商標登録+α: 拒絶理由通知に対する意見書記載例#104

特許庁審査官等から受けた拒絶理由通知等に対し、反論した「意見書、審判請求書」の具体例を小川特許商標事務所のサイトから転載しております。

本願商標「NAOSIA」×「なおしや」「治し家」

1.出願番号  商願2016-85614
2.商  標「NAOSIA」
3.商品区分  第41類、第44類
4.適用条文商標法第4条1項11号
5.拒絶理由 「NAOSIA」は、(1) 登録第4813200号「なおしや/又兵衛/MATABEE」…引用商標1、(2) 登録第4813201号「なおしや/又兵衛/MATABEE/NEW/CRAFTMAN/SPIRIT」…引用商標2、(3) 登録第5487333号「治し家」…引用商標3、と類似する。

出願商標・商標登録第5976996号
引例商標1・商標登録第4813200号
引用商標2・商標登録第4813201号
引例商標3・商標登録第5487333号

意見書における反論

【意見の内容】
(A)理由1について
 拒絶理由通知書の理由1において、審査官殿は、本願の指定に係る指定役務中には、医師でない出願人が業として行うことが禁止されている役務「医業」を含むものであり、また、歯科医師でない出願人が業として行うことが禁止されている役務「歯科医業」を含むものであり、また、薬剤師、医師、歯科医師でない出願人が業として行うことが禁止されている役務「調剤」を含むものであるから、本願商標は、商標法第3条第1項柱書の要件を具備しないと指摘されました。この指摘に対し、本出願人は本日付けで手続補正書を提出し、第44類の指定役務中より、ご指摘の役務である「医業」、「歯科医業」及び「調剤」を削除する補正を行いました。これにより、この理由1に関しては、最早拒絶の理由がなくなったものと思料します。
(B)理由2について
(1)拒絶理由通知書の理由2において、審査官殿は、本願商標「NAOSIA」は、以下の登録商標と同一又は類似であって、その商標登録に係る指定役務と同一又は類似の役務について使用するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当すると認定されました。
1 登録第4813200号(商願2004-013648)「なおしや/又兵衛/MATABEE」…引用商標1
2 登録第4813201号(商願2004-013649)「なおしや/又兵衛/MATABEE/NEW/CRAFTMAN/SPIRIT」…引用商標2
3 登録第5487333号(商願2011-048287)「治し家」…引用商標3
 そして、特に、本願の第41類に関しては、上記引用商標1、2が類似し、本願の第44類に関しては、上記引用商標3が類似すると指摘されております。しかしながら、本出願人は、本願商標と引用各商標とは、第41類や第44類の役務について使用されるという性格上、視覚や観念にウエイトをもって識別されるもので、外観、称呼及び観念のいずれにおいても紛れるおそれはなく、また、両商標間で役務の出所の混同を生じるおそれのある特段の事情も見出し得ないことから、これらを総合的に勘案すれば、両商標は互いに紛れることのない非類似の商標であると考えますので、上記認定には承服できず、以下に意見を申し述べます。
(2)本願商標の構成
 本願商標は、アルファベットの6文字「N」「A」「O」「S」「I」「A」を単純に横一列に並べて「NAOSIA」と一連に記載した標準文字からなるもので、第41類「技芸・スポーツ又は知識の教授,セミナーの企画・運営又は開催,電子出版物の提供,図書及び記録の供覧,図書の貸与,書籍の制作,興行の企画・運営又は開催(映画・演芸・演劇・音楽の演奏の興行及びスポーツ・競馬・競輪・競艇・小型自動車競走の興行に関するものを除く。),運動施設の提供,娯楽施設の提供」及び、今般補正したとおり、第44類「美容,理容,入浴施設の提供,あん摩・マッサージ及び指圧,カイロプラクティック,きゅう,柔道整復,はり,医療情報の提供,健康診断,栄養の指導,動物の飼育,動物の治療,動物の美容,介護」を指定役務とするものであります。本願商標は、願書の商標登録を受けようとする商標にも示すように、単に欧文字で「NAOSIA」と記載した態様からなるものでありますが、これは「なお、幸せに」と言う願いを込めた日本語を組合せて作った「造語」であります(「なお=NAO」と「しあ=SIA」の組合せ)。そして、この「なおしあ」をアルファベット表記「NAOSIA」にしたのには理由があります。本出願人は、本願役務を提供するターゲットとして、女性や若年層を見据えています。鍼灸や接骨院、整体などの分野においては顧客は年配層が中心であり、その屋号の多くは漢字やひらがなに接骨院などを付けて○○○接骨院などとしております。前記引用商標3も、Google等で検索すると「治し家鍼灸院」と表示して役務の提供を行っています。本出願人は、若者層や女性層に対し、このような堅い外観や日本的なイメージを軽減・差別化し、気軽にカラダのケアが出来る場所としてのネーミングを検討し、アルファベット表記「NAOSIA」に至りました。フィットネス用の設備があり、カラダを動かしつつも、不調に対するケアも受けられる。そして屋号も垢抜けた感じで、親しみ易いもの。その結果がボディコンディショニングの「NAOSIA」です。例えば、一般人にとって、本願指定役務中の運動指導や整体というのは、必ずしも必須ではないのかも知れませんが、身体が健康であれば、「なお幸せになれる」という思いは誰にでもあると思います。本願商標は、その様な思いを込めて作ったもので、「なお幸せに」と言う願いを込めて運動指導や整体等の役務提供及びその提供施設の運営を行うことを想定して、また、特に若者層や女性をターゲットとして、垢抜けた感じで親しみやすい「NAOSIA」と名付けたものであります。とはいえ、単に欧文字で「NAOSIA」と記載しただけの商標ですので、この態様からは、特に特定の観念を生じるものではありません。また、このような特定の観念を生じない態様故、本願商標「NAOSIA」に接する取引者・需要者は、そのアルファベットの字面を追って「ナ・オ・シ・ア」と、一音一音を明確に発声し称呼するものと思います。

(3)引用商標の構成
 (3-1)これに対し、引用商標1は、横長長方形の囲いの中に、「なおしや/又兵衛/MATABEE」と書した態様で、漢字の「又兵衛」の文字を中央に大きく書し、その上方左側に小さくひらがなで「なおしや」と書し、また「又兵衛」の下方中央寄りに更に小さな欧文字で「MATABEE」と書してなるものであります。また、引用商標2は、「なおしや/又兵衛/MATABEE/NEW/CRAFTMAN/SPIRIT」と書した態様で、引用商標1の「なおしや/又兵衛/MATABEE」の右側に同じくらいの紺色の横長長方形を配置し、その中に三段の欧文字で「NEW/CRAFTMAN/SPIRIT」と書した態様からなるものであります。そして、これら引用商標1,2には共に、「なおしや」の右横に「のこぎり」、「家」、「スパナ」、「収納ラック」等の直し道具や直し対象物の図形を配置しております。そして、これら引用商標1,2は、本願商標と第41類「技芸・スポーツ又は知識の教授,セミナー・講演会の企画・運営又は開催」の役務を共通にするものであります。
 (3-2)次に、引用商標3は、漢字とひらがなで「治し家」と標準文字で記載した態様からなるもので、第44類「治療院における又は訪問もしくは人材派遣による医療・美容・あん摩・マッサージ・指圧・鍼灸・カイロプラクティック・柔道整復・気功・温熱療法・アロマテラピー・リフレクソロジーに関する治療・指導・助言及び情報の提供(電子計算機端末の通信ネットワークによるものを含む。),治療院施設の提供,温熱治療機器・器具の貸与又はその取次ぎ」を指定役務とするものであります。
(4)本願商標と引用商標の対比
 以下、本願商標と引用商標1,2,3を対比します。なお、商標の類否は、出願商標及び引用商標がその外観、称呼又は観念等によって需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に観察し、出願商標を指定商品又は指定役務に使用した場合に引用商標と出所混同のおそれがあるか否かにより判断するのが一般的であり、審査の基準ともされておりますので、以下、それに倣って検討いたします。
(a)外観について
 本願商標は、前述のように、欧文字で「NAOSIA」と一連に書した標準文字からなるものであります。
 これに対し、引用商標1は、横長長方形の囲いの中に、「なおしや/又兵衛/MATABEE」と書してなり(漢字の「又兵衛」の文字を中央に大きく書し、その上方左側に小さくひらがなで「なおしや」と書し、また「又兵衛」の下方中央寄りに更に小さく目立たない欧文字で「MATABEE」と書している)、また、引用商標2は、引用商標1の「なおしや/又兵衛/MATABEE」の右側に同じくらいの大きさの紺色の横長長方形を配置し、その中に欧文字で三段に「NEW/CRAFTMAN/SPIRIT」と書した態様からなるものであります。また、引用商標3は、漢字とひらがなで「治し家」と標準文字で記載した態様からなるものであります。したがって、本願商標と引用商標1,2,3とでは、外観上全く異なり、互いに紛れることはありません。
(b)観念について
 次に、観念の点についてみますと、本願商標の「NAOSIA」は、前述のように、「なお、幸せに」と言う願いを込めて造った造語商標で、主に運動指導や整体等の役務及びその提供施設名として用いるものでありますが、その欧文字「NAOSIA」の態様より、特定の観念を生じさせるものではありません。本出願人は、単にダイエットや体力づくりというだけでなく、整体の技術を組み合わせて、「肩こり、腰痛、姿勢改善」などのマンツーマン指導を行い、将来的には、「治療」と「運動」を同じ施設で行い管理できる総合型の役務提供及びその施設の提供を念頭に置いた事業展開を図ろうとしておりますが、「NAOSIA」はそのような提供サービス及び提供施設名(屋号)に用いるものであり、「なお、幸せに」という日本語を組み合わせて(即ち「なお=NAO」と「しあ=SIA」を組合せて)、「NAOSIA」と表示しました。しかし、この欧文字からなる造語の「NAOSIA」からは、具体的に特定の観念を生じさせるものではありません。これに対し、引用商標1や2は、その「なおしや/又兵衛」の部分から、「物を修理する又兵衛」=「直し屋の又兵衛」の如き意味合いを観念させ、また、引用商標3からは「治し家」という態様より、「治しの専門家」の如き観念を生じさせるものであります。したがって、何ら観念の生じない本願商標「NAOSIA」と、「物を修理する又兵衛」=「直し屋の又兵衛」の如き意味合いを観念させる引用商標1,2の「なおしや/又兵衛」とは、観念上比較すべくもなく、互いに紛れることはありません。また、引用商標3は「治し家」という態様より、「治しの専門家」と言った観念を生じさせるものでありますが、これも、何ら観念の生じない本願商標とは、観念上比較すべくもなく、互いに紛れることはありません。よって、本願商標は、これら引用商標1,2,3と互いに観念上も類似することはありません。
(c)称呼について
 そこで、次に、称呼の点について検討します。(第41類に関する本願商標と引用商標1,2の称呼について)
 (c-1)本願商標の「NAOSIA」は、アルファベットの6文字「N」「A」「O」「S」「I」「A」を単純に横一列に並べた態様より、また、特定の観念を生じさせない造語商標であることにより、必然的にこの文字「NAOSIA」に接する取引者・需要者は、その字面を追って「ナ・オ・シ・ア」という具合に、一音一音を明確に発声し称呼するものと思います。意味の分からない造語の欧文字を発声するときには、一音ずつ字面を追って慎重に発音するのが通例だからです。
 (c-2)これに対し、本願商標と第41類の役務を共通にする引用商標1、2は、横長長方形の囲いの中に、漢字の「又兵衛」を中央に大きく書し、その上方左側に小さくひらがなで「なおしや」と書し、また「又兵衛」の下方中央寄りに更に小さくほとんど読めない程度に目立たない欧文字で「MATABEE」と書した構成部分より成りますので、引用商標1,2からは、単に「マタベエ」あるいは精々「ナオシヤマタベエ」と称呼するのが自然であると考えます。小さく書したひらがな「なおしや」の部分のみを抽出し、単に「ナオシヤ」とだけ称呼するようなことはまずないと思います。なぜなら、その「なおしや」の部分は中央に大書されて圧倒的な存在感を示す「又兵衛」の文字に比べて小さく識別力の弱い部分で、称呼出来ないことはありませんが、業種を表すような言葉であり(「なおしや」の右横に配置された「のこぎり」、「家」、「スパナ」、「収納ラック」等の直し道具や直し対象物の図形の存在と相俟って、「なおしや」=「直し屋」のイメージを膨らませており)、識別部分と言うよりも単に業種の俗語「直し屋」を連想ないし表す部分と捉えることができ、看者の注意をほとんど引かないからです。この商標を見た人は、通常、小さく書され商標の要部とならないような「なおしや」の部分は無視し、圧倒的に目立つ大きな「又兵衛」を抽出して「マタベエ」と称呼するものと思います。あるいは、「なおしや」を業種を表す言葉と認識して「直し屋の又兵衛」(修理屋の又兵衛)と捉え、「ナオシヤマタベエ」と称呼するものと思われます。「なおしや」を業種の俗語と捉えるなら、このひらがな文字は「直し屋」、即ち「修理屋」と認識されるはずです。家具や家の修理をどこかに頼むのに、単に「なおしや」=「直し屋」=「修理屋」と呼ぶだけではどこの修理屋か判別できません。少なくとも「マタベエ」や「ナオシヤマタベエ」と称呼することで、初めてどこの直し屋(修理屋)なのかを判別することができます。それ故、引用商標1,2から「なおしや」だけを抽出して称呼することは基本的には無いと考えます。引用商標1,2からは単に「マタベエ」あるいは精々業種名を頭に配して「ナオシヤマタベエ」と称呼するのが自然とみるべきです。したがって、「ナ・オ・シ・ア」と称呼されて一音一音明瞭に称呼される本願商標と、この「マタベエ」や「ナオシヤマタベエ」と少なくとも第一音目にアクセントを置いて一気に称呼される引用商標1,2とでは、語感語調が全く異なり、称呼上も紛れることのない非類似の商標であると考えます。
 (c-3)ところで、本出願人は、このように引用商標1,2は、単に「マタベエ」あるいは「ナオシヤマタベエ」と称呼するのが自然であり、単に「ナオシヤ」と称呼されることはないと考えますが、審査官殿は、引用商標1,2からは、「なおしや」のひらがな部分より、単に「ナオシヤ」の称呼も生じ得ると判断して、今般の拒絶理由通知を発してきたのではないか思います。この点に関し、本出願人は、仮に、引用商標1,2の「なおしや」の部分から単に「ナオシヤ」の称呼が生じたとしても、やはり本願商標「NAOSIA」の称呼と、引用商標の称呼「ナオシヤ」とは十分に識別でき、称呼上も類似することはないと考えますので、念の為、以下に意見を申し述べます。即ち、本願商標の称呼は、前述したように、「NAOSIA」と欧文字で表記された特定の意味を持たない造語商標であるとの態様により、字面を追って一音一音ハッキリと「ナ・オ・シ・ア」と称呼されること、先に述べたとおりであります。これに対し、引用商標1,2は「なおしや」の部分から仮に単独で「ナオシヤ」の称呼が生じたとしても、このひらがな「なおしや」からは、その右横の直し道具や直し対象等の図形部分の存在と相俟って、「直し屋」「修理屋」のイメージが直ぐに浮かぶため、取引者・需要者はその意味合いを込めて称呼するものと思います。だとすれば、この「なおしや」からは、「直し屋」「修理屋」をイメージないし連想して、語頭音「ナ」と語尾音「ヤ」にややアクセントを置いて一気に「ナオシヤ(直し屋)」(修理屋)と称呼するのが自然ではないかと思います。この「なおしや」は「直し屋」(修理屋)をイメージすれば、本願商標のように一音一音慎重に「ナ・オ・シ・ヤ」という具合に発声することはなく、少なくとも語頭にアクセントを置いて「ナオシヤ(直し屋)」(修理屋)」と一気に発声されるものと思いますので、両商標は語感語調を全く異にし、称呼上紛れることはないと考えます。そして、それに加えて、本願商標と引用商標とは、全く同一の音ではなく、語尾音に「ア」と「ヤ」の違いがあります。この「ア」と「ヤ」は、語尾音であり、母音(a)を共通にするものではありますが、それぞれ比較的きちんと発声される音ですので、僅か4音という短い音構成の中では聴別も容易であり、両者を称呼した場合の音の強弱やイントネーションの違いもあって、語感語調を異にし、称呼上も決して紛れることはないと考えます。それ故、仮に引用商標1,2から単に「ナオシヤ」の称呼が生じたとしても、一音一音明瞭に称呼される本願商標「ナ・オ・シ・ア」とは、称呼上も紛れるものではありません。
(第44類の役務に関する本願商標と引用商標3の称呼について)
 (c-4)次に、第44類の役務に関する本願商標「NAOSIA」と引用商標3「治し家」の称呼についてですが、本願商標NAOSIA」が、前述のように、一音一音ハッキリと「ナ・オ・シ・ア」と称呼されるのに対し、引用商標3は慣れ親しんだ漢字とひらがなの「治し家」からなる構成態様のため、この文字からは「治しの専門家」(治療の専門家)という観念をイメージして、語頭音「ナ」と語尾音「ヤ」にアクセントを置き、一気に「ナオシヤ」と称呼するものと思われます。それ故、この引用商標3の「治し家」は、本願商標「NAOSIA」のように一音一音きちんと字面を追って「ナ・オ・シ・ア」と称呼されるようなことはありません。また、本願商標と引用商標とは語尾音に「ア」と「ヤ」の違いもあり、それぞれ比較的きちんと発声される音ですので、母音(a)が共通するとは言え、「ア」と「ヤ」の聞き分けは十分可能であり、全体に強音弱音の違いもあって両者は語感語調を異にし、称呼上紛れることはないと考えます。例えば、一音一音明瞭に「ナ・オ・シ・ア」と称呼される本願商標からは、「治し家」(治療の専門家)をイメージできませんが、語頭音に強音「ナ」を伴って一気に「ナオシヤ」と称呼すれば「治し家」(治しの専門家)(治療の専門家)をイメージすることができます。したがって、これらは語感語調の違いが明らかで、称呼上紛れることはないと考えます。その意味でも語尾音の「ア」と「ヤ」の違いにより、また強音弱音から受ける全体の語感語調の違いや称呼から浮かべるイメージの違いにより、両者は十分に識別可能な商標同士と考えます。
 (d)運動、整体等の役務提供及びその施設名としてのネーミングの使用態様及び取引者・需用者の観察力について ところで、本願商標は、前述のように、主に運動指導や整体等提供する役務の名前及びその提供施設の名前(看板)に用いるものでありますので、このような役務の提供に係る取引者・需要者は、施設の看板「NAOSIA」を見、あるいは本出願人のWebサイトの表示「NAOSIA」の欧文字を視覚的に認識して称呼しますので、先ずは、視覚的認識から本願商標の把握がスタートします。ところで、本出願人は、先にも触れましたように、若者層や女性をターゲットとしていますので、ネーミングから堅い外観や日本的なイメージを軽減・差別化し、気軽にカラダのケアが出来る場所をイメージするように、アルファベット表記の「NAOSIA」を選定しました。フィットネス用の設備があり、カラダを動かしつつも、不調に対するケアも受けられる。そして屋号も垢抜けた感じで、親しみ易いもの。その結果がボディコンディショニングの「NAOSIA」というネーミングです。そして、一般需要者もそうですが、特に、本役務提供のターゲット層である女性や若者という需要者層のネーミングに対する鋭い観察力を考慮すると、アルファベットの「NAOSIA」と、主に漢字・ひらがなからなる引用商標1,2,3「なおしや/又兵衛」「治し家」とでは全く違った印象を持つはずであり、両者は明確に識別できるものと思います。本出願人は、先にも触れましたように、単にダイエットや体力づくりということではなく、整体の技術を組み合わせ、「肩こり、腰痛、姿勢改善」などのマンツーマン指導を行い、将来的には、「治療」と「運動」を同じ施設で行い管理できる総合型の施設の提供を目指しており、「NAOSIA」はそのようなサービスや施設を提供するための特に、女性や若者層をターゲットとしたネーミング(いわば屋号)として用います。具体的には、提供役務のネーミング、役務広告への掲載、提供施設の看板、提供役務に関するWebサイト等に本願商標を用いることになります。それ故、本役務の提供を受ける取引者・需要者は、本願商標をまずは視覚的に認識し脳裏に印象付けることになります。そして、称呼するときにも視覚的に受ける印象、イメージを念頭に置いて、称呼することになります。そのような運動、整体等の役務提供及びその施設名としてのネーミングの使用態様や、取引者・需用者の通常の観察力を前提に、両商標の類否を検討しますと、本願商標と引用商標1,2,3とは、アルファベットのみからなる本願商標と、図形混じりの漢字ひらがなからなる引用各商標という態様、全体から受ける印象に大きな違いがあり、両者は外観および観念上明瞭に識別できます。また、称呼上も本願商標「ナ・オ・シ・ア」(NAOSIA)と引用商標「ナオシヤ」(なおしや、直し屋、治し家)とは、発声の仕方が異なり、語感語調を異にし、僅か4音という短い音構成の中で、語尾音の「ア」と「ヤ」の違いもあり、全体の識別力の差異に大きな影響を及ぼし、両者は本役務の取引者・需用者をして明確に識別できるもので、決して類似するものではないと考えます。

