商標に関する条約

1.国際条約

1.1 パリ条約

[The Paris Convention for the Protection of Industrial Property (Paris Convention)] 工業所有権保護に関する千八百八十三年三月二十日のパリ同盟条約は、知的財産分野では、最も古く且つ影響力のある条約であり、「内国民待遇の原則」、「優先権制度」、「各国工業所有権独立の原則」などについて定めており、これらをパリ条約の三大原則と言います。商標については、6か月が優先期間とされ、6条(2)、(3)に各国の商標独立の原則を規定しています。また、テルケルマーク(そのままの商標)の保護、不使用取り消しなどについても規定されています。

1.2 標章の国際登録に関するマドリッド議定書

 [The Protocol Relating to the Madrid Agreement Concerning the International Registration of Marks (Madrid Protocol)] マドリッド議定書(所謂マドプロ)は、国際登録商標制度を定めた条約であり、世界知的所有権機関(WIPO)国際事務局が管理する国際登録簿に国際登録を受けることにより、指定締約国においてその保護を確保できる制度です。1)一度の手続で複数国で権利を取得できる。2)複数の商標権を容易に管理できる。3)低コストできる。という利点があります。

1.3 標章登録のための商品及びサービスの国際分類に関するニース協定

 [The Nice Agreement Concerning the International Classification of Goods and Services for the Purposes of the Registration of Marks (Nice Agreement)] この協定が適用される国は、国際分類を採用する決まりになっています。国際分類は、類別表(List of Classes)と、商品及びサービスのアルファベット順一覧表(Alphabetical list of goods and services)で構成され、正文である英語及びフランス語で作成されます。国際分類を主たる体系として使用するか又は副次的な体系として使用するかは各同盟国の任意とされています。版の改訂期間を原則5年とすることが維持され、2012年1月1日よりニース国際分類第10版として発効することが決定されています。

1.4 虚偽の又は誤認を生じさせる原産地表示の防止に関するマドリッド協定

 [The Madrid Agreement for the Repression of False or Deceptive Indications of Source on Goods (Madrid Agreement on Indications of Origin)] 締約国に関した原産国又は原産地として直接又は間接に表示している虚偽の又は誤認を生じさせる表示を有するすべての生産物は、輸入の際に差し押さえられ、或いは他の同様な措置が取られることになっています。差押えは、税関により行なわれ、原産地を偽る広告的表示も禁止されます。日本は1953年に加盟しています。

1.5 原産地名称の保護及び国際登録に関するリスボン協定

 [Lisbon Agreement for the Protection of Appellations of Origin and their International Registration]
原産地名称の登録は、特別の同盟の国の官庁の請求に応じて当該国の国内法令に従って国際事務局が行います。 国際事務局は,特別の同盟の各国の官庁に対し、原産地名称の登録を遅滞なく通知し、定期刊行物において公告します。保護対象となるのは、生産物の品質及び特徴が自然的要因及び人的要因を含む当該国、地方又は土地の環境に専ら又は本質的に由来する場合に限るとされています。マドリッド協定が締結国が原産地表示に対して国内で与えるべき保護について定めた条約であるのに対して、リスボン協定は原産地名称の国際的な保護制度について定めた条約となっています。日本はリスボン協定を締結していません。

1.6 商標法条約

 [The Trademark Law Treaty: TLT)]
各国の商標登録制度の手続面の簡素化及び調和を図って、利用者の利便性の向上を目的としています。1997年(平成9年)4月1日からは日本でも効力があります。主な制度は、一出願多区分制の採用、願書・各種申請書の記載事項及び各種証明書提出の簡素化、更新時の実体審査及び登録商標の使用チェックの禁止、意見を述べる機会を与えない手続の却下の禁止、手続補完による出願日の認定などです。

1.7 商標法に関するシンガポール条約

ï¼»The Singapore Treaty on the Law of Trademarks (Singapore Treaty)ï¼½
シンガポール条約は、基本的に商標法条約(TLT)の内容を取り込んだ上で、書面による出願に加え、電子的手段による出願にも対応と、商標出願手続の更なる簡素化及び調和(商標ライセンス(使用権)等の登録手続の共通化)、商標出願に関連する手続の期間を守れなかった場合の救済措置などが加えられています。37か国(2014年9月時点)が加入済み、日本は未だ(2016年2月現在)です。

1.8 世界貿易機関を設立するマラケシュ協定・付属書一C知的所有権の貿易関連の側面に関する協定(TRIPS協定)

