台湾商標制度🇹🇼

制度概要

台湾は東アジアに位置する島であり、電子部品工業なども盛んですが、国際的には中国との関係から余り知的財産系の条約には加盟しておらず、パリ条約の優先権や、PCT、マドリッド制度などもは利用することができない状態です。台湾は商標法上は中国とは独立しており、台湾での商標権については台湾の知的財産局 (經濟部智慧財產局)(TIPO:Taiwan Intellectual Property Office)へ申請を行う必要があります。

台北市
台北市

出願可能な商標

台湾で登録可能な商標は、文字や図形の商標に、加えて新しいタイプの商標も登録可能です。新しいタイプの商標は非伝統型商標と呼ばれ、聲音商標(音声商標)、立體商標(立体商標)、顏色商標(色彩のみの商標)、全像圖商標(ホログラム商標)、動態商標(動き商標)、其他商標(その他の商標)が挙げられています。

商標の種類

一般の商標に加えて、証明標章、団体商標、団体標章の登録制度があります。連合商標制度や防護標章制度は既に廃止となっています。

証明標章

証明標章は、証明標章権者がこれを用いることによって、他人の商品または役務の特定の品質、精密度、原料、製造方法、産地又はその他の事項を証明するものであり、並びにこれを以って未証明の商品や役務と区別するための標章です。証明事項によって一般証明標章及び産地証明標章に区分されます。

団体商標

団体商標とは、法人資格を有する組合、協会又はその他の団体がその会員の提供する商品または役務を示すことにより、当該団体の非会員である者が提供する商品または役務を区別する標章です。

団体標章

団体標章とは、法人資格を有する組合、協会又はその他の団体がその会員の会員籍(メンバーシップ)を表彰することで、当該団体の非会員と区別する標章です。

異議申立制度

審査の結果、登録すべきものと判断された場合には、3か月の異議申立期間が与えられ、何人も異議申し立て可能です。

特異な制度

1)指定商品/役務のオフィシャルフィー加算

台湾では指定商品/役務の数に応じてのオフィシャルフィーが加算されます。
まず、商品においては区分毎に指定商品20個までは基本料金で出願可能ですが、指定商品が21個以上になると、別途指定商品数に応じてオフィシャルフィーが加算されます。
役務においては区分毎に指定役務の数に限らず基本料金で出願可能です。しかしながら第35類のいわゆる小売等役務については、指定役務が6個以上になると別途指定役務数に応じてオフィシャルフィーが加算されます。

2)繁体字と簡体字の関係について

台湾では通常「繁体字」が使用されております。(中国では通常「簡体字」が使用されております。)台湾知的財産局への申請については、「繁体字」と「簡体字」のいずれの態様でも出願可能であり、簡体字(又は繁体字)を登録すれば何れの態様で使用しても登録商標の合法的な使用に該当します。さらには、日本語の漢字、ひらがなやカタカタも登録することができます。また、ひらがなやカタカタについては、出願中の商標も、登録された商標も日文で検索可能です。

マドプロには加盟していますか?

台湾は残念ながらマドプロには加盟しておりません。従って、商標権を取得するためには直接台湾の知的財産局に申請をする必要があります。

韓国商標制度🇰🇷

制度概要

韓国は日本と同じく先願主義・登録主義を採用しており、商標の申請は韓国特許庁に行います。韓国は2010年12月時点で一出願多区分制を取っており、日本と同様に多区分をまとめて一つの申請で行うことが可能です。また、商標権の権利期間も日本と同じく登録から10年間権利が有効で、存続期間の更新申請 を行なうことにより、更に10年毎に権利期間を更新することが可能です。

韓国市場はドラマやミュージックシーンにおける優秀な人材の台頭により、日本では親しみの深い市場であります。韓国市場への関心は米国でも高く、韓国への商標出願件数は米国が第1位となっております(※2009年の出願件数)。ちなみに、日本は次いで第2位となっております(※2009年の出願件数)。

Seoul, South Korea
Seoul, South Korea

韓国への商標出願の総件数は、緩やかに増加・減少を繰り返し、2009年の時点では126,420件となっております。これは日本国内への商標出願件数よりおよそ1万件~2万件程度多い数字であり、アジア諸国の中では中国には及ばないものの、非常に多くの商標が申請されていることが特徴です。

ハングル文字での「商標」

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どんな商標が出願出来るのか?

