商標登録+α: 拒絶理由通知に対する意見書記載例#26

意見書例 +α

特許庁審査官等から受けた拒絶理由通知等に対し、反論した「意見書、審判請求書」の具体例を小川特許商標事務所のサイトから転載しております。

本願商標「とっておきの果実」×引用商標「とっておき」

1.出願番号  商標出願2000-043143
2.商  標   「とっておきの果実」(標準文字
3.商品区分  第29類:加工果実,冷凍果実,果実入り乳製品
4.適用条文 商標法第4条第1項第11号
5.拒絶理由  登録第1856167、4428069号商標「とっておき」と類似する。

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商標登録第5134693号
出願商標
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商標登録第1856167号
引例商標1 登録第1856167号
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商標登録第4428069号
引用商標2 商標登録第4428069号
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意見書における反論

(1)拒絶理由通知書において、本願商標は下記の登録商標と類似であって、その商標登録に係る指定商品と同一又は類似の商品に使用するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当し登録できないと認定された。
しかしながら、本出願人は、本願商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれにおいても紛れることのない非類似の商標であると考えるので、前記認定には承服できず、以下に意見を申し述べる。
1.登録第1856167号「とっておき」…引用商標1
2.登録第4428069号「とっておき」…引用商標2
(2)本願商標は、願書の商標登録を受けようとする商標に表示したとおり、平仮名文字と漢字で一連に「とっておきの果実」(標準文字)と書した態様からなり、指定商品を第29類「加工果実,冷凍果実,果実入り乳製品」とするものである。
これに対し、引用商標1は、平仮名文字で「とっておき」と書した態様からなり、昭和34年法第31類「調味料、その他本類に属する商品」を指定商品とし、引用商標2は、同じく平仮名文字で「とっておき」(標準文字)と書した態様からなり、第29類「食肉,……,加工野菜及び加工果実,…」を指定商品とするものである。
然るに、これら引用商標1,2は、本願商標と指定商品が同一又は類似するものであることは認めるにしても、本願商標の「とっておきの果実」と両引用商標の「とっておき」とは、外観、称呼及び観念のいずれにおいても類似することのない非類似の商標であり、本願商標は決して商標法第4条第1項第11号に該当るものではないと思料する。
(3)即ち、まず外観において、本願商標は前述のように平仮名文字と漢字で一連に「とっておきの果実」と書してなるのに対し、両引用商標は単に平仮名文字で「とっておき」と書してなるものであるから、外観上明らかに相違し、両者類似することはない。
(4)また、観念において、本願商標は「後日の用意にと大切にしまっておくこと。また、そのもの。」(広辞苑)を意味する「とっておきの」の文字と、「くだもの。水菓子。」(広辞苑)を意味する「果実」の文字とを結合して一連一体に書したものであり、従って、その態様より、全体として、まさに、後日の用意にと大切にしまっておくような「取って置きの果実」、「後日のための大切なくだもの」等の観念を生じさせるものである。
つまり、本願商標中の「果実」の文字は、指定商品第29類「加工果実,冷凍果実,果実入り乳製品」との関係にあって、その原材料名を表す文字ではあったとしても、本願商標はその「果実」の文字のみから成るものではなく、あくまで「とっておきの」の文字と一体となった「とっておきの果実」が全体として上記した特定の観念を生じさせるものであり、「とっておき」の部分、あるいは「とっておきの」の部分が単独で識別され且つ観念されるようなことはない。本願商標は、あくまで「とっておきの果実」で1つの商標であり、分断されて認識されるものではない。
これに対し、両引用商標は、単に「とっておき」の文字からなるものであり、あくまでも「後日の用意にと大切にしまっておくこと。また、そのもの。」(広辞苑)を意味する言葉でしかない。これでは、一体何がとっておきなのか定かではなく、ましてや本願商標の前記「取って置きの果実」の観念を生じさせるものではない。
よって、本願商標と引用両商標とは、観念上も紛れることのない、非類似の商標である。

(5)そこで、次に称呼の点につき検討するに、本願商標「とっておきの果実」は、全体が一連に書され、かつ上述の如く全体として一つの意味合いを生じさせるものであるから、常に一連に称呼するのが自然であり、「トッテオキノカジツ」とのみ称呼されるものと思料する。
この点、審査官殿は、本願商標中の「果実」の部分は、指定商品との関係にあって、要部を構成せず、従って「とっておきの」のみに識別力を生じ、単に「トッテオキノ」の称呼も生じるとみて今般の拒絶理由通知を発したのではないかと推察するが、その認定はおかしい。

例えば、
A.登録商標「こだわり」(第2425890号、明治乳業:第1号証の1)が存在するが、その後の出願に係る「こだわりの果実」も登録されている(第4189328号、全国農協直販:第1号証の2)(これらは29C01の類似群を共通にしている)。また、
B.登録商標「楽園」(第3108338号、サントリー:第2号証の1)が存在するが、その後の出願に係る「楽園の果実」も登録されている(第4131932号、キッコーマン:第2号証の2)(これらは29C01,32F04の類似群を共通にしている)。さらに、
C.登録商標「伝説の野菜」(第2665786号、スカイ・フード:第3号証の1)というのが存在するが、その後の出願に係る「伝説」も登録されている(第4191237号、ヱスビー食品:第3号証の2)(これらは32D04,32F04の類似群を共通にしている)。
これらは、いかにも商品の原材料表示(「果実」「野菜」)と見える言葉を含む商標であるが、他の言葉(「こだわりの」「楽園の」「伝説の」)と結びつくことによって、分断できない一つの商標と認識され登録されているのである。つまり、上記ABCの存在は、「こだわりの果実」「楽園の果実」「伝説の野菜」が全体として観察され分断できない商標と認識されなかったならば、説明がつかない。
本願商標「とっておきの果実」と両引用商標「とっておき」の関係も、まさしくこれらの関係と同様であろう。殊に、Aの「こだわり」と「こだわりの果実」との関係などは、その意味合いも含めて本願商標のケースと似たようなケースである。よって、これらが登録できて、本願商標が登録できないとされるいわれはない。
このように、本願商標は、1.前段と後段を分けることなくあくまで一連に書した態様であること、2.全体としてまとまった特定の意味合いを観念させるものであり、分断して発音すべき理由がないこと、3.「とっておきの」の部分も「果実」(カジツ)の部分も軽重の差なく称呼できること、4.全体として一連に称呼して語呂がよく称呼しやすいこと、それ故、一連に称呼するのが自然であると考えられること、5.現に果実等を原材料に用い得る分野においても、原材料を表す言葉「果実」等と他の言葉「とっておき」等との結合商標である場合には、あくまで全体として一つの商標と捉えて登録されているのが実状であること、等の理由から、本願商標はあくまでも「とっておきの果実」と一連一体にのみ称呼されるものと思料する。
そこで、本願商標の称呼である「トッテオキノカジツ」と引用商標の称呼である「トッテオキ」とを対比すると、「ノカジツ」の称呼の有無によって、両者は音数及び語感語調が全く異なり明確に識別できると考えるので、両者は称呼上も相紛れることのない非類似の商標であると考える。
(6) 以上のように、本願商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれにおいても、紛れることのない非類似の商標である。

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