商標登録+α: 拒絶理由通知に対する意見書記載例#31

意見書例 +α

特許庁審査官等から受けた拒絶理由通知等に対し、反論した「意見書、審判請求書」の具体例を小川特許商標事務所のサイトから転載しております。

本願商標:「内面美容」

1.審判番号  平成11年審判第6437号(商願平8-67398号)
2.商  標  「内面美容」
3.商品区分  第32類:清涼飲料,果実飲料,飲料用野菜ジュース等
4.適用条文 商標法第3条第1項第6号
5.拒絶理由  「内面美容食品」「内面美容の一環として健康食品~」等の文章が新聞記事にあり。商品の品質、特徴等を簡潔に表す宣伝文句と理解されるに過ぎない。
6.審判における反論(請求の理由)

出願商標
tmr4525460

Ⅰ.審判請求書
(1)手続の経緯
 出     願 平成 8年 6月19日
 拒絶理由の通知  平成10年10月30日(起案日:平成10年10月14日)
(第1回目) *根拠条文:商標法第3条第1項第6号。
*理由:全体として「体の内側(体内)から美しくする」
          程の意味合いを認識させるものであるから、
          商品の品質、特徴等を簡潔に表す宣伝文句にすぎない。
意  見  書  平成10年11月13日
 拒絶理由の通知 平成11年 1月22日(起案日:平成10年12月24日)
(第2回目) *根拠条文:商標法第4条第1項第11号。
*理由:本願は、登録第3364315号「明力」と類似する。
意  見  書  平成11年 1月29日
 拒 絶 査 定 平成11年 3月17日
*平成10年10月14日付で通知した理由(第1回目理由)
同 謄 本 送 達  平成11年 4月 9日

