商標登録insideNews: 「西尾の抹茶」商標危機 : 中部発 : 読売新聞(YOMIURI ONLINE)

 特産品のブランドを、政府などが知的財産として守る地理的表示(GI)保護制度に登録された「西尾の抹茶」(愛知県西尾市など)の商標を、中国企業が欧州連合(EU)と中国で申請し、8月以降、登録される予定となっていることがわかった。登録されると、日本側は現地でブランド展開ができなくなる。生産者らでつくる西尾茶協同組合は「悪質なブランド乗っ取りで到底、認められない」として、現地の当局に近く異議を申し立てる。

情報源: 「西尾の抹茶」商標危機 : 中部発 : 読売新聞(YOMIURI ONLINE)

商標登録insideNews: 地理的表示保護、酒類139品目を公表 EPA大枠合意で国税庁  :日本経済新聞

 日欧経済連携協定(EPA)の大枠合意を受けて国税庁は12日、農産品などの地域ブランドを守る地理的表示(GI)として保護する欧州連合(EU)産の酒類139品目を公表した。フランス産ワインの「ボルドー」

情報源: 地理的表示保護、酒類139品目を公表 EPA大枠合意で国税庁  :日本経済新聞

商標登録insideNews: FCバルセロナ Cule v. Kule 商標争いに敗れる

著名なスペインのフットボールクラブのFCバルセロナは、ルクセンブルクのGeneral Courtで指定商品について使用しているという証拠が出されていないという理由で、異議申し立てを認めない旨の判決をしています。争いは、米国アパレルメーカーが”Kule”について被服を含む指定商品について出願をしましたが、これに対してFCバルセロナが商標権を有する”Cule”に称呼が近いと考え、異議申し立てをしたものでした。”Cule”はサポーターやクラブのプレーヤーを意味するとしています。

A European court has affirmed an earlier ruling that Spanish football club FC Barcelona has not been able to demonstrate genuine use of trademarks in a dispute with US-based fashion company Kule.

情報源: General Court: FC Barcelona loses latest trademark appeal

商標登録insideNews: トヨタ、「スープラ」を欧州でも商標登録…新型スポーツカーか | レスポンス(Response.jp)

WIPOのGLOBAL BRAND DATABASEで”SUPRA”を入力してみると、確かに今月の6月3日に、ニュージーランド(NZ)、フィリピン(PH)、ブルネイ(BN)で”SUPRA”を出願し、欧州連合(EM)、オーストラリア(AU)、スイス(CH)で”TOYOTA SUPRA”を出願しています。SUPRAの復活が予定されているのは、確かなように思います。

WIPO GLOBAL BRAND DATABASE ”SUPRA"
WIPO GLOBAL BRAND DATABASE ”SUPRA”

トヨタ自動車が2002年、生産と販売を終了したスポーツカー、『スープラ』。欧州の最新の商標登録データから、スープラ復活の可能性が現実味を帯びてきた。

情報源: トヨタ、「スープラ」を欧州でも商標登録…新型スポーツカーか | レスポンス(Response.jp)

商標登録insideNews: トヨタ、英EU離脱派に法的措置の可能性 無断ロゴ使用で | ロイター

今月23日にイギリスでEU=ヨーロッパ連合からの離脱の賛否を問う国民投票が行われることになっています。もしイギリスが欧州連合を脱退することが生じた場合には、欧州連合の出願には英国が含まれなくなる可能性が高くなり、イギリスと欧州連合の両方で保護が必要な場合は、それぞれ別個に出願することになることが予想されます。そんな中での、トヨタロゴの無断使用についてのNewsという内容です。

情報源: トヨタ、英EU離脱派に法的措置の可能性 無断ロゴ使用で | ロイター

商標登録insideNews: EU 「ルービック・キューブ」の形状商標に無効判断

ルービックキューブ・ブランドを管理する英セブン・タウンズ(Seven Towns)は1999年、欧州連合知的財産庁にルービックキューブの形状を立体商標登録しており、これに対して2006年に独玩具メーカーのジンバ(Simba)が商標登録の無効化を申請し、この際、同社は、この形状にはパズルを回転させる技術が含まれており、商標ではなく特許の対象だと提訴しました。欧州連合知的財産庁がこれを却下し、同社は提訴に踏み切ったものの、欧州一般裁判所での第1審は敗訴。その後、欧州司法裁判所に上訴しておりました。今回、ルービックキューブの形状については、その使用による顕著性以前に、商品の性質からくる形状と判断され、登録できないと欧州司法裁判所は判断しています。