韓国では韓国国内で使用されているハングル文字だけではなく、日本語の漢字・ひらがな・カタカナ、欧文字等が商標申請されております。韓国では日本語教育が進み、漢字・ひらがな・カタカナも読める可能性があるのが現状です。過去には、日本語からなる商標は一種の図形商標と見て、その意味が直感されないか、称呼が容易に導出されないと判断されていましたが、日本は韓国と地理的に非常に近く且つ経済的文化的にも交流が多いため、ひらがな、カタカナ、漢字からなる日本語商標に対する親しみが高まっており、韓国知的財産庁および裁判所では日本語からなる商標も英語からなる商標と同様に称呼および意味が導出可能な文字商標として扱う傾向がより普遍化されてきています。

審査上の特徴

韓国はほぼ日本と同じような流れで審査が進みます。審査上の特徴としては、主に以下のものが挙げられます。

1)包括的表記が認められない

韓国も少しずつ包括的表記を認めつつはありますが、それでも日本の出願をベースにして韓国へ出願をすると、包括的表記にあたる、というような拒絶理由が来る場合があります。世界的に見れば、日本がかなり包括的表記に寛容である、とも言えます。

2)追加登録出願制度がある

日本では出願当初の指定商品/役務の範囲を超える商品/役務について、出願後にそれを追加する補正は禁じられております。
一方、韓国では出願中若しくは商標登録後であっても、指定商品/役務を追加する補正が可能とする追加登録出願制度がございます。
追加登録出願された範囲については、通常出願と同様に登録要件が審査されることになります。また、追加登録出願についても出願公告後に異議申立の対象となります。
追加登録出願が登録されると、元の出願と同じ登録原簿に記載されるため、登録番号は1つのみとなります。よって、更新の管理を考えると、韓国の追加登録出願制度はメリットのある制度と言えます。

不使用取消審判と類似商標との関係について

韓国では日本と同様、類似登録商標の存在を理由に出願が拒絶される場合があります。その場合、他人の類似登録商標について、不使用を理由に取消請求をかける場合があります。
日本では、他人の類似登録商標の取消に成功すれば、拒絶理由の有無の判断時は査定・審決時であるため、拒絶理由は解消し、登録になります。
一方、韓国では他人の類似登録商標が不使用を理由に消滅しても、他人の類似登録商標の有無についての判断時点は、査定・審決時ではなく出願時が判断基準となるため、出願時における拒絶理由が解消せず、もう一度改めて新規出願をしなくてはいけません。
尚、不使用取消を請求した請求人に対しては、一定期間優先的に出願をすることが出来る期間が設けられているため、別途新規出願をすることになりますが、新規出願のほうで登録が受けられるメリットが存在します。

韓国商標の登録期間

韓国商標登録は10年で更新となりますが、統計では、平均すると1つの商標登録の登録期間は11.7年で、法人は12。1年、個人は10.7年という数字があります。更新してまで使い続ける登録商標も単純には2割前後になりそうです。

悪意ある出願への対応策

韓国商標法は、悪意ある出願人の商標登録を防止するため、「国内又は外国の需要者に特定人の商品を表示するものであると認識されている商標(地理的表示を除く)と同一・類似の商標であって、不当な利益を得ようとし、又はその特定人に損害を追わせようとする等、不正の目的で使用する商標」は登録できないとされています。(商標法34条1項13号)この13号の適用に際して、必ずしも韓国で著名である必要はなく、日本などの外国で周知であればよいとされています。(従来は、条文に”著しく”の文言があり、適用の要件レベルが高いものでいたが、2007年法改正で周知レベルまで引き下げられています。)また、韓国商標法は、そのような悪意ある出願の登録をさせない規定でありますが、悪意ある商標の使用の禁止は不正競争防止法によって差し止めることになります。この場合には韓国国内での周知性が必要です。

具体的な手続

1)情報提供 (現地代理人費用の目安 1000~2000 USドル)
2)異議申立 (現地代理人費用の目安 3000~4500 USドル)
3)無効審判…既に悪意ある出願が登録されている場合。

周知性立証資料

周知性を立証する資料としては、悪意ある出願の出願日から遡って5年間の資料が有効とされ、i)年間売上額などの売り上げに関する資料、ii)商標の広告額、広告媒体及び広告回数などの資料、iii) 商標の認知度、市場占有率、受賞歴、新聞記事、ニュースなど、iv)周知性若しくは著名性を認定した審決又は判決など、v)防護標章登録若しくは有名商標集への収録、vi)各国での登録状況、リスト、原簿写しなど、vii)直営店や販売店の状況、viii)商標や会社の由来などの資料など、が挙げられます。

