商標登録insideNews: 「登別温泉」商標登録出願へ 市、地域団体と協議 「ブランドイメージ守る」:どうしん電子版(北海道新聞)

登別市は19日、「登別温泉」の商標登録を、特許庁の地域団体商標制度を活用して出願する考えを、定例市議会一般質問で明らかにした。 大手民泊サイトで、胆振管内白老町に所在するのにもかかわらず、「登別温泉」をうたった宿泊施設が見つかったため。

情報源: 「登別温泉」商標登録出願へ 市、地域団体と協議 「ブランドイメージ守る」:どうしん電子版(北海道新聞)

業種別 商標出願の得策 #4 宿泊施設・温泉

急増する外国人旅行者の影響からか、東京や大阪の都心部で、アクセスが良く手頃な値段のホテルを予約しようにも、どこも満室で取れない場合もあるという報道も聞かれる今日ですが、2020年の東京オリンピック開催に向けて新たなホテル・旅館などの新設や客室数の増強なども予測されています。また、東京丸の内でも1500メートルの地下の温泉を利用した温泉施設が開業するといった話題もあり、地震国日本ではありますが、同時に温泉国日本と言うこともできるかと思います。ここではホテル業や旅館業を営業する方にとっての商標について説明したいと思います。

ホテルや旅館の商品・役務の区分

先ず、ホテルや旅館には、そのホテル名や旅館名がありますが、商標登録は必要と思います。法的には、商標登録なしで営業することに問題がある訳ではないのですが、商標登録がなければ、他人が同じ商標について登録する可能性があり、他人にホテル名や旅館名についての商標登録を取得されてしまうと、その他人の出方によっては看板取り替えなどの事態になりかねないからです。ホテルや旅館についての商品・役務の区分のうち最も主要なものは、第43類の”宿泊施設の提供 宿泊施設の提供の契約の媒介又は取次ぎ”という役務区分になります。ホテルや旅館は、同時にレストラン、お食事処、バー、喫茶店、催し物、セミナー会場などについて営業することがありますので、できれば同じ第43類で”飲食物の提供”や”会議室の貸与,展示施設の貸与”などについて併記するようにします。

旅館の〇〇の間というような旅館内の1つの部分については、個別に商標を取得する必要はないとされていますが、お風呂を宿泊者以外のお客にも有料で利用させているような営業の場合には、第44類 ”入浴施設の提供”が該当します。また、ホテルの施設が結婚式にも利用できる場合には、第45類 ”婚礼(結婚披露を含む。)のための施設の提供”を権利範囲に入れるようにします。

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省令別表 第41類~第45類
第四十一類
一 技芸、スポーツ又は知識の教授
生け花の教授 学習塾における教授 空手の教授 着物着付けの教授 剣道の教授 高等学校における教育 語学の教授 国家資格取得講座における教授 茶道の教授 自動車運転の教授 柔道の教授 小学校における教育 水泳の教授 そろばんの教授 大学における教授 中学校における教育 テニスの教授 ピアノの教授 美容の教授 舞踏の教授 簿記の教授 洋裁の教授 理容の教授 和裁の教授
二 献体に関する情報の提供 献体の手配 セミナーの企画、運営又は開催 動物の調教
三 植物の供覧 庭園の供覧 洞窟の供覧 動物の供覧 図書及び記録の供覧 美術品の展示
四 書籍の制作 電子出版物の提供
五 映画、演芸、演劇又は音楽の演奏の興行の企画又は運営 映画の上映、制作又は配給 演芸の上演 演劇の演出又は上演 音楽の演奏 放送番組の制作
六 スポーツの興行の企画、運営又は開催
ゴルフの興行の企画、運営又は開催 サッカーの興行の企画、運営又は開催 相撲の興行の企画、運営又は開催 ボクシングの興行の企画、運営又は開催 野球の興行の企画、運営又は開催
七 競馬の企画、運営又は開催 競輪の企画、運営又は開催 競艇の企画、運営又は開催 小型自動車競走の企画、運営又は開催
八 興行の企画、運営又は開催(映画、演芸、演劇、音楽の演奏、スポーツ、競馬、競輪、競艇又は小型自動車競走の興行に関するものを除く。) 当せん金付証票の発売
九 映像機器、音声機器等の機器であって放送番組の制作のために使用されるものの操作 通訳 翻訳
十 教育、文化、娯楽又はスポーツ用ビデオの制作(映画、放送番組又は広告用のものを除く。) 写真の撮影 放送番組の制作における演出
十一 映画、演芸、演劇、音楽又は教育研修のための施設の提供 音響用又は映像用のスタジオの提供
十二 運動施設の提供
ゴルフ場の提供 スキー場の提供 スケート場の提供 体育館の提供 テニス場の提供 プールの提供 ボウリング場の提供 野球場の提供 陸上競技場の提供
十三 娯楽施設の提供
囲碁所又は将棋所の提供 カラオケ施設の提供 スロットマシン場の提供 ダンスホールの提供 ぱちんこホールの提供 ビリヤード場の提供 マージャン荘の提供 遊園地の提供
十四 興行場の座席の手配
十五 運動用具の貸与 映画機械器具の貸与 映写フィルムの貸与 おもちゃの貸与 楽器の貸与 カメラの貸与 光学機械器具の貸与 書画の貸与 テレビジョン受信機の貸与 図書の貸与 ネガフィルムの貸与 ポジフィルムの貸与 ラジオ受信機の貸与 レコード又は録音済み磁気テープの貸与 録画済み磁気テープの貸与 遊園地用機械器具の貸与 遊戯用器具の貸与

