地域団体商標の意外な落とし穴 本当に海外に展開できますか?

地域団体商標制度で忘れられている登録上の問題点

特許庁が旗振り役となり、地域団体商標制度(2006年4月1日に導入)が地域振興に一役買ってきたことは確かだと思いますが、同じような商標の保護が海外でも可能かというと、そうでもない場合が存在します。商標登録の落とし穴は米国などの海外に展開した場合に分かる場合があり、地域団体商標を付した商品やサービスの海外展開拡大を支援するためのブランドプロデューサーの方は落とし穴のパターンを予め知って置く必要があります。

米国での展開の落とし穴

地域団体商標は本来識別力が弱い商標を団体で管理するので少し登録要件を緩めて特許庁が大目に見て登録している側面があります。この地域団体商標の登録のフォーマットとしては、1)地域の名称と、2)普通名称を連続させた文字商標になり、例えば夕張メロンや松阪牛などが有名どころと思います。ところで、米国の商標実務では、地域の名称(geographical name)には自他商品識別力がなく、普通名称の部分にも自他商品識別力がないと判断されます。例えば、日本の登録のまま、或いはローマ字に変換した日本語の文字商標を米国に出願した場合では、商標が文字商標として把握されれば意味を聞かれますので、地域名称+普通名称の文字商標であることが米国の審査官にも理解され、さらに米国の場合には、foreign equivalent doctrineが効いてきますので、geographical nameとgeneric nameの組み合わせでも識別力がない商標として拒絶理由を受け取ることになります。米国に直接した出願、例えば1aや1bの出願ベースの場合に、識別力がない商標として拒絶理由を受け取れば、主登録を諦めて補助登録をすれば、商標としての保護を確保することができます。しかし、マドリッド制度の出願ベース66aの場合は、主登録から補助登録への変更ができないため、登録を諦めることになります。使用による顕著性の獲得は、一般的に5年以上の使用による周知性が要求されますので、販売開始前に地域団体商標について商標権の確保を狙っていた場合は方向転換が必要です。

地域団体商標のロゴ化

日本で登録された地域団体商標についての米国での拒絶は、多分に識別力がないことに原因がありますので、長期間の宣伝活動を計画するよりは、登録された文字商標と併存させる形でロゴ化などの図形と組み合わせた商標を準備し、それを米国向けの商品に付与する計画を立てる方が現実的です。マドプロを使わない直接出願で少なくとも補助登録を確保し、並行してロゴ化した文字と図形の商標で連邦主登録を狙うのが良いように思います。地域団体商標の文字登録のまま国際出願をして米国を指定するのが落とし穴のパターンですので、米国向けにはマドプロを使わない直接出願を選択すべきでしょう。

shirakawago
白川郷、岐阜

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