商標登録+α: 拒絶理由通知に対する意見書記載例#22

意見書例 +α

特許庁審査官等から受けた拒絶理由通知等に対し、反論した「意見書、審判請求書」の具体例を小川特許商標事務所のサイトから転載しております。

本願商標:「IMPALA ILLUSTRATED/インパラ・イラストレイテッド」

1.出願番号  平成11年商標登録願第24995号
2.商  標  「IMPALA ILLUSTRATED/インパラ・イラストレイテッド」
3.商品区分  第11類:「印刷物」を「雑誌,新聞」に補正。
4.適用条文 商標法第3条1項3号、第4条第1項第16号
5.拒絶理由  指定商品中「書籍、雑誌」に使用するときは、単に商品の内容を表示するにすぎない。

商標登録第4378390号
出願商標

意見書における反論

(1) 拒絶理由通知書において、本願商標は、商品との関係において「アフリカ産の中型レイヨウの図解入りの」の意を容易に認識させる「IMPALA ILLUSTRATED、インパラ・イラストレイテッド」の文字を書してなるが、これをその指定商品中「書籍、雑誌」に使用するときは、単に商品の内容を表示するにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるから、商標法第4条第1項第16号に該当する、と認定された。
 しかしながら、本願商標は、「書籍」の題号として用いた場合には、成る程その内容を表示するものとして理解されるだけで識別力を生じないというおそれはあるが、「雑誌,新聞」等の定期刊行物の題号に使用するときは、単にその内容を表示するというものではなく、自他商品識別力を有する商標として理解され取り引きされるものと思料する。つまり、雑誌・新聞という定期刊行物の性格としては、そのタイトルの関連記事のみならず、種々雑多な記事を掲載するのが通例であるから、取引者・需用者もその様なものとして受け取っており、タイトルを見てそのタイトル通りの記事しか掲載されていないなどと、誰も理解するはずがない。つまり、雑誌新聞等の定期刊行物にあっては、タイトルとその中味が完全一致するとは限らず、むしろ一致しないのが常識であるから、この定期刊行物のタイトルは、通常、内容表示であると理解されることはないのであって、それ故に、本願商標を「雑誌,新聞」等の定期刊行物の題号として用いた場合にも、十分に自他商品識別力を有する商標として機能するものと思料する。
 そのため、本出願人は、本日付けで手続補正書を提出し、本願の指定商品を「印刷物」から「新聞,雑誌」に限定する補正を行った。よって、本願の拒絶の理由は解消したものと思料するが、審査官殿は、「書籍」の題号と「雑誌」の題号とを同一レベルでとらえる誤解をしているようであるので、念のため、以下に意見を申し述べる。

(2) 本願商標は、英文字とカタカナ文字で二段に、「IMPALA ILLUSTRATED/インパラ・イラストレイテッド」と書してなり、その字義より、「レイヨウの図解付きの」の如き意味合いを有するものであるが、その指定商品である「新聞」や「雑誌」等の定期刊行物の性格として、タイトルに沿った内容の記事(各号に必ず記載するであろう中心的記事)も勿論存在するであろうが、それ以外のタイトルとは無関係の記事もふんだんに記載されているとみるのが通例であって、誰もがそう理解するであろう。
 したがって、雑誌・新聞等の題号は、それが一つの観念を生じるとしても、その字義通りの内容しか記載されていないとみるべきではない(つまり、内容表示にすぎないと理解すべきではない)。殊に「雑誌」の場合には、そのタイトルの他に、特集記事の内容その他目玉となる記事の内容を人の購買意欲をそそるように、あるいは購買者に知らせるように、表紙等に表示するのが通例であって、それが雑誌の内容表示であり、題号自体は自他商品識別力を有する商標と見るべきである。つまり、雑誌の題号は、それが特定の観念を有する言葉であったとしても、それは自分の雑誌と他人の雑誌とを区別するための識別標識として採用していると見るのが通常であって、それがそのまま記事の内容であるとは限らない。このことは、日常見られる現象である(例えば、「○○スポーツ」「プロ野球ニュース」という新聞や雑誌でも、スポーツのことだけに限らず、芸能ニュースや一般的なニュースも記事として存在しているし、後者でもプロ野球以外の記事も多く存在している)。
(3) この様な、雑誌・新聞の性格から、御庁の商標法第3条第1項第3号に関する審査基準においても、「書籍」の題号と「雑誌・新聞」等の定期刊行物の題号とは、明確に区別して扱っている。即ち、審査基準においては、「(1)書籍の題号については、題号がただちに特定の内容を表示するものと認められるときは、品質を表示するものとする。(2)新聞、雑誌等の定期刊行物の題号は、原則として、自他商品の識別力があるものとする。」としている。
 そして、この様な考え方によれば、本願商標の「IMPALA ILLUSTRATED、インパラ・イラストレイテッド」は、雑誌・新聞のタイトルとして、十分に識別力を発揮するということができる。
しかも、雑誌・新聞の題号に用いる商標としては、たとえ両商標の観念が同一であっても、外観・称呼が異なる商標であれば、十分な自他商品識別力を発揮すると言うことで、両者非類似の商標として扱われているのである。例えば、「ディリースポーツ」と「日刊スポーツ」とでは、同一観念の商標であろうが、新聞という定期刊行物の題号としては、両者十分に識別できる存在(出所が別の商標)として併存し機能している。これは、雑誌・新聞等のタイトルとして、同じ観念の商標であっても、文字の種類や称呼が異なれば、これを見、称呼する取引者・需用者は、両者を混同することはないとの経験則から、雑誌・新聞等のタイトルにあっては、商標の観念を原則として考慮しない扱いがなされているのだと思料する。
 このように、雑誌、新聞等の定期刊行物の題号は、その定期刊行物の特定の内容を表す内容表示と理解されるのではなく、十分に自他商品識別力のある商標として理解されている。
(4) このことは、過去の商標登録例を見ても容易に理解できる。即ち、その商標の意味だけを考えれば、本願商標と同じように「ILLUSTRATED」の文字を含み特定の観念を生じさせるような商標でも、「新聞,雑誌」等の定期刊行物を指定商品とする出願においては、単なる内容表示として拒絶されることはなく、自他商品識別力を有する商標として扱われ、数多く登録されているのである。

