商標登録+α: 拒絶理由通知に対する意見書記載例#100

特許庁審査官等から受けた拒絶理由通知等に対し、反論した「意見書、審判請求書」の具体例を小川特許商標事務所のサイトから転載しております。

本願商標:「SPARK」 × 引用商標:「SPARK」「スパーク」ほか

1.出願番号  商願2012-52574(拒絶査定に対する審判事件)( 不服2013-24319)
2.商  標  「SPARK」
3.商品区分  第35類:被服の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供ほか
4.適用条文 商標法第4条第1項第11号
5.拒絶理由  「SPARK」は「SPARK」や「スパーク」に類似する。

出願商標・商標登録第5667405号
出願商標・商標登録第5667405号
引用商標1・商標登録第1062657号
引用商標1・商標登録第1062657号
引用商標2・商標登録第2523788号
引用商標2・商標登録第2523788号
引用商標3・商標登録第4767980号
引用商標3・商標登録第4767980号
引用商標4・商標登録第4838581号
引用商標4・商標登録第4838581号
引用商標5・商標登録第5201389号
引用商標5・商標登録第5201389号
引用商標6・商標登録第5211706号
引用商標6・商標登録第5211706号

審判における反論(請求の理由)

  【手続の経緯】
  出     願   平成24年 6月29日
  拒絶理由の通知   平成24年11月27日
   同 発送日   平成24年11月28日
  意  見  書 平成24年12月27日
  手 続 補 正 書 平成24年12月27日
  拒 絶 査 定 平成25年10月 3日
   同 謄本送達   平成25年10月 4日
  【拒絶査定の要点】
原査定の拒絶の理由は、「この商標登録出願に係る商標については、平成24年11月27日付けで通知した理由2が解消されていないため、商標登録をすることができない」というものであり、審査官は、なお書きで、下記のように述べています。
 記
『 なお、出願人は、平成24年12月27日付の補正書において、指定役務を補正し、同日付意見書において、本願商標は筆記体の「S」の文字をデザイン化して幾重かに重ね合わせ丸味を帯びさせた語頭部分に特徴を有するもので、これ自体素直に「S」と読めるかどうか定かでないほどにデザイン化されており、その文字の後に「PARK」の文字を配して特殊な態様からなるため、商標全体からは格別の観念を生じない旨述べていますが、本願商標は、図案化されてはいるものの、最近の商業広告等では、文字の一部を図案化する手法が用いられていることを考慮しますと、本願商標における図案化した部分は、その形、大きさ、前後の文字とのバランスからみれば、容易に「S」の欧文字を図案化したものと看取されることから、全体として「SPARK」の欧文字を書したものと認識されますので、該文字に相応して「スパーク」の称呼及び「火花、火の粉」(小学館ランダムハウス英和大辞典第2版)の観念が生じるというのが相当です。
 他方、先の拒絶理由通知書に引用した引用NO1ないし7の各商標(以下「引用各商標」という。)の商標権は現在有効に存続しているものであり、引用NO1・登録第1062657号、引用NO2・登録第2523788号、引用NO3・登録第4767980号、引用NO6・登録第5211706号及び引用NO7・登録第5508064号は、「SPARK」の欧文字と「スパーク」の片仮名文字を書してなり、引用NO4・登録第4838581号は、「スパーク」の片仮名文字を書してなり、引用NO5・登録第5201389号は、図形と「スパーク」の仮名文字の組み合わせからなるところ、それぞれの構成文字に相応して「スパーク」の称呼及び「火花、火の粉」の観念を生じるものです。そうとすれば、本願商標と引用各商標は、外観において相違するとしても、「スパーク」の称呼及び「火花、火の粉」の観念を共通にする互いに紛れやすい類似の商標であり、また、本願指定役務中には引用各商標と類似の商品・役務が含まれているものです。したがって、さきの認定を覆すことはできません。』
  【本願商標が登録されるべき理由】
然るに、本出願人は、先の意見書において、本願商標は、引用商標と外観上の差異が大きく、現実の取引市場において出所の混同を生じた事実もなく、十分に識別可能な非類似の商標である旨、過去の審決例等を交えて説明したにもかかわらず、今般、このような認定をされたことに対しては納得できないところがあり、ここに審判を請求し再度の御審理を願う次第であります。
 (a)本願商標の構成
本願商標は、願書の商標登録を受けようとする商標に表示したとおり、筆記体の「S」の文字を図案化して幾重かに重ね合わせ丸味を帯びさせた語頭部分と、その後に続く「PARK」の文字からなり、更に「PARK」の後に「輝き」とか「きらめき」をイメージした赤色の星形図形を配置し、更にはこれらを下線で結んで一体とした構成を有するものであります。
 (b)引用商標の構成
一方、先の拒絶査定(拒絶理由通知)で引用された引用商標は、以下のもので、全て「スパーク」の称呼及び「火花、火の粉」の観念を有するものであります(引用商標1~7)。
  1  登録第1062657号(商公昭48-023739)「SPARK/スパーク」
  2  登録第2523788号(商公昭63-107121)「SPARK/スパーク」
  3  登録第4767980号(商願2003-059702)「スパーク/SPARK」
  4  登録第4838581号(商願2003-106397)「スパーク」
  5  登録第5201389号(商願2007-061621)「図形+スパーク」35類
  6  登録第5211706号(商願2008-008920)「スパーク/SPARK」
  7  登録第5508064号(商願2012-010805)「SPARK/スパーク」
 (c)審査官の認定に対する反論
 (c-1) 審査官殿は、本願商標の上記構成態様から、『本願商標は、図案化されてはいるものの、最近の商業広告等では、文字の一部を図案化する手法が用いられていることを考慮すると、本願商標における図案化した部分は、その形、大きさ、前後の文字とのバランスからみれば、容易に「S」の欧文字を図案化したものと看取されることから、全体として「SPARK」の欧文字を書したものと認識されるので、該文字に相応して「スパーク」の称呼及び「火花、火の粉」(小学館ランダムハウス英和大辞典第2版)の観念が生じるというのが相当』と認定しております。
 そして、『本願商標と引用各商標は、外観において相違するとしても、「スパーク」の称呼及び「火花、火の粉」の観念を共通にする互いに紛れやすい類似の商標であり、また、本願指定役務中には引用各商標と類似の商品・役務が含まれている』として、本願商標は商標法4条1項11号に該当するとしております。
