商品・役務の区分の解説

商品・役務の区分の中には、慣習や制度が急速な生活様式の変化に追いついていないなどの種々の理由から、区分がまとめ切れない場合や、どうしてこれらが違う区分なのとういうようにすんなり納得が行かない場合もあったりします。以下の解説は分類表の解説や分類の微妙なところを商品・役務の区分の中から拾い出してみたものです。

1.複数の用途を有する完成品

完成品が複数の用途を有する複合物(例えば、ラジオ付き時計)である場合には、各機能又は各用途に対応するいずれの類にも分類することが可能です。類見出しにおいて対応する機能又は用途が定められていない場合には、原則として、その機能又は用途によって分類され、完成品の機能又は用途に応じて比較可能な他の完成品から類推して区分を定めます。

2.未完成品・部品・材料

未加工又は半加工の原材料は、原則として、当該原材料を構成する物質を基準として区分されています。他の商品の一部となることを目的として作られた商品は、同様の商品を通常は他の用途に使用することができない場合にのみ、原則として、当該他の商品と同じ類に分類されます。ある商品(完成品であるかないかを問わない。)がその材料に従って分類され、かつ、当該商品が異なる複数の材料から成る場合には、原則として、当該商品は主たる材料に従って分類されています。

3.収納容器

商品を収納するために当該商品に適合させた容器は、原則として、当該商品と同じ類に分類されます。

4.賃貸サービス

賃貸サービスは、原則として、賃貸の目的物によって提供されるサービス(例えば、第38類に示すところの電話機の貸与)と同じ類に分類されます。リース方式による賃貸サービスは、賃貸サービスに類似しているために、同じ方法で分類されます。しかしながら、分割払い購入資金の貸付け又は賃借り満期購入方式の金融は、財政サービスとして第36類に分類されています。

5.コンピュータ関連の商品・役務

(1)電子出版物
電子出版物そのものは第9類の商品区分に該当しますが、電子出版物をダウンロードさせるサービスを行っている場合には第41類の役務区分に該当します。
(2)電子計算機用プログラム
電子計算機用プログラムそのものは第9類の商品区分に該当しますが、電子計算機用プログラムをダウンロードさせるサービスを行っている場合には第42類の役務区分に該当します。
(3)電子計算機
電子計算機やその周辺機器そのものは第9類の商品区分に該当しますが、電子計算機やその周辺機器の修理を行っている場合には第37類の役務区分に該当します。
(4)情報提供サービス
「商品の販売に関する情報の提供」は第35類の役務区分に該当しますが、サービスの提供に関する情報を提供する場合には、それぞれのサービスの役務区分を指定する必要があります。例えば、レストランや飲食店のWeb Site(情報の提供)についての登録商標を取得する場合には、第43類の役務区分を指定します。
(5)クロスサーチ
第9類「電子出版物」(26A01・26D01)は、第9類「インターネットを利用して受信し及び保存することができる画像ファイル 録画済みビデオディスク及びビデオテープ」(24E02・26D01)、「映写フィルム スライド フィルム スライドフィルム用マウント」(26D01)、第16類「印刷物」(26A01)及び「写真 写真立て」(26D01)のそれぞれの商品に類似と推定されていますので、類別を越えた審査(所謂クロスサーチ)が行われます。

6.玩具関連

(1)「おもちゃ」を指定すれば玩具関連をカバーできるでしょうか?
「すごろく」、「トランプ」は「おもちゃ」に含まれず、別個の類似群となっています。なお、「縫いぐるみ」のような「布製おもちゃ」は「人形」に含まれず、「おもちゃ」に含まれます。また、第10版の(備考)によれば、「おもちゃ 人形」は、「囲碁用具 将棋用具 歌がるた さいころ すごろく ダイスカップ ダイヤモンドゲーム チェス用具 チェッカー用具 手品用具 ドミノ用具 トランプ 花札 マージャン用具」に類似と推定するとされています。
(2)「おもちゃ」と「家庭用テレビゲーム機」とは同じ区分でしょうか?
「おもちゃ」は第28類の商品の1つですが、「家庭用テレビゲーム機」と「携帯用液晶画面ゲーム機」も第28類の商品(同じ類似群 24A01)の「おもちゃ」に含まれます。第8版では、家庭用テレビゲームおもちゃは第9類でしたが、現在は第28類に移動しています。

