商標登録+α: 拒絶理由通知に対する意見書記載例#78

意見書例 +α

特許庁審査官等から受けた拒絶理由通知等に対し、反論した「意見書、審判請求書」の具体例を小川特許商標事務所のサイトから転載しております。

本願商標:「AssamSales&DistributionModule」 ……3条1項3号、4条1項16号

1.出願番号  商願2004-25060(不服2005-1503)
2.商  標 「AssamSales&DistributionModule」
3.商品区分  第9類:電子計算機用プログラムほか
4.適用条文商標法第3条1項3号、第4条第1項第16号
5.拒絶理由 「例えば『アッサム州で販売・流通しているモジュール』等の意味合いを理解させるにとどまる。」

出願商標・商標登録第4955723号

不服審判における反論(請求の理由)

  【手続の経緯】
出     願 平成16年 3月17日
拒絶理由の通知 平成16年 9月 8日
同 発送日 平成16年 9月 9日
意  見  書 平成16年10月 5日
拒 絶 査 定 平成17年 1月 6日
 同 謄本送達 平成17年 1月12日
  【拒絶査定の要点】
 原査定は、“この商標登録出願は、平成16年9月8日付けで通知した理由によって、拒絶をすべきものと認めます。追って、出願人は意見書において種々述べていますが、先の認定を覆すことはできません。なお、出願人は登録例を挙げて種々主張していますが、その事例は商標の具体的構成において本願商標とは事案を異にしますから、本願商標については前記認定を相当とするもので、その主張は採用することができません。”というものであり、具体的には、平成16年9月8日付(発送日:平成16年9月9日)の拒絶理由通知書に示すとおり、
“この商標登録出願に係る商標は、インド東部の州である「Assam」の文字と、「販売」等の意味を有する欧文字の複数形「Sales」の文字、「and」を意味する「&」の記号と、「流通」等の意味を有する「Distribution」の文字と、「独立して扱えるソフトウェアやハードウェアのまとまり」の意味を有する「Module」の文字を「Assam Sales & Distribution Module」と普通に用いられる方法で書してなるところ、「imidas 2004(発行所 株式会社集英社)」の「インドのソフトウエア産業」という項目や、2004.5.4付 共同通信の「(略)インドのソフトウエア輸出は六年前に比べ約六倍の百億ドル規模に急増。世界のソフト市場の一大中心地となった。(略)」の記事より、インドはコンピュータソフトウエアの一大中心地であることが窺えます。そうしますと、本願商標はこれらより、例えば「アッサム州で販売・流通しているモジュール」等の意味合いを理解させるにとどまり、これを本願指定商品中上記文字に相応する商品に使用しても単に商品の産地、販売地、品質を表示するにすぎないものと認めます。したがって、この商標登録出願に係る商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがありますので、商標法第4条第1項第16号に該当します。”というものであります。
  【本願商標が登録されるべき理由】
然るに、本出願人は、意見書において、本願商標は、単に商品の産地、販売地、品質を表示するものではなく、十分に自他商品識別力を発揮する商標であり、登録適格性を有する旨主張したにもかかわらず、かかる認定をされたことに対しては納得できないところがあり、ここに再度ご審理頂きたく、審判を請求する次第であります。
(a)本願商標の構成
本願商標は、願書の商標登録を受けようとする商標に表示したとおり、英文字で一連に「Assam Sales & Distribution Module」と書した態様からなり、指定商品を第9類「自動販売機,写真機械器具,映画機械器具,光学機械器具,電気通信機械器具,電子計算機用プログラム,その他の電子応用機械器具及びその部品,携帯用液晶画面ゲームおもちゃ用のプログラムを記憶させた電子回路及びCD-ROM,電子楽器用自動演奏プログラムを記憶させた電子回路及びCD-ROM,録画済みビデオディスク及びビデオテープ,電子出版物」とするものであります。
(b)審査官の認定に対する反論
(b-1)
 審査官によれば、本願商標は、その態様より、例えば「アッサム州で販売・流通しているモジュール」等の意味合いを理解させるにとどまり、これを本願指定商品中上記文字に相応する商品に使用しても単に商品の産地、販売地、品質を表示するにすぎないとしております。しかしながら、商標が単に商品の産地、販売地、品質を表示すると言えるためには、需要者又は取引者によって、当該指定商品が当該商標の表示する土地において生産され又は販売されているであろうと一般的に認識されることを要すると思われるところ、本願商標の「Assam Sales&Distribution Module」は、需要者又は取引者によって、「アッサム州で販売・流通しているモジュール」と一般に認識されることはないため、商品の産地、販売地、品質を表示するものではないと考えます。
 即ち、本願商標中の「Assam」部分は、審査官の認定の如く、インド東部の地名であり、また、インドはコンピュータソフトウエア産業において近年成長を遂げている国であることは事実でありましょう。しかし一方で、インドのアッサム地方といえば、世界的に著名な紅茶葉の産地であり、このことこそが一般に広く知られた事実ではないかと思います。この「Assam/アッサム」はインド北東部の州ですが、ここは中国、ブータン、ミャンマー、バングラディシュに周りを囲まれた山岳地帯が大半であるようです。そして、工業はといえば、せいぜい農産物加工、精油であって、最近では原油の産出で知られる地域という程度の認識であります。したがって、インドが近年コンピュータソフトウエア産業で成長を遂げている国であったとしても、そのことが直ちに「アッサム州」と結びつくものではありません。「アッサム州」はあくまでも、紅茶葉の産地として世界的に著名な地域名であって、決してソフトウェアで有名というのではありません。そうだとすれば、一般に、「アッサム」州といえば、需要者又は取引者は、「広大な紅茶葉の農園が数々広がる農園地帯(或いは山岳地帯)」を連想するものと思われます。