 (c-2) しかしながら、本願商標の語頭部分がたとえ「S」を図案化したものと看取されたとしても、その語頭部分は非常に特徴的で目立つ態様であり、必ずしも形、大きさ、前後の文字とのバランスが取れているとは言えず、誰しもが素直に「SPARK」の単語と認識して「スパーク」と称呼するとは言えないと思料します。それでも、一歩譲って、審査官殿の指摘されるように、たとえ本願商標から「スパーク」の称呼及び「火花、火の粉」の観念が生じたとしても、特徴的な外観を有する本願商標と、同書、同大、同間隔に配置して何ら特徴を持たない引用商標とは、外観上の印象が全く異なり、現実の取引市場においては出所の混同を生じるおそれはなく、十分に識別可能な非類似の商標であると考えます。
 (c-3) そしてまた、取引の実情を考えるならば、本願商標は、ここ数年来、Web上の仮想店舗(ネットショップ)として公開しており、そのようなネットショップとしての使用を今後も予定しておりますが、この本出願人のネットショップに対し、いまだかつて引用各商標の「SPARK」「スパーク」と誤認したとの苦情案件は発生しておりません。本出願人は、URLサイト「http://www.s-spark.jp/category/32.html」をご覧頂ければ分かるとおり、種々雑多な商品をネット販売しており、ここには、引用商標の指定商品と同種の商品も多数含まれておりますが、いまだかつて引用商標の関係者と紛れたというような苦情は受けておりません。ネット販売の仮想店舗名(ネットショップ名)はきわめて視覚重視です。視覚で認識することによって、そのURLサイトを所望のサイトと認識し、取引を開始します。第35類のように、商品の小売等役務を指定する場合の商標の使用態様は、ネット上であれば仮想店舗(ネットショップ)の目印として、通常の実在する店舗であればその店舗看板の目印として、「商標」が使用されます。そして、特に、ネット上では、言語ではなく、ホームページにアクセスする「視覚」による認識によって、取引が開始されます。つまり、需要者は、小売り等役務に関する商標においては、Web上の仮想店舗名(ネットショップ名)として、あるいは実際の店舗看板として、そこに掲載ないし展示された店舗を、相当の注意力を持って、まずは視覚で認識し、所望のショップであるかどうかを確認します。
 (c-4) そして、ネット販売における品揃えのための店舗名として、本願商標を用いている視覚重視の取引実情を考慮しますと、本願商標の類否判断における「外観」の占める割合は非常に大きく、称呼・観念の比ではないと考えます。ネットショップなどにおいては、需用者層も商標の外観に注目し、所望のURLサイトに間違いないかを見極めた上で、取引を開始するという実情にあります。つまり、本出願人が現に実行しているネット販売などは、外観観察にウエイトを置いて取引を開始するのが常であり、それ故に本願商標の類否判断においては、指定役務との関係で、より一層外観観察にウエイトを置いて観察すべきものであります。かかる状況において、本願商標は、類否判断で大きな要素を占める外観において、引用商標とは大きく異なるデザインが語頭(Sのデザイン化)や語尾部分(赤いきらめきをあらわす星図形)に施され、しかも語頭部分「S」のデザイン文字と語尾に付けられた赤くきらめく星が極めて特徴的であって下線で結ばれ、その印象はすこぶる強く、全体的に引用商標1~7とは全く違った印象を取引者・需要者に与えております。それ故、本案商標は、仮に引用商標と称呼・観念において共通する面があったとしても、それが外観における差異を凌駕するほどの状況にはなく、両者は互いに紛れることのない非類似の商標であると考える次第です。
 (c-5) ところで、今般審査官殿が引用された引用商標3と5の関係を見ますと、引用商標3は、登録第4767980号(商願2003-059702)「スパーク/SPARK」(24,25類:類似群17A01と19A05を含む:日清紡テキスタイル株式会社)であり、引用商標5は、その後願に係る登録第5201389号(商願2007-061621)「図形+スパーク」(35類:類似群17A01と19A05を含む:株式会社スパーク)でありますが、これら二つの商標は、外観相違、称呼・観念同一という商標(類似群も共通性あり)ですが、両者は別法人によってそれぞれ登録されております。審査官殿のような考え方に従えば、このような関係にある2つの商標は並存登録されなかったはずであり、後願に係る引用商標5「図形+スパーク」は、先願に係る引用商標3「スパーク/SPARK」の存在により拒絶されてしかるべきですが、現実には並存登録されております。これは、「スパーク」の称呼及び「火花、火の粉」の観念が生じたとしても、「スパーク」の文字の他に特徴的な外観図形部分を有する引用商標5「図形+スパーク」と、同書、同大、同間隔に配置して何ら特徴を持たない二段構成の引用商標3「スパーク/SPARK」とでは、外観印象が全く異なり、現実の取引市場においては出所の混同を生じるおそれはなく、十分に識別可能な非類似の商標であると判断されたからに他ならないと考えます。本願商標とてこれと同様であります。このような並存登録が許されている現状を踏まえるならば、本願商標とて登録されてしかるべきであります。本願商標からたとえ「スパーク」の称呼及び「火花、火の粉」の観念が生じたとしても、特徴的な外観(語頭のSのデザイン文字と、語尾に付けられた赤くきらめく星図形と、これらを結ぶ下線とを備えた外観)を有する本願商標と、同書、同大、同間隔に文字部分が配置された引用商標1~7とでは、外観印象が全く異なり、外観を重視するネットショップ等現実の取引市場においては出所の混同を生じるおそれはなく、十分に識別可能な非類似の商標であると考えます。
  【むすび】
 以上の次第でありますので、本願商標の取引実体に目を向ければ、外観にウエイトを持って判断すべき点、ご理解頂けたと思います。そして、本願商標は、既に述べたとおり、類否判断で大きな要素を占めるその外観において、引用商標とは大きく異なるデザインが、語頭(Sのデザイン化)や語尾部分(赤くきらめく星図形)に施され、しかも語頭「S」のデザイン文字と語尾の赤くきらめく星図形が極めて特徴的であって、これらが下線で結ばれて一体となっており、その印象たるやすこぶる強いものがあります。しかし、一方で、引用商標1~7は、単に「スパーク」の称呼及び「火花、火の粉」の観念を生じるだけで、図形を含む引用商標5を除けば、外観上の印象はありません。それ故、本願商標の上記した取引実態に目を向けて、外観にウエイトをもって類否判断を行えば、本願商標は全体的に引用商標1~7とは全く違った印象を取引者・需要者に与えており、両者は決して紛れることはありません。殊に、本願商標が、仮に引用商標と称呼・観念において共通する面があったとしても、それが外観における差異を凌駕するほどの状況にはなく、本願商標と引用商標とは、互いに紛れることのない非類似の商標であって、決して商標法第4条第1項第11号の規定に該当するものではないと思料します。よって、請求の趣旨の通り、「原査定を取り消す、本願の商標は登録をすべきものである」との審決を求める次第であります。

