商標登録+α: 拒絶理由通知に対する意見書記載例#11

特許庁審査官等から受けた拒絶理由通知等に対し、反論した「意見書、審判請求書」の具体例を小川特許商標事務所のサイトから転載しております。

本願商標「果実実感」×引用商標「ジッカン」

1.出願番号  平成7年商標登録願第102034号
2.商  標  「果実実感」
3.商品区分  第32類:清涼飲料、果実飲料 *後に「果汁入り清涼飲料,果肉入り清涼飲料,果実飲料」に補正。
4.適用条文 商標法第4条第1項第11号
5.拒絶理由  「果実実感」は「ジッカン」に類似する。

出願商標 引例商標 登録第208705号
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意見書における反論

(1)拒絶理由通知書において、本願商標は登録第2028705号(商公昭62-55062号)の商標(以下、「引用商標」という)と類似であって、その商標登録に係る指定商品と同一又は類似の商品に使用するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当し登録できないと認定された。

 しかしながら、本出願人は、本願商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれにおいても紛れることのない非類似の商標であると考えるので、前記認定には承服できず、以下に意見を申し述べる。

(2)本願商標は、願書に添付した商標見本から明らかなように、漢字で一連に「果実実感」と書した態様からなるものである。

 これに対し、引用商標は、女性の顔図形の下に「TSUMURA」と小さく書し、その下にやや大きくカタカナ文字で「ジッカン」と書した態様である。

 したがって、本願商標と引用商標とは、外観上類似しないことは明らかである。

(3)また、本願商標の「果実実感」は、「果実」の文字と「実感」の文字とを結合して一連一体に書したものであり、従って、その商標態様より、「果実を実感する」「果実を実際に食しているかのような生き生きとした感じを受ける」等の観念を生じさせるものである。

 つまり、本願商標中の「果実」の言葉は、指定商品第32類「清涼飲料、果実飲料」との関係にあって、その原材料名を表す言葉ではあったとしても、本願商標はその「果実」の言葉のみから成るものではなく、あくまで「実感」の言葉と一体となって、「果実実感」が全体として上記した特定の観念を生じさせるものであり、「実感」の部分が単独で識別され且つ観念されるようなことはない。本願商標は、あくまで「果実実感」で1つの商標であり、分断されて認識されるものではない。

 これに対し、引用商標は、単に津村の「ジッカン」であり、何のジッカンなのか(十干?、実感?)定かではなく、ましてや本願商標の前記観念を生じさせるものではない。仮に、「ジッカン」が「実感」を表すものと認識されたとしても、それはあくまでも「実物に接して起こる感じ」を認識させたにすぎず、上記したような本願の観念は生じない。

 よって、本願商標と引用両商標とは、観念上も紛れることのない、非類似の商標である。

(4)そこで、次に称呼の点につき検討するに、本願商標「果実実感」は、全体が一連に書され、かつ上述の如く全体として一つの意味合いを生じさせるものであるから、常に一連に称呼するのが自然であり、「カジツジッカン」とのみ称呼されるものと思料する。

 この点、審査官殿は、本願商標中の「果実」の部分は、指定商品との関係にあって、要部を構成せず、従って「実感」のみに識別力を生じ、単に「ジッカン」の称呼も生じるとみて今般の拒絶理由通知を発したのではないかと推察するが、その認定はおかしい。

 例えば、この商品の分野において、前段部分はいかにも商品の原材料表示と見える商標であっても、他の言葉と結びつくことによって、分断できない一つの商標と認識され、登録ないし公告になったケースは以下の如く多く存在する。

a.N29 S63-013801K 2080858T びわ美人      ㈱壮健化学
b.N29 H02-011571K 2265272T りんご美人     十和田果汁生産組合
c.N29 H03-104539K 2439770T びじん@美人    タイガー魔法瓶㈱
d.K32 H08-057389K 果実美人      ネスコベンディング㈱
e.K32 H08-095245K ビタミン美人    明治乳業
f.K32 H08-095288K カルシウム美人   明治乳業

 これらの商標の存在は、全体として観察し、分断できない商標と認識しなかったならば説明がつかない。また、以下の商標も前段部分が要部でないとの判断がされていたならば併存することのない商標であるが、一体の商標と捉え、併存している。

g.N29 S61-014708K 1905895T 野菜牧場      カゴメ㈱
h.N29 S63-089239K 2160151T 果物牧場      カゴメ㈱
i.N29 H01-026625K 2198378T 果実牧場      カゴメ㈱
j.N29 H01-026626K 2198379T フル-ツ牧場    カゴメ㈱
k.K32 H07-045412K 3130546T 果汁牧場      森永乳業㈱ 

(*但し、hijは、前段が同様の意味なので、互いに連合である)。更に、以下も同様な例と思われる。

l.N29 H05-077664K 2655623T レモンク-ル 明治乳業㈱
m.K32 H07-077835K 3152736T ウメク-ル 大塚 正士
n.K32 H08-146324K   ★クール サッポロビール㈱

 このように、「原材料を表す言葉」+「美人」や「牧場」や「クール」などは、互いに併存しており、本願商標「果実実感」と引用商標「ジッカン」との関係も同様のケースと思われる。

 以上述べたように、本願商標は、i)前段と後段を分けることなくあくまで一連に書した態様であること、②全体としてまとまった特定の意味合いを観念させるものであり、分断して発音すべき理由がないこと、ii)「果実」(カジツ)の部分も「実感」(ジッカン)の部分も軽重の差なく称呼できること、iii)「果実」の部分は前段部分にあり、称呼上重要な位置を占め、この部分を省略して発音することはあり得ないと考えられること、⑤全体として一連に称呼して語呂がよく称呼しやすいこと、それ故、一連に称呼するのが自然であると考えられること、iv)果実飲料等の分野において、原材料を表す言葉と他の言葉との結合商標である場合には、あくまで全体として一つの商標と捉えて登録されている例は多く存在していること、等の理由から、本願商標はあくまで「カジツジッカン」とのみ称呼されるものと思料する。

 そこで、本願商標の称呼である「カジツジッカン」と引用商標の称呼である「ジッカン」とを対比すると、「カジツ」の称呼の有無によって、両者は音数及び語感語調が全く異なり明確に識別できると考えるので、両者は称呼上も相紛れることのない非類似の商標であると考える。

(5)以上のように、本願商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれにおいても、紛れることのない非類似の商標である。
 よって、本願商標は引用商標の存在如何にかかわらず、充分登録性を有するものと思料します。

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商標登録+α: 拒絶理由通知に対する意見書記載例#10

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本願商標「SARANSPERIOR/サランスペリオール」×引用商標「サラン/SARAN」

1.出願番号  平成6年商標登録願第69547号
2.商  標  「SARANSPERIOR/サランスペリオール」
3.商品区分  第3類:せっけん類,香料類,化粧品,歯磨き
4.適用条文 商標法第4条第1項第11号
5.拒絶理由  「SARANSPERIOR/サランスペリオール」は「サラン/SARAN」に類似する。

出願商標 引例商標 登録第3107500号
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意見書における反論

(1)拒絶理由通知書において、本願商標は登録第3107500号(商公平7-48254号)の商標(以下、「引用商標」という)と類似であって、その商標登録に係る指定商品と同一又は類似の商品に使用するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当し登録できないと認定された。

 しかしながら、本出願人は、本願商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれにおいても紛れることのない非類似の商標であると考えるので、前記認定には承服できず、以下に意見を申し述べる。

(2)本願商標は、願書に添付した商標見本から明らかなように、「SARANSPERIOR」の英文字を上段に、「サランスペリオール」の片仮名文字を下段にそれぞれ配置して、「SARANSPERIOR/サランスペリオール」と二段併記してなるものである。

 これに対し、引用商標は、「サラン」の片仮名文字を上段に、「SARAN」の英文字を下段にそれぞれ配置して、「サラン/SARAN」と二段併記してなるものである。

 従って、両者は、外観上類似しないことは明らかである。

また、本願商標は、「SARANSPERIOR/サランスペリオール」と、英文字部分と片仮名文字部分を一連に書した態様で、何の意味も有しない造語であるが、引用商標は、「合成樹脂の一。塩化ビニリデン(CH2=CCl2)と少量の塩化ビニルとの共重合体。耐薬品性が大。吸湿性小。自動車の内装、漁網、食品包装用フィルムに用いる。」(広辞苑)もので、特に、食品包装用フィルムとしては、「サランラップ」としてなじみのある「サラン」を表すものであるから、両者は観念上も類似することはない。