韓国
韓国

韓国の商標登録を検索(KIPRIS)のページ

商標登録Newsletter: ラオス、多区分の商標出願制度開始

ラオスは2016年2月1日より、多区分の商標出願を受け付ける。知的所有権局は、1つの商標の多区分出願の登録に各類ごとに登録料を求めるものとし、1つの類(class)で800,000 Lao Kip、知的所有権局のサービス料は320,000 Lao Kipとされる。

100,000.00 LAK = 1,389.99 JPY [rate: 2016.2.22]

ラオスは平成28年3月7日、マドプロ締約国に移行する。

中国商標制度🇨🇳 vol.1

制度概要

中国は日本と同じく先願主義・登録主義を採用しており、商標の申請は国家市場監督管理総局(SAMR)の所属官庁である国家知識産権局(CNIPA)の商標局(以下、”中国商標局(CTMO)”)に行います。2014年5月1日から中国商標法改正に伴う実施条例の施行で、改正商標法22条で多区分制度が定められ、一商標につき複数の区分を指定して出願することが可能となりました。また、商標権の権利期間も日本と同じく登録から10年間権利が有効で、存続期間の更新申請を行なうことにより、更に10年毎に権利期間を更新することが可能です。

中国市場は世界で注目されている重要なマーケットの一つであり、商取引が非常に多く行われることから、中国国内における商標権取得の必要性は高く、商標出願件数は年々増加傾向にあります。中国商標局への出願件数は、2000年の時点では223,177件程だったのが、2009年の時点では830,477 件、2012年では1,648,316件、2018年では7.371百万にまで増加しており、非常に多くの商標が申請されていることが特徴です。数年前までは、中国は審査が遅く2年以上かかっておりましたが、現在は出願から最大9ヶ月以内という審査期間の上限が決められています。また、中国商標局では次の目標(2018年)を掲げています。出願から出願受理通知までを1か月、出願の審査を6カ月、商標の移転の審査を4カ月、商標の変更や更新の審査を2カ月、そして商標調査の遅れ期間を2カ月とするとしています。

中国の商標制度では、典型的な、文字商標、団体商標、証明商標、立体商標に加えて、新たに音声商標、色彩商標が登録とされ、商品、商品包装に使用される単一の色は、使用により顕著な特徴を取得し、当該商品をその他の商品と区別することができる場合、商標登録可能とされています。また、中国において音声商標の出願を希望する場合、まず、音声見本を用意する必要があり、音声見本は読み取り専用のCD-ROM に保存し、フォーマット形式はwav 又はmp3 でなければならず、ファイルサイズは5MB を超えてはいけないとされています。また、音楽形式の音声商標の場合、五線譜又は略譜で説明資料を提供することができ、一方、たとえば、動物の鳴き声、鐘の音等のような五線譜などでは説明できない音声商標の場合、文字による説明資料が必要です。

上海 中国
上海 中国

字体について

中国では中国国内で使用されている中国語(簡体字)だけではなく、日本語の漢字・ひらがな・カタカナ、更には世界で広く使用されている欧文字が商標として使用されていることから、中国商標局に申請されている言語も、多種多様な言語で商標申請がなされております。日本で一般的に使用している商標が例えば欧文字だった場合であっても、実際に中国で使用される商標の態様が簡体字であることも多く(又は欧文字とは別に簡体字を併記)、この場合には、簡体字についても商標を申請して取得した方が安全だと言われております。

尚、ひらがな・カタカナは原則として中国では図形として認識されますので、日本で一般的に使用している商標がひらがな・カタカナの場合には、中国で流通する際の商標についてご確認の上、特に簡体字での商標権取得も検討された方が良いと思われます。

拼音(ピンイン)について

拼音(ピンイン/Pinyin)は中国語のローマ字による表記法の1つで、中国語の漢字が全てアルファベットで表現できます。文字商標を漢字表記とした場合では、その漢字自体が商標の主要部であり、読み方に過ぎないピンイン同士の表記が同じや似ていても漢字部分が異なれば、類似ではないと判断されることが多いとされています。従いまして、商標の類否を拼音(ピンイン)で判断することは、誤りを生じやすく、現地代理人に類否判断を聞くべきと思われます。

中国語(簡体)表記での「商標」

商標 中国語(簡体)表記

中国商標出願に必要な書類

委任状(代理人により手続する場合に必要です。通常、依頼する旨の連絡をすると代理人から送られてきます。)、登記簿謄本(法人の登記事項証明書)、商標見本(画像データ)、出願人の氏名若しくは名称及び住所の英語表記と中国語表記、指定商品及び指定役務が必要になります。出願人の名称に、アルファベット/片仮名/平仮名が含まれる場合には、対応する漢字に替えておくことが必要です。

