米国商標制度🇺🇸 vol.2

米国商標制度 目次

17.トレードドレス (Trade Dress)

A.トレードドレスとは?

harbor town
“Harbour Town” photo by Dan Perry / CC BY-2.0, converted from .jpg to .png with size reduction 75%
トレードドレスは、米国商標法(15 U.S.C. 1127若しくはランハム法§45)の商標の定義における「象徴(symbol)」または「図形(図案)(device)」を構成します。元来、トレードドレスは製品の包装や外装のみを指していましたが、近年では製品のデザインを含むように拡張され、通常、製品の全体像および全体的外観、または要素の全体として定義され、サイズ、形状、色または色の組み合わせ、テクスチャ、グラフィックス、さらには販売技法などの特徴を含むと定義されます。John J. Harland Co. v. Clarke Checks, Inc., 711 F.2d 966, 980 (11th Cir. 1983) 米国の判例によれば、トレードドレスは、製品のデザインや製品が販売されるパッケージング(包装)に及び、子供の衣装のデザイン、Wal-Mart。、529 U.S.A. 205、54 USPQ2d、1065、レストラン内装 Two Peso、色彩のみ(color per se) Qualitex, 514 U.S. at 162, おもちゃの車に対するFERRARI 365 GTB、Ferrari SpA v. McBurnie, 11 U.S.P.Q. 2d 1843 (S.D. Cal. 1989). 建物の形状、Fotomat Corp. v. Houck, 166 U.S.P.Q. 271 (Fla. Cir. Ct. 1970)などがあり、例えばゴルフコースのコースのコピー事件としては、Pebble Beach Hole No. 14, Pinehurst Hole 3, and Harbour Town No.18, the “Lighthouse Hole”がコピーされていましたが、Harbour Town No.18だけがSignature(特徴的)として排除を命じられています。Pebble Beach Co. v. Tour 18 I, Ltd., 942 F.Supp. 1513 (S.D.Tex. 1996)

B.(Trade Dress)の米国連邦登録例

usr4277913
米国商標登録第4277913号

Apple Inc
G&S: Retail store services featuring computers, computer software, computer peripherals, mobile phones, consumer electronics and related accessories, and demonstration of products relating thereto.

usr4913732
米国商標登録第4913732号

Exxon Mobil Corporation
G&S: Fuel for motor vehicles, namely, gasoline and diesel fuels.

米国商標登録第4431252号
米国商標登録第4431252号

The Coca-Cola Company
G & S: Soft drinks.

米国商標登録第3506956号
米国商標登録第3506956号

Starbucks U.S. Brands, LLC
G & S: Coffee; Coffee beans; Ground coffee beans; Roasted coffee beans.

c.保護されるトレードドレス

トレードドレスは、本質的な識別性或いは獲得した識別性があれば、連邦登録による保護が可能ですが、登録がなくても43(a)の不正競争防止条項による保護が可能です。連邦の主登録なく43(a)の保護を受けるには、トレードドレスが機能性を有するものではないとの挙証責任が原告側にあります。§43(a)(3) また、レストランの装飾については、Two Pesoの最高裁判決から、本質的な顕著性があれば、二次的意義の証明は不要と判断され、Wal-Martの最高裁判決から、製品デザインに関するトレードドレスの侵害立証には、色彩のみのトレードドレスと同様に本質的な顕著性(inherent distinctiveness)はないので、二次的意義(secondary meaning or acquired distinctiveness)が必要とされています。裁判所で43(a)の保護を受ける要件も米国特許商標庁で連邦登録を受ける要件もほぼ同様となります。実際にトレードドレスの訴因で有利か否かは、以下の争点を検討する必要があります。

機能性(Functionality)

2002年以前では、トレードドレスの機能性として2つの機能性があり、それはde facto functional features(登録可能性あり)とde jure functional features(登録できない)でしたが、現在はこの区別は特にはつけられていません。登録の審査の際に、機能性の有無には、Morton-Norwich Factorsと呼ばれる要因が分析されることになります。Morton-Norwich Factorsは、

  1. デザインの有用性を開示する期間満了の特許が存在する。(The existence of an expired utility patent disclosing utilitarian advantages of the design.)
  2. デザインの有用性を誇張する宣伝がある。(Advertising which touts the utilitarian advantages of the design.)
  3. 代替のデザインもある。(The availability of alternative designs.)
  4. 或るデザインがその商品を製造する比較的に簡単で安価な方法によるものか否か。(Whether a particular design results from a comparatively simple or cheap method of manufacturing the article.)

とされています。この4つのMorton-Norwich Factorsは、全てを吟味しなければならないというものではなく、例えば設計の利点を効果とする特許の存在は、それだけで機能性がありとする強い証拠と判断され、他の構成(alternative design)を探ることなく、商標として登録を拒絶するものと判断された例があります。

識別性(Distinctiveness)

Trade dressが登録できる場合或いは保護できる場合には、その対象は、本質的な識別性を有しているか、獲得した識別性を有しているかのどちらかとなりますが、本質的な識別性を有しているか否かについては、裁判例では、次のSeabrook factor(TMEP 1202.02(b)(ii))を使用する例が見られます。Seabrook factorは、

  1. whether the design is a “common” basic shape or design;
  2. whether the design is unique or unusual in a particular field;
  3. whether it is a mere refinement of a commonly-adopted and well-known form of ornamentation for a particular class of goods, viewed by the public as a dress or ornamentation for the goods;
  4. whether it is capable of creating a commercial impression distinct from the accompanying words.

となっています。もし連邦登録の審査の際、対象が製品のパッケージであり、Seabrook factorで本質的な識別性がないと判断された場合には、獲得した識別性(acquired distinctiveness)を有していることを示して主登録を目指すか、補助登録をするかの選択となります。

類似(Likelihood of Confusion)

侵害事件などで当事者対立構造の場合には、原告のトレードドレスの対象物と被告の対象物が類似しているか否かが問われることになります。この類似関係があるか否かはDu pont factorを用いて分析されます。Du pont factorは一般に7~13の要素を分析するように構成されています。

  1. The similarity or dissimilarity of the marks in their entireties as to appearance, sound, connotation and commercial impression.
  2. The similarity or dissimilarity and nature of the goods or services.
  3. The similarity or dissimilarity of established, likely-to-continue trade channels.
  4. The conditions under which and buyers to whom sales are made, that is, ‘impulse’ vs. careful, sophisticated purchasing.
  5. The fame of the prior mark (sales, advertising, length of use).
  6. The number and nature of similar marks in use on similar goods.
  7. The nature and extent of any actual confusion.
  8. The length of time during and conditions under which there has been concurrent use without evidence of actual confusion.
  9. The variety of goods on which a mark is or is not used (house mark, ‘family’ mark, product mark).
  10. The market interface between applicant and the owner of a prior mark.
  11. The extent to which applicant has a right to exclude others from use of its mark on its goods.
  12. The extent of potential confusion, i.e., whether de minimis or substantial.
  13. Any other established fact probative of the effect of use.

18.商標ライセンス (Trademark Licensing)

米国の商標実務では、日本よりも多くでライセンスや契約交渉の機会が発生します。1つは米国という国自体、自由を尊重する反面、訴訟や契約ということが頻繁に生じる傾向にあり、特に商標については類似群コードのような行政が関与する走行レーンの如き仕組みがなく、商標同士で競合すれば当事者間で解決をするのが一般的という傾向です。従いまして、ビジネスを続ける上で、商標などの知的財産関連に関して頻繁に交渉や契約の知識が必須となります。通常使用権の訳も”non-exclusive license”という言い方が一般的です。

contact
Licensing

A.米国特許商標庁での登録(Recording at USPTO)
米国では商標の通常使用権や専用使用権ついては、米国特許商標庁への登録は必須ではありませんが、米国特許商標庁に登録をすることも可能で、登録することによる利益(第3者対抗要件)もあります。また、商標のライセンス契約では、一般にその内容が秘密とされるものが多いので、開示してよい部分だけの簡易版を登録したり、本契約の存在を示すだけの登録をすることもできます。また、商標権は不動産や機械装置などと同様に担保財産の対象となり、当事者間で担保設定の契約に入ることで効力を発生させます。債権者が商標登録に担保設定する数は、統計によれば、20年前の8倍、10年前の2倍とその数が増加しています。このような担保設定の契約書にも、米国特許商標庁への登録は法的には必要な効力発生要件ではなく、裁判での有用な証拠として用いるために記録されます。特許権や特許出願に対する弁護士の担保権(attorney’s liens)を記録することはできないとされており、商標権についても同様と思われます。In re Refusal of Assignment Branch to Record Attorney’s Lien 契約書の登録の費用は、標章毎に費用が加算される仕組みとなっており、1つの契約書の最初の標章の登録が40ドル、同じ契約書のそれ以降の標章の登録が登録毎に25ドルです。

B.詐欺防止法(statue of frauds)
商標権などの知的財産権の契約では、一般的に契約締結後1年以内に履行を完了することができない契約の範疇に入るため、契約当事者が署名した書面を作成しなければならないとされています。1年の期間は契約が完了したときに開始します。

C.商標ライセンス契約の条項(Typical clauses of Trademark Licensing)
簡単に商標のライセンス契約については、一般的に次のような条項が挙げられます。

