商標登録+α: 拒絶理由通知に対する意見書記載例#2

意見書例 +α

特許庁審査官等から受けた拒絶理由通知等に対し、反論した「意見書、審判請求書」の具体例を小川特許商標事務所のサイトから転載しております。

本願商標:「農協果汁」「ストレート」「季節の果実」「をしぼりました。」の四段文字を楕円で囲んだ商標

1.出願番号  平成3年商標登録願第104250号
2.商  標  「農協果汁」「ストレート」「季節の果実」「をしぼりました。」
3.商品区分  第29類:果実飲料
4.適用条文 商標法第3条第1項第6号
5.拒絶理由  識別力がない。

出願商標 登録第2692929号
tm2-1

意見書における反論(商標法第3条第2項の適用を主張)

(1)拒絶理由通知書において、審査官殿は、この商標登録出願に係る商標は、その構成中に「農協果汁」「ストレート」「季節の果実」「をしぼりました。」を四段に書してなるにすぎないが、これは「各地の農協が、旬の果物を用いて作ったストレート果汁」を直ちに認識するにすぎず、その他の部分にしても商品の自他商品識別力を有しないものであり、このようなものを本願指定商品について使用しても、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標と認めるから、商標法第3条第1項第6号に該当すると認定された。
しかしながら、本出願人は、このような識別力がないとの認定には承服できないので、以下に、意見を申し述べる。

(2)まず、本願商標は、審査官殿のご指摘によれば、「農協果汁」「ストレート」「季節の果実」「をしぼりました。」を四段に書してなり、これは「各地の農協が、旬の果物を用いて作ったストレート果汁」を直ちに認識するにすぎず、その他の部分にしても商品の自他商品識別力を有しないとのことであるが、本願商標をこのように部分的に分断してその一つ一つの文字を観察し、識別力がないというような見方をすべきではないと考える。つまり、本願商標は上記文字を四段に書しただけの構成からなるものではなく、これら四段の文字群を図形(楕円)で囲んで一体的に構成したところに独自の商標的特徴を有し、この図形がらみの態様で全体的にみて一体の商標と把握すべき性質のものであり、その意味で、十分に識別力を有し得る商標と考える。

(3)そして、本出願人は、上記四段の文字群を図形(最初は菱形、後に楕円)で囲んで一体化した本願商標を、旬の果実のみからなるストレート果汁に、季節の果実シリーズと銘打って、昭和63年春から使用を開始し、現在まで5年以上に亘って継続的かつ独占的に使用を行うとともに、新聞・雑誌及びダイレクトメール等を通じて多大な宣伝活動を続け、しかも新聞・雑誌等に新製品紹介として広く取り上げられた結果、現在においては、本願商標を付した果実飲料は、本出願人の取扱いに係る商品であると、取引者・需要者間に認識されるところとなってきている。
したがって、本願商標は「使用をされた結果需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるもの」になったもので(商標法第3条第2項)、決して商標法第3条第1項第6号にいう識別力のない商標に該当するものではない。

(4) 以下、本願商標が、使用をされた結果、自他商品識別力を有するに至ったものであることを証拠に基づいて立証する。

(4-1) まず、本願商標は、第1号証の「全農直販NEWS/Vol.3」(昭和63年秋発行)及び第2号証の「全農直販NEWS/Vol.4」(平成1年春発行)に示すように、四段に構成した「農協果汁」「ストレート」「季節の果実」「をしぼりました。」を菱形で囲った態様で使用を開始した。この菱形で囲った態様は、本願商標の楕円で囲った態様とは多少異なるものの、四段に書された文字構成及び書体は同一で、かつその配列も同一であることから、菱形で囲むも楕円で囲むもその商標の識別力に差異はなく、全体として同一の範囲をでない商標であるといえる(尚、この点に関連して、例えば、東京高裁昭57(行ケ)213、ジューシー事件、昭59.10.31判決では、「ジューシー」の片仮名文字を左横書きしてなる構成で、指定商品を第29類「果実飲料」とする原告の商標の出願に対し、出願に係る商標は原告が使用してきた商標と同一書体ではないが、共に通常の活字体であって両者は全体として同一の範囲をでないと認定し、出願に係る商標の使用による特別顕著性を認めている。つまり、商標法3条2項の適用に際して、必ずしも出願商標と使用商標の完全同一を要求していない)。

