商標登録+α: 拒絶理由通知に対する意見書記載例#45

意見書例 +α

特許庁審査官等から受けた拒絶理由通知等に対し、反論した「意見書、審判請求書」の具体例を小川特許商標事務所のサイトから転載しております。

本願商標:「DNAチップ研究所」

1.出願番号  商願2002-48415
2.商  標  「DNAチップ研究所」
3.商品区分  第9類「研究用DNA断片化装置,研究用バクテリオファージ培養装置,研究用DNAハイブリダイゼーションチャンバ,研究用DNAチップ,研究用DNAチップ作成装置,研究用プラスミドDNA精製装置,研究用遠心分離機,研究用蒸気滅菌器,遺伝子発現パターンの分析に用いられる機械器具その他の実験用機械器具,その他の理化学機械器具 ほか」。
 第10類「医療用DNA断片化装置,医療用バクテリオファージ培養装置,医療用DNAハイブリダイゼーションチャンバ,医療用DNAチップ,医療用DNAチップ作成装置,医療用プラスミドDNA精製装置,医療用遠心分離機,医療用蒸気滅菌器,その他の医療用機械器具」。
 第42類「機械・装置若しくは器具(これらの部品を含む。)又はこれらの機械等により構成される設備の設計,電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守,……,遺伝子に関する研究の受託,遺伝子・遺伝学・遺伝子形状及び遺伝子機能に関する研究についての情報の収集・情報の提供及び助言,医薬品・化粧品又は食品の試験・検査又は研究,特許技術情報の提供,工業所有権の事業化のための仲介及び斡旋,工業所有権売買の仲介及び斡旋,工業所有権のライセンス契約の仲介,著作権の利用に関する契約の代理又は仲介,産業機械の設計,工業所有権の実施のための指導,計測器の貸与,電子計算機の貸与,電子計算機用プログラムの提供,理化学機械器具の貸与」
4.適用条文 商標法第3条第1項第3号,同第4条第1項第16号
5.拒絶理由  本願商標は、「DNAチップについての研究所」と理解・認識するにとどまり、これを、その商品・役務に使用しても、何人かの業務に係る商品であることを認識することができない。

出願商標・商標登録第4665892号

意見書における反論

(1) 拒絶理由通知書において、審査官殿は、本願商標は「DNAチップ研究所」の文字を書してなるものであり、その構成中の「DNAチップ」の文字部分は、本願の指定商品・役務である「研究用DNAチップ,医療用DNAチップ,遺伝子に関する研究の受託」との関係において、当該指定商品・役務の内容(品質)を表示し、「研究所」は、前記商品・役務について研究している場所を表すにすぎないことから、本願商標に接する取引者・需用者は、本願商標を構成する各文字をそれぞれ上記のように理解・認識するとともに、商標全体としてみても「DNAチップについての研究所」と理解・認識するにとどまり、これを、その商品・役務に使用しても、何人かの業務に係る商品であることを認識することができないものと認められ、本願商標は自他商品・役務の識別標識としての機能を有しないものである。したがって、この商標登録出願に係る商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるので、商標法第4条第1項第16号に該当する、と認定された。
しかしながら、本願商標は、本出願人会社名の略称であり、本出願人固有のものであって、自他商品・役務識別力を有するものと確信しますので、審査官殿の前記認定には承服できず、以下に意見を申し述べます。

(2) 本願商標は、願書の商標見本から明らかなように、「DNAチップ」の文字と「研究所」の文字を横一列に配置して「DNAチップ研究所」と一連一体に記載したものであり、以下のように、第9類、第10類、第42類の商品又は役務を指定するものであります。
 第9類「研究用DNA断片化装置,研究用バクテリオファージ培養装置,研究用DNAハイブリダイゼーションチャンバ,研究用DNAチップ,研究用DNAチップ作成装置,研究用プラスミドDNA精製装置,研究用遠心分離機,研究用蒸気滅菌器,遺伝子発現パターンの分析に用いられる機械器具その他の実験用機械器具,その他の理化学機械器具,写真機械器具,光学機械器具,測定機械器具,電気磁気測定器,電気通信機械器具,電子計算機,DNA連鎖維持のためのデータベース用及びDNA連鎖の操作のための電子計算機用プログラムその他の電子計算機用プログラム,その他の電子応用機械器具及びその部品,録画済みビデオディスク及びビデオテープ,電子出版物」。
 第10類「医療用DNA断片化装置,医療用バクテリオファージ培養装置,医療用DNAハイブリダイゼーションチャンバ,医療用DNAチップ,医療用DNAチップ作成装置,医療用プラスミドDNA精製装置,医療用遠心分離機,医療用蒸気滅菌器,その他の医療用機械器具」。
 第42類「機械・装置若しくは器具(これらの部品を含む。)又はこれらの機械等により構成される設備の設計,電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守,電子計算機・自動車その他その用途に応じて的確な操作をするためには高度の専門的な知識・技術又は経験を必要とする機械の性能・操作方法等に関する紹介及び説明,遺伝子に関する研究の受託,遺伝子・遺伝学・遺伝子形状及び遺伝子機能に関する研究についての情報の収集・情報の提供及び助言,医薬品・化粧品又は食品の試験・検査又は研究,特許技術情報の提供,工業所有権の事業化のための仲介及び斡旋,工業所有権売買の仲介及び斡旋,工業所有権のライセンス契約の仲介,著作権の利用に関する契約の代理又は仲介,産業機械の設計,工業所有権の実施のための指導,計測器の貸与,電子計算機の貸与,電子計算機用プログラムの提供,理化学機械器具の貸与」(なお、本出願人は、この第42類中の不明確と思われる指定役務を削除する補正を本日付けの手続補正書で行っております)。

