商標登録+α: 拒絶理由通知に対する意見書記載例#77

意見書例 +α

特許庁審査官等から受けた拒絶理由通知等に対し、反論した「意見書、審判請求書」の具体例を小川特許商標事務所のサイトから転載しております。

本願商標「初摘みコーヒー/TOARCO TORAJA/FIRST CROP × 引用商標「植物の図形+FIRST CROP」30類

1.出願番号  商願2003-107347(拒絶査定に対する審判事件)(不服2005-3975)
2.商  標 「初摘みコーヒー/TOARCO TORAJA/FIRSTCROP」
3.商品区分  第30類:トラジャ産のコーヒー
4.適用条文商標法第4条第1項第11号
5.拒絶理由  ファーストクロップの称呼を共通にする類似の商標である。

出願商標・商標登録第4955984号
出願商標・商標登録第4955984号
引例商標1・商標登録第4199999号
引例商標1・商標登録第4199999号
引用商標2・商標登録第4207716号
引用商標2・商標登録第4207716号

審判における反論(請求の理由)

【手続の経緯】
出     願 平成15年12月 3日
拒絶理由の通知 平成16年 6月18日
同 発送日 平成16年 6月21日
出願人名義変更届平成16年 7月27日
(東食と共願)
意  見  書 平成16年 7月29日
拒 絶 査 定 平成17年 2月 2日
同 謄本送達 平成17年 2月 7日