  • 当事者の確定条項(Identification of parties) 契約の当事者(e.g., made between ABC and XYZ)を記載しますが、日付、出来れば住所、そして以後の契約書内での名前も、John Dow Corporation (”John”)のように示します。
  • 書き出し部分(Recitals or Whereas Clause) この書き出し部分で簡単に契約の目的や意図を予備的に記載します。例、WHEREAS, ABC , desires to use the trademark ”$%&” or or in connection with the sales of its devices; NOW, THEREFORE, in consideration of mutual promises and covenants set forth herein, ..(”consideration(約因)”は契約が無効とならないために必要とされています。)WHEREASとかNOW,THEREFOREのような表現は絶対に必要という訳ではなく、この書き出し部分は正式には契約の一部もではないので、異なる表現でも有効です。
  • 譲与条項(Grant Clause) 言葉として”ABC license to XYZ the use of trademark $%&”が記載されます。 この条項でexclusiveとnon-exclusiveの区別をつけることもでき、サブライセンスやライセンスを認める地域を記載することもできます。”royalty-free”で使用料を無料とすることもあります。
  • 定義条項(Definition) もしライセンス交渉の間で生じたキーワードなどがあれば、定義付けすることで紛争時の無駄な争いを防止することもできます。定義されていない言葉は、紛争時に裁判所の解釈が与えられるところとなります。商標自体は別紙とすることもでき、登録番号で定義することもできます。いくつかの商標を使い分けるときの言葉の定義や、使用する商品についての定義も考えられます。
  • 使用料条項(Royalties) 契約書の中で譲与条項と共に使用料条項は最も重要な条項です。一般に、支払い方法としてLump sum payments(一時払い)とRoyalties(定期的支払い)があり、これらを組み合わせたものでも可能です。例えば販売数などの或る事象の発生で、支払う或いは額が変わるいう契約も可能です。この場合には、販売数の報告と、検査などの仕組みも必要です。定期払いの場合には、支払い期日や振り込み口座を記載することもできます。
  • 品質管理(Quality Control) 米国商標法上、商標権者は使用許諾された商標を使用する製品についての品質を管理するか管理できることを実際に述べる必要があります。もし、この品質管理条項がない場合には、裁判所は商標ライセンス契約は無効と見做し、商標権は放棄されたとものとなります。従って、商標ライセンス契約には、品質管理条項が必須であり、時にはライセンサーの検査や承認作業を伴うように構成されます。最低限としては、ライセンサーは製造設備を検査する権利があり、製造される製品の最低限の基準と、ライセンシーが契約に従わない場合の結果を条項とします。
  • 使用必須(Use Requirement) 使用主義の観点から、3年間使用していない商標は、反論可能な推定(rebuttable presumption)として権利放棄されたとみなされます。商標権者が米国内で全く使用しないような形態では、使用権者が使用を停止した場合には、権利を失うリスクが発生することになります。従って、使用権者が商標の使用を停止する際には、使用権者は使用の停止について通知する必要があるように条項を記載する必要があります。
  • 契約の期間と終了(Duration and Termination) 商標は更新を続ければ、権利を永続させることができ、使用権も期間を区切ることもでき、商標権の存続に合わせることもできます。米国商標実務では、更新や5-6年目などで権利を維持するための手続がありますので、その維持手続についても言及する必要も場合によってはあることになります。また、契約不履行などで契約解除になることは明記すべきです。
  • 保証及び免責条項(Warranties and Indemnification) 一般に、商標権者としては、商標を使用している、消費者が購入した商品についての欠陥や著作権違反などの事態が生じた場合には、その保証や損害賠償などの責任を負いたくはないという立場が一般的です。このような場合には、例えば”XYZ shall indemnify, defend, and hold harmless ABC from and against any demand, claim, damage, liability, loss, cost, or expense (including reasonable attorney’s fee)” のような免責の条項を入れます。米国で商品を流通させることは、warranties as to merchantability and finess for a particular purposeを要し、また、warranty against infringement of any other intellectual propertyも必要です。
  • 不可抗力条項(Force Majeure) 天変地異などの発生時には、当事者がそれぞれの義務を逃れるようにするための条項です。例えば、日本では地震、津波、台風、高波、浸水、火山噴火などがありそうですが、戦争、暴動、外国政府の介入なども外国との契約には入れたりします。
  • 最大限の努力(Best Effort) 裁判所はbest effortをreasonable effortと解する傾向にあり、それを避けるためには、詳細な義務について記載して、従わない場合は契約解除というような条項が望ましいとされます。

D.不争条項禁反言(ライセンシーエストッペル/licensee estoppel)
ライセンシーエストッペルという概念があり、特許分野では、特許の使用権者は、特許のライセンス条項に特許権の有効性を争ってはいけないという条項は無効とされています(See Lear, Inc. v. Adkins, 395 U.S. 653 (1969))が、同じ知的財産権でも商標のライセンスには、商標権の有効性を争ってはいけないとする条項は有効です。但し、争うなとされているのは、直接のライセンシーだけで、その提携者には及ばないとする判例もあります。Fair Isaac Corp. v. Experian Information Solutions, Inc.

19.米国商標訴訟 (US Trademark litigation)

A.米国連邦裁判所制度(Federal Court System)

United States Federal Court System
United States Federal Court System (出典 url=http://www.uscourts.gov/sites/default/files/u.s._federal_courts_circuit_map_1.pdf)
米国では、法律としてはそれぞれの州で独立した側面と、連邦として全米で統一する側面があり、州の裁判所のシステムもそれぞれの州が独自に定めることができ、典型的には州の最高裁判所や控訴裁判所があり、第1審としての州裁判所も各州数多く存在しています。この州独自の裁判所制度とは、別に連邦の裁判所制度もあり、次に説明する連邦問題や州相違裁判籍の場合に、提訴先となります。米国の連邦裁判所は、第1審に米国連邦地区裁判所(US District Courts)があり、州で1つの地区しかない州と複数の地区を有する州があり、米国連邦地区裁判所の管轄地区としては全部で89の地区に分かれます。大都市を含む地区は、事件数も多くなり、例えばニューヨーク州南地区連邦地方裁判所やイリノイ州北地区連邦地方裁判所などが有名です。米国特許商標庁の決定に不服の場合には、連邦巡回区控訴裁判所(United States Court of Appeals for the Federal Circuit)に提訴することができますが、州相違裁判籍の場合や外国人の場合には、ヴァージニア州東地区連邦地方裁判所(United States District Court for the Eastern District of Virginia)に不服を申し立てることもできます(15 USC §1071 sub-sec(b), 2011年の法改正でコロンビア特別区連邦地方裁判所からヴァージニア州東地区連邦地方裁判所に変更)。また、控訴審として米国控訴裁判所(United States Court of Appeals)が存在していますが、アメリカ全土が第1巡回区から第11巡回区まで及びD.C.巡回区の全12巡回区 (circuit) に分かれていていることから、米国控訴裁判所は各巡回区にそれぞれ設けられてて、例えばカルフォルニア州やハワイ州の米国連邦地区裁判所が扱った事件は、第9巡回控訴裁判所(サンフランシスコ)に控訴することになります。米国控訴裁判所は、もう1つ特許や著作権について専属管轄を有する連邦巡回控訴裁判所(CAFA: US Court of Appeals for the Federal circuit)がありますが、商標事件について控訴審となることが稀です。連邦控訴裁判所からは合衆国最高裁判所に上訴をすることができますが、合衆国最高裁判所は裁量で事件を扱いか否かを決めるシステム(certiorari:サーシオラリ)となっており、連邦控訴裁判所の決定に不服であれば必ず最高裁で争えるという訳ではなく、表現の自由(1st Amendment)などの憲法問題があれば最高裁で争う確率は増えることにはなります。米国内で裁判官は通常JUDGEと呼ばれますが、最高裁の判事は、任期がなく終身保証されていて、JUSTICEという特別な言い方をされます。

U.S. Supreme Court, Washington D.C.
U.S. Supreme Court, Washington D.C.

B.裁判籍(Jurisdiction/Venue)
訴訟主題管轄(Subject Matter Jurisdiction)
商標権を行使する場合には、裁判所に対して提訴することが行われますが、米国の商標の場合、連邦商標について連邦問題(Federal Question)として連邦地方裁判所が管轄する場合と州商標やコモンロー商標について州の裁判所が管轄する場合があり、互いに移送などが可能であるため、様々な場所での裁判の可能性があります。特許の場合には、州の特許という構造にはなっていないため、州の裁判所は特許について管轄することはあり得ないのですが、この点で商標とは異なっています。また、商標のライセンスに関する訴訟は、契約法の問題となるますので、州裁判所での取り扱いも可能ですが、日本企業と米国企業の紛争では、州籍相違裁判籍(diversity jurisdiction)となり、訴額が75000ドルを超えれば、連邦地裁裁判所が管轄となります。米国特許商標庁の審判部TTABの審決に対しては、連邦巡回区控訴裁判所(CAFC)に控訴することもできますが、バージニア東地区連邦裁判所などの米国連邦地区裁判所への提訴も可能です。米国連邦地区裁判所への提訴の場合、de novo review(初めからの審理)となり、新たな証拠を提出することもできます。
対人(人的)管轄(Personal Jurisdiction)
対人管轄は、憲法上の適正手続の保障(Due Process of Law)があり、勝手に本人の知らないところで判決を出されて財産を処分されたりすることも困ることになりますから、裁判所が或る当事者に対して拘束する力があるのかどうかということになります。州裁判所は州独自の管轄権についてにルールを有し、連邦地区裁判所もその裁判所が位置する州のルールに沿って対人の管轄権を有します。裁判所が有する対人管轄権については、一般管轄権(General jurisdiction)と特別管轄権(Special jurisdiction)とがありまして、一般管轄権としては、Consent(同意)、当事者の本籍地若しくは住所地、営業所(doing business)、通知(service)の時にその州で居ることが挙げられ、特別管轄権としてはそれぞれの州が定める所謂LONG-ARM Statueがあります。また、International Shoe事件からの最小限の接触基準(minimum contacts)なども憲法上検討されるTESTとされていますが、外国親会社を米国訴訟に巻き込むような判例は、Goodyear、Daimlerの各判例でかなり限定的に解釈されるようになってきています。最近の判例として、ウエブサイトが最小限の接触基準を満たすかについては、Zippo Test(Zippo Manufacturing Co. v. Zippo Dot Com, Inc., 952 F. Supp. 1119 (W.D. Pa. 1997)が知られるようになってきており、この判例によれば、websiteは3つのカテゴリーに分けられます。これはpassive website, interactive website, commercial websiteです。Passive websiteは情報を提供するだけのサイトで、それ自体が誹謗中傷などの不法行為とならない限り、最小限の接触基準を満たさないとされます。Interactive websiteはユーザーと情報を交換するサイトで、その活動により最小限の接触基準を満たす可能性があり、Commercial websiteははっきりとビジネスをしているサイトで、これは最小限の接触基準を満たします。なお、ドメインが商標を侵害とする訴訟については、どこの裁判所でも管轄できるとの立法(In rem provisions of the Anti-Cybersquatting Protection Act)もなされています。
裁判地(Venue)
米国で裁判をする場合に、訴訟主題管轄(Subject Matter Jurisdiction)と対人管轄(Personal Jurisdiction)が満たされている場合であって、べニュー(Venue)が適切かどうかも最初に考慮される問題です。例えば、商標権侵害事件が州籍相違事件である場合には、被告の住所地や営業場所の州に適切なVenue(28 U.S.C. § 1391)があると判断できますし、訴訟内容がトレードシークレットの盗用というような場合では、その盗用が発生した州のどこかの地区での訴訟となり得ます。また、アメリカに全く住所を有していない者若しくは企業については、いかなる地区でも適切なVenueとなります(28 U.S.C. § 1391(d))。

