商標登録+α: 拒絶理由通知に対する意見書記載例#32

意見書例 +α

特許庁審査官等から受けた拒絶理由通知等に対し、反論した「意見書、審判請求書」の具体例を小川特許商標事務所のサイトから転載しております。

本願商標「SuperJ Engine/スーパージェイエンジン」×引用商標1「ENGINE」、2「エンジン」

1.出願番号  商願2000-118213
2.商  標  「SuperJ Engine/スーパージェイエンジン」
3.商品区分  第9類:電子応用機械器具及びその部品 他
4.適用条文 商標法第4条第1項第11号
5.拒絶理由 「SuperJ Engine/スーパージェイエンジン」は
       「ENGINE」と「エンジン」に類似する。

出願商標・商標登録第4556657号
引用商標1・商標登録第4243616号
引用商標2・商標登録第4356747号(標準文字)

意見書における反論

(1) 拒絶理由通知書において、本願商標は、登録第4243616号(商願平4-116001)の商標(以下、「引用商標1」という)、及び登録第4356747号(商願平10-80857)の商標(以下、「引用商標2」という)と同一又は類似であって、その商標に係る指定商品と同一又は類似の役務に使用するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当すると認定された。しかしながら、本出願人は、本願商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれにおいても紛れることのない非類似の商標であると考えるので、前記認定には承服できず、以下に意見を申し述べる。
(2) 本願商標は、願書の商標見本から明らかなように、欧文字の「SuperJ Engine」を上段に、片仮名の「スーパージェイ エンジン」を下段にそれぞれ配置して、「SuperJ Engine/スーパージェイ エンジン」と二段併記した態様から成るものである。これに対し、引用商標1は欧文字で「ENGINE」と書したものであり、引用商標2は片仮名文字で「エンジン」と書したものである。したがって、本願商標と引用商標1,2とは、外観上類似しないことは明らかである。
(3) また、本願商標の「SuperJ Engine/スーパージェイ エンジン」は、上段欧文字の「SuperJ」と「Engine」、及び下段片仮名文字の「スーパージェイ」と「エンジン」との間にそれぞれやや間隔を開けた態様ではあるが、左右バランス良く配置されたものであって、その態様より、全体として「より優れたジェイのエンジン(機関,発動機)」の如き意味合いを看取させるものである(具体的且つ直接的にどの様な内容のものかは別として)。 これに対し、引用商標1,2は、その態様より、単に「エンジン(機関、発動機)」の観念を生ずるのみである。よって、本願商標と引用商標1,2とは、観念上も紛れることのない非類似の商標である。
(4) そこで、次に称呼の点につき検討するに、本願商標の「SuperJ Engine/スーパージェイ エンジン」は、二段併記した態様であるが、全体が左右軽重の差なくバランス良く配置され、かつ上述の如く全体として「より優れたジェイのエンジン(機関,発動機)」の如き一つの意味合いを生じさせるものであるので、本願商標は一連に称呼するのが自然であり、取引者・需用者は常に「スーパージェイエンジン」と称呼するものと思料する。
この点に関し、審査官殿は、本願商標の要部は単に「Engine」「エンジン」の部分にあり、「エンジン」とのみ称呼される場合もあるとして、上記2つの商標を引用したのだと思料するが、これは誤った見方である。
 拒絶理由通知書を見る限りにおいては、(a)「SuperJ/スーパージェイ」が要部となり得ないので、「Engine/エンジン」が要部だと見たのか、それとも、(b)左右にやや間隔を開けているから「SuperJ/スーパージェイ」と「Engine/エンジン」のそれぞれに要部があり且つ別々に分離して把握できると見て、引用商標1,2の「ENGINE」と「エンジン」を引用してきたのか定かではないが、いずれにしても本願商標を分断して把握する手法は誤ったものであると考える。
 即ち、まず第1に、上記(a)の本願商標の「SuperJ/スーパージェイ」の部分は要部とはなり得ないのかという点であるが、本願商標前段の構成は「Super/スーパー」のみでなく、また「J/ジェイ」のみでなく、これらが一体に結合して「SuperJ/スーパージェイ」と書したところに特徴があり、従ってこの結合部分は十分に識別性を備えているものと思料する。つまり、「Super/スーパー」と「J/ジェイ」が結び付くことによって、この部分は一体不可分の構成要素になったのであって、この結合により識別力を有する(即ち、要部を構成し得る)と思料する。