【拒絶査定の要点】
 原査定は、“この商標登録出願は、平成16年6月18日付けで通知した理由によって、拒絶をすべきものと認めます。なお、出願人は、意見書を提出して種々述べていますが、本願商標は「初摘みコーヒー」、図形を挟んでなる「TOARCO TORAJA」及び「FIRSTCROP」の文字よりなるものですが、これよりはその商標全体より判断して、その構成中にある「FIRSTCROP」の文字より「ファーストクロップ」の称呼をも生じるものと判断するのが相当と認められます。他方、引用に係る商標登録第4199999号商標及び同第4207716号商標からは「ファーストクロップ」の称呼が生ずるものと認められます。そうとすると、本願商標と各引用商標は称呼上類似の商標と判断するのが相当であり、本願商標の指定商品中には各引用商標の指定商品と同一又は類似の商品が含まれているものですから、先の認定を覆すことはできません。”というものであります。
【本願商標が登録されるべき理由】
然るに、本出願人は、意見書において、本願商標構成中の「FIRSTCROP」は「その年の最初に収穫したトラジャ産コーヒー豆を原料とするコーヒー」を表すためのもので、いわば「初摘み」(即ち、その年の最初に収穫したコーヒー豆)を意味する文字であり、この「FIRSTCROP」に識別標識としての機能はない旨述べたにも拘わらず、かかる認定をされたことに対しては、納得できないところがあり、ここに再度ご審理頂きたく、審判を請求する次第であります。
(a)本願商標の構成
本願商標は、願書の商標登録を受けようとする商標に表示したとおり、大きく横書きした「初摘みコーヒー」の文字を最上段に配置し、その下に「TOARCOTORAJA(+家の図形)」を横書きし、更にその下に「FIRSTCROP」と横書きして、全体を三段に構成したもので、第30類「トラジャ産のコーヒー」を指定商品とするものであります。
(b)引用商標の構成
これに対し、今般の拒絶査定における引用商標は、以下の2件であります。
 1)商標登録第4199999号商標(第1引用例)
この第1引用例の商標は、「植物の図形」と「FIRSTCROP」の欧文字から構成され、第30類「コーヒー及びココア,茶」を指定商品とするものであります。
 2)商標登録第4207716号商標(第2引用商標)
この第2引用例の商標は、「FIRSTCROP」の欧文字から構成され、同じく第30類「コーヒー及びココア,茶」を指定商品とするものであります。
(c)審査官の認定に対する反論
(c-1) 審査官の認定によれば、まず、本願商標は「初摘みコーヒー」、図形を挟んでなる「TOARCO TORAJA」及び「FIRSTCROP」の文字よりなるものであるが、これよりはその商標全体より判断して、その構成中にある「FIRSTCROP」の文字より「ファーストクロップ」の称呼をも生じるとしております。しかしながら、本願商標から、「ファーストクロップ」の称呼が生じることはないと思料します。本願商標の「FIRSTCROP」の文字は、「その年の最初に収穫したトラジャ産コーヒー豆を原料とするコーヒー」を表すためのもので、いわば「初摘み」(即ち、その年の最初に収穫したコーヒー豆)を表す品質表示的な英文字表記だからです。つまり、本願商標は「初摘みのトラジャ産コーヒー豆を原料とするコーヒー」であることをイメージし、それを強調した商標であって、「FIRSTCROP」はまさにこの「初摘み」という品質・原材料を普通に英語表記したものであります。それ故、ここに識別標識としての機能はありません(何ら識別力は生じません)。この「FIRSTCROP」は、単に「今年最初の収穫に係るコーヒー豆を用いたコーヒー」という品質を認識させるだけのものであります。そして、自他商品識別機能を有する本願商標の要部は、大書した「初摘みコーヒー」と言う奇抜な表記の仕方と共に「TOARCOTORAJA+家の図形」の部分(特に、この「TOARCO」と「家の図形」部分)にこそ存在するものと思料します。つまり、本願商標「初摘みコーヒー/TOARCOTORAJA(+家の図形)/FIRSTCROP」中の、少なくとも「FIRSTCROP」の文字部分は「今年最初の収穫に係るコーヒー豆」を表すにすぎない品質・原材料表示であって識別力は生じませんので、本願商標構成中の「FIRSTCROP」の文字部分より、「ファーストクロップ」の称呼が生じることはありません。識別力のない部分のみを捉えて称呼し取引することはあり得ないからです。この意味で、本願商標より「ファーストクロップ」の称呼が生じるとした審査官の判断は誤りであります。
(c-2) 次に、審査官は、2つの引用商標に関して、「FIRSTCROP」の文字部分より「ファーストクロップ」の称呼が生ずるとしております。しかしながら、前述したように、「FIRSTCROP」の文字は、単なる商品の品質・原材料表示にすぎないと考えますので、この部分から単独の「ファーストクロップ」の称呼は生じないものと思料します。然るに、第2引用例の欧文字のみからなる「FIRSTCROP」は、誤って登録されたものと思料しますし、また、第1引用例は、植物の図形部分があるからこそ識別力が認められ登録されたものと思料します。
 このように、両引用例に共通する「FIRSTCROP」の文字は、コーヒーなどの指定商品との関係にあって単に品質を表示するに過ぎない用語でありますので、商品識別のために、その「FIRSTCROP」の部分のみを捉えて称呼し取引することは無いものと思料します。識別力のない部分を称呼して取引しても、何の商品か把握できず、互いに識別できないからであります。それ故、「FIRSTCROP」の部分が共通するといっても本願商標と両引用商標とは商標的に類似するものではありません。両商標は互いに紛れることのない非類似の商標であります。
(c-3) そして、この「ファーストクロップ」「FIRSTCROP」の文字が品質をあらわす文字であることは、多数の使用例からも理解できます。即ち、たとえば、Yahoo!JAPANなどのインターネット検索エンジンで検索してみると、例えば、以下のような、品質・原材料表示としての使用が多くなされています。このことは、この「ファーストクロップ」を商標として用いても、需要者が何人かの業務に係る商品であるかを認識することが出来ない、即ち、自他商品識別標識として機能しない(識別力がない)ことを意味します。
 そして、この使用例としては、以下のようなものがあります。