(5)むすび
 以上の次第でありますので、本願商標「NAOSIA」と、引用商標1、2、3の「なおしや/又兵衛/MATABEE」、「なおしや/又兵衛/MATABEE/NEW/CRAFTMAN/SPIRIT」、「治し家」とは非類似の商標であり、本願商標は、商標法第4条第1項第11号の規定に該当するものではなく十分に登録適格性を有するものと考えます。そして、本願商標と引用各商標とは、称呼の点でたとえやや近似する面があったとしても、その称呼も「ナ・オ・シ・ア」と「ナオシヤ」という語感語調の違いがあって十分に識別でき、また、外観から受けるイメージ・印象も明らかに違っていて外観上明確に区別でき、観念においても相紛れるおそれはなく、また、本願商標と引用各商標との間で役務の出所の混同を生じるような特段の事情も存在しないことから、これらを総合的に勘案すれば、両商標は互いに紛れるおそれのない非類似の商標であると考えます。
よって、本願商標は、十分に登録適格性を有するものと思料しますので、再度ご審査の上、本願に登録査定を賜りますようお願い申し上げます。
                              以上

商標登録+α: 拒絶理由通知に対する意見書記載例目次

商標登録+α: 拒絶理由通知に対する意見書記載例#103

特許庁審査官等から受けた拒絶理由通知等に対し、反論した「意見書、審判請求書」の具体例を小川特許商標事務所のサイトから転載しております。

本願商標 「SWEET ROUGE/スウィートルージュ」×「ルージュ/Rouge」

1.出願番号  商願2015-117295
2.商  標 「SWEET ROUGE/スウィートルージュ」
3.商品区分  第30類
4.適用条文 商標法第4条1項11号
5.拒絶理由 「SWEET ROUGE/スウィートルージュ」は「ルージュ/Rouge」と類似する。

出願商標 商標登録第5895700号
引例商標1・商標登録第4065793号

意見書における反論

【意見の内容】
(1) 拒絶理由通知書において、本願商標は、登録第4065793号(商願平7-125184)の商標(以下、「引用商標」という)と同一又は類似であって、その商標登録に係る指定商品と同一又は類似の商品に使用するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当すると認定されました。しかしながら、本出願人は、本願商標はあくまでも「SWEET ROUGE/スウィートルージュ」全体で一連一体の商標であり、単に「ルージュ/Rouge」からなる引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれにおいても紛れることのない非類似の商標であると考えますので、前記認定には承服できず、以下に意見を申し述べます。

(2) まず、本願商標は、願書の商標見本から明らかなように、英文字の「SWEETROUGE」を上段に、カタカナ文字の「スウィートルージュ」を下段に配置して、「SWEETROUGE/スウィートルージュ」と二段に書した態様からなるもので、指定商品を「第30類 茶,コーヒー,ココア」とするものであります。これに対し、引用商標は、カタカナ文字の「ルージュ」を上段に、英文字の「Rouge」を下段に配置して、単に「ルージュ/Rouge」と二段に書した態様からなるもので、同じく指定商品を「第30類 コーヒー及びココア,茶」とするものであります。したがって、本願商標と引用商標とは、外観上類似しないことは明らかであります。

(3) また、本願商標の「SWEETROUGE/スウィートルージュ」は、その上段の英文字部分「SWEETROUGE」が、「甘い、甘美な」等の意味を有する英語の「SWEET」と、「ルージュ、口紅、ほお紅」等の意味を有する英語の「ROUGE」とからなるもので、「甘美なルージュ」「甘美な口紅」「甘美で愛らしい口紅」等の意味合いを有し、また、下段の片仮名部分「スウィートルージュ」も同様の意味合いを有するものであります。
 即ち、本願商標中の「SWEET/スウィート」の言葉は、商品「コーヒー」等の味覚を、ある意味で示唆する言葉ではあっても、本願商標はその「SWEET/スウィート」の言葉のみから成るものではなく、あくまでも「SWEET/スウィート」と「ROUGE/ルージュ」の2つの単語を組み合わせて不可分一体とした造語からなるものであります。そして、全体として「甘美なルージュ」「甘美な口紅」「甘美で愛らしい口紅」といった一定のまとまった意味合いを生じさせるものでありますが、本願指定商品「コーヒー」等との関係にあってこの「SWEETROUGE/スウィートルージュ」の商標は、「モカの持つ甘い香り」をイメージしたものであり、「SWEET/スウィート」単体でも、「ROUGE/ルージュ」単体でも、このイメージを表現できるものではありません。それ故、本願商標は、「SWEET」と「ROUGE」の間にやや間隔を空けた態様ではあっても、あくまでも全体を一体のものとして把握し称呼すべき商標で、一連に称呼して決して冗長にならず、無理なく一連に称呼・観念できるものであり、左右を分断して把握すべき性質のものでは無いと考えます。
 これに対し、引用商標は、単に「ルージュ/Rouge」と書してなるもので、単に「ルージュ」「口紅」「ほお紅」等の意味合いを生じさせるものにすぎず、本願商標のような「甘美なルージュ」「甘美な口紅」のような観念、あるいは、指定商品「コーヒー」等との関係にあって、「モカの持つ甘い香り」をイメージさせるものではありません。この「モカの持つ甘い香り」のイメージは、「SWEET/スウィート」単体でも、「ROUGE/ルージュ」単体でも、決してこれを表現できるものではありません。
 よって、本願商標「SWEETROUGE/スウィートルージュ」と引用商標「ルージュ/Rouge」とは、観念上も紛れることのない、非類似の商標であります。

(4)そこで、次に称呼の点につき検討しますと、本願商標「SWEETROUGE/スウィートルージュ」は、全体が一連に書され、かつ上述の如く全体として一つの意味合いを生じさせるものでありますから、常に全体を一連に称呼するのが自然であり、「スウィートルージュ」とのみ称呼されるべきものと思料します。この点、審査官殿は、本願商標中の「SWEET/スィート」の部分は、指定商品との関係にあって、要部を構成せず、従って「ROUGE/ルージュ」のみに識別力を認め、単に「ルージュ」のみの称呼も生じるとみて今般の拒絶理由通知を発したのではないかと推察しますが、そのような認定はおかしいと考えます。本願商標は、前述のように、(a)前段と後段を分けることなくあくまでも同一書体でバランスよく一連に書された態様です。また、(b)全体としてまとまった特定の意味合いを観念させ、又はイメージさせるものであり、分断して一方を取り出し発音すべき理由はありません。例えば、前段の「SWEET」を無視して後段「ROUGE」のみを取り出して本願商標を把握したのでは、「甘美なルージュ」というまとまった観念は生じませんし、指定商品「コーヒー」との関係にあって「モカの持つ甘い香り」をイメージさせることもできません。また、(c)「SWEET」(スウィート)の部分も「ROUGE」(ルージュ)の部分もバランスよく配され軽重の差なく称呼できます。特に、(d)「SWEET」(スウィート)の部分は前段部分にあり、称呼上重要な位置を占め、この部分を省略して発音することは通常ありません。そして、(e)全体として一連に称呼して語呂がよく称呼しやすく、一連に称呼するのが自然であると考えられます。よって、本願商標はあくまでも「スウィートルージュ」とのみ称呼されるものと思料します。
 ところで、過去の商標登録例を見ると、例えば、第30類コーヒーを指定商品とする、あるいはこれと類似と判断される第35類のコーヒー等の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供などの役務を指定役務とする商標同士において、以下のような並存登録例が存在します。
 即ち、
(イ)「MOUNTAIN/マウンテン」(登録596856、30類、横山商店)(第1号証)が有りながら、別人により「スウィートマウンテン」(登録5189053、30類、ワタル株式会社)(第2号証)が登録されていますし、
(ロ)「poem」(登録1113534、30類、山内本子)(第3号証)が有りながら、別人により、「Sweet Poem」(登録5024471、30類、日糧製パン株式会社)(第4号証)が登録されています。また、
(ハ)「SweetAngel」(登録5393762、35類、株式会社ワイ・ヨット)(第5号証)が有りながら、別人により、「Angel」(登録5624287、30類、森永製菓株式会社)(第6号証)が登録されていますし、
(ニ)「SweetGarden」(登録5165067、35類、株式会社スイートガーデン)(第7号証)が有りながら、別人により、「ガーデン/GARDEN」(登録5207630、30類、株式会社シェルガーデン)(第8号証)が登録されています。
 これらは、指定商品・役務等が全て抵触関係にありますので、「SWEET」「Sweet」「スウィート」の部分も一体となった商標、即ち「SWEET MOUNTAIN/スウィート マウンテン」、「Sweet Poem」、「Sweet Angel」「SweetGarden」に関しては、前後分断できない一体の商標として理解され把握されたからこそ、単なる「MOUNTAIN/マウンテン」、「Poem」、「Angel」「ガーデン/GARDEN」との並存登録が認められたものと思料します。
 本願商標「SWEETROUGE/スウィートルージュ」とて同様であります。全体として一体不可分の商標と見るべきであります。そこで、本願商標の称呼である「スウィートルージュ」と引用商標の称呼である「ルージュ」とを対比すると、「スィート」の称呼の有無によって、両者は音数及び語感語調が全く異なり明確に識別できるものと考えますので、両者は称呼上も相紛れることのない非類似の商標であると考えます。
(5) 以上のように、本願商標は、あくまでも、「スウィートルージュ」とのみ一連に称呼されるべきものであり、それ故に引用商標の称呼である単なる「ルージュ」とは、類似することはありません。本願商標と引用商標とは、外観及び観念上類似しないことは勿論、称呼上も「スィート」の称呼の有無によって語感語調を全く異にし、聴者をして決して紛れることはないものと思料します。

商標登録+α: 拒絶理由通知に対する意見書記載例目次

商標登録+α: 拒絶理由通知に対する意見書記載例#102

特許庁審査官等から受けた拒絶理由通知等に対し、反論した「意見書、審判請求書」の具体例を小川特許商標事務所のサイトから転載しております。

本願商標「販促ナビ」×「販促ナビゲーター」

「販促ナビゲーター/販促NAVIGATOR」、
「販促Navigator」
1.出願番号  商願2014-85284
2.商  標 「販促ナビ」
3.商品区分  第9類、第42類
4.適用条文商標法第4条1項11号
5.拒絶理由 「販促ナビ」は「販促ナビゲーター」「販促NAVIGATOR」と類似する。

出願商標・商標登録第5761560号
出願商標・商標登録第5761560号
引例商標1・商標登録第4318995号
引例商標1・商標登録第4318995号
引例商標2・商標登録第4852229号
引例商標2・商標登録第4852229号
引用商標3・商標登録第5500935号
引用商標3・商標登録第5500935号

意見書における反論

(1) 拒絶理由通知書において、本願商標は、以下1~3の登録商標(いずれも株式会社ネクスウェイ所有)と同一又は類似であって、その商標に係る指定商品と同一又は類似の商品について使用するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する、との認定を受けました。
 引用商標1.登録第4318995(商願平10-030243)…販促ナビゲーター 9類
 引用商標2.登録第4852229(商願2000-071713) …販促ナビゲーター/販促NAVIGATOR 35,38,42類
 引用商標3.登録第5500935(商願2011-093581) …FNX/販促Navigator/出版ゴールドサービス 35,42類
 しかしながら、本出願人は、本願商標と引用商標1~3とは、外観,称呼および観念のいずれにおいても類似せず、取引者・需用者をして決して紛れることのない非類似の商標であると思料しますので、斯かる認定には承服できず、以下に意見を申し述べます。

(2)本願商標は、願書の商標の記載からも明らかなように、「販促」の漢字と「ナビ」の片仮名文字を前後に配して「販促ナビ」と一連に書してなるものであります。
 これに対し、引用商標1は、漢字と片仮名文字で「販促ナビゲーター」と一連に書してなるものであり、引用商標2は、漢字と片仮名文字の「販促ナビゲーター」を上段に、漢字と欧文字の「販促NAVIGATOR」を下段にそれぞれ配して、「販促ナビゲーター/販促NAVIGATOR」と二段に構成してなるものであります。また、引用商標3は、「販促Navigator」の文字を中央に大きく書し、その左上に「FNX」の文字を小さく、また、右下に「出版ゴールドサービス」の文字を小さくそれぞれ配してなるものであります。
 したがって、本願商標と引用商標1~3とは、外観上類似しないことは明らかであります。