中国商標出願における注意点

中国では商標出願を行うと、データベースへの入力やオフィシャルフィーの入金確認などの一定期間経過後に出願番号通知が届き、そこで初めて出願番号を知ることが出来ます。審査上の特徴的な制度としては、主に以下のものが挙げられます。

1)審査意見書制度

従来は、実体審査で拒絶理由が発見された場合、日本で言うところの「拒絶理由通知」が無くいきなり「拒絶査定」が通知されてそこから15日以内の対応を迫られていましたが、改正法では、審査意見書制度が導入され、商標局が商標登録出願について説明又は修正する必要があると認めた場合、商標局は審査意見書(拒絶理由通知)を出願人に発行し、出願人は審査意見書を受領した日から15日以内に、出願の内容について説明又は補正をすることができます。この場合、1回の補正のみが可能であり、補正できない場合や補正が十分ではない場合、拒絶査定となります。

指定商品・役務の補正指令(Notice of Rectification)に対する回答は、30日以内にできることになりましたが、指令通りに標準記述へ補正または削除しなかった場合、審査部はいきなり「不受理通知」を発行することができるため、細心の対応が不可欠です。また、この手続では、補正が正式に受け取られるまで、2~3カ月はかかることになり、審査を急ぐ場合には、なるべく補正指令を受けないように標準的な指定商品・役務を記載することが求められます。

2)一部拒絶、一部登録制度あり

日本では指定商品/役務の「一部」でも拒絶理由が残っている場合には、指定商品/役務の全体が拒絶されてしまいますが、中国では拒絶理由の無い指定商品/役務は登録され、拒絶理由のある指定商品/役務のみが拒絶査定として通知されます。これは「一部拒絶」「一部登録」と呼ばれており、日本には無い制度となります。改正法では、一部拒絶査定の通知を受けた場合に、15日以内に拒絶査定の対象とならなかった部分の商品・役務(区分)を分割出願することが可能です。

3)拒絶査定は熟読が必要

「一部拒絶査定」と「(全部)拒絶査定」は同様の書面で通知されるため、拒絶査定が出たからといって、日本のようにすべての指定商品/役務が拒絶されたとは限りません。よって、中国では拒絶査定に応答しなくても、一部の指定商品/役務について商標権が発生していることがありますので「拒絶査定」の内容は熟読することが必要です。

4)小売・卸売で認められているのは、医療用品、製剤、薬剤関連のみ

中国出願で35類の小売りを指定した場合でも、現状で認められいるのは、医薬用、獣医用、衛生用製剤及び医療用品の小売又は卸売役務、薬品の小売又は卸売役務、医薬用製剤の小売又は卸売役務、衛生製剤の小売又は卸売役務、医療用品の小売又は卸売役務、動物用薬品の小売又は卸売役務、獣医用製剤の小売又は卸売役務に限定されています。従いまして、中国商標出願で、他の製品を取り扱う場合や、小売もしくは卸売役務を広く指定した場合には、拒絶査定が通知されることになります。

中国商標制度手続き流れ
中国商標制度手続き流れ

中国と香港、澳門、台湾の関係は?

中国で商標権を取得しても、近隣の「台湾」,「香港」,「マカオ」には中国の商標権は及びません。「台湾」,「香港」,「マカオ」はそれぞれ商標出願を審査する官庁があり、もし、これらの国で商標権を取得したいのであれば、それぞれ個別に商標出願をして商標権を取得する必要があります。

マドプロと直接出願のメリット・デメリット

中国で商標権を取得する方法として、国際出願(マドプロ出願)と直接中国へ商標出願する2通りの方法があります。中国は、マドプロ加盟国ですので、マドプロを利用して中国で商標権を取得される方も多いように見受けられます。しかしながら、以下のようにマドプロ出願にはメリット・デメリットが存在しますので、取得したい商標に合わせてマドプロ・直接出願とを分けて検討し、適切な出願方法を検討する必要があります。