(3)そこで、称呼の点につき検討するに、本願商標は、上下段とも一連に書した態様で且つ何の意味も有しない造語であることから、常に「サランスペリオール」と一連に称呼され、単に「サラン」と称呼されることはないと思料する。この点、審査官殿は、全体がやや冗長であることから、「SARAN」「サラン」の部分をとらえて、単に「サラン」と称呼されることもあると考えて前記の通り認定したものと思料するが、本出願人は、そのようなことはないと考える。

 即ち、本願商標は、①前段・後段を分けることなくあくまで一連に書した態様であること、②全体として特定の観念を有しない造語であって区切って発音すべき理由がないこと、③「スペリオール」の部分も称呼上のウェイトが大きいため、この部分を省略して発音することはあり得ないこと、④全体として一連に称呼して語呂がよく称呼しやすいこと、それ故、一連に称呼するのが自然であると考えられること、⑤石けんや化粧品等の指定商品との関係においては多少長めの称呼も市場に多数存在するが、取引者・需用者は一連に称呼するのが常であって省略して称呼するような実情にないこと、⑥特に、化粧品などの需用者は、商標を注意深く観察し購買するのが常であって、商標部分は一連一体に把握するのが普通であること、等の理由から、本願商標はあくまで「サランスペリオール」とのみ称呼されるものと思料する。

 そこで、本願商標の称呼である「サランスペリオール」と引用商標の称呼である「サラン」とを対比すると、「スペリオール」の称呼の有無によって、両者は音数及び語感語調が全く異なり明確に識別できるので、称呼上も相紛れることのない非類似の商標である。

(4)以上のように、本願商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれにおいても、紛れることのない非類似の商標である。
 よって、本願商標は引用商標の存在如何にかかわらず、充分登録性を有するものと思料します。

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商標登録+α: 拒絶理由通知に対する意見書記載例#9

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本願商標「ピュアエステ/B ブリアント」×引用商標「VALIANT/ヴァリアント」

1.出願番号  平成5年商標登録願第39743号
2.商  標  「ピュアエステ/B ブリアント」
3.役務区分  第42類 美容,理容
4.適用条文 商標法第4条第1項第11号
5.拒絶理由  「ピュアエステ/B ブリアント」は「VALIANT/ヴァリアント」に類似する。

出願商標 引例商標 登録第3147571号
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意見書における反論

(1)拒絶理由通知書において、本願商標は登録第3147571号(商公平07-068330号)の商標(以下、「引用商標」という)と同一又は類似であって、その商標登録に係る指定商品と同一又は類似の商品に使用するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当し登録できないと認定された。
 しかしながら、本出願人は、本願商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれにおいても紛れることのない非類似の商標であると考えるので、前記認定には承服できず、以下に意見を申し述べる。

(2)本願商標は、願書に添付した商標見本から明らかなように、やや小さく記載した「ピュアエステ」の片仮名文字を上段に、「B」の装飾欧文字及び「ブリアント」の片仮名文字を下段に書して、「ピュアエステ/B ブリアント」と二段書きした構成からなるものである。

 これに対し、引用商標は、「VALIANT」の欧文字を上段に、「ヴァリアント」の片仮名文字を下段にそれぞれ書して、「VALIANT/ヴァリアント」と二段に構成してなるものである。

 したがって、本願商標と引用商標とは、外観上類似しないことは明らかである。

また、本願商標の構成中「ブリアント」の文字部分は格別の意味を有しない造語であり、一方、引用商標の「VALIANT/ヴァリアント」は、「雄々しい、勇壮な、勇敢な」とか「立派な、優れた、価値のある」等(形容詞)の意味を有する言葉であって、本願商標と引用商標とは、観念上も類似することはない。また、本願商標の「ブリアント」以外の他の部分においても、引用商標と観念上同一又は類似する部分はない。

(3)そこで、次に称呼の点につき検討する。

 本願商標は、上記態様より、「ピュアエステ ブリアント」の称呼を生じるが、「ブリアント」の片仮名文字部分より、単に「ブリアント」の称呼を生じる場合もあると考える。この点、審査官殿も同様に認定したものと思われる。

 これに対し、引用商標は、その態様より「ヴァリアント」の称呼を生じるものである。

 そこで本願商標の称呼の1つである「ブリアント」と引用商標の称呼である「ヴァリアント」とを比較すると、両者の称呼上の差異は、「ブ」と「ヴァ」の一音にあるが、この場合でも、以下の理由により、本願商標と引用商標とは、互いに称呼上紛れることのない非類似の商標であると思料する。

a.「ブ」と「ヴァ」は母音が「u」と「a」で互いに遠い音であり、口をすぼめて発音する前者と、口を大きく開いて発音する後者とでは、発声方法が異なり、称呼上明瞭に聴取且つ識別できる。
b.しかも、この差異は、称呼上最も重要な位置を占め全体に大きな影響を及ぼす語頭音における「ブ」と「ヴァ」の差異である。
c.両商標とも、アクセントはこの「ブ」と「ヴァ」にあり、強く称呼され、両者の称呼上の違いがより強調される。
d.本願商標(サービスマーク)の対象役務は、42類の「美容,理容」であるが、この役務の関係、殊にエステティックの関係等においては、カタカナ名の商標(サービスマーク)が多く存在し、そのネーミングも化粧品分野等と同様にイメージを大切にし、その需要者・取引者層もカタカナ名のネーミングに親しんだ層であるから、上記、語頭音における「ブ」と「ヴァ」の差異は明確に識別し得るものと思われる。

(4)そして、このことは、以下の2つの商標が登録され、あるいは公告された事実からも言い得ることである。
 即ち、本出願人は、既に、
 A.商願平5- 34391「B ブリアント」(第42類 美容,理容)を出願しているが、これは、商公平8-142458号として出願公告され、登録第3312314号(H9/5/23登録)として、登録されている(この出願公告の決定謄本を第1号証の1として、商標公報を第1号証の2として、登録査定の謄本を第1号証の3として、商標登録通知書を第1号証の4として、それぞれ提出する)。
 また、
 B.商願平5-119617「若返りサロン ブリアント」(第42類 美容,理容)を出願しているが、これは、商公平9-21386号(H3/3/17公告)として出願公告されている(この出願公告の決定謄本を第2号証の1として、商標公報を第2号証の2として、それぞれ提出する)。

このように、同じく第42類「美容,理容」の分野において、「ブリアント」の文字を含む商標を審査した2人乃至3人の審査官の判断によれば、「ブリアント」は、他に類似する商標がないとして、いずれも公告決定(ないし登録査定)がなされている。これは、語頭音における「ブ」と「ヴァ」の差異により、両者は明確に識別し得るものと判断して、今回の引用商標を引用しなかったものと思われる。

 然るに、本願商標も先の上記A.Bの商標と同様のケースである。

(5)以上のように、本願商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれにおいても、紛れることのない非類似の商標であると考える。

 よって、本願商標は引用商標の存在如何にかかわらず、充分登録性を有するものと思料します。

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商標登録+α: 拒絶理由通知に対する意見書記載例#8

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本願商標:「MobileBoard/モバイルボード」

1.出願番号  平成10年商標登録願第70795号
2.商  標  「MobileBoard/モバイルボード」
3.商品区分  第9類:電子機械器具及びその部品
4.適用条文 商標法第3条1項3号、第4条第1項第16号
5.拒絶理由  「『PHS通信カード、デジタル携帯通信カード等のモバイル周辺機器及び携帯情報端末、携帯用ノートパソコン、携帯電話等のモバイル商品』について使用するときは、これに接する取引者・需用者が、モバイル周辺機器用のボード盤又は該ボードを搭載したものであると理解するにすぎない。」

出願商標
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審判における反論

(1)手続の経緯
出願 平成10年 8月20日
拒絶理由の通知 平成11年10月 1日(起案:平成11年 9月21日)
意見書   平成11年10月 8日
拒絶査定 平成11年11月11日
同謄本送達   平成11年11月26日

(2)拒絶査定の理由の要点
原査定の拒絶理由は、「本願は、平成11年9月21日付けで通知した理由によって、拒絶をすべきものと認める。なお、出願人は意見書において種々述べているが、さきの認定を覆すにたりない。」というものであり、具体的には、拒絶理由通知書に示すとおり、「本願商標は、『携帯用ボード盤』程度の意味合いを認識する『MobileBoard』『モバイルボード』の文字を普通に用いられる方法で書してなるので、これをその指定商品中『PHS通信カード、デジタル携帯通信カード等のモバイル周辺機器及び携帯情報端末、携帯用ノートパソコン、携帯電話等のモバイル商品』について使用するときは、これに接する取引者・需用者が、モバイル周辺機器用のボード盤又は該ボードを搭載したものであると理解するから、単に該商品の品質・機能を表示するにすぎないものと認められ、したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるから、商標法第4条第1項第16号に該当する」というものである。
なお、意見書に添付して第7号証として提出した登録第4015035号「SOUNDBOARD\サウンドボード」に関して、付与後異議申し立てにより指定商品の一部が取り消されている旨の指摘が原査定でなされている。