そして、昭和63年春の使用開始当初は、旬の時期にこだわった果実飲料を瓶詰めし、その容器(500ml)に上記四段構成文字を菱形で囲んだ態様のものを付していた。

この果実飲料としては、昭和63年秋には、山形産のデラウエアを使った「ぶどう」と福島産の白鳳を使った「もも」の100%ストレート果汁を販売し、平成1年2月には長崎県産の伊木力温州みかんを使用した「みかん」を、3月には沖縄県産の「パインアップル」を、また4月には福島県産の王林を使った「青りんご」を販売した(上記第1,2号証、及び第3号証の平成元年3月1日付け「日本セルフニューズ」新聞参照)。

これらは、いずれも季節限定商品で、約1年前から優れた果実を作っている産地を探し、品種を限定した上で育ててもらい、それを商品化の直前に収穫してストレート果汁とし、その果実がなくなればそれで終了するといった性格のもので、次にまた別の旬の果実を搾ったストレート果汁を製造するといった手順を採用して、現在も同様のコンセプトの下に製造・販売を続けている。

(4-2) そして、この旬にこだわった100%ストレート果汁は、昭和63年春の発売以来好評を博し、例えば、新製品情報誌「GEAR/ギア」による大学生10人を使った「100%フレッシュジュースの味」のテスト(14社,39種類のフレッシュジュースを対象)では、本出願人の上記商品がみかんジュースでは人気度NO.3(ただし評価の内容は1~3位ともほとんど同じ)、りんごジュースでは人気度NO.1(「やはり日本の味!」とコメントがあったほどウケた)に輝いている(第4号証の1990.6.1発行の新製品情報誌「GEAR/ギア」参照)。

(4-3) また、この商品は、平成1年春より平成2年秋にかけて、新聞・雑誌等により多大な宣伝を行ってきており、シンプルな透明瓶容器の中央に商標を付した使用態様とも相俟って、取引者・需要者間に相当広く全農直販の取扱い商品として知られるところとなっている。その広告の一例を示すと、平成元年5月18日付け「農業協同組合新聞」(第5号証)、1989(H1)年5月20日付け「帝飲食糧新聞」(第6号証)、㈱日刊経済通信社1989年6月発行の「酒類食品統計月報」第31巻4号(第7号証)、同6月発行分(第8号証)、1990(H2)年3月24日付け「毎日新聞」(第9号証)、1990(H2)年3月28日付け「食糧タイムス」(第10号証)、1990(H2)年4月1日付け「コンビニエンスストア新聞」(第11号証)、1990(H2)年5月20日付け「帝飲食糧新聞」(第12号証)、国際商業出版1990年7月発行の「激流」(第13号証)、1990(H2)年8月17日付け「日本食糧新聞」(第14号証)、1990(H2)年8月18日付け「農業協同組合新聞」(第15号証)、1990(H2)年8月19日付け「日刊スポーツ」(第16号証)などがあり、ここには本願商標(菱形で囲ったもの)を付した商品「果実飲料」を掲載している。

(4-4)そして、上記瓶容器で販売していた商品は、その後平成3年3月に紙容器に変更され、それと同時に商標の態様も現在出願中のものと形式的にも全く同一な上記四段の文字を楕円で囲った態様に変更して、さらに広く販売を継続してきている。

即ち、平成3年3月には、本願商標を紙容器(紙パック500ml)に付した商品を首都圏,中京圏,近畿圏を中心に販売を開始しており、この商品としては、春から夏(3月から7月)にかけては「温州みかん」と「りんご」、夏から秋(8月から11月)にかけては「白桃ピーチ」と「パインアップル」、秋から冬(12月から2月)にかけては「洋なし」と「青りんご」があり、全部で6種類の果実飲料である。

そして、これら紙容器入り果実飲料の販売実績を表に示すと以下の通りである。

《 本願商標を付した果実飲料の販売実績(500ml/本)》

種類 平成3年度 平成4年度 平成5年度
みかん 196,769 131,615 23,956
りんご 212,508 201,902 28,568
ピーチ 179,014 111,096
パイン 136,352 73,305
洋梨 128,319 49,965
青林檎 180,311 93,585
合計 1,033,573 861,468 52,524

