商標権に基づく請求の訴額算定基準

商標権に基づく請求の訴額

訴額とは、訴訟物について原告が訴えで主張する利益を金銭に見積もった額のことを言います。訴訟の提起の際には、訴状に所定の印紙を貼る必要があり、また、必要な郵券も予納することが求められます。商標権に基づく訴えを提起する場合は,算定基準による「訴額計算書」を作成して訴状とともに提出します。、

A.郵券代

当事者(原告,被告)がそれぞれ1名の場合 合計 6,000円 (内訳 500円×8枚、100円×10枚、82円×5枚、50円×5枚、20円×10枚、10円×10枚、2円×10枚、1円×20枚)で、さらに当事者が1名増すごとに2,144円(内訳500円 4枚,50円 2枚,10円 4枚,2円 2枚)を1の額に加えます。ただし、原告が複数であっても,共通の代理人がいる場合は,加える必要はありません。

知財訴訟の訴額算定基準(平成28年4月1日現在)

侵害行為を組成する物の廃棄等を差止請求と併合して請求する場合(商標法36条2項)には,差止請求の訴額のみとします。「残存年数」,「請求可能年数」については,月単位まで計算します(月数に端数が生じる場合は,切り捨てる。)。計算の根拠とする金額,料率,年数等の数値は原則として資料によって疎明する必要がありますが,年間売上高・利益率等については疎明資料は不要で,訴状とともに訴額計算書を提出すれば足ります。

商標権に基づく請求の訴額計算

A.権利の帰属の確認請求,移転登録手続請求

次のいずれかによります。
1. 訴え提起時の年間売上高×訴え提起時の利益率×10年×5分の1
2. 原告が,鑑定評価書等により,権利の評価額,取引価格を疎明したときは,その額によります。
権利の範囲全部につき専用使用権が設定されている場合には,次のいずれかによります。
1. 訴え提起時の専用使用権者の年間売上高×使用料率×10年×5分の1
2. 年間使用料×10年×0.8

B.使用権の確認請求,設定登録手続請求,移転登録手続請求

訴え提起時の使用権者の年間売上高×訴え提起時の使用権者の利益率×使用権の残存年数×5分の1
ただし,使用権の残存年数が10年以上の場合,又は,使用権設定契約の更新等により使用権が訴え提起時から10年以上継続する可能性が高い場合には「使用権の残存年数」は10年とします。

C.抹消登録手続請求

A.またはB.の算定結果×2分の1

D.質権の設定・移転・変更・消滅に関する登録手続請求

不動産を目的とする担保権に関する登記手続請求の算定方法を準用します。

E.差止請求

次のいずれかによります。
原告の訴え提起時の年間売上減少額×原告の訴え提起時の利益率×10年×10分の1
被告の訴え提起時の年間売上推定額×被告の訴え提起時の推定利益率×10年×10分の1
年間使用料相当額×10年×0.8

F.差止請求権の不存在確認

原告の訴え提起時の年間売上額×原告の訴え提起時の利益率×10年×10分の1

G.信用回復措置の請求

信用回復のための広告等その措置に要する費用が認定できる場合はその額とし,措置の性質上,要する費用が認定できない場合,又は,算定が著しく困難な場合は160万円とします。

計算例

商標権に基づく差し止め請求で、例えば原告の訴え提起時の年間売上減少額を2億円とすると、原告の訴え提起時の利益率が20%とした場合、2億円x20%x10年x0.1で4000万円となります。訴額が4000万円であれば、印紙代は14万円となります。

東京地裁、知財高裁、東京高裁
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