判定制度

判定制度は、商標法では商標権の効力について特許庁の公式な意見を求める制度です。判定の結論は、法的な拘束力を持つものではありませんが、専門的な行政庁が下す中立的な意見ですので、差止など係争事件またはその手前などの段階で、社会的に見て十分尊重され権威ある判断の一つとして利用されています。

1.判定の請求対象

商標権の場合は、“被請求人が商品(役務)〇〇について使用するイ号標章は商標登録第n号の商標権の効力の範囲に属する(属しない)、との判定を求める。” が判定請求の趣旨となります。イ号標章とその商標的使用は、侵害事件と同様に事実として特定して判定請求書内で説明する必要があります。「イ号」とは、判定請求において、相手方が現に使用し、又は使用していたもの、及び権利者が相手方なしで請求する場合に、自己の権利のものと対応比較させるものを慣行として表示する符号になります。

2.判定の請求人

特に商標法28条では、請求主体について規定されておらず、法律上の利害関係は必要なしとされています。判定を求める必要性については簡単に説明するものとされています。
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3.判定の請求時期

判定の請求は、商標権の設定登録後から可能となります。また、権利消滅後であっても、権利期間中の侵害の事実を争うようなこともありますので、権利消滅後であっても判定請求をすることが可能です。

4.当事者対立構造

判定の請求には、イ号標章とその商標的使用を行う者を被請求人として記載して、司法的な当事者対立構造をとるようにしています。被請求人には答弁書を提出する機会が与えられます。

5.判定請求書の記載

イ号標章の説明

イ号標章について、その態様、使用商品、商品又は商品の包装に標章を付する行為等の使用態様、使用期間、使用地域等、証拠を用いながら詳細に説明しま
す。なお、事案によっては、登録商標とイ号標章との類否判断のため、登録商標の使用状況の説明を必要とする場合があります。

イ号標章が商標権の効力の範囲に属する(属さない)との説明

登録商標とイ号標章とを対比させ、外観・称呼・観念の判断要素等により、その類否について説明します。また、指定商品(役務)とイ号標章の使用商品(役務)との類否についても説明します。

6.審理

判定の請求があると、特許庁長官が指定した3名の審判官が判定を行います。非公開で書面審理が原則であり、審理が最速では3か月というように短くすることも可能です。

7.判定の利用形態

  • 侵害事件で、相手に警告する際の資料
  • 警告を受けた際に、反論するための資料
  • 侵害訴訟において、侵害または非侵害を主張するための資料
  • 税関への侵害品の輸入を差し止めを申し立てる際に、申立書に添付する資料
  • 警察への告訴の根拠となる資料
  • ライセンス交渉、実施契約、権利譲渡契約交渉での資料
  • 仲裁機関へ依頼する際の参考資料
  • 権利濫用、独占禁止法違反等の主張の証拠方法
  • 仮処分申請された場合の裁判所への意見主張の機会を得るための上申理由根拠

8.判定の請求費用

判定の請求費用は一件につき4万円とされています。代理人による場合は通常代理人費用もかかります。

9.判定の効力

先にも触れましたが、判定には法的な拘束力がないため、直接的な不服申し立て手続はなく、もし不服の場合には、改めて裁判を起こすことも可能です。また、判定結果は、審決公報に全文掲載されます。