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(参考)ケース100の「審決」
不服2013-24319
結 論
原査定を取り消す。 本願商標は、登録すべきものとする。
3 当審の判断 
 本願商標は,別掲1のとおり,図案化された筆記体の欧文字と思しき図形の右側に,「PARK」の文字を書し,該「PARK」の「K」の文字の右下部に,赤色の星形図形を配し,更にこれらを下線で結んだ構成からなるものであり,外観上まとまりよく一体的に表されているものである。そうすると,本願商標に接する看者は,構成全体として一体不可分のものと認識するものの,その先頭部分をただちに特定の文字として認識するとまではいえないから,上記構成においては,これよりは,特定の称呼及び観念を生じないものである。なお,その構成中,図案化された筆記体の欧文字と思しき図形部分の特徴が欧文字「S」の特徴と共通する部分があることから,仮に,これに接する看者が,該図形部分を,欧文字「S」が図案化されたものと認識した場合には,本願商標から,「SPARK」の文字を理解,把握する場合もあり得るといえる。ところで,本願指定役務である,いわゆる小売等役務においては,販売上の表現の一つである「スパークセール」「スパークSALE」と称する特売が,広く一般に行われている実情があることからすれば,「スパーク」「SPARK」の文字は,その指定役務との関係において,自他役務の識別力が弱いといえるものである。 他方,引用商標1ないし3,6及び7は,「SPARK」の欧文字及び,その表音である「スパーク」の片仮名を書してなるところ,その構成文字に相応して,「スパーク」の称呼を生じ,また,該「SPARK」の欧文字部分は,「火花,火の粉」の意味を有する英語であるから,これよりは,「火花,火の粉」の観念を生じるものである。引用商標4は,「スパーク」の片仮名を標準文字で表してなるところ,その構成文字に相応して,「スパーク」の称呼を生じ,また,該文字は,「火花,火の粉」の意味を有する英語「SPARK」に通じるものと認められるから,これよりは,「火花,火の粉」の観念を生じるものである。 引用商標5は,別掲2のとおり,黒色の円中に白抜きで星形図形を配し,その右側に,少し図案化された「スパーク」の片仮名を書した構成からなるところ,該文字は英語「SPARK」に通じるものと認められるものの,本願商標と同様の理由により,その指定役務との関係において,自他役務の識別力が弱いといえるものである。そこで,本願商標と引用商標との類否について検討するに,外観においては,本願商標と引用商標は,それぞれ上記のとおりの構成であって,顕著に異なるから,外観上明確に区別できるものである。次に,本願商標からは,特定の称呼及び観念を生じないものであるから,両商標は,称呼及び観念上類似するとはいえないものである。してみれば,本願商標と引用商標とは,外観,称呼及び観念のいずれの点においても,互いに相紛れるおそれのない非類似の商標である。なお,仮に,本願商標から「SPARK」の文字を理解,把握された場合においても,上記のとおり,該文字の自他役務の識別力が弱いことからすると,本願商標と引用商標とは,外観,称呼及び観念を総合的に判断すれば,両商標は,商品及び役務の出所の誤認,混同を生じるおそれはないものと認められる。  したがって,本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして本願を拒絶した原査定は,妥当でなく,取消しを免れない。その他,本願について拒絶の理由を発見しない。よって,結論のとおり審決する。

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商標登録+α: 拒絶理由通知に対する意見書記載例目次

商標登録+α: 拒絶理由通知に対する意見書記載例#99

特許庁審査官等から受けた拒絶理由通知等に対し、反論した「意見書、審判請求書」の具体例を小川特許商標事務所のサイトから転載しております。

本願商標「molla」×引用商標「mo:ra」

1.出願番号  商願2013-054694
2.商  標   「molla」
3.商品区分  第35類
4.適用条文 商標法第4条第1項第11号
5.拒絶理由  「mo:ra」と類似する。

出願商標・商標登録第5639675号
出願商標・商標登録第5639675号
引用商標・商標登録第5593873号
引用商標・商標登録第5593873号

意見書における反論

【意見の内容】
(1) 拒絶理由通知書において、本願商標は登録第5593873号(商願2012-038835)の商標(以下、「引用商標」という)と同一又は類似であって、その商標に係る指定役務と同一又は類似の役務に使用するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当し登録できないと認定されました。しかしながら、本出願人は、本願商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれにおいても紛れることのない非類似の商標であると考えますので、前記認定には承服できず、以下に意見を申し述べます。
(2) 本願商標は、願書の記載から明らかなように、欧文字で一連に「molla」(標準文字)と書した態様からなるものであり、第35類「化粧品及びせっけん類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」等、を指定役務とするものであります。これに対し、引用商標は、欧文字の「mo」と「ra」との間にコロン「:」を介して「mo:ra」と書した態様からなるもので、同じく35類の「化粧品・歯磨き及びせっけん類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」等を含む多様な小売・卸売等役務を指定するものであります。したがって、本願商標と引用商標とは、外観が全く異なり、外観上類似しないことは明らかであります。
(3) また、本願商標の「molla」はイタリア語で「輪ゴム、ゴムバンド」等を意味する単語であり、イタリア語に慣れ親しんでいない一般的な日本人の取引者・需要者にとっては格別の意味を有しない欧文字の羅列であると判断する可能性もありますが、それでも何らかの意味ある単語であると認識するのが自然であり一般的であると思われます。これに対し、引用商標の「mo:ra」は欧文字の「mo」と「ra」をコロン「:」を介して「mo:ra」と書しただけで、何の意味も有しない造語であることは明かであります。したがって、両者は観念上も類似しないこと、明白であります。
(4) そこで、次に称呼の点につき検討します。本願商標「molla」は、その態様より、長音を伴って「モーラ」と称呼されるのが自然でありますが、引用商標「mo:ra」は、「mo」と「ra」の間にコロン「:」を介した態様であることから、称呼は単に「モラ」であって、「モーラ」ではないと思料します。コロン「:」は、直接引用句を持つ複文の中で、引用句の前に置く記号であったり(例えば、He looked at the picture and exclaimed:“What a beautiful picture!”)、説明や言い替えの時に用いられる記号であったりしますが(例えば、「X:Y」は「X、つまり「Y」という具合)、決して長音を示す記号ではありません。審査官殿は引用商標より「モーラ」の称呼も生じると判断して、引用したのではないかと推察しますが、「mo:ra」のコロン「:」が長音記号でないとすれば、その称呼は「モラ」であって、決して「モーラ」ではないはずです。引用商標「mo:ra」のIPDL参考称呼情報には、「モーラ、モラ」というように、「モーラ」の記載もありますが、これはあくまでも機械的かつ任意に付けた参考のための称呼でしかなく、確定された称呼ではありません。引用商標から生じる自然な称呼は、あくまでも簡潔な「モラ」であると思料します。コロン「:」は前述のように長音記号ではありません。そして、本願商標と引用商標の称呼を対比すれば、両者は称呼上最も短い部類に属する僅か2音という音構成からなるもので、そのような短い音構成にあって、本願商標の長音を伴ってなめらかに称呼される「モーラ」と、引用商標の簡潔につまって称呼される「モラ」とでは、語感語調が全く異なり、十分に識別できるものと思料します。更にまた、本出願人が取り扱う化粧品やせっけん類の業界というのは、販売者側も取引者・需用者側も、ネーミングに非常に敏感で、「molla」と「mo:ra」では、外観上全く異なった商標と判断しますし、称呼も「モーラ」と「モラ」では語感語調が異なり、全く異なったものと認識するはずであります。それ故、本願商標及び引用商標の指定役務分野である化粧品等の小売・卸売等役務分野において、代表的な商標の使い方をした場合、例えば、化粧品を品揃えしたネットショップあるいは現実のショップにおいて、「molla」や「mo:ra」の店舗看板を掲げた場合に、取引者・需要者がこれら両者を同一のショップと間違えて認識するはずはありません。明確に別のショップと認識するはずであります。
(5) 以上のように、本願商標「molla」と引用商標「mo:ra」とは、外観、称呼及び観念のいずれにおいても紛れることのない非類似の商標であると考えます。特に、両者は外観および観念上全く異なり、称呼上も2音という短い音構成にあって、長音を伴いなめらかに称呼される「モーラ」と、簡潔につまって称呼される「モラ」では十分に識別でき、決して紛れることはないと考えます。