第四十二類
一 医薬品、化粧品又は食品の試験、検査又は研究 機械器具に関する試験又は研究 建築又は都市計画に関する研究 公害の防止に関する試験又は研究 電気に関する試験又は研究 土木に関する試験又は研究 農業、畜産又は水産に関する試験、検査又は研究
二 電子計算機のプログラムの設計、作成又は保守
ウェブサイトの作成又は保守
三 電子計算機用プログラムの提供
四 機械、装置若しくは器具(これらの部品を含む。)又はこれらにより構成される設備の設計 建築物の設計 測量 地質の調査
五 デザインの考案 電子計算機、自動車その他その用途に応じて的確な操作をするためには高度の専門的な知識、技術又は経験を必要とする機械の性能、操作方法等に関する紹介及び説明
六 気象情報の提供
七 計測器の貸与 製図用具の貸与 電子計算機の貸与 理化学機械器具の貸与

第四十三類
一 宿泊施設の提供 宿泊施設の提供の契約の媒介又は取次ぎ
二 飲食物の提供
(一) 日本料理を主とする飲食物の提供
うどん又はそばの提供 うなぎ料理の提供 すしの提供 てんぷら料理の提供 とんかつ料理の提供
(二) 西洋料理を主とする飲食物の提供
イタリア料理の提供 スペイン料理の提供 フランス料理の提供 ロシア料理の提供
(三) 中華料理その他の東洋料理を主とする飲食物の提供
インド料理の提供 広東料理の提供 四川料理の提供 上海料理の提供 北京料理の提供
(四) アルコール飲料を主とする飲食物の提供
(五) 茶、コーヒー、ココア、清涼飲料又は果実飲料を主とする飲食物の提供
三 高齢者用入所施設の提供(介護を伴うものを除く) 保育所における乳幼児の保育
四 動物の宿泊施設の提供
五 おしぼりの貸与 カーテンの貸与 会議室の貸与 家具の貸与 加熱器の貸与 加熱調理機械器具の貸与 壁掛けの貸与 敷物の貸与 食器の貸与 タオルの貸与 調理台の貸与 展示施設の貸与 流し台の貸与 布団の貸与 まくらの貸与 毛布の貸与

第四十四類
一 医業 健康診断 歯科医業 調剤
二 あん摩、マッサージ及び指圧 カイロプラクティック きゅう 柔道整復 はり
三 栄養の指導
四 医療情報の提供
五 美容 理容
六 入浴施設の提供
七 動物の治療 動物の飼育 動物の美容
八 介護
施設における介護 訪問による介護
九 庭園又は花壇の手入れ 庭園樹の植樹 肥料の散布
十 雑草の防除 有害動物の防除(農業、園芸又は林業に関するものに限る。)
十一 医療用機械器具の貸与 植木の貸与 漁業用機械器具の貸与 芝刈機の貸与/農業用機械器具の貸与 美容院用又は理髪店用の機械器具の貸与

