者の人格に関わる部分まで自由に何でも出来るわけではありません。したがって、著作者を侮辱するような方法で使用すれば、その方の著作者人格権侵害となる可能性があります。