(2)拒絶査定の理由の要点
原査定の拒絶理由は、「本願は、平成10年10月14日付けで通知した理由(第1回目の拒絶理由)によって、拒絶をすべきものと認める。なお、出願人は意見書において種々述べているが、さきの認定を覆すに足りないというものであり、具体的には、本願商標は、「内面美容」の文字を表してなるところ、その指定商品を取り扱う食品業界では、消費者の健康志向より「健康・美容と銘打って商品の宣伝活動を活発に行っていること、かつ「内面美容食品」「内面美容の一環として健康食品~」等の文章が新聞記事(化学工業日報社)に掲載されていることより、全体として「体の内側(体内)から美しくする」ほどの意味合いを認識させるものであるから、これをその指定商品に使用しても需用者・取引者は、該商品の品質、特徴等を簡潔に表す宣伝文句と理解するにすぎず、何人かの業務に係る商品であるかを認識することはできない商標と認める。よって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当するというものである。
(3)本願商標が登録されるべき理由
然るに、本出願人は、前記第1回目の拒絶理由に対しては、平成10年12月9日付けで意見書を提出し、飲料業界の実情や他の登録例等を示しながら、本願商標は拒絶理由には該当しないことを主張したところ、その後、平成11年1月22日(起案日:平成10年12月24日)付けで別の理由に基づく第2回目の拒絶理由通知を発してきたので(この第2回目の拒絶理由は、登録第3364315号の「明力」という商標と類似するとの認定であり、商標法第4条第1項第11号を根拠条文としていたが、これに対しては、類似しない旨の主張を平成11年1月29日付けの意見書で行っている)、第1回目の拒絶理由はクリアーしたものと思っていたところ、今般、この第1回目の拒絶理由に基づいて拒絶査定を行ってきたことに対しては釈然としないものがある。
 そこで、ここに審判を請求し、再度のご審理を願う次第である。
1.本願商標の構成
 本願商標は、願書に添付した商標見本から明らかなように、漢字で一連に「内面美容」と書した態様からなるものであり、且つ指定商品を第32類の「清涼飲料,果実飲料,飲料用野菜ジュース,乳清飲料」とするものである。
2.審査官の認定に対する反論
(a) 然るに本願商標の「内面美容」は、その言葉全体から受ける印象として、審査官も第1回目の拒絶理由通知書で指摘するように、全体として「体の内側(体内)から美しくする」程の意味合いを暗示させるものであることを否定するものではないが、そして、その言葉が化学工業日報社の新聞に掲載されていた事実があったと言うことを積極的に否定するものではないが(実際のところは、新聞の日付等が提示されておらず、不知である)、それはたまたま掲載されていただけのことであろう。
 そして仮に、そのような宣伝活動(掲載)の事実があったとしても、ジュース類を取り扱う飲料業界において「内面美容」の言葉が頻繁に使用され、しかも「内面美容」がそのような意味合いの言葉として飲料業界において確立されたものとなっていると言う事実はない。従って、ジュース類に「内面美容」と付してその商品を販売したからと言って、その商品が直ちに、内面から美しくなるといった品質・効能・特徴等を有するジュース類であるなどと、取引者・需用者が認識するものではなく、商標的使用態様で「内面美容」を使用すれば、あくまで「内面美容」ブランドの商品であると認識するに止まるものと思料する。
(b) 本出願人は先の意見書でも述べたように、飲食品分野において、「深層美容」の言葉を商標として出願したが(第29類、第30類、第32類)、これらの商標は全て、登録第4002143号(第29類)、同第3360540号(第30類)、同第3362730号(第32類)として登録されている(第1号証乃至第3号証の商標公報参照)。即ち、「深層美容」ブランドの乳製品や茶や菓子やパンやジュースなどが存在している訳である。「深層美容」は「人体の深い層、奥深く隠された部分から美しくする」程の意味合いを有するであろうから、「内面美容」(体の内側(体内)から美しくする)と同様な趣旨の言葉と理解することができる。然るに、同様な趣旨の言葉である「深層美容」が登録できて「内面美容」が登録できないとするいわれはないと考える。
(c) しかも本出願人は、美しさをまさに追求すべき、第42類「美容,理容」の役務分野においてすら、「深層美容」は勿論(第4066969号:第4号証参照)、本願商標と同じ「内面美容」の商標を既に登録しているのである(第4136347号:第5号証参照)。このことは、「深層美容」と同様に、「内面美容」の言葉も、未だ一般的に認知され、確立されている言葉とは言えないとの証左ではないかと思料する。そうだとすれば、飲料の分野においても、美容・理容分野の「内面美容」と同様に、その登録を認めて不都合はないはずである。このように、「内面美容」の商標は、第42類の美容,理容の分野では既に登録されている(第4136347号:第5号証参照)。
 然るに、この第32類の分野において拒絶されるいわれはない。審査官も、第1回目の拒絶理由通知書に対する意見書で納得して頂いたからこそ、別の理由に基づく第2回目の拒絶理由通知を発してきたのではないかと思料するが、一度納得したと思われるものをどういう心境の変化か、拒絶査定の理由に掲げてきたことには納得できないものがある。第2回目の理由で拒絶査定ということであればまだしも、第1回目の理由に戻り拒絶査定というのでは、その間に費やした時間はいったい何であったのか。しかも、第2回目の拒絶理由通知書の引例が成る程と思えるような引例であればまだしも、まるで類似しているとは思われない「明力」という商標を引例に引いてきて、その後にその理由とは全く関係のない第1回目の理由を拒絶査定で挙げてくるというのは、如何なものか。これでは単に余分な時間を費やしていたというにすぎないのではないか。商標の審査は査定時判断であることを考えると、この余分な時間は出願人にとって不利に作用せざるを得ない。殊に、今回のような商標法第3条第1項各号関係を拒絶理由として挙げられたような場合には、時間が経てば経つほど、本出願人が商標として選定し且つ使用している「内面美容」の商標が世に出る機会が多くなり、それを他人が使い出すケースも増えてくる。そして、それを審査官が目に留めるケースも増えてくるであろう。それ故、一定の偏見をもってそれを見られたのでは、本出願人にますます不利とならざるをえない。第1回目の拒絶理由を出して意見書を受け取ってから、その後第2回目の拒絶理由を発して今回の拒絶査定を出すまでの時間は、一旦生まれた偏見をまた持ち出すに十分な時間である。審査官の審査遅延(本願商標は出願してから既に3年近くになろうとする。しかも第2回目の拒絶理由はまるで理由になっていない。)が原因であるにもかかわらず、本出願人が段々不利になっていくというのでは、どうも納得でないものがある。
(d) なお、本出願人は「内面美容」の商標を、第42類の他に、第3類:せっけん類,化粧品等(第4136346号)、第10類:医療用機械器具等(第4086204号)、第11類:美容引用・理髪店用機械器具(第4108498号)、第16類:雑誌,新聞(第4133687号)、第25類:被服,ベルト,履物等(第4086205号)においても、既に登録を受けているので、これらの登録公報を第6号証乃至第10号証として添付しておく。
(4)むすび
 以上のように、本願商標の「内面美容」は、第42類の美容・理容分野で既に登録されているので、本願の第32類でも十分に自他商品識別機能を発揮し得る商標であるとして登録されるべきものと思料する。
Ⅱ.審判請求理由補充書(請求の理由)
先の平成11年6月16日付本件「審判請求書」において、本願商標と同一の「内面美容」の商標は、第42類、第3類、第10類、第11類、第16類、第25類の商品役務分野において、既に登録されている旨申し述べましたが、その後、第29類の飲食品分野(加工水産物,加工野菜及び加工果実,乳製品,食用たんぱく)においても、別紙第11号証の平成11年審判第2842号「審決」、及び第12号証の「商標登録証」に示すように、第4370047号として商標登録がなされております。
 それ故、この第29類とほぼ同様な商品分野である、本願の第30類「コーヒー及びココア,茶,調味料,香辛料,食用香料(精油のものを除く。),食用粉類,食用グルテン,穀物の加工品,ミートパイ,ラビオリ,菓子及びパン,即席菓子のもと,アイスクリームのもと,シャーベットのもと,アーモンドペースト,イーストパウダー,こうじ,酵母,ベーキングパウダー,氷,酒かす」等の飲食品分野においても、この第29類と同様に、商標登録されてしかるべきものと思料します。
 よって、速やかに「原査定を取り消す。本願商標は登録すべきものとする。」とのご審決を賜りますようお願い申し上げます。
Ⅲ.審決(当審の判断)
本願商標は、「内面美容」の文字を横書きしてなるところ、これより原査定がいうように、「体の内側(体内)から美しくする」という意味合いを看取する場合があるとしても、指定商品に関し、その効能、品質等を具体的かつ直接的に表示するものとも言い難いものである。そうとすれば、本願商標は、一種の造語よりなる商標というのが相当である。また、当審において職権をもって調査するも、該文字が、指定商品を取り扱う業界において、商品の効能、品質等を表示するものとして普通に使用されている事実は発見することができなかった。してみれば、本願商標は、これをその指定商品について使用しても、自他商品識別標識としての機能を十分に果たすものであり、需用者が何人かの業務に係るものであるかを認識することができないものとすることはできない。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当するものではない。

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