商標登録+α: 拒絶理由通知に対する意見書記載例#69

意見書例 +α

特許庁審査官等から受けた拒絶理由通知等に対し、反論した「意見書、審判請求書」の具体例を小川特許商標事務所のサイトから転載しております。

本願商標:「ToningBath/トーニングバス」

1.出願番号  商願2003-55506(不服2004-7343)
2.商  標  「ToningBath/トーニングバス」
3.商品区分  第5類:入浴剤その他の薬剤
4.適用条文 商標法第3条1項3号、第4条第1項第16号
5.拒絶理由 「単に、商品の品質、用途を表示したものと理解されるにとどまり、自他商品識別標識としての機能を有しない。」

出願商標・商標登録第4881749号
出願商標・商標登録第4881749号

不服審判における反論(請求の理由)

  【手続の経緯】
 出     願   平成15年 7月 3日
 拒絶理由の通知   平成16年 1月21日
  同 発送日   平成16年 1月26日
意  見  書   平成16年 2月20日
拒 絶 査 定   平成16年 3月30日
 同 謄本送達   平成16年 3月31日
  【拒絶査定の要点】
 原査定の拒絶理由は、“この商標登録出願は、平成16年1月21日付けで通知した理由によって、拒絶をすべきものと認めます。また、出願人は、意見書において種々述べていますが、第5類においては「Bath」及び「バス」の文字は、浴剤以外の商品に使用することはできませんからさきの認定を覆すことはできません。”というものであります。つまり、この拒絶の理由は、具体的には“ 「ToningBath」及び「トーニングバス」の文字を上下二段にして普通に用いられる態様で表示してなるところ、その構成中の「Toning」の文字部分は「活力を与える」程の意味合いを、また、「Bath」の文字部分は、指定商品との関係においては、「浴剤」の意味を有し、一般に「バスオイル」「バスソルト」「浴用石けん 浴室用洗剤」のように使用され、また、「トーニング」の語も「トーニング バスオイル」「トーニング シャワー&バス ジェル 」「メーカー ポールシェリー 商品名 バスオイル(トーニング)」「バスオイル トーニング (ボディケア)」のように使用されていますので、この商標全体としても「活力を与える浴剤」の意味合いを容易に看取しますから、この商標登録出願に係る商標を指定商品中「浴剤」に使用するときは、単に、商品の品質、用途を表示したものと理解されるに止まり、自他商品の識別標識としての機能を有しないものと認めます。したがって、この商標登録出願に係る商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、「浴剤」以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがありますので、商標法第4条第1項第16号に該当します。”(拒絶理由通知書)というものであります。
  【本願商標が登録されるべき理由】
然るに、本出願人は先の意見書において、本願商標は、「Toning/トーニング」と「Bath/バス」が結合して一体となった商標であり、言葉の意味として「活力を与える浴室、入浴」程の意味合いを有するが、この文字が、一般的に、第5類「入浴剤その他の薬剤」の品質・用途表示として流通し機能しているわけではないこと、及び、「浴槽」などを指定商品とする場合ならばまだしも、本願のような第5類「入浴剤その他の薬剤」を指定商品とする場合においては、格別にその品質や用途を表示するものではないこと、等を指摘して拒絶の理由には該当しないことを述べたにもかかわらず、かかる拒絶の認定をされたことに対しては納得できないところがあり、ここに再度ご審理を頂きたく、審判を請求する次第であります。
(a)本願商標の構成
 本願商標は、願書に表示した商標見本からも明らかなように、英文字と片仮名文字で「ToningBath/トーニングバス」と二段併記した態様からなるもので、指定商品を第5類「入浴剤その他の薬剤」とするものであります。
(b)審査官の認定に対する反論
(b-1)
審査官は、上記本願商標の構成態様に関し、「Bath」の文字部分は、指定商品との関係においては、「浴剤」を意味し、一般に「バスオイル」「バスソルト」「浴用石けん 浴室用洗剤」のように使用されているとしていますが、ここで言う「Bath」はあくまでも「浴室」を意味し、「浴剤」自体を意味するものでないことは、さきの意見書でも述べたとおりであります。審査官ご指摘の「バスオイル」「バスソルト」等の使い方は、商品「オイル」や「ソルト」に対して、「バス+商品名」という使い方であって、「バス用オイル」「バス用ソルト」という意味に使っております。「Bath」「バス」の文字自体が、「浴剤」そのものを表しているのではありません。「Toning」が「活力を与える」程の意味合いを有するとしても、「ToningBath」といった場合には、言葉自体の意味として「活力を与えるバス(浴室、入浴)」程の意味を有するのであって、「活力を与える浴剤」自体を意味するものではありません。そして又、本出願人は、本願商標の「ToningBath/トーニングバス」が言葉の意味として「活力を与えるバス(浴室、入浴)」の意味を有するとしても、「浴槽」などを指定商品とする場合ならばまだしも、本願のような第5類「入浴剤その他の薬剤」を指定商品とする場合においては、格別にその品質や用途等を表すことにはならないと考えます。例えば、「浴剤」に、「活力を与えるバス(浴室、入浴)」という言葉の意味合いの商標「ToningBath/トーニングバス」を用いても、その「浴剤」を、「バス」(「浴室」「浴槽」「入浴」など)と間違えるわけはなく、指定商品との関係において、品質・用途等の誤認など生じるはずもありません。この意味において、審査官の判断は、言葉の意味合いを誤って認識した誤解に基づくものであります。