(3)本願商標が登録されるべき理由
然るに、本出願人は、意見書において、本願商標が2つの言葉を結合した造語商標であって、一般的に品質・機能表示として流通し機能しているわけではないこと、及び、現に「MOBILE」「モバイル」や「BOARD」「ボード」の文字を含む商標は多数登録されていること、等の事実を指摘し、本願商標は拒絶理由には該当しないことを主張したにも拘わらず、かかる認定をされたことに対しては承服できないところがある。従って、ここに再度ご審理を頂きたく、審判を請求する次第である。

(A)本願商標の構成
 本願商標は、願書に表示した商標からも明らかなように、英文字と片仮名文字で「MobileBoard/モバイルボード」と二段併記した態様からなるものであり、且つ指定商品を第9類の「写真機械器具,映画機械器具,光学機械器具,電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品,録画済みビデオディスク及びビデオテープ,自動販売機」とするものである。

(B)審査官の認定に対する反論
 然るに本願商標の「MobileBoard/モバイルボード」は、審査官もご指摘のように、「Mobile」と「Board」の言葉の意味合いを考えれば、なるほど全体として「携帯用ボード盤」程度の意味合いになり得ることは否定するものではないが、一般的には、そのような意味合いを表す言葉(熟語)として、「MobileBoard/モバイルボード」が理解され、確立されているという事実はない。
 「MobileBoard/モバイルボード」が、ある一つの商品を表す言葉としてコンピュータ・電子・通信等を扱う業界において確立され流通されていればまだしも、そのような事実がない以上、本願商標を以て、単に品質・機能表示だと言うことはできないものと思料する。
 そして仮に、本願商標を「携帯用ボード盤」という意味に取ったとしても、それが如何なる商品を表すものなのか定かではないし、「モバイル周辺機器用のボード盤又は該ボードを搭載したもの」というのも、如何なる商品を想定しているのか定かでない。それ故、取引者・需用者が、モバイル商品に使用されている本願商標をみて、モバイル周辺機器用のボード盤又は該ボードを搭載したものであるなどと理解することも、通常はあり得ないと思料する。

この点に関連して、例えば、「Mobile」「モバイル」や「Board」「ボード」を用いた商標は、以下のように、本願と同一の商品分野において、多数登録されている。

a.登録第4005656号 「MOBILEGEAR\モバイルギア」……第1号証
b.登録第4207016号 「MobileScope\モバイルスコープ」……第2号証
c.登録第4235975号 「MOBILEGUIDE」……………………第3号証
d.登録第4246235号 「モバイルナビゲーター」………………………第4号証
e.登録第2265121号 「メガボード\MEGABOARD」…………第5号証
f.登録第3174832号 「SMARTBOARD\スマートボード」…第6号証
g.登録第4038849号 「MusicBoard」………………………第7号証
h.登録第4059464号 「POWER BOARD」…………………… 第8号証
i.登録第4153450号 「Partitionboard\パーティションボード」…第9号証
j.登録第4194389号 「リモートボード\remoteboard」…… 第10号証
k.登録第4200706号 「Stationboard\ステーションボード」………第11号証
l.登録第4206317号 「Contactboard\コンタクトボード」…………第12号証

 もし仮に、審査官の考え方に従うのであれば、上記aの「MOBILEGEAR\モバイルギア」は「携帯用電動装置」程度の意味合いを認識させるであろうし、また、bの「MobileScope\モバイルスコープ」は「携帯用検器」程度の、cの「MOBILEGUIDE」は「携帯用誘導装置」程度の、dの「モバイルナビゲーター」は「携帯用進路自動調整装置」程度の、それぞれ意味合いを生ずるということになるのであろう。

そして、その意味合いからすれば、これらを、その指定商品中「PHS通信カード、デジタル携帯通信カード等のモバイル周辺機器及び携帯情報端末、携帯用ノートパソコン、携帯電話等のモバイル商品」について使用するときは、審査官の考え方に従えば、これに接する取引者・需用者は、モバイル周辺機器用の商品を搭載したものであると理解し、単に該商品の品質・機能を表示するにすぎないということになって、拒絶と言うことになるであろうが、実際には登録されている。

また、同様に、もし仮に審査官の考え方に従うのであれば、eの「メガボード\MEGABOARD」は「大容量用のボード盤」程度の、fの「SMARTBOARD\スマートボード」は「細くすらりとしたボード盤」程度の、gの「MusicBoard」は「音楽ボード盤」程度の、hの「POWER BOARD」は「出力ボード盤」程度の、iの「Partitionboard\パーティションボード」は「仕切りボード盤」程度の、jの「リモートボード\remoteboard」は「遠隔操作用のボード盤」程度の、kの「Stationboard\ステーションボード」は「局となるボード盤」程度の、lの「Contactboard\コンタクトボード」は「交信ボード盤」程度の、それぞれ意味合いを生ずるということになるのであろう。

そして、その意味合いからすれば、これらをその指定商品について使用するときは、審査官の考え方に従えば、これに接する取引者・需用者は、単に該商品の品質・機能を表示するにすぎないということになって拒絶と言うことになるのであろうが、実際には登録されているのである。

このように、審査官のような見方をすれば、一見、品質・機能表示的な商標と思われるものであっても、実際には、本願商品分野において、拒絶されることなく登録されている例は多数にのぼっている。

 然るに、これらの商標が登録できて、本願商標の「MobileBoard/モバイルボード」だけが、登録できないとされるいわれはない。本願商標は、あくまでも「Mobile」「モバイル」と「Board」「ボード」が結合して一体となった造語商標であり、一般的に品質・機能表示として流通し機能しているわけではないのであるから、十分に自他商品識別力を有し、登録適格なものと思料する。

なお、拒絶査定において審査官が指摘した、第7号証の登録第4015035号「SOUNDBOARD\サウンドボード」に関する付与後異議申し立てにおける指定商品の一部取り消しに関してであるが、この取り消された指定商品は「電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品」であるところ(平成9年異議第90278号の異議の申し立てについての決定=第13号証参照)、これは所定期間内に意見書を提出しなかったことにも一因があり、しかも英和辞典を紐解けば明らかなように、「sound board」は「sounding board」のことであり、「共鳴板」とか「反響板」とかを意味する熟語として確立された言葉となっていることが、その一部取り消しの大きな要因であったと思料する。つまり、英和辞典等に熟語として載せられている「SOUNDBOARD\サウンドボード」と、造語商標であって、熟語として未だ確立されていない本願商標の「MobileBoard/モバイルボード」とでは、意味合いが異なる。

(4)むすび
 以上の次第でありますので、本願商標の「MobileBoard/モバイルボード」は、既存の前記登録商標などと同様に自他商品識別力を有し、充分に登録適格性を有するものと思料します。

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商標登録+α: 拒絶理由通知に対する意見書記載例#7

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本願商標「MAGIC STUDIO×引用商標「スタジオマジック」

1.出願番号  平成11年商標登録願第64777号
2.商  標 「MAGIC STUDIO」
3.商品区分  第9類:電子応用機械器具及びその部品等
4.適用条文 商標法第4条第1項第11号
5.拒絶理由 「MAGIC STUDIO」は「スタジオマジック」に類似する。

出願商標 引例商標 登録第4371616号 標準文字
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意見書における反論

(1) 拒絶理由通知書(発送番号097123)において、本願商標は、登録第4371616号の商標(以下、引用商標という)と類似し、その商標に係る指定商品も同一又は類似するものであるから、商標法第4条第1項第11号の規定に該当し、登録を受けることができないと認定された。

 しかしながら、本出願人は、本願商標と引用商標とは、外観,称呼および観念のいずれにおいても類似せず、取引者・需用者に出所の混同を起こさせるおそれのない非類似の商標であると思料するので、斯かる認定に承服できず、以下に意見を申し述べる。

(2) まず、外観の点について比較すると、本願商標は、欧文字で「MAGIC STUDIO」と横書きして成るものであるのに対し、引用商標は、片仮名の標準文字で、「スタジオマジック」と一連に書して成るものである。

 したがって、本願商標と引用商標とは、文字の種類が異なり(欧文字と片仮名)、かつ前段と後段の単語が入れ替わった態様であって、明らかに外観を異にし、外観上類似することはない。