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商標登録+α: 拒絶理由通知に対する意見書記載例目次

商標登録+α: 拒絶理由通知に対する意見書記載例#98

特許庁審査官等から受けた拒絶理由通知等に対し、反論した「意見書、審判請求書」の具体例を小川特許商標事務所のサイトから転載しております。

本願商標「E-ARTH」×引用商標「EARTH」ほか

1.出願番号  商願2010-82395
2.商  標   「E-ARTH」
3.商品区分  第9類
4.適用条文 商標法第4条第1項第11号
5.拒絶理由  「EARTH」「アース」と類似する。

出願商標・商標登録第5431411号
出願商標・商標登録第5431411号
引用商標・商標登録第1749441号
引用商標1・商標登録第1749441号
引用商標2・商標登録第2218857号
引用商標2・商標登録第2218857号
引用商標3・商標登録第2381149号
引用商標3・商標登録第2381149号
引用商標4・商標登録第2488153号
引用商標4・商標登録第2488153号
引用商標5・商標登録第2488154号
引用商標5・商標登録第2488154号
引用商標6・商標登録第4429693号
引用商標6・商標登録第4429693号
引用商標7・商標登録第4590330号
引用商標7・商標登録第4590330号
引用商標8・商標登録第5297134号
引用商標8・商標登録第5297134号
引用商標9・商標登録第5367825号
引用商標9・商標登録第5367825号

意見書における反論

ケース98 
6.意見書における反論
【意見の内容】
(1) 拒絶理由通知書において、本願商標「E-ARTH」は、下記の登録商標と同一又は類似であって、その商標に係る指定商品(指定役務)と同一又は類似の商品(役務)について使用するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。また、下記の引用商標6の登録商標について、商標法第20条第3項又は第21条第1項の規定に基づく商標権の存続期間の更新申請がない場合は、この商標登録出願に係る商標は、商標権が消滅した日から1年を経過していない下記の他人の商標と同一又は類似であって、その商標権に係る指定商品・指定役務と同一又は類似の商品・役務に使用するものであるから、商標法第4条第1項第13号に該当することとなる。
                 記
引用商標1…登録第1749441号(商公昭59-043662)「EARTH/アース」
引用商標2…登録第2218857号(商公平 1-057760)「§Earth」
引用商標3…登録第2381149号-2(商公平 3-013431)「エアース/AIRTH」
引用商標4…登録第2488153号(商公平 3-076040)「図形+EARTH」
引用商標5…登録第2488154号(商公平 2-085330)「EARTH」
引用商標6…登録第4429693号-1(商願平11-090015)「EARTH」
引用商標7…登録第4590330号(商願2001-093028)「エアース/AIRTH」
引用商標8…登録第5297134号(商願2008-027261)「図形+アース」
引用商標9…登録第5367825号(商願2007-068049)「アース」
 
(2) この拒絶理由通知に対して、本出願人は、まず、本願商標の指定商品中より、「エアース」の称呼を生じる上記引用商標3及び7の指定商品と同一又は類似する「携帯用液晶画面ゲームおもちゃ用のプログラムを記憶させた電子回路及びCD-ROM,電子楽器用自動演奏プログラムを記憶させた電子回路及びCD-ROM,インターネットを利用して受信し及び保存することができる音楽ファイル」(24A01、24E01)を、本願の指定商品中より削除する補正を本書の提出と同時に行いました。これによって、本願商標「E-ARTH」は、引用商標3及び7との関係においては、もはや商標の類否を論じるまでもなく、指定商品が同一又は類似せず、商標法第4条第1項第11号には該当しなくなったものと思料します。そして、本願商標「E-ARTH」は、引用商標3及び7以外の商標、即ち、引用商標1,2,4,5,6,8,9との関係においても、商標自体が類似せず、商標法第4条第1項第11号の規定には該当しないものと思料しますので、以下、この点に関して、意見を申し述べます。
(3) 本願商標は、前述したように、「E-ARTH」の態様からなるものでありますが、引用商標1は「EARTH/アース」、引用商標2は「§Earth」、引用商標4は「図形+EARTH」、引用商標5は「EARTH」、引用商標6は「EARTH」、引用商標8は「図形+アース」、引用商標9は「アース」の態様からそれぞれなるものであります。したがって、本願商標とこれらの各引用商標とは、語頭における「E-」の文字の有無により、また、後半の「ARTH」と引例の「EARTH」や「アース」の違いにより、外観上も全く異なり、類似するものではありません。特に本願商標の「E」と「A」の間に介したハイフン「-」の存在により、引用各商標とは外観上全く異なった印象を受けます。
 (4) また、本願商標は、アルファベットの「E」の文字とアルファベットの特定の意味を持たない「ARTH」の文字とを、ハイフン「-」を介して連結し、一体に「E-ARTH」と書してなるもので、全体として、具体的に特定の観念を生じない造語商標であります。これに対して、引用商標3及び7以外の各引用商標は、「EARTH」や「アース」の文字からなるもので、これより、具体的に「接地」とか、「地球」とか、「大地」とかの特定の意味合いを生じさせるものであります。したがって、両者は観念上も同一又は類似することはなく、非類似の商標であります。
(5) そこで、次に、称呼について検討します。
(5-1)