(3) この本願商標に対し、審査官殿は、“単に「DNAチップについての研究所」と理解・認識するにとどまり、これを、その商品・役務に使用しても、何人かの業務に係る商品・役務であることを認識することができない”としております。
 しかし、取引者・需用者は、果たしてその様に本願商標を理解するでしょうか。本願商標「DNAチップ研究所」の文字を見た取引者・需用者は、むしろこれを一つの事業体の名前と理解するのが自然ではないかと思います。つまり、単に「DNAチップを研究するところ」という漠然とした認識を持つのではなくて、あくまでも「DNAチップ研究所」という特定の具体的事業体を表していると理解するはずであります。
 本願商標の「DNAチップ研究所」の文字は、成る程「DNAチップについて研究するところ」の如き意味合いを看取させる場合があるかもしれません。しかし、それが具体的にはどの様なことなのか、特定の商品や役務の質・内容等を具体的に表示していると、直ちに取引者・需用者に理解されるとは思えません。まして、この「DNAチップ研究所」の文字が、その指定商品や指定役務について、「DNAチップについて研究するところ」といった意味合いで、取引上普通に使用されている事実もありません。それ故、本願商標を見た取引者・需用者は、全体として「DNAチップ研究所」という一つの団体を思い浮かべるとみるのが、素直であり、自然ではないかと考えます。
 このように、本願商標は、本出願人の略称を表すものであって、あくまでも特定の事業体を表すものと理解すべきであります。一般的、抽象的に、「DNAチップについて研究するところ」の如き意味合いに理解すべきではありません。
 してみれば、本願商標「DNAチップ研究所」は、当然に登録要件としての自他商品・役務識別力を備えたものと判断されるべきであり、決して商標法第3条第1項第6号に、更には同法第4条第1項第16号に該当するものではないと考えます。