ルービックキューブ
ルービックキューブ

欧州連合商標規則の下(Article 7(1)(e)(i))では、商品の性質の結果によってもたらされる形状やその他の特徴のみからなる商標は登録できないとされており、そのような商品に実質的な価値を与える技術的結果や形状、その他の特徴を得るのに必要な商品の性質や形状等からなる標章についての拒絶は、使用により生じた顕著性によっては覆らないものとされています。換言すれば、形状やその特徴については、使用による特別顕著性が得られたか否かにかかわりなく、登録できないと規定されています。今回の判断は、欧州連合(EU)の商標規則では、製品機能に不可欠な特徴を備えた形状は登録できないとしたもので、こうした形状を1社が独占すれば、他社はその製品を作れなくなると指摘しています。

情報源: NNA.EU

欧州連合知的財産庁 (EUIPO) vol.4 商標_動画(リンク)

1.欧州連合知的財産庁は商標と意匠の登録を担う欧州連合の機関です。EUIPO is the EU Agency in charge of registering trade marks (EUTMs) and designs (RCDs), 6:04

2.知的財産権はどこでも 1:28

3.EUIPO Academy Learning Portal 1:40

欧州連合知的財産庁(EUIPO)のWebsite
EUIPO Academy Learning PortalのWebsite

欧州商標 審決取消訴訟 コーラボトルの立体商標は特別顕著性なし

EU:T:2016:94, The General Court, 24 Feb. 2016. The Coca-Cola Company vs. OHIM

欧州共同体商標として第6類、第21類、第32類を指定して出願されたコカコーラの瓶の立体的商標は、審査段階では、絶対的拒絶理由(absolute ground)で拒絶査定とされ、審判(The Board of Appeal)段階においても、特別に顕著なものではないとして、その拒絶審決が維持されています。特に欧州商標出願の対象となった立体商標は、「瓶の輪郭に装飾溝がない」商標(下図参照)で、一般に人々に良く認識されている「瓶の輪郭に装飾溝がある」商標ではないものでした。審決では、瓶の輪郭にある装飾溝は注目すべき特徴点であり、それがない瓶の輪郭は、関連する大衆の目を以て判断すると、装飾溝がある瓶の輪郭の自然な進化形とする見方を否定して、本件商標には商品の出所について直ちに直接に認識させるものではないとしています。また、審決では、出願人から提出された調査結果を疑わしいとしており、それは一般に認識された市場調査会社によってなされたではなく、前の社員が独立して起こした会社によるものであり、誘導する質問を含み、全体の合計が100%を超えていたり、加盟国の半分以下の国でなされていたりというレベルでした。

coka-cola bottle
coka-cola bottle

裁判ではこのような瓶の輪郭について、普通の形状のものからの僅かな違いは商標とすることはできない、それは一般人が出所の表示としてみることができないからであるとし、10の加盟国で市場調査されたデータを残りの国まで外延して欧州連合のすべてでとすることはできないとし、使用による特別顕著性はないものとして請求棄却しています。

欧州連合商標制度🇪🇺 vol.2

7.欧州連合商標の異議申立(Opposition)

Q.異議申立の理由はどのようなものとなりますか?

欧州議会議事堂、ストラスブール、フランス
欧州議会議事堂、ストラスブール、フランス

A.先行する登録商標と先行する商標出願です(相対的拒絶理由)。具体的には、対象となる商標が、既登録商標が同一または類似であり、かつ同一または類似の商品に使用される場合(先行商標が著名である場合は商品は非類似でも良い。)、一地域を超えて周知性がある先行の未登録標章と競合する場合、周知標章(パリ条約第6条の2)と紛らわしい場合が挙げられ、さらに、対象となる出願が、商標の所有者に無断で代理人(たとえば、代理店)により出願された場合も異議理由となります。

出願公告された欧州連合商標出願の約20%は異議申立を受けています。日本の商標制度では国が相対的理由も含めた実体審査を行って商標権を基本的には先行商標と競合しない形で発生させていますが、欧州では競合する部分は異議申立手続等を介して当事者間での境界線の線引きを可能とするようにしています。日本の制度では、実質の市場形態よりも机上の類似群コードで権利範囲を決めており、ぎりぎりのところでは不都合も生じ得ることとなります。競合するところは、細かい線引きが必要であり、仮に国や当局が線引きすると他の当事者同士にも同じ線引きが必要となってしまいケースバイケースの対応ができません。先ず当事者間で解決すれば良いのではというのが欧州制度の背景にあるものと思います。

Q.異議申立できる人は誰でしょうか?

