分割出願・変更出願・補正却下に基づく新出願

分割出願・変更出願・補正却下に基づく新出願は、元の出願を一部を利用しながら出願の形態を変える手続になりますが、先願主義のなか、共通して遡及効が認められるという利点があります。

1.分割出願

分割出願の対象

商品・役務を分けること、すなわち、二以上の商品又は役務を指定商品又は指定役務とする商標登録出願の一部を一又は二以上の新たな商標登録出願を分割出願といいます。なお、標章自体の方は分割できず、例えば2段書きを分けるようにすることはできません。

分割できる期間

商標登録出願が審査、審判若しくは再審に係属している場合又は商標登録出願についての拒絶をすべき旨の審決に対する訴えが裁判所に係属している場合に限ります。査定又は審決が確定するまではないので、係属中の状態から査定、審決、判決が出されるまでとなります。

分割の利用・効果

新たな分割の商標登録出願は、遡及効があり、もとの商標登録出願の時にしたものとみなされます。また原出願はその指定商品又は指定役務から、分割出願に係る指定商品又は指定役務を削除する補正が必要となります。分割は、審査において一部の商品が他人の登録商標と競合すると判断されている時に、競合していると判断された出願と競合がない出願に分割して、競合がないものだけでも先に登録させ、、競合していると判断された出願については反論、不使用取消、交渉などを進めるような方針で採用されます。また、出願中に一部譲渡という場合にも利用されます。

2.変更出願

変更出願の対象

商標法上で規定によれば、通常の商標登録出願、団体商標の商標登録出願、地域団体商標の商標登録出願、防護標章の商標登録出願の間で相互にその出願の形態を変えることができます。なお、特許、実用新案、意匠の間の変更のように工業所有権法の各法域を超えるものではなく、商標法の枠内だけの話です。

変更できる期間

商標登録出願の変更は、商標登録出願について査定又は審決が確定した後は、することができないとされています。なお、代理人による場合は、変更出願に際しては代理権の証明が必要となります。

変更の利用・効果

変更にかかる商標登録出願の出願時が原出願の出願時に遡及します。商標登録出願の変更があつたときは、また、もとの商標登録出願は、取り下げたものとみなされます。

3.補正却下に基づく新出願

補正却下に基づく新出願の対象

商標登録出願に対して補正を行い、その補正が要旨を変更するものとして却下された商標登録出願を対象とします。補正が要旨を変更する場合とは、指定商品・役務に類似の商品・役務を追加することや、指定商品・役務を類似の商品・役務に変更することも要旨の変更となります。また全体に影響のない些細な部分の削除を除き、標章自体を変更をすることも要旨の変更となります。

補正却下に基づく新出願をすることができる期間

補正却下の決定の謄本の送達があつた日から三月以内に審判を請求することができ、その期間内では却下された内容について新たな商標登録出願とすることができます。

補正却下に基づく新出願の利用・効果

補正却下に基づく新出願は、遡及効があり、却下となった手続補正書を提出したときに出願されたものとみなされます。また、もとの商標登録出願は取り下げたものとみなされます。

4.国際登録出願の分割・変更

国際登録出願は出願分割することはできず、出願変更することもできません。商標法68条の12(出願の分割の特例)国際商標登録出願については、第十条の規定は、適用しない。商標法68条の13(出願の変更の特例)国際商標登録出願については、第十一条及び第六十五条の規定は、適用しない。また、国際登録においては、同一名義人のまま当該国際登録の対象である商品又は役務を2以上に分割することができないとされています。逆に言えば、名義人が異なれば移転分割も可能です。商標法68条の17(国際登録の名義人の変更に伴う国際商標登録出願の取扱い)国際登録の名義人の変更により国際登録において指定された商品又は役務の全部又は一部が分割して移転されたときは、国際商標登録出願は、変更後の名義人についてのそれぞれの商標登録出願になつたものとみなす。

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