商標登録insideNews: フリマアプリでイチゴ苗無断販売の疑い 12人を一斉摘発 | 日本農業新聞

種苗法違反などの疑いで品種登録したイチゴを無断販売した者を摘発

種苗法違反などの疑いで品種登録したイチゴを無断販売した者を摘発
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農研機構が開発し、品種登録したイチゴ「桃薫(とうくん)」の苗を無断で販売するなどしたとして、警視庁は3日、種苗法違反などの疑いで農業者を含む12人を摘発したと発表した。許可なくフリーマーケットアプリに出品していた疑いがある。同法違反の疑いで複数人が一斉に摘発されるのは異例。

情報源: フリマアプリでイチゴ苗無断販売の疑い 12人を一斉摘発 / 日本農業新聞

希少イチゴの苗を無断で譲渡したら違法?“農業守る切り札”種苗法とは【経済事件ファイル】、5:44 youtube

希少イチゴの苗を無断で譲渡したら違法?“農業守る切り札”種苗法とは【経済事件ファイル】

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「桃薫」の品種登録は以下の通り(品種登録データベースより)

登録番号 出願番号 農林水産植物の種類 品種名称 品種名称(カナ) 出願日 出願公表日 出願者名/育成者権者名 登録年月日 登録公表日 育成者権の存続期間満了日
21165 24290 Fragaria L. 桃薫 トウクン 2009/11/11 2010/01/25 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 2011/10/05 2011/10/05 2036/10/05

今回の摘発は刑事罰の適用ということになりますが、同時に民事上の救済も求めることができます。示談交渉がないとすると、民事裁判手続によることになり、特許法と同様に、差止請求、損害賠償請求、信用回復請求を求めることができます。しかし、損害賠償では本来得られるべき利益に数量を乗じた合計額が基本ですので、例えば1000円の苗を10個販売した程度では、なかなか裁判の諸経費を考えると民事上の救済は難しいところとなります。よって今回の事件では違反者に対しては刑事での摘発をして逮捕や書類送検の措置が取られています。
種苗法違反事件の概要

種苗法第2条第5項第1号(権利の使用)
 
  この法律において品種について「利用」とは、次に掲げる行為をいう。
  その品種の種苗を生産し、調整し、譲渡の申出をし、譲渡し、輸出し、輸入し、又はこれらの行為をする目的をもって保管する行為
種苗法第20条第1項(育成者権の効力)
 
第二十条 育成者権者は、品種登録を受けている品種(以下「登録品種」という。)及び当該登録品種と特性により明確に区別されない品種を業として利用する権利を専有する。ただし、その育成者権について専用利用権を設定したときは、専用利用権者がこれらの品種を利用する権利を専有する範囲については、この限りでない。
種苗法第67条(侵害の罪)
 
第六十七条 育成者権又は専用利用権を侵害した者は、十年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
種苗法 民事上の救済
 