A.先行の出願商標または既登録商標(商標は欧州連合商標または国内商標のどちらでも)の所有者、一地方に限定されない範囲で周知な未登録商標で、本国において欧州連合商標の使用を制限する権利を付与されている商標の所有者、およびパリ条約6条の2の規定(周知商標)に該当する商標の所有者です。また、先行商標の所有者から使用を許諾されている者(licensee)も異議申し立て可能です。なお、異議申立の根拠を自己が所有する商標とする場合、異議申立の根拠となっている商標の所有者であることを証明する国内官庁が発行した証明書を提出する必要があります。また、この証明書は異議申立をした際の言語に翻訳されていなければなりません。

Q.異議申立できる期間はいつでしょうか?

A.出願公告の日から3ヶ月以内です。但し、欧州連合商標がマドプロの国際登録出願で指定されているときは、異議申立期間は、公告日より1か月後の日から3か月とされます。異議申立期間の延長はありません。

Q.異議申立する際の言語は?

A.EUIPO の公用語になります。出願の言語がEUIPOの公用語の場合は、その言語か、或いは出願の際に選んだ第二言語(EUIPOの公用語)になります。出願にもEUIPOの公用語が使われている場合、異議申立人はどちらか好きな方を選べます。EUIPOの公用語以外の言語で異議申立がされた場合、異議申立人はEUIPOの公用語のいずれかに翻訳するための期間(1ヶ月)をあたえられます。

日本からの出願の際は、第一言語はほぼ英語となる場合が多いのですが、異議申立の多くがドイツからされるという事情がありますので、第二言語にドイツ語をあえて選ばずに、例えばスペイン語を第二言語に選択することで、異議申立への対応費用を削減する方法もあります。また、出願自体(第一言語)を少数派の例えばオランダ語とすることで、第二言語を英語にもっていく方法もあります。

Q. 異議申立にかかる費用は?

A. 異議申立費用(Opposition fee (Article 41(3); Rule 18(1))はEUR350です。この費用は異議申立可能な期間と同じ期間内に払わなければなりません。

Q. 異議申立にかかる期間は?

A. クーリングオフ期間の長さや事件の複雑性などにも依存しますが、一般的には、クーリングオフ期間の終了後、おおむね12か月前後の期間がかかります。

Q. クーリングオフ(cooling off)期間とは何でしょうか?

A.異議申立があった場合、その旨が出願人に通知されます。この通知があった後の2ヶ月間がクーリングオフ期間となります。この間、両当事者の間には対立関係はまだ発生していません。この期間に話し合いをし、双方の棲み分けを図るように指定商品や指定役務を限定して和解するをこともできます。和解により異議申立に決着をつけた場合、両当事者どちらも費用を払う必要がないという利点があり、異議申立人が払ったお金は払い戻されます。クーリングオフ期間は最大で合計24ヶ月まで延長できます。当事者がクーリングオフ期間を終了したいと思えば、その当事者は一方的に交渉を終わらせることができます。交渉による解決の方が実際に異議申立手続に入る事件よりも多くなっています。

Q.異議申立の必要書類はどのようなものがありますか?

A.異議申立人は、申立書と同時に、事実、主張、証拠のすべてを提出する必要があります。一方、出願人にはクーリングオフ期間の終了後、通常、2ヶ月の反証提出の機会が与えられます。

Q.異議申立を受けたとき、出願人が取りうる手段はどうなりますか?

A.補正、和解、各国出願への変更、異議申立人に対する真正なる使用の立証の請求といった手段があります。 商標の登録後5年間は商標を市場において現実に正しく使用する義務を商標権者は負います。従いまして、被異議に係る出願人は異議申立の根拠となっている商標の使用の証明の提出を求めることができます。

Case C‑149/11, Leno Merken BV v. Hagelkruis Beheer BVは、The Court of Justice of the European Union (CJEU) は、次のように判示しています(5 July 2012)。…1つの加盟国内のCTMの使用は、それだけを以て商標の真正な使用(genuine use)を構成するのに必要十分という訳ではないが、諸事情を勘案して、1つに加盟国の領土内に応ずる領域内でのCTMの使用は、共同体内での真正な使用を構成し得る…。

Q.使用の証明として提出できるものは何でしょうか?

A.証拠は場所、時、範囲、どれが登録されていてどれに異議申立が基づいているのかという観点から、異議申立商標の商品、役務への使用形態を含むものでなければなりません。たとえば、パッケージ、ラベル、価格表、カタログ、請求書、写真、新聞広告を提出することができます。

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ノイシュヴァンシュタイン城

8.欧州連合商標の不服申立(Appeal)

異議申立の認容決定、拒絶決定に対して、不服を申し立てることができます。

Q.不服申立をできる期間は?