(3)また、本願商標の「販促ナビ」は、「販売促進」の略語としての「販促」の文字と、「navigation」(航行、航法、航海(術)、運行指示などの意味を持つ英単語。目的地までの経路や道順、移動方法の案内のこと。)を略した「navi」、即ち片仮名表記では「ナビ」の文字を結合した態様からなるものであります。そして、この態様より「販促の案内」の如き意味合いを暗示させるものでありますが、本願の指定商品・指定役務との関係にあっては、具体的に特定の意味合いを生じさせるものではなく、その意味で、本願商標は特定の観念を生じさせない造語商標であります。
 ところで、この「ナビ」は、何の略かと言えば、通常は「ナビゲーション」であって、「ナビゲーター」ではありません。IT用語辞典(e-word)によれば、位置情報システムの分野では、画面に地図を表示して現在地から目的地までの道順や所要時間などを案内することをナビゲーションといいますが、自動車向けのシステムを「カーナビゲーションシステム(カーナビ)」、歩行者向けに公共交通機関の乗り換え案内などを統合したシステムを「歩行者ナビゲーション(歩行者ナビ)」などというようであります。つまり、「ナビ」は、「カーナビ」、即ち「カーナビゲーションシステム」に代表されるように、「navigation」(ユーザーが目的へたどり着けるように手助けする機能のこと。サイト内の階層を表す「パンくずリスト」、関連情報への「リンク」、「サイトマップ」等がある。)の略語「navi」の片仮名表記「ナビ」であって、「navigator」「ナビゲーター」(1操縦士。航海士。2自動車ラリーなどで、運転者に速度や方向の指示を与える同乗者。)の略語ではありません。
 これに対し、引用商標1~3の要部を構成する「販促ナビゲーター」「販促NAVIGATOR」「販促Navigator」は、「販促」と「navigator」「ナビゲーター」(1操縦士。航海士。2自動車ラリーなどで、運転者に速度や方向の指示を与える同乗者。)の結合された商標であって、全体として「販売促進のためのナビゲーター,販売促進のための操縦者,販売促進のための操縦士,販売促進のための航法士,販売促進のための航空士」等の意味合いを暗示させるものでありますが、本願の指定商品・指定役務との関係にあっては、やはり具体的に特定の明確な観念を生じさせることのない造語商標であります。「Navigator」(1操縦士。航海士。2自動車ラリーなどで、運転者に速度や方向の指示を与える同乗者。)と「navigation」(ユーザーが目的へたどり着けるように手助けする機能のこと。サイト内の階層を表す「パンくずリスト」、関連情報への「リンク」、「サイトマップ」等がある。)とは異なりますし、それらやその略語を「販促」の文字と結び付けて造語とした本願商標「販促ナビ」と引用商標1~3「販促ナビゲーター」「販促NAVIGATOR」等とは、観念上も紛れることのない非類似の商標であります。

(4)そこで、次に、称呼の点につき検討します。
 (4-1) 本願商標は、前述のように、「販促」の漢字と「ナビ」の片仮名文字を前後に配して「販促ナビ」と一連かつ簡潔に書してなるものであるところ、このような本願商標の態様からは常に「ハンソクナビ」の称呼が生じるものと思料します。漢字と片仮名文字とから構成された商標ではありますが、両部分はバランスよく配され、また同書、同大、同間隔で一連一体に書されており、しかも一連に称呼して称呼しやすい商標であることから、常に一連に「ハンソクナビ」とのみ称呼されるものと思料します。
 一方、引用商標1~3は「販促ナビゲーター」「販促NAVIGATOR」「販促Navigator」の態様よりなるところ、これより「ハンソクナビゲーター」の称呼が生じるものと思料します。審査官殿は、引用商標1~3の「販促ナビゲーター」「販促NAVIGATOR」「販促Navigator」がやや冗長であることから、これらを称呼する場合、短縮して単に「ハンソクナビ」と称呼される場合もあるのではないかと考え、本願の引用商標としてこの3件を今般引いてきたのではないかと思料しますが、各引用商標からは、単に「ハンソクナビ」の称呼を生じることはなく、一連一体の態様より、常に「ハンソクナビゲーター」と称呼されるものと思料しますので、決して称呼上も紛れることはないものと考えます。「販促ナビゲーター」「販促NAVIGATOR」の態様からは、素直に「ハンソクナビゲーター」と称呼できます。やや冗長な印象を受けますが、「ナビゲーター」「NAVIGATOR」の言葉自体は一つの意味合いを持つ単語ですので、一連に称呼するのが素直です。「ナビ」と「ゲーター」を区切って読むようなことはしません。「ナビゲーター」と一連に称呼して称呼しにくいものでもありません。
したがって、本願商標の称呼「ハンソクナビ」と各引用商標の称呼「ハンソクナビゲーター」とを対比すると、両者は後段の「ナビ」と「ナビゲーター」との違いがあり、これら両者を一連に称呼したときには、「ゲーター」の音の有無で別異の印象を受け、称呼上も明瞭に識別できるものと思料します。
 (4-2) そして、このことは過去の商標登録例の存在からも言い得ることであります。
 即ち、過去の商標登録例を見ると、例えば、審査官殿の引用された(A)「販促ナビゲーター」は、株式会社ネクスウェイの所有に係るものですが(類似群35B01ほか、引用商標2、登録4852229、平成12年6月27日出願、平成17年4月1日登録)(第1号証)、この先願商標の存在にも拘わらず、これと類似群35B01を共通にする株式会社ヒロモリの後願商標(B)「販促ナビ」(類似群35B01、登録4530578、平成12年9月12日出願、平成13年12月21日登録)(第2号証)が登録されております(先願A1が出願中に後願A2が登録されたケース)。
 この登録例などは、まさに「販促ナビゲーター」と「販促ナビ」を非類似の商標と判断したケースであり、両者非類似と判断したからこそ、後願「販促ナビ」の登録が認めたられたものであります。
 そして又、9類,35類,42類などの指定商品や指定役務を共通にする出願において、「ナビケーター」と「ナビ」の称呼上の差異が存在するということで、両商標非類似扱いとされ並存登録が認められたケースが多数あります。
(C)「セールスナビゲーター」(類似群42P02、登録4077149、平成7年8月15日出願、平成9年10月31日登録、株式会社マロネイト、株式会社ジェーエヌエル)(第3号証)と、
(D)「セールスナビ」(類似群42P02、登録4162808、平成8年10月2日出願、平成10年7月3日登録、タカヤモーター株式会社)(第4号証)。
(E)「エコナビ」(類似群42P02、42X11ほか、登録4792116、平成15年9月26日出願、平成16年8月6日登録、株式会社大林組)(第5号証)と、
(F)「ecoナビゲーター」(類似群42P02、42X11ほか、登録5118417、平成19年4月17日出願、平成20年3月14日登録、大和ハウス工業株式会社)(第6号証)。
(G)「サポートナビゲーター」(類似群42P02、登録4829129、平成16年1月26日出願、平成16年12月24日登録、NECパーソナルコンピュータ株式会社)(第7号証)と、
(H)「フォーバル・サポートナビ」(類似群42P02、登録5077757、平成17年12月9日出願、平成19年9月14日登録、株式会社フォーバル)(第8号証)。
(I)「e-NAVIGATOR」(類似群42P02、42X11、登録4580877、平成12年11月16日出願、平成14年6月28日登録、NECソリューションイノベータ株式会社)(第9号証)と、
(J)「e-navi」(類似群42P02、42X11、登録5664619、平成25年11月1日出願、平成26年4月18日登録、ミヤマ株式会社)(第10号証)。
(K)「K-Navi」(類似群11C01、42P02、42X11、登録5464057、平成23年8月3日出願、平成24年1月20日登録、株式会社エクスラント)(第11号証)と、
(L)「Kナビゲーター」(類似群11C01、42P02、42X11、登録5684920、平成26年2月21日出願、平成26年7月11日登録、株式会社K-engine)(第12号証)。
 これらの並存登録例からも分かるように、「NAVIGATOR」「ナビゲーター」と「NAVI」「ナビ」とは、商標の類否判断において、非類似のものと判断されております。商標の類否判断は時代の変遷により変わり得るものですが、ここに挙げた例は(A-B)(C-D)を除き、精々ここ10年程度のものであり、昨年登録された例もいくつかありますので、このような登録例は踏襲されて然るべきものであります。
 審査官殿のような考え方に従えば、これら(A)~(L)の商標のうち、後願に係る(B),(D),(F),(H),(J),(L)の商標は、指定商品・役務に同一又は類似のものを含んでいる関係上、それぞれ先願(A),(C),(E),(G),(I),(K)の存在により拒絶されていたはずであります。しかし、現実には登録されております。
 これは、「NAVIGATOR」「ナビゲーター」の付く商標と、「NAVI」「ナビ」の付く商標とでは、他の部分が共通していても、その違いによって非類似の商標であると判断されたからにほかなりません。
 然るに、これら(A)「販促ナビゲーター」と(B)「販促ナビ」、(C)「セールスナビゲーター」と(D)「セールスナビ」、(E)「エコナビ」と(F)「ecoナビゲーター」、(G)「サポートナビゲーター」と(H)「フォーバル・サポートナビ」、(I)「e-NAVIGATOR」と(J)「e-navi」、(K)「K-Navi」と(L)「Kナビゲーター」とがそれぞれ並存できて、本願商標「販促ナビ」と引用商標1~3「販促ナビゲーター」「販促NAVIGATOR」「販促Navigator」とが並存できないとされる謂われは全くありません。
 これら(B),(D),(F),(H),(J),(L)の商標が登録できたのと同様に、本願商標は前後分断できない一体不可分の商標として、登録されて然るべきであります。

(5) 以上のように、本願商標は、あくまでも、「ハンソクナビ」とのみ一連に称呼されるべきものであり、それ故に各引用商標の称呼である「ハンソクナビゲーター」とは、類似することはありません。本願商標と各引用商標とは、外観及び観念上類似しないことは勿論、称呼上も「ナビ」と「ナビゲーター」の称呼の差異によって語感語調を全く異にし、聴者をして決して紛れることはないものと思料します。
 よって、本願商標と引用商標1~3とは非類似の商標であり、本願商標は商標法第4条第1項第11号に該当するものではなく、登録適格なものと考えます。
 以上

商標登録+α: 拒絶理由通知に対する意見書記載例目次

商標登録+α: 拒絶理由通知に対する意見書記載例#101

特許庁審査官等から受けた拒絶理由通知等に対し、反論した「意見書、審判請求書」の具体例を小川特許商標事務所のサイトから転載しております。

本願商標「Mailsave」9, 35, 42類…3条1項3号、4条1項16号

1.出願番号  商願2014-69008
2.商  標 「Mailsave」
3.商品区分  第9類、第35類、第42類
4.適用条文商標法4条1項11号、第3条1項3号、第4条第1項第16号
5.拒絶理由 (第4条1項11号の関係もあり、商品・役務を減縮した。)
6.意見書における反論

出願商標・商標登録第5729085号
出願商標・商標登録第5729085号
引例商標1・商標登録第1745731号
引用商標2・商標登録第1759387号

意見書における反論

(A) 拒絶理由通知書において、審査官殿は、拒絶理由2において、本願商標は、下記の登録商標と同一又は類似であって、その商標登録に係る指定商品(指定役務)と同一又は類似の商品(役務)について使用するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当すると指摘されています。
           記
1.登録第1745731号(商公昭59-040888)「メルセーブ」(第9類他書換後全8区分)
2.登録第1759387号(商公昭59-057068)「MELSAVE」(第9類他書換後全8区分)
しかしながら、本出願人は本日付けで手続補正書を提出し、両引用商標に係る指定商品又は指定役務と同一又は類似する指定商品である第9類の「電気通信機械器具,電子計算機,電子計算機用プログラム,その他の電子応用機械器具及びその部品」(類似群11B01、11C01、11C02)を削除し、第9類の指定としては、両引用商標と同一又は類似することのない「インターネットを利用して受信し及び保存することができる音楽ファイル,インターネットを利用して受信し及び保存することができる画像ファイル,録画済みビデオディスク及びビデオテープ,電子出版物」とする補正を行いました。
 また、本願は他に、第35類「電子計算機システム及び通信ネットワークシステムの運用による事業の管理及びそれに関するコンサルティング,電子計算機による電子データファイルの管理,電子計算機用データベースへの情報構築・情報編集,電子計算機又は電子計算機情報網の操作に関する運用管理」、並びに、第42類「電子計算機システムにおけるデータのバックアップ処理,電子計算機用データの回復,電子計算機用プログラムの変換及び電子計算機用データの変換,電子計算機用プログラムの設計・作成又は保守,電子計算機の貸与,電子計算機端末による通信におけるサーバーの記憶装置の記憶領域の貸与,電子計算機用プログラムの提供」を指定しておりますが、これらの指定役務も、両引用商標に係る指定商品又は指定役務と同一又は類似することはありません。
 よって、本願商標と各引用商標とは、商標の類否を論じるまでもなく、指定商品又は指定役務が同一又は類似せず、商標法第4条第1項第11号に該当しないものと思料します。

(B) 次に、審査官殿は、拒絶理由1において、次のように認定しておられます。
「 本願商標「Mailsave」は、「Eメール」を意味する「Mail」の文字と、「保存する」を意味する「save」の文字を結合し「Mailsave」と書してなり、「Eメールを保存する」の意味合いを容易に認識させます。そして、「Mailsave」の語が、上記意味合いで使用されている実情があります(後記(1)を参照してください。)。
 してみれば、本願商標をその指定商品・役務中、例えば、後記(2)の商品・役務について使用するときは「Eメールを保存する機能のある電子計算機,Eメールを保存する機能のある電子計算機用プログラム,Eメールを保存する機能のある電子計算機用プログラムの設計・作成又は保守,Eメールを保存する機能のある電子計算機用プログラムの提供」等を内容とする商品・役務の品質、質、機能、内容を表示してなるにすぎないものと認めます。
 したがって、この商標登録出願に係る商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品・役務以外の商品・役務について使用するときは、商品・役務の品質・質の誤認を生じさせるおそれがありますから、商標法第4条第1項第16号に該当します、としております。

後記(1)
(1)「Vector」の見出しの下、「Mail Saver・・・AL-Mail32で選択した複数のメールをファイルに保存するプラグイン・・・ダウンロード・・・ソフト名:Mail Saver1.0・・・ファイル:mailsave.lzh / 17,312Bytes / 2001.6.17」との記載があります(ホームページアドレス http://www.vector.co.jp/soft/dl/win95/net/se197108.html)。
(2)「サイボウズOffice8マニュアル」の見出しの下、「メールデータを退避する・・・コマンドを実行する・・・メールデータの退避・・・年月日と対象ユーザーIDを指定し、指定した日より前に送受信されたメールデータをemlファイルに書き出します。・・・環境 Windowsサーバー・・・コマンド・・・ag.exe -x mailsave -path (保存フォルダの絶対パス) -date (yyyy/mm/dd) -uid (対象ユーザーID) -e (実行時間(秒))・・・補足・・・操作ログは、メールデータを退避させるフォルダのpathの指定に関わらず、(インストールディレクトリ)/mailsave.logに保存されます。」との記載があります(ホームページアドレス http://manual.cybozu.co.jp/office8/admin/mail/commandline.html)。

後記(2)
(1)第9類「電子計算機,電子計算機用プログラム」
(2)第35類「電子計算機システム及び通信ネットワークシステムの運用による事業の管理及びそれに関するコンサルティング,電子計算機による電子データファイルの管理,電子計算機用データベースへの情報構築・情報編集,電子計算機又は電子計算機情報網の操作に関する運用管理」
(3)第42類「電子計算機システムにおけるデータのバックアップ処理,電子計算機用データの回復,電子計算機用プログラムの変換及び電子計算機用データの変換,電子計算機用プログラムの設計・作成又は保守,電子計算機の貸与,電子計算機端末による通信におけるサーバーの記憶装置の記憶領域の貸与,電子計算機用プログラムの提供。 」