第四十五類
一 結婚又は交際を希望する者への異性の紹介 婚礼(結婚披露を含む。)のための施設の提供
二 葬儀の執行 墓地又は納骨堂の提供
三 工業所有権に関する手続の代理又は鑑定その他の事務 訴訟事件その他に関する法律事務 著作権の利用に関する契約の代理又は媒介 登記又は供託に関する手続の代理
四 社会保険に関する手続の代理
五 施設の警備 身辺の警備
六 個人の身元又は行動に関する調査
七 家事の代行
八 占い 身の上相談
九 愛玩動物の世話
十 乳幼児の保育(施設において提供されるものを除く。)
十一 ファッション情報の提供
十二 衣服の貸与 火災報知器の貸与 金庫の貸与 祭壇の貸与 消火器の貸与 装身具の貸与

温泉は地域団体商標

平成18年4月1日に地域団体商標制度が開始され、地域ブランド育成の早い段階で商標登録を受けられる制度となっています。典型的な地域団体商標は、地域名プラス生産物名というところですが、温泉自体を地域ブランドとして認識して、温泉名を登録する例が増えています。事業協同組合等の特別の法律により設立された組合や、商工会、商工会議所、NPO法人(特定非営利活動法人)並びにこれらに相当する外国の法人も商標登録の出願人になれます。

既に地域団体商標として商標登録のある温泉

(平成26年5月3日現在)
熱海温泉有馬温泉粟津温泉芦原温泉/あわら温泉伊香保温泉伊豆長岡温泉伊東温泉越後湯沢温泉雄琴温泉片山津温泉鴨川温泉、川治温泉、菊池温泉鬼怒川温泉城崎温泉草津温泉黒川温泉下呂温泉小湊温泉塩原温泉四万温泉蓼科温泉玉造温泉杖立温泉土湯温泉道後温泉十勝川温泉長門湯本温泉長良川温泉南紀白浜温泉原鶴温泉三朝温泉山代温泉山中温泉湯河原温泉湯郷温泉湯の花温泉湯原温泉和倉温泉

ホテル・旅館・温泉施設についての係争・事例

a.湯~トピア商標権侵害事件

平成27年11月5日判決 平成27年(ネ)第10037号 商標権侵害行為差止等請求控訴事件 (原審・東京地方裁判所平成25年(ワ)第12646号)
本件は湯~とぴあの商標権を所有する商標権者が、函南町の温泉施設湯~トピアかんなみが使用する標章は、商標権侵害であると訴えた事件です。特許庁では、原告商標の登録とは非類似として、函南町の商標は登録されました。東京地裁では、原告商標を結合商標として分離して「湯~とぴあ」を要部とし、排他的な効力を認め、湯〜トピアかんなみ」の使用差止と1200万円の損害賠償の支払いを命じました。知財高裁での控訴審では、「ゆうとぴあ」(「ユートピア」)と称呼される語は、「湯」の漢字を含む場合であると、「湯」の漢字を含まない場合であると、いずれの場合であっても、入浴施設の提供という役務においては全国的に広く使用されているということができる。原告商標の「湯~とぴあ」の部分だけを抽出して、被告標章と比較して類否を判断することは相当ではなく、同時に、被告標章のうち,上段部分の,「湯~トピア」と「かんなみ」の部分を分離観察せずに、一体的に観察して、原告商標との類否を判断するのが相当である。と判断して、原告商標と被告標章は非類似と判断しています。判示するところは、特許庁と裁判所は異なる判断をすることがあり、結合商標の場合、要部の抽出を異ならせると異なる結果となり易いというところでしょうか。

原告 登録商標 第3112304号
原告 登録商標 第3112304号
被告 標章
被告標章の例 尚、本件では、函南町の花であるハコネザクラは白色の標章が争われている。

b.おんせん県おおいたの事例

大分県はかつて「おんせん県」を商標出願しましたが、拒絶理由が通知され、大分県は商標登録を一旦は断念しています。他の温泉を有する県もありますので、大分県に独占させる訳にはいかないと判断されたものと思われます。再挑戦した商標は、下図です。無事に登録されています。湯桶のイラスト付きとしたことで、3条の拒絶を回避していますし、赤い湯気がOITAとも読めますし、「おんせん県」の次に「おおいた」の文字も一連称呼される形式で追加されています。湯桶のイラストだけでも3条の拒絶は回避できると思いますが、おおいたの文字を2か所に加えて、他県との差別化をさらに図っています。文字だけ見ても、他の県がおんせん県~や~おんせん県というような商標(~は“おおいた”とは非類似の言葉)をとるのに妨げとはならないように思います。この件に限らず、一般的に、一度駄目でも再挑戦することで、商標登録を得ることは十分に可能です。

商標登録第5628132号 商標権者 大分県
商標登録第5628132号
商標権者 大分県