(3) 次に、観念の点についてみると、本願商標の「MAGIC STUDIO」は、「魔法の」「不思議な」「(不思議な)魅力のある」等の意味合いを有する英語の「MAGIC」と、「(美術家の)仕事場」「(写真屋や映画の)撮影所」「録音室」「放送室」「スタジオ」等の意味合いを有する英語の「STUDIO」とを組み合わせて、「MAGIC STUDIO」と書したもので、全体として、「魔法のスタジオ」「不思議なスタジオ」「(不思議な)魅力のあるスタジオ・仕事場」等の意味合いを生じさせるものである。

 これに対し、引用商標は、英語の「studio」を想起させる片仮名の「スタジオ」と、英語の「magic」を想起させる片仮名の「マジック」とを一体に結合して、一連に「スタジオマジック」と書したもので、全体として「スタジオにおけるマジック・魔術」とか、「スタジオにおける手品」とかを想起させるものである。

したがって、本願商標の「魔法のスタジオ」「不思議なスタジオ」と、引用商標が想起させる「スタジオにおけるマジック・魔術」とは、その意味合いが全く異なり、両者は観念上も類似するものではない。即ち、前後の言葉を入れ替えたことによって、本願商標は、あくまでも「○○スタジオ」を思い浮かべるのに対し、引用商標は、あくまでも「○○マジック・魔術」を思い浮かべるのであって、両者は全く観念の異なる商標である。

(4) そこで、以下、称呼の点につき検討する。

(4-a) 本願商標は、上述のように、欧文字で「MAGIC STUDIO」と書したものであるから、これより「マジックスタジオ」の称呼が生じるものである。一方、引用商標は、その態様より、「スタジオマジック」の称呼が生じるものである。

 然るに、審査官は、両商標の称呼である「マジックスタジオ」と「スタジオマジック」とは、前段と後段の文字が入れ替わったものに過ぎないから、両商標は取引者・需用者にとって同一出所を観念させ、称呼的にも紛らわしいとの判断をしたのではないかと推察する。

 しかしながら、その様な見方は短絡的に過ぎる。本願商標と引用商標とは、前段と後段の文字が入れ替わったことによって、単に言い回しが逆になったと言うだけにとどまらず、両商標はその称呼から受ける印象・観念も全く異なったもの(即ち、概念の違う商標)になっているのである。

 したがって、これを称呼し、聴取する取引者・需用者は、両商標を明確に識別できるものであって、決して称呼上紛れるものではないと思料する。

即ち、両商標は、この語順で一つの商標を形成し、この語順で特定の観念を生じさせるものであるから、両者は決して類似するものではないと思料する。明確に観念が異なる以上、本願商標の「MAGIC STUDIO」と引用商標の「スタジオマジック」を間違えることはないであろう。

(4-b) そして、このことは、例えば「MAGIC」や「STUDIO」の文字を有する商標で、前段と後段が逆になっている商標が以下の通り、別主体によって共に登録されていることからも言い得る(これらの商標を第1号証乃至第6号証として提出する)。

(1)第2595841号登録商標「VISION STUDIO」…NTTと、
(2)第4045918号登録商標「STUDIO VISION/スタジオビジョン」…㈱カメオインタラクティブ。
(3)第3218172号登録商標「MAGICMEDIA」……㈱富士通ゼネラルと、
(4)第3245271号登録商標「MEDIAMAGIC」……㈱ピーエフユー。
(5)第4172324号登録商標「MAGICWAVE」 ……ネオマジック・コーポレーションと、
(6)第4276367号登録商標「WAVE MAGIC」……㈱シグマ。

 つまり、これらの商標のうち、(1)の「VISION STUDIO」と(2)の「STUDIO VISION」、(3)の「MAGICMEDIA」と(4)の「MEDIAMAGIC」、(5)の「MAGICWAVE」と(6)の「WAVE MAGIC」は、それぞれ前段と後段が入れ替わったにすぎない商標ではあるが、その入れ替わりによって、まるで概念の違った一つの商標を形成するものであるから、このような場合には、両者混同を生じることはないとされているのである。

 そして、本願商標と引用商標との関係も、まさにこれら(1)と(2)、(3)と(4)、(5)と(6)の商標の関係と軌を一にするものであり、この意味からしても、本願商標と引用商標とは、称呼上紛れることのない非類似の商標であると言える。

(5) 以上のように、本願商標と引用商標とは、外観および観念上類似しないことは勿論、称呼上も前後入れ替わったことによって別異の観念・称呼をそれぞれ生ずるものであり、過去の登録例に照らしてみても、取引者・需要者をして決して紛れることはない非類似の商標であると思料する。

 よって、本願商標は商標法第4条第1項第11号の規定に該当するものではなく十分登録適格性を有するものと思料する。

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商標登録+α: 拒絶理由通知に対する意見書記載例#6

特許庁審査官等から受けた拒絶理由通知等に対し、反論した「意見書、審判請求書」の具体例を小川特許商標事務所のサイトから転載しております。

本願商標:「エステティック道」×引用商標:「Esthetique/エステチック」

1.出願番号  平成7年商標登録願第131653号(拒絶査定に対する審判事件)(審判9-5160)
2.商  標  「エステティック道」
3.商品区分  第3類:せっけん類,香料類,化粧品
4.適用条文 商標法第4条第1項第11号
5.拒絶理由  「エステティック道」は「Esthetique/エステチック」に類似する。

出願商標 引例商標 登録第585345号
tm6-1 tm6-2

審判における反論(請求の理由)

(1)手続の経緯
出願  平成7年12月21日
拒絶理由の通知 平成9年 1月24日(起案:平成8年12月20日)
意見書     平成9年 2月 7日
拒絶査定   平成9年 3月21日
同謄本送達    平成9年 4月11日

(2)拒絶査定の理由の要点
原査定の拒絶理由は、「本願は、平成8年12月20日付けで通知した理由によって、拒絶をすべきものと認める。追って、出願人は意見書において種々述べているが、本願標章の「エステティック道」という用語が確立しているものでもなく、また一連に称呼した場合は長いため、前半部で親しまれた「エステティック」の部分が注目されて、該文字部分のみを捉えて取引に供される場合もあるというを相当とし、該文字部分より「エステティック」の称呼、観念(美学)をも生じるものと認められる。してみれば、両商標は、第3音における「ティッ」と「チッ」の微差にすぎず、これとても仏語の「-tique」の音節[tik](ティック/チック)の表音表記法上の微差にすぎないことから、称呼上、かつ観念(美学)上も類似な、彼此相紛らわしい類似の商標と認められる。それ故、商標法第4条第1項第11号に該当し、同法第15条の規定に基づき、拒絶をすべきものと認める。」というものである。

(3)本願商標が登録されるべき理由
然るに、本出願人は、意見書において、本願商標の構成や指定商品に関わる取引者・需要者層の実情等についても説明し、本願商標は拒絶理由には該当しないことを主張したにも拘わらず、かかる認定をされたことに対しては承服できず、従ってここに再度ご審理を頂きたく、審判を請求する次第である。

(3-1)本願商標の構成
 本願商標は、願書に添付した商標見本からも明らかなように、カタカナ文字と漢字で一連に「エステティック道」と書した態様からなるものである。
 そして、本願商標は、全身美容を意味する「エステティック」の文字に、教えとか、専門の学問・技芸等を意味する「道」の文字を付けることにより、全体として、「全身美容の学問・技芸、全身美容の道」等の、エステティックを単なる現象ととらえるのではなく、学問や技芸的なものにまで高めた教え、即ち、美を探求する道やその技芸を観念させる造語である。

(3-2)引用商標の構成
 引用商標(商公昭40-9759号公報(登録第585345号))は、「Esthetique」の欧文字を上段に、「エステチック」のカタカナ文字を下段にそれぞれ配置して、「Esthetique/エステチック」と二段併記してなるものであり、単に全身美容を観念させる言葉である。