ï¼»Agreement on Trade-Related Aspects of Intellectual Property Rightsï¼½
商標権を含めた知的所有権全般の保護を促進するとともに、知的所有権を行使するための措置及び手続が貿易の障害とならないことを確保するための協定です。主な内容としては、(ア)内国民待遇だけでなく最恵国待遇を知的所有権の分野でも行うこと、(イ)商標権を含む多様な知的所有権の保護水準を強化すること、(ウ)知的所有権の侵害に対する水際及び国内における取締のための手続規定を設けること等です。本協定が我が国について効力を生ずることとなったのは、1995年(平成7年)1月1日です。

1.9 オリンピック・シンボルの保護に関するナイロビ条約

ï¼»The Nairobi Treaty on the Protection of the Olympic Symbol (Nairobi Treaty)ï¼½
この条約の何れの締約国も,国際オリンピック委員会の承認がある場合を除くほか国際オリンピック委員会憲章で定義するオリンピック・シンボルから成り又はこれを含む何れの標識の標章としての登録を拒絶し又は無効とする義務を負い及び商業目的のためにするオリンピック・シンボルの標章その他の標識としての使用を妥当な措置によって禁止する義務を負う(第1条)。日本は未加入。

1.10 標章の図形要素の国際分類を設定するウィーン協定

ï¼»Vienna Agreement Establishing an International Classification of the Figurative Elements of Marksï¼½
本協定に基づいて定められる国際分類はウィーン分類(Vienna classification)と呼ばれ、商標に含まれる図形要素を形状などの特徴によって、大分類/中分類/小分類の階層構造を以て分類されている。
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2.地域条約

2.1 欧州連合/ 欧州連合商標制度(共同体商標制度を平成28年3月23日から継承)

欧州連合商標(European Union Trademark (EUTM))は、欧州連合知的財産庁(European Union Intellectual Property Office (EUIPO))における1件の登録で欧州連合加盟国全体をカバーする商標権を指します。平成28年3月23日より前は、共同体商標(community trademark)と呼ばれておりました。欧州連合商標は欧州各国内の商標権に影響を及ぼしませんので、欧州各国内の商標出願登録をすることも、欧州連合商標の出願をすることも、両方に出願することもできます。

2.2 ベネルクス条約

ï¼»Benelux Convention on Intellectual Property (Trademarks and Designs)ï¼½
ベネルクス知的財産庁(BOIP:Benelux Organization for Intellectual Property (Trademarks and Designs))は 本条約と実施規則を施行させ、ベネルクス3か国の商標と意匠の保護を推し進めることが規定されています。本条約に従うベネルクス3か国の1つの国での判決の効力は、他の2つの国でも認められます。商標についての排他的権利は、ベネルクス領域内での出願(ベネルクス出願)による商標登録或いは国際事務局(国際出願)での登録の結果の商標登録で得られることとされています。商標は、ベネルクス知的財産庁に出願するものとされています。

2.3 アフリカ広域知的財産機関

[African Regional Intellectual Property Organization、ARIPO]
ARIPOはルサカ条約を締結した英語圏のアフリカ諸国からなる国の知的財産の保護のための機関である。ルサカ条約は単に機関の設立について制定しており、知的財産分野での機能を発揮するためには、標章についてのバンジュール議定書が出願制度を設定している。バンジュール議定書のもとでは、出願人が締約国の1つに出願するか、ARIPOに直接出願することができ、保護の求める国を指定できる。
バンジュール議定書を批准した加盟国は、ボツワナ(BW)、レソト(LS)、マラウィ(MW)、ナミビア(NA)、リベリア(LR)、スワジランド(SZ)、ウガンダ(UG)、ジンバブエ(ZW)、サントメ・プリンシペ(ST)の10か国(2016年2月現在)

2.4 アフリカ知的財産機関

[Organisation Africaine de la Propriété Intellectuelle、OAPI]
OAPIは、1962年のリブレビル協定を先立ちとし、1977年のバングイ協定によって設立された、フランス語圏を中心とするアフリカ諸国からなる知的財産権に関する国際機関である。OAPIの各加盟国は自国の知的財産法令を有しておらず、バンギ協定自体が各加盟国に共通の知的財産法であり国内法としての効力があります。バングイ協定によれば、カメルーン共和国のヤウンデにある中央事務局に出願できます。1つの出願で、1つの出願で16の国の加盟国全てを自動的に指定し、多区分の商品又は役務を含めることができますが、1つの出願で商品と役務の双方を含めることはできません。
加盟国は17カ国;ベナン、ブルキナファソ、カメルーン、中央アフリカ、コンゴ共和国、コートジボワール、ガボン、ギニア、ギニアビサウ、赤道ギニア、マリ、モーリタニア、ニジェール、セネガル、チャド、トーゴ及びコモロ連合