 例えば、
a.商標登録第1828152号 「Badminton Illustrated/バドミントン・イラストレーテッド」:雑誌、新聞…第1号証
b.商標登録第1828153号 「Boxing Illustrated/ボクシング・イラストレーテッド」:雑誌、新聞…第2号証
c.商標登録第1828154号 「Track&Field Illustrated/陸上競技・イラストレーテッド」雑誌、新聞…第3号証
d.商標登録第1828156号 「Baseball Illustrated/ベースボール・イラストレーテッド」:雑誌、新聞…第4証
e.商標登録第1828157号 「Swimming Illustrated/スイミング・イラストレーテッド」:雑誌、新聞…第5号証
f.商標登録第1828159号 「Softball Illustrated/ソフトボール・イラストレーテッド」:雑誌、新聞…第6号証
g.商標登録第2321948号 「billiards Illustrated/ビリヤードイラストレーテッド」:雑誌、新聞…第7号証
h.商標登録第2686877号 「SPORTS ILLUSTRATED」:雑誌、新聞、双書…第8号証
i.商標登録第3275243号 「TECHNOLOGY ILLUSTRATED/テクノロジーイラストレイテッド」:雑誌…第9号証
j.商標登録第3275246号 「SPACE ILLUSTRATED/スペース イラストレイテッド」:雑誌…第10号証
k.商標登録第3341266号 「スノーボードイラストレイテッド/SNOWBOSD ILLUSTRATED」:雑誌,新聞…第11号証
l.商標登録第4107448号 「バスケットボール イラストレーテッド/Basketball Illustrated」:雑誌,新聞…第12号証
m.商標登録第4107449号 「ハンドボール イラストレーテッド/Handball Illustrated」:雑誌,新聞…第13号証
n.商標登録第4107450号 「ランニング イラストレーテッド/Running Illustrated」:雑誌,新聞…第14号証
o.商標登録第4121211号 「ゲートボール イラストレーテッド/Gateballl Illustrated」:新聞,雑誌…第15号証
等はその例である。

 これらは、その字義からすれば「そのスポーツ(バトミントン、陸上競技、野球など)の図解付きの」ということであろうが、現実には、そのような内容表示と言うことではなく、自他商品識別力を有する商標として登録されているのである。
 本願商標も、今般、「雑誌,新聞」という定期刊行物に指定商品を限定する補正を行ったのであるから、これら①~⑮の商標登録例と同様に、「雑誌、新聞等の定期刊行物の題号については、原則として、自他商品の識別力があるものとする。」との審査基準に準拠し、自他商品識別力を有する商標として、登録されて然るべきである。
(5) 以上のように、本願商標は、商標法第3条第1項第3号にも、また同第4条第1項第16号にも該当することはなくなったものと思料する。

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