C.訴訟の経緯
訴状・答弁書段階(pleading stage)
米国の知的財産権訴訟では、他の訴訟と同様に、原告が訴状(complaint)を提出し、これに応答する形式で答弁書(answer)を被告が提出することで、訴訟が開始されます。この最初の段階をpleading stageと呼んでいて、訴状には当事者やnotice-pleadingと呼ばれる形式で訴因(cause of action)を簡潔に記載し、裁判籍(jurisdiction)、求める救済を記載するとされています。訴状が出された場合には、裁判所の書記官は召喚状を被告に向けて、通常はFirst Class mailで送られ、被告がacknowledgeすることで召喚が完了します。被告は20日以内に答弁書を出すとされており、また、答弁書には、原告の主張(claims)を否定する記載や、Affirmative Defenseと呼ばれる抗弁を述べることとされています。商標の侵害訴訟では、商標権の無効、ラッチス、禁反言などがあり、さらにFair UseとParodyが抗弁として挙げられることがあります。また、裁判籍がないと主張する場合には、特別出頭(special appearance)と呼ばれる、裁判籍についての問題だけのために裁判所に出頭することもあります。反訴(counterclaim)があれば、答弁書に記載します。この時点で真正な争点がなく、争点がないことを申し立てる側(moving party)が明らかにした場合には、略式判決(Summary Judgment)が出される場合もあります。
証拠開示手続段階(discovery stage)
証拠開示手続は、公判前に全ての関連する事実について開示させるための手続で、米国の訴訟で固有の制度ということができますが、訴訟が極めて高額になる理由にもなっています。一般に、証言録取(Deposition)、書類提出要求(Request for Production of Document)、自認要求(Request for Admission)、質問状(Interrogatory)といった手法により、裁判で利用する証拠を取り込みます。質問の内容としては、商標の侵害事件であれば、商標の選択に関わった者、組織の全容を明らかにことや、商標にかかる商品の販売の当事者、関与者、商標調査や鑑定の有無などになります。証言録取は、証人に対して多くの尋問をしてその記録をして、最終的に証言記録書(transcript)を作成します。多くの場合、口頭で弁護士からの質問を受け、それに答える形式で記録が取られますが、証人は宣誓していて、虚偽の証言は罰金や禁固刑となります。証言録取は書面でも行うことができます。質問状は、ディスカバリーの比較的に初期段階に相手方に向けて提出され、所定の期間内(30日以内若しくはservice of summonsから45日以内)に回答をします。質問状には一般的に書類提出要求が出されることが多く、この質問状の回答と書類提出要求に応じて出された書類を基礎に証言録取を進めることが多く行われます。要求書類としては、一般的な契約書やその他の書類、電子メール、電子的なデータベース、図。表。写真、録画などあらゆる情報を記録するものが対象となります。
公判段階(trial stage)
証拠開示手続の後、通常公判のスケジュール調整や争点整理をするために公判前会議(pretrial meeting)が開催され、公判(trial)へと進みます。公判前会議は、和解に向けての話し合いの場でもあります。一般に、裁判所は原告被告にそれぞれ次のような書類等を提出するように要求します。提出が要求される例としては、証人の一覧、証拠の一覧、事実と法律の全ての争点についての主張、陪審員裁判の際には陪審員に質問してもらいたい質問のリストと陪審説示(jury instruction)のリストなどが含まれます。知的財産権訴訟では、陪審員ありの公判もありますし、差し止め請求のみを求める場合には、陪審員はない公判となります。公判では、冒頭陳述(Opening Statement), 原告の主張(Plaintiff’case in Chief), 証人陳述(Witnesses), 被告の主張(Defendant’s case), 原告の反対主張(Plaintiff’s Rebuttal Case), 最終陳述(Closing Arguments), 陪審説示(Instructions to the Jury), 陪審員審議と評決(Jury Deliberation and Verdict), 公判後申立(Post-trial Motions)のような流れとなります。証人陳述の際には、主尋問(Examination in Chief)の後に被告弁護士からの反対尋問(Cross Examination)があり、その後に原告弁護士からの再尋問(Re-direct Examination)が行われます。証人の陳述に際しては、証人は一般証人と専門家証人に大別されていて、一般証人は自分の見たものや経験したことだけを述べることができ、専門家証人は意見も述べることができます。証拠の提示や尋問に関しては、連邦法の証拠規則があり、誘導尋問(leading question)や伝聞証拠(hearsay)を排除するような規則となっています。また、陪審員に対しては、例えば商標の類似について判断する場合には、その類似の判断基準を陪審員説示で聞いてもらい、評決するという流れになります。商標についての陪審員説示の例は、第9巡回区控訴裁判所のWebsiteの陪審員説示のページに挙げられています。
判決段階(judgment stage)
陪審員の評決若しくは裁判官の決定の後、判決があり、訴訟が終了します。判決は一般に金銭的救済と差し止め命令による救済に分かれます。判決に不服の当事者は、30日内に巡回控訴裁判所に控訴します。特許事件の場合は、控訴がCAFCに集められますが、第1審を連邦地区裁判所で争った場合には、その地区の控訴裁判所に控訴することになります。控訴の原因となる錯誤が法による場合には、控訴裁判所が自分で法律を判断することができますが、錯誤が事実の場合には、合理性のある陪審員であればこのようには判断しないという高い閾値が与えられますので、陪審員の評決を控訴審で覆すのは容易ではありません。

District of Columbia Court of Appeals
District of Columbia Court of Appeals,
430 E Street, NW, Washington, DC 20001

D.商標権侵害の法的救済(Remedies for trademark infringement)
差し止め命令による救済(Injunctive Releief)
典型的には商標権者への金銭的な損害の賠償と共に差し止めの救済が求められます。差し止めに命令による救済には、3つのパターンがあります。暫定的緊急差止命令(Temporary Restraining Order (TRO)), 仮差止命令(Preliminary Injunction (PJ)), (本案的)差止命令(Permanent Injunction (PJ))になります。暫定的緊急差止命令は商標権の侵害が来週の展示会で行われる場合に出されたりします。暫定的緊急差止命令と仮差止命令に対しては、原告は直近で回復できない損害(immediate and irreparable harm)についての証拠を示す必要性があります。(本案的)差止命令は将来の商標権侵害を防ぐための救済となります。
金銭的救済(Monetary Releief)
商標権侵害訴訟に勝訴した場合には、商標権者(原告)は被告の利益(defendant’s profits)、原告が被った損害(any damages sustained by the plaintiff)、及び訴訟の費用(costs of action)を賠償してもらう権利を得ます。
確認訴訟(Declaratory Judgment Action)
確認訴訟は、警告や交渉などの訴訟前段階で、相手が未だ準備ができていないようなときでも先に訴訟を行って有利に進める場合に利用されることがあります。例えば、商標権者が侵害訴訟をちらつかせてきた場合に、その侵害の根拠がないような場合には、先に侵害不存在の確認訴訟を提起することで有利な裁判地を選ぶこともできます。
刑事事件としての商標権行使(Criminal Trademark Enforcement)
PRO-IP Act of 2008 (Prioritizing Resources and Organization for Intellectual Property Act of 2008)は、主に偽ブランド品(counterfeit products)や著作権違反の商品(pirated goods)などを取り締まるための法律です。

20.米国における地理的表示(Geographical Indication)