A.決定の通知がされた日から2ヶ月以内です。この期間内にEUIPOに書面(notice of appeal)を提出し、不服申立をします。不服申立費が支払われるまでは不服申立がされたとみなされません。この期間は延長されないので注意が必要です。また、決定の通知がされた日から4ヶ月以内に不服申立理由を補充する書面(written statement of the grounds of appeal)を提出する必要があります。なお、不服申立費としてEUR720かかります。

Q.不服申立の際使う言語は何ですか?

A.不服申立の対象となっている決定に使用されている言語になります。

Q.不服申立書に記載する事項は?

A.不服申立人の氏名および住所、どこで代理人を任命したかと代理人の氏名及び住所、争われている決定を特定する説明書、決定の修正や取消を求める範囲、不服申立のための費用の支払いの詳細、不服申立人と代理人の署名、になります。不服申立にその理由が含まれていなかった場合、理由に関する記載は、争われている決定の通知の日から4ヶ月以内に理由を記した書面を提出しなければなりません。不服申立書の記載は簡潔かつ申立人の主張を的確に示したものである必要があります。これは、争点整理は主に書面によって行われるためです。

Q.異議決定の負担額について不服申立できますか?

A.異議決定の際には、費用敗者負担のルールになっており、負けた方の当事者が費用を負担することになります。この負担額について納得できない場合には、決定の通知がされた日から1ヶ月以内に書面で費用の決定に対して100EURを支払って不服を申し立てることができます。

9.欧州連合商標の登録(Registration)

出願公告の後に異議申立がなかった商標や和解し或いは異議申立が不成立の場合、更には不服申立が認容された場合、対象の商標は欧州連合商標として登録され、保護をうけることができます。

Q.登録された商標をどうやって知ることができますか?

A.EUIPOによって登録された商標はEUTM登録原簿に載ります。この登録原簿は商標権の移転、名義又は住所の変更、ライセンス供与などといった変更に対応するために常にアップデートされています。調査のために登録原簿を使うこともできます。その際には、その旨を書面で提出し、お金を払うことが必要です。

Q.欧州連合商標の権利の存続期間は?

A.欧州連合商標の存続期間は出願の日から10年です。登録日から10年ではありません。10年ごとに更新することも可能です。

Q.欧州連合商標の商標権の権利内容はどのようになりますか?

A1.EU加盟国全てにおける商標権を持つことができます。商標権の移転、ライセンス契約の締結も可能です。

A2.第三者が権限なく同一又は類似の商標を使用することを禁止することができます。なお、類似は商品・役務の範囲と商標の関係において公衆に混同を生じさせる可能性があるかいなかによって判断されます。

A3.商標の識別性や信用が害されるなどの不利益があるときは、商標権の禁止権の範囲を同一または類似のものから非類似のものにまで拡大することができます。

※商標権者が欧州連合加盟国においてその商標をつけた物品を自ら市場化したり市場化について合意をした場合は欧州連合内におけるそのあとの第三者の自由な商標の使用を禁止することはできません。この権利の制限は欧州連合内における権利消尽の原則によるものです。ただし、EUTMにより保護されている商標をつけた製品の欧州連合の非加盟国からの並行輸入はヨーロッパ経済地域に関する合意(Agreement on the European Economic Area)の加盟国からの場合を除き、原則として権利消尽の原則は適用されません。

Q.もし、権利侵害があった場合はどうしますか?

A.欧州連合の各加盟国に設置されているEUTM裁判所に訴えを提起することができます。訴えを提起する際、原告は侵害が行われた場所がある加盟国の裁判所か、被告の住所または営業所がある加盟国の裁判所のどちらかを選ぶことができます。侵害が行われた場所がある加盟国の裁判所侵害行為の有無についての裁判権のみをもちます。これに対して、被告の住所または営業所がある加盟国の裁判所は侵害行為の有無だけでなく、損害賠償の額などの全ての争いについての裁判権をもちます。EUTM裁判所による判決の効力はEU加盟国全てに及びます。

Palace of Westminster, London, United Kingdom
Palace of Westminster, London, United Kingdom

10.欧州連合商標の取消・無効(Cancellation)

EUTMR(European Union Trade Mark Regulation)によると、取消・無効(cancellation)には2種類あります。欧州連合商標の登録が取り消される(revocation)場合と、欧州連合商標の登録が無効(declaration of invalidity)であると宣言される場合です。登録が取り消される(revocation)のは、取消の申請日からであり、一方、登録が無効になる(declaration of invalidity)のは、遡及効があります。

Q.どのような場合、EUTMの登録が取り消され(revoked)ますか?
A.以下の場合、所有者の商標権は取り消されるかもしれません。

  • 正当な使用がなされていない場合 (Article 51(1)(a))。なお、EUTMは登録後継続して5年間の、正当に使用されていない中断は認められない旨(使用義務)が定められています。
  • 所有者の行動の結果、登録された商標が普通名称となった場合、所有者の使用により一般概念となった場合(Article 51(1)(b))。
  • 所有者による使用の結果、商標が登録された商品又は役務の質、本質、原産地につき混同を生じさせるようなものになった場合(Article 51(1)(c))
  • 所有者が団体商標の権利享有主体となりうる要件を満たしていないとき(Article 73)

Q.どのような場合、EUTM所有者の権利は無効と宣言(declared invalid)されますか?