 しかしながら、後記(1)の使用例は、「Mail Saver1.0」というものであって、「Mail Save」でも一連の「MailSave」でもありません。あくまでもソフトウェアの使用例は「Mail Saver1.0」であり、Web上のURLにたまたま「mailsave.1zh/17.312Bytes/2001.6.17」としているだけであります。
 また、サイボウズのWebサイトにあって「サイボウズOffice8マニュアル」の見出しの下、「メールデータを退避する・・・コマンドを実行する・・・メールデータの退避・・・年月日と対象ユーザーIDを指定し、指定した日より前に送受信されたメールデータをemlファイルに書き出します。・・・環境 Windowsサーバー・・・コマンド・・・ag.exe -x mailsave -path (保存フォルダの絶対パス) -date (yyyy/mm/dd) -uid (対象ユーザーID) -e (実行時間(秒))・・・補足・・・操作ログは、メールデータを退避させるフォルダのpathの指定に関わらず、(インストールディレクトリ)/mailsave.logに保存されます。」との記載があるのかも知れませんが(ホームページアドレス http://manual.cybozu.co.jp/office8/admin/mail/commandline.html)、たまたまそのような記載がそのサイトの説明文にあったと言うだけのことであって、取引者・需用者間で普通に使用され、広く普及しているといった言葉ではありません。
 まして、「Mailsave」の言葉が、本願指定商品・役務との関係で、特定の品質、質、機能、内容を表示するものとして広く取引者・需用者に認識され、使用されているといった事実もありません。成る程、言葉の意味合いとしては、「Eメールを保存する」といった意味合いも出るのかも知れません。そのことを否定するものではありません。しかし、一般的には、「Mailsave」がそのような意味合いを表す言葉(熟語)として理解され、確立されている事実はありません。「Mailsave」が、ある一つの商品を表す言葉(熟語)としてコンピュータ・電子・通信等を扱う業界において確立され流通されていればまだしも、そのような事実がない以上、本願商標を以て、単に品質、機能、内容等表示だと言うことはできないものと思料します。
 審査官殿ご指摘のように、「Eメールを保存する」といった意味合いで、本願指定商品や役務に対して「Mailsave」を使用する時は、「Eメールを保存する機能のある電子計算機,Eメールを保存する機能のある電子計算機用プログラム,Eメールを保存する機能のある電子計算機用プログラムの設計・作成又は保守,Eメールを保存する機能のある電子計算機用プログラムの提供」等を内容とする商品・役務の品質等を、暗示させる場合があるのかも知れません。
 しかし、それはあくまでも間接的にそのような意味合いも表示する(暗示させる)場合があるかも知れないといった程度のものであり、「Mailsave」の言葉が、一義的に「Eメールを保存する」といった意味合いに取られるわけでもありません。「Mail」の言葉も「Eメール」の他に、「郵便物」「郵便制度」「(昔の)鎖かたびら」「〈動物の〉うろこ, 甲羅(ら)」等の意味合いがあります。また、「save」の言葉も、「セーブ, 救う, 助ける, 貯める, 浮く, 節する」等のいろいろな意味があって、一義的に品質・内容等を表示するものではありません。「セーブ」の意味合いも、「save=セーブ, 救う, 助ける, 貯める, 浮く, 節する」のほかに、「deliver=届ける, 引き渡す, 産む, 配る, 引渡す, セーブ」、「rescue=救う, 救い出す, 救出す, 助ける, セーブ」、「extricate=救出する, 助け出す, 掘り出す, セーブ」、「free=自由にする, 救い出す, 放つ, セーブ」、「liberate=自由にする, セーブ」、「emancipate=解放する, セーブ」、「ransom=贖う, セーブ」等、いろいろな意味があり、決して一義的ではありません。
 したがって、「Mailsave」が一義的に「Eメールを保存する」といった意味合いを表示し、商品・役務の特定の品質、質、機能、内容のみを取引者・需用者に与えるとは言い得ないと考えます。
 その意味で、本願商標が指定商品・役務との関係において、特定の品質、質、機能、内容を表示するものと言うことはできません。まして、特定の品質、質、内容等を表示すると言った事実も見いだせません。つまり、取引者・需用者に普通に品質・内容表示として使用され、取引されている事実は見いだせません。
 特定の品質、質、内容等表示用語として定着しているわけでなければ、本願商標は商標法第3条第1項第3号にも、商標法第4条第1項第16号にも該当することはなく、十分に自他商品・役務識別力を有し、登録適格性を持つはずであります。本願商標は、あくまでも、本願商標商品・役務に対する「Mailsave」という特定の観念を生じない造語からなる自他商品・役務識別標識であります。

(C) 以上の次第でありますので、抵触する商品削除後の本願商標は、引用商標1,2と指定商品・役務が類似せず、商標法第4条第1項第11号に該当することはないとともに、特定の品質、質、機能、内容を表示する用語として「mailsave」が定着しているわけではなく、本願商標は商標法第3条第1項第3号にも、商標法第4条第1項第16号にも該当しないものと思料します。

(筆者コメント)
商標審査基準改正第14版が平成31年1月に発行された。この改訂審査基準によれば、法第3条第1項第3号に以下のような記述がある。
「 商標が、その指定商品又は指定役務に使用されたときに、取引者又は需要者が商品又は役務の特徴等を表示するものと一般に認識する場合、商標法第3条第1項第3号に該当すると判断する。一般に認識する場合とは、商標が商品又は役務の特徴等を表示するものとして、現実に用いられていることを要するものではない。」
 ケース101の意見書(2014年12月提出)では、「取引者・需用者に普通に品質・内容表示として使用され、取引されている事実は見いだせない」から、3条1項3号には該当しない、という趣旨の主張をした。しかし、「現実に用いられていることを要しない」とする今の改訂審査基準からすれば、今後私のような主張は受け入れられないのかも知れない。しかし、条文上商標法第3条第1項第3号の規定は、あくまでも「商品の産地、販売地、品質その他の特徴等の表示(又は役務の提供場所、質その他の特徴等の表示)を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標」は、登録を受けることができないというものであり、それ故、現実に取引者・需用者間に品質表示用語として具体的に用いられていなければ、やはりそれは普通に品質を表示する用語とは言い難いのではないかと思う。現実に用いられているか否かはある程度3号該当性の評価に影響を及ぼすべきであり、現実に用いられていなければ、具体性に欠け、間接的な表示や暗示ともいう理解もできる。

商標登録+α: 拒絶理由通知に対する意見書記載例目次

商標登録+α: 拒絶理由通知に対する意見書記載例#100

特許庁審査官等から受けた拒絶理由通知等に対し、反論した「意見書、審判請求書」の具体例を小川特許商標事務所のサイトから転載しております。

本願商標:「SPARK」 × 引用商標:「SPARK」「スパーク」ほか

1.出願番号  商願2012-52574(拒絶査定に対する審判事件)( 不服2013-24319)
2.商  標  「SPARK」
3.商品区分  第35類:被服の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供ほか
4.適用条文 商標法第4条第1項第11号
5.拒絶理由  「SPARK」は「SPARK」や「スパーク」に類似する。

出願商標・商標登録第5667405号
出願商標・商標登録第5667405号
引用商標1・商標登録第1062657号
引用商標1・商標登録第1062657号
引用商標2・商標登録第2523788号
引用商標2・商標登録第2523788号
引用商標3・商標登録第4767980号
引用商標3・商標登録第4767980号
引用商標4・商標登録第4838581号
引用商標4・商標登録第4838581号
引用商標5・商標登録第5201389号
引用商標5・商標登録第5201389号
引用商標6・商標登録第5211706号
引用商標6・商標登録第5211706号

審判における反論(請求の理由)

  【手続の経緯】
  出     願   平成24年 6月29日
  拒絶理由の通知   平成24年11月27日
   同 発送日   平成24年11月28日
  意  見  書 平成24年12月27日
  手 続 補 正 書 平成24年12月27日
  拒 絶 査 定 平成25年10月 3日
   同 謄本送達   平成25年10月 4日
  【拒絶査定の要点】
原査定の拒絶の理由は、「この商標登録出願に係る商標については、平成24年11月27日付けで通知した理由2が解消されていないため、商標登録をすることができない」というものであり、審査官は、なお書きで、下記のように述べています。
 記
『 なお、出願人は、平成24年12月27日付の補正書において、指定役務を補正し、同日付意見書において、本願商標は筆記体の「S」の文字をデザイン化して幾重かに重ね合わせ丸味を帯びさせた語頭部分に特徴を有するもので、これ自体素直に「S」と読めるかどうか定かでないほどにデザイン化されており、その文字の後に「PARK」の文字を配して特殊な態様からなるため、商標全体からは格別の観念を生じない旨述べていますが、本願商標は、図案化されてはいるものの、最近の商業広告等では、文字の一部を図案化する手法が用いられていることを考慮しますと、本願商標における図案化した部分は、その形、大きさ、前後の文字とのバランスからみれば、容易に「S」の欧文字を図案化したものと看取されることから、全体として「SPARK」の欧文字を書したものと認識されますので、該文字に相応して「スパーク」の称呼及び「火花、火の粉」(小学館ランダムハウス英和大辞典第2版)の観念が生じるというのが相当です。
 他方、先の拒絶理由通知書に引用した引用NO1ないし7の各商標(以下「引用各商標」という。)の商標権は現在有効に存続しているものであり、引用NO1・登録第1062657号、引用NO2・登録第2523788号、引用NO3・登録第4767980号、引用NO6・登録第5211706号及び引用NO7・登録第5508064号は、「SPARK」の欧文字と「スパーク」の片仮名文字を書してなり、引用NO4・登録第4838581号は、「スパーク」の片仮名文字を書してなり、引用NO5・登録第5201389号は、図形と「スパーク」の仮名文字の組み合わせからなるところ、それぞれの構成文字に相応して「スパーク」の称呼及び「火花、火の粉」の観念を生じるものです。そうとすれば、本願商標と引用各商標は、外観において相違するとしても、「スパーク」の称呼及び「火花、火の粉」の観念を共通にする互いに紛れやすい類似の商標であり、また、本願指定役務中には引用各商標と類似の商品・役務が含まれているものです。したがって、さきの認定を覆すことはできません。』
  【本願商標が登録されるべき理由】
然るに、本出願人は、先の意見書において、本願商標は、引用商標と外観上の差異が大きく、現実の取引市場において出所の混同を生じた事実もなく、十分に識別可能な非類似の商標である旨、過去の審決例等を交えて説明したにもかかわらず、今般、このような認定をされたことに対しては納得できないところがあり、ここに審判を請求し再度の御審理を願う次第であります。
 (a)本願商標の構成
本願商標は、願書の商標登録を受けようとする商標に表示したとおり、筆記体の「S」の文字を図案化して幾重かに重ね合わせ丸味を帯びさせた語頭部分と、その後に続く「PARK」の文字からなり、更に「PARK」の後に「輝き」とか「きらめき」をイメージした赤色の星形図形を配置し、更にはこれらを下線で結んで一体とした構成を有するものであります。
 (b)引用商標の構成
一方、先の拒絶査定(拒絶理由通知)で引用された引用商標は、以下のもので、全て「スパーク」の称呼及び「火花、火の粉」の観念を有するものであります(引用商標1~7)。
  1  登録第1062657号(商公昭48-023739)「SPARK/スパーク」
  2  登録第2523788号(商公昭63-107121)「SPARK/スパーク」
  3  登録第4767980号(商願2003-059702)「スパーク/SPARK」
  4  登録第4838581号(商願2003-106397)「スパーク」
  5  登録第5201389号(商願2007-061621)「図形+スパーク」35類
  6  登録第5211706号(商願2008-008920)「スパーク/SPARK」
  7  登録第5508064号(商願2012-010805)「SPARK/スパーク」
 (c)審査官の認定に対する反論
 (c-1) 審査官殿は、本願商標の上記構成態様から、『本願商標は、図案化されてはいるものの、最近の商業広告等では、文字の一部を図案化する手法が用いられていることを考慮すると、本願商標における図案化した部分は、その形、大きさ、前後の文字とのバランスからみれば、容易に「S」の欧文字を図案化したものと看取されることから、全体として「SPARK」の欧文字を書したものと認識されるので、該文字に相応して「スパーク」の称呼及び「火花、火の粉」(小学館ランダムハウス英和大辞典第2版)の観念が生じるというのが相当』と認定しております。
 そして、『本願商標と引用各商標は、外観において相違するとしても、「スパーク」の称呼及び「火花、火の粉」の観念を共通にする互いに紛れやすい類似の商標であり、また、本願指定役務中には引用各商標と類似の商品・役務が含まれている』として、本願商標は商標法4条1項11号に該当するとしております。
 (c-2) しかしながら、本願商標の語頭部分がたとえ「S」を図案化したものと看取されたとしても、その語頭部分は非常に特徴的で目立つ態様であり、必ずしも形、大きさ、前後の文字とのバランスが取れているとは言えず、誰しもが素直に「SPARK」の単語と認識して「スパーク」と称呼するとは言えないと思料します。それでも、一歩譲って、審査官殿の指摘されるように、たとえ本願商標から「スパーク」の称呼及び「火花、火の粉」の観念が生じたとしても、特徴的な外観を有する本願商標と、同書、同大、同間隔に配置して何ら特徴を持たない引用商標とは、外観上の印象が全く異なり、現実の取引市場においては出所の混同を生じるおそれはなく、十分に識別可能な非類似の商標であると考えます。
 (c-3) そしてまた、取引の実情を考えるならば、本願商標は、ここ数年来、Web上の仮想店舗(ネットショップ)として公開しており、そのようなネットショップとしての使用を今後も予定しておりますが、この本出願人のネットショップに対し、いまだかつて引用各商標の「SPARK」「スパーク」と誤認したとの苦情案件は発生しておりません。本出願人は、URLサイト「http://www.s-spark.jp/category/32.html」をご覧頂ければ分かるとおり、種々雑多な商品をネット販売しており、ここには、引用商標の指定商品と同種の商品も多数含まれておりますが、いまだかつて引用商標の関係者と紛れたというような苦情は受けておりません。ネット販売の仮想店舗名(ネットショップ名)はきわめて視覚重視です。視覚で認識することによって、そのURLサイトを所望のサイトと認識し、取引を開始します。第35類のように、商品の小売等役務を指定する場合の商標の使用態様は、ネット上であれば仮想店舗(ネットショップ)の目印として、通常の実在する店舗であればその店舗看板の目印として、「商標」が使用されます。そして、特に、ネット上では、言語ではなく、ホームページにアクセスする「視覚」による認識によって、取引が開始されます。つまり、需要者は、小売り等役務に関する商標においては、Web上の仮想店舗名(ネットショップ名)として、あるいは実際の店舗看板として、そこに掲載ないし展示された店舗を、相当の注意力を持って、まずは視覚で認識し、所望のショップであるかどうかを確認します。
 (c-4) そして、ネット販売における品揃えのための店舗名として、本願商標を用いている視覚重視の取引実情を考慮しますと、本願商標の類否判断における「外観」の占める割合は非常に大きく、称呼・観念の比ではないと考えます。ネットショップなどにおいては、需用者層も商標の外観に注目し、所望のURLサイトに間違いないかを見極めた上で、取引を開始するという実情にあります。つまり、本出願人が現に実行しているネット販売などは、外観観察にウエイトを置いて取引を開始するのが常であり、それ故に本願商標の類否判断においては、指定役務との関係で、より一層外観観察にウエイトを置いて観察すべきものであります。かかる状況において、本願商標は、類否判断で大きな要素を占める外観において、引用商標とは大きく異なるデザインが語頭(Sのデザイン化)や語尾部分(赤いきらめきをあらわす星図形)に施され、しかも語頭部分「S」のデザイン文字と語尾に付けられた赤くきらめく星が極めて特徴的であって下線で結ばれ、その印象はすこぶる強く、全体的に引用商標1~7とは全く違った印象を取引者・需要者に与えております。それ故、本案商標は、仮に引用商標と称呼・観念において共通する面があったとしても、それが外観における差異を凌駕するほどの状況にはなく、両者は互いに紛れることのない非類似の商標であると考える次第です。
 (c-5) ところで、今般審査官殿が引用された引用商標3と5の関係を見ますと、引用商標3は、登録第4767980号(商願2003-059702)「スパーク/SPARK」(24,25類:類似群17A01と19A05を含む:日清紡テキスタイル株式会社)であり、引用商標5は、その後願に係る登録第5201389号(商願2007-061621)「図形+スパーク」(35類:類似群17A01と19A05を含む:株式会社スパーク)でありますが、これら二つの商標は、外観相違、称呼・観念同一という商標(類似群も共通性あり)ですが、両者は別法人によってそれぞれ登録されております。審査官殿のような考え方に従えば、このような関係にある2つの商標は並存登録されなかったはずであり、後願に係る引用商標5「図形+スパーク」は、先願に係る引用商標3「スパーク/SPARK」の存在により拒絶されてしかるべきですが、現実には並存登録されております。これは、「スパーク」の称呼及び「火花、火の粉」の観念が生じたとしても、「スパーク」の文字の他に特徴的な外観図形部分を有する引用商標5「図形+スパーク」と、同書、同大、同間隔に配置して何ら特徴を持たない二段構成の引用商標3「スパーク/SPARK」とでは、外観印象が全く異なり、現実の取引市場においては出所の混同を生じるおそれはなく、十分に識別可能な非類似の商標であると判断されたからに他ならないと考えます。本願商標とてこれと同様であります。このような並存登録が許されている現状を踏まえるならば、本願商標とて登録されてしかるべきであります。本願商標からたとえ「スパーク」の称呼及び「火花、火の粉」の観念が生じたとしても、特徴的な外観(語頭のSのデザイン文字と、語尾に付けられた赤くきらめく星図形と、これらを結ぶ下線とを備えた外観)を有する本願商標と、同書、同大、同間隔に文字部分が配置された引用商標1~7とでは、外観印象が全く異なり、外観を重視するネットショップ等現実の取引市場においては出所の混同を生じるおそれはなく、十分に識別可能な非類似の商標であると考えます。
  【むすび】
 以上の次第でありますので、本願商標の取引実体に目を向ければ、外観にウエイトを持って判断すべき点、ご理解頂けたと思います。そして、本願商標は、既に述べたとおり、類否判断で大きな要素を占めるその外観において、引用商標とは大きく異なるデザインが、語頭(Sのデザイン化)や語尾部分(赤くきらめく星図形)に施され、しかも語頭「S」のデザイン文字と語尾の赤くきらめく星図形が極めて特徴的であって、これらが下線で結ばれて一体となっており、その印象たるやすこぶる強いものがあります。しかし、一方で、引用商標1~7は、単に「スパーク」の称呼及び「火花、火の粉」の観念を生じるだけで、図形を含む引用商標5を除けば、外観上の印象はありません。それ故、本願商標の上記した取引実態に目を向けて、外観にウエイトをもって類否判断を行えば、本願商標は全体的に引用商標1~7とは全く違った印象を取引者・需要者に与えており、両者は決して紛れることはありません。殊に、本願商標が、仮に引用商標と称呼・観念において共通する面があったとしても、それが外観における差異を凌駕するほどの状況にはなく、本願商標と引用商標とは、互いに紛れることのない非類似の商標であって、決して商標法第4条第1項第11号の規定に該当するものではないと思料します。よって、請求の趣旨の通り、「原査定を取り消す、本願の商標は登録をすべきものである」との審決を求める次第であります。