(3-3)審査官の認定に対する反論
審査官の認定は、要するに、
(イ)本願商標の「エステティック道」という用語は確立されたものではない。
(ロ)一連に称呼した場合は長いため、前半部で親しまれた「エステティック」の 部分が注目されて、該文字部分のみを捉えて取引に供される場合もある。
との前提に立って、「エステティック」の文字部分より「エステティック」の称呼、観念(美学)をも生じるとしたものである。
しかしながら、上記の結論はおかしい。
 まず第1に、成る程「エステティック道」という用語はまだ確立されたものではないとしても(これは本出願人が考えた造語であるので確立されたものでないことはむしろ当然のことである)、そのことを以て、本願商標から「道」の文字を省略し、単に「エステティック」の称呼、観念(美学)をも生じさせる、と認定するのは短絡的にすぎる。通常「○○道」と付けた場合には、「その教え」とか「その道」を即座に認識させるのであるから、「エステティック道」と記した場合、「道」の部分を省略して読むことはあり得ず、むしろ「道」を省略しないで、「エステティックドウ(道)」と称呼し観念するのが自然である。
 そして、第2に、全体の称呼がやや長いことは認めるにしても、「道」の文字を有することによって初めて、全体として一つの観念を暗示させ或いは表示させる一つの造語「エステティック道」、即ち、「エステティック」とは別の一つの意味合いを持った言葉、を観念させるものであることから、この「エステティック」の文字部分のみを捉えて観念し且つ称呼することはあり得ないと考える。従って、全体が冗長であるから親しまれた「エステティック」の部分が注目され、その部分のみを称呼観念する場合もあるとする審査官の見方は短絡的にすぎると言わざるを得ない。「エステティック道」はあくまで一体として一つの教えとか道とかを認識させる言葉(造語)であって、「道」の省略はあり得ない。むしろ仮に省略して称呼(略称)されるとしたら、観念同一の範囲にある「エステ道」といった程度であろう。
そして又、以上のことは、長い称呼の商標が多く機能している本願の商品分野における、取引者・需要者層をみれば、一層顕著である。

 即ち、
(a)石けんや化粧品等の指定商品との関係においては多少長めの称呼も市場に多数存在するが、取引者・需用者は一連に称呼するのが常であって省略して称呼するような実情になく、長い称呼であってもそのまま十分に機能していること、
(b)特に、化粧品などの需用者は、商標を注意深く観察し購買するのが常であって、  商標部分は一連一体に把握するのが普通であること、
等の理由から、本願商標はあくまで「エステティックドウ(道)」とのみ称呼され、観念されるものと思料する。

よって、本願商標の称呼・観念である「エステティックドウ(道)」と引用商標の称呼・観念である「エステチック」とを対比すると、「ドウ(道)」の称呼・観念の有無によって、両者は受ける印象及び語感語調が全く異なり明確に識別できる非類似の商標であると考える。

(4)むすび
 以上のように、本願商標と引用商標とは、外観上は勿論、称呼及び観念上も紛れることのない非類似の商標である。
 よって、本願商標は商標法第4条第1項第11号の規定には該当せず、登録適格なものと思料しますので、請求の趣旨のとおりのご審決を賜りますようお願い申し上げます。

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商標登録+α: 拒絶理由通知に対する意見書記載例#5

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本願商標 「家族」×引用商標「family/ファミリー」

1.出願番号   平成6年商標登録願第75586号
2.商標   「家族」
3.商品区分   第3類:せっけん類,香料類,化粧品,歯磨き
4.適用条文 商標法第4条第1項第11号
5.拒絶理由  「家族」は「family/ファミリー」に類似する。

出願商標
引例商標1 登録第629585号
引例商標2 登録第523674号

意見書における反論

(1)拒絶理由通知書において、本願商標は①登録第629585号(商公昭38-11568号)の商標(引用商標1)、及び②登録第523674号(商公昭33-4602号)の商標(引用商標2)と類似であって、その商標登録に係る指定商品と同一又は類似の商品に使用するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当し登録できないと認定された。

 しかしながら、本出願人は、かかる認定に承服できないので、以下に意見を申し述べる。

(2)本願商標は、願書に添付した商標見本からも明らかなように、漢字で「家族」と横書きしてなるものである。

 これに対し、引用商標1は、片仮名文字で「ファミリー」と横書きしてなるものであり、引用商標2は、英文字と片仮名文字で二段に「family/ファミリー」と書してなるものである。

 従って、両者は、外観上類似しないことは明らかである。

また、上記態様より、本願商標は「カゾク」と称呼されるのに対し、引用商標1及び2は共に「ファミリー」と称呼され、称呼上も類似しないことは明らかである。

(3)そこで、観念の点につき検討するに、本願商標は字義どおり「家族」の観念を有するものであり、引用商標は「ファミリー」ないし「family」の文字に相応して「ファミリー(家族。家庭。一家。一族。同族。)」の意味を有するものである点で、字義的には同一の意味を含んでいるということができる。

 しかしながら、ここでいう観念とは、商標自体が客観的に有する意味を言うのではなく、商標を見又は称呼することにより、その商標を付した商品の需用者又は取引者が思い浮かべる(イメージする)その商標の意味と考えられる。

 そのような観点に立って考えると、本願の指定商品である「石けん類,化粧品等」にあっては、漢字から受けるイメージと片仮名文字ないし英文字から受けるイメージとでは、たとえその客観的な意味が同じだとしても、違ったものになるのではないかと考える。つまり、化粧品に「家族」と表示した場合と、化粧品に「family/ファミリー」と表示した場合とでは、取引者・需用者が別の出所から出た商品であると理解するのではないかと考える。つまり、「家族」と「family/ファミリー」とでは、イメージを大切にする化粧品等の商品との兼ね合いにおいて、その受けるイメージが全く異なってしまうため、両者を混同することはないと考える。

 このことは、商標の類否判断に当たって、観念類似がほとんど考慮されない「新聞,雑誌」等の商品分野と軌を一にするところがあると思われる(例えば、日刊スポーツとデイリースポーツは非類似とされている)。

従って、本願商標と引用商標1及び2とは、単純に観念類似と言うこともできないと考える。

(4)以上のように、本願商標と引用商標1及び2とは、外観、称呼及び観念のいずれにおいても、紛れることのない非類似の商標である。

 よって、本願商標は引用商標の存在如何にかかわらず、充分登録性を有するものと思料します。

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商標登録+α: 拒絶理由通知に対する意見書記載例#4

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本願商標:「健康バンザイ」

1.出願番号  平成6年商標登録願第53392号
2.商  標  「健康バンザイ」
3.商品区分  第29類:加工野菜及び加工果実,乳製品,カレー・シチュー又はスープのもと
4.適用条文 商標法第3条第1項第6号
5.拒絶理由  キャッチフレーズとして理解されるにすぎず、自他商品識別標識として機能し得ない。

出願商標
tm4-1

意見書における反論

(1)拒絶理由通知書において、本願商標は、健康でめでたいことを認識させる「健康バンザイ」の文字を書してなるが、指定商品の関係において、近年、健康志向が高まり、商品中に健康のために各種栄養素やミネラルを加味したり、不必要な添加物などを添加しない商品があるから、これをその指定商品に使用しても上記意味合いのキャッチフレーズ等として理解されるにすぎず、自他商品識別標識として機能し得ない。したがって、商標法第3条第1項第6号に該当すると認定された。

 しかしながら、本出願人は、「健康バンザイ」は十分に自他商品識別標識として機能し得る商標であると考えるので、上記認定に承服できず、以下に意見を申し述べる。

(2)本願商標の「健康バンザイ」には、成る程、審査官ご指摘の通り、健康でめでたいことを認識させる標語的な意味合いがあるかも知れない。しかし、本願商標の指定商品「加工野菜及び加工果実,乳製品,カレー・シチュー又はスープのもと」等の加工食料品や乳製品などの食べ又は飲む商品分野においては、標語的な商標あるいは健康志向的な意味合いの商標であっても、自他商品識別力ある商標として登録されたケースは数多い。これはここ数年の健康志向ブームにおいても同様である。

 例えば、健康のつく言葉をざっと挙げただけでも、以下の如き商標が出願公告(登録)されている。

・商公昭61-089542 「健康で乾杯」 …第1号証
・商公昭63-036812 「健康イキイキ」 …第2号証
・商公昭63-039205 「心身健康」 …第3号証
・商公平02-076637 「はつらつ健康水」 …第4号証
・商公平03-022280 「健康バランス」 …第5号証
・商公平03-044126 「健康家族」 …第6号証
・商公平03-111017 「健康祈願」 …第7号証
・商公平06-002069 「ヘルシー&ヘルシー」    …第8号証

これは、健康志向的な意味合いを表す商標であっても、果汁等飲料関係の商品分野においては、その商標が識別機能を果たし得ると判断され、また、現実に識別機能を果たしていると認識されていることの証左である(*市場において、識別機能を果たしていなければ、これだけの商標が登録されることはなかったであろう)。

それ故、本願商標の「健康バンザイ」も単なる識別力のない標語と言うのではなく、これら健康賛美、健康願望の意味合いを有する商標と同様に、十分に自他商品の識別機能を備えた商標と見るべきである。

(3)そして、このことは、本願商標と同日付けで出願した商願平6-53393号の商標「健康バンザイ」(指定商品:第32類「清涼飲料,果実飲料,飲料用野菜ジュース」)(第9号証)が、審査官により、自他商品識別力ある商標として、出願公告の決定(第10号証)を受けている事実からも言い得ることである(平成8年3月22日付けで発送)。