米国で地理的表示(Geographical Indication)について、専用の地理的表示登録制度というものはなく、既存の証明標章(certification mark)若しくは団体標章(collective mark)としてし商標登録することができ、これら既存のシステムの中で地理的表示を保護するものとしています。証明標章としてが3つのタイプがあり、それは1)地域若しくは他の産地を示す、2)商品役務の材質、製法、品質、精度、その他の特徴を示す、又は3)組合若しくはその他の組織の構成員により行われた商品役務についての仕事や労務を示すものになります。米国の証明標章が通常の商標と異なるところは、商標権者が使用しないという点と証明標章が商業的な出所や他人の商品役務と区別するものではない点です。地域を示す言葉が証明標章に使用された場合には、その地域の全ての人のその言葉を使用する自由が保たれていることと、その標章を使用する全ての者に対して不利益となる使用や不適切な使用を防ぐことができるという点が重要で、通常、単なる個人は適任ではなく、その地域の政府若しくは権限を受けた組織等が該当します。もし登録前に出願人が証明標章の使用について監督する立場にないことを米国特許商標庁が知った場合には、職権で登録しないとされています。商標ROQUEFORT(米国登録571798号)はフランス・ロックフォール地区のチーズのGIとして登録されています。COGNACはフランスのブランディーのGIであるとの審決例(Institut National Des Appellations d’Origine v. Brown-Forman Corp. 47 U.S.P.Q.2d 1875 (1998))もあります。また、地理的表示は団体標章としても登録可能とされ、具体的には、団体商標(collective trademark), 団体役務商標(collective service mark), 若しくは団体会員標章(collective membership mark)です。団体商標・役務商標は、協会、同盟、組織、グループなどがその会員だけに使用させる商標で、非会員の商品役務と会員の商品役務を区別させるためのものです。団体会員標章は協会、同盟、組織、グループなどの会員であることを示す標章で、商品役務を区別させるものでありません。また、米国のコモンローでも地理的表示は保護されるものとされています。

cognac
Cognac as geographical indication

21.並行輸入 (parallel importation)

並行輸入(parallel importation)或いはグレイマーケット(gray market)とは、市場に輸入され、その市場における商標所有者の同意なしにそこで販売される商標が付された製品を指します。並行輸入品は、商標権者によって製造され、または商標権者からの使用のライセンスを受けているため、偽造とは認定されません。しかしながら、米国での権利を有する商標権者の意図とは別に、特定の地区のために製造され、若しくは包装されている可能性があり、安い価格での販売も行われる可能性があります。商標権者として米国国内への輸入を止める規則は、2つあり商標法の§ 32, 42, and 43(a) (the Lanham Act (15 U.S.C. §§ 1114(1)(a), 1124 and 1125(a)(1))と関税法§526 (§526 of the Tariff Act (19 U.S.C. § 1526))で、商標法では、”Lever rule”が適用になり、物理的かつ実質的に異なる(physically and materially different)場合には、輸入差し止めが米国税関・国境取締局(US Customs and Border Protection “CBP”)で可能となります。米国税関・国境取締局での差し止めにには、米国特許商標庁での連邦商標登録と、米国税関・国境取締局での記録が要件となり、外国企業でも差し止め可能です。一方、関税法での差し止めは、米国企業で、共通の所有や監督がない出所からの製品に対して差し止めが可能です。このようなLever Ruleの適用下でも、次のようなラベルを加えることで、並行輸入ができるとされています。すなわち、ラベルとして”This product is not a product
authorized by the United States trademark owner for importation and is physically and materially different from the authorized product.”の記載となります。

22.連邦反希釈化法(Federal Anti-Dilution Act)

ランハム法sec.43(c)は連邦のDilution防止条項とされ(1996年施行)、従来は州法ベースの訴訟であったものが、連邦法での訴訟が可能となっています。連邦希釈化防止法は、有名な商標をその希釈化から守るための法律で、希釈化のパターンとして次の2つを挙げています。1つは”Blurring”で、商標権者の商標と商標権者の商品やサービスとの関係が弱められ、自他商品の識別力が薄れるような事象です。普通名称化(Genericide)も一例です。もう1つは”Tarnishment”で、相手の使用が不愉快であるか、不適切であるか、劣悪な製品に関連して使用されることで評判を汚すような場合に該当します。このような行為に対して商標権者は基本的に差し止めによる救済が可能ですが、悪意ある場合に金銭的な救済や弁護士費用の請求等も可能です。

23. Lanham Act 43a(不正競争防止法)

日本の商標法は、登録商標が中心となっており、登録をするための手続き、登録商標の権利行使などが条文の内容となり、未登録の商標を保護する法令として、不正競争防止法が別の法令として定めらています。米国の場合には、商標法であるランハム法の一部(Lanham Act sec.43(a))が、不正競争防止法となっており、不正なマークの使用による弊害防止や未登録の商標に対する不正競争も商標法の範囲内となっています。

§ 43 (15 U.S.C. § 1125)(a)
§ 43 (15 U.S.C. § 1125). False designations of origin; false description or representation
(a) (1) Any person who, on or in connection with any goods or services, or any container for goods, uses in commerce any word, term, name, symbol, or device, or any combination thereof, or any false designation of origin, false or misleading description of fact, or false or misleading
representation of fact, which—
(A) is likely to cause confusion, or to cause mistake, or to deceive as to the affiliation, connection, or association of such person with another person, or as to the origin, sponsorship, or approval of his or her goods, services, or commercial activities by another person, or
(B) in commercial advertising or promotion, misrepresents the nature, characteristics, qualities, or geographic origin of his or her or another person’s goods, services, or commercial activities, shall be liable in a civil action by any person who believes that he or she is or is likely to be damaged by such act.
(2) As used in this subsection, the term “any person” includes any State, instrumentality of a State or employee of a State or instrumentality of a State acting in his or her official capacity. Any State, and any such instrumentality, officer, or employee, shall be subject to the provisions of this chapter in the same manner and to the same extent as any nongovernmental entity.
(3) In a civil action for trade dress infringement under this chapter for trade dress not registered on the principal register, the person who asserts trade dress protection has the burden of proving that the matter sought to be protected is not functional.
Venue generally (28 U.S.C. § 1391)
Venue generally (28 U.S.C. § 1391)
(a) A civil action wherein jurisdiction is founded only on diversity of citizenship may, except as otherwise provided by law, be brought only in
(1) a judicial district where any defendant resides, if all defendants reside in the same State,
(2) a judicial district in which a substantial part of the events or omissions giving rise to the claim occurred, or a substantial part of property that is the subject of the action is situated, or
(3) a judicial district in which any defendant is subject to personal jurisdiction at the time the action is commenced, if there is no district in which the action may otherwise be brought.
(b) A civil action wherein jurisdiction is not founded solely on diversity of citizenship may, except as otherwise provided by law, be brought only in
(1) a judicial district where any defendant resides, if all defendants reside in the same State,
(2) a judicial district in which a substantial part of the events or omissions giving rise to the claim occurred, or a substantial part of property that is the subject of the action is situated, or
(3) a judicial district in which any defendant may be found, if there is no district in which the action may otherwise be brought.
(c) For purposes of venue under this chapter, a defendant that is a corporation shall be deemed to reside in any judicial district in which it is subject to personal jurisdiction at the time the action is commenced. In a State which has more than one judicial district and in which a defendant that is a corporation is subject to personal jurisdiction at the time an action is commenced, such corporation shall be deemed to reside in any district in that State within which its contacts would be sufficient to subject it to personal jurisdiction if that district were a separate State, and, if there is no such district, the corporation shall be deemed to reside in the district within which it has the most significant contacts.
(d) An alien may be sued in any district.
(e) A civil action in which a defendant is an officer or employee of the United States or any agency thereof acting in his official capacity or under color of legal authority, or an agency of the United States, or the United States, may, except as otherwise provided by law, be brought in any judicial district in which
(1) a defendant in the action resides,
(2) a substantial part of the events or omissions giving rise to the claim occurred, or a substantial part of property that is the subject of the action is situated, or
(3) the plaintiff resides if no real property is involved in the action. Additional persons may be joined as parties to any such action in accordance with the Federal Rules of Civil Procedure and with such other venue requirements as would be applicable if the United States or one of its officers, employees, or agencies were not a party.
The summons and complaint in such an action shall be served as provided by the Federal Rules of Civil Procedure except that the delivery of the summons and complaint to the officer or agency as required by the rules may be made by certified mail beyond the territorial limits of the district in which the action is brought.
(f) A civil action against a foreign state as defined in section 1603 (a) of this title may be brought
(1) in any judicial district in which a substantial part of the events or omissions giving rise to the claim occurred, or a substantial part of property that is the subject of the action is situated;
(2) in any judicial district in which the vessel or cargo of a foreign state is situated, if the claim is asserted under section 1605 (b) of this title;
(3) in any judicial district in which the agency or instrumentality is licensed to do business or is doing business, if the action is brought against an agency or instrumentality of a foreign state as defined in section 1603 (b) of this title; or
(4) in the United States District Court for the District of Columbia if the action is brought against a foreign state or political subdivision thereof.
(g) A civil action in which jurisdiction of the district court is based upon section 1369 of this title may be brought in any district in which any defendant resides or in which a substantial part of the accident giving rise to the action took place.
有明国際特許事務所 では、弁理士と米国弁護士の資格により、特許庁 (JPO)と米国特許商標庁(USPTO)にそれぞれ直接手続でき、現地代理人は不要です。

米国商標制度 vol.1
米国連邦商標法、不正競争、登録商標及び未登録商標の保護(§32, §43)

USPTO (United States Patent and Trademark Office) 米国特許商標庁 商標関連料金表💰

米国特許商標庁 料金表(USPTO’s Fee Schedule)

米国商標出願等に際し、米国特許商標庁に支払う政府費用(Official fees)は次のとおりです。[2017.1.08]

Metro Station, Washington D.C.