7.ファッション関連

(1)「被服」と「衣服」とは同じ意味でしょうか?
「被服」として指定した場合には「帽子、手袋、靴下」等付属的なものも含みますが、「衣服」として指定した場合には付属的なものは含まないことになります。
(2)「美容・理容」と「ファッション情報の提供」とは同じの区分でしょうか?
「美容・理容」は第44類のサービスに含まれます。オリジナルカット方法の名称も、「美容・理容」を指定した登録例があります。一方、「ファッション情報の提供」は第45類のサービスに含まれます。なお、オリジナルブランドの商品を販売されている場合には、例えば「口紅」等の「化粧品」なら第3類、「眼鏡・サングラス」なら第9類、「コンパクト」等の「化粧用具」なら第21類、「ヘアバンド」等の「頭飾品」なら第26類の商品区分が挙げられます。また、「雑誌」は第16類の商品区分に該当します。

8.食品関連

(1)食用魚介類の区分は1つでしょうか?
生きている状態で販売する場合には第31類の商品区分に該当しますが、冷凍した状態等で販売する場合には第29類の商品区分に該当します。
(2)いわゆる健康食品の区分はどこでしょうか?
従前は、主原料(主成分)+形状+加工食品として、動物性の食品及び加工した野菜等を主原料としている場合には第29類の商品区分に該当し、他の類に属さない加工した植物性の食品等を主原料としている場合には第30類の商品区分というように別れていましたが、現在では、1つの区分で指定商品の表記も簡単になり、「第5類 サプリメント」の表記で出願できるようになっています。(備考)「サプリメント」は、「ビタミン剤 アミノ酸剤 滋養強壮変質剤」に類似と推定すると記載されています。
(3)「茶」はどこの区分でしょうか?
「茶」は第30類の商品区分に該当しますが、干製する前の「茶の葉」は第31類の商品区分に該当します。また、「茶飲料」の場合には第30類のほかに第32類の「清涼飲料」での登録例があります。
(4)「ビール」と「日本酒」とは同じ区分でしょうか?
「ビール」は第32類の商品区分に該当しますが、「日本酒」は第33類の商品区分に該当します。なお、第33類の商品区分には一般的にビール以外のアルコール飲料が該当しますが、「発泡酒」の場合には第32類の商品区分での登録例があります。さらに、平成27年の改正では、酒税法の地理的表示としての日本酒を”日本国内産米を原料とし、日本国内で製造された清酒”と定義した関係から、省令別表から「日本酒」の例示が削除され、第33類 「日本酒 泡盛 合成清酒 焼酎 白酒 清酒 直し みりん」は第33類 「泡盛 合成清酒 焼酎 白酒 清酒 直し みりん」と変更されています。
(5)レストラン関連の区分はどこでしょうか?
「飲食物の提供」として第43類の役務区分が挙げられますが、オリジナルブランドの商品も販売している場合には、その商品の種類によって第29類から第33類の商品区分も挙げられます。例えば、「乳製品」なら第29類、「パン」なら第30類、「野菜」なら第31類、「清涼飲料」なら第32類、「洋酒」なら第33類の商品区分が該当します。

9.経理関連

  
「財務書類の作成」等の会計関連サービスは第35類の役務に含まれますが、「税務相談,税務代理」等の税務関連サービスは第36類の役務に含まれます。

10.助言・情報又は指導の提供


原則として、助言・情報又は指導の内容に対応するサービスの区分と同じ区分に分類されます。例えば、輸送の指導及び助言(第39類)、事業経営の指導及び助言(第35類)、金融の指導及び助言(第36類)、美容の指導及び助言(第44類)というようになります。助言・指導・情報が電子的手段(例えば、電話、コンピュータ)によって提供されることは、これらのサービスの分類に影響を及ぼしません。

11.フランチャイズの枠組みにおけるサービス

原則として、フランチャイザーが提供する特定のサービスと同じ類に分類されます。例えば、フランチャイズに関する事業の助言(第35類)、フランチャイズに関する財政サービス(第36類)、フランチャイズに関する法律事務(第45類)というように分類されます。

特許庁の指定商品・指定役務の審査は、審査便覧に沿って進められることとされています。時代の流れや商品自体の進歩などに応じて商品区分には変動がありますので、区分に迷いがある場合は最新の審査基準を参照してみることになります。