 本願商標は、前述したように、「E-ARTH」と書してなるものでありますので、このハイフン「-」の存在により、全体として一連に「イーアース」の称呼が生じ、単に「アース」とは称呼されないものと考えます。即ち、ハイフン「-」を介さず単に「EARTH」と記載した場合には、「アース」の称呼が生じることとなりますが、ハイフン「-」を介して「E-ARTH」と記載した本願商標の態様からは、唯一「イーアース」の称呼が生じるのであって、決して、単なる「アース」の称呼は生じないものと思料します。これに対し、引用商標1,2,4,5,6,8,9の各商標は、「EARTH」や「アース」の文字部分から、いずれも「アース」の称呼を生じるものであります。したがって、 本願商標の称呼「イーアース」とこれらの各引用商標の称呼「アース」とは、語頭における「イー」の音の存在の有無により、全く異なった印象を受けるもので、両者は称呼上も混同することはなく、決して類似するものではありません。この点に関して、審査官殿は、「E-ARTH」の「E-」を「電子の」「インターネットの」の如き意味合いに理解し、本願商標の要部を「ARTH」の部分にもあると判断し、ここから単に「アース」の称呼が生じるとして、「アース」の称呼を生じる上記引用商標1,2,4,5,6,8,9を引用してきたのではないかと推察しますが、これは本願商標の称呼認定を誤った誤認に基づくもので、妥当なものではないと考えます。なぜなら、「E-」の文字を「電子の」の如く理解する場合には、そのあとに続く文字は、通常何らかのまとまった意味をなす単語でなければならないと考えますが、本願商標の場合は、「ARTH」という何ら意味をなさない造語であります。何ら意味を持たない「ARTH」の電子化と言っても何のことだか分かりません。例えば、「Tax」とか、「money」とか、「book」とか、それ自体意味のある単語であって、それを電子化したものである場合、あるいはインターネットで扱える状態にしたような場合等に、「e-Tax」とか、「e-money」とか、「e-book」とか表記することで、初めて特定の意味が出てきます。「e-Tax」であれば電子納税であるとか、「e-money」であれば電子マネーであるとか、「e-book」であれば電子書籍であるとかの意味が出てきます。しかしながら、本願商標のように、「E-」のあとに続く単語が何ら意味をなさない造語「ARTH」である場合には、ある特定のものを「電子化したり」「インターネットで扱える」ようにしたという意味が全く出てきません。「E-ARTH」と言っても何のことだか分かりません。したがって、本願商標の「E-」は、あるものを電子化したり、インターネットで扱えるようにしたことを意味する「E-」ではありません。本願商標は、「E-」も含めた全体が商標の要部であって、あくまでも「E-ARTH」という態様で一体の商標であり、「イーアース」とのみ称呼されるものと考えます。なお、仮に、本願商標の「E-」が「電子の」とか、「インターネットの」とかの意味合いをあらわすと理解されたとしても、本願商標の構成態様「E-ARTH」からは、あくまでも「イーアース」の称呼しか生じないものと思料します。それ故、「アース」と称呼される引用各商標とは称呼上も類似しないものと考えます。
(5-2)
 過去の商標登録例を見ると、同一又は類似の商品や役務を指定してなる別主体に係る商標同士において、例えば、以下のような商標が並存登録されています。
(A)登録5354642「e-REMON」9類ほか(日本ユニシス株式会社)(第1号証)と登録537033「REMON」9類(ティーオーエー株式会社)(第2号証)。
(B)登録4417724「WALK/ウォーク」9類(キャノン株式会社)(第3号証)と登録5245558「e-WALK」9類ほか(株式会社京都メディックス)(第4号証)。
(C)登録4712961「Helios」9類(ドイツ法人)(第5号証)と登録5248709「イーヘリオス/E-HELIOS」9類(株式会社コンピュータシステム研究所)(第6号証)。
(D)登録5154080「イ-トレンド/e-TREND」35類小売等(株式会社シスキー)(第7号証)と登録5044732「TREND」9類(トレンドマイクロ株式会社)(第8号証)。
(E)登録4759482「Fleet」9類ほか(イギリス法人)(第9号証)と登録5371280「e-Fleet」9類(本田技研工業株式会社)(第10号証)。
(F)登録2545776「SHUTTLE」9類ほか(株式会社東芝)(第11号証)と登録5147854「e-shuttle」9類(富士通株式会社)(第12号証)。
これら(A)~(F)の並存登録例は、「e-」「E-」に続く文字がすべて特定の意味を有する単語であり、且つ「e-」「E-」以外の部分は文字構成を共通にしている商標同士であります。しかし、それにもかかわらず、両者は並存登録されております。これは「e-」「E-」の存在の有無によって、これら(A)~(F)に示す両商標同士は非類似の商標であるとの扱いがなされたからに他なりません。「e-」「E-」以外の文字部分を共通にしている商標同士でさえ非類似の扱いです。まして本願商標と引用各商標は、「E-」に続く文字同士の構成が「ARTH」と「EARTH」ないし「アース」というように異なるものでありますので、これら本願商標と引用各商標が類似するとされる謂われは全くありません。(A)~(F)のように、「e-」「E-」以下の文字が同じもの同士でさえ並存登録されているのですから、「E-」以降の文字構成の異なる本願商標と引用各商標とが類似するはずはありません。本願商標は、これら(A)~(F)の商標が並存登録できたのと同様に、引用各商標の存在如何にかかわらず、分断できない一体不可分の商標として登録されて然るべきであります。
(6) 以上のように、本願商標は、あくまでも「イーアース」とのみ一連に称呼されるべきもので、引用商標の称呼である単なる「アース」とは、類似することはないと考えます。本願商標と引用各商標とは、外観及び観念上類似しないことは勿論、称呼上も語頭の「イー」の称呼の有無によって語感語調を全く異にし、聴者をして決して紛れることはないものと思料します。よって、本願商標は引用各商標の存在如何にかかわらず、充分登録適格性を有するものと思料します。