A.登録したEUTMに絶対的無効理由(absolute ground)、相対的無効理由(relative ground)がある場合、登録は無効と宣言されます。具体的には以下のようなものがあります。
以下の場合、EUTMは絶対的拒絶理由(absolute ground)に該当するから無効であると宣言されるかもしれません。

  • 登録手続においてEUTMが第7条に違反して登録された場合(Article 52(1)(a):具体的にはArticle 7(1)(a) to 7(1)(k))
  • 出願時に出願人が誠実義務違反な行動(bad faith)をしていた場合(Article 52(1)(b))
  • 団体欧州連合商標が66条に違反して登録された場合(Article 74)
  • また、以下のような相対的無効理由(relative ground)に該当することによってEUTMは無効であると宣言されるかもしれません。

    • 当該欧州連合商標が先行商標と同一であり、同一の商品及び/又は役務を対象とする場合(Article 53(1)(a))。
    • 公衆の側で類似による混同が存在する場合(Article 53(1)(a))。
    • 競合商標をみだりに使用すると、先行商標の特性や評判について不公平ば利得を受け或いは害する場合(Article 53(1)(a))。

    Q.取消・無効請求をできる人は?

    A. EUTMが登録されたあとであれば、誰でも請求できます。ただし、EU加盟国内に住所、居所、営業所または現実の生産活動拠点を持たない者は代理人によって手続をしなければなりません。相対的無効理由については関係当事者のみです。つまり、侵害された先行商標権者又は使用をライセンスされた商標使用権者だけが、相対的無効理由で訴えることができます。

    Q.取消・無効請求をできる期間は?

    A.特に期間の制限はありません。ただし、先行する権利の所有者がEUTM登録後の継続した5年間の使用を黙認した場合は、(悪意による使用のケースを除き)相対的無効理由を主張して無効請求をすることはできません。

    Q.取消・無効請求にはいくらかかる?

    A. EUR700です。この費用が支払われるまで請求はされていないものとみなされます。この費用を払ったあとに請求を取り下げた場合、請求費用は払い戻されません。また、取消・無効請求の費用を負担するのは負けた側です(敗訴者負担の原則)。請求にかかった費用と相手の費用も負担します。敗訴者が負担する費用の上限は決まっています。

    Q.取消・無効請求の際に使用する言語は?

    A. EUTMの公用語になります。出願の際に出願人が選んだ言語が両方ともEUTMの公用語の場合は、どちらか選択され、取消・無効請求人はどちらか好きな方を選ぶことができます。

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    EUIPO Common Tools (YouTube)

    About EUIPO

    欧州連合商標制度 vol.1

    欧州連合商標制度🇪🇺 vol.1

    1.欧州連合商標の制度概要(Outline)

    欧州連合商標(EUTM:European Union Trade Mark)とは、欧州連合知的財産庁(EUIPO:European Union Intellectual Property Office)における1件の登録で欧州連合(EU:European Union)加盟国全体をカバーする商標権を指します。平成28年3月23日から、今までの共同体商標(CTM:Community Trade Mark)は欧州連合商標に、欧州共同体商標意匠庁(OHIM*)は欧州連合知的財産庁にそれぞれ改称されています。欧州連合商標は欧州各国内の商標権に影響を及ぼしませんので、1つの商標について、欧州各国内の商標出願登録をすることも、欧州連合商標の出願をすることも、両方に出願することもできます。

    ※現在のEU加盟国は、ベルギー、ブルガリア、チェコ、デンマーク、ドイツ、エストニア、アイルランド、ギリシャ、スペイン、フランス、クロアチア、イタリア、キプロス、ラトビア、リトアニア、ルクセンブルク、ハンガリー、マルタ、オランダ、オーストリア、ポーランド、ポルトガル、ルーマニア、スロベニア、スロバキア、フィンランド、スウェーデンの27か国です(2020年2月現在)。なお、スイス、ロシアとノルウェーは欧州共同体に加盟しておらず、英国は2020年1月末に離脱しました。EEA(欧州経済領域)のノルウエー、アイスランド、リヒテンシュタインには、EU加盟国ではないので欧州連合商標の効力は及ばないものとなっています。