(b-2)
また、審査官は、拒絶査定書において、“第5類においては「Bath」及び「バス」の文字は、浴剤以外の商品に使用することはできません…。”と認定しております。しかし、後に述べるように、「Bath」「バス」の文字を用いたからといって、必ずしも指定商品が「浴剤」に限定されるわけではなく、現に「浴剤」に限定せずとも登録されている例は多く存在します。しかも、本願商標は、「Toning」及び「トーニング」の文字だけからなるものでも、また「Bath」及び「バス」の文字だけからなるものでもなく、あくまでも、これら2つが結合して一体となり、「活力を与える浴室、入浴」程の一つのまとまった意味合いを暗示させる造語商標となっております。それ故に、この本願商標を指定商品中「入浴剤」に使用しても、単に、商品の品質・用途を表すことにはならず、自他商品識別機能を十分に発揮するものと思料します。
(b-3)
ところで、審査官は、前述のように、「ToningBath/トーニングバス」を「活力を与える浴剤」の意味に理解し、それを「浴剤」に使用しても識別力は生じないと認定しました。しかし、冷静に考えた場合、「活力与える浴剤」とは、一体如何なるものなのか、ここでいう「活力を与える」とは具体的には何を意味するのか。つまり、「入浴剤」(例え薬用入浴剤であっても)における「活力を与える」(「生命力を与える」)効能というのは、具体的に何を表すのか、判然としません。飲み薬等の医薬品であれば、あるいは“これは人体を活性化し、生命力を保つ薬だ”との認識を持つ取引者・需要者がいるのかも知れません。しかし、入浴剤は、たとえ薬用入浴剤であっても、所詮、その香りや成分によって、疲れをいやしたり、皮膚等の荒れを改善したりすることが基本であります。お湯と浴剤との相乗効果で、ものによって、せいぜい、1)保湿効果で敏感肌・ニキビ・カサカサ肌を生き生きとさせたり、2)アレルギー性皮膚炎を改善させたり、3)血行を促進して冷え性を改善させたり、4)発汗作用を促したり、5)血行を促進して肩こりを解消させたり、というような効能を発揮するだけであります。それ故、“活力を与える”といった具体的には何のことか分からない抽象的な効果をとらえて、商品の品質・用途表示だなどとは、到底言い得ないと思料します。つまり、具体的に中身が特定できてこそ、商品の品質・用途表示といえるのであって、漠然と物事を暗示ないし間接的に表示したのでは、商標法第3条第1項第3号にいう「品質・用途」等の表示とは言えないと考えます。商標法第3条第1項第3号の商標審査基準によれば、“指定商品の「品質」、「効能」、「用途」等を間接的に表示する商標は、本号の規定に該当しないものとする。”と明確にうたっています。この基準に照らし合わせてみても、今般の審査官の認定には納得できません。同書・同大・同間隔で一連一体にバランス良く横書きした本願商標「ToningBath/トーニングバス」は、全体としてみれば「活力を与える浴室、入浴」を暗示ないし間接的に表示しておりますが、指定商品との関係では特定の具体的観念を生じさせない造語商標であります。よって、本願商標「ToningBath/トーニングバス」を、第5類の「入浴剤その他の薬剤」に使用したとしても、その商品の品質・用途等を表すことにはならず、十分に自他商品識別機能を発揮するものと思います。
(b-4)
過去の商標登録例をみると、例えば、(A)「TONING BED/トーニングベッド」は、「業務用美容マッサージ器」や「業務用美容機械器具」を指定商品として商標登録されていますが(登録2284758)、これなどは、端的に「活力を与えるベッド状のマッサージ器、同ベット状の美容機械器具」を意味しております。それ故、今般の審査官のような見方をすれば、この(A)は自他商品識別力がないということになるのでありましょうが、実際には識別力が認められて商標登録されているわけであります。これら「業務用美容マッサージ器」や「業務用美容機械器具」に「TONING BED/トーニングベッド」が登録できて、「入浴剤その他の薬剤」に「ToningBath/トーニングバス」が登録できないとされる謂われはありません。
(b-5)
また、過去の商標登録例をみると、本願と同一の指定商品分野(第5類)において、「BATH」「Bath」の文字を含む商標がいくつも登録されておりますが、これらの指定商品は、必ずしも「浴剤」に限定されているわけではありません。審査官が指摘するように、「BATH」「Bath」の文字が、第5類においては「浴剤」を表す品質・用途表示であるとするならば、当然ながら「BATH」「Bath」の文字を含む商標は、全て、「浴剤」に限定されていなければならないはずでありますが、現実にはそうなっておりません。
例えば、以下(1)~(5)の商標登録例は、「浴剤」に限定されている訳ではなく、「薬剤」という概念で登録されております。
(1)登録3279451 バイタバス\VITABATH      薬剤
(2)登録3279452 ビタバス\VITABATH    薬剤
(3)登録4215083 ビオレ Health & Bath    薬剤