 これに対して、「コンピュータソフトウエア等のIT産業が盛んな地帯」を思い浮かべるとき、一般に需要者又は取引者が連想するのは、IT産業が時代の最先端を行く産業である点に鑑みても、むしろ農園地帯や山岳地帯とは正反対の、ハイテク企業の集結するいわゆる「都市部」、或いは米国シリコンバレーに代表されるような「IT関連企業集積地域」であります。然るに、一般的に、需要者又は取引者が、紅茶の著名な産地である「アッサム」或いは「Assam」の文字から、「コンピュータソフトウエアを販売・流通している地域の名称」と認識することはないと考えます。インドがソフトウエア産業において、一定の地位を占めている事実がある程度広く知られているとしても、アッサム州は紅茶葉の産地としてあまりにも有名であり、両者の周知度の差たるや著しく、「Assam」の文字から需要者・取引者が連想するものは、「有名な紅茶葉の産地」ではあっても、「ソフトウエア(IT)産業が盛んな地域」ではないと考えます。
(b-2)
 そして、このことは、例えば、本出願人が、同じく第9類を指定商品として、以下に示す「Assam」の文字を含む商標を多数登録している事実からも伺い知ることが出来ます(以下のA~K参照)。
(A)登録4173443 AssamWhois
(B)登録4209005 AssamInternetApplets
(C)登録4393720 AssamWebBench
(D)登録4573808 AssamWebGuard
(E)登録4609731 AssamHelpDesk/アッサムヘルプデスク
(F)登録4655383 AssamanyWarp
(G)登録4749066 AssamPortalTemplate
(H)登録4750800 AssamReliability
(I)登録4756351 AssamCatalogServer
(J)登録4806601 AssamMesssagingToolkit
(K)登録4806484 AssamWarehouseModule
 即ち、審査官の見解のように、「Assam」の文字が本願指定商品の属する分野において産地・販売地と認識されるのであれば、直接に「販売」や「流通」を意味する「Sales」や「Disutribution」等の文字の有無に関わらず、「Assam」の文字を有するだけで、直ちに商品の産地表示と認識されることになるでしょう。例えば(B)の「Assam InternetApplets」であれば「アッサム州で生産・販売されているインターネットアプレット(ブラウザ上で動作する特殊なプログラム)」程度の、(D)の「Assam WebGuard」は「アッサム州で生産・販売されているインターネットの監視ソフト」程度の、(G)の「Assam PortalTemplate」は「アッサム州で生産・販売されているインターネットの入り口サイトのテンプレート」程度の意味合いを生じることになります。また、(I)の「Assam CatalogServer」は「アッサム州で生産・販売されているカタログを管理するサーバー」程度の、(J)の「AssamMessagingToolkit」は「アッサム州で生産・販売されている伝達道具一式ソフト」程度の、(K)の「AssamWarehouseModule」は「アッサム州で生産・販売されている登録情報検索プログラム」程度の意味合いを生じるということになるのでしょう。
そして、そのような意味合いからすれば、審査官のような考え方をとれば、例えば、これら(B)、(D)、(G)、(I)、(J)、(K)などは単に指定商品の産地・販売地・品質表示ということになり、或いは拒絶と言うことになるのでありましょうが、現実にはその様な認定はなされず、これらの商標全てが登録されております。これは、これらの商標中の「Assam」の部分が、第9類の指定商品との関係にあって、その産地・販売地等と認識されていないからに他なりません。本願商標も同様でありましょう。
(b-3)
 商標が単に商品の産地、販売地、品質を表示すると言えるためには、上述のように、商標中に単に地名が含まれていることのみでは足りず、需要者又は取引者によって、当該指定商品が当該商標の表示する土地において生産され又は販売されているであろうと一般に認識されることを要すると考えます。たとえ商標中に地名が含まれている場合であっても、当該指定商品が当該商標の表示する土地において生産され、販売されていると認識されない場合には、当該商標は単にその商品の産地・販売地等を表示するものとは言えないと考えます。このことは、御庁の電子図書館において、指定商品の区分を問わず、地名を含む登録商標(他に要部となるような構成要素がない場合も含む)が多数存在することによっても裏付けられます。然るに、本願商標についても、上記(A)~(K)の登録商標ないし登録査定商標と同様に、商標中の紅茶で有名な地名表示部分である「Assam」部分をもって、ソフトウエア等の商品の産地等表示と理解されるようなことはないと考えます。つまり、世界的に著名な紅茶の産地であるアッサム州においてコンピュータソフトウエアが生産・販売・流通していると一般に認識されるようなことはないと考えます。
(b-4)