    欧州連合からのイギリス脱退については、2020年末までの移行期間が設けられており、現状の欧州商標の商標権者は、期待される英国への保護の拡張手続を待つか、或いは積極的に移行期間の終了前に英国出願をするかの選択が求められます。

    欧州連合知的財産庁(EUIPO)は、スペイン、アリカンテにある欧州連合の専門機関のひとつです。その前身である欧州共同体商標意匠庁(OHIM)は、1999年に設立され、正式には“域内市場における調和のための官庁(商標及び意匠)”[Office for Harmonization in the Internal Market (Trade Marks and Designs)]と呼ばれていました。ちなみに共同体意匠(Community Design)はそのままです。

    欧州
    欧州

    2.欧州連合商標の手続 (Procedure of EUTM)

    欧州連合商標を出願する際は、EUIPO にマドプロ(Madrid System)経由か或いは直接出願をすることになります。欧州各国の商標庁に出願することはできません。これは、現状で出願の96%はEUIPOへの電子出願形式で出願されていることを反映しています。出願後に、EUIPOによる方式審査(formality check)と絶対的拒絶理由(absolute ground)に関する審査が行われます。絶対的拒絶理由は、商標としての顕著性など機能を有するか否かの観点で判断され、先行商標との競合関係(相対的拒絶理由: relative ground)については審査されません。また、EUIPOからは、先行する商標についての調査報告がなされ、オプションで所定の商標庁による調査報告(search report)も得られます。出願人が調査報告書を受け取ってから少なくても1ヶ月経過後に出願公告がされ、出願公告の日から3ヶ月が異議申立(opposition)期間となります。異議申立がなかった場合、異議申立が認められなかった場合、或いは異議申立の認容に対する不服申立(appeal)が認められた場合には、欧州連合商標が登録されます。登録された欧州連合商標は公示されます。手続の流れをフローチャートで簡単に示すと以下のようになります。

    欧州連合商標(EUTM)の手続の流れ
    欧州連合商標(EUTM)の手続の流れ

    3.欧州連合商標の長所と短所 (EUTM’s merits and demerits)

    EUTMの長所

    • 単独の出願でEU加盟国全てをカバーする商標権の取得が可能です。また、更新などの手続も一度で済むため、容易な商標管理が実現されます。
    • EU加盟国のいずれか一カ国で商標を使用していれば不使用取り消しを免れることができます。
    • EU加盟国の多くの国で出願する場合、費用が通常の各国出願より安く済みます。

    EUTMの短所

    • 一旦、拒絶になるとその効力がEU加盟国全部に及んでしまいます。この場合に、拒絶がなかった国については通常の各国出願に切り換えることもできます。
    • 取り消し、無効についても権利は一体として扱われるので、EUの一カ国においてのみ取り消し、無効が確定した場合。他のEU諸国においても権利が消滅してしまいます。また、国ごとには商標権は譲渡できません。
    • 相対的拒絶理由の審査がされずに、方式と絶対的拒絶理由の審査だけが行われて登録になります。従って、同一、類似の商標が数多く併存し、異議申し立てをうける蓋然性は高くなっています。

    EUIPO動画(日本語)

    Register Brand Europe – Japanese 2:14

    なお、改称前のOHIM当時に作成されていますので一部は内容が古くなっています。

    4.欧州連合商標の出願 (Filing)

    Q.保護対象となるのはどのようなものでしょうか?

    A.言語(商標出願に係る指定商品、指定役務についての普通名称になっているものを除きます)、人名、署名、文字、数字、頭文字、文字や数字や記号の結合、ロゴ、スローガン、デザイン、図、絵文字、人の肖像、言葉や図形の結合、色彩、ホログラム、音楽、呼び出し音、音声、動きのある標章などが保護対象です。 CTM制度では、”写実的に表現できる”との要件がありましたが、平成26年の改正でこの要件が削除され、においの商標や将来の新しいタイプの商標にも対応可能となっています。

    Q.どのような人が欧州連合商標を取得できますか?

    A.全ての人(自然人および法人)です。ただし、住所、営業所または現実の生産活動拠点がEU加盟国、パリ条約加盟国、TRIPs協定締約国のいずれかにあることが必要です。(日本はパリ条約に加盟しているので、日本人、日本企業はこの条件を満たしています。)

    Q.欧州連合商標にはどうような種類がありますか?

    A.一般的な欧州連合商標(individual)の他に、団体商標(collective mark)と2017年10月1日からは新しい証明商標(certification mark)があります。登録の要件や機能について詳しくは、欧州連合商標の団体商標と新しい証明商標のページを参照してください。

    Q.出願するとき、代理人は必要でしょうか?