現行[2020年2月15日からは以下のように値上げ(一部は値下げ)となります。]

 項目  USドル
 商標出願-TEAS Standard(e-filing、Email応答、区分毎)  275
 商標出願-TEAS plus (e-filing、Email応答、指定商品役務はID Manualから選択、 区分毎)  225
 使用宣誓書(許可前)提出 [Filing an Amendment to Allege Use, 区分毎] 100
 Sec.1(c) 使用宣誓書(許可後)提出
[Filing a Statement of Use, 区分毎]
 100
 Sec.1(c) 使用宣誓書提出の6か月期限延長  125
更新登録(Affidavit)(区分毎、電子出願) 300
 更新登録追加分(期限超過、区分毎)  100
Sec.8 宣誓書(Affidavit) 提出 (区分毎) 125
Sec.8 宣誓書追加分(期限超過、区分毎) 100
Sec.15 宣誓書(Affidavit) 提出 (区分毎) 200
商標譲渡の登録申請 40
新登録証の発行 100
登録証の訂正 100
登録の訂正申請 100

米国特許商標庁 料金表
有明国際特許事務所 米国手続の事務料金表

米国商標制度🇺🇸 vol.1

米国商標制度 目次

ビジネスで成功を収めるために、商標を含む知的財産が非常に重要な役割を果たすことは、日本に限らず、米国(アメリカ合衆国)でも同じです。米国の商標制度は、特に使用主義を前提としているところが、日本やその他の登録主義の国とはやや異なるところがあります。また、アメリカ合衆国という国が連邦と州のハイブリット構造をしていることから、日本にはない考え方(federalismなど)をする必要もあります。

Capitol Hill, Washington D.C.
Capitol Hill, Washington D.C.

1.米国商標の対象

商標は英語でtrademarkですが、商品に対して使用するtrademarkと役務(サービス)に対するservice markを米国商標法では区別しており、且つ、両方を包括して”trademark”と呼ぶこともあります。米国の連邦登録では、商標は語、名前、記号、図形、若しくはこれらの組み合わせであって、自他商品を区別するため”in commerce”で使用することを登録要件としています。連邦商標法上、”in commerce”は「州際通商」と訳されており、簡単に言えば、州の境を越えた商売に使用することが要件で、仮に州境から遠い町とその隣町だけで商売している場合は、連邦登録の登録要件は満たさないことになります。日本から商品を送る場合は、勿論”in commerce”の要件は問題ありません。

usr3428128
米国商標登録第3428128号
usr3673720
米国商標登録第3673720号
usr4004914
米国商標登録第4004914号
usr4171965
米国商標登録第4171965号
usr4434665
米国商標登録第4434665号
usr4619582
米国商標登録第4619582号

米国では、商標は出所表示するもの(source identifier or source designater)であれば、種々のタイプが商標として機能します。少し前までは、日本の商標制度とは大分違うと説明していましたが、日本の制度も非伝統的商標を含むように改正されていますので、匂い商標ぐらいが違いとして残る程度と思います。

音商標

Twentieth Century Fox USR74629287

色彩商標
usr3165001
米国商標登録第3165001号

Owens-Corning Fiberglas Technology Inc.
The color(s) pink is/are claimed as a feature of the mark. The mark consists of the color pink as applied to adhesive tape in its entirety.

usr4160068
米国商標登録第4160068号

Tiffany and Company
The color(s) blue and silver is/are claimed as a feature of the mark. The mark is a design element of handbags and tote bags and consists of a rectangular plaque in the color silver with the engraved, stylized words “TIFFANY & CO.” also in silver.

また、商標の種類(Type)として、証明標章、団体商標があります。

15 USC §1127
Trademark. The term “trademark” includes any word, name, symbol, or device, or any combination thereof—
(1) used by a person, or
(2) which a person has a bona fide intention to use in commerce and applies to register on the
principal register established by this chapter, to identify and distinguish his or her goods, including a unique product, from those manufactured
or sold by others and to indicate the source of the goods, even if that source is unknown.

2.米国における使用主義

アメリカ商標制度の考え方は、使用主義を前提としているというのは広く知られているところと思います。使用主義からは、商標は使用することで権利が確保され、使用していなければ権利がなくなることになります。日本の方が勘違いし易いのは、米国での連邦登録の意味合いなのですが、登録されていれば完璧な権利があるという日本の常識は当て嵌まりません。連邦登録は、全米での権利を有している蓋然性が高いという微妙な権利にすぎないものです。法人の方針として、権利を確保してから商標の使用を進めるというところでは、米国で確保できる権利のレベルを少し下げて商標の使用を開始しないと権利は発生もしないことになります。使用主義の観点からアメリカではいくつかのチェックポイントを用意しております。登録から5年目と6年目の間に、使用証明と宣誓書を提出する必要があり、10年毎の更新前の9年目と10年目の間にも同様に使用についての証明と宣誓書を提出する必要があります。また、ITU出願では、登録時にも使用の証明を提出する必要がありますので、最初の更新までに通常3回の使用証明の提出が必要です。宣誓書では、使用証明を提出しますが、そこには指定商品の全てについて使用することを宣誓するようになっており、もし指定商品の全てについて使用していなければ宣誓書の提出時に使用しない商品を削除する必要があります。登録時のStatement of Useの提出時には、確かに使用していたが、登録から5年目と6年目の間のSec.8の宣誓書の提出時には、すでに使用を辞めた商品がある場合、その商標不使用の商品については削除する必要があります。マドプロをベースとする出願や、外国出願や登録をベースとする出願では、最初の使用証明の提出は、登録から5年目と6年目の間となりますが、日本の指定商品の範囲に合わせて広い範囲の指定商品群を登録している場合では、最初の使用証明の提出時に不要な指定商品は削除する補正の検討も必要です。日本や欧州の登録には、使用していない商品が指定商品として含まれていても、それだけで取り消されることはないのですが、アメリカの場合には、意図的な商標不使用の指定商品の存在は全体の取消につながるおそれもあり、また最近の法改正では、審査官は使用証明が出されていない指定商品についての追加の使用証明を求めること(Audit)ができるように改正されています。

Washington Monument, Washington D.C.
Washington Monument, Washington D.C.

3.米国商標出願の基礎(Base)

米国で連邦の商標を出願する場合に、5つの出願の基礎(Base)のうち少なくとも1つを選択する必要があり、これらの基礎は願書の中で選択できます。このような出願の基礎の選択は日本の法律にはありません。5つの出願の基礎は、1)Based on Use (Section §1(a){use in commerce}), 2) Based on “Intent-to-Use (Section §1(b) {intent to use}),” 3) Based on a Foreign Application (Section §44(d) {foreign application}), 4) Based on a Foreign Registration (Section §44(e) {foreign registration}),5)Based on extension of protection of an international registration to the US (Section §66(a) (Madrid Protocol))の5つです。アメリカ人が自国で出願するときは、典型的には、1)Based on Use (1a), 2) Based on “Intent-to-Use”(1b)のどちらかになります。日本の会社が出願するときは、1~5のいずれか若しくは複数を選択して出願することになりますが、日本の本国登録もしくは本国出願を基礎としてマドプロ出願をする場合には、5を選択することになります。これらベースの違いで、手続の流れが微妙に異なっていて、提出する書類や宣誓書が異なります。2のBased on “Intent-to-Use”の出願(ITU出願)の場合には、登録に際してStatement of Use (Allegation of Use)を提出する必要があり、提出できなければ登録できません。出願の基礎は出願後に補正することもでき、最初に2つ選択して後から削除することも可能です。ITU出願の場合には、使用宣誓書を提出しなければ移転できないとされています。Based on use (1a)の基礎の場合、出願と同時に使用についての書類(allegation of use)を出しているための使用についての追加の書類を提出することなく登録になります。3の本国出願のベース44dは、それだけでは登録できないベースで、いわば優先権主張と同義です。出願に優先権を与えた後、登録には、外国での登録44eを利用する場合が多いものと思います。本国出願や本国登録を基礎(44d/44e)とする場合は、基礎となった出願から追加された区分については、1a若しくは1bを基礎にする必要があり、本国出願が登録となった場合には登録証のコピーを提出します。ここで、区分の整合性が再度審査されます。本国出願や本国登録を基礎(44d/44e)とする場合やマドプロ出願の保護拡張である場合には、登録に際してのStatement of Useを提出する必要がないため、例えば、出店計画が3年以上かかるような場合でも先に登録だけを確保することもできます。

出願の5つの基礎(Base)
Filing Bases in US

4.連邦登録と州登録

米国にはUSPTOで行われる連邦登録と、各州ごとの州登録と、さらにコモンロー上の未登録商標があります。州登録は各州のSecretary of State(州政府)に登録の作業を行います。全米のあらゆる地域で販売が行われるような商品の場合には、連邦登録に加えて州登録の調査やコモンロー商標の調査もリスク回避のために必要と思います。全米で売るような体制ではなく、初めに幾つかの州で販売を開始するような業態の場合は、その幾つかの州の州登録と連邦登録を中心に調査を進めても良いかと思います。州法と連邦法が競合するような法域では連邦法優先(FEDERAL PREEMPTION)の原則がありますので、連邦法が優先、すなわち連邦登録が重要となります。州商標法は、その州の内部での取引についてだけ規定していますので州の境を越える取引(interstate commerce)については連邦商標法のルールが適用になります。商売をする場合に、その取引範囲が州内に限定されるような商品やサービスは非常に限られており、たまたまそのコモンローの商標や州登録商標と抵触したとしても、その効力は州限定と考えられています。米国で商標を連邦登録するには、その使用態様としては、州の境を越える取引(interstate commerce)、即ち州際通商・州際取引、が必要となります。外国との取引も州際通商です。また、ワシントンDCは特別区で、特別区内全部が州際を構成しますので、ワシントンDCでだけ売り出していても連邦登録をすることができます。ちなみにワシントン特別区の商標法はありません。

