商標法上の鑑定制度

鑑定制度

商標の分野で、一般に鑑定と言うと専門家である弁理士・弁護士が行う商標権の効力等についての法的見解を述べたものを指すと思いますが、これとは別に特許庁が裁判所からの嘱託に応じて見解を述べることも鑑定と呼ばれています(商標法第28条の2)。この特許庁が行う鑑定も商標権の効力についてですので、その審理や結論は判定と同じものとなります。また、裁判所から特許庁に鑑定の嘱託があったときは、審判長が事務を総理するところの、三名の審判官による合議体が鑑定をすると規定されています。

鑑定制度 biz12 実際には鑑定は、裁判の立証過程で当事者の申立てにより、裁判所が必要と認めた場合に、特許庁に対して嘱託されるものであり、鑑定料については、判定の料金(40,000円/1件)と同様と設定されています。民事訴訟法第218条では、裁判所は、必要があると認めるときは、官庁若しくは公署、外国の官庁若しくは公署又は­相当の設備を有する法人に鑑定を嘱託することができる、と規定しており、商標法上もこれに類する規定を設けたものと思いますし、商標権の効力についても鑑定により早期決着や早期和解などもその可能性が増すものと思われます。

商標法第28条の2
商標法
第二十八条の二  特許庁長官は、裁判所から商標権の効力について鑑定の嘱託があつたときは、三名の審判官を指定して、その鑑定をさせなければならない。
2 特許法第七十一条の二第二項 の規定は、前項の鑑定の嘱託に準用する。

特許法
第71条の2
2 第136条第1項及び第2項、第137条第2項並びに第138条の規定は、前項の鑑定の嘱託に準用する。
(審判の合議制)
第136条 審判は、3人又は5人の審判官の合議体が行う。
2 前項の合議体の合議は、過半数により決する。
3 審判官の資格は、政令で定める。
(審判官の指定)
第137条 特許庁長官は、各審判事件(第162条の規定により審査官がその請求を審査する審判事件にあつては、第164条第3項の規定による報告があつたものに限る。)について前条第1項の合議体を構成すべき審判官を指定しなければならない。
2 特許庁長官は、前項の規定により指定した審判官のうち審判に関与することに故障がある者があるときは、その指定を解いて他の審判官をもつてこれを補充しなければならない。
(審判長)
第138条 特許庁長官は、前条第1項の規定により指定した審判官のうち一人を審判長として指定しなければならない。
2 審判長は、その審判事件に関する事務を総理する。

鑑定の嘱託
不使用取消審判(商標法第50条)の解説† -手続全般や証拠の挙げ方を説明
The patent office’s statement of opinion in response to a request from the court is also called an expert opinion.

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