    A.欧州連合内に住所、営業所または現実の生産活動拠点を持たない人は代理人を通じて手続をしなければなりません。EUに住所、営業所または現実の生産活動拠点を持っている人は自ら手続を行うこともできますし、代理人を通じて手続を行うこともできます。 代理人は欧州商標弁理士またはEUのいずれかの国で資格をもった弁護士でなければなりません。

    Q.出願の際に使用できる言語は何語でしょうか?

    A.出願の際に使用することができる言語はEUの公用語です。また、第二言語としてEUIPOの公用語(スペイン語、ドイツ語、英語、フランス語、イタリア語)のいずれかを選ぶ必要があります。出願の際にEUIPOの公用語を使用していたとしても、第二言語を選ばなくてはなりません。この第二言語は出願人が可能な手続言語として受け入れるものです。異議申立,取消請求手続、無効請求手続はEUIPOの公用語で行われます。(出願もEUIPOの公用語で行われていた場合、手続をする人は出願の際の言語を使うか第二言語を使うかを選ぶことができます。)

    なお、EUの公用語とされるのは次の24の言語(太字はEUIPOの公用語)です。ブルガリア語、クロアチア語、チェコ語、デンマーク語、オランダ語、英語、エストニア語、フィンランド語、フランス語ドイツ語、ギリシャ語、ハンガリー語、アイルランド語、イタリア語、ラトビア語、リトアニア語、マルタ語、ポーランド語、ポルトガル語、ルーマニア語、スロバキア語、スロベニア語、スペイン語、スウェーデン語

    Q.出願方法はどうなりますか?

    A.出願方法にはEUIPOに直接出願することになります。欧州各国の商標庁に出願することはできなくなっています。また、国際登録出願(マドプロ)で欧州連合(EM)を指定することもできるます。出願日はEUIPOが願書を受理した日または国内官庁が願書を受理した日になります。なお、EUIPOに直接出願する場合、郵送、インターネットによる電子出願方法がありますが、電子出願には150 EURの手数料割引があります。

    Q.出願の際に必要な事項はどのようなものでしょうか?

    A.欧州連合商標登録の願書が必要になります。詳しくは、出願を特定するための情報の提出、保護を求める商品、役務のリストの提出、 EUIPO又は国内官庁の願書の受理の日より1ヶ月以内の基礎出願費用の支払いが必要です。平成28年の改正点で、類見出し(class heading)を超える保護についての宣言が施行から6ケ月以内に限りできるとされています。IP Translator事件を受けて類見出しだけの記載については、その文言どおりに明確に含まれる商品、役務のみを指定したものと解釈されるため、その限定を防ぐためにも宣言が必要となり、期間内に宣言しなければ限定した権利解釈となります。

    EUIPOに出願する場合、現地代理人の委任状は原則的に不要ですが、例外的に要求された場合は必要です。出願費用は、1区分出願がEUR850で、2区分目EUR50の追加、それ以降はEUR150ずつ加算されます(2016年3月23日より)。

    euro03

    5.欧州連合商標の審査 (Examination)

    EUIPOは方式審査と、絶対的拒絶理由の審査を行います(相対的拒絶理由の審査は行いません。)。方式審査でチェックされることは、出願日が認定されているものであるかどうか、願書に必要な事項が記載されているか、必要な料金が支払われているかです。

    Q.出願日の認定要件が欠けていたらどうなるのでしょうか?

    A.官庁に受理された日付より遅い日付での出願日が認定されるか、出願が拒絶されるかのどちらかになります。出願日の認定要件が欠けていた場合、EUIPOは2ヶ月以内に欠けている要件を満たすようにという指令を出します。それにより欠けていた要件が満たされた場合、出願日は要件が満たされた日となります。

    Q.絶対的拒絶理由(absolute ground)にはどんなものがあるのでしょうか?

    A.その商標が以下の場合、出願人は意見書や補正書で応答・反論することができます。

    • 記述的商標(但し、実質的な欧州連合域内での使用による識別性を獲得した場合を除く)
    • 商品本来の形状
    • 技術的な成果を得るための形状
    • 商品の形状に相当な価値を付加する場合
    • 特定の商品を表示するため業界内で使用されている文字または図形からなる商標(慣用商標)
    • 商品の性質、品質、地理的出所に関し公衆を欺くおそれのある商標
    • 公序良俗に反する商標
    • パリ条約第6条の3の規定により保護された標識(国旗、及び国の紋章)
    • 欧州連合のいずれかの国において非難的または侮辱的と思われる標識

    審査官は、商標が識別力を欠く要素を含む場合にはその部分を権利不要求(disclaim)とすることを出願人に求めます。例えば、登録を求める商標が”〇〇-water”で指定商品が飲料水であれば、”water”について権利不要求とする場合が挙げられます。EUかのいずれか一カ国において普通名詞となってしまったものであるとき は登録を受けることはできません。また、立体商標の場合でその商標がその商品の形状そのものであるとき、その商標が公序良俗に反するようなものであるときも登録をうけることはできません。もし、審査にもかかわらずこのような商標が登録されてしまった場合、誰でもEUIPOに対して商標の無効審判を請求することができます。

    Q.調査とはどのようなものになりますか?