連邦登録の特徴及び利点

  1. 連邦登録した者に有効な商標があるとの法的な推定(prima facie evidence)がなされます。また、連邦登録された場合には、出願日に全米での使用が開始され、登録で指定された商品役務に関し全米で使用を専有する権利を有するとの法的な推定がなされます。
  2. 商標の所有権について公衆への通知が擬制されます。
  3. 連邦裁判所に商標についての訴訟を提起できます。
  4. 米国での登録は外国での登録を受ける基礎にできます。
  5. 侵害する輸入品を差し止めるように米国関税・国境取締局(CBP)に差止の申請(IPRR: INTELLECTUAL PROPERTY RIGHTS e-RECORDATION)ができます。

5.米国における商標調査

米国での商標登録をする前には、通常、事前に競合する商標登録があるか無いかを調査することが行われます。米国の商標調査に完璧はありませんが、侵害事件が生じた場合に、被告側では商標弁護士の指示に従ったかどうかや事前の商標調査をしたのかなどの状況が侵害行為の損害賠償額にまで影響します。また、通常出願してから登録になるまで、半年から1年半ぐらいの期間がかかります。もし、競合する商標が存在していて知らずに出願した場合に、コンセントや商品削除などの手段では回避できず、非類似の主張もできないような商標が引例で出された場合には、また商標の選択からやり直すことになり、時間をロスします。一般的には、3つのレベルでの商標調査があり得ます。最初のレベルは、無料のGoogleなどの検索エンジンを使用することです。インターネットを利用して、同じスペリングの会社名や商品名、ドメイン名などを洗い出します。競合する商品に同じ綴りの文字商標がある場合には、その商標は選ぶべきではないと考えます。検索エンジンでは、類似の範囲までは抽出しませんので、幾つかの文字を入れ替えて再検索することも重要です。次のレベルは、連邦登録を米国特許商標庁(USPTO)の商標調査データベース(TESS)で調べます。このTESSのサーチもインターネットでアクセス可能です。TESSもFUZZYサーチは付属していませんので、類似の範囲は文字をいくつか入れ替ええて再検索することになります。州登録もオンラインで調査可能な場合があり、必要に応じて調査を行います。詳しくは米国の商標登録(TESS)を検索🔎のページまたは米国商標データベース(TESS)の検索テクニック🔍のページへ。さらに次のレベルは、有料ですが、調査会社に調査を依頼する方法になります。調査会社としては、いくつか知られていますが、CorSearch, Government Liaison Services, TrademarkExpress, LegalZoom, Trademarkiaなどにオーダー可能です。連邦と州の両登録と、コモンロー商標、会社名などのサーチのパッケージで500~750ドル程度の調査会社の費用がかかります。

6.米国商標の出願準備

米国特許商標庁(USPTO)に対し、紙媒体での提出はできなくなっており、The Trademark Electronic Application System(TEAS)を使用しながら電子出願を行います。商標登録出願に際して必要な情報は、
a)出願人情報(名前、企業形態、住所、国籍、Emailアドレス)
b)商品区分の表示(trademark identification)
c)出願の基礎(Filing Basis)情報
d)商標見本(mark drawing)
e)翻訳(英語では意味が不明な場合)やDisclaimer(権利不請求)
f)商標の説明(Description of mark)
g)代理人の情報
i)使用証明(use in commerce出願のみ)
などになります。

原則的に委任状(power of attorney)は不要です。商標見本としては、標準文字を選択する場合を除いて、幅、高さ共に250pixels以上944pixels以下のJPGファイルか文字商標で、ファイルを添付ファイルとしてアップロードします。標準文字(standard character)を選択する場合には、書類作成時に画面上でタイプすればその文字のファイルが自動に(フォントを選ばすに)作成されます。漢字や平仮名、片仮名は標準文字を構成しません。標準文字を構成する文字の一覧はstandard-character-setのページにその記載があります。”Trademark ID”は商品や役務の選択の表示で、日本の実務の感覚での”指定商品及び指定役務”を意味しています。商品区分の表示では、クラス見出しや包括的な表現の記載は受け付けられず、実際に商標を使用している具体的な商品名や役務名を記載することが求められます。商品区分の記載が、日本の記載方法と米国の記載方法ではギャップがあり、日本も米国もニース分類を採用しているものの、日本の記載のままでは上手くいかないことも良く起こります。米国は、ニース協定は分類を決定するのみであると考えており、多くの場合に、ニース協定に記載されている表現を認めていません。具体的な商品名や役務名はUSPTOのサイトで受理可能な商品及び役務の特定に関するマニュアルとして公表されていますので、こちらを参考にするのが賢明です。

米国特許商標庁は、ラテン文字以外で表現される標章に関し、英語による翻訳と、ラテン文字による音訳、またはラテン文字による当て字を行うことを義務づけています。翻訳(translation)の欄には、日本語や日本語の英文字表記について説明します。例えば”福”や”FUKU”についてmeaning “happiness” のように説明します。典型的な応答としては、”The foreign characters in the mark transliterate to “FUKU” and this meaning “happiness” in English.” 権利不要求(Disclaimer)は、商標の一部に普通名称や地名などを含むような場合には、普通名称や地名などに対して権利行使しませんとの覚書を交わすようなものです。例えば〇〇〇watchの商標で、腕時計を指定商品にしている場合には、watchを権利不請求として登録にもっていきます。商標の説明は、例えば色が商標の一部となるのか否かなどの記載や、ロゴや図柄の構成要素を記載します。

TEAS
USPTO TEAS SCREEN

7.米国商標の出願費用

米国商標の出願費用については、現行[2017年1月14日から]は以下のように値上げ(一部は値下げ)となります。

 項目 Official Fee  USドル
 商標出願-TEAS Standard (e-filing、Email応答、区分毎)  275
 商標出願-TEAS plus (e-filing、Email応答、指定商品役務はTrademark ID Manualから選択、 区分毎)  225
 使用宣誓書(許可前)提出 [Filing an Amendment to Allege Use, 区分毎] 100
 Sec.1(c) 使用宣誓書(許可後)提出
[Filing a Statement of Use, 区分毎]
100
 Sec.1(c) 使用宣誓書提出の6か月期限延長  125

米国特許商標庁 料金表💰 / 弊所(弁護士)費用手数料†(*現地代理人費用はありません)

8.米国特許商標庁における出願処理の流れ

米国特許商標庁に出願した場合、およそ3カ月で審査に係属し、3~6カ月程度の間に何かしらの応答が来ることになります。審査官の審査結果、軽微な補正などで登録できるような出願内容の場合、電子メールで職権訂正の可否を問われることも少なくなく、対応すれば改めて拒絶理由を受け取ることなく公告となります。審査の結果、拒絶理由がない場合や拒絶理由か解消した場合には、公告となり異議申立を受け付ける期間(30日間延長可能)に入ります。そこで異議がなければ、許可通知(Notice of Allowance)が出され、ITU出願の場合、SOU(Statement of Use)を提出することになり、提出して問題がなければ登録になります。登録時に登録料の納付はなく、ITU出願の場合は、出願後はSOI提出時に100ドルの提出料を支払うことになります。基礎がSec.1aのuse in commerceの場合は、新たな使用の証拠の提出はないので、その分はオフィシャルフィーを抑えることができます。

USPTO 出願の流れ

9.主登録と補助登録

米国特許商標庁の登録には、主登録原簿(Principal Register)と補助登録原簿(Supplemental Register)の2種類があります。一般に、連邦登録とは主登録原簿への登録のことを言い、補助登録は商標としての顕著性(distinctiveness)が足りない商標を救うように機能する原簿になります。日本でも商標法3条1項3号で品質を表示している標章に過ぎないという拒絶理由に対して、真っ向から反論する方法もありますが、商標法第3条第2項の使用による顕著性(secondary meaning or acquired distinctiveness)を主張する方法もあり、米国では顕著性を欠く(merely descriptive)という理由では拒絶せずに、使用による顕著性が発揮されるまで補助登録をしておくということができます。補助登録というと半人前のような感じですが、意外と使い勝手が悪いということもありません。補助登録では、異議申し立てのための公告がなく、5年の継続使用による不可争効力(incontestability)の獲得もない訳ですが、®マーク(registration symbol)を使用することもでき、類似の後願を排除する効力もあり、商標権侵害として第3者に権利行使することもできます。第3者は、補助登録の商標に対しては、類似の商標の存在等により争うことがいつでもできます。初めから、補助登録を目指して出願するということはない訳ですので、審査の途中で、審査官の示唆などで補正により主登録から補助登録への変更が行われます。ITU基礎(1b)の場合には、補助登録ができないという規定になっていますので、ITU出願の場合にはベースをUse in commerceや外国登録ベースなどに切り替える補正をします。この時、SOU(使用証拠)を提出したり、出願日が繰り下がることもあります。補助登録に5年間登録した後で補正で主登録に切り替えることはできません。この時は、補助登録にsec.8の使用宣誓をしながら主登録についての新出願(補助登録の権利者であることを記載)を行って、主登録の権利と補助登録の権利を並存させながら、10年目の更新の際に補助登録を流すということをするのが通常の実務です。なお、5年の補助登録が使用による顕著性についての証拠とはなりますが、それは絶対的なものではく、主登録の審査に宣伝や広告などの追加の証拠が必要になることもあります。また、マドリッド制度に基づく国際登録出願については、補助登録をすることはできません。

米国 主登録と補助登録の比較
米国 主登録と補助登録の比較

10.米国特許商標庁における審査

米国特許商標庁では、審査官(Examining Attorney)が拒絶理由があるか無いかを審査します。商標についての書誌的な事項での違反があるか無いか、A) 商標としての公益的理由からの不登録事由に該当するか否か、B) 自他商品の識別力があるのか否か、そしてC) 競合する他人の商標登録があるか無いかなどの審査が行われます。出願後に最初の審査結果は、概ね3か月でやってきます。これに対して、出願人は応答の意見を述べたり、必要な場合には補正を行って対応します。例えば、類似していないという意見書を提出しても審査官がその意見を変えないときは、FINALとなるOffice Actionが出されます。審査の結果、拒絶理由がない場合には、Notice of allowanceが出され、その後にOfficial Gazetteに公告され、30日間の異議申立期間となります。

A. 不登録事由

不道徳またはスキャンダルな事由(Immoral or Scandalous Matter)(TMEP 1203.01)
スキャンダルなものだけからなるマークに限らず、スキャンダルなことを含むマークも拒絶すべきとしています。In re Fox, 702 F.3d 633, 638, 105 USPQ2d 1247, 1250 (Fed. Cir. 2012) 中指が上に伸びた手の形のボトルは、一般大衆の実質的な混成(substantial composite of the general public)によって下品と考えられるであろう。In re Luxuria s.r.o., 100 USPQ2d 1146 (TTAB 2011).