(差止請求権)
第三十三条 育成者権者又は専用利用権者は、自己の育成者権又は専用利用権を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができる。
2育成者権者又は専用利用権者は、前項の規定による請求をするに際し、侵害の行為を組成した種苗、収穫物若しくは加工品又は侵害の行為に供した物の廃棄その他の侵害の予防に必要な行為を請求することができる。
(損害の額の推定等)
第三十四条 育成者権者又は専用利用権者が故意又は過失により自己の育成者権又は専用利用権を侵害した者に対しその侵害により自己が受けた損害の賠償を請求する場合において、その者がその侵害の行為を組成した種苗、収穫物又は加工品を譲渡したときは、その譲渡した種苗、収穫物又は加工品の数量(以下この項において「譲渡数量」という。)に、育成者権者又は専用利用権者がその侵害の行為がなければ販売することができた種苗、収穫物又は加工品の単位数量当たりの利益の額を乗じて得た額を、育成者権者又は専用利用権者の利用の能力に応じた額を超えない限度において、育成者権者又は専用利用権者が受けた損害の額とすることができる。ただし、譲渡数量の全部又は一部に相当する数量を育成者権者又は専用利用権者が販売することができないとする事情があるときは、当該事情に相当する数量に応じた額を控除するものとする。
2育成者権者又は専用利用権者が故意又は過失により自己の育成者権又は専用利用権を侵害した者に対しその侵害により自己が受けた損害の賠償を請求する場合において、その者がその侵害の行為により利益を受けているときは、その利益の額は、育成者権者又は専用利用権者が受けた損害の額と推定する。
3育成者権者又は専用利用権者は、故意又は過失により自己の育成者権又は専用利用権を侵害した者に対し、その登録品種等の利用に対し受けるべき金銭の額に相当する額の金銭を、自己が受けた損害の額としてその賠償を請求することができる。
4前項の規定は、同項に規定する金額を超える損害の賠償の請求を妨げない。この場合において、育成者権又は専用利用権を侵害した者に故意又は重大な過失がなかったときは、裁判所は、損害の賠償の額を定めるについて、これを参酌することができる。
(過失の推定)
第三十五条 他人の育成者権又は専用利用権を侵害した者は、その侵害の行為について過失があったものと推定する。
(登録品種と特性により明確に区別されない品種の推定)
第三十五条の二 品種登録簿に記載された登録品種の審査特性により明確に区別されない品種は、当該登録品種と特性により明確に区別されない品種と推定する。
(具体的態様の明示義務)
第三十六条 育成者権又は専用利用権の侵害に係る訴訟において、育成者権者又は専用利用権者が侵害の行為を組成したものとして主張する種苗、収穫物又は加工品の具体的態様を否認するときは、相手方は、自己の行為の具体的態様を明らかにしなければならない。ただし、相手方において明らかにすることができない相当の理由があるときは、この限りでない。
(書類の提出等)
第三十七条 裁判所は、育成者権又は専用利用権の侵害に係る訴訟においては、当事者の申立てにより、当事者に対し、当該侵害の行為について立証するため、又は当該侵害の行為による損害の計算をするため必要な書類の提出を命ずることができる。ただし、その書類の所持者においてその提出を拒むことについて正当な理由があるときは、この限りでない。
2裁判所は、前項本文の申立てに係る書類が同項本文の書類に該当するかどうか又は同項ただし書に規定する正当な理由があるかどうかの判断をするため必要があると認めるときは、書類の所持者にその提示をさせることができる。この場合においては、何人も、その提示された書類の開示を求めることができない。
3裁判所は、前項の場合において、第一項本文の申立てに係る書類が同項本文の書類に該当するかどうか又は同項ただし書に規定する正当な理由があるかどうかについて前項後段の書類を開示してその意見を聴くことが必要であると認めるときは、当事者等(当事者(法人である場合にあっては、その代表者)又は当事者の代理人(訴訟代理人及び補佐人を除く。)、使用人その他の従業者をいう。以下同じ。)、訴訟代理人又は補佐人に対し、当該書類を開示することができる。
4裁判所は、第二項の場合において、同項後段の書類を開示して専門的な知見に基づく説明を聴くことが必要であると認めるときは、当事者の同意を得て、民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第一編第五章第二節第一款に規定する専門委員に対し、当該書類を開示することができる。
5前各項の規定は、育成者権又は専用利用権の侵害に係る訴訟における当該侵害の行為について立証するため必要な検証の目的の提示について準用する。
(損害計算のための鑑定)
第三十八条 育成者権又は専用利用権の侵害に係る訴訟において、当事者の申立てにより、裁判所が当該侵害の行為による損害の計算をするため必要な事項について鑑定を命じたときは、当事者は、鑑定人に対し、当該鑑定をするため必要な事項について説明しなければならない。
(相当な損害額の認定)
第三十九条 育成者権又は専用利用権の侵害に係る訴訟において、損害が生じたことが認められる場合において、損害額を立証するために必要な事実を立証することが当該事実の性質上極めて困難であるときは、裁判所は、口頭弁論の全趣旨及び証拠調べの結果に基づき、相当な損害額を認定することができる。
(信用回復の措置)
第四十四条 故意又は過失により育成者権又は専用利用権を侵害したことにより育成者権者又は専用利用権者の業務上の信用を害した者に対しては、裁判所は、育成者権者又は専用利用権者の請求により、損害の賠償に代え、又は損害の賠償とともに、育成者権者又は専用利用権者の業務上の信用を回復するのに必要な措置を命ずることができる。

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