    A.出願日が認定された後、既に権利となっている商標、出願中の商標について、出願人の希望により、EUIPOとEU各国官庁が調査をします。EUIPOは、先行するEUTM登録、EUTM出願についてのみ調査を行います。このEUIPOのEU search reportは、実際はコンピューターが競合する関係の商標を機械的に抽出した結果を報告するものとなります。先行する商標の権利者は、競合する商標についての報告は受け取らないことを要求した場合を除いて、他人の調査報告に競合する商標として挙げられたとの通知を受け取ります。

    出願人が希望し、手数料(EUR72)を支払った場合には、商標調査制度を採用しているEU加盟国の官庁も先行商標を調査し、出願人に国毎調査報告(National Search Report)を送付します。国毎調査報告を請求すると、商標調査制度を採用しているすべての国で調査が行われます。商標調査制度を採用していない国(英国、フランス、ドイツ、イタリア、キプロス、マルタ、スロベニア、エストニア、ラトビアなどの数多くの国)では、国毎調査報告は作成されません。またある特定の国、例えばオランダのみの国毎調査報告を請求することはできません。この調査報告書は、出願人だけに送られます。これらの調査報告書は欧州連合商標の登録を判断をする際の材料となるでしょう。

    Q.出願公告とはどのようなものですか?

    A.出願に絶対的拒絶理由がなく、調査報告書が出願人に送られたあと、出願人が出願を取り下げなければ異議申立のための出願公告が行われます。出願内容が公報に載り、どのような出願がされたのかを知ることができます。この際、商標登録に関して競合する商標の所有者は、相対的拒絶理由(他人の先行権利との関係における拒絶理由)を主張して異議申し立てを提起することができます。また絶対的拒絶理由に対し第3者はオブザベーションを提出することができます。オブザベーションに根拠ありと思われる場合には再度審査されます。

    アトミウム, ブリュッセル
    アトミウム, ブリュッセル

    国内商標への変換 (Conversion)

    欧州連合商標やマドリッド制度の国際登録で欧州を指定した出願、さらには欧州連合商標として登録されている商標は、絶対的な不登録事由や異議申し立てで、所定の国についての商標を受ける権利を失った場合などにおいて、問題の生じていない国に対しては国内商標への変換(Conversion)をすることで、欧州連合商標で生じた問題を回避しながら出願や権利を継続させることができます。このような国内商標への変換は、マドリッド制度国際登録で欧州を指定した出願でも行うことができ、純粋な国内商標とすることもできますが、マドリッド制度国際登録でそのマドリッド制度の加盟国に変換することもできます。国内商標への変換の申請は、通常3ヶ月の期限以内に庁に提出する必要があり、費用が200 EUROかかります。

    6.先行権 (Seniority)

    先行権は、欧州連合商標や欧州連合商標出願の所有者が欧州連合の先に存在する国内登録に基づいて、例え国内登録が失効させられる場合でも、優先的な内容を主張できる権利である。欧州連合商標制度は、既存の国内登録の乗り換えとして機能するように制度設計されており、既に国内登録で保護されているような商標登録も先行権を主張して権利化を図るようにして、乗り換えの不利益がないようにしています。先行権は、既存の国内登録の指定商品・指定役務に対して主張でき、商標は同一であり、所有者も同一であるのが要件です。先の国内登録の存続期間が経過したり、取消や無効となれば、先行権を主張することはできません。先行権は、EUTMの出願とともに、或いは出願後、さらにはEUTMの登録の後でも、主張できます。

    マドプロの場合には、出願人が、国際出願又は事後指定においてEUを指定するとき、加盟国で登録された先の標章の先行権を主張することができます。そのような主張は、国際出願又は事後指定の請求に対しMM17 様式を添付することが必要となります。先願権クレームのサポートにおける証明書又は書類を添付することはできません。その代わり、IR(国際登録)名義人は、IR の最終的受理のEUIPO公開直前に加盟国で登録された先の標章の先行権も主張できます。

    欧州連合商標制度 vol.2

    EUIPO Common Tools (YouTube)