マドリッド制度のメリット

  1. 費用が安く済む場合がある
    中国に直接出願をした場合には、各区分毎に指定商品/役務の数が10を超えると、11個目以降の指定商品/役務については、個別に追加料金が発生するため、指定商品の数が膨大になった場合、直接出願は余計に費用が発生する可能性があります。一方、マドプロの場合には、そのような追加料金が発生しないこととなっておりますので、マドプロで中国を指定したほうが安く済む可能性があります。
  2. 更新管理が容易
    マドプロで中国を指定した場合には、登録日は国際登録日からの起算となり、WIPOに対する手続だけで更新をすることができ、特に現地代理人等を経由する必要がないため、マドリッド制度のほうが更新管理が楽になります。

マドリッド制度のデメリット

  1. 指定商品/役務の選定が難しい
    マドプロを利用する場合には、日本での基礎出願(若しくは基礎登録)が必ず必要となるため、日本の商標に係る指定商品/役務を基本として、中国での指定商品/役務の選定をすることが多くなります。その結果、例えば、第25類の「被服」には日本では「帽子」が含まれるところ、中国では「帽子」は「被服」の概念に含まれないため、マドプロを利用した結果、中国では「帽子」の権利が取れていなかった、というような事態が生じ得ます。
  2. 中国商標法について常に情報を入手する必要がある
    マドプロを利用した場合、場合によっては一度の拒絶通報もなされず、国際出願からストレートで中国での商標権が発生することがあります。これは大変好ましいことなのですが、言いかえればその権利に関して中国現地代理人が何ら関与していないため、ストレートで登録になった商標権は、日本の出願人が管理をすることになります。その結果、例えば10年間の権利存続期間の間に中国商標法の改正があった場合、中国の現地代理人を経由していないため、中国現地代理人から法改正の連絡は無く(通常、マドプロを管理している国際事務局からも法改正の通知は来ません。)、法改正で新たに導入された新制度の存在により、存続期間満了前にいつの間にか商標権が失効している、というような事態が生じ得ます。日本の特許事務所に国際出願を依頼している場合、その事務所が各国の法改正を追いかけている場合にはまだ安心ですが、そうでない場合には出願人が各国の法改正について積極的に情報を仕入れておく必要があります。
  3. 商標登録証が発行されない
    マドプロを利用した場合、自動的には商標登録証が発行されないことになります。しかし権利行使の際には必要となりますので、保護の拡張の後に、登録証の発行だけ依頼することもできます。

マドリッド制度の国際登録商標の異議申立期間

マドリッド制度の国際登録商標の異議申し立て期間は、国際公開の翌月の初日から3か月です。商標の国際公開日が2012年1月16日である場合、異議申立期間は2月1日から始まり、3か月間続き、4月30日に終わります。

異議申立とその成功可能性

近年、日本の地名に係る商標が既に中国において商標権を取得されていた、というような話がよくあります。中国における審査においては、「中国国内での認知度」というものが基準となっておりますので、日本の地名に限らず、日本である程度周知・著名な商標であっても、「中国国内」での認知度が高くない場合、中国では簡単に第三者が同じ商標について権利を取得出来る可能性があります。

現行法では、登録の前に異議申立期間というものがあり、この期間内であれば日本の商標の使用権者が異議申し立てを行うことは可能です。しかし、「中国国内での認知度」を立証するのは容易くなく、異議申立の成功確率はケースバイケースですが、簡単に審査結果が覆るというものでも無いと言われております。

これを防ぐためには、まず「日本の商標権は日本国内でのみ有効」であることを認識頂いた上で、誰よりも先に中国に商標出願をすることをお勧め致します。中国では日本と同じく、一定期間商標を不使用の場合には取り消される制度(不使用取消審判制度)がございますが、中国が世界における重要なマーケットの一つであることを考えると、実際の事業展開よりも早い段階で中国への商標出願を検討されることをお勧め致します。

また、新しい改正法では、絶対的な理由の異議申立案件の主体は相変わらず「何人」ですが、相対的な理由に基づき請求する異議申立案件の主体は「先行権利者、利害関係者」に限ると規定されています。

中国にも先使用権の規定がありますが、登録商標権者の出願日前に、先使用者が中国において周知であったことを立証することは実務上非常に困難で、実際の事業展開よりも早い段階で中国への商標出願を検討されることをお勧め致します。

更新登録

商標権の存続期間は登録日から10年です。また、商標登録更新出願を行う時期は、存続期間満了前12ヶ月以内になっています。存続期間満了後でも6ヵ月の更新延長期間があり、割増更新料を払えば更新させることができます。更新申請には、商標更新登録申請書に、委任状と商標権者の法人資格証明書類の写し(登記簿謄本)が必要です。なお、使用証明書の提出は不要です。

中国商標制度 vol.2