虚偽の事由(Deceptive Matter)(TMEP 1203.02)
虚偽の標章とするための要件として、1)商品の特徴、品質、機能、構造若しくは使用の虚偽があるか? 2)もしそうならば、見込購買者がその虚偽表示が商品を実際に説明すると信ずるべきものか否か? 3)もしそうならば、その虚偽記載が消費者の購入決定の関する要点を大きな影響を与えたか否か という事が問われます。In re Spirits Int’l, N.V., 563 F.3d 1347, 90 USPQ2d 1489 (Fed. Cir. 2009)

誹謗し、誤った関係を示唆し、或いは侮辱若しくは中傷する表現(Matter That May Disparage, Falsely Suggest a Connection, or Bring into Contempt or Disrepute)(TMEP 1203.03)
15 U.S.C. §1052(a)は、人、機関、信念、国の象徴について、誹謗し、誤った関係を示唆し、或いは侮辱若しくは中傷する表現を有する標章は登録できないと規定しています。人とは、自然人であり、生死は問わず、架空は含みません。また法人も含むとしています。機関は広く解するべきとされ、例えば五輪大会も機関に含まれると解されています。国の象徴は、例えばハゲワシ、自由の女神、アンクルサムなどが含まれます。この規定は、1stAmendmentベースで最高裁判決(Matal v. Tam)が2017年6月ありましたので、変更が見込まれています。

旗、紋章、その他の米国、州または市町村の記章、または外国国家(Flag, Coat of Arms, or Other Insignia of United States, State or Municipality, or Foreign Nation)(TMEP 1204) 標章内に、米国若しくはその他の国や市町村などの旗自体やその旗を模したものがその印と共に描かれている場合には、拒絶理由となります。但し、旗がデザイン化されている場合や文字などで曖昧となるには、拒絶にはなりません。

条約または条約によって保護される事由(Matter Protected by Statute or Convention)(TMEP 1205)
赤十字の標章、オリンピックの標章などは拒絶されます。

同意のない、特定の生存している個人または死亡した米国大統領の名前、肖像画、または署名(Name, Portrait, or Signature of Particular Living Individual or Deceased U.S. President Without Consent)(TMEP 1206)
本規則は、死んだ個人については死亡した大統領を除いて適用されないとされています。指定商品及び役務との関係では、”publicly connected” が求められ、実際に関連しているかその分野で有名であるなどの指定商品との関連性が必要となります。In re Sauer, 27 USPQ2d 1073, 1075 (TTAB 1993), aff’d per curiam, 26 F.3d 140 (Fed. Cir. 1994).

B. 識別力の欠如

識別性(Descriptiveness)(TMEP 1209)
商品または役務を単に説明する標章は、使用により特別顕著性を示せない場合は、主登録原簿への登録はできません。標章は、指定された商品または役務の成分、品質、特性、機能、目的、または使用をのみを記述している場合に説明的と見なされます。In re TriVita, Inc., 783 F.3d 872 同様に、標章は、出願人の商品または役務の品質、特徴、機能、または特性に関する知識のみを直ちに伝える場合に、説明的であるとみなされます。商標の記述が、全てではなく1つの重要な機能、属性、または特性を記述すれば、記述的であると認定するのに十分です。 In re Chamber of Commerce, 675 F.3d at 1300 また、識別された役務がその用語によって示される役務の一部である場合には、単に記述的であると見なすことができます。 In re Amer. Soc’y of Clinical Pathologists, Inc., 442 F.2d 1404, 1406-07 識別性についての拒絶理由に対しては、1)標章の記載は普通名称などではないと主張する。2)主登録から補助登録への補正をする、3)使用による特別顕著性を提示する。の方策がありますが、3)の顕著性を示すには十分な証拠が要求されます。

C. 類似

称呼、外観、観念(Similarity in Sound, Appearance, Meaning)(TMEP 1207)
標章が類似しているか否かは、横並びに比較したときに2つの標章を区別できるかどうかではなく、商品または役務の供給源についての混乱の可能性があるほど標章が類似しているかどうかになります。類似性については、sight(appearance), sound, or meaningが要因とさえていますが、自動的にそれだけで決定されるものではなく、関連した事実なども考慮されます。外観の類似性は、標章を比較する際に考慮すべき要因の1つです。In re E. I. du Pont de Nemours & Co., 476 F.2d 1357, 1361 音の類似性は、標章が混同し易いかどうかを判断する際の1つの要因です。Id.意味や意味合いの類似性は、標章が混同し易いかどうかを判断する上でのもう1つの要因です。Id. 外国語の同等物のルールの下では、外国語(著名なアメリカ人の消費者に馴染みのある言語のもの)と英語の同等語は、類似していると考えられることがあります。例えば、靴でEL SOL(スペイン語で太陽)に対し、靴でSUN and designは類似とした例があります。

関連性(Relatedness)(TMEP 1207)
米国では、日本のような類似群コードで商品役務の類似性を決めるというような手法は存在しておらず、ケースバイケースで議論して商品役務の類似を決める傾向にあります。比較される標章がより似ていれば、商品・役務の関連性が低くとも類似となる可能性は高くなります。商品・役務の関連性については、必ずしも一致している必要はないとされています。関連性について、配管分野における液体排水オープナーと広告サービスは、異なる商品や役務であり、同じ標章であってもその出所について混乱する可能性は低いとする審決例もあります。Local Trademarks, Inc. v. Handy Boys Inc., 16 USPQ2d 1156, 1158 (TTAB 1990) また、同軸ケーブルに使用されるQRと、複写機、製図機、青写真機に関連して使用される各種機器のQRとは、それらの商品の性格、目的、相違点などにより混乱を招くものではないとした例もあります。Quartz Radiation Corp. v. Comm/Scope Co., 1 USPQ2d 1668, 1669 (TTAB 1986) ビールとレストランのサービスが類似すること支持する証拠は得られていないと判断された判決があります。In re Coors Brewing Co., 343 F.3d 1340.

Du pont factors
米国商標で類否を分析する際に頻繁に使用されるTESTがDu pont factorsです。TMEP1207.01では、審査の場合特に次の要因を重きを置いて考えるとしています。

  • The similarity or dissimilarity of the marks in their entireties as to appearance, sound, connotation and commercial impression.
  • The relatedness of the goods or services as described in the application and registration(s).

最初のfactorでは、称呼、外観、観念にcommercial impressionが加わっております。次のfactorはrelatednessの分析です。

D. 同意書 (Consent)

競合する先登録商標がある場合には、アメリカの実務としてコンセント(consent(TMEP 1207.01(d)(viii)))を相手方と結ぶという方法もあります。同意書であればどのようなものでも良い訳ではなく、各当事者の権利を列挙しただけ、並びに混同を生じる虞は無い旨の証拠不十分な推論に過ぎない”裸の(naked)”同意書では、競合関係を解消するものと見做されない傾向にあります。実際に消費者に混同が生じないような商標の地理的使用に関する制限などで、同意書を作成する必要があり、進めるには相手方と交渉を必要とします。( Concurrent Use Registration, TMEP 1207.04)

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11. ITU出願の使用宣誓書の提出

異議申立期間の経過後、異議申し立てがない場合や異議理由がないと判断された場合には、登録となります。登録されれば10年存続し、次の更新を迎えます。そして、使用主義を前提とする米国では、商標権を取得するため、あるいは取得した権利を維持するため、さまざまな段階で宣誓書(Affidavid)を提出する必要に迫られる場合があります。審査を通過して登録許可通知(notice of allowance)を受けた後は、ITU出願(intent to use, 1b)の場合には、使用主義の観点から使用宣誓書(SOU, Statement of Use)として使用している証拠を提示します。この使用証拠としては、商品の場合には、商標が印刷されたタグと商品自体を写真撮影したものや、商品に商標が印刷されたり表示されている場合にはその写真であったり、商標を表示したパッケージの写真であったり、実際に商品を販売しているWebsiteのスクリーンショットを用いることができます。商品と共に販売される取り扱い説明書などでも証拠として認められます。役務の使用証拠としては、役務との関係が明示できる証拠を提出する必要があり、役務との関係が曖昧な単なる会社案内のページでは、追加の証明が求められることもあります。ECサイトなどの実際に商品を販売しているWebsiteであれば、英語で、その商標の表示、商品自体の表示、USの住所で購入できるように構成されているかとの観点が必要です。登録の時点で使用を証明するものがない場合でも、その提出期間は6か月ごとに36か月まで延長可能(延長請求が5回まで。)です。