商標登録+α: 拒絶理由通知に対する意見書記載例目次

商標登録+α: 拒絶理由通知に対する意見書記載例#97

特許庁審査官等から受けた拒絶理由通知等に対し、反論した「意見書、審判請求書」の具体例を小川特許商標事務所のサイトから転載しております。

本願商標「割符エクスプローラー」× 引用商標「EXPLORER」

1.出願番号  商願2008-99824
2.商  標   「割符エクスプローラー」
3.商品区分  第9類
4.適用条文 商標法第4条第1項第11号
5.拒絶理由  「EXPLORER」と類似する。

出願商標・商標登録第5422057号
出願商標・商標登録第5422057号
引用商標1・商標登録第1781497号
引用商標1・商標登録第1781497号
引用商標2・商標登録第2225671号
引用商標2・商標登録第2225671号
引用商標3・商標登録第4174985号
引用商標3・商標登録第4174985号
引用商標4・商標登録第4174986号
引用商標4・商標登録第4174986号

意見書における反論

【意見の内容】
(1) 拒絶理由通知書において、本願商標は、下記1~4の登録商標と同一又は類似であって、その商標登録に係る指定商品と同一又は類似の商品に使用するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当すると認定されました。
                 記
 引用商標1 登録第1781497号-2(商公昭59-069875)28類 EXPLORER
 引用商標2 登録第2225671号(商公平 1-065619)34年法11類 EXPLORER
 引用商標3 登録第4174985号(商願平 8-117133)16類 EXPLORER
 引用商標4 登録第4174986号(商願平 8-117134)20類 EXPLORER
 しかしながら、本出願人は、本願商標と引用各商標とは、外観、称呼及び観念のいずれにおいても紛れることのない非類似の商標であると考えますので、前記認定には承服できず、以下に意見を申し述べます。
(2) 本願商標は、願書の商標見本から明らかなように、漢字とカタカナで「割符エクスプローラー」と一連に書してなるものであり、電子計算機用プログラム、その他の電子応用機械器具及びその部品などを指定商品とするものであります。これに対し、引用商標1~4はいずれもローマ字で「EXPLORER」と書してなり、本願とは共通の類似群を指定商品中に含んだ登録商標であります(指定自体は、それぞれ28類、11類(S34年法)、16類、20類であります)。したがって、本願商標「割符エクスプローラー」と引用各商標の「EXPLORER」とは、外観上全く異なり、類似することはありません。
(3) また、本願商標は漢字の「割符」とカタカナの「エクスプローラー」という2種類の文字からなるものでありますが、全体が同書同大同間隔でバランス良く一体に配され、その言葉の意味合いからは全体として「割符探険家」の如きまとまった観念を生じさせるものであります。そして、「エクスプローラー」が今まで存在せず新しく作られた造語ならばまだしも、この言葉は「探険家」とか、「調査者」とかの意味合いをあらわす日本人にとってごく親しまれた普通の英単語「EXPLORER」に通じる言葉でありますので、取引者・需要者をして特別に注意を喚起する部分とはなりません。それ故、本願商標中、この「エクスプローラー」の部分が特に注目されて称呼・観念されるということはなく、素直に「割符エクスプローラー」(ワリフエクスプローラー)(割符探険家)と一連一体に称呼・観念されるものと考えます。これに対し、引用各商標は、ローマ字「EXPLORER」の態様より、単に、「探検家」を観念させるだけで、両者は観念上も類似することはありません。引用商標1~4は「何の探険家」なのか定かでなく、ましてや本願商標「割符探険家」を観念させることはありません。
(4) そこで、次に称呼の点につき検討します。
 本願商標の「割符エクスプローラー」は、上述の如く、漢字とカタカナという異種類の文字からなるものでありますが、全体がバランスよく配され、全体を一体のものとして把握して違和感はありません。それよりもむしろ、本願商標は、全体として「割符探険家」という一つの意味合いを生じることから、取引者・需要者は「割符エクスプローラー」全体を一体不可分のものとして把握し、「ワリフエクスプローラー」とのみ称呼すると思料します。この点に関し、審査官殿は、本願商標の「割符」と「エクスプローラー」の部分を分断して、「エクスプローラー」に着目し、単に「エクスプローラー」の称呼も生じるとみて今般の拒絶理由通知を発したのではないかと推察されますが、そのような認定には納得できません。全体がバランス良く配され、全体として一つのまとまった意味合いを生じる商標をとらえて、前後を分断して称呼すべき理由はありません。全体が冗長に過ぎるというのかも知れませんが、本願商標は、全体を一連に称呼して決して称呼しにくいものではなく、むしろ一気に「ワリフエクスプローラー」と称呼して称呼し易いものであります。それを何故に左右分断して称呼しなければならないのか。取引者・需用者が「割符エクスプローラー」の文字を見て、単に「エクスプローラー」と認識し称呼するとは到底思えません。そのような称呼は如何にも不自然であります。現代日本語はそもそも漢字、ひらがな、カタカナ、ローマ字、算用数字の5種類を混在させて用いるのが普通であり、種類の違う文字を結合ないし混在させて一つの意味合いをあらわすように用いることは、日常茶飯行われております。それ故、異種類の文字の結合からなる商標であっても、そのことを以て両者を分離して把握すべきとする理由は全くありません。ましてや、本願商標の如く、一つの意味合いを観念させるようなものにあっては、尚更であります。
(5) 過去の商標登録例を見ると、米国法人の第2307693号登録商標「ARCHIVE」(称呼:アーカイブ、第9類「電子応用機械器具及びその部品」等を指定)(第1号証)が存在しますが、その後の出願に係る本出願人の「アーカイブ割符」は無事に登録されております(商標登録第4877832号、第9類「電子応用機械器具及びその部品」等指定)(第2号証)。それ故、引用商標1~4の「EXPLORER」が存在したとしても、本願の「割符エクスプローラー」が登録されて、何らおかしくないはずであります。
(6)ところで、「割符」の文字を有する商標は、以下のように、本出願人が既に多数登録しており、いわばシリーズ化しております。
1. 登録4839689 モバイル割符 …第3号証
2. 登録4877830 ファイル割符 …第4号証
3. 登録4877831 My割符 …第5号証
4. 登録4877832 アーカイブ割符 …第6号証
5. 登録5186304 割符ランチャー …第7号証
6. 登録5199210 サーバ割符 …第8号証
7. 登録5202323 PDF on 割符 …第9号証
8. 商願2008-099825 割符マネージャー (登録査定済み) …第10号証
 本願の「割符エクスプローラー」も、このような「割符シリーズ」の一環であり、それ故に、肝心の「割符」の文字を省略して称呼するようなことは出願人としてしませんし、日頃本出願人の製品に接している取引者・需要者も「割符」を省略して称呼し識別を図るというようなことはしないはずです。けだし、それを省略したのでは「割符シリーズ」の意味がないからであり、また、「割符」を外したのでは、「何のエクスプローラー」か分からないからであります。本願は、あくまでも「割符」と「エクスプローラー」とが連結されて一体となった結合商標であり、全体で「割符探険家」の如き意味合いを生じ、「ワリフエクスプローラー」と一連にのみ称呼されるものと考えます。前述したように、「エクスプローラー」が造語ならばまだしもですが、この言葉は「探険家」等の意味合いをあらわす日本人にとってごく親しまれた単語でありますので、「エクスプローラー」の部分が特に注目されて称呼・観念されることはなく、素直に「割符エクスプローラー」(ワリフエクスプローラー)(割符探険家)と一連一体に称呼・観念されるものと思います。
(7) 以上のように、本願商標の「割符エクスプローラー」はあくまでも一連一体の商標であって、単に「エクスプローラー」だけを取り出して称呼・観念されるようなことはなく、本願商標と引用商標1~4とは、外観、称呼及び観念のいずれにおいても、紛れることのない非類似の商標であります。よって、本願商標は引用商標1~4の存在如何にかかわらず、充分登録適格性を有するものと思料します。

商標登録+α: 拒絶理由通知に対する意見書記載例目次

商標登録+α: 拒絶理由通知に対する意見書記載例#96

特許庁審査官等から受けた拒絶理由通知等に対し、反論した「意見書、審判請求書」の具体例を小川特許商標事務所のサイトから転載しております。

本願商標「ナビ/NAVI」×引用商標「Liquor Shop/Navi」

1.出願番号  商願2010-84999
2.商  標   「ナビ/NAVI」
3.商品区分  第5類
4.適用条文 商標法第4条第1項第11号
5.拒絶理由  「Liquor Shop/Navi」と類似する。