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(参考)ケース100の「審決」
不服2013-24319
結 論
原査定を取り消す。 本願商標は、登録すべきものとする。
3 当審の判断 
 本願商標は,別掲1のとおり,図案化された筆記体の欧文字と思しき図形の右側に,「PARK」の文字を書し,該「PARK」の「K」の文字の右下部に,赤色の星形図形を配し,更にこれらを下線で結んだ構成からなるものであり,外観上まとまりよく一体的に表されているものである。そうすると,本願商標に接する看者は,構成全体として一体不可分のものと認識するものの,その先頭部分をただちに特定の文字として認識するとまではいえないから,上記構成においては,これよりは,特定の称呼及び観念を生じないものである。なお,その構成中,図案化された筆記体の欧文字と思しき図形部分の特徴が欧文字「S」の特徴と共通する部分があることから,仮に,これに接する看者が,該図形部分を,欧文字「S」が図案化されたものと認識した場合には,本願商標から,「SPARK」の文字を理解,把握する場合もあり得るといえる。ところで,本願指定役務である,いわゆる小売等役務においては,販売上の表現の一つである「スパークセール」「スパークSALE」と称する特売が,広く一般に行われている実情があることからすれば,「スパーク」「SPARK」の文字は,その指定役務との関係において,自他役務の識別力が弱いといえるものである。 他方,引用商標1ないし3,6及び7は,「SPARK」の欧文字及び,その表音である「スパーク」の片仮名を書してなるところ,その構成文字に相応して,「スパーク」の称呼を生じ,また,該「SPARK」の欧文字部分は,「火花,火の粉」の意味を有する英語であるから,これよりは,「火花,火の粉」の観念を生じるものである。引用商標4は,「スパーク」の片仮名を標準文字で表してなるところ,その構成文字に相応して,「スパーク」の称呼を生じ,また,該文字は,「火花,火の粉」の意味を有する英語「SPARK」に通じるものと認められるから,これよりは,「火花,火の粉」の観念を生じるものである。 引用商標5は,別掲2のとおり,黒色の円中に白抜きで星形図形を配し,その右側に,少し図案化された「スパーク」の片仮名を書した構成からなるところ,該文字は英語「SPARK」に通じるものと認められるものの,本願商標と同様の理由により,その指定役務との関係において,自他役務の識別力が弱いといえるものである。そこで,本願商標と引用商標との類否について検討するに,外観においては,本願商標と引用商標は,それぞれ上記のとおりの構成であって,顕著に異なるから,外観上明確に区別できるものである。次に,本願商標からは,特定の称呼及び観念を生じないものであるから,両商標は,称呼及び観念上類似するとはいえないものである。してみれば,本願商標と引用商標とは,外観,称呼及び観念のいずれの点においても,互いに相紛れるおそれのない非類似の商標である。なお,仮に,本願商標から「SPARK」の文字を理解,把握された場合においても,上記のとおり,該文字の自他役務の識別力が弱いことからすると,本願商標と引用商標とは,外観,称呼及び観念を総合的に判断すれば,両商標は,商品及び役務の出所の誤認,混同を生じるおそれはないものと認められる。  したがって,本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして本願を拒絶した原査定は,妥当でなく,取消しを免れない。その他,本願について拒絶の理由を発見しない。よって,結論のとおり審決する。

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商標登録+α: 拒絶理由通知に対する意見書記載例目次

商標登録+α: 拒絶理由通知に対する意見書記載例#99

特許庁審査官等から受けた拒絶理由通知等に対し、反論した「意見書、審判請求書」の具体例を小川特許商標事務所のサイトから転載しております。

本願商標「molla」×引用商標「mo:ra」

1.出願番号  商願2013-054694
2.商  標   「molla」
3.商品区分  第35類
4.適用条文 商標法第4条第1項第11号
5.拒絶理由  「mo:ra」と類似する。

出願商標・商標登録第5639675号
出願商標・商標登録第5639675号
引用商標・商標登録第5593873号
引用商標・商標登録第5593873号

意見書における反論

【意見の内容】
(1) 拒絶理由通知書において、本願商標は登録第5593873号(商願2012-038835)の商標(以下、「引用商標」という)と同一又は類似であって、その商標に係る指定役務と同一又は類似の役務に使用するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当し登録できないと認定されました。しかしながら、本出願人は、本願商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれにおいても紛れることのない非類似の商標であると考えますので、前記認定には承服できず、以下に意見を申し述べます。
(2) 本願商標は、願書の記載から明らかなように、欧文字で一連に「molla」(標準文字)と書した態様からなるものであり、第35類「化粧品及びせっけん類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」等、を指定役務とするものであります。これに対し、引用商標は、欧文字の「mo」と「ra」との間にコロン「:」を介して「mo:ra」と書した態様からなるもので、同じく35類の「化粧品・歯磨き及びせっけん類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」等を含む多様な小売・卸売等役務を指定するものであります。したがって、本願商標と引用商標とは、外観が全く異なり、外観上類似しないことは明らかであります。
(3) また、本願商標の「molla」はイタリア語で「輪ゴム、ゴムバンド」等を意味する単語であり、イタリア語に慣れ親しんでいない一般的な日本人の取引者・需要者にとっては格別の意味を有しない欧文字の羅列であると判断する可能性もありますが、それでも何らかの意味ある単語であると認識するのが自然であり一般的であると思われます。これに対し、引用商標の「mo:ra」は欧文字の「mo」と「ra」をコロン「:」を介して「mo:ra」と書しただけで、何の意味も有しない造語であることは明かであります。したがって、両者は観念上も類似しないこと、明白であります。
(4) そこで、次に称呼の点につき検討します。本願商標「molla」は、その態様より、長音を伴って「モーラ」と称呼されるのが自然でありますが、引用商標「mo:ra」は、「mo」と「ra」の間にコロン「:」を介した態様であることから、称呼は単に「モラ」であって、「モーラ」ではないと思料します。コロン「:」は、直接引用句を持つ複文の中で、引用句の前に置く記号であったり(例えば、He looked at the picture and exclaimed:“What a beautiful picture!”)、説明や言い替えの時に用いられる記号であったりしますが(例えば、「X:Y」は「X、つまり「Y」という具合)、決して長音を示す記号ではありません。審査官殿は引用商標より「モーラ」の称呼も生じると判断して、引用したのではないかと推察しますが、「mo:ra」のコロン「:」が長音記号でないとすれば、その称呼は「モラ」であって、決して「モーラ」ではないはずです。引用商標「mo:ra」のIPDL参考称呼情報には、「モーラ、モラ」というように、「モーラ」の記載もありますが、これはあくまでも機械的かつ任意に付けた参考のための称呼でしかなく、確定された称呼ではありません。引用商標から生じる自然な称呼は、あくまでも簡潔な「モラ」であると思料します。コロン「:」は前述のように長音記号ではありません。そして、本願商標と引用商標の称呼を対比すれば、両者は称呼上最も短い部類に属する僅か2音という音構成からなるもので、そのような短い音構成にあって、本願商標の長音を伴ってなめらかに称呼される「モーラ」と、引用商標の簡潔につまって称呼される「モラ」とでは、語感語調が全く異なり、十分に識別できるものと思料します。更にまた、本出願人が取り扱う化粧品やせっけん類の業界というのは、販売者側も取引者・需用者側も、ネーミングに非常に敏感で、「molla」と「mo:ra」では、外観上全く異なった商標と判断しますし、称呼も「モーラ」と「モラ」では語感語調が異なり、全く異なったものと認識するはずであります。それ故、本願商標及び引用商標の指定役務分野である化粧品等の小売・卸売等役務分野において、代表的な商標の使い方をした場合、例えば、化粧品を品揃えしたネットショップあるいは現実のショップにおいて、「molla」や「mo:ra」の店舗看板を掲げた場合に、取引者・需要者がこれら両者を同一のショップと間違えて認識するはずはありません。明確に別のショップと認識するはずであります。
(5) 以上のように、本願商標「molla」と引用商標「mo:ra」とは、外観、称呼及び観念のいずれにおいても紛れることのない非類似の商標であると考えます。特に、両者は外観および観念上全く異なり、称呼上も2音という短い音構成にあって、長音を伴いなめらかに称呼される「モーラ」と、簡潔につまって称呼される「モラ」では十分に識別でき、決して紛れることはないと考えます。

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商標登録+α: 拒絶理由通知に対する意見書記載例目次

商標登録+α: 拒絶理由通知に対する意見書記載例#98

特許庁審査官等から受けた拒絶理由通知等に対し、反論した「意見書、審判請求書」の具体例を小川特許商標事務所のサイトから転載しております。

本願商標「E-ARTH」×引用商標「EARTH」ほか

1.出願番号  商願2010-82395
2.商  標   「E-ARTH」
3.商品区分  第9類
4.適用条文 商標法第4条第1項第11号
5.拒絶理由  「EARTH」「アース」と類似する。

出願商標・商標登録第5431411号
出願商標・商標登録第5431411号
引用商標・商標登録第1749441号
引用商標1・商標登録第1749441号
引用商標2・商標登録第2218857号
引用商標2・商標登録第2218857号
引用商標3・商標登録第2381149号
引用商標3・商標登録第2381149号
引用商標4・商標登録第2488153号
引用商標4・商標登録第2488153号
引用商標5・商標登録第2488154号
引用商標5・商標登録第2488154号
引用商標6・商標登録第4429693号
引用商標6・商標登録第4429693号
引用商標7・商標登録第4590330号
引用商標7・商標登録第4590330号
引用商標8・商標登録第5297134号
引用商標8・商標登録第5297134号
引用商標9・商標登録第5367825号
引用商標9・商標登録第5367825号

意見書における反論

ケース98 
6.意見書における反論
【意見の内容】
(1) 拒絶理由通知書において、本願商標「E-ARTH」は、下記の登録商標と同一又は類似であって、その商標に係る指定商品(指定役務)と同一又は類似の商品(役務)について使用するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。また、下記の引用商標6の登録商標について、商標法第20条第3項又は第21条第1項の規定に基づく商標権の存続期間の更新申請がない場合は、この商標登録出願に係る商標は、商標権が消滅した日から1年を経過していない下記の他人の商標と同一又は類似であって、その商標権に係る指定商品・指定役務と同一又は類似の商品・役務に使用するものであるから、商標法第4条第1項第13号に該当することとなる。
                 記
引用商標1…登録第1749441号(商公昭59-043662)「EARTH/アース」
引用商標2…登録第2218857号(商公平 1-057760)「§Earth」
引用商標3…登録第2381149号-2(商公平 3-013431)「エアース/AIRTH」
引用商標4…登録第2488153号(商公平 3-076040)「図形+EARTH」
引用商標5…登録第2488154号(商公平 2-085330)「EARTH」
引用商標6…登録第4429693号-1(商願平11-090015)「EARTH」
引用商標7…登録第4590330号(商願2001-093028)「エアース/AIRTH」
引用商標8…登録第5297134号(商願2008-027261)「図形+アース」
引用商標9…登録第5367825号(商願2007-068049)「アース」
 
(2) この拒絶理由通知に対して、本出願人は、まず、本願商標の指定商品中より、「エアース」の称呼を生じる上記引用商標3及び7の指定商品と同一又は類似する「携帯用液晶画面ゲームおもちゃ用のプログラムを記憶させた電子回路及びCD-ROM,電子楽器用自動演奏プログラムを記憶させた電子回路及びCD-ROM,インターネットを利用して受信し及び保存することができる音楽ファイル」(24A01、24E01)を、本願の指定商品中より削除する補正を本書の提出と同時に行いました。これによって、本願商標「E-ARTH」は、引用商標3及び7との関係においては、もはや商標の類否を論じるまでもなく、指定商品が同一又は類似せず、商標法第4条第1項第11号には該当しなくなったものと思料します。そして、本願商標「E-ARTH」は、引用商標3及び7以外の商標、即ち、引用商標1,2,4,5,6,8,9との関係においても、商標自体が類似せず、商標法第4条第1項第11号の規定には該当しないものと思料しますので、以下、この点に関して、意見を申し述べます。
(3) 本願商標は、前述したように、「E-ARTH」の態様からなるものでありますが、引用商標1は「EARTH/アース」、引用商標2は「§Earth」、引用商標4は「図形+EARTH」、引用商標5は「EARTH」、引用商標6は「EARTH」、引用商標8は「図形+アース」、引用商標9は「アース」の態様からそれぞれなるものであります。したがって、本願商標とこれらの各引用商標とは、語頭における「E-」の文字の有無により、また、後半の「ARTH」と引例の「EARTH」や「アース」の違いにより、外観上も全く異なり、類似するものではありません。特に本願商標の「E」と「A」の間に介したハイフン「-」の存在により、引用各商標とは外観上全く異なった印象を受けます。
 (4) また、本願商標は、アルファベットの「E」の文字とアルファベットの特定の意味を持たない「ARTH」の文字とを、ハイフン「-」を介して連結し、一体に「E-ARTH」と書してなるもので、全体として、具体的に特定の観念を生じない造語商標であります。これに対して、引用商標3及び7以外の各引用商標は、「EARTH」や「アース」の文字からなるもので、これより、具体的に「接地」とか、「地球」とか、「大地」とかの特定の意味合いを生じさせるものであります。したがって、両者は観念上も同一又は類似することはなく、非類似の商標であります。
(5) そこで、次に、称呼について検討します。
(5-1)
 本願商標は、前述したように、「E-ARTH」と書してなるものでありますので、このハイフン「-」の存在により、全体として一連に「イーアース」の称呼が生じ、単に「アース」とは称呼されないものと考えます。即ち、ハイフン「-」を介さず単に「EARTH」と記載した場合には、「アース」の称呼が生じることとなりますが、ハイフン「-」を介して「E-ARTH」と記載した本願商標の態様からは、唯一「イーアース」の称呼が生じるのであって、決して、単なる「アース」の称呼は生じないものと思料します。これに対し、引用商標1,2,4,5,6,8,9の各商標は、「EARTH」や「アース」の文字部分から、いずれも「アース」の称呼を生じるものであります。したがって、 本願商標の称呼「イーアース」とこれらの各引用商標の称呼「アース」とは、語頭における「イー」の音の存在の有無により、全く異なった印象を受けるもので、両者は称呼上も混同することはなく、決して類似するものではありません。この点に関して、審査官殿は、「E-ARTH」の「E-」を「電子の」「インターネットの」の如き意味合いに理解し、本願商標の要部を「ARTH」の部分にもあると判断し、ここから単に「アース」の称呼が生じるとして、「アース」の称呼を生じる上記引用商標1,2,4,5,6,8,9を引用してきたのではないかと推察しますが、これは本願商標の称呼認定を誤った誤認に基づくもので、妥当なものではないと考えます。なぜなら、「E-」の文字を「電子の」の如く理解する場合には、そのあとに続く文字は、通常何らかのまとまった意味をなす単語でなければならないと考えますが、本願商標の場合は、「ARTH」という何ら意味をなさない造語であります。何ら意味を持たない「ARTH」の電子化と言っても何のことだか分かりません。例えば、「Tax」とか、「money」とか、「book」とか、それ自体意味のある単語であって、それを電子化したものである場合、あるいはインターネットで扱える状態にしたような場合等に、「e-Tax」とか、「e-money」とか、「e-book」とか表記することで、初めて特定の意味が出てきます。「e-Tax」であれば電子納税であるとか、「e-money」であれば電子マネーであるとか、「e-book」であれば電子書籍であるとかの意味が出てきます。しかしながら、本願商標のように、「E-」のあとに続く単語が何ら意味をなさない造語「ARTH」である場合には、ある特定のものを「電子化したり」「インターネットで扱える」ようにしたという意味が全く出てきません。「E-ARTH」と言っても何のことだか分かりません。したがって、本願商標の「E-」は、あるものを電子化したり、インターネットで扱えるようにしたことを意味する「E-」ではありません。本願商標は、「E-」も含めた全体が商標の要部であって、あくまでも「E-ARTH」という態様で一体の商標であり、「イーアース」とのみ称呼されるものと考えます。なお、仮に、本願商標の「E-」が「電子の」とか、「インターネットの」とかの意味合いをあらわすと理解されたとしても、本願商標の構成態様「E-ARTH」からは、あくまでも「イーアース」の称呼しか生じないものと思料します。それ故、「アース」と称呼される引用各商標とは称呼上も類似しないものと考えます。
(5-2)
 過去の商標登録例を見ると、同一又は類似の商品や役務を指定してなる別主体に係る商標同士において、例えば、以下のような商標が並存登録されています。
(A)登録5354642「e-REMON」9類ほか(日本ユニシス株式会社)(第1号証)と登録537033「REMON」9類(ティーオーエー株式会社)(第2号証)。
(B)登録4417724「WALK/ウォーク」9類(キャノン株式会社)(第3号証)と登録5245558「e-WALK」9類ほか(株式会社京都メディックス)(第4号証)。
(C)登録4712961「Helios」9類(ドイツ法人)(第5号証)と登録5248709「イーヘリオス/E-HELIOS」9類(株式会社コンピュータシステム研究所)(第6号証)。
(D)登録5154080「イ-トレンド/e-TREND」35類小売等(株式会社シスキー)(第7号証)と登録5044732「TREND」9類(トレンドマイクロ株式会社)(第8号証)。
(E)登録4759482「Fleet」9類ほか(イギリス法人)(第9号証)と登録5371280「e-Fleet」9類(本田技研工業株式会社)(第10号証)。
(F)登録2545776「SHUTTLE」9類ほか(株式会社東芝)(第11号証)と登録5147854「e-shuttle」9類(富士通株式会社)(第12号証)。
これら(A)~(F)の並存登録例は、「e-」「E-」に続く文字がすべて特定の意味を有する単語であり、且つ「e-」「E-」以外の部分は文字構成を共通にしている商標同士であります。しかし、それにもかかわらず、両者は並存登録されております。これは「e-」「E-」の存在の有無によって、これら(A)~(F)に示す両商標同士は非類似の商標であるとの扱いがなされたからに他なりません。「e-」「E-」以外の文字部分を共通にしている商標同士でさえ非類似の扱いです。まして本願商標と引用各商標は、「E-」に続く文字同士の構成が「ARTH」と「EARTH」ないし「アース」というように異なるものでありますので、これら本願商標と引用各商標が類似するとされる謂われは全くありません。(A)~(F)のように、「e-」「E-」以下の文字が同じもの同士でさえ並存登録されているのですから、「E-」以降の文字構成の異なる本願商標と引用各商標とが類似するはずはありません。本願商標は、これら(A)~(F)の商標が並存登録できたのと同様に、引用各商標の存在如何にかかわらず、分断できない一体不可分の商標として登録されて然るべきであります。
(6) 以上のように、本願商標は、あくまでも「イーアース」とのみ一連に称呼されるべきもので、引用商標の称呼である単なる「アース」とは、類似することはないと考えます。本願商標と引用各商標とは、外観及び観念上類似しないことは勿論、称呼上も語頭の「イー」の称呼の有無によって語感語調を全く異にし、聴者をして決して紛れることはないものと思料します。よって、本願商標は引用各商標の存在如何にかかわらず、充分登録適格性を有するものと思料します。