(4)登録4399212 Healing Bath\ヒーリングバス 薬剤
(5)登録4437324 ホットインバス\HOT IN BATH 薬剤ほか
 審査官のように“指定商品との関係にあって「BATH」「Bath」の文字は品質・用途表示だ”という判断を行うのであれば、これら(1)~(5)の指定商品は、全て、「浴剤」という具合に記載されていなければならないはずでありますが、現実にはそのよう限定はありません。これは、「BATH」「Bath」の文字が、必ずしも「浴剤」のみを表すものでないことの、何よりの証左であります。これら(1)~(5)が「薬剤」を指定して登録できて、本願商標「ToningBath/トーニングバス」が同じ「薬剤」を指定して登録できないとされる謂われはありません。
 【むすび】
 以上述べたように、本願商標の「ToningBath/トーニングバス」は、「活力を与える」程の意味合いを有する「Toning/トーニング」と「浴室、入浴」を意味する「Bath/バス」の文字とを組み合わせたもので、全体の言葉の意味として「活力を与えるバス(浴室、入浴)」程の意味合いを持つものではありますが、指定商品との関係において特定の具体的観念を生じさせることはなく、単なる商品の品質、用途表示ということはできないと考えます。特に「浴槽」などを指定商品とする場合ならばまだしも、本願のような第5類「入浴剤その他の薬剤」を指定商品とする場合においては、格別にその品質や用途等を表示するものではないと考えます。それ故、本願商標「ToningBath/トーニングバス」は、商品の品質、用途を普通に用いられる方法で表示するものでも、商品の誤認を生じさせるものでもなく、十分に登録適格性を備えたものと確信します。
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(参考)ケース69の「審決」
不服2004- 7343
  商願2003-55506拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
 結 論
  原査定を取り消す。本願商標は、登録すべきものとする。
 理 由
  1 本願商標
 本願商標は、「ToningBath」の欧文字と「トーニングバス」の片仮名文字とを二段に書してなり、第5類「入浴剤その他の薬剤」を指定商品として、平成15年7月3日に登録出願されたものである。
  2 原査定の拒絶の理由(要旨)
 原査定は、「本願商標は、『ToningBath』及び『トーニングバス』の文字を上下二段に普通に用いられる態様で表示してなるところ、その構成中の『Toning』の文字部分は『活力を与える』程の意味合いを、また、『Bath』の文字部分は、指定商品との関係においては、『浴剤』の意味を有し、全体としても『活力を与える浴剤』の意味合いを容易に看取させるから、本願商標を指定商品中『浴剤』に使用するときは、単に、商品の品質、用途を表示したものと理解されるに止まり、自他商品の識別標識としての機能を有しないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、『浴剤』以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるので、商標法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
  3 当審の判断
 本願商標は、前記のとおり「ToningBath」の欧文字と「トーニングバス」の片仮名文字とを二段に書してなるところ、構成中前半部の「Toning」(トーニング)の文字(語)が、たとえ、「活力を与える(こと)」(小学館ランダムハウス英和大辞典(第2版第7刷)「tone」の項参照。株式会社小学館発行)の意味を有し、後半部の「Bath」(バス)の文字(語)が、「浴室」(小学館ランダムハウス英和大辞典(第2版第7刷)株式会社小学館発行)を意味するものであるとしても、これらを結合して一連に表した本願商標は、原審説示のような意味合いを認識させるものではなく、特定の商品の品質、用途を、直接的、かつ、具体的に表したものとはいえないものである。また、当審において、職権をもって調査したが、「ToningBath」及び「トーニングバス」の文字が、本願の指定商品を取り扱う業界において、商品の品質、用途を表示するものとして、普通に使用されている事実を見出すことができなかった。してみると、本願商標は、全体として特定の観念を生じない造語を表したものと認識されるものであるから、これをその指定商品に使用しても、自他商品の識別標識としての機能を十分に果たし得るものであり、また、商品の品質について誤認を生じさせるおそれもないものである。したがって、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び第4条第1項第16号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当でなく、取消しを免れない。その他、政令で定める期間内に本願について拒絶をすべき理由を発見しない。
 よって、結論のとおり審決する。

平成17年 6月28日
審判長  特許庁審判官 野本 登美男
     特許庁審判官 三澤 惠美子
     特許庁審判官 和田 恵美

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