出願商標・商標登録第5421079号
出願商標・商標登録第5421079号
引用商標・商標登録第5272265号
引用商標・商標登録第5272265号

意見書における反論

【意見の内容】
(1) 拒絶理由通知書において、本願商標「ナビ/NAVI」は、第5272265号(商願2007-073585)の登録商標「Liquor Shop/Navi」(引用商標)と同一又は類似であって、その商標に係る指定商品と同一又は類似の商品に使用するものであるから、商標法第4条第1項第11号の規定に該当すると認定されました。しかしながら、本出願人は、本願商標と引用各商標とは、外観、称呼及び観念のいずれにおいても紛れることのない非類似の商標であると考えますので、前記認定には承服できず、以下に意見を申し述べます。
(2) 本願商標は、願書の商標見本から明らかなように、「ナビ」の片仮名文字を上段に、「NAVI」の欧文字を下段にそれぞれ配して、「ナビ/NAVI」と二段並記した態様からなるものでありますが、引用商標は、欧文字の「Liquor Shop Navi」のうち、「Liquor Shop」の文字部分を上段に、また「Navi」の文字部分を下段ほぼ中央に配置して、「Liquor Shop/Navi」と表示した態様からなるものであります。したがって、本願商標の「ナビ/NAVI」は、引用商標の「Liquor Shop/Navi」と、文字の種類や構成の違いにより外観上類似しないことは明かであります。
(3) 次に、本願商標は「ナビ/NAVI」の態様より、「navigation」「ナビゲーション」の略称を想起させるもので、「航海。航空。また、航海術。航空術。」(広辞苑)や「車の誘導」、あるいは「ユーザーが目的へたどり着けるように手助けしたり、誘導したりする等の機能」とかの意味合いを観念させるものであります。これに対し、引用商標は「Liquor Shop Navi」の態様からなるもので、「酒屋」等の観念を想起させる「Liquor Shop」(liquor=アルコール分を含んだ飲料。shop=商店)の文字と、「navigation」「ナビゲーション」を想起させて「航海。航空。また、航海術。航空術。」とか、「車の誘導」とか、「ユーザーが目的へたどり着けるように手助けしたり、誘導したりする等の機能」とかの意味合いを生じさせる「Navi」の文字よりなるもので、全体として、漠然としてではあっても「酒屋ナビゲーション(案内)」とか言うような一つのまとまった意味合いを暗示させるものであります(なお、商標法で言う観念とは、商標自体が客観的に有する意味を言うのではなく、商標を見又は称呼することにより、その商標を付した商品・役務の需用者又は取引者が思い浮かべるその商標の意味と解しますので、引用商標が直接的かつ具体的に特定の観念を生じさせるものではないという意味では、一種の造語商標かも知れませんが、引用商標は抽象的には「酒屋ナビゲーション(案内)」等の一つのまとまった意味合いを暗示させています)。そして、この引用商標「Liquor Shop/Navi」は、指定役務(~小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供)との関係からして、小売ないし卸売のためにある特定の商品についての品揃えを充実させた店舗名と理解することもできます。特定の商品の店舗名だとしたら、上段の「Liquor Shop」を省略して把握(称呼・観念)したのでは、何の商店の「Navi(ナビ)」「navigation(ナビゲーション)(案内)」なのかさっぱり分かりません。
それ故、いずれにしても、これら本願商標と引用商標とは観念上も類似するものではないと考えます。
(4) そこで、次に、称呼の点につき検討します。本願商標は、「ナビ/NAVI」の態様より、単に「ナビ」の称呼を生じるものであります。これに対し、引用商標は、前述のように、一体として把握される「Liquor Shop/Navi」の態様より、常に「リカーショップナビ」と称呼されるものと思料します。したがって、両者は、「リカーショップ」の称呼の有無の違いにより、称呼上明瞭に識別でき、決して称呼上紛れることはないと考えます。この点に関し、審査官殿は、引用商標「Liquor Shop/Navi」のうち、「Liquor Shop」の文字が上段に配置され、「Navi」の文字が下段に配置されていることより、取引者・需要者は単に下段の「Navi」の文字に注目し、この「Navi」の文字のみをもって、「Navi(ナビ)」と称呼・観念して取引をする場合もあると考え、今般の拒絶理由通知を発してきたものと推察しますが、そのような考え方は妥当でないと思います。引用商標から「Navi」の部分のみを抽出してここを商標の要部ととらえ、称呼・観念するようなことは取引者・需用者が通常行うはずはないと考えます。なるほど、引用商標は、「Liquor Shop」の文字と「Navi」の文字とを上下二段に並記した態様からなる商標であります。しかし、上段「Liquor Shop」と下段「Navi」とは、同一書体(ゴシック体)・同一大の文字で統一され、各文字が軽重差無くバランスよく配され、一目見た瞬間に全体が一体のものとして把握できる態様です。しかも、漠然としてはおりますが、「Liquor Shop Navi」全体で「酒屋ナビゲーション(案内)」等の一つのまとまった意味合いを暗示させるものであります。漠然としてではあっても一つのまとまった意味合いを暗示させる商標を称呼するのに、その一部を抽出して称呼するようなことは通常しません。例えば、単に「Navi(ナビ)」だけ称呼したのでは、「何のナビ」だか分かりません。「リカーショップナビ」と一連に称呼してこそ、特定の識別力を発揮します。そして、引用商標は一連に称呼してやや冗長ではありますが、「リカーショップナビ」と一連に称呼して決して称呼しにくい商標ではありません。むしろ一連に称呼して語呂も良く、称呼しやすい商標であります。したがって、この引用商標に接する取引者・需用者は、ごく自然に「リカーショップナビ」と一連にのみ称呼するとみるのが自然であり、本願商標の称呼「ナビ」とは決して類似することはないと考えます。
(5) ところで、過去の商標登録例をみると、下記の登録商標(A)の存在を確認することができます。
              記
 (A)登録第1529461号「リカー ショップ/LIQUOR SHOP」(16類「新聞,雑誌」(類似群:26A01)/サントリー株式会社/昭和57年7月30日登録、現在存続中)…第1号証
 そして、今般、審査官殿が引用した引用商標の登録第5272265号「Liquor Shop/Navi」(株式会社サントリー・ショッピング・クラブ)は、上記(A)とは別法人に係るもので、(A)の指定商品の類似群26A01と類似の関係にある「印刷物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」(類似群35K13)の役務を指定役務中に含むものでありますが、この引用商標は、(A)の存続中である平成21年10月9日に登録されております。仮に、この引用商標が審査官殿の認識されているように、「Liquor Shop」と「Navi」の部分が分断されて把握されていたとしたら、上記(A)の「リカー ショップ/LIQUOR SHOP」と、引用商標の上段「Liquor Shop」とは、称呼同一でどう見ても類似しますので、この引用商標は、その先願に係る(A)の「リカー ショップ/LIQUOR SHOP」の存在により、拒絶されていたはずであります。しかし、現実には、この引用商標は登録されております。これは、当時この引用商標を登録した審査官が、引用商標「Liquor Shop/Navi」を上下分離することのできない一体不可分の商標と把握し、常に「Liquor Shop Navi」(リカーショップナビ)と一連に称呼されるものと判断したからに相違ありません。つまり、引用商標を登録した審査官は、この引用商標が「Liquor Shop」と「Navi」とに分断して把握される場合があるなどと認識してはおりません。全体が一体不可分のものとして把握され、称呼・観念されるものと認識しております。このことからも分かるように、引用商標は全体を一体に把握すべきもので、ここから単に「Navi」の部分を抽出し、本願商標「ナビ/NAVI」と比較するような手法は誤りであると考えます。
(6) 以上の次第でありますので、本願商標と引用商標とは、外観および観念上類似することはないとともに、称呼上も単なる「ナビ」と、「リカーショップナビ」との差異があって、両者は語感語調を全く異にし、取引者・需用者をして決して紛れることはないものと思料します。よって、本願商標と引用商標とは非類似の商標であり、本願商標は商標法第4条第1項第11号に該当するものではないと考えます。

商標登録+α: 拒絶理由通知に対する意見書記載例目次

商標登録+α: 拒絶理由通知に対する意見書記載例#95

特許庁審査官等から受けた拒絶理由通知等に対し、反論した「意見書、審判請求書」の具体例を小川特許商標事務所のサイトから転載しております。

本願商標「HI!SAMANTHA/ハイ!サマンサ」× 引用商標「サマンサ」

1.出願番号  商願2010-73405
2.商  標   「HI!SAMANTHA/ハイ!サマンサ」
3.商品区分  第9類
4.適用条文 商標法第4条第1項第11号
5.拒絶理由  「サマンサ」と類似する。