商標登録+α: 拒絶理由通知に対する意見書記載例目次

商標登録+α: 拒絶理由通知に対する意見書記載例#97

特許庁審査官等から受けた拒絶理由通知等に対し、反論した「意見書、審判請求書」の具体例を小川特許商標事務所のサイトから転載しております。

本願商標「割符エクスプローラー」× 引用商標「EXPLORER」

1.出願番号  商願2008-99824
2.商  標   「割符エクスプローラー」
3.商品区分  第9類
4.適用条文 商標法第4条第1項第11号
5.拒絶理由  「EXPLORER」と類似する。

出願商標・商標登録第5422057号
出願商標・商標登録第5422057号
引用商標1・商標登録第1781497号
引用商標1・商標登録第1781497号
引用商標2・商標登録第2225671号
引用商標2・商標登録第2225671号
引用商標3・商標登録第4174985号
引用商標3・商標登録第4174985号
引用商標4・商標登録第4174986号
引用商標4・商標登録第4174986号

意見書における反論

【意見の内容】
(1) 拒絶理由通知書において、本願商標は、下記1~4の登録商標と同一又は類似であって、その商標登録に係る指定商品と同一又は類似の商品に使用するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当すると認定されました。
                 記
 引用商標1 登録第1781497号-2(商公昭59-069875)28類 EXPLORER
 引用商標2 登録第2225671号(商公平 1-065619)34年法11類 EXPLORER
 引用商標3 登録第4174985号(商願平 8-117133)16類 EXPLORER
 引用商標4 登録第4174986号(商願平 8-117134)20類 EXPLORER
 しかしながら、本出願人は、本願商標と引用各商標とは、外観、称呼及び観念のいずれにおいても紛れることのない非類似の商標であると考えますので、前記認定には承服できず、以下に意見を申し述べます。
(2) 本願商標は、願書の商標見本から明らかなように、漢字とカタカナで「割符エクスプローラー」と一連に書してなるものであり、電子計算機用プログラム、その他の電子応用機械器具及びその部品などを指定商品とするものであります。これに対し、引用商標1~4はいずれもローマ字で「EXPLORER」と書してなり、本願とは共通の類似群を指定商品中に含んだ登録商標であります(指定自体は、それぞれ28類、11類(S34年法)、16類、20類であります)。したがって、本願商標「割符エクスプローラー」と引用各商標の「EXPLORER」とは、外観上全く異なり、類似することはありません。
(3) また、本願商標は漢字の「割符」とカタカナの「エクスプローラー」という2種類の文字からなるものでありますが、全体が同書同大同間隔でバランス良く一体に配され、その言葉の意味合いからは全体として「割符探険家」の如きまとまった観念を生じさせるものであります。そして、「エクスプローラー」が今まで存在せず新しく作られた造語ならばまだしも、この言葉は「探険家」とか、「調査者」とかの意味合いをあらわす日本人にとってごく親しまれた普通の英単語「EXPLORER」に通じる言葉でありますので、取引者・需要者をして特別に注意を喚起する部分とはなりません。それ故、本願商標中、この「エクスプローラー」の部分が特に注目されて称呼・観念されるということはなく、素直に「割符エクスプローラー」(ワリフエクスプローラー)(割符探険家)と一連一体に称呼・観念されるものと考えます。これに対し、引用各商標は、ローマ字「EXPLORER」の態様より、単に、「探検家」を観念させるだけで、両者は観念上も類似することはありません。引用商標1~4は「何の探険家」なのか定かでなく、ましてや本願商標「割符探険家」を観念させることはありません。
(4) そこで、次に称呼の点につき検討します。
 本願商標の「割符エクスプローラー」は、上述の如く、漢字とカタカナという異種類の文字からなるものでありますが、全体がバランスよく配され、全体を一体のものとして把握して違和感はありません。それよりもむしろ、本願商標は、全体として「割符探険家」という一つの意味合いを生じることから、取引者・需要者は「割符エクスプローラー」全体を一体不可分のものとして把握し、「ワリフエクスプローラー」とのみ称呼すると思料します。この点に関し、審査官殿は、本願商標の「割符」と「エクスプローラー」の部分を分断して、「エクスプローラー」に着目し、単に「エクスプローラー」の称呼も生じるとみて今般の拒絶理由通知を発したのではないかと推察されますが、そのような認定には納得できません。全体がバランス良く配され、全体として一つのまとまった意味合いを生じる商標をとらえて、前後を分断して称呼すべき理由はありません。全体が冗長に過ぎるというのかも知れませんが、本願商標は、全体を一連に称呼して決して称呼しにくいものではなく、むしろ一気に「ワリフエクスプローラー」と称呼して称呼し易いものであります。それを何故に左右分断して称呼しなければならないのか。取引者・需用者が「割符エクスプローラー」の文字を見て、単に「エクスプローラー」と認識し称呼するとは到底思えません。そのような称呼は如何にも不自然であります。現代日本語はそもそも漢字、ひらがな、カタカナ、ローマ字、算用数字の5種類を混在させて用いるのが普通であり、種類の違う文字を結合ないし混在させて一つの意味合いをあらわすように用いることは、日常茶飯行われております。それ故、異種類の文字の結合からなる商標であっても、そのことを以て両者を分離して把握すべきとする理由は全くありません。ましてや、本願商標の如く、一つの意味合いを観念させるようなものにあっては、尚更であります。
(5) 過去の商標登録例を見ると、米国法人の第2307693号登録商標「ARCHIVE」(称呼:アーカイブ、第9類「電子応用機械器具及びその部品」等を指定)(第1号証)が存在しますが、その後の出願に係る本出願人の「アーカイブ割符」は無事に登録されております(商標登録第4877832号、第9類「電子応用機械器具及びその部品」等指定)(第2号証)。それ故、引用商標1~4の「EXPLORER」が存在したとしても、本願の「割符エクスプローラー」が登録されて、何らおかしくないはずであります。
(6)ところで、「割符」の文字を有する商標は、以下のように、本出願人が既に多数登録しており、いわばシリーズ化しております。
1. 登録4839689 モバイル割符 …第3号証
2. 登録4877830 ファイル割符 …第4号証
3. 登録4877831 My割符 …第5号証
4. 登録4877832 アーカイブ割符 …第6号証
5. 登録5186304 割符ランチャー …第7号証
6. 登録5199210 サーバ割符 …第8号証
7. 登録5202323 PDF on 割符 …第9号証
8. 商願2008-099825 割符マネージャー (登録査定済み) …第10号証
 本願の「割符エクスプローラー」も、このような「割符シリーズ」の一環であり、それ故に、肝心の「割符」の文字を省略して称呼するようなことは出願人としてしませんし、日頃本出願人の製品に接している取引者・需要者も「割符」を省略して称呼し識別を図るというようなことはしないはずです。けだし、それを省略したのでは「割符シリーズ」の意味がないからであり、また、「割符」を外したのでは、「何のエクスプローラー」か分からないからであります。本願は、あくまでも「割符」と「エクスプローラー」とが連結されて一体となった結合商標であり、全体で「割符探険家」の如き意味合いを生じ、「ワリフエクスプローラー」と一連にのみ称呼されるものと考えます。前述したように、「エクスプローラー」が造語ならばまだしもですが、この言葉は「探険家」等の意味合いをあらわす日本人にとってごく親しまれた単語でありますので、「エクスプローラー」の部分が特に注目されて称呼・観念されることはなく、素直に「割符エクスプローラー」(ワリフエクスプローラー)(割符探険家)と一連一体に称呼・観念されるものと思います。
(7) 以上のように、本願商標の「割符エクスプローラー」はあくまでも一連一体の商標であって、単に「エクスプローラー」だけを取り出して称呼・観念されるようなことはなく、本願商標と引用商標1~4とは、外観、称呼及び観念のいずれにおいても、紛れることのない非類似の商標であります。よって、本願商標は引用商標1~4の存在如何にかかわらず、充分登録適格性を有するものと思料します。

商標登録+α: 拒絶理由通知に対する意見書記載例目次

商標登録+α: 拒絶理由通知に対する意見書記載例#96

特許庁審査官等から受けた拒絶理由通知等に対し、反論した「意見書、審判請求書」の具体例を小川特許商標事務所のサイトから転載しております。

本願商標「ナビ/NAVI」×引用商標「Liquor Shop/Navi」

1.出願番号  商願2010-84999
2.商  標   「ナビ/NAVI」
3.商品区分  第5類
4.適用条文 商標法第4条第1項第11号
5.拒絶理由  「Liquor Shop/Navi」と類似する。

出願商標・商標登録第5421079号
出願商標・商標登録第5421079号
引用商標・商標登録第5272265号
引用商標・商標登録第5272265号

意見書における反論

【意見の内容】
(1) 拒絶理由通知書において、本願商標「ナビ/NAVI」は、第5272265号(商願2007-073585)の登録商標「Liquor Shop/Navi」(引用商標)と同一又は類似であって、その商標に係る指定商品と同一又は類似の商品に使用するものであるから、商標法第4条第1項第11号の規定に該当すると認定されました。しかしながら、本出願人は、本願商標と引用各商標とは、外観、称呼及び観念のいずれにおいても紛れることのない非類似の商標であると考えますので、前記認定には承服できず、以下に意見を申し述べます。
(2) 本願商標は、願書の商標見本から明らかなように、「ナビ」の片仮名文字を上段に、「NAVI」の欧文字を下段にそれぞれ配して、「ナビ/NAVI」と二段並記した態様からなるものでありますが、引用商標は、欧文字の「Liquor Shop Navi」のうち、「Liquor Shop」の文字部分を上段に、また「Navi」の文字部分を下段ほぼ中央に配置して、「Liquor Shop/Navi」と表示した態様からなるものであります。したがって、本願商標の「ナビ/NAVI」は、引用商標の「Liquor Shop/Navi」と、文字の種類や構成の違いにより外観上類似しないことは明かであります。
(3) 次に、本願商標は「ナビ/NAVI」の態様より、「navigation」「ナビゲーション」の略称を想起させるもので、「航海。航空。また、航海術。航空術。」(広辞苑)や「車の誘導」、あるいは「ユーザーが目的へたどり着けるように手助けしたり、誘導したりする等の機能」とかの意味合いを観念させるものであります。これに対し、引用商標は「Liquor Shop Navi」の態様からなるもので、「酒屋」等の観念を想起させる「Liquor Shop」(liquor=アルコール分を含んだ飲料。shop=商店)の文字と、「navigation」「ナビゲーション」を想起させて「航海。航空。また、航海術。航空術。」とか、「車の誘導」とか、「ユーザーが目的へたどり着けるように手助けしたり、誘導したりする等の機能」とかの意味合いを生じさせる「Navi」の文字よりなるもので、全体として、漠然としてではあっても「酒屋ナビゲーション(案内)」とか言うような一つのまとまった意味合いを暗示させるものであります(なお、商標法で言う観念とは、商標自体が客観的に有する意味を言うのではなく、商標を見又は称呼することにより、その商標を付した商品・役務の需用者又は取引者が思い浮かべるその商標の意味と解しますので、引用商標が直接的かつ具体的に特定の観念を生じさせるものではないという意味では、一種の造語商標かも知れませんが、引用商標は抽象的には「酒屋ナビゲーション(案内)」等の一つのまとまった意味合いを暗示させています)。そして、この引用商標「Liquor Shop/Navi」は、指定役務(~小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供)との関係からして、小売ないし卸売のためにある特定の商品についての品揃えを充実させた店舗名と理解することもできます。特定の商品の店舗名だとしたら、上段の「Liquor Shop」を省略して把握(称呼・観念)したのでは、何の商店の「Navi(ナビ)」「navigation(ナビゲーション)(案内)」なのかさっぱり分かりません。
それ故、いずれにしても、これら本願商標と引用商標とは観念上も類似するものではないと考えます。
(4) そこで、次に、称呼の点につき検討します。本願商標は、「ナビ/NAVI」の態様より、単に「ナビ」の称呼を生じるものであります。これに対し、引用商標は、前述のように、一体として把握される「Liquor Shop/Navi」の態様より、常に「リカーショップナビ」と称呼されるものと思料します。したがって、両者は、「リカーショップ」の称呼の有無の違いにより、称呼上明瞭に識別でき、決して称呼上紛れることはないと考えます。この点に関し、審査官殿は、引用商標「Liquor Shop/Navi」のうち、「Liquor Shop」の文字が上段に配置され、「Navi」の文字が下段に配置されていることより、取引者・需要者は単に下段の「Navi」の文字に注目し、この「Navi」の文字のみをもって、「Navi(ナビ)」と称呼・観念して取引をする場合もあると考え、今般の拒絶理由通知を発してきたものと推察しますが、そのような考え方は妥当でないと思います。引用商標から「Navi」の部分のみを抽出してここを商標の要部ととらえ、称呼・観念するようなことは取引者・需用者が通常行うはずはないと考えます。なるほど、引用商標は、「Liquor Shop」の文字と「Navi」の文字とを上下二段に並記した態様からなる商標であります。しかし、上段「Liquor Shop」と下段「Navi」とは、同一書体(ゴシック体)・同一大の文字で統一され、各文字が軽重差無くバランスよく配され、一目見た瞬間に全体が一体のものとして把握できる態様です。しかも、漠然としてはおりますが、「Liquor Shop Navi」全体で「酒屋ナビゲーション(案内)」等の一つのまとまった意味合いを暗示させるものであります。漠然としてではあっても一つのまとまった意味合いを暗示させる商標を称呼するのに、その一部を抽出して称呼するようなことは通常しません。例えば、単に「Navi(ナビ)」だけ称呼したのでは、「何のナビ」だか分かりません。「リカーショップナビ」と一連に称呼してこそ、特定の識別力を発揮します。そして、引用商標は一連に称呼してやや冗長ではありますが、「リカーショップナビ」と一連に称呼して決して称呼しにくい商標ではありません。むしろ一連に称呼して語呂も良く、称呼しやすい商標であります。したがって、この引用商標に接する取引者・需用者は、ごく自然に「リカーショップナビ」と一連にのみ称呼するとみるのが自然であり、本願商標の称呼「ナビ」とは決して類似することはないと考えます。
(5) ところで、過去の商標登録例をみると、下記の登録商標(A)の存在を確認することができます。
              記
 (A)登録第1529461号「リカー ショップ/LIQUOR SHOP」(16類「新聞,雑誌」(類似群:26A01)/サントリー株式会社/昭和57年7月30日登録、現在存続中)…第1号証
 そして、今般、審査官殿が引用した引用商標の登録第5272265号「Liquor Shop/Navi」(株式会社サントリー・ショッピング・クラブ)は、上記(A)とは別法人に係るもので、(A)の指定商品の類似群26A01と類似の関係にある「印刷物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」(類似群35K13)の役務を指定役務中に含むものでありますが、この引用商標は、(A)の存続中である平成21年10月9日に登録されております。仮に、この引用商標が審査官殿の認識されているように、「Liquor Shop」と「Navi」の部分が分断されて把握されていたとしたら、上記(A)の「リカー ショップ/LIQUOR SHOP」と、引用商標の上段「Liquor Shop」とは、称呼同一でどう見ても類似しますので、この引用商標は、その先願に係る(A)の「リカー ショップ/LIQUOR SHOP」の存在により、拒絶されていたはずであります。しかし、現実には、この引用商標は登録されております。これは、当時この引用商標を登録した審査官が、引用商標「Liquor Shop/Navi」を上下分離することのできない一体不可分の商標と把握し、常に「Liquor Shop Navi」(リカーショップナビ)と一連に称呼されるものと判断したからに相違ありません。つまり、引用商標を登録した審査官は、この引用商標が「Liquor Shop」と「Navi」とに分断して把握される場合があるなどと認識してはおりません。全体が一体不可分のものとして把握され、称呼・観念されるものと認識しております。このことからも分かるように、引用商標は全体を一体に把握すべきもので、ここから単に「Navi」の部分を抽出し、本願商標「ナビ/NAVI」と比較するような手法は誤りであると考えます。
(6) 以上の次第でありますので、本願商標と引用商標とは、外観および観念上類似することはないとともに、称呼上も単なる「ナビ」と、「リカーショップナビ」との差異があって、両者は語感語調を全く異にし、取引者・需用者をして決して紛れることはないものと思料します。よって、本願商標と引用商標とは非類似の商標であり、本願商標は商標法第4条第1項第11号に該当するものではないと考えます。