本願商標が国際分類第29類を指定商品とするのに対し、この公告決定された「健康バンザイ」が国際分類第32類を指定商品とする違いはあるにせよ、いずれも食べ又は飲む商品(飲食料品)である点で異なるところはなく、また、近年、健康志向が高まり、商品中に健康のために各種栄養素やミネラルを加味したり、不必要な添加物などを添加しない商品がこれら指定商品分野に多数存在するという点においても、異なるところはない。

 それ故、過去の登録・公告例、本出願人同日出願の上記商願平6-53393号商標「健康バンザイ」の公告決定例に照らしてみて、今般のご判断は如何にも不合理であると考える。本願商標は、「健康バンザイ」ブランドとして、他の商品との識別を十分に果たし得ると考える。

(4)以上の次第でありますので、本願商標の「健康バンザイ」は、健康志向の高まりの中にあっても、十分に自他商品識別の機能を発揮するものと思料します。

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商標登録+α: 拒絶理由通知に対する意見書記載例#3

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本願商標:「東大セミナー」

1.出願番号  平成4年商標登録願第100022号
2.商  標  「東大セミナー」
3.役務区分  第41類:学習塾における教授
4.適用条文 商標法第4条第1項第8号
5.拒絶理由  東京大学(東京都文京区本郷7-3-1)の著名な略称である
        「東大」の文字を含む商標である。

出願商標
tm3-1

意見書における反論

(1)拒絶理由通知書において、審査官殿は、「本願商標は、その構成中に、東京大学(東京都文京区本郷7-3-1)の著名な略称である「東大」の文字を有するものであり、該大学の承諾を得たものとは認められない。したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第8号に該当する。」と認定された。

しかしながら、本出願人は、かかる認定に承服できないので、以下に意見を申し述べる。

(2)本願商標は、図形部分と文字部分とからなり、そのうち文字部分は、漢字と片仮名で「東大セミナー」と一連に横書きした態様からなるものである。また、本願商標の指定役務は、願書の記載から明らかなように、「学習塾における教授」である。

つまり、本願商標の「東大セミナー」は、学習塾の塾名であって、この塾名は、昭和52年3月の開塾以来(願書に添付した営業証明書参照)、現在まで18年間継続して用いてきたもので、千葉県内の都市部を中心に受験指導に力を入れ、かつ周辺地域及び地方都市部にも進出してきた結果、現在では千葉県内に22教室(津田沼、船橋、西船橋、北習志野、鎌ヶ谷大仏、六実、松戸、みもみ、八千代台、成田、稲毛、千葉、都賀、四街道、土気、茂原、蘇我、八幡宿、五井、長浦、袖ヶ浦、富津の各教室)、千葉県外に13教室(西小山、三鷹、東川口、白岡、久喜、蒲生、蓮田、厚木、大分、金沢、健軍、井水、清水の各教室)を保有するまでなっている(願書に添付した「商標の使用の事実を示す書類(1)」の「東大セミナー1991入会ガイド」第21頁右欄の「教室一覧」参照)。

その結果、「東大セミナー」は、学習塾として、千葉県内はもちろん、千葉県外の教室保有地域周辺において、受験生、並びに父兄,学生,一般社会人らの間において広く認識されるに至っている(願書に添付の「商標の使用の事実を示す書類(6)」の写真が一つの例となるが、本学習塾の看板は全てにおいて、目立つように表示されている。この点は、他の学習塾も同様の傾向にある)。従って、本願商標の「東大セミナー」は、この一連の名称で学習塾として名を馳せている固有名詞であって、あくまで「東大セミナー」を一体として把握すべきものである。分断して把握すべき余地はない。

それ故、本願商標「東大セミナー」の「東大」部分をとらえて、この文字部分が出所としての「東京大学」を表示していると判断すること自体、奇異な見方である。学習塾の「東大セミナー」をとらえて、東京大学と関わりのある学習塾であると認識されるようなことは勿論ないし、常識的に見ても国立大学である東京大学が学習塾「東大セミナー」の経営母胎であるとか、何らかの関係があるとか理解されることはないであろう。その意味で、東京大学の名声を害するとか、名誉を傷つけるとか、イメージを壊すとか、そういうことは全くあり得ない。

 現に、開塾以来18年間、この「東大」の文字をとらえて、「東京大学」と関連のある学習塾であると理解されたことはない。この学習塾「東大セミナー」は、あくまで、その学習塾を営む会社名そのものを、学習塾の名称(商標=サービスマーク)として用いているに過ぎないのであって、「東大セミナー」と常に一連に書されて永年継続的に使用された結果、「東大」と「セミナー」とは強い一体性をもった不可分の名称として認識されている。

(3)ところで、審査官殿が、本願商標拒絶の根拠として挙げた条文である商標法第4条第1項第8号は、人格権保護の規定であると理解する(それ故に、カッコ書きで許諾を得れば登録を許すこととしている)が、前述したように、本学習塾の名称は、「東京大学」が関わって塾を経営しているといった認識を世間一般に与えることはないのであるから、「東京大学」の人格権を何ら害することはないはずである。

つまり、本号の立法趣旨は、自己の氏名、名称等が他人によりその商品又は役務の商標として使用され、それによって世人がそれらの氏名、名称と、商品又は役務との間に何らかの関係があるかのように認識し、そのために氏名、名称を有するものがこれを不快とし、その人格権を毀損されたものであると感ずるであろうことが、社会通念上客観的に明らかであると認められるような場合において、人格権保護の建て前から事前にこのような者の承諾を得せしめようとするにあるのであって、前述したように、学習塾「東大セミナー」が、東京大学と何らかの関わりある学習塾と理解されることがなければ、東京大学の人格権の毀損もなく、従って、事前に東京大学の承諾を得る必要もないものと考える。

そして、このことは一歩譲って、「東大セミナー」の「東大」部分が、著名な東京大学を間接的にしろ認識させる場合があるとしても、それは、あくまで受験生の合格目標、努力目標としての東京大学を指すと理解すべきなのであって、決して「東京大学」が関わって塾を経営しているとか、何らかの形で経営に関係しているといった認識を与えるものではない。それ故、「東京大学」の人格権を何ら害することはないはずである。受験生の努力目標としての東京大学を認識させるのであれば、むしろ東京大学としても名誉に感ずることであり、ましてや大学のイメージを害することにもならず、商標法第4条第1項第8号の人格権保護の趣旨を何ら害していない。

(4)更に付言すると、前述のように、本出願人の学習塾「東大セミナー」は、昭和52年の開塾以来18年間、学習指導・受験指導に熱心に取り組み、その甲斐合って、千葉県の内外を合わせて35教室を所有するに至っており、その名声も決して低くない。

 しかるに、この間「東大セミナー」の名称を無断で使用されるケースも、多々あった。このような場合、誤認した受験生の迷惑を考え、それらの者へはその都度注意を促していたが、商標権のように登録した権利があった訳ではないので、十分な対処ができないでいた。また、最終的には不正競争防止法で対処すればよいのであろうが、実際問題として、周知性や故意・過失の立証等の点で煩わしいのが、現状である。

 平成4年4月から導入されたサービスマーク登録制度は、まさしくこのような場合に、サービスマークを登録して、サービス事業者の業務上の信用の維持及び需要者の利益の保護を図り、もって健全な競業秩序を維持する制度であると理解する。それ故、昭和52年以来使用を続け、千葉県内を中心に全国35教室を保有するに至り、実績も積み上げてきた学習塾名「東大セミナー」を、かかる他人の無断使用から有効に保護できないでは、かえって商標法の法目的である競業秩序の維持、及び需要者の保護が達成できなくなると考える。

特に、学習塾の場合、ご承知のように大手に至っては全国的に多数の教室を保有するため、未だ進出していない地域であっても、同一の名称を用いられると、あたかも同一主体の学習塾であるかの如き誤認が生じ、それによって受講した受験生は勿論、その名前を使われた学習塾の信用も害され、その痛手は大きなものがある。それ故、商標法の目的とする競業秩序維持及び需要者保護の観点から、是非とも本願商標の登録を希望する次第である。

(5)以上のように、①「東大セミナー」は、昭和52年の開塾以来拡張を広げ、千葉県内を中心として、全国に35教室を有する周知性のある学習塾であること、②「東大セミナー」は、「東大」部分と「セミナー」部分を分断できない強い一体性を持った不可分の名称として有名であること、③学習塾の「東大セミナー」をとらえて、東京大学と関わりのある学習塾であると認識されるようなことは勿論ないし、常識的に見ても国立大学である東京大学が学習塾「東大セミナー」の経営母胎であるとか、何らかの関係があるとか理解されることはないこと、④従って、東京大学の名声を害するとか、名誉を傷つけるとか、イメージを壊すとか、ということは全くあり得ないこと、⑤かえって、現に18年間も継続使用され、全国に35教室を数えるに至り周知性を獲得している塾名「東大セミナー」を登録させないとすることは、サービスマーク登録制度導入の趣旨に反すること等の理由により、本願商標は、十分に登録適格性を備えているものと確信する。