(4) このことは、御庁における過去の商標登録例をみると一層明らかであります。つまり、過去の商標登録例をみると、例えば、以下のような商標が御庁において、登録されております(以下は、ほんの一部の例)。
A. 登録3083926号「ライフデザイン研究所」(株式会社ライフデザイン研究所)
(42類 生活設計上の諸問題の調査・研究)
B. 登録3280645「脳老化予防研究所」(松井 博滋)
(42類 医療機関の紹介,リハビリ施設の紹介,医薬に関する情報の提供,医学に関する情報の提供)
C. 登録4039723「流通工学研究所」(権利者:株式会社流通工学研究所)
(42類 貨物の輸送・保管・荷役又は包装に関する調査又は研究,貨物の輸送・保管・荷役若しくは包装のための施設又はシステムの設計及びその設計に関するコンサルティング)
D. 登録4294229「生命エネルギー研究所」(権利者:杉原 俊雄)
(42類 宿泊施設の提供,宿泊施設の提供の契約の媒介又は取次ぎ,飲食物の提供,美容,理容,入浴施設の提供,写真の撮影,オフセット印刷,グラビア印刷,スクリーン印刷,石版印刷,凸版印刷,気象情報の提供,求人情報の提供,結婚又は交際を希望する者への異性の紹介,婚礼(結婚披露を含む。)のための施設の提供,葬儀の執行,墓地又は納骨堂の提供,一般廃棄物の収集,産業廃棄物の収集,庭園又は花壇の手入れ,庭園樹の植樹,肥料の散布,雑草の防除,有害動物の防除(農業・園芸又は林業に関するものに限る。),建築物の設計,測量,地質の調査,デザインの考案,電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守,医薬品・化粧品又は食品の試験・検査又は研究,建築又は都市計画に関する研究,公害の防止に関する試験又は研究,電気に関する試験又は研究,エネルギーに関する試験又は研究,土木に関する試験又は研究,農業・畜産又は水産に関する試験・検査又は研究,著作権の利用に関する契約の代理又は媒介,通訳,翻訳,施設の警備,身辺の警備,個人の身元又は行動に関する調査,あん摩・マッサージ及び指圧,きゅう,柔道整復,はり,医業,健康診断,歯科医業,調剤,栄養の指導,家畜の診療,保育所における乳幼児の保育,老人の養護,編機の貸与,ミシンの貸与,衣服の貸与,植木の貸与,計測器の貸与,コンバインの貸与,祭壇の貸与,自動販売機の貸与,消火器の貸与,超音波診断装置の貸与,展示施設の貸与,電子計算機(中央処理装置及び電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路・磁気ディスク・磁気テープその他の周辺機器を含む。)の貸与,布団の貸与,ルームクーラーの貸与)
E. 登録4296772「地域情報システム研究所」(権利者:株式会社地域情報システム研究所)
(42類 自治体等の行政に関する情報管理のための調査又は研究の代行,自治体等の情報管理のための機械化の設計又は開発)
F. 登録4361405「住宅総合研究所」(権利者:株式会社住宅総合研究所)
(35類 広告,市場調査,経営の診断及び指導,販売促進のための企画
 42類 市街地再開発・大型複合施設開発・ビル開発に関する建築又は都市計画の研究)
G. 登録4364415「乳化分散技術研究所」(権利者:特殊機化工業株式会社)
(42類 機械・装置若しくは器具(これらの部品を含む。)又はこれらにより構成される設備の設計,化学機械器具に関する試験又は研究,その他の機械器具に関する試験又は研究,乳化・分散に関する試験又は研究)
H. 登録4528971「施工力学研究所」(権利者:株式会社杉孝)
(42類 建築・土木及び都市計画に関する調査又は研究又は情報の提供)
I. 登録4579935「風工学研究所」(権利者:株式会社風工学研究所)
(42類 気象情報の提供,大気・気温・風速等の観測情報の提供,建築物の設計,測量,風環境の調査,構造骨組用風荷重の調査,外装材用風荷重の調査,機械・装置若しくは器具(これらの部品を含む。)又はこれらにより構成される設備の設計,デザインの考案,電子計算機・自動車その他その用途に応じて的確な操作をするためには高度の専門的な知識・技術又は経験を必要とする機械の性能・操作方法等に関する紹介及び説明,電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守,建築又は都市計画に関する研究,風環境に関する試験又は研究,風洞実験室の貸与,計測器の貸与,電子計算機(中央処理装置及び電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路・磁気ディスク・磁気テープその他の周辺機器を含む。)の貸与 )
J. 登録4626646「建設環境研究所」(権利者:株式会社建設環境研究所)
(37類 建設物の工事監理
41類 建設事業・土木事業に関する環境・地質・水理その他の調査、研究、計画、並びにコンサルテイング業務に関する会合及び講習会の開催・実施,測量業務に関する会合及び講習会の開催、実施
 42類 建設事業・土木事業に関する環境・地質・水理その他の調査、研究、計画、並びにコンサルテイング業務,測量,建設物の設計及び製図
 上記に示すA~Jの商標登録例は、本願商標と同様に「○○○研究所」の文字より構成され、「○○○について研究するところ」「○○○についての研究所」との認識を生じ得るものです。つまり、これらの商標は、審査官殿のような見方をすれば、それぞれ「ライフデザインについての研究所」、「脳老化予防についての研究所」、「流通工学についての研究所」、「生命エネルギーについての研究所」、「地域情報システムについての研究所」、「住宅についての総合研究所」、「乳化分散技術についての研究所」、「施工力学についての研究所」、「風工学についての研究所」、「建設環境についての研究所」というような認識になりますので、識別力はないとして拒絶されるべきものだと言うことになります。しかし、現実にはそうではなく、全て自他商品・役務識別力を有する商標として登録されております。
 これは、これらの商標を審査した審査官又は審判官は、あくまでも、これらの商標を全体として特定の事業体の固有の名称又は略称の如く認識し把握したからに他なりません。
 本願商標とて同様であります。登録適格性ありとの判断がなされるべきであります。

(5) 以上のように、本願商標「DNAチップ研究所」の文字は、単に商品・役務の内容(品質)を表示するものではなく、「DNAチップ研究所」という特定の業務団体の固有名称又は略称として、十分に自他商品・役務識別力を発揮するものであります(商標法第3条第1項第6号には該当しない)。そして、他に似た団体名(商標)が存在しない以上、本願商標は登録適格性を有するはずであります。
また、他の「DNAチップ関連」以外の商品・役務については、本願商標を特定の団体名と理解する限り、その団体で扱う商品や役務ということであり、何ら品質の誤認を生じないものと考えます(同法第4条第1項第16号にも該当しない)。

商標登録+α: 拒絶理由通知に対する意見書記載例目次