商標権の共有

商標権の共有

商標権の共有とは、複数人が商標権者となることを言います。商標登録の出願時から複数人の連名で出願することで商標権を共有とすることもでき、商標登録出願の当初は1名の出願であったものが、途中で複数人の出願人の出願になったり、さらに商標権が発生した後で所有の商標権の一部を譲渡する場合にも商標権が共有となります。なお、登録の際に、権利者が複数であれば、その人数分の商標登録証が発行されます。持分の割合について、記載がなければ共有の商標権者で等分の持分となりますが、持分についても登録可能ですので、甲は34%、乙は33%、丙は33%のような持分記載も可能です。

共有に係る商標権

譲渡や使用権の設定

商標権が共有である場合、各共有者は他の共有者の同意がなければ、その持分を譲渡し、又はその持分を目的とした質権の設定はできないとされています(商標法第35条で準用する特許法第73条第1項)。また、商標権が共有である場合、各共有者は他の共有者の同意がなければ、その商標権についての専用使用権の設定や他人への通常使用権の許諾はできないとされています(商標法第35条で準用する特許法第73条第3項)。従って、これらの手続きで特許庁での登録作業を伴う場合には、共有に係る商標権については、他の共有者の同意書や承諾書などを提出する必要があります。

事件当事者

審判の当事者に関しては、共有に係る商標権について商標権者に対し審判を請求するときは、共有者の全員を被請求人として請求しなければならず、 商標権の共有者がその共有に係る権利について審判を請求するときは、共有者の全員が共同して請求しなければならないと規定されています(商標法第56条で準用する特許法第132条第2項、第3項)。しかしながら、商標権の共有者の1人は,共有に係る商標登録の無効審決がされたときは,単独で無効審決の取消訴訟を提起することができると解するのが相当とした最高裁判例(平成14年2月22日、平成13(行ヒ)142)もありますので、審決取消は共同でなくとも提起できるとされています。なお、異議申立は、何人もが適格ですので、共有者の1名でも申し立てることが可能です。また、関税定率法の輸入差し止めの申し立ても共有者の1名でも申し立てることが可能です。
 

商標権の使用

商標権の各共有者の使用については、特に規定がありません。従って、他の共有者に気兼ねなく、好きなだけ事業拡張することができます。但し、商標の使用には、常に正当に使用する義務がありますので、その義務に違反した場合には取消対象となり得ます。

更新登録

商標権を更新登録する場合であってその商標権が共有にかかる場合に、権利者全員で手続をしていないときには更新登録申請書が却下されます。この点は、特許権の特許納付が単独でも可能な点と比べて対照的です。

商標登録出願により生じた権利

商標登録出願人が複数の場合には、他の商標登録出願人の同意を得なければ、商標登録出願により生じた権利の持分を譲渡することができないとされています。たとえば、商標登録出願により生じた権利が甲と乙との共有の場合には、甲が自己の商標登録出願により生じた権利の持分を丙に譲渡するには、乙の許可を受ける必要があります。

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