商標登録+α: 拒絶理由通知に対する意見書記載例目次

商標登録+α: 拒絶理由通知に対する意見書記載例#95

特許庁審査官等から受けた拒絶理由通知等に対し、反論した「意見書、審判請求書」の具体例を小川特許商標事務所のサイトから転載しております。

本願商標「HI!SAMANTHA/ハイ!サマンサ」× 引用商標「サマンサ」

1.出願番号  商願2010-73405
2.商  標   「HI!SAMANTHA/ハイ!サマンサ」
3.商品区分  第9類
4.適用条文 商標法第4条第1項第11号
5.拒絶理由  「サマンサ」と類似する。

出願商標・商標登録第5416957号
出願商標・商標登録第5416957号
引用商標・商標登録第2364227号
引用商標・商標登録第2364227号

意見書における反論

【意見の内容】
(1) 拒絶理由通知書において、本願商標は、学校法人文化学園所有の登録第2364227号「サマンサ」(第16類 雑誌)の登録商標(以下、引用商標という)と同一又は類似であって、その商標登録に係る指定商品と同一又は類似の商品に使用するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当すると認定されました。しかしながら、両者は、指定商品の関係においては類似群26A01を共通にする商品を含むものの(本願「電子出版物」と引例「雑誌」とは類似群26A01)、商標に関しては、本願商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれにおいても紛れることのない非類似の商標であり、商標法第4条第1項第11号に該当するものではないと考えますので、前記認定には承服できず、以下に意見を申し述べます。
(2) 本願商標は、願書の商標見本から明らかなように、欧文字「HI!SAMANTHA」と片仮名文字「ハイ!サマンサ」をそれぞれ上下に一連に配して「HI!SAMANTHA/ハイ!サマンサ」と二段に構成してなるもので、第9類「電気通信機械器具,電子計算機用プログラム,その他の電子応用機械器具及びその部品,携帯用液晶画面ゲームおもちゃ用のプログラムを記憶させた電子回路及びCD-ROM,電子楽器用自動演奏プログラムを記憶させた電子回路及びCD-ROM,インターネットを利用して受信し及び保存することができる音楽ファイル,インターネットを利用して受信し及び保存することができる画像ファイル,録画済みビデオディスク及びビデオテープ,電子出版物」を指定商品とするものであります。これに対し、引用商標は単に「サマンサ」の片仮名文字からなるもので、第16類「雑誌」を指定商品とするものであります。然るに、本願商標「HI!SAMANTHA/ハイ!サマンサ」と引用商標「サマンサ」とは、外観上全く異なり、類似することはありません。
(3) 次に、観念の点についてみると、本願商標は、「HI!SAMANTHA/ハイ!サマンサ」のうち、前段の「HI!/ハイ!」の部分は、感嘆符(!)をともなって「やあ!」というような呼びかけや注意を促す語をあらわし、また、「SAMANTHA/サマンサ」は「女子の名」をあらわすもので、全体として「やあ!サマンサ」「ハイ!サマンサ」の如き、サマンサに対する呼びかけ等をあらわすものと思料します。これに対し、引用商標の「サマンサ」は女子の名「サマンサ」そのものを意味する語(名詞)であります。それ故、本願商標と引用商標とは、観念上も類似することはないと思料します。
(4) そこで、以下、称呼の点につき検討します。
 (4-a) 本願商標は、上述のように、「HI!SAMANTHA/ハイ!サマンサ」と二段に書した態様よりなるものですので、通常、この片仮名部分より「ハイ!サマンサ」と称呼するのが自然であると考えます。この点に関し、審査官殿は、本願商標「HI!SAMANTHA/ハイ!サマンサ」のうち、「HI!」「ハイ!」と「SAMANTHA」「サマンサ」とを分断して把握し、「SAMANTHA/サマンサ」の部分も単独で商標の要部となり得ると判断し、登録第2364227号「サマンサ」を引用したのだと思料しますが、本願商標は、「HI!」「ハイ!」と「SAMANTHA」「サマンサ」とを分断して把握すべきではないと思料します。本願商標は、「サマンサ」(女子の名)に対する呼びかけや注意を促す意味を込めて「HI!SAMANTHA/ハイ!サマンサ」と表示したものであり、これから「HI!」「ハイ!」の文字を取ってしまったのでは、呼びかけや注意を促すの意味が出てきません。「HI!」「ハイ!」の語を最初に配置することによって、初めて、呼びかけや注意を促す意味が出てきます。それ故、この「HI!」「ハイ!」は本願商標にあって重要な意味を有するもので、この部分を省略して本願商標を把握することはできません。「ハイ!サマンサ」と一連一体に把握して称呼・観念してこそ、本願願商標の識別力が発揮されます。そして、「ハイ!サマンサ」と称呼して冗長になるわけでなく、むしろ語呂も良く、一気に称呼して称呼し易いものです。よって、本願商標は、常に「HI!SAMANTHA/ハイ!サマンサ」と一体に把握され、一連に「ハイ!サマンサ」とのみ称呼されるものと思料します。これに対し、引用商標は、単に「サマンサ」と称呼されるのみで、語頭音の「ハイ!」の音の有無によって、本願商標の称呼「ハイ!サマンサ」とは紛れるものではないと考えます。
(4-b) ところで、過去の商標登録例を見ると、語頭に「Hi!」「ハイ!」が有るか無いかの違いで登録され並存している例は、以下のように、幾つか存在します。
(A)第2098565号「キッズ」第30類ほか…伊藤ハム株式会社(第1号証)と、
(B)第4485291号「ハイキッズ/HI!KIDS」第30類…明治製菓株式会社(第2号証)。
(C)第3199831号「どこでもドア」第28類…パーソナルメディア株式会社(第3号証)と、
(D)第4398229号「ハイ!どこでもドア」第28類…株式会社エポック社(第4号証)。
(E)第4981314号「Hi!Catch」第16類…王子ネピア株式会社(第5号証)と、
(F)第5215416号「CATCH/キャッチ」第16類ほか…エステー株式会社(第6号証)。
(G)第4425378号「ブラザー」第25類ほか…ブラザー工業株式会社(第7号証)と、
(H)第5360558号「Hi!BROTHER」第25類…株式会社ブラザー(第8号証)。
 これら(A)「キッズ」と(B)「ハイキッズ/HI!KIDS」、(C)「どこでもドア」と(D)「ハイ!どこでもドア」、(E)「Hi!Catch」と(F)「CATCH/キャッチ」、(G)「ブラザー」と(H)「Hi!BROTHER」の商標のうち、後願である(B)(D)(F)(H)は、両指定商品に同一又は類似する商品を含んでいる以上、審査官殿のような考え方に従えば、それぞれ先願(A)(C)(E)(G)の存在により拒絶されていたはずであります。しかし、実際には登録されております。これは、「Hi!」「HI!」「ハイ!」の付くものとそうでないものとでは、非類似の商標であると判断したからに相違ありません。然るに、これら(A)「キッズ」と(B)「ハイキッズ/HI!KIDS」、(C)「どこでもドア」と(D)「ハイ!どこでもドア」、(E)「Hi!Catch」と(F)「CATCH/キャッチ」、(G)「ブラザー」と(H)「Hi!BROTHER」とがそれぞれ並存できて、本願商標「HI!SAMANTHA/ハイ!サマンサ」と引用商標「サマンサ」が並存できないとされる謂われは全くありません。これら(B)(D)(F)(H)の商標が登録できたのと同様に、本願商標は前後分断できない一体不可分の商標として、登録されて然るべきであります。
(5) 以上のように、本願商標は、あくまでも、「ハイ!サマンサ」とのみ一連に称呼されるべきものであり、それ故に引用商標の称呼である単なる「サマンサ」とは、類似することはありません。本願商標と引用商標とは、外観及び観念上類似しないことは勿論、称呼上も語頭の「ハイ!」の称呼の有無によって語感語調を全く異にし、聴者をして決して紛れることはないものと思料します。

商標登録+α: 拒絶理由通知に対する意見書記載例目次

商標登録+α: 拒絶理由通知に対する意見書記載例#94

特許庁審査官等から受けた拒絶理由通知等に対し、反論した「意見書、審判請求書」の具体例を小川特許商標事務所のサイトから転載しております。

本願商標「ピュアエステ・ブリアント」× 引用商標「BRILLANT」

1.出願番号  商願2009-91547
2.商  標   「ピュアエステ・ブリアント」
3.商品区分  第10類
4.適用条文 商標法第4条第1項第11号
5.拒絶理由  国際登録第0789631号商標「BRILLANT」と類似する。

出願商標・商標登録第5414539号
出願商標・商標登録第5414539号
引用商標・国際商標登録第 0789631号
引用商標・国際商標登録第
0789631号

意見書における反論

【意見の内容】
(1) 拒絶理由通知書において、本願商標は国際登録番号0789631(事後指定日2006.12.21)の商標(以下、「引用商標」という)と同一又は類似であって、その商標に係る指定商品と同一又は類似の商品に使用するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当し登録できないと認定されました。
 しかしながら、本出願人は、本願商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれにおいても紛れることのない非類似の商標であると考えますので、前記認定には承服できず、以下に意見を申し述べます。
(2) 本願商標は、願書に表示した商標見本から明らかなように、片仮名文字で一連に「ピュアエステ・ブリアント」(標準文字)と書した態様からなるものであります。
 これに対し、引用商標は、欧文字で「BRILLANT」と書した態様からなるものであります。
 したがって、両者は外観上類似しないことは明らかであります。
(3) また、本願商標の「ピュアエステ・ブリアント」は格別の意味を有しない造語でありますが、引用商標の「BRILLANT」(brillant)は、「光り輝く、輝かしい、みごとな、すばらしい」等の意味合いを有するドイツ語であります(権利主体は「ドイツ法人」)(英語の「brilliant」(ブリリアント)に通じる言葉でもあります)。
 また、引用商標の「BRILLANT」(brillant)は、フランスのシンガー「dany brillant」(ダニー・ブリヤン)のファミリーネームと同一スペルからなるもので、このシンガーは、1960年生まれ、ジャズ、ラテンを中心に歌うシンガーであり、1991年にデビュー、2001年にはアルバム「甘い生活(Dolce Vita)」がフランスで38万枚を売り上げ、日本でもWebサイト上でCDを購入することができます。そして、古くは、1931年12月16日設立-1938年改称の日本の軽演劇の劇団「ピエル・ブリヤント(Pierre Brillant=仏語で「輝く石」の意)(ピエル・ブリアントは誤り)」というのがあって、「Brillant」の文字を使っており、「ブリヤント」と読ませていたようであります。このように、「BRILLANT」は、英語の「brilliant」(ブリリアント)に通じ、ドイツなどでは「輝き」の意味を有する単語として理解され、ファミリーネームにも用いられています。然るに、特定の観念を有しない本願商標「ピュアエステ・ブリアント」と「輝かしい、すばらしい」等を意味する引用商標「BRILLANT」とは、観念上も類似することはありません。
(4) そこで、次に称呼の点につき検討します。
(4-1) 本願商標は、「ピュアエステ・ブリアント」と前後に軽重の差なく一連に書した態様からなり、且つ全体として特定の観念を生じない造語でありますので、本願商標は、常に一連に「ピュアエステ・ブリアント」と称呼され、単に「ピュアエステ」や「ブリアント」と称呼されることはないと思料します。この点に関し、審査官殿は、全体がやや冗長であること、また、「ピュアエステ」と「ブリアント」の間に中黒「・」が介在していることから、本願商標は「ブリアント」の部分をとらえて単に「ブリアント」と称呼されることもあると考え、前記のような認定をされたのではないかと推察しますが、本出願人は、そのようなことはないと考えます。即ち、成る程、本願商標は、全体がやや冗長であることは事実であります。また、前段「ピュアエステ」と後段「ブリアント」の二つの要素から構成されていることも事実であります。
 しかしながら、本願商標は、
(a)全体が同書同大同間隔で一連に書された「ピュアエステ・ブリアント」という態様であること、また、
(b)前段と後段二つの要素から構成された商標ではあるものの、両者は中黒「・」を介して連結された商標であり、一体のものとして把握できる商標であること、また、
(c)「ピュアエステ」も「ブリアント」も品質を表示するような言葉ではなく、指定商品との関係において共に自他商品識別力を備えていること、
(d)前段「ピュアエステ」と後段「ブリアント」に軽重の差がなくバランスよく配置されているため、前段又は後段の一方を選択して称呼するようなことは通常考えられないこと、
(e)全体がやや冗長ではあるが全体として一連に称呼して語呂がよく称呼しやすい商標であること、そのため、一連に称呼されるのが自然であると思われること、
等の理由により、本願商標は、常に一連一体に「ピュアエステ・ブリアント」と把握され、且つ称呼されるものと思料します。
 なお、審査官殿は、中黒「・」によって、前段と後段が分断され、一方のみ単独で称呼される場合もあると判断されたのだと思いますが、この中黒は前後を分断するためのものではなく、前後を一体のものとして連結するために用いたものであります。つまり、これによって2つの要素からなる本願商標を分断できない一連一体の商標としたものであります。
(4-2) さらにまた、審査官殿は、「ピュアエステ」を「純粋エステ」の如き意味合いに理解し、この言葉を品質の表示用語に過ぎないと解釈して「ブリアント」を商標の要部とみているのかも知れませんが、もしそうだとしたら、それは誤解であります。本出願人は「ピュアエステ」の商標を登録第3281303号商標として第10類「医療用機械器具,家庭用電気マッサージ器」について保有しておりますので、「ピュアエステ」が品質表示ではなく自他商品識別力を備えた識別標識であることは明かであります。また、本出願人は、「ピュアエステ」の商標を登録第3310604号商標として国際分類版表示第6版第42類「美容,理容」について保有しておりますので、「ピュアエステ」を第10類の医療用機械器具などに用いても、「純粋エステ用の医療用機械器具」というように理解されるようなことはないはずで(だいいち「純粋エステ」の概念すらはっきりしていません)、この点からも、「ピュアエステ」の文字に自他商品識別力が備わっていることは明かであります。
 以上の次第でありますので、本願商標の態様からは、単に「ピュアエステ・ブリアント」の称呼のみ生じるものと思料します。
(4-3) これに対し、引用商標は、「BRILLANT」の態様より、第3音目にアクセントのある「ブリヤン」とか、「ブリヤント」(この場合、「ト」は有るか無いかぐらいの小さな音)の称呼を生じるものと思料します。また、英語読みをする癖のある一般的な日本人には、2つの連続した「L」が存在し、かつその2つ目の「L」の後に「A」が続いている「BRILLANT」の態様より、「ブリ・ラント」というような二音節からなる読み方をする人がいるのではないかと思料します。
(4-4) そこで、本願商標の称呼である「ピュアエステ・ブリアント」と、引用商標の称呼である(あるいは称呼の可能性のある)「ブリヤン」「ブリヤント」「ブリラント」とを比較しますと、「ピュアエステ」の称呼の有無によって、両者は音数及び語感語調を異にし、称呼上も相紛れることのない非類似の商標であると考えます。
(5) 過去の商標登録例を見ますと、2つの言葉を中黒「・」を介して構成した商標と、そのうちの一方の言葉を共通にした商標とが共存している例が、以下AとB、CとD、EとFなどのように存在します。いずれも、類似群10D01を指定商品に含んでおります。
A.登録2439669 「ライフテック/LIFE-TECH」 株式会社ノーリツ……第1号証と、
 B.登録4221217 「マルピー・ライフテック」 大日本住友製薬株式会社……第2号証。
C.登録2527871 「LEADER/リーダー」 中外製薬株式会社……第3号証と、
 D.登録4339101 「ハイカウント・リーダー」 富士レビオ株式会社……第4号証。
E.登録4352381 「ベース・ソリューション」 ロート製薬株式会社……第5号証と、
 F.登録4809086 「ソリューション/SOLUTION」テルモ株式会社……第6号証。
 これらの関係を見て分かることは、やや冗長な中黒「・」を介して構成された商標であっても、一連一体の商標と把握でき、全体が無理なく一気に称呼できるものは、分断できない一つの商標と把握されていると言うことであります。本願商標とてこれらの商標と同様で、全体が中黒を介して左右バランス良く配され、一気に称呼して称呼しやすい商標ですので、前後に分断できない一つの商標と把握されるべきものであります。つまり、あくまでも「ピュアエステ・ブリアント」で一つの商標であり、「ピュアエステ・ブリアント」とのみ称呼されるべきものであります。それ故、本願商標は、単に「ブリヤン」「ブリヤント」あるいは「ブリ・ラント」と称呼されるに過ぎない引用商標とは、称呼上も紛れることのない非類似の商標であります。
(6) 以上のように、本願商標「ピュアエステ・ブリアント」と引用商標「BRILLANT」とは、「ピュアエステ」の有無等によって、外観、称呼及び観念のいずれにおいても紛れることのない非類似の商標であると考えます。