使用証拠(Use Specimen)の例

usr2571325
米国商標登録第2571325号
米国商標登録第2571325号
指定商品: golf bags, golf balls, golf ball markers
使用証拠として、マークが印刷された商品の写真を提出。
usr3230070
米国商標登録第3230070号
米国商標登録第3230070号
指定商品 Motor vehicles, namely, automobiles
使用証拠として、マークをエンブレムとして取り付けている自動車(指定商品)の写真を提出。
usr5145181
米国商標登録第5145181号
米国商標登録第5145181号
指定商品: Drinking waters; mineral waters; spring waters; flavored waters; water beverages; fruit-flavored beverages; non-alcoholic beverages, namely, carbonated beverages; soft drinks
使用証拠として、マークを印刷した瓶を容器とする飲料の写真を提出。
usr925656
米国商標登録第925656号
米国商標登録第925656号
指定役務: RESTAURANT AND LIQUOR BAR SERVICES
使用証拠として、店舗の外観写真を提出。

12. 米国特許商標庁における拒絶査定・登録査定後の手続

A.審判請求(Appeal to the Board)(TMEP 1501)

§§2, 3, 4, 5, 6, or 23 of the Trademark Act,によるFOA(拒絶査定)に不服の場合には、TTAB(審判部)にappeal(審判請求)をします。この審判請求には Electronic System for Trademark Trials and Appeals (“ESTTA“)を使用します。審判費用は200ドル/区分です。審判請求人は、請求日から60日以内に理由書(appeal brief)を提出しなければならないとされています。

B.請願書(Petition to the Director) (TMEP 1704)

請願書(Petition)は、権利不請求が標準化された形式で適切に印刷されたかどうか。 審査官が出願を停止する際に適切に行動したかどうか。 審査官が、拒絶理由通知に充分な応答を提出しなかったために放棄された出願を維持する上で適切に行動したかどうか(TMEP§1713参照)、 審査官が最終的な査定を提出することが時期尚早であるかどうかに関して、提出することができます。また、一旦審決が出された後で、補正を行う場合にもPetition to reopen the prosectionを出す必要があります。(TMEP 1501.06)

C.異議申立(Opposition)

審査の結果、出願した商標が主登録に値すると判断された場合には、その内容がOfficial Gazetteに公告され、その登録に利害関係のある者は30日以内に登録異議申立をすることができます。異議申立書には、その異議理由と、利害がある信じる事由を記載する必要があります。この異議申立には Electronic System for Trademark Trials and Appeals (“ESTTA“)を使用します。異議申立は400ドル/区分です。異議申立期間を延長することもでき、 その場合には、期間延長の請求(request for an extension of time)を費用を添えて(100ドル(§2.102(c)(1)(ii) or (c)(2))若しくは200ドル(§2.102(c)(3))提出します。(TBMP 200)首尾よく審査を通過して公告となってもアメリカ出願の場合には異議申立(Opposition)を受けることが少なくありません。アメリカの商標権は、日本の類似群コードのような権利間の仕切りがあるわけではないので、審査官が非類似と判断した2つの商標でも、相手は待ったをかけてくることがよくあります。日本で異議申立手続きは概ね特許庁の主導で進められますが、アメリカの異議申立では、本当の異議申立手続きに入る前に相手の弁護士との間で交渉に入ることも多く、そのために異議申し立て手続きを睨みながら落としどころを考えることになります。 異議申立の場合や次の取消請求の場合も同様に、もし両者の合意があれば、例えば地理的に制限したConcurrent Use Proceedingに入ることもあり、USPTO側でその旨の登録がなされます。異議申立や取消請求は、米国特許商標庁の審判部(TTAB)で扱うこととされており、その手続きは民事訴訟手続に準していて、例えば証拠開示のための手続として、証言録取(Deposition)、書類提出要求(Request for Production of Document)、自認要求(Request for Admission)、質問状(Interrogatory)などがありますが、訴訟費用の高騰を抑えるために一部は75項目に限定されています(TBMP)。また、米国特許商標庁でのディスカバリーの開始から終了までの6ヵ月間に、全てのディスカバリー手続が完了することが要求されます。異議申立制度では、陪審員制度や証人喚問はなく、宣誓証言は、宣誓供述によって行われ口述記録書(Oral transcript)によって提出されます。反対尋問の機会が与えられることを条件として、両当事者の合意がなくても宣誓書(Affidavit or Declaration)によるTestimony も可能です。詳しくは米国商標の異議申立手続のページへ。

13.米国商標登録の取消請求

登録された権利に対して、利害関係を有する第3者は必要な理由がある場合に連邦登録からの削除を目的とする取消を審判を請求することができます。必要な理由は、5年以内の除斥期間があるものと、そのような期間がなくいつでも請求できるものとの2つに分類されます。5年以内とされる理由は、類似している場合、識別性がない場合、出所を誤らせる表示である場合、5年後でも請求できるものとして、商標が放棄された(不使用)場合、商標が普通名称である場合、虚偽の使用により登録されている場合などです。他人の商標と類似する場合を理由とする請求は、5年以内に限ります。

14.米国商標登録の5年目―6年目の使用宣誓書の提出

アメリカで商標権を維持するためには、登録後、5年目―6年目の間に使用宣誓書を使用証拠と共に提出して、必要な提出料も収める必要があります。特に外国出願ベースや外国登録ベース(44d、44e)の場合や、マドリッド制度の国際登録出願ベース(66a)の場合には、出願から最初の使用証明の提出となり、提出できなければ権利放棄となります。特に、マドリッド制度ベースの場合、5年目―6年目の起算日は、国際登録出願の出願日(出願日が登録日と擬制されています。)ではなく、登録証に記載されるアメリカでの登録日からとなりますので、注意が必要です。5年目―6年目の使用宣誓書を期限内に提出できない場合でも、半年は遅延の追加料金を支払って使用宣誓書を提出することもできます。書類の種類としては、Section 8(使用宣誓), Section 15(オプション)の宣誓書を提出します。マドリッド制度による国際出願で、米国での保護拡張がなされている場合にも、Section 71の宣誓書(使用宣誓)を提出する必要があります。なお、費用は、Section 8 若しくはSection 71 の宣誓書の提出の場合、庁費用は125ドル(区分毎)になります。

15.米国商標登録の存続期間と更新手続

米国での商標権の存続期間は登録日から10年間で、更新によって永続させることができます。更新の申請手続は登録日から9年目から10年目の満期日までに行うことができます。もし期限を過ぎた場合でも6か月の猶予期間がありますが、この場合には徒過による割増手数料があります。更新の際には、日本のように更新登録願を出すだけではなく、商標の使用の事実を証明するために、Section 8(使用宣誓), Section 9の各宣誓書と使用の証拠を提出する必要があります。また、使用証明としては、複数の区分を登録している商標登録では区分毎に証拠(Specimen)を提出する必要があります。宣誓書ではすべての商品役務で使用していると宣誓することから、もし商標を使っていない区分や一部の商品がある場合については、登録対象から削除する必要があります。庁費用は300ドル(区分毎、電子手続)です。使用していないことに正当な理由がある場合は、その旨の宣誓書(Excusable Nonuse)を提出することもできます。マドリッド制度による国際出願で、米国へ保護を拡張させている場合には、更新手続はWIPOに対して行うことになりますが、それとは別に米国の登録日からの9年目から10年目の満期日までに使用宣誓書とその証拠(Specimen)を米国特許商標庁に提出します。このときマドリッド制度による国際出願は出願日が登録日ですので、10年目の期限の起算日が国際出願の出願日ですが、米国特許商標庁に対する宣誓書の提出は、起算日が米国での保護の拡張の日(米国での登録日に該当します。)であって国際出願の出願日ではないことに注意する必要があります。実際のところ、国際出願の出願日から米国での保護拡張の日は1年乃至1年半程度遅れると思いますので、WIPOのオンラインでの更新手続は国際商標登録の満了3ヶ月前から利用できることから、その更新手続の1年前後程度後に米国登録の9年―10年目使用宣誓書を提出するパターンになるものと思われます。

16.米国商標の移転・譲渡

米国の連邦登録の商標の移転は、業務上の信用(goodwill)またはその一部と共に書面で移転され、そうでなければ無効である旨規定されてます。 15 U.S.C. § 1060(a) 日本のように原則的に自由に移転させることはできないとされており、この規定は出願のベースをと問わず、例えば外国登録ベースや国際出願ベースでも該当するものとされています。譲渡書や移転契約書には、”together with the goodwill of the business symbolized by the trademark”との記載があることが望ましく、登録番号も記載すべきとしています。もし出願中の商標を移転する場合であって、その出願のベースがintent to use(1b)であって既に使用を開始している場合では、追加的にallegation of use(Alleged Use:実質的にはSOUと同じ)を提出する必要があり、もし出願のベースがintent to use(1b)であって使用が開始していない場合は、事業と共に移転する必要があります。また、マドリッド制度の国際登録出願(66a)については、業務上の信用と共に移転する必要があり、さらに譲受人がマドリッド制度の締約国を居所とするという要件が追加されることになり、例えば日本人の出願中のマドプロの商標をアメリカに全く拠点のない台湾企業に譲渡することはできないことになります。米国特許商標庁における移転関係の書類の登録作業は、米国特許商標庁での登録の様式を満たすか否かで判断され、移転の記録があれば移転が有効であるという考え方はせず、裁判で移転の有効性が争われた場合には、goodwillと共にとして、どのような事業が移転されているかが検証されることになります。また、移転について米国特許商標庁での登録は必須ではありませんが、記録がない移転はその次の譲受人に対抗できないという不利益があります。すなわち、米国特許商標庁に移転の登録しない場合には、同じ元の商標権者が第3者に商標権を移転させ、その第3者が登録した場合には、その第3者が新商標権者となります。

有明国際特許事務所 では、弁理士と米国弁護士の資格により、特許庁 (JPO)と米国特許商標庁(USPTO)にそれぞれ直接手続でき、現地代理人は不要です。

米国商標制度 vol.2
米国連邦商標法、不正競争、登録商標及び未登録商標の保護(§32, §43)