この表からも明らかなように、平成3年度は103万本を超える販売量を示し、平成4年度以降は減少傾向にあるものの、それでも66万本を超える販売量にのぼっている(減少傾向を示しているが、これは旬の果実を搾ってそのまま製品化するといった手法をとる関係で、その時々の天候や仕入れ量に大きく左右されることも一因となっている)。

(4-5) また、店舗における陳列販売状況は、例えば、第17号証(東急ストア中央林間店:神奈川県大和市中央林間4-12-1:1991年12月6日撮影)及び第18号証(サミット東中野店:東京都中野区東中野4-5-1-10:1991年12月7日撮影)の店舗写真に示す通りである。

本願商標を付した果実飲料は、このような状態で、首都圏,中京圏,近畿圏を中心とした各スーパーマーケット,コンビニエンスストア,デパート等の飲食品売場で陳列され、販売に供せられている。

(4-6) さらに、この紙容器の納入実績の報告が日本製紙㈱よりなされているので、その資料を第19号証として提出する。これによれば、平成3年2月から平成5年6月にかけて、合計189万枚以上の本願商標を付した紙容器が納品されたことになる。

(4-7) そして、これら紙容器に変更した商品は、市場に流通させるだけでなく、新聞・雑誌等で広く取り上げられられ、また、パンフレット,ちらし等を通じて広く宣伝・広告活動を続けてきている。

上記本願商標の付された商品が取り上げられた新聞・雑誌としては、例えば、第20号証の1991(H3)年3月5日付け「帝飲食糧新聞」の“新製品”紹介記事、第21号証の1991(H3)年4月発行「ビバリッジ・ジャパンNO.112」のNEWS HIGHLIGHTS、第22号証の1991(H3)年発行「デーエフサロン VOL.18 NO.3・4」の製品ニュース、第23号証の1991(H3)年9月15日発行「Chain Store Age」の商品紹介、及び第24号証の1991(H3)年11月発行「ビバリッジ・ジャパンNO.119」のNEWS HIGHLIGHTSなどがある。

(4-8) また、宣伝・広告媒体としては、第25号証及び第26号証の「全農直販ニュース」(各約1万部印刷して、取引先である各店舗に配布している)や、第27号証及び第28号証の一般消費者向け「全農直販NEWS Vol.8」(平成3年春発行=第27号証),「全農直販NEWS Vol.9」(平成4年春発行=第28号証)(これらはダイレクトメールで一般消費者向けに各約2万部発送している)や、第29号証の平成4年6月30日付け「商品パンフレット」,第30号証の平成5年6月25日付け「商品パンフレット」,第31号証の平成5年発行の「商品パンフレット=農協ブランド商品ご案内」(各5千部を取引先に配布している)などがある。

(4-9)そして、このような販売や宣伝広告の実績が評価されて、JASの格付け団体でもある「日本果汁農業協同組合連合会」(東京都千代田区外神田3丁目10番12号所在)の会長理事 大塚清次郎氏から、本願商標を付した商品「果実飲料」は、取引者及び需要者間において、直ちに当社の商品であることを認識し得るほどに周知著名になっている旨の「証明書」(第32号証)も発行されている。

(4-10) このように、本出願人は、本願商標と同一の識別機能を発揮する「農協果汁」「ストレート」「季節の果実」「をしぼりました。」の四段文字を菱形で囲んだ商標を、昭和63年春より使用し始め、途中、平成3年春の容器変更に伴って上記四段文字を楕円で囲んだ本願商標と全く同一の態様に改め、その後現在まで本願商標を付した商品を継続的に市場に流通させると共に、新聞・雑誌・ちらし等の媒体を用いて宣伝活動を大々的に行ってきており、しかもこの間、本願商標と同一または類似の態様による第三者の使用は全くなされていない。

その結果、現在においては、本願商標を付した果実飲料は、本出願人の取扱いに係る商品であると、取引者・需要者間に認識されるところとなってきている。

(5)以上によって明らかな通り、その使用期間、使用態様、販売された使用商品の数量、宣伝広告の方法及び回数、新聞雑誌等による使用商品の取り上げられ方、第三者による同一・類似商標使用の不存在等の状況を総合的に観察してみれば、本願商標は、使用をされた結果需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるものとなったということができ、商標法第3条第2項の規定によって登録適格性を有し、決して同第3条第1項第6号の規定に該当するものではない。

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