商標登録+α: 拒絶理由通知に対する意見書記載例目次

商標登録+α: 拒絶理由通知に対する意見書記載例#93

特許庁審査官等から受けた拒絶理由通知等に対し、反論した「意見書、審判請求書」の具体例を小川特許商標事務所のサイトから転載しております。

本願商標「カフェパン」

1.出願番号  商願2009-91468
2.商  標   「カフェパン」
3.商品区分  第30類
4.適用条文 商標法第3条1項3号、第4条第1項第16号
5.拒絶理由  

出願商標・商標登録第5408075号
出願商標・商標登録第5408075号

意見書における反論

【意見の内容】
(1) 拒絶理由通知書において、審査官殿は、本願商標に関し、以下のように認定しております。
“ 「カフェパン」の文字を標準文字で書してなるところ、構成中の「カフェ」の文字は、指定商品との関係で「コーヒー、喫茶店」を意味する語と認められます。そして、近年、食品を取り扱う業界において、「コーヒー風味のパン」や「喫茶店で製造又は販売されるパン」が、「カフェパン」と称して、一般に製造又は販売されている実情があります(参考情報参照)。そうとすれば、これを本願指定商品に使用しても、全体として、「コーヒー風味のパン、喫茶店で製造又は販売されるパン」程の意味合いが容易に理解、認識されるものですから、単に商品の品質等を表示するにすぎないものと認めます。したがって、この商標登録出願に係る商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがありますので、商標法第4条第1項第16号に該当します。
【参考情報】
 (1)「カフェ」の解説として、「コーヒーの意。主としてコーヒーその他の飲料を供する店。・・珈琲店。喫茶店。」との記載(広辞苑 第六版 岩波書店発行)。
 (2)「琉球サンロイヤルホテル」のウェブサイトにおいて、「マゼランカフェ」の見出しのもと、「商品名: 新登場っ!カフェパン。・・内容:ふんわりパンに中身がぎっしり!!手軽でオシャレな新感覚のパンです。あんの甘さに、ほんのりコーヒーのほろ苦さが香る新しい美味しさ。」との記載(http://www.rsunroyal.co.jp/restaurant_c.php)。
 (3)「日比谷アーカイブカフェ」のウェブサイトにおいて、「人気商品のご案内」の見出しのもと、「日比谷の『カフェパン』。『コーヒー』厳選したキリマンジェロのコーヒー豆を使用し、細かく粉砕してパンにもあんにも練りこみました。・・『テキヤリキチキン』甘辛い味付けのジューシーなチキンに、マヨネーズの絶妙なハーモニー。・・『ポテト』ミックスベジタブルと、ベーコンの旨みしっかりのほっくりポテトサラダで、お腹も満足。」との記載(http://archive-cafe.com/menu.html)。 ”
 しかしながら、本出願人は、本願商標の「カフェパン」は、品質を表示するような言葉ではなく、十分に自他商品識別標識として機能する商標であると思料しますので、上記認定には承服できず、以下に意見を申し述べます。
(2) まず、本願商標の「カフェパン」は、審査官殿のご指摘によれば、広辞苑に「コーヒーの意。主としてコーヒーその他の飲料を供する店。・・珈琲店。喫茶店。」との記載があるとしております。しかし、これは、正確には「カフェ〔cafeフランス〕(コーヒーの意)(1)主としてコーヒーその他の飲料を供する店。日本では幕末の横浜に始まり、東京では1888年(明治21)上野で開店した可否(カツヒー)茶館が最初。珈琲店。喫茶店。(2)明治末~昭和初期頃、女給が接待して主として洋酒類を供した飲食店。カッフェ。カフェー。」(広辞苑)と記載されております。つまり、広辞苑はもともとの意味を括弧書きで「(コーヒーの意)」としているに過ぎません。むしろ、コーヒー等の提供場所である「珈琲店。喫茶店。」を意味するものとして説明しております。したがって、審査官殿の上記引用の仕方は正確ではありません。また、web上のフレッシュアイペディア(フレッシュアイペディアは、ウィキメディア財団が提供する日本語版ウィキペディアに含まれるフリー百科事典の情報及びその関連情報を引用し、提供するサービスです。歴史、人物、企業、先端テクノロジーから動物まで、様々な「ウィキペディア日本語版」の記事を検索できます)によれば、「カフェ (仏cafe/伊caffe)」 は、「本来コーヒーの意味。転じて、コーヒーなどを飲ませる飲食店を意味する。ヨーロッパの都市に見られるある種の飲食店を意味し、特にパリやウィーンのものが知られる。新聞や雑誌がそこで読め、時の話題について談笑し、情報交換のできる場所として親しまれている。」と解説されているように、「カフェ」は、今日では、「コーヒー」そのものというより、ヨーロッパ風の「珈琲店(喫茶店)」を意味するのが一般的であります。なお、同じくWeb上のYahoo!百科事典によれば、「カフェ」について、「日本では客席にホステスをはべらせて洋酒・洋食を供した、今日のキャバレーに類する、昭和初期の飲食店をいう場合が多い。カフェーは本来はコーヒーの意味であるが、転じて17世紀のヨーロッパに広がったコーヒーを飲ませる店(喫茶店)、やがては食事・酒を出す店をもいうようになった。アメリカでは軽食堂、酒場、ナイトクラブなども広くカフェーと称する。」などと解説されています。そうだとすれば、本願商標「カフェパン」は、全体として、「コーヒー風味のパン」程の意味合いを有する品質表示だとする審査官殿の指摘は、当たらないと考えます。仮に審査官殿の指摘する「コーヒー風味のパン」を表す場合には、「カフェパン」ではなく、「コーヒーパン」と称するのが素直であり、一般的であると考えます。「あんパン」、「ジャムパン」、「クリームパン」、「カレーパン」と一般的に称するように、「コーヒー風味のパン」は「コーヒーパン」と称するのが自然であります。google等のweb検索エンジンで検索してみても、コーヒー風味のパンは「コーヒーパン」と称されています。やなせたかし原作の漫画アンパンマンのキャラクターにも「コーヒーパンマン」というのがいますが、「カフェパンマン」というのはいません(1996年制作の「コーヒーパンマンとかいじゅうモカ」という漫画あり。http://www.youtube.com/watch?v=LluX3uI9kcM)。web上では、「コーヒーパン」はかなりの数ヒットしますが、「カフェパン」を探すのは容易ではありません。「カフェパン」は普通に使われている言葉ではありません。それ故、「カフェパン」が「コーヒー風味のパン」を表す品質表示だとは決して言い得ないと思います。
(3) また、審査官殿は、本願商標「カフェパン」を、「喫茶店で製造又は販売されるパン」程の意味合いを有するとも指摘しております。
 しかし、「カフェ」が「喫茶店」を表すとしても、「カフェパン」を「喫茶店で製造又は販売されるパン」とストレートに理解できるものではありません。前述のように、web上で「カフェパン」の使用例を探すのは容易でなく、ましてや、「カフェパン」を「喫茶店で製造又は販売されるパン」程の意味合いで使われている例など見たことも聞いたこともありません。本出願人は「カフェパン」を「キーコーヒーの取引先であるレストランや喫茶店で食べてもらうパン」をイメージ(小ぶり、おしゃれ)してネーミングしましたが、その時に浮かんだのが、「喫茶店(カフェ)で食べるパン」ということで、「カフェパン」だったわけです。しかし、だからといって、「カフェパン」が「喫茶店で製造又は販売するパン」を普通に意味する品質表示用語であるなどと、取引者・需用者が思うはずはありません。「カフェパン」と言うネーミングを聞いて、具体的にそこまで想定する顧客などいないはずです。繰り返しますが、「カフェパン」は、「キーコーヒーの取引先である喫茶店(カフェ)で食べるパン」を意識してネーミングしたことは事実であります。しかし、それは単に本出願人のコーヒーを扱ってくれている喫茶店で販売してもらう小ぶりのパンとして何かおしゃれなネーミングはないかと考えた上で、これで行こうと決めたネーミングであって、「カフェパン」の言葉から間接的に喫茶店で扱われるパンのイメージが浮かぶことはあっても、そのことが直ちにこの商品の具体的な品質を表示することにはならないと考える次第です。御庁における商標法第3条第1項第3号の商標審査基準においても、「品質…を間接的に表示する商標は、本号の規定に該当しないものとする」としております。この「カフェパン」は、ある意味で、商品の品質を間接的に表示する商標であるかも知れませんが、あくまでも本出願人が識別標識を意識して考えたネーミングであって、特定の具体的意味合いを持たない造語商標であります。
(4) 審査官殿は、“近年、食品を取り扱う業界において、「コーヒー風味のパン」や「喫茶店で製造又は販売されるパン」が、「カフェパン」と称して、一般に製造又は販売されている実情がある”というようなことを述べておられます(参考情報参照:http://www.rsunroyal.co.jp/restaurant_c.php及びhttp://archive-cafe.com/menu.html)。
 しかしながら、ここに審査官殿が実情として掲げた2つの例は、いずれも本出願人の取引先「琉球サンロイヤルホテル内のカフェ&バー「マゼランカフェ」」と「日比谷アーカイブカフェ」(日比谷公会堂の1階に設けた喫茶。日比谷公会堂でのイベント開催にあわせた不定期開場)における使用例であり、ここで「カフェパン」と称して顧客に販売しているのは、本出願人が製造し、これらの取引先に納品しているパンそのものであります。即ち、本出願人は、昨年(2009年)より、本出願人の得意先である喫茶店などで、いわばケーキ等と同じくデザート代わりに食べてもらおうと、「カフェで気軽に食べるのに適した小ぶりでおしゃれなパン」の開発に取り組み、その開発のイメージから「カフェパン」と言うネーミングを考えた次第です。そして、得意先の喫茶店等をターゲットとして、2009年の秋頃より営業活動を開始し、2009年11月始め頃に最初の出荷にこぎ着けました。「カフェパン」を採用してくれる喫茶店に対しては、印刷会社の「カフェパン 制作物 印刷」と「カフェパン 制作物 制作・撮影」の請求書(2009年11月付)(第1号証の1と第1号証の2)からも分かるように、A4判のセールスシート(第2号証)や、B3判1/2短冊ポスター(第3号証)や、テーブルスタンドPOP(第4号証)なども用意して、各店舗に配布し、利用していただいております。(「日比谷アーカイブカフェ」のウェブサイトにおける「カフェパン」の紹介には、本出願人が配布した第2号証のA4判のセールスシートがそのまま用いられています。)本出願人が各店舗に納品している「カフェパン」は、セールスシートやポスターなどをみれば分かると思いますが、コーヒーを生地やあんに練り込んだ「カフェパン/コーヒー」と、照り焼きチキン入りの「カフェパン/チキン」と、ポテトサラダ入りの「カフェパン/ポテト」の3種類があり、2009年11月2日より出荷を開始しております。なお、3種類のうち、「カフェパン/コーヒー」には、あんと生地にコーヒーを含んでいますが、他の「カフェパン/チキン」や「カフェパン/ポテト」には具にも生地にもコーヒーを含んでいません。「カフェパン」は、コーヒー風味のパン(コーヒーパン)ではなく、あくまでもカフェで気軽に食べるのに適した小ぶりでおしゃれなパンをイメージしております。そして、これら「カフェパン」の実際の納品は、主に、添付の写真(第5号証の1~5)に示すとおり、今のところ、一袋4個入りで箱詰めする等して各店舗に納品しております。審査官の指摘された琉球サンロイヤルホテルと日比谷アーカイブカフェへの納品状況は、添付のそれぞれの納品実績表(第6号証、第7号証)に示すとおりであります。第6号証に示す琉球産ロイヤルのマゼランカフェ(喫茶店)には、「カフェパン/コーヒー」の納品だけですが、2010年1月より6月9日頃までで20袋ほどの納品実績があります。沖縄の温暖な気候ではあんまり捌けておりませんので、今のところこの1種類です。しかし、一方の第7号証の1と第7号証の2に示す日比谷アーカイブカフェの方は、3種類すべてのカフェパンを納品しており、2009年11月~2010年6月11日までの7ヶ月ほどの間に679袋の納品実績があります。キーコーヒー取引先への「カフェパン」の売り込みが功を奏し、本格的な売り込みから7ヶ月ほどで、既に全国1,600店舗ほどの喫茶店で「カフェパン」が採用されております。このように、「カフェパン」と称して料理メニューとして(電子レンジで温めればOKです)、又はお土産用として販売されている商品は、本出願人が、「カフェパン」のネーミング(商標)でこれらの喫茶店に納めた商品そのものであります。つまり、「カフェパン」は本出願人が、この取引している「パン」に付けたネーミング(商標)であって、決して一般的に普及している「コーヒー風味のパン」等をあらわすネーミング(普通名称ないし品質表示)ではありません。ということで、この審査官殿が例示された2つ喫茶店の他に、「カフェパン」の使用例を見つけたとしら、それは本出願人が扱う「パン」を称して「カフェパン」としているのではないかと思います(僅か7ヶ月ほどで、もともとの取引先ではあっても、全国1,600店舗への「カフェパン」納品の実績は、それを物語るものと思います)。そうでなければ、本出願人の「カフェパン」を見て、その真似をしたのではないかと思います(使用者も悪気はないと思いますが、一般的には「コーヒーパン」でありますので、「カフェパン」を使う以上、本出願人の商品をどこかで見て、そのおしゃれな名前が気に入って使ってしまったということだろうと思います)。
(5) 以上の次第でありますので、本願商標「カフェパン」は指定商品との関係において自他商品識別力を備えた商標であり、また、「カフェパン」と称して一般的に製造又は販売されている実情も本出願人の関係者以外にありませんので、本願商標は商標法第3条第1項第3号に該当するものでも、同法第4条第1項第16号に該当するものでもないと考えます。
(*指定商品は当初「菓子及びパン」であったが、審査官の指摘もあり「パン」に限定した。)

商標登録+α: 拒絶理由通知に対する意見書記載例目次