2.5 アンデス条約

[(Andean Pact)] アンデス共同体(Comunidad Andina: CAN)の加盟国であるボリビア、コロンビア、エクアドル、ペルーの国の間では、1つの共通商標法を施行させている。ベネズエラは2006年に脱退している。アンデス条約では1つの共通の商標登録を行っている訳ではなく、商標権者の要求によって、或る種の相互的な権利が与えられるようになっている。 例えば、1つの加盟国で最初に商標登録出願した商標権者は、他の加盟国で類似の商標に対して異議申立をすることができる。また、不使用取消の手続きでは、1の加盟国での使用は全て加盟国での使用とされるなどの取り扱いがある。

2.6 メルコスール

[Mercosur(Mercado Común del Sur)]
南米南部共同市場(メルコスール)はアスンシオン条約(The Treaty of Asuncion)に基づくによる域内の関税撤廃等を目的に発足した関税同盟であり、加盟国はアルゼンチン、ブラジル、パラグアイ、ウルグアイであり、ベネズエラは2012年に加入し、ボリビアは批准の準備中とされる。特に商標の保護においては、出所表示と原産地表示は知的財産に関する規則調和の議定書(the Protocol of Harmonization of Rules Regarding Intellectual Property (Mercosur Decision No. 008 of 1995))に含まれるものとされるが、ここまでで議定書が批准されたのはパラグアイとウルグアイだけである。

2.7 北米自由貿易協定

[(North American Free Trade Agreement:NAFTA)] 北米自由貿易協定(“NAFTA”) は、アメリカ合衆国、カナダ、メキシコの間で締結された自由貿易に関する協定である。北米自由貿易協定により商標及びその他の知的財産についての基本事項が決めらている。

2.8 商標および商業の保護に関する米州条約

[General Inter-American Convention for Trademark and Commercial Protection or previously, Pan-American Convention]
この条約では、加盟国での商標登録、異議申立、取消や権利放棄についての基本的な手続を定めています。特に、商標権者は、先に登録された商標の存在を知る第三者が他の加盟国で競合する商標を使用したり登録したりすることを妨げれるように規定しています。

2.9 中米自由貿易協定

 [Central America Free Trade Agreement ]CAFTA-DR
米国と中米5カ国(コスタリカ、エルサルバドル、グアテマラ、ホンジュラス、ニカラグア)およびドミニカ共和国との自由貿易協定(DR-CAFTA)は、コスタリカを除いて発効されている。中米自由貿易協定は、商標とその他の知的財産権についての加盟国間の保護についての規定を有しおり、特には、中米自由貿易協定では、混同のおそれ(likelihood-of-confusion)についての基準や、団体商標、証明商標、及び音声商標の登録を義務づけている。

3.その他

3.1 1991年に改正された植物の新品種の保護に関する国際条約

[UPOV条約:International Convention for the Protection of New Varieties of Plants] 新しく育成された植物の品種を、各国が共通の基本的原則に従って、育成者権という知的財産権として保護することにより、植物品種の開発を促進し、これを通じて公益に寄与することを目的としています。日本では、種苗法がこれに準拠するかたちで規定されています。

輸入差止(関税法)のQ and A

1.自社製品のマークに似たマークのついた商品(贋物・模倣品)を輸入差止できるでしょうか?

以下の要件を満たせば、輸入差止申立制度を利用することができます。
(1)輸入差止申立書を提出すること
(2)申立人の権利を証明するものが添付されていること
(3)輸入差止申立書及び添付書類により申立人の権利を侵害している事実を確認できること
つまり、輸入差止が認められるためには本物と贋物(模倣物)との識別ポイントをはっきりさせて、自社の商標権が侵害されていることを証明することが必要となります。

また、輸入差止申立に似た制度として輸入差止情報提供制度もあります。申立に比べて手続上の権利、義務がないようになりますが、輸入差止めの観点では大きく異なるものではありません。

※海外で販売された自社製品(子会社等ライセンシーの製品を含む)が輸入される場合は、製品自体は贋物ではありませんので、輸入差止申立制度は利用できません。

2.どこに申請すればよいでしょうか?