出願商標・商標登録第5416957号
出願商標・商標登録第5416957号
引用商標・商標登録第2364227号
引用商標・商標登録第2364227号

意見書における反論

【意見の内容】
(1) 拒絶理由通知書において、本願商標は、学校法人文化学園所有の登録第2364227号「サマンサ」(第16類 雑誌)の登録商標(以下、引用商標という)と同一又は類似であって、その商標登録に係る指定商品と同一又は類似の商品に使用するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当すると認定されました。しかしながら、両者は、指定商品の関係においては類似群26A01を共通にする商品を含むものの(本願「電子出版物」と引例「雑誌」とは類似群26A01)、商標に関しては、本願商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれにおいても紛れることのない非類似の商標であり、商標法第4条第1項第11号に該当するものではないと考えますので、前記認定には承服できず、以下に意見を申し述べます。
(2) 本願商標は、願書の商標見本から明らかなように、欧文字「HI!SAMANTHA」と片仮名文字「ハイ!サマンサ」をそれぞれ上下に一連に配して「HI!SAMANTHA/ハイ!サマンサ」と二段に構成してなるもので、第9類「電気通信機械器具,電子計算機用プログラム,その他の電子応用機械器具及びその部品,携帯用液晶画面ゲームおもちゃ用のプログラムを記憶させた電子回路及びCD-ROM,電子楽器用自動演奏プログラムを記憶させた電子回路及びCD-ROM,インターネットを利用して受信し及び保存することができる音楽ファイル,インターネットを利用して受信し及び保存することができる画像ファイル,録画済みビデオディスク及びビデオテープ,電子出版物」を指定商品とするものであります。これに対し、引用商標は単に「サマンサ」の片仮名文字からなるもので、第16類「雑誌」を指定商品とするものであります。然るに、本願商標「HI!SAMANTHA/ハイ!サマンサ」と引用商標「サマンサ」とは、外観上全く異なり、類似することはありません。
(3) 次に、観念の点についてみると、本願商標は、「HI!SAMANTHA/ハイ!サマンサ」のうち、前段の「HI!/ハイ!」の部分は、感嘆符(!)をともなって「やあ!」というような呼びかけや注意を促す語をあらわし、また、「SAMANTHA/サマンサ」は「女子の名」をあらわすもので、全体として「やあ!サマンサ」「ハイ!サマンサ」の如き、サマンサに対する呼びかけ等をあらわすものと思料します。これに対し、引用商標の「サマンサ」は女子の名「サマンサ」そのものを意味する語(名詞)であります。それ故、本願商標と引用商標とは、観念上も類似することはないと思料します。
(4) そこで、以下、称呼の点につき検討します。
 (4-a) 本願商標は、上述のように、「HI!SAMANTHA/ハイ!サマンサ」と二段に書した態様よりなるものですので、通常、この片仮名部分より「ハイ!サマンサ」と称呼するのが自然であると考えます。この点に関し、審査官殿は、本願商標「HI!SAMANTHA/ハイ!サマンサ」のうち、「HI!」「ハイ!」と「SAMANTHA」「サマンサ」とを分断して把握し、「SAMANTHA/サマンサ」の部分も単独で商標の要部となり得ると判断し、登録第2364227号「サマンサ」を引用したのだと思料しますが、本願商標は、「HI!」「ハイ!」と「SAMANTHA」「サマンサ」とを分断して把握すべきではないと思料します。本願商標は、「サマンサ」(女子の名)に対する呼びかけや注意を促す意味を込めて「HI!SAMANTHA/ハイ!サマンサ」と表示したものであり、これから「HI!」「ハイ!」の文字を取ってしまったのでは、呼びかけや注意を促すの意味が出てきません。「HI!」「ハイ!」の語を最初に配置することによって、初めて、呼びかけや注意を促す意味が出てきます。それ故、この「HI!」「ハイ!」は本願商標にあって重要な意味を有するもので、この部分を省略して本願商標を把握することはできません。「ハイ!サマンサ」と一連一体に把握して称呼・観念してこそ、本願願商標の識別力が発揮されます。そして、「ハイ!サマンサ」と称呼して冗長になるわけでなく、むしろ語呂も良く、一気に称呼して称呼し易いものです。よって、本願商標は、常に「HI!SAMANTHA/ハイ!サマンサ」と一体に把握され、一連に「ハイ!サマンサ」とのみ称呼されるものと思料します。これに対し、引用商標は、単に「サマンサ」と称呼されるのみで、語頭音の「ハイ!」の音の有無によって、本願商標の称呼「ハイ!サマンサ」とは紛れるものではないと考えます。
(4-b) ところで、過去の商標登録例を見ると、語頭に「Hi!」「ハイ!」が有るか無いかの違いで登録され並存している例は、以下のように、幾つか存在します。
(A)第2098565号「キッズ」第30類ほか…伊藤ハム株式会社(第1号証)と、
(B)第4485291号「ハイキッズ/HI!KIDS」第30類…明治製菓株式会社(第2号証)。
(C)第3199831号「どこでもドア」第28類…パーソナルメディア株式会社(第3号証)と、
(D)第4398229号「ハイ!どこでもドア」第28類…株式会社エポック社(第4号証)。
(E)第4981314号「Hi!Catch」第16類…王子ネピア株式会社(第5号証)と、
(F)第5215416号「CATCH/キャッチ」第16類ほか…エステー株式会社(第6号証)。
(G)第4425378号「ブラザー」第25類ほか…ブラザー工業株式会社(第7号証)と、
(H)第5360558号「Hi!BROTHER」第25類…株式会社ブラザー(第8号証)。
 これら(A)「キッズ」と(B)「ハイキッズ/HI!KIDS」、(C)「どこでもドア」と(D)「ハイ!どこでもドア」、(E)「Hi!Catch」と(F)「CATCH/キャッチ」、(G)「ブラザー」と(H)「Hi!BROTHER」の商標のうち、後願である(B)(D)(F)(H)は、両指定商品に同一又は類似する商品を含んでいる以上、審査官殿のような考え方に従えば、それぞれ先願(A)(C)(E)(G)の存在により拒絶されていたはずであります。しかし、実際には登録されております。これは、「Hi!」「HI!」「ハイ!」の付くものとそうでないものとでは、非類似の商標であると判断したからに相違ありません。然るに、これら(A)「キッズ」と(B)「ハイキッズ/HI!KIDS」、(C)「どこでもドア」と(D)「ハイ!どこでもドア」、(E)「Hi!Catch」と(F)「CATCH/キャッチ」、(G)「ブラザー」と(H)「Hi!BROTHER」とがそれぞれ並存できて、本願商標「HI!SAMANTHA/ハイ!サマンサ」と引用商標「サマンサ」が並存できないとされる謂われは全くありません。これら(B)(D)(F)(H)の商標が登録できたのと同様に、本願商標は前後分断できない一体不可分の商標として、登録されて然るべきであります。
(5) 以上のように、本願商標は、あくまでも、「ハイ!サマンサ」とのみ一連に称呼されるべきものであり、それ故に引用商標の称呼である単なる「サマンサ」とは、類似することはありません。本願商標と引用商標とは、外観及び観念上類似しないことは勿論、称呼上も語頭の「ハイ!」の称呼の有無によって語感語調を全く異にし、聴者をして決して紛れることはないものと思料します。

商標登録+α: 拒絶理由通知に対する意見書記載例目次