 よって、本願商標は、商標法の目的に照らし、また決して東京大学の人格権を毀損していない点を十分ご理解頂いた上、再度ご審査頂き、本願を公告決定下さるようお願いする次第であります。

商標登録+α: 拒絶理由通知に対する意見書記載例目次

商標登録+α: 拒絶理由通知に対する意見書記載例#2

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本願商標:「農協果汁」「ストレート」「季節の果実」「をしぼりました。」の四段文字を楕円で囲んだ商標

1.出願番号  平成3年商標登録願第104250号
2.商  標  「農協果汁」「ストレート」「季節の果実」「をしぼりました。」
3.商品区分  第29類:果実飲料
4.適用条文 商標法第3条第1項第6号
5.拒絶理由  識別力がない。

出願商標 登録第2692929号
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意見書における反論(商標法第3条第2項の適用を主張)

(1)拒絶理由通知書において、審査官殿は、この商標登録出願に係る商標は、その構成中に「農協果汁」「ストレート」「季節の果実」「をしぼりました。」を四段に書してなるにすぎないが、これは「各地の農協が、旬の果物を用いて作ったストレート果汁」を直ちに認識するにすぎず、その他の部分にしても商品の自他商品識別力を有しないものであり、このようなものを本願指定商品について使用しても、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標と認めるから、商標法第3条第1項第6号に該当すると認定された。
しかしながら、本出願人は、このような識別力がないとの認定には承服できないので、以下に、意見を申し述べる。

(2)まず、本願商標は、審査官殿のご指摘によれば、「農協果汁」「ストレート」「季節の果実」「をしぼりました。」を四段に書してなり、これは「各地の農協が、旬の果物を用いて作ったストレート果汁」を直ちに認識するにすぎず、その他の部分にしても商品の自他商品識別力を有しないとのことであるが、本願商標をこのように部分的に分断してその一つ一つの文字を観察し、識別力がないというような見方をすべきではないと考える。つまり、本願商標は上記文字を四段に書しただけの構成からなるものではなく、これら四段の文字群を図形(楕円)で囲んで一体的に構成したところに独自の商標的特徴を有し、この図形がらみの態様で全体的にみて一体の商標と把握すべき性質のものであり、その意味で、十分に識別力を有し得る商標と考える。

(3)そして、本出願人は、上記四段の文字群を図形(最初は菱形、後に楕円)で囲んで一体化した本願商標を、旬の果実のみからなるストレート果汁に、季節の果実シリーズと銘打って、昭和63年春から使用を開始し、現在まで5年以上に亘って継続的かつ独占的に使用を行うとともに、新聞・雑誌及びダイレクトメール等を通じて多大な宣伝活動を続け、しかも新聞・雑誌等に新製品紹介として広く取り上げられた結果、現在においては、本願商標を付した果実飲料は、本出願人の取扱いに係る商品であると、取引者・需要者間に認識されるところとなってきている。
したがって、本願商標は「使用をされた結果需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるもの」になったもので(商標法第3条第2項)、決して商標法第3条第1項第6号にいう識別力のない商標に該当するものではない。

(4) 以下、本願商標が、使用をされた結果、自他商品識別力を有するに至ったものであることを証拠に基づいて立証する。

(4-1) まず、本願商標は、第1号証の「全農直販NEWS/Vol.3」(昭和63年秋発行)及び第2号証の「全農直販NEWS/Vol.4」(平成1年春発行)に示すように、四段に構成した「農協果汁」「ストレート」「季節の果実」「をしぼりました。」を菱形で囲った態様で使用を開始した。この菱形で囲った態様は、本願商標の楕円で囲った態様とは多少異なるものの、四段に書された文字構成及び書体は同一で、かつその配列も同一であることから、菱形で囲むも楕円で囲むもその商標の識別力に差異はなく、全体として同一の範囲をでない商標であるといえる(尚、この点に関連して、例えば、東京高裁昭57(行ケ)213、ジューシー事件、昭59.10.31判決では、「ジューシー」の片仮名文字を左横書きしてなる構成で、指定商品を第29類「果実飲料」とする原告の商標の出願に対し、出願に係る商標は原告が使用してきた商標と同一書体ではないが、共に通常の活字体であって両者は全体として同一の範囲をでないと認定し、出願に係る商標の使用による特別顕著性を認めている。つまり、商標法3条2項の適用に際して、必ずしも出願商標と使用商標の完全同一を要求していない)。

そして、昭和63年春の使用開始当初は、旬の時期にこだわった果実飲料を瓶詰めし、その容器(500ml)に上記四段構成文字を菱形で囲んだ態様のものを付していた。

この果実飲料としては、昭和63年秋には、山形産のデラウエアを使った「ぶどう」と福島産の白鳳を使った「もも」の100%ストレート果汁を販売し、平成1年2月には長崎県産の伊木力温州みかんを使用した「みかん」を、3月には沖縄県産の「パインアップル」を、また4月には福島県産の王林を使った「青りんご」を販売した(上記第1,2号証、及び第3号証の平成元年3月1日付け「日本セルフニューズ」新聞参照)。

これらは、いずれも季節限定商品で、約1年前から優れた果実を作っている産地を探し、品種を限定した上で育ててもらい、それを商品化の直前に収穫してストレート果汁とし、その果実がなくなればそれで終了するといった性格のもので、次にまた別の旬の果実を搾ったストレート果汁を製造するといった手順を採用して、現在も同様のコンセプトの下に製造・販売を続けている。

(4-2) そして、この旬にこだわった100%ストレート果汁は、昭和63年春の発売以来好評を博し、例えば、新製品情報誌「GEAR/ギア」による大学生10人を使った「100%フレッシュジュースの味」のテスト(14社,39種類のフレッシュジュースを対象)では、本出願人の上記商品がみかんジュースでは人気度NO.3(ただし評価の内容は1~3位ともほとんど同じ)、りんごジュースでは人気度NO.1(「やはり日本の味!」とコメントがあったほどウケた)に輝いている(第4号証の1990.6.1発行の新製品情報誌「GEAR/ギア」参照)。

(4-3) また、この商品は、平成1年春より平成2年秋にかけて、新聞・雑誌等により多大な宣伝を行ってきており、シンプルな透明瓶容器の中央に商標を付した使用態様とも相俟って、取引者・需要者間に相当広く全農直販の取扱い商品として知られるところとなっている。その広告の一例を示すと、平成元年5月18日付け「農業協同組合新聞」(第5号証)、1989(H1)年5月20日付け「帝飲食糧新聞」(第6号証)、㈱日刊経済通信社1989年6月発行の「酒類食品統計月報」第31巻4号(第7号証)、同6月発行分(第8号証)、1990(H2)年3月24日付け「毎日新聞」(第9号証)、1990(H2)年3月28日付け「食糧タイムス」(第10号証)、1990(H2)年4月1日付け「コンビニエンスストア新聞」(第11号証)、1990(H2)年5月20日付け「帝飲食糧新聞」(第12号証)、国際商業出版1990年7月発行の「激流」(第13号証)、1990(H2)年8月17日付け「日本食糧新聞」(第14号証)、1990(H2)年8月18日付け「農業協同組合新聞」(第15号証)、1990(H2)年8月19日付け「日刊スポーツ」(第16号証)などがあり、ここには本願商標(菱形で囲ったもの)を付した商品「果実飲料」を掲載している。

(4-4)そして、上記瓶容器で販売していた商品は、その後平成3年3月に紙容器に変更され、それと同時に商標の態様も現在出願中のものと形式的にも全く同一な上記四段の文字を楕円で囲った態様に変更して、さらに広く販売を継続してきている。

即ち、平成3年3月には、本願商標を紙容器(紙パック500ml)に付した商品を首都圏,中京圏,近畿圏を中心に販売を開始しており、この商品としては、春から夏(3月から7月)にかけては「温州みかん」と「りんご」、夏から秋(8月から11月)にかけては「白桃ピーチ」と「パインアップル」、秋から冬(12月から2月)にかけては「洋なし」と「青りんご」があり、全部で6種類の果実飲料である。