各税関の知的財産調査官に対して申請します。複数の税関官署に対して申請する場合には、いずれか一つの税関に対して必要部数の書類を提出することにより申請します。

3.具体的にどんなものを提出する必要があるでしょうか?

(1)以下の事項を記載した輸入差止申立書
a.申立人の権利の内容
b.申立人の権利を侵害すると認める貨物の品名
c.上記bの貨物が申立人の権利を侵害すると認める理由
d.輸入申立ての有効期間として希望する期間(2年以内の期間を指定可能)
e.その他参考となるべき事項(本物と贋物を識別するポイント等)
(2)商標権の存在の証明する登録原簿の謄本及び公報
(3)侵害事実を証明するもの(本物と贋物の見本・写真等、判決書・鑑定書等)

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4.どのくらいの期間がかかるものでしょうか?

実際に本物と贋物を見て、証拠書類をそろえたりするため、一概には言えませんが、輸入差止申立書の受理まで2~3週間を目安に考えて頂ければと思います。また、輸入差止申立書の受理後、指定期間内に贋物が発見された場合、認定手続きが開始されますが、手続き開始から10日以内に意見を述べることができ、問題がなければ手続き開始から1月程度で結果が判明します。 なお、書類提出で即手続が開始され、又は書類不備で即却下されることはありません。書類には申請税関に確認して整理番号を記入する必要もあり、あらかじめ下書きの段階からやりとりを行うドラフト制度が採用されています。

5.申立費用はどのくらいかかるでしょうか?

輸入差止申立ての段階では、税関に対しては特に費用を支払う必要はありません(当所の事務手数料はかかります)。なお、認定手続きの際、贋物でない場合を考慮して金銭の供託が命じられる場合があります。

6.リンク

関税法の差止手続のページへ

(財)日本関税協会 知的財産情報センター
税関ホームページ
日本貿易振興会
米国国際貿易委員会
(財)知的財産研究所

種苗法と商標法の関係

種苗法と商標法はそれぞれ登録制度を有しており、種苗法では人為的変異又は自然的変異に係る特性を固定し又は検定した品種について品種登録が可能とされ、これに対して商標法では、種子類、苗、野菜、果物、農産物の輸送 苗の仕立てなどの商品、役務について商標登録が可能です。法律上、権利の内容(客体)が異なるものの、名称部分で互いに他方の登録との重複した登録をさせないようになっています。

商標法上、品種名称との重複を回避するルール

種苗法による品種登録を受けた品種名称と同一又は類似の商標をその品種登録を受けた種苗と同一又は類似の商品や役務に使用する商標は登録できないことになっており(商標法4条1項14号)、異議申立理由(商標法43条の2)でもあり、5年の除斥期間の無効理由(商標法46条)となります。特に“他人の”とは規定されていないことから、商標登録の出願人と育成者権者が同一でも品種登録を理由に拒絶されることがあります。

種苗法上、登録商標との重複を回避するルール

種苗法では、出願にかかる品種名称について、出願品種の種苗に係る登録商標又は当該種苗と類似の商品やその種苗に係る役務に係る登録商標と同一又は類似のものである場合は、品種登録を受けることが出来ないものとされており(種苗法4条1項2号、3号)、農林水産大臣は、出願品種の名称が登録商標と同一又は類似とされるときは、出願者に対し、相当の期間を指定して、出願品種の名称を登録商標に類似しない名称に変更すべきことを命ずることができます(種苗法16条)。この名称変更は出願公表後でもその命令を受けることがあります。詳しくは、農林水産省の種苗登録ホームページをご覧ください。出願公表、品種登録については、官報に告示されますが、出願公表後の名称変更についても官報に告示されます。

種苗法と関連する主な商品及び役務

出願前にクロスサーチが望ましいとされる商品、役務を挙げます。
第29類 豆
第31類 種子類、木、草、芝、苗、苗木、花、牧草、果実、野菜、海そう類、もみ米、麦、そば
第39類 農産物の輸送
第44類 苗の仕立て

特に商標出願が品種登録を理由に拒絶を受けることが多いとされる類似群は、33C01種子類、33D01木、草、芝、苗、苗木、花、牧草、盆栽 とされている。

種苗法の品種登録と商標法の商標登録

私共は、特許事務所ですので商標登録をお勧めしたいところですが、育成者にとって重要なのは、単なる名称の独占ではなく、育てた品種を他人に邪魔されずに流通させることと思いますので、種苗法の品種登録を進めることが重要です。一般に、品種登録には、DUS審査などの約30か月の審査がかかるとされていますので、準備をして品種登録の出願をしましょう。なお、品種登録を出願する際には、出願後に商標登録されていたという事態を未然に防止するために、商標調査をすることをお勧め致します。