 そして、このことは、過去の登録例を見ても理解できる。例えば、本願と同一である第9類の相互に抵触する商品を含む商標権同士において、例えば、
 A.登録第4165487号「SUPER DRY」(株式会社明電舎)(第1号証)と、登録第4417733号「DRY」(キャノン株式会社)(第2号証)の商標は併存しているが、これは、「SUPER DRY」を一体不可分の商標と認識し、単なる「DRY」とは異なる!とでも解釈しない限り、説明が付かない。また、
 B.登録第2564773号「STAR」(スター精密株式会社(第3号証))と、登録第3226118号「SUPER STAR」(富士写真フイルム株式会社)(第4号証)の商標も併存しているが、これも、「SUPER STAR」を一体不可分の商標と見て、単なる「STAR」とは異なるとでも解釈しない限り説明が付かない。さらに、
 C.登録第2625889号「PROJECT」(パイオニア株式会社)(第5号証)と、登録第2699457号「SUPERPROJECT」(コンピューター・アソシエイツ・インターナショナル・インコーポレーテッド:米国法人)(第6号証)の商標も併存しているが、これなども、「SUPERPROJECT」を一体不可分の商標と見て、単なる「PRPJECT」とは異なるものだ!とでも解釈しない限り説明が付かない。
このように、本願の指定商品分野においては、「SUPER」の文字は他の文字と結び付くことによって、その文字を修飾し、その文字と共に一体の識別力ある商標を形成していると理解できるのであるから、本願商標中の「SuperJ/スーパージェイ」の部分も識別力を備えた一体不可分の商標とみるべきである。
このことは又、例えば、同じく第9類を指定商品とする商願平8-128132の商標「SuperH」(日立製作所:平成8年11月15日出願)が、平成10年4月17日に第4136170号(第7号証)として商標登録されている事実からも伺い知ることが出来る。つまり、これなどは、「Engine/エンジン」の文字を含み且つ欧文字と片仮名文字を二段併記した本願商標に比べれば、欧文字で単に「SuperH」と横書きしただけの遥かに簡略な商標であるが、それでも識別力のある商標として登録されているのである。
 然るに、この「SuperH」に識別力が認められて、本願商標の「SuperJ/スーパージェイ」の部分に識別力が認められないわけがない。それ故、この「SuperJ/スーパージェイ」の部分に識別力が認められないから「Engine/エンジン」の部分だけで商標を把握する、というような見方は間違いである。
 そして第2に、上記(b)の点であるが、本願商標は、なるほど欧文字の「SuperJ」と「Engine」、及び片仮名文字の「スーパージェイ」と「エンジン」との間にそれぞれやや間隔を開けた態様ではある。
 しかしながら、この間隔は単にブレスポイントを示したものであって、両者を分断するためのものではない。両者を分断して、それぞれに商標の要部があるとするような把握の仕方をして、例えば、要部は「エンジン」のみにもあるというような見方をしたのでは、「一体どんなエンジン」の意味合いがあるのかを理解することは出来ない。本願商標は、全体が一体に把握されてこそ「より優れたジェイのエンジン(機関,発動機)」という一つの意味合いが生じるのであって、全体として一つの意味合いを観念させるところに特徴がある。一つの意味合いを把握できる場合に、わざわざ分断してその商標を把握するような仕方は通常為されないであろう。
 確かに、本願商標は一連に称呼してやや冗長な商標であることは否めない。しかし、ブレスポイントに倣って、「スーパージェイ・エンジン」と称呼すれば、全体として語呂もよく称呼しやすい商標である。また、その様に一連に称呼してこそ一つの意味合いを生じさせる商標である。それ故、取引者・需要者が、本願商標を捉えて、あえて「スーパージェイ」とのみ称呼したり、単に「エンジン」とのみ称呼するようなことはあり得ないはずである。分断して称呼したのでは不自然である。それでは本願商標のまとまった観念を把握できないし、本願商標としての識別力を正確に発揮することはできない。本願商標は全体を一連に「スーパージェイエンジン」とのみ称呼されるはずである。
以上のように、本願商標は、常に「スーパージェイエンジン」と称呼されるものであり、単なる「エンジン」の称呼しか生じない引用商標1及び2と称呼上類似するものではない。
(5) 以上述べたように、本願商標は、引用商標1,2と、外観、称呼及び観念のいずれにおいても紛れることのない非類似の商標であり、商標法第4条第1項第11号の規定に該当するものではない。

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