 本願商標は、本出願人が過去に取得した、上記(A)~(K)の登録商標である「Assam」シリーズの一貫として出願した商標であり、同じ商品を指定し、使用するものである以上、取引者・需要者を同じくするはずであります。その様な取引状況の中にあって、本願商標だけが格別に「アッサム州で販売・流通しているモジュール」と認識され、今までの「Assamシリーズ」とは別のものであるなどと、取引者・需要者が認識するはずはありません。同じ出願人が、同じ「Assam○○○」の商標を用いていて、何か今までの「Assamシリーズ」とは別の意味を持つ商標だなどと、誰が認識するでありましょうか。今までの上記(A)~(K)の「Assam」シリーズと同一のコンセプトに基づく仲間の商標と認識するのが自然でありましょう。本願商標は、上記(A)~(K)の登録商標と同様、指定商品との関係にあって、あくまでも全体として具体的な特定の観念を生じさることのない一つの造語商標であると考えます。これら(A)~(K)の商標が登録できて、本願商標が登録できないとされる謂われは全くありません。同様に登録されて然るべきであります。
  【むすび】
 以上の通りでありますので、本願商標は、商品の産地、販売地、品質を普通に用いられる方法で表示するものでも、商品の誤認を生じさせるものでもなく、十分に登録適格性を備えたものと思料します。よって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号にも、同第4条第1項第16号にも該当しないものと思料しますので、請求の主旨の通り、原査定を取り消す、本願の商標は登録をすべきものである、との審決を求める次第であります。
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(参考)ケース78の「審決」
不服2005- 1503
  商願2004- 25060拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
 結 論
   原査定を取り消す。
   本願商標は、登録すべきものとする。
 理 由
  1.本願商標
   本願商標は、「Assam Sales & Distribution Module」の文字を普通に用いられる方法で書してなり、第9類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として、平成16年3月17日に登録出願されたものである。
  2.原査定の拒絶の理由の要点
 原査定は、「本願商標は、インド東部の州である『Assam』の文字と、『販売』等の意味を有する欧文字の複数形『Sales』の文字、『and』を意味する『&』の記号と、『流通』等の意味を有する『Distribution』の文字と、『独立して扱えるソフトウェアやハードウェアのまとまり』の意味を有する『Module』の文字を『Assam Sales & Distribution Module』と普通に用いられる方法で書してなるところ、『imidas 2004(発行所 株式会社集英社)』の『インドのソフトウエア産業』という項目や、2004.5.4付 共同通信の『(略)インドのソフトウエア輸出は六年前に比べ約六倍の百億ドル規模に急増。世界のソフト市場の一大中心地となった。(略)』の記事より、インドはコンピュータソフトウエアの一大中心地であることが窺える。そうすると、本願商標はこれらより、例えば『アッサム州で販売・流通しているモジュール』等の意味合いを理解させるにとどまり、これを本願指定商品中上記文字に相応する商品に使用しても単に商品の産地、販売地、品質を表示するにすぎないものと認められる。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあり、同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
  3.当審の判断
 本願商標は、前記のとおり、「Assam Sales & Distribution Module」の文字よりなるところ、その構成中「Assam」の文字(語)は、紅茶の産地として知られていると認められる。そして、本願商標を構成する文字が、原審で示したそれぞれの意味を有するものとしても、本願商標の全体の文字から原審説示の意味合いが直ちに理解されるとは認め難いところである。
   そして、本願の指定商品において、「Assam Sales & Distribution Module」の文字が、その商品の販売地、品質を具体的に表示するものとして一般に理解され、或いは、取引者・需要者間において、取引上普通に使用されている事実も認められないところである。そうとすれば、本願商標は、これをその指定商品に使用した場合、取引者・需要者は、全体として特定の品質等の意味合いを看取し得ないものと認識し把握するとみるのが相当であって、自他商品の識別力を有しないものということはできない。
  また、本願商標は、これをその指定商品中のいずれの商品に使用したとしても、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるということもできない。したがって、本願商標を商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当なものとはいえず取消しを免れない。
   その他、政令で定める期間内に本願について拒絶の理由を発見しない。
   よって、結論のとおり審決する。
        平成18年 5月 8日
                 審判長  特許庁審判官 小林薫
                      特許庁審判官 寺光幸子
                      特許庁審判官 長柄豊
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