米国商標実務 最終拒絶理由通知への対応

米国商標のプロセキューションでは、審査官(examining attorney)との意見が合わずに、”This is a final action”と記載された最終拒絶理由(Final Office Action)が出されることもあります。審査官が新たな拒絶理由を第2若しくはそれ以降の拒絶理由通知で提示してきた場合には、先に提示された拒絶理由についても最終とされることはなく、出願の係属が維持されるべきとなっています。もし最終拒絶理由が出された場合では、原則的に次の3つの対応策があり(TEMP §715.01), その通知の発行日(issue date)から6か月の期間内での応答が求められます。

  1. 再検討要求(request for reconsideration)を提出[オフィシャルフィーは現在無料、但し2020.8から400USDに変更予定]
  2. 審判部への審判請求(filing a notice of appeal to TTAB)(see TMEP §§1501–1501.07)[Ex parte appeal, 200 USD per class}
  3. 商標規則2.146に従う長官への請願(petition to the Director)[FC7005: 100 USD]

再検討要求(request for reconsideration)

最終拒絶理由に対する最も簡単な応答は、概ね審査官の意見に賛同する形での再検討要求の提出になります。再検討要求を提出する場合には、TEASの”Request for Reconsideration after Final Action”のページを立ち上げて応答をします。再検討要求を提出する場合には、原則的には全ての拒絶理由を解消する場合に限られます。再検討要求をしながら並行(concurrently)して審判部(TTAB)への審判請求や長官への請願をすることもでき、再検討要求と共に審判請求がなされた場合には、審判部は審判請求を認定し、審判についての答弁書などの提出期限のような手続を停止し、再検討要求による審査のために審査官に出願を差し戻します(TMEP §715.04; TBMP §1204)。再検討要求をしても審判部への審判請求のための期間は延長にはならないとの規定があります。また、再検討要求を提出しても全ての拒絶理由の解消とはならない場合、審判請求をする場合を除いて、出願を放棄するものとなります(37 C.F.R. §2.63(b)(4))。これら以外にも補正より出願の拒絶が解消される場合には、審査官は職権での訂正を認めることもできます(TMEP §715.02)。
もし識別性がないという理由で最終拒絶理由が出された場合に、補助登録への変更することは最終拒絶に対する適切な対応とされています。指定商品や指定役務の記載についての最終拒絶理由が出されている場合には、許容される指定商品や指定役務の記載が示唆されていることが多く、この場合には、示唆される補正を再検討要求の中で行えば拒絶理由を解消して、公告決定を得ることができます。

審判部への審判請求(Ex parte appeals to TTAB)

最終拒絶理由で示された審査官の考え方に反論する場合には、審判部への審判請求の通知を提出します(37 C.F.R. § 2.141)。審判部への審判請求は、最終拒絶理由通知の発行日から6か月の期間内に費用(200USD per class)を伴って請求することができます。期限内に審判請求をすることができなかった場合には、長官への請願により回復させた場合を除き、審判部も救済できないことになっています。出願人は、審判請求の通知の提出の後、60日以内に審判請求書(Appeal Brief)を提出します。複数区分の出願についての審判請求をする場合、もし審判請求費用が全区分の費用よりも少ない場合には、出願人はどの区分についての費用かを述べる必要があります。もし出願人が費用の割り当てについて述べていない場合には、審判部は期限を設けて出願人が残りを全て払うか審判請求にかかる区分を示すかを聞き、期限内に区分の特定ができない場合には、最も小さな番号の区分から審判請求料を充当します。再検討要求をしながら並行(concurrently)して審判部への審判請求もできるため、区分ごとに審判請求で審査の意見に反論しながら、再検討要求で一部の区分の審査官の意見への賛同をして権利化も進めることができます。再検討要求を提出しても全ての拒絶理由の解消とはならない場合、結果として出願を放棄することになるため、出願を維持するために審判請求をすることが必要になる場合もあります。出願人が審判主請求書(applicant’s main appeal brief)が提出された後、審判部は審査官に答弁書(examining attorney’s brief)を提出することになります。審判請求をしながら同時に出願の補正をする場合には、審判請求の通知の提出と共に補正書を提出する必要があります(TBMP §1205)。出願の記録については、審判請求前に終了するものとされ、審判請求の通知の後には証拠の提出はできないものとされています。しかし、審判請求後に、出願人若しくは審査官が証拠を導入したいと望む場合には、その要求を審判部に行って審判を停止させ、出願を審査に差し戻すことができます(filing of a request for suspension of an appeal and remand filed together with a request for reconsideration. USPTO currently proposes a new fee of $400 beginning 2020.8) 。また、審判手続において、以前に挙げられていなかった争点により商標を登録できないと審判部が思う場合、審判部は審判を停止してその争点について審査官に審査させることができます。査定系審判の審決では、審判部は審査官の決定を検討し、それが正しく決定されたかを決定し、その論理について正しいかを決める必要はないとされています。審決についての再審、再検討、変更についての要求は、審決の日から1ヶ月以内に提出する必要があり、審判部は十分な理由があればその期間を延長できます。審決に不服の場合は、連邦巡回控訴裁判所(United States Court of Appeals for the Federal Circuit)に提訴することができます。

長官への請願(petition to the Director)

米国特許商標庁の行政処分によって損害が生じたと思う出願人や当事者は、米国特許商標庁長官に対して請願を行って救済を求めることができます。この請願(petition)制度は、様々な類型のもの(TMEP §1703 Specific Types of Petitions)がありますが、その1つとして最終拒絶理由が出された後の請願(37 C.F.R. §2.63(b)(2))もあります。規則37 C.F.R. §2.63(b)(2)のもとでは、実質的な拒絶理由がなく必須要件の実質は手続的なものであるために、請願が適する場合に、請願が許されるとされています。請願は救済が求められる行政処分の発行日から2か月以内に提出する必要があります。