そして、これら紙容器入り果実飲料の販売実績を表に示すと以下の通りである。

《 本願商標を付した果実飲料の販売実績(500ml/本)》

種類 平成3年度 平成4年度 平成5年度
みかん 196,769 131,615 23,956
りんご 212,508 201,902 28,568
ピーチ 179,014 111,096
パイン 136,352 73,305
洋梨 128,319 49,965
青林檎 180,311 93,585
合計 1,033,573 861,468 52,524

この表からも明らかなように、平成3年度は103万本を超える販売量を示し、平成4年度以降は減少傾向にあるものの、それでも66万本を超える販売量にのぼっている(減少傾向を示しているが、これは旬の果実を搾ってそのまま製品化するといった手法をとる関係で、その時々の天候や仕入れ量に大きく左右されることも一因となっている)。

(4-5) また、店舗における陳列販売状況は、例えば、第17号証(東急ストア中央林間店:神奈川県大和市中央林間4-12-1:1991年12月6日撮影)及び第18号証(サミット東中野店:東京都中野区東中野4-5-1-10:1991年12月7日撮影)の店舗写真に示す通りである。

本願商標を付した果実飲料は、このような状態で、首都圏,中京圏,近畿圏を中心とした各スーパーマーケット,コンビニエンスストア,デパート等の飲食品売場で陳列され、販売に供せられている。

(4-6) さらに、この紙容器の納入実績の報告が日本製紙㈱よりなされているので、その資料を第19号証として提出する。これによれば、平成3年2月から平成5年6月にかけて、合計189万枚以上の本願商標を付した紙容器が納品されたことになる。

(4-7) そして、これら紙容器に変更した商品は、市場に流通させるだけでなく、新聞・雑誌等で広く取り上げられられ、また、パンフレット,ちらし等を通じて広く宣伝・広告活動を続けてきている。

上記本願商標の付された商品が取り上げられた新聞・雑誌としては、例えば、第20号証の1991(H3)年3月5日付け「帝飲食糧新聞」の“新製品”紹介記事、第21号証の1991(H3)年4月発行「ビバリッジ・ジャパンNO.112」のNEWS HIGHLIGHTS、第22号証の1991(H3)年発行「デーエフサロン VOL.18 NO.3・4」の製品ニュース、第23号証の1991(H3)年9月15日発行「Chain Store Age」の商品紹介、及び第24号証の1991(H3)年11月発行「ビバリッジ・ジャパンNO.119」のNEWS HIGHLIGHTSなどがある。

(4-8) また、宣伝・広告媒体としては、第25号証及び第26号証の「全農直販ニュース」(各約1万部印刷して、取引先である各店舗に配布している)や、第27号証及び第28号証の一般消費者向け「全農直販NEWS Vol.8」(平成3年春発行=第27号証),「全農直販NEWS Vol.9」(平成4年春発行=第28号証)(これらはダイレクトメールで一般消費者向けに各約2万部発送している)や、第29号証の平成4年6月30日付け「商品パンフレット」,第30号証の平成5年6月25日付け「商品パンフレット」,第31号証の平成5年発行の「商品パンフレット=農協ブランド商品ご案内」(各5千部を取引先に配布している)などがある。

(4-9)そして、このような販売や宣伝広告の実績が評価されて、JASの格付け団体でもある「日本果汁農業協同組合連合会」(東京都千代田区外神田3丁目10番12号所在)の会長理事 大塚清次郎氏から、本願商標を付した商品「果実飲料」は、取引者及び需要者間において、直ちに当社の商品であることを認識し得るほどに周知著名になっている旨の「証明書」(第32号証)も発行されている。

(4-10) このように、本出願人は、本願商標と同一の識別機能を発揮する「農協果汁」「ストレート」「季節の果実」「をしぼりました。」の四段文字を菱形で囲んだ商標を、昭和63年春より使用し始め、途中、平成3年春の容器変更に伴って上記四段文字を楕円で囲んだ本願商標と全く同一の態様に改め、その後現在まで本願商標を付した商品を継続的に市場に流通させると共に、新聞・雑誌・ちらし等の媒体を用いて宣伝活動を大々的に行ってきており、しかもこの間、本願商標と同一または類似の態様による第三者の使用は全くなされていない。

その結果、現在においては、本願商標を付した果実飲料は、本出願人の取扱いに係る商品であると、取引者・需要者間に認識されるところとなってきている。

(5)以上によって明らかな通り、その使用期間、使用態様、販売された使用商品の数量、宣伝広告の方法及び回数、新聞雑誌等による使用商品の取り上げられ方、第三者による同一・類似商標使用の不存在等の状況を総合的に観察してみれば、本願商標は、使用をされた結果需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるものとなったということができ、商標法第3条第2項の規定によって登録適格性を有し、決して同第3条第1項第6号の規定に該当するものではない。

商標登録+α: 拒絶理由通知に対する意見書記載例目次

商標登録+α: 拒絶理由通知に対する意見書記載例#1

特許庁審査官等から受けた拒絶理由通知等に対し、反論した「意見書、審判請求書」の具体例を小川特許商標事務所のサイトから転載しております。

本願商標「ふくやき」×引用商標「福雪」

1.出願番号  平成3年商標登録願第74020号
2.商  標   「ふくやき」
3.商品区分  第30類:菓子、パン
4.適用条文 商標法第4条第1項第11号
5.拒絶理由  登録第2087304号商標「福雪」と類似する。

出願商標 引例商標 登録第2087304号
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意見書における反論

(1)拒絶理由通知書において、本願商標は、登録第2087304号(商公昭63-26705号)の商標(以下、引用商標という)と類似し、指定商品も同一又は類似するものであるから、商標法第4条第1項第11号の規定に該当すると認定された。
 しかしながら、本出願人は、本願商標と引用商標とは、外観,称呼および観念のいずれにおいても類似することのない非類似の商標であると思料するので、前記認定には承服できず、以下に意見を申し述べる。

(2)まず、本願商標は、平仮名で「ふくやき」と横書きした態様からなるものであるのに対し、引用商標は、漢字で「福雪」と横書きした態様からなるものである。
 したがって、本願商標と引用商標とは、外観上類似しないことは明らかである。

(3)次に、観念の点についてみると、本願商標の「ふくやき」は、本出願人の住所地である山口県下関市名産の魚「フク」(この地方では、「フグ」のことを「フク」と言います)にちなんで、ふっくらとフクのように焼き上げた菓子類をイメージしてネーミングした造語商標であるのに対し、引用商標の「福雪」は字義どおり「福のある雪」、「福の雪」等の意味合いを有する商標である。

 したがって、本願商標と引用商標とは、観念上も類似することはない。

(4)そこで、称呼の点について検討してみるに、本願商標は、平仮名で「ふくやき」と書した態様より、唯一「フクヤキ」の称呼を生じるものである。

 これに対し、引用商標は、漢字で「福雪」と書した態様より、「フクユキ」の称呼を生じるものである。

 したがって、本願商標と引用商標とは、第3音部分において、「ヤ」と「ユ」の差異を有するものである。

 しかして、その差異である「ヤ」は、前舌面を硬口蓋に近づけたのち口を大きく開けて発せられる摩擦音であるのに対し、「ユ」は、硬口蓋と前舌面との間で口をすぼめて調音される清音であるから、その発声方法を異にする異質の音といえるものである。そして、そのアクセントも、本願商標が一音一音明瞭に発音されて強弱の別なく「フ・ク・ヤ・キ」と称呼されるのに対し、引用商標は漢字で書された「福雪」の態様より、前後を2音節に区切って「フク・ユキ」と称呼される傾向にあるとともに、「フ」の音及び「ユ」の音が強く発音される傾向にある。それ故、両者は、語感・語調を全く異にする商標であって、十分に聴別し得るものと思料する。しかも、これら両者はわずか4音という短い音構成からなるものであるから、一層上記差異が全体に及ぼす影響は大きく、称呼上決して紛れることはないと思料する。

 それ故、両者は、称呼上も紛れることのない非類似の商標であると考える。

(5)以上のように、本願商標と引用商標とは、外観および観念上類似しないことは勿論、称呼上も、僅か4音という短い音構成にあって、第3音に「ヤ」と「ユ」という発声方法を異にする異質の音の差異を有し、かつ本願商標が1音1音明瞭に称呼される傾向にあるのに対し、引用商標が前後2音節に区切って称呼される傾向にあるから、これらの差異が全体の称呼に及ぼす影響は極めて大きく、これらを一連に称呼するときはその語感語調を著しく異にし、聴者をして明らかに区別し得るものと思料する。

よって、両商標は非類似の商標であり、本願商標は商標法第4条第1項第11号に該当するものではないと考えます。
以上

商標登録+α: 拒絶理由通知に対する意見書記載例目次