種苗登録には、約30が月の時間がかかることから、種苗法の品種登録を例えば会社名+NN号というような登録とし、名前は別個に商標登録をすることも可能です。商標は出願から通常7,8ヶ月程度で登録になることから、先にその品種の植物に対して登録しておいて、ストックしておくことができます。使用せずにストックしておいてもその期間が3年未満であれば不使用取消審判の対象とはなりません。

登録品種の保護 (種苗登録のサイトより抜粋)

品種登録された育成者権の育成者権者は登録品種を独占的に業として利用(種苗の生産・販売等することができます。育成者権者以外の者が許諾を得ないで業として登録品種の種苗や収穫物等を利用した場合は、育成者権の侵害となり育成者権者はその利用の差止めや損害賠償を請求することができます。育成者権の存続期間は、登録日から25年(木本性植物は30年)です。

登録品種の利用行為は、具体的な内容は以下の通りです。
(1)種苗に係る行為
a.生産:種苗を生産すること
b.調整:きょう雑物の除去、精選、種子の洗浄、乾燥、薬品処理、コーティング等
c.譲渡の申出:カタログを需要者に配布し、注文を受けられるようにすることや店頭に品種名及び価格等を提示すること
d.譲渡:種苗の販売、植物園での入場者への配布等
e.輸出:種苗を外国に向け送り出すこと
f.輸入:外国にある種苗を国内に搬入すること
g.保管:a~fのための保管
(2)収穫物に係る行為
 種苗の段階で権利行使する適当な機会がなかった場合には、収穫物に関し(1)と同様の行為並びに「貸渡しの申出」及び「貸渡し」にも権利が及びます。ただし、「調整」は収穫物では考えられないため除かれます。
 貸渡しの例:植木、観賞用植物等のリース
(3)加工品に係る行為
種苗及び収穫物段階で権利行使する適当な機会がなかった場合には,収穫物から生産された加工品のうち政令で指定するものに関する(2)と同様の行為に権利が及びます。
政令で指定されている加工品(平成26 年4 月1日現在)
a.小豆の加工品:豆を水煮したもの(砂糖を加えたものを含む。)及びあん
b.いぐさの加工品:ござ
c.稲の加工品:米飯
d.茶の加工品:葉又は茎を製茶したもの

なお、種苗法第22条第2項の登録品種の名称の使用制限は、他の品種の種苗に対するものであり、加工品として例えばジュース等に同じ名称を使用することは、 上の使用制限はありません。品種登録の権利は、一部の加工品を除き、その加工品までは及ばないものとなっています。

商標法第4条第1項第14号(種苗法で登録された品種の名称)
種苗法(平成十年法律第八十三号)第十八条第一項の規定による品種登録を受けた品種の名称と同一又は類似の商標であつて、その品種の種苗又はこれに類似する商品若しくは役務について使用をするもの
種苗法第十八条及び第二十二条
第十八条 農林水産大臣は、品種登録出願につき前条第一項の規定により拒絶する場合を除き、品種登録をしなければならない。
2 品種登録は、品種登録簿に次に掲げる事項を記載してするものとする。
一 品種登録の番号及び年月日
二 品種の属する農林水産植物の種類
三 品種の名称
四 品種の特性
五 育成者権の存続期間
六 品種登録を受ける者の氏名又は名称及び住所又は居所
七 前各号に掲げるもののほか、農林水産省令で定める事項
3 農林水産大臣は、第一項の規定による品種登録をしたときは、当該品種登録を受けた者に対しその旨を通知するとともに、農林水産省令で定める事項を公示しなければならない。
第二十二条 登録品種(登録品種であった品種を含む。以下この条において同じ。)の種苗を業として譲渡の申出をし、又は譲渡する場合には、当該登録品種の名称(第四十八条第二項の規定により名称が変更された場合にあっては、その変更後の名称)を使用しなければならない。
2 登録品種が属する農林水産植物の種類又はこれと類似の農林水産植物の種類として農林水産省令で定めるものに属する当該登録品種以外の品種の種苗を業として譲渡の申出をし、又は譲渡する場合には、当該登録品種の名称を使用してはならない。