特許庁審査官等から受けた拒絶理由通知等に対し、反論した「意見書、審判請求書」の具体例を小川特許商標事務所のサイトから転載しております。
本願商標「メディアバッグ」16類×引用商標「MEDIA」「メディア」
1.出願番号 商願2004-60517
2.商 標 「メディアバッグ」
3.商品区分 第16類:紙袋,その他の紙製包装用容器,封筒
4.適用条文 商標法第4条第1項第11号
5.拒絶理由 登録商標「MEDIA」や「メディア」と類似する。
拒絶理由通知 意見書における反論
(1)拒絶理由通知書において、本願商標は、以下の1乃至5の商標と同一又は類似であって、その商標登録に係る指定商品と同一又は類似の商品に使用するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当すると認定された。
1.登録第1383988号(商公昭53-017054)…引用商標1
2.登録第1793329号(商公昭59-096685)…引用商標2
3.登録第2070941号(商公昭63-007034)…引用商標3
4.登録第2070942号(商公昭63-007035)…引用商標4
5.登録第2122286号(商公昭63-060269)…引用商標5
しかしながら、本出願人は、本願商標と引用各商標とは、外観、称呼及び観念のいずれにおいても紛れることのない非類似の商標であると考えるので、前記認定には承服できず、以下に意見を申し述べる。
(2)まず、本願商標は、願書の商標見本から明らかなように、片仮名の標準文字で「メディアバッグ」(類似群18C04、類似群25B01)と一連に書してなるものである。
これに対し、引用商標1乃至5は全て株式会社メディア(中央区銀座)の商標登録に係るもので、引用商標1は欧文字で「MEDIA」(類似群25B01)と書し、引用商標2は欧文字と平仮名で「D.MのMEDIA」(類似群25B01)と書してなるものである。また、引用商標3と5は、片仮名で「メディア」(3が類似群18C04、5が類似群25B01)と書してなるものであり、引用商標4はやや図案化した欧文字で「MEDIA」(類似群18C04)と書してなるものである。
したがって、本願商標と引用商標1乃至5とは、外観上類似しないことは明らかである。
(3)次に、観念の点についてみると、本願商標の「メディアバッグ」は、英語の「media」(媒体。手段。特にコミュニケーションの媒体。)に通じる「メディア」の片仮名文字と、英語の「bag」(袋。鞄(かばん)。)に通じる「バッグ」の片仮名文字とを結合して一体に表したもので、前後を分離して認識することの出来ない一連一体の造語商標である。然るに、全体からは「媒体袋」とか、「媒体鞄」というような意味合いを連想させるものの、具体的な意味内容ははっきりせず、特定の観念を生じさせることはない。つまり、本願商標は、単なる「メディア」でもなく、単なる「バッグ」でもなく、あくまでもこれらが一体となった結合商標であって、全体として特定の観念を生じさせることにない造語商標である。
これに対し、引用商標1、3、4、5の「MEDIA」や「メディア」は文字通り、「媒体。手段。特にコミュニケーションの媒体。」等の意味を有し、また、引用商標2の「D.MのMEDIA」は「D.Mの媒体」(具体的にはD.Mの意味がはっきりしないが)等の意味を有するものである。
したがって、本願商標と引用各商標とは、観念上も類似することはない。
(4)そこで、以下、称呼の点につき検討する。
本願商標の「メディアバッグ」は、上述のように、英語の「media」に通じる「メディア」の片仮名文字と、英語の「bag」に通じる「バッグ」の片仮名文字とからなるものであるが、あくまでも「メディア」と「バッグ」の両者を一体に結合して同書同大同間隔に左右バランス良く配置した商標である。そして、「媒体袋」とか、「媒体鞄」とかいうような意味合いを連想させるものであるが、具体的には特定の観念を生じさせない結合商標である。しかもまた、前段部分の「メディア」と後段部分の「バッグ」には、外観的にも観念的にも軽重の差はなく、また、称呼的にも比較的短い5音構成から成るもので、一連に称呼して冗長にならず、語呂もよく称呼し易い商標である。それ故、本願商標はその構成全体をもって不可分一体の商標と把握すべきもので、常に一連に「メディアバッグ」と称呼すべきものである。
この点に関し、審査官殿は、本願商標の前後を分断して、前段の「メディア」のみから単独の称呼・観念が生ずるとして、引用商標1~5を引いてきたものと思料するが、それは結合商標である本願商標を誤って把握したものであり、到底納得できるものではない。一連一体の本願商標から、「メディア」の部分のみを抽出するのはおかしな手法である。しかも、「バッグ」の文字自体も指定商品との関係にあって商標の要部を構成する文字であり、この文字が有るのと無いのとでは、別異の印象を与えるため、称呼上決して紛れることはないと思料する。
このことは、別法人による以下の商標登録の併存例からも言い得ることである。
即ち、
A.登録第1677760号「JUNBO BAG/ジャンボバッグ」(類似群25B01)(イズミコーポレーション株式会社)…第1号証と、
B.登録第2698958号「ジャンボ」(類似群25B01)(三菱鉛筆株式会社)…第2号証、及び、
C.登録第2698959号「JUMBO」(類似群25B01)(三菱鉛筆株式会社)…第3号証。
D.登録第4575937号「ルックバッグ」(類似群18C04)(福助工業株式会社)…第4号証と、
E.登録第4710997号「ルック」(類似群18C04、25B01)(株式会社サクラクレパス)…第5号証。
F.登録第2130661号「スッキリバッグ」(類似群18C04)(スルガ株式会社)…第6号証と、
G.登録第4779672号「スッキリ」(類似群18C04)(ユニ.チャーム株式会社)…第7号証。
H.登録第4127401号「ウインバッグ/WINBAG」(類似群25B01)(キョクヨーシグマ株式会社)…第8号証と、
I.登録第4784743号「WIN」(類似群25B01)(旭陽産業株式会社)…第9号証。
J.登録第4335018号「GET」(類似群25B01)(キャノン株式会社)…第10号証と、
K.登録第4739947号「getbag/ゲットバッグ」(類似群25B01)(株式会社ユニオンキャップ)…第11号証。
もし仮に、審査官殿の見解に従うのであれば、上記Aの「「JUNBO BAG/ジャンボバッグ」からは「ジャンボ」の称呼が生じると言うことになり、それより後願の「ジャンボ」と称呼される、B「ジャンボ」やC「JUMBO」が登録されるはずがない。同様に上記Dの「ルックバッグ」から「ルック」の称呼が生じるとしたら、それより後願のE「ルック」は登録されるはずがない。同様に上記Fの「スッキリバッグ」から「スッキリ」の称呼が生じるとしたら、それより後願のG「スッキリ」は登録されるはずがない。同様に上記Hの「ウイン/WIN」から「ウイン」の称呼が生じるとしたら、それより後願のI「WIN」は登録されるはずがない。また、Kの「getbag/ゲットバッグ」から「ゲット」の称呼が生じるとしたら、それより先願のJ「GET」の存在によって、この後願のKの「getbag/ゲットバッグ」は登録されるはずがない。
しかしながら、これらの商標はいずれも登録され、互いに併存している。本願商標「メディアバッグ」と、引用各商標「MEDIA」ないし「メディア」の関係も同様であろう。引用商標1~5の存在にも関わらず、本願商標は登録されて然るべきである。
(5) 以上のように、本願商標と引用各商標とは、外観・観念のみならず、称呼上も紛れることのない非類似の商標である。