(a)「…クリーミーな中ほのかな苦味も健在の本格カフェオレ風。飲んだ瞬間から口の中に広がるコーヒーの香りが良く飲みごたえがある。牛乳60%使用。ブラジルで収穫期最初に摘まれたファースト・クロップを厳選使用…」(飲物情報缶>飲み物データベース>ハ行)。…第1号証
(b)「プルカル購入に当たっては細心の注意を払い、ファーストクロップはシアトルズベストに渡し、2回目の良さそうな1ロットをおさえ、ガテマラの雨期前に出航手配した。…ガテマラは、古くからの優良農園……。長い取り引きの信頼関係がガテマラのコーヒー取り引きの歴史であり、…」(生豆の販売)…第2号証とか、
(c)「ファーストクロップ:初摘みの紅茶、清々しいこの季節に頂きたい紅茶です。」(ちょっとブレイク)。…第3号証
(d)「ブラジル手摘み完熟豆 WIND DRY …ブラジル手摘み完熟豆 WIND DRY(棚干し)フルシティロースト(やや深煎り)今回ご紹介するこの豆は、ブラジルのファーストクロップです。この農園の2003年一番摘みです。ワインで言えばボジョレーヌーボー…」(豆珈房)。
(e)「ブラジル2003年一番摘みのコーヒーが入荷しました。……ほんとに採れたてで、かなり青いので、今回深めに仕上げました。それでも、ファースト・クロップのフレッシュさがよく出ていますので、是非一度お試し下さいね。……」(豆珈房通信)。…第4号証
(f)「(コーンに関し)…02/03クロップでは同CONABの予想では37百万トンとなって増産体制ではあるが新穀(ファーストクロップ)が出回り始めるのは来年2月以降となる。…」「週明けまではセカンドクロップ・コーンの収穫、ファーストクロップ・コーン、大豆の作付けとも改善していく。」(トーメン穀物相場情報)。…第5号証
(g)「…をお楽しみください。4月初旬入荷予定です。ブルーマウンテンファーストクロップ(初摘みコーヒー)100g \1,680 …」 Copyright (C) 2004tsukashin. All right reserved.(グルメSHOPガイド)。
(h)「来ました、来ました。遂に今日!
待ち侘びてた『ファースト・クロップ』が届きましたよ!イェー!
・・・さっそく飲んでみようっ。・・・・・・・・・・・・苦い。
あれれ?香りも酸味も、フルーティなのに・・・何故に?
煎りの浅い豆と同じ甘酸っぱい味と、炭焼きみたいな微かな苦味がいっしょにあるって・・・なんか面白いなぁ(笑)。
ブレンドじゃあないよな、最初に甘味がきて、その後、後味がほろ苦い。やっぱり豆が新鮮だと違うもんなんだねぇ~。
『ファースト・クロップ』ってのは、その年最初にとれた完熟の豆を現地で精製して空輸でお届け、ってシロモンなんだけどね。
普通の豆とどう違う?と聞かれると困るくらいの微妙な違いだな、強いて云うなら値段が違うくらい(笑)。
…コーヒー大好きなんだ、私(笑)。」(雑貨のページ)…第6号証などであります。
 このように、コーヒー関係で「ファーストクロップ」と言えば、「収穫期に最初に摘まれたコーヒー豆」を意味し、商品の品質・原材料を表すものでありますので、この「ファーストクロップ」「FIRSTCROP」が、識別標識として機能するとは思えないと共に、そのような品質等を表示するにすぎない用語に独占権を認めるべきではないと考えます。
(c-4) そして、本出願人のキーコーヒー株式会社は、この「初摘みのトラジャ産コーヒー豆」を「トアルコトラジャ・ファーストクロップ(初摘み)」として、今から14年前の1991年頃より販売を開始して現在に至っており、その販売状況は、以下の通りであります。
「トアルコトラジャ・ファーストクロップ販売状況」
発売年  限定数    価 格  内容量   備 考
1991年豆 2,000セット 10,000円 500g×2  サダン織テーブルクロス付
1992年豆 2,000セット 10,000円 200g×2  オリジナルカップ付
1993年豆 2,000セット 10,000円 200g×2  オリジナルカップ付
1994年豆 2,000セット 8,000円 200g×2  オリジナルカップ付
1995年豆 2,500セット 10,000円 200g×2  オリジナルカップ付
1996年豆 2,500セット 10,000円 200g×2  オリジナルカップ付
1997年豆 2,500セット 10,000円 200g×2  オリジナルカップ付
1998年豆 3,000セット 8,000円 200g×2  ビロード袋入り
1999年豆 4,000セット 8,000円 200g×2  ビロード袋入り
2000年豆 5,000セット 8,000円 200g×2  ビロード袋入り
2001年豆 5,000セット 8,000円 200g×2  ビロード袋入り
2002年豆 4,000セット 8,000円 200g×2  ビロード袋入り
DO 5,000セット 6,000円 8g×10P×4
2003年豆 5,000セット 8,000円 200g×2  ビロード袋入り
DO 3,500セット 5,000円 8g×8P×4
2004年豆 5,000セット 8,000円 200g×2  ビロード袋入り
DO 3,500セット 5,000円 8g×8P×4
 然るに、本出願人は、「トアルコトラジャ・ファーストクロップ(初摘み)」の使用によって、需要者が引用商標の商品と間違えて購入してしまったとか、品質の誤認が生じたとか言うようなクレームは、今日に至るまでも全く受けておりませんし、引用商標の権利者からも、上記14年間の「ファーストクロップ」「FIRSTCROP」の使用に関して、何らのクレームも受けておりません。これは、「ファーストクロップ」「FIRSTCROP」が商品の品質・原材料表示にすぎず、自他商品識別標識としては機能していないことの、何よりの証左であります。
  【むすび】
以上のように、本願商標と引用商標とで共通する「FIRSTCROP」の部分は、「初摘み」ないし「初摘みのコーヒー豆」というような意味合いの言葉であって、指定商品との関係で識別力のない言葉であると思料しますし、本願商標と引用商標とは他の部分である商標の要部に共通するところはなく、むしろ全く異なったものでありますので、両者は十分に識別できるものと思料します。それ故、本願商標と引用商標とは非類似の商標であり、本願商標は商標法第4条第1項第11号に該当するものではないと考えます。よって、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しないものと思料しますので、請求の主旨の通り、原査定を取り消す、本願の商標は登録をすべきものである、との審決を求める次第であります。

------------------------------------(参考)ケース77の「審決」
不服2005- 3975
   商願2003-107347拒絶査定不服審判事件について、次のとおり
  審決する。
 結 論
   原査定を取り消す。
   本願商標は、登録すべきものとする。
 理 由
  1 本願商標
   本願商標は、別掲(1)のとおりの構成よりなり、第30類「トラジャ産のコーヒー」を指定商品として、平成15年12月3日に登録出願されたものである。
  2 引用商標
   原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、本願の拒絶理由に引用した登録商標は、以下の(1)及び(2)のとおりである。
  (1)登録第4199999号商標は、別掲(2)のとおりの構成よりなり、平成8年12月19日登録出願、第30類に属する「コーヒー及びココア,茶」を指定商品として、同10年10月16日設定登録されたものである。
  (2)登録第4207716号商標は、「FIRST CROP」の欧文字よりなり、平成8年12月19日登録出願、第30類に属する「コーヒー及びココア,茶」を指定商品として、同10年11月6日設定登録されたものである。
  (以下、(1)及び(2)を一括して、「引用商標」という。)
  3 当審の判断
   本願商標は、別掲(1)のとおりの構成よりなるところ、本願商標中の「FIRST CROP」(the first crop)の文字(語)は、「初物」の意味を有する英語である(「研究社 新和英大辞典」2120頁、株式会社研究社2003年7月発行)。そして、本願商標に係る指定商品を取り扱う業界において、「FIRSTCROP」の文字(語)及びその表音表記である「ファーストクロップ」の語が上記の意味を有する語として使用されている、以下の(1)ないし(3)の事実が認められる。
(1)「缶缶辞典」のウエブサイトの「パラダイスマウンテン100%コーヒー」の項(http://www.cancanziten.com/?can=1845)において、「FIRST CROP(ファーストクロップとは?) 収穫期の最初の一週間に摘まれた豆で、・・・(後略)・・・。」の記載がある。
(2)「飲物情報缶」のウエブサイトの「飲み物データーベース>ハ行」の項(http://drink.vis.ne.jp/nomimono_flame.htm)において「PASSOPRESSO 初摘みコーヒーカフェラッテ 甘みは標準・・・(中略)・・・「ブラジルで収穫期最初に摘まれたファースト・クロップを厳選使用・・・(後略)・・・」」の記載がある。
(3)「サンエバー株式会社」のウエブサイトの「RSW農園ブルーマウンテン・ファーストクロップ(初摘み)を毎年入荷」の項(http://www.sunever.co.jp/sunever/coffee.php)において「毎年、一番に収穫された初摘みのコーヒーは世界でもごくわずかなファンしか味わえない逸品です。」の記載がある。
   これらの事実よりすれば、本願商標中の「FIRST CROP」の文字の部分は、本願の指定商品との関係においては、その商品が「初物」であることを表示するにすぎないものというべきであるから、自他商品識別標識としての機能を有していないか、自他商品識別標識としての機能を有しているとしても、極めて弱いものであるというのが相当である。してみれば、本願商標からは、「ファーストクロップ」の称呼を生じないというべきである。したがって、本願商標から「ファーストクロップ」の称呼をも生ずるとし、そのうえで、本願商標と引用商標とが称呼上類似するものであるとして、本願商標は商標法第4条第1項第11号に該当するとした原査定は、取消しを免れない。
   その他、政令で定める期間内に本願について拒絶の理由を発見しない。
   よって、結論のとおり審決する
        平成18年 5月 8日
                 審判長  特許庁審判官 高野義三
                      特許庁審判官 井岡賢